(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189815
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】走行区画線認識システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20170821BHJP
B60R 21/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60R21/00 628Z
B60R21/00 624B
B60R21/00 624D
B60R21/00 624F
B60R21/00 626C
B60R21/00 626G
【請求項の数】36
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-220558(P2014-220558)
(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公開番号】特開2016-91045(P2016-91045A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2016年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】下村 修
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】川嵜 直輝
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 知彦
【審査官】
島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−073529(JP,A)
【文献】
特開2011−198276(JP,A)
【文献】
特開2014−123287(JP,A)
【文献】
特開2013−244787(JP,A)
【文献】
特開2005−149022(JP,A)
【文献】
特開2011−165050(JP,A)
【文献】
特開2013−193467(JP,A)
【文献】
特開2013−250874(JP,A)
【文献】
特開2011−192164(JP,A)
【文献】
特開2008−250453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両(50)の前方の走行車線を撮影する車載カメラ(21)と、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置(20)と、を備える走行区画線認識システム(40)であって、
前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、
前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、
前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記自車両の走行制御を行い、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記走行車線からの逸脱警報を行う走行支援手段と、を備え、
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺における他車両を検出する他車両検出装置(22〜26、32、33)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記認識手段により認識された前記走行区画線が延びる方向と、前記他車両検出装置により検出された前記他車両の移動方向との差が所定角度よりも大きい場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させることを特徴とする走行区画線認識システム。
【請求項2】
自車両(50)の前方の走行車線を撮影する車載カメラ(21)と、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置(20)と、を備える走行区画線認識システム(40)であって、
前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、
前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、
前記認識手段により認識された前記走行区画線を、前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い部分と、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い部分とに区別して表示する表示手段(62)と、を備え、
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺における他車両を検出する他車両検出装置(22〜26、32、33)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記認識手段により認識された前記走行区画線が延びる方向と、前記他車両検出装置により検出された前記他車両の移動方向との差が所定角度よりも大きい場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させることを特徴とする走行区画線認識システム。
【請求項3】
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺における立体物を検出する立体物検出装置(22〜26、31〜33、36)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記認識手段により認識された前記走行区画線の周辺に対応する位置に、前記立体物検出装置により立体物が検出された場合に、前記立体物の周辺における前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1又は2に記載の走行区画線認識システム。
【請求項4】
前記状況取得装置は、地図上における前記自車両の現在位置を取得する位置取得装置(10、31、33)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記位置取得装置により取得された前記現在位置が前記地図上において横断歩道の手前である場合に、前記横断歩道の周辺における前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1〜3のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項5】
前記状況取得装置は、前記自車両が走行中の道路の属性を取得する属性取得装置(22、23、31、33、36)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記属性取得装置により取得された前記属性が市街地の道路である場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1〜4のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項6】
前記状況取得装置は、前記自車両が走行中の道路の属性を取得する属性取得装置を含み、
前記信頼度設定手段は、前記属性取得装置により取得された前記属性が駐車場である場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1〜5のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項7】
前記状況取得装置は、前記自車両のピッチ角及びロール角の少なくとも一方を検出する車両挙動センサ(37)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記車両挙動センサにより検出された前記ピッチ角が第1角度よりも大きい場合、及び前記車両挙動センサにより検出された前記ロール角が第2角度よりも大きい場合の少なくとも一方の場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1〜6のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項8】
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺の環境条件を取得する環境条件取得装置(22、23、31、36、38)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記環境条件取得装置により取得された前記環境条件が、前記車載カメラに対して逆光である場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1〜7のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項9】
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺の環境条件を取得する環境条件取得装置を含み、
前記信頼度設定手段は、前記環境条件取得装置により取得された前記環境条件が夜間である場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1〜8のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項10】
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺の環境条件を取得する環境条件取得装置を含み、
前記信頼度設定手段は、前記環境条件取得装置により取得された前記環境条件が降雨又は降霧中である場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1〜9のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項11】
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺の環境条件を取得する環境条件取得装置を含み、
前記信頼度設定手段は、前記環境条件取得装置により取得された前記環境条件が雪道である場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1〜10のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項12】
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺の環境条件を取得する環境条件取得装置を含み、
前記信頼度設定手段は、前記環境条件取得装置により取得された前記環境条件が砂漠である場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1〜11のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項13】
前記認識手段により前記走行車線の両側の前記走行区画線が認識される場合に、前記両側の前記走行区画線から前記自車両のピッチ角を算出するピッチ角算出手段を備え、
前記状況取得装置は、前記自車両のピッチ角を検出する車両挙動センサを含み、
前記信頼度設定手段は、前記ピッチ角算出手段により算出された前記ピッチ角と、前記車両挙動センサにより検出された前記ピッチ角との差分が第3角度よりも大きい場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1〜12のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項14】
前記ピッチ角算出手段は、前記認識手段により前記走行車線の片側の前記走行区画線のみが認識される場合に、前記車両挙動センサにより検出された前記ピッチ角を算出した前記ピッチ角とする請求項13に記載の走行区画線認識システム。
【請求項15】
前記認識手段により前記画像から検出された走行区画線候補が分岐路であるか否か判定する分岐路判定手段と、
前記分岐路判定手段による判定の信頼度を算出する分岐信頼度算出手段と、を備え、
前記状況取得装置は、前記走行車線の勾配を検出する勾配検出装置(22、31、33、36)を含み、
前記分岐信頼度算出手段は、前記分岐路判定手段により分岐路であると判定され、且つ前記勾配検出装置により検出された勾配が所定勾配よりも大きい場合に、前記分岐路判定手段による判定の信頼度を低下させる請求項1〜14のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項16】
自車両(50)の前方の走行車線を撮影する車載カメラ(21)と、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置(20)と、を備える走行区画線認識システム(40)であって、
前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、
前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、
前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記自車両の走行制御を行い、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記走行車線からの逸脱警報を行う走行支援手段と、
前記認識手段により前記画像から検出された走行区画線候補が分岐路であるか否か判定する分岐路判定手段と、
前記分岐路判定手段による判定の信頼度を算出する分岐信頼度算出手段と、を備え、
前記状況取得装置は、前記走行車線の勾配を検出する勾配検出装置(22、31、33、36)を含み、
前記分岐信頼度算出手段は、前記分岐路判定手段により分岐路であると判定され、且つ前記勾配検出装置により検出された勾配が所定勾配よりも大きい場合に、前記分岐路判定手段による判定の信頼度を低下させることを特徴とする走行区画線認識システム。
【請求項17】
自車両(50)の前方の走行車線を撮影する車載カメラ(21)と、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置(20)と、を備える走行区画線認識システム(40)であって、
前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、
前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、
前記認識手段により認識された前記走行区画線を、前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い部分と、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い部分とに区別して表示する表示手段(62)と、
前記認識手段により前記画像から検出された走行区画線候補が分岐路であるか否か判定する分岐路判定手段と、
前記分岐路判定手段による判定の信頼度を算出する分岐信頼度算出手段と、を備え、
前記状況取得装置は、前記走行車線の勾配を検出する勾配検出装置(22、31、33、36)を含み、
前記分岐信頼度算出手段は、前記分岐路判定手段により分岐路であると判定され、且つ前記勾配検出装置により検出された勾配が所定勾配よりも大きい場合に、前記分岐路判定手段による判定の信頼度を低下させることを特徴とする走行区画線認識システム。
【請求項18】
前記認識手段により認識された前記走行区画線から前記走行車線の曲率及び曲率変化率を算出する曲率算出手段を備え、
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺における路側物を検出する路側物検出装置(22〜26、31、33、36)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記曲率算出手段により算出された前記曲率が第1所定値よりも大きい場合及び前記曲率変化率が第2所定値よりも大きい場合の少なくとも一方の場合、且つ、前記認識手段により認識された前記走行区画線の周辺に対応する位置に、前記路側物検出装置により路側物が検出された場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1〜17のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項19】
自車両(50)の前方の走行車線を撮影する車載カメラ(21)と、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置(20)と、を備える走行区画線認識システム(40)であって、
前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、
前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、
前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記自車両の走行制御を行い、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記走行車線からの逸脱警報を行う走行支援手段と、
前記認識手段により認識された前記走行区画線から前記走行車線の曲率及び曲率変化率を算出する曲率算出手段と、を備え、
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺における路側物を検出する路側物検出装置(22〜26、31、33、36)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記曲率算出手段により算出された前記曲率が第1所定値よりも大きい場合及び前記曲率変化率が第2所定値よりも大きい場合の少なくとも一方の場合、且つ、前記認識手段により認識された前記走行区画線の周辺に対応する位置に、前記路側物検出装置により路側物が検出された場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させることを特徴とする走行区画線認識システム。
【請求項20】
自車両(50)の前方の走行車線を撮影する車載カメラ(21)と、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置(20)と、を備える走行区画線認識システム(40)であって、
前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、
前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、
前記認識手段により認識された前記走行区画線を、前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い部分と、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い部分とに区別して表示する表示手段(62)と、
前記認識手段により認識された前記走行区画線から前記走行車線の曲率及び曲率変化率を算出する曲率算出手段と、を備え、
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺における路側物を検出する路側物検出装置(22〜26、31、33、36)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記曲率算出手段により算出された前記曲率が第1所定値よりも大きい場合及び前記曲率変化率が第2所定値よりも大きい場合の少なくとも一方の場合、且つ、前記認識手段により認識された前記走行区画線の周辺に対応する位置に、前記路側物検出装置により路側物が検出された場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させることを特徴とする走行区画線認識システム。
【請求項21】
複数の前記状況取得装置により取得された取得値の信頼度をそれぞれ算出する取得値信頼度算出手段と、
前記信頼度設定手段は、前記取得値信頼度算出手段により算出された複数の前記取得値の信頼度がそれぞれ第2閾値よりも高く、且つ、前記複数の取得値がそれぞれ表す前記自車両の状況が一致しない場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1〜20のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項22】
前記信頼度設定手段は、更に前記画像の情報を用いて、前記走行区画線の信頼度を補正する請求項1〜21のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項23】
前記信頼度設定手段は、前記自車両の片側において、前記認識手段により前記画像から検出された走行区画線候補が複数ある場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項22に記載の走行区画線認識システム。
【請求項24】
前記信頼度設定手段は、前記認識手段により認識された前記走行区画線が複合線の場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項22又は23に記載の走行区画線認識システム。
【請求項25】
前記認識手段により認識された前記走行区画線から前記走行車線の曲率及び曲率変化率を算出する曲率算出手段を備え、
前記信頼度設定手段は、前記曲率算出手段により算出された前記曲率が第3所定値よりも大きい場合及び前記曲率変化率が第4所定値よりも大きい場合の少なくとも一方の場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項22〜24のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項26】
前記信頼度設定手段は、前記認識手段により認識された前記走行区画線の周辺に所定数よりも多いエッジ点が抽出された場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項22〜25のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項27】
前記状況取得装置は、前記取得値として前記自車両の周辺の地図情報を取得する請求項1〜26のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項28】
前記状況取得装置は、他車両から前記他車両の位置を受信する車車間通信装置(32)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記車車間通信装置により受信された前記他車両の位置が、前記認識手段により認識された前記走行区画線の周辺に対応する位置である場合に、前記他車両の周辺における前記走行区画線の信頼度を低下させる請求項1〜27のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項29】
前記状況取得装置は、前記自車両に対する立体物の位置を受信する路車間通信装置(33)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記路車間通信装置により受信された前記立体物の位置が、前記走行車線において前記自車両の前方にある場合に、前記立体物の位置の周辺における前記走行区画線の前記信頼度を低下させる請求項1〜28のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項30】
前記信頼度設定手段は、前記状況取得装置により、前記走行区画線を認識しにくい状況を表す取得値が、所定時間において所定割合よりも多く取得されたことを条件として、前記走行区画線の前記信頼度を低下させる請求項1〜29のいずれかに記載の走行区画線認識システム。
【請求項31】
自車両(50)の前方の走行車線を撮影する車載カメラ(21)と、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置(20)と、を備える走行区画線認識システム(40)に適用されるマイクロコンピュータであって、
前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、
前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、
前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記自車両の走行制御を行わせ、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記走行車線からの逸脱警報を行わせる走行支援手段と、を備え、
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺における他車両を検出する他車両検出装置(22〜26、32、33)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記認識手段により認識された前記走行区画線が延びる方向と、前記他車両検出装置により検出された前記他車両の移動方向との差が所定角度よりも大きい場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させることを特徴とするマイクロコンピュータ。
【請求項32】
自車両(50)の前方の走行車線を撮影する車載カメラ(21)と、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置(20)と、を備える走行区画線認識システム(40)に適用されるマイクロコンピュータであって、
前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、
前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、を備え、
前記走行区画線認識システムは、前記認識手段により認識された前記走行区画線を、前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い部分と、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い部分とに区別して表示する表示手段(62)を備え、
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺における他車両を検出する他車両検出装置(22〜26、32、33)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記認識手段により認識された前記走行区画線が延びる方向と、前記他車両検出装置により検出された前記他車両の移動方向との差が所定角度よりも大きい場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させることを特徴とするマイクロコンピュータ。
【請求項33】
自車両(50)の前方の走行車線を撮影する車載カメラ(21)と、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置(20)と、を備える走行区画線認識システム(40)に適用されるマイクロコンピュータであって、
前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、
前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、
前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記自車両の走行制御を行わせ、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記走行車線からの逸脱警報を行わせる走行支援手段と、
前記認識手段により前記画像から検出された走行区画線候補が分岐路であるか否か判定する分岐路判定手段と、
前記分岐路判定手段による判定の信頼度を算出する分岐信頼度算出手段と、を備え、
前記状況取得装置は、前記走行車線の勾配を検出する勾配検出装置(22、31、33、36)を含み、
前記分岐信頼度算出手段は、前記分岐路判定手段により分岐路であると判定され、且つ前記勾配検出装置により検出された勾配が所定勾配よりも大きい場合に、前記分岐路判定手段による判定の信頼度を低下させることを特徴とするマイクロコンピュータ。
【請求項34】
自車両(50)の前方の走行車線を撮影する車載カメラ(21)と、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置(20)と、を備える走行区画線認識システム(40)に適用されるマイクロコンピュータであって、
前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、
前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、を備え、
前記走行区画線認識システムは、前記認識手段により認識された前記走行区画線を、前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い部分と、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い部分とに区別して表示する表示手段(62)を備え、
前記認識手段により前記画像から検出された走行区画線候補が分岐路であるか否か判定する分岐路判定手段と、
前記分岐路判定手段による判定の信頼度を算出する分岐信頼度算出手段と、を備え、
前記状況取得装置は、前記走行車線の勾配を検出する勾配検出装置(22、31、33、36)を含み、
前記分岐信頼度算出手段は、前記分岐路判定手段により分岐路であると判定され、且つ前記勾配検出装置により検出された勾配が所定勾配よりも大きい場合に、前記分岐路判定手段による判定の信頼度を低下させることを特徴とするマイクロコンピュータ。
【請求項35】
自車両(50)の前方の走行車線を撮影する車載カメラ(21)と、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置(20)と、を備える走行区画線認識システム(40)に適用されるマイクロコンピュータであって、
前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、
前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、
前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記自車両の走行制御を行わせ、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記走行車線からの逸脱警報を行わせる走行支援手段と、
前記認識手段により認識された前記走行区画線から前記走行車線の曲率及び曲率変化率を算出する曲率算出手段と、を備え、
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺における路側物を検出する路側物検出装置(22〜26、31、33、36)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記曲率算出手段により算出された前記曲率が第1所定値よりも大きい場合及び前記曲率変化率が第2所定値よりも大きい場合の少なくとも一方の場合、且つ、前記認識手段により認識された前記走行区画線の周辺に対応する位置に、前記路側物検出装置により路側物が検出された場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させることを特徴とするマイクロコンピュータ。
【請求項36】
自車両(50)の前方の走行車線を撮影する車載カメラ(21)と、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置(20)と、を備える走行区画線認識システム(40)に適用されるマイクロコンピュータであって、
前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、
前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、を備え、
前記走行区画線認識システムは、前記認識手段により認識された前記走行区画線を、前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い部分と、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い部分とに区別して表示する表示手段(62)を備え、
前記認識手段により認識された前記走行区画線から前記走行車線の曲率及び曲率変化率を算出する曲率算出手段を備え、
前記状況取得装置は、前記自車両の周辺における路側物を検出する路側物検出装置(22〜26、31、33、36)を含み、
前記信頼度設定手段は、前記曲率算出手段により算出された前記曲率が第1所定値よりも大きい場合及び前記曲率変化率が第2所定値よりも大きい場合の少なくとも一方の場合、且つ、前記認識手段により認識された前記走行区画線の周辺に対応する位置に、前記路側物検出装置により路側物が検出された場合に、前記走行区画線の信頼度を低下させることを特徴とするマイクロコンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行区画線を認識する走行区画線認識システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行支援を行うために、車載カメラにより走行車線を撮影し、撮影画像から走行区画線を認識する装置が種々提案されている。特許文献1に記載の走行支援装置は、画像データから走行区画線を検出し、検出した走行区画線の信頼性が閾値よりも低い場合は、走行区画線を認識していないとして、走行支援を実施していない。また、上記走行支援装置は、検出した左右の走行区画線の信頼性が閾値よりも高い場合は、車両の車線内の走行を維持するように車両制御処理を実施し、いずれか一方のみの走行区画線の信頼性が閾値よりも高い場合は、車両制御処理を止めて、車線逸脱警報処理を実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−149023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記走行支援装置は、画像データから走行区画線を検出するとともに、画像データを用いて検出した走行区画線の信頼性を算出している。そのため、画像の撮影状況が悪化すると、信頼性の算出精度が低下し、必要以上に走行支援が制限されたり、誤った走行支援が行われたりするおそれがある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑み、認識した走行区画線を適切に利用することができる走行区画線認識システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上記課題を解決するため、自車両の前方の走行車線を撮影する車載カメラと、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置と、を備える走行区画線認識システムであって、前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記自車両の走行制御を行い、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い場合は、前記認識手段により認識された前記走行区画線に基づいて前記走行車線からの逸脱警報を行う走行支援手段と、を備える。
【0007】
第1の発明によれば、車載カメラにより自車両の前方の走行車線が撮影され、少なくとも1つの状況取得装置により自車両の挙動や自車両の周辺情報の自車両の状況が検出される。そして、撮影された画像から走行区画線が認識される。また、状況取得装置により取得された取得値に基づいて、認識された走行区画線の信頼度が設定される。よって、白線の信頼度の設定に、車載カメラ以外の状況取得装置により取得された取得値を用いるため、適切な信頼度を設定することができる。
【0008】
さらに、信頼度が第1閾値よりも高い場合は、認識された走行区画線に基づいて車両の走行制御が行われ、信頼度が第1閾値よりも低い場合は、認識された走行区画線に基づいて走行車線からの逸脱警報が行われる。すなわち、適切に設定された信頼度に基づいて、走行制御又は逸脱警報が行われるため、適切な走行支援の機会を増加させることができる。よって、認識した走行区画線を適切に利用することができる。
【0009】
また、
第2の発明は、自車両の前方の走行車線を撮影する車載カメラと、前記自車両の状況を表す取得値を取得し且つ前記車載カメラと異なる少なくとも1つの状況取得装置と、を備える走行区画線認識システムであって、前記車載カメラにより撮影された画像から前記走行車線を区画する走行区画線を認識する認識手段と、前記状況取得装置により取得された取得値に基づいて、前記認識手段により認識された前記走行区画線の信頼度を設定する信頼度設定手段と、前記認識手段により認識された前記走行区画線を、前記信頼度設定手段により設定された前記信頼度が第1閾値よりも高い部分と、前記信頼度が前記第1閾値よりも低い部分とに区別して表示する表示手段と、を備える。
【0010】
第2の発明によれば、
第1の発明と同様に、適切な信頼度を設定することができる。さらに、信頼度が第1閾値よりも高い部分と、信頼度が第1閾値よりも低い部分とに区別して、認識される走行区画線が表示される。これにより、ドライバは、信頼度が低い場所を把握し、他の場所よりも注意することができる。よって、認識した走行区画線を適切に利用することこができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】白線認識システムに含まれる各種センサ及び装置の設置位置を示す平面図。
【
図2】白線認識システムに含まれる各種センサ及び装置の設置位置を示す斜視図。
【
図4】白線を認識する処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、道路の走行車線を区画する白線(走行区画線)を認識する白線認識システム(走行区画線認識システム)を、具現化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
まず、
図1〜3を参照して、本実施形態に係る白線認識システム40の概要について説明する。白線認識システム40は、前方カメラ21(車載カメラ)、状況取得装置20、ECU10、スピーカ61、表示装置62、電動パワーステアリング(EPS)63及び電子制御式ブレーキ(ECB)64を備える。白線認識システム40では、ECU10が、前方カメラ21により撮影された画像から白線を認識し、状況取得装置20により取得された取得値に基づいて、認識した白線の信頼度を設定する。ECU10は、白線を認識しにくい状況において、認識した白線の信頼度を下げて設定する。さらに、ECU10は、設定した信頼度が第1閾値よりも高い場合は、その白線に基づいて自車両50の走行制御を行い、設定した信頼度が第1閾値よりも低い場合は、その白線に基づいて車線からの逸脱警報を行う。以下、白線認識システム40の詳細について説明する。
【0014】
前方カメラ21は、CCDカメラやCMOSカメラ等であり、自車両50の前側の車幅中央、例えばルームミラーの中央に取り付けられており、自車両50の前方の道路を撮影する。前方カメラ21により撮影された画像から、道路の白線が検出され認識される。ここで、白線の周辺に立体物があると、立体物を白線と誤認識するおそれや、立体物により白線の認識が阻害されるおそれがある。また、白線は、画像のコントラストに基づいて検出されるため、逆光、夜間、降雨時、降霧時、降雪時等の画像のコントラストを抽出することが困難な状況では、検出精度が低くなる傾向がある。
【0015】
状況取得装置20は、前方カメラ21とは異なる装置であり、自車両50の状況を表す取得値を取得する装置である。自車両50の状況は、具体的には、自車両50の周辺状況、自車両50の挙動、自車両50が走行している道路の状況、自車両50の走行時の環境条件等を含む。自車両50の周辺状況は、自車両50の周辺における他車両、歩行者、路側物等の白線を認識しにくくする立体物の存在状況である。自車両50の挙動は、自車両50の速度、ヨーレート、ピッチ角、ロール角等である。自車両50が走行している道路の状況は、横断歩道、交差点、急カーブ、ガードレール等が存在する位置、道路の形状、道路の属性等である。道路の属性は、高速道路、市街地道路、駐車場等である。自車両50の走行時の環境条件は、日射の向き、時間、雨、霧、雪道、砂漠等である。
【0016】
本実施形態において、状況取得装置20は、ステレオカメラ22、周辺カメラ23、ミリ波レーダ24、レーザレーダ25、超音波センサ26、車車間通信装置32、路車間通信装置33、GPS31、地図記憶装置36、車速センサ34、ヨーレートセンサ35、角度センサ37及び環境センサ38を含む。
【0017】
ステレオカメラ22は、左右一対のカメラ(CCDカメラやCMOSカメラ等)であり、例えばルームミラーの右端と左端に、車幅方向において所定のカメラ基線長で取り付けられており、自車両50の前方の道路を含む周辺状況を撮影する。ステレオカメラ22により撮影されたステレオ画像(取得値)から、パターン認識により立体物が抽出される。そして、抽出された立体物の左右の画像におけるずれ量(視差)から、三角測量の原理によって、その立体物の奥行方向(車両の進行方向)の距離及び横方向(車幅方向)の位置が検出される。さらに、距離の時間変化から相対速度が検出され、位置の時間変化から移動方向が検出される。また、パターン認識により、立体物が他車両、歩行者、路側物(ガードレール等)のいずれか認識される。ステレオカメラ22は、横方向位置及び形状の分解能は高いが、逆光、夜間、降雨時、降雪時等の画像のコントラストを抽出することが困難な状況では、分解能が低くなる傾向がある。
【0018】
周辺カメラ23は、自車両50の後側と左右両側(例えば左右のサイドミラー)にそれぞれ取り付けられており、自車両50の周辺状況を撮影する。各周辺カメラ23は、各周辺カメラ23を中心として略180°の範囲を撮影する。各周辺カメラ23に撮影された画像(取得値)から、パターン認識により画像上の立体物が抽出され、立体物の距離及び横方向位置が検出される。また、パターン認識により、立体物が他車両、歩行者、路側物のいずれか認識される。周辺カメラ23は、自車両50から比較的近距離に存在する立体物の距離及び横方向位置は検出しやすいが、遠方の立体物の距離及び横方向位置は検出しにくい傾向がある。また、周辺カメラ23は、ステレオカメラ22と同様に、画像のコントラストを抽出することが困難な状況では、精度が低くなる傾向がある。
【0019】
ミリ波レーダ24及びレーザレーダ25は、自車両50の前端部(例えばバンパーの上辺り)の車幅中央に取り付けられており、自車両50の前方や側方の立体物との距離や方向を検出する。詳しくは、ミリ波レーダ24は、複数本のミリ波のビームを放射状に出射して立体物からの反射波(取得値)を受信する。ミリ波レーダ24により受信された反射波の送信から受信までの時間及び受信方向から、自車両50から立体物までの距離、及び立体物の横方向位置が検出される。さらに、距離の時間変化から相対速度が検出され、位置の時間変化から移動方向が検出される。また、距離や位置、相対速度から、立体物が他車両、歩行者、路側物のいずれか認識される。ミリ波レーダ24は、ステレオカメラ22及びレーザレーダ25と比較して、横方向位置の分解能は低いが、降雨や降雪等の影響を受けにくい傾向がある。
【0020】
一方、レーザレーダ25は、細幅のレーザ光を、横方向又は横方向及び縦方向に、所定の視野角で走査しながらパルス照射し、立体物からの反射光(取得値)を受光する。レーザレーダ25により受光された反射光の照射から受光までの時間及び受光方向から、自車両50から立体物までの距離、及び立体物の横方向位置が検出される。さらに、距離の時間変化から相対速度が検出され、位置の時間変化から移動方向が検出される。また、距離や位置、相対速度から、立体物が他車両、歩行者、路側物のいずれか認識される。レーザレーダ25は、横方向位置の分解能は高いが、ミリ波レーダ24よりも降雨や降雪等の影響を受けやすい。
【0021】
超音波センサ26は、自車両50の前端部と後端部にそれぞれ4個ずつ取り付けられている。超音波センサ26は、ミリ波レーダ24やレーザレーダ25よりも安価であるため、自車両50の周囲に複数取り付けられている。超音波センサ26は、指向性を持った超音波を出射して、立体物からの反射波を受信する。複数の超音波センサ26で受信された反射波(取得値)から三角測量の原理に基づいて、自車両50から立体物までの距離、及び立体物の横方向位置が検出される。また、距離や位置、相対速度から、立体物が他車両、歩行者、路側物のいずれか認識される。さらに、距離の時間変化から相対速度が検出され、位置の時間変化から移動方向が検出される。
【0022】
車車間通信装置32は、車車間通信装置を備えた他車両から、他車両の位置や速度の情報(取得値)を受信するとともに、車車間通信装置を備えた他車両へ、自車両50の位置や速度の情報を送信する。路車間通信装置33は、路側機から、横断歩道や交差点、ガードレール等の道路の特定場所の自車両50に対する位置、道路の形状及び属性、及び他車両や歩行者等の立体物の自車両50に対する位置の情報、並びに自車両50の現在位置(取得値)を受信する。路側機は、自身に搭載されているセンサにより他車両や歩行者の位置情報を取得したり、他車両や歩行者が備える通信装置から送信された位置情報を受信したりする。
【0023】
GPS31は、GPS衛星から送信された信号に基づいて、自車両50の現在位置及び現在時刻の情報(取得値)を取得する。現在位置の情報は、緯度、経度及び高度を含む。地図記憶装置36は、地図情報が記憶されたハードディスクやDVD等の記憶装置であり、地図情報は、横断歩道や交差点、ガードレレール等の道路の特定場所の位置、道路の形状及び属性を含む。GPS31により取得された自車両50の現在位置と、地図記憶装置36から取得された自車両50の周辺の地図情報とから、自車両50の周辺状況(取得値)が取得される。
【0024】
車速センサ34は、自車両50の車輪に取り付けられており、自車両50の速度を検出する。ヨーレートセンサ35は、自車両50の車輪に取り付けられており、自車両50のヨーレートを検出する。角度センサ37は、自車両50の車体に取り付けられたジャイロセンサ及び加速度センサを含み、ジャイロセンサにより検出された角速度及び加速度センサにより検出された加速度から、自車両50のピッチ角及びロール角(取得値)を取得する。あるいは、角度センサ37は、自車両50の前後端部及び左右端部に取り付けられたハイトセンサでもよい。自車両50の前端部と後端部との高さの差からピッチ角が取得され、左端部と右端部との高さの差からロール角が取得される。
【0025】
環境センサ38は、車両走行時の環境条件を検出するレインセンサや温度センサ、日射センサ等であり、レインセンサは降雨量(取得値)を検出し、温度センサは外気温(取得値)を検出する。また、日射センサは日射量(取得値)を検出する。
【0026】
スピーカ61は、車室内に取り付けられており、音や音声等を出力する装置である。表示装置62(表示手段)は、メッセージや画像等を表示する装置である。電動パワーステアリング63は、電動モータが発生するトルクを利用して、ステアリングホイールの操作を補助する装置である。電子制御式ブレーキ64は、各車輪に設けられた摩擦ブレーキの作動油圧を電気的に調整する装置である。
【0027】
ECU10は、CPU、ROM、RAM及びI/O等を備えたマイクロコンピュータとして構成されており、状況取得装置20により取得された取得値を処理する。ECU10は、CPUがROMに記憶されている各種プログラムを実行することにより、白線認識部11、取得値信頼度算出部12、立体物認識部13、車両挙動認識部14、道路状況認識部15、環境条件認識部16、白線信頼度設定部17及び走行支援部18の各機能を実現する。
【0028】
白線認識部(認識手段)11は、前方カメラ21により撮影された画像から白線を認識する。白線認識部11が実行する白線認識の処理手順について、
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0029】
まず、前方カメラ21により撮影された前方画像を取得する(S10)。続いて、S10で取得した前方画像にsobelフィルタ等のフィルタを適用して、エッジ点を抽出する(S11)。続いて、S11で抽出したエッジ点に対してハフ変換を行い(S12)、白線候補(走行区画線候補)を算出して検出する(S13)。
【0030】
続いて、車線の片側を区画する白線の候補として、S13で複数の白線候補を検出した場合は、最も白線らしい白線候補に絞り込む(S14)。詳しくは、各白線候補に対して、白線の特徴を備える度合を算出し、白線の特徴を備える度合が最も高い白線候補に絞り込む。
【0031】
続いて、絞り込んだ白線候補の認識距離や白線候補の曲率等に基づいて、絞り込んだ白線候補が、分岐路の白線であるか否かを判定する(S15)。認識距離は、白線候補に含まれる最も遠方のエッジ点までの距離である。続いて、S15における分岐路判定の信頼度を算出する(S16)。詳しくは、単眼画像からだけでは、勾配路の白線候補を分岐路の白線であると判定するおそれがあるので、状況取得装置20による取得値に基づいて、分岐路判定の信頼度を算出する。
【0032】
例えば、ステレオカメラ22から検出した道路の勾配が、所定勾配よりも大きい場合に、分岐路判定の信頼度を低下させる。あるいは、自車両50の現在位置における道路の勾配や、路車間通信装置33から受信した道路の勾配が、所定勾配よりも大きい場合に、分岐路判定の信頼度を低下させる。自車両50の現在位置における道路の勾配は、地図記憶装置36の地図情報に含まれるものである。また、地図上において自車両50の位置が分岐路の手前である場合や、路車間通信装置33から車線が前方で分岐することを受信した場合は、分岐路判定の信頼度を上昇させる。各センサ及び装置の取得値に基づいて、それぞれ信頼度を算出し、算出した各信頼度を統合して分岐路判定の信頼度を算出してもよい。本実施形態では、ステレオカメラ22、GPS31及び地図記憶装置36、並びに路車間通信装置33が勾配検出装置に相当する。なお、S15の処理が分岐路判定手段に相当し、S16の処理が分岐信頼度算出手段に相当する。
【0033】
続いて、S14で絞り込んだ白線候補の座標を鳥瞰座標に変換する(S17)。続いて、S17で鳥瞰座標に変換した白線候補に基づいて、白線パラメータを推定する(S18)。ここで、S15で白線候補が分岐路の白線であると判定され、且つ、S17で算出された分岐路判定の信頼度が判定閾値よりも高い場合は、白線候補が分岐路の白線である尤度が高いとして、その白線候補を白線パラメータの推定に用いない。すなわち、その白線候補を白線として認識しない。この場合、反対側の白線候補を検出していれば、片側の白線候補に基づいて白線パラメータを推定する。すなわち、片側の白線候補のみを白線として認識する。
【0034】
白線パラメータは、車線の特性を表すパラメータであり、車線の曲率、曲率変化率、車線位置、車線幅等である。両側の白線を認識する場合は、両側の白線の交点すなわち消失点を算出し、算出した消失点から自車両50のピッチ角を算出する。そして、算出したピッチ角を用いて曲率等を算出する。片側の白線を認識する場合は、角度センサ37により検出された自車両50のピッチ角を算出されたピッチ角とする。あるいは、片側の白線を認識する場合は、オプティカルフロー等の別の画像処理アルゴリズムによりピッチ角を算出する。なお、S18の処理が、ピッチ角算出手段及び曲率算出手段に相当する。
【0035】
図3に戻り、取得値信頼度算出部(取得値信頼度算出手段)12は、状況取得装置20に含まれる各種センサ22〜26,34、35、37、38の取得値の信頼度、及び各種装置31〜33の取得値の信頼度をそれぞれ算出する。具体的には、取得値を取得した継続時間及び頻度が大きいほど、取得値の信頼度を高くし、瞬時的な取得値は、ノイズの可能性が高いため信頼度を比較的低く算出する。また、第1のセンサによる取得値に基づいて、第2のセンサの取得値の信頼度を変更してもよい。例えば、環境センサ38により所定雨量よりも多い降雨量が取得された場合には、ステレオカメラ22及び周辺カメラ23の取得値の信頼度を低下させる。
【0036】
立体物認識部13は、他車両認識部13a、歩行者認識部13b及び路側物認識部13cを含み、自車両50の周辺における立体物を認識する。具体的には、他車両認識部13aは、各種センサ22〜26、車車間通信装置32及び路車間通信装置33により取得された取得値から、自車両50の周辺における他車両までの奥行方向の距離、他車両の横方向位置、他車両の相対速度、及び他車両の移動方向を認識する。同様に、歩行者認識部13bは、各種センサ22〜26、及び路車間通信装置33により取得された取得値から、自車両50の周辺における歩行者の奥行き方向の距離、歩行者の横方向位置、歩行者の相対速度、及び歩行者の移動方向を認識する。また、路側物認識部13cは、各種センサ22〜26、GPS31及び地図記憶装置36、並びに路車間通信装置33により取得された取得値から、路側物までの奥行き方向の距離、路側物の横方向の位置を認識する。
【0037】
なお、本実施形態において、立体物検出装置は、ステレオカメラ22、周辺カメラ23、ミリ波レーダ24、レーザレーダ25、超音波センサ26、GPS31及び地図記憶装置36、車車間通信装置32、路車間通信装置33に相当する。また、本実施形態において、他車両検出装置は、ステレオカメラ22、周辺カメラ23、ミリ波レーダ24、レーザレーダ25、超音波センサ26、車車間通信装置32、路車間通信装置33に相当する。
【0038】
車両挙動認識部14は、角度センサ37により検出されたピッチ角及びロール角から、車両のピッチング状態及びローリング状態を認識する。なお、本実施形態において、車両挙動センサは角度センサ37に相当する。
【0039】
道路状況認識部15は、自車両50が走行している道路の状況を認識する。例えば、道路状況認識部15は、自車両50の現在位置周辺の地図情報や、路車間通信装置33から受信した情報、ステレオカメ22又は周辺カメラ23の撮影画像から、横断歩道、交差点、トンネル、急カーブ、ガードレール等の自車両50に対する位置や、道路の形状(勾配や曲率)、道路の属性を認識する。なお、本実施形態において、地図上における自車両50の現在位置を取得する位置取得装置は、GPS31、路車間通信装置33に相当する。また、本実施形態において、属性取得装置は、ステレオカメラ22、周辺カメラ23、GPS21及び地図記憶装置36、路車間通信装置33に相当する。
【0040】
環境条件認識部16は、走行時の環境条件を認識する。具体的には、例えば、環境条件認識部16は、GPS31により取得された現在位置及び現在時間から、日射の向きを認識する。また、環境条件認識部16は、GPS31により取得された現在時間から昼か夜かを認識する。また、環境条件認識部16は、環境センサ38により検出された降雨量から降雨や降霧の有無を認識する。また、環境条件認識部16は、ステレオカメラ22や周辺カメラ23により撮影された画像、及び環境センサ38により検出された外気温から、雪道、砂漠を認識する。
【0041】
立体物認識部13、車両挙動認識部14、道路状況認識部15及び環境条件認識部16は、それぞれ、取得値信頼度算出部12により算出された信頼度が第2閾値よりも高い取得値のみを用いる。
【0042】
白線信頼度設定部(信頼度設定手段)17は、状況取得装置20により取得された取得値に基づいて、白線認識部11により認識された白線の信頼度を設定する。具体的には、例えば、信頼度には初期値が設定されており、白線信頼度設定部17は、認識された白線の周辺に対応する位置に、立体物が検出された場合に、立体物の周辺における白線の信頼度を低下させる。すなわち、立体物がある場所では白線を認識しにくいので、立体物の周辺における白線の信頼度を低下させる。また、認識された白線の延びる方向と周りの他車両の移動方向との差が所定角度よりも大きい(それらの方向が異なる)場合は、白線を誤認識しているおそれがある。そこで、白線信頼度設定部17は、認識された白線が延びる方向と自車両50の周辺において検出された他車両の移動方向とが異なる場合に、白線の信頼度を低下させる。
【0043】
また、自車両50の前方に横断歩道がある場合、道路に描かれた横断歩道の表示を白線と誤認識するおそれがある。そこで、白線信頼度設定部17は、自車両50の現在位置が、地図上において横断歩道の手前である場合に、横断歩道の周辺における白線の信頼度を低下させる。同様に、路面に様々な線や文字が描かれた駐車場内では、白線を誤認識するおそれがある。そこで、白線信頼度設定部17は、自車両50が走行中の道路の属性が駐車場である場合に、白線の信頼度を低下させる。また、市街地の道路は、障害物が多く白線を誤認識しやすい。そこで、白線信頼度設定部17は、自車両50が走行中の道路の属性が市街地の道路である場合に、白線の信頼度を低下させる。白線信頼度設定部17は、横断歩道以外にも、交差点、トンネル、急カーブ等の白線を認識しにくい道路の特定場所の周辺における白線の信頼度を低下させてもよい。
【0044】
また、自車両50がピッチングしていたりローリングしていたりする場合、ピッチングやローリングにより画像がずれているか、車線が傾斜しているかを判別することは困難であり、白線を誤認識しやすい。そこで、白線信頼度設定部17は、自車両50のピッチ角が第1角よりも大きい場合、及び自車両50のロール角が第2角よりも大きい場合の少なくとも一方の場合に、白線の信頼度を低下させる。また、自車両50の両側の白線が認識される場合、両側の白線から算出された自車両50のピッチ角と、検出された自車両50のピッチ角との差分が大きい場合、白線を誤認識しているおそれがある。そこで、白線信頼度設定部17は、差分が第3角度よりも大きい場合に、白線の信頼度を低下させる。
【0045】
また、急カーブの場所や車線の曲率の変化量が大きい場所に路側物があると、路側物を白線と誤認識しやすい。そこで、白線信頼度設定部17は、認識された白線から算出された曲率が第1所定値よりも大きい場合、及び算出された曲率変化率が第2所定値よりも大きい場合の少なくとも一方の場合、且つ白線の周辺に対応する位置に立体物が検出された場合に、白線の信頼度を低下させる。なお、本実施形態において、路側物検出装置は、各種センサ22〜26、GPS31及び地図記憶装置36、並びに路車間通信装置33に相当する。
【0046】
また、白線信頼度設定部17は、環境条件取得装置により取得された自車両50の周辺の環境条件が、白線を認識しにくい環境条件の場合に、白線の信頼度を低下させる。白線を認識しにくい環境条件とは、例えば、車載カメラ10に対する逆光、降雨、降霧、夜間、雪道、砂漠である。なお、本実施形態において、環境条件取得装置は、ステレオカメラ22、周辺カメラ23、GPS31、地図記憶装置36、環境センサ38に相当する。
に相当する。
【0047】
白線信頼度設定部17は、各取得値に基づいて白線の信頼度を算出し、算出した信頼度を統合して、認識された白線の信頼度を設定してもよいし、白線を認識しにくい条件を満たしているほど、認識された白線の信頼度を低く設定してもよい。
【0048】
ただし、複数の取得値の信頼度が第2閾値よりも高く、且つ、複数の取得値がそれぞれ表す自車両50の状況が一致しない場合には、どの取得値を信頼してよいか判別できない。そこで、このような場合には、白線信頼度設定部17は、認識された白線の信頼度を予め決められている値(第1閾値よりも小さい値)まで低下させる。
【0049】
さらに、信頼度設定手段17は、状況取得装置20のそれぞれにより、白線を認識しにくい状況を表す取得値が、所定時間において所定割合よりも多く取得されたことを条件として、白線の信頼度を低下させるようにしてもよい。このようにすれば、状況取得装置20がノイズを瞬時的に取得した場合に、誤って白線の信頼度を低下させるおそれを抑制できる。
【0050】
さらに、白線信頼度設定部17は、前方カメラ21により撮影された画像の情報を用いて、取得値に基づいて設定した白線の信頼度を補正し、信頼度を再設定する。具体的には、自車両50の片側で複数の白線候補が検出された場合は、1つの白線候補が検出された場合よりも、白線を誤認識しやすい。そこで、白線信頼度設定部17は、自車両50の片側において、検出された白線候補が複数ある場合には、取得値に基づいて設定した白線の信頼度を低下させる。また、認識さえた白線が複合線の場合、単線の場合よりも誤認識しているおそれが高い。そこで、白線信頼度設定部17は、認識された白線が複合線の場合に、取得値に基づいて設定した白線の信頼度を低下させる。また、認識された白線の周辺に、白線に含まれないエッジ点が多数抽出されている場合、白線を誤認識しているおそれがある。そこで、認識された白線の周辺に所定数よりも多いエッジ点が抽出された場合に、取得値に基づいて設定した白線の信頼度を低下させる。
【0051】
また、白線の曲率や曲率変化率が大きい場所では、白線を誤認識しやすい。そこで、白線信頼度設定部17は、認識された白線から算出された曲率が第3所定値よりも大きい場合、及び算出された曲率変化率が第4所定値よりも大きい場合の少なくとも一方の場合に、取得値に基づいて設定した白線の信頼度を低下させる。
【0052】
さらに、白線信頼度設定部17は、その他の場合にも、取得値に基づいて設定した白線の信頼度を低下させてもよい。例えば、認識された白線の認識距離が所定距離よりも短い場合、認識された白線の実線部分に対する破線部分の割合が所定割合よりも小さい場合、認識された白線のコントラストが所定値よりも低い場合、路面の色が薄い場合(例えばコンクリートの路面)などである。
【0053】
走行支援部(走行支援手段)18は、逸脱警報部18a及び走行制御部18bを含み、自車両50の走行支援を行う。具体的には、白線信頼度設定部17により設定された信頼度が第1閾値よりも低い場合は、逸脱警報部18aが走行支援を行い、設定された信頼度が第1閾値よりも高い場合は、走行制御部18bが走行支援を行う。
【0054】
逸脱警報部18aは、認識された白線と自車両50との横方向の距離が所定距離以下となったときや、自車両50が認識された白線を超えたときに、スピーカ61による警告音又は警告メッセージの出力や、表示装置62による警告メッセージの出力を行う。走行制御部18bは、自車両50が認識された白線によって区画される車線内を走行するように、電動パワーステアリング63及び電子制御式ブレーキ64を作動させる。走行制御部18bは、検出された車速及びヨーレートから、電動パワーステアリング63及び電子制御式ブレーキ64の制御量を算出する。
【0055】
なお、白線信頼度設定部17により設定された信頼度が第3閾値よりも低い場合は、走行支援を行わないようにしてもよい。第3閾値は、第1閾値よりも小さい値である。
【0056】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0057】
・状況取得装置20のそれぞれに取得された各取得値に基づいて、認識された白線の信頼度が設定される。よって、白線の信頼度の設定に、前方カメラ21以外の状況取得装置20により取得された取得値を用いるため、適切な信頼度を設定することができる。信頼度が第1閾値よりも高い場合は、認識された白線に基づいて車両の走行制御が行われ、信頼度が第1閾値よりも低い場合は、認識された白線に基づいて走行車線からの逸脱警報が行われる。すなわち、適切に設定された信頼度に基づいて、走行制御又は逸脱警報が行われるため、適切な走行支援の機会を増加させることができる。よって、認識した白線を適切に利用することができる。
【0058】
・認識された白線の周辺に立体物が存在する場合は、立体物の周辺における白線の信頼度が低下される。すなわち、走行区画線を認識しにくい状況下では、認識された白線の信頼度が低下される。これにより、白線に適切な信頼度を設定し、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0059】
・地図上において自車両50の前方に横断歩道がある場合は、横断歩道の周辺における白線の信頼度が低下される。これにより、白線に適切な信頼度を設定し、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0060】
・市街地の道路は、障害物が多いため白線を誤認識するおそれがある。そこで、市街地の道路を走行中の場合は、白線の信頼度が低下される。これにより、白線に適切な信頼度を設定し、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0061】
・駐車場は、路面に様々な線や文字等が描かれているため、白線を誤認識するおそれがある。そこで、駐車場を走行中の場合は、白線の信頼度が低下される。これにより、白線に適切な信頼度を設定し、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0062】
・認識された白線が延びる方向と、検出された他車両の移動方向との差が所定角度よりも大きい場合は、白線の信頼度が低下される。これにより、白線に適切な信頼度を設定し、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0063】
・自車両50のピッチ角が第1角度よりも大きい場合、及び自車両50のロール角が第2角度よりも大きい場合の少なくとも一方の場合は、白線の信頼度が低下される。これにより、白線に適切な信頼度を設定し、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0064】
・逆光、夜間、降雨、降霧、雪道、砂漠の場合は、前方カメラ21で撮影された画像から白線を認識しにくく、誤認識するおそれがある。そこで、自車両の周辺の環境条件が、前方カメラ21に対して逆光、夜間、降雨、降霧、雪道、砂漠である場合に、白線の信頼度が低下される。これにより、白線に適切な信頼度を設定し、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0065】
・自車両50の両側の白線から算出されたピッチ角と、角度センサ37により検出されたピッチ角との差分が第3角度よりも大きい場合は、白線の信頼度が低下される。これにより、白線に適切な信頼度を設定し、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0066】
・自車両50の片側の白線のみが認識される場合は、角度センサ37により検出されたピッチ角が算出したピッチ角とされる。これにより、曲率等の推定精度を向上させることができる。
【0067】
・認識された白線が分岐路であると判定され、且つ検出された車線の勾配が所定勾配よりも大きい場合は、分岐路判定の信頼度が低下される。これにより、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0068】
・認識された白線から算出された曲率が第1所定値よりも大きい場合、及び算出された曲率変化率が第2所定値よりも大きい場合の少なくとも一方の場合で、且つ認識された白線の周辺に立体物が位置する場合は、白線の信頼度が低下される。これにより白線に適切な信頼度を設定し、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0069】
・複数の状況取得装置20により取得された取得値の信頼度がそれぞれ第2閾値よりも高いにも関わらず、複数の取得値がそれぞれ表す自車両50の状況が一致しない場合は、どの取得値を信頼してよいか判別できない。よって、このような異常時には、認識された白線の信頼度が低下される。これにより、異常時には安全側に制御できる。
【0070】
・取得値に基づいて設定された白線の信頼度を、更に画像の情報を用いて補正することにより、白線により適切な信頼度を設定できる。
【0071】
・前方カメラ21により撮影された画像から検出された白線候補が複数ある場合は、白線の信頼度が低下される。これにより、白線に適切な信頼度を設定し、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0072】
・認識された白線が複合線の場合は、白線の信頼度が低下される。これにより、白線に適切な信頼度を設定し、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0073】
・認識された白線から算出された曲率が第3所定値よりも大きい場合、及び算出された曲率変化率が第4所定値よりも大きい場合の少なくとも一方の場合は、白線の信頼度が低下される。これにより、白線に適切な信頼度を設定し、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0074】
・認識された白線の周辺に所定数よりも多いエッジ点が抽出されている場合は、白線の信頼度が低下される。これにより、白線に適切な信頼度を設定し、認識した白線の誤った利用を抑制できる。
【0075】
・自車両50周辺の地図情報を用いることにより、横断歩道等の白線を誤認識しやすい場所の位置や、道路が白線を誤認識しやすい形状となっている位置を正確に取得できる。
【0076】
(他の実施形態)
・表示装置62に、認識した白線を表示させるようにしてもよい。このとき、認識した白線を、設定された信頼度が第1閾値よりも高い部分と、第1閾値よりも低い部分とに区別して、表示装置62に表示させてもよい。これにより、ドライバは、認識された白線の信頼度が低い場所を把握し、その場所では他の場所よりも注意することができる。よって、認識した白線を適切に利用することができる。
【0077】
・状況取得装置20は、少なくとも1つの前方カメラ21以外のセンサ又は装置を含んでいればよく、上記実施形態に係る状況取得装置20に含まれるものに限らない。
【0078】
・状況取得装置20により、白線を認識しにくい状況を表す取得値が、所定時間において所定割合よりも多く取得されたことを条件として、白線の信頼度を低下させるようにすれば、状況取得装置20がノイズを瞬時的に取得した場合に、誤って白線の信頼度を低下させるおそれを抑制できる。
【符号の説明】
【0079】
10…ECU、20…状況取得装置、21…前方カメラ、40…白線認識システム。