(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液体供給源は、前記内側ルーメンへと液体を供給するために、前記細長い本体に連結された注射器を含む請求項1から3のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
前記細長い本体の前記内側ルーメンを介して少なくとも部分的に脱気された液体を供給する段階の前に、センサにより、前記少なくとも部分的に脱気された液体内の気体の量を決定する段階を更に備える
請求項16から21のいずれか一項に記載の作動方法。
前記少なくとも部分的に脱気された液体に含まれる前記1又は複数の気体の前記量を決定する段階は、前記少なくとも部分的に脱気された液体を、前記細長い本体の前記内側ルーメンへと供給する段階の前に起こる
請求項23に記載の作動方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に開示される構造、機能、製造および装置ならびに方法の使用の原理の理解を提供するべく、特定の実施形態の例が記載される。これらの実施形態のうちの1以上の例が、添付の図面に示されている。当業者であれば、本明細書に具体的に記載されるおよび添付の図面に例示される装置および方法は、実施形態の非制限的な例であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ規定されることが理解できる。1つの実施形態の例に関連して図示されるまたは説明される特徴を、別の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。このような改良および変形についても、本発明の範囲に含まれることを意図している。
【0018】
"1つの(a, an)"という言葉は、本願で使用されている"1以上の(one or more)"という言葉と等価である。"備える(comprising)"、"有する(having)"、"含む(including)"および"含まれる(containing)"という言葉は、そうでないと記載されてない限り、制約がない言葉(すなわちこれらに限定されないが、これらを含むという意味)として解釈される。数値および範囲に対して使用されている"約(about)"および"略(approximately)"という言葉は、要素の組成、部分又は集合体が本明細書に記載する意図した目的の機能を達成可能な好適な数値的許容差を示す。このような言葉は、概して、中央値に対して±10%の変動を意味する。本明細書で"連結される(coupled)"と記載される構成要素は、直接連結されている、または、1以上の介在物を介して間接的に連結されていることを指す。本明細書に列挙される数値範囲は、そうでないと明記されない限り、範囲に含まれる別個の値を個別に示すのを簡潔にする方法としての記載であり、範囲に含まれる個別の値が、あたかも個別に列挙されたように明細書に組み込まれる。また、直線的な態様または円形の態様が、開示される装置、システムおよび方法で使用される限りでは、このような態様は、装置、システムおよび方法と関連して使用される形状の種類を制限することを意図していない。当業者であれば、このような直線的なおよび円形の態様に等価な構成を、任意の幾何学的形状に対して容易に決定できる。
【0019】
特に指定されない限り、本明細書に記載される全ての方法を任意の順番で実行することが可能である。任意のおよびすべての例または例を表す言葉(例えば、等(such as))は、本発明の理解を容易にすることのみを目的としており、特許請求の範囲に記載されていない限り、本発明の範囲を限定しているものではない。本明細書の如何なる言葉も、任意の特許請求の範囲に記載されていない構成要素が本発明を実施するのに必要な要素であるとの解釈されるべきでない。さらに、本明細書中で任意の実施形態に関連して使用されている"生理食塩水(saline)"という言葉は、そうでないと明確に記載されていない限り、別の液体と区別するための"生理食塩水"に実施形態を限定しているわけではない。その他の液体も同様に使用可能である。また、"ガス抜き(degas)"または"脱気(degassing)"という言葉が使用されるが、これらは、1種類以上の気体の少量を液体から取り除くこと、または、1種類以上の気体の全てを液体から取り除くことを含む、任意の量の脱気を意味する。
【0020】
[流体補助アブレーションシステム]
本発明は概して、流体補助アブレーション装置および処置で使用される脱気された液体に関する。流体補助アブレーションは、上記したように、組織に液体を通過させると同時に、アブレーション要素から治療的エネルギーを組織に伝達することとして定義される。治療的エネルギーを組織に伝達させることにより、組織に異常高熱を発生させ、最終的には、壊死させる。このように高温に加熱することによる選択的組織破壊を利用して、腫瘍、類線維腫、不整脈(例えば、心室頻拍等)およびその他の疾患を含む様々な症状を治療することができる。
【0021】
生理食塩水促進ラジオ波(Saline Enhanced Radio Frequency:SERF(登録商標)アブレーション)アブレーション技術のような、流体補助アブレーションについては、米国特許第6,328,735号広報に記載されており、参照により本明細書に組み込まれるが、本特許文献では、アブレーションエネルギーによって治療的温度に加熱される液体を組織に供給する。加熱された液体を供給することにより、処置を行う組織の細胞外空間を液体が流れて、熱伝導率が20倍以上向上することから、アブレーション術を強化させることができる。加熱された液体により、アブレーションエネルギー源からの熱エネルギーが目的の組織へ移動する。加えて、液体が治療的温度にまで加熱されることによって、組織に与えることができるエネルギーの量が増加する。以下に説明するように、液体を少なくとも部分的に脱気して、液体適用の効率を向上させることができる。そして、この液体によって組織に常に潤いが与えられるため、組織が焦げつきインピーダンスが上昇するのを防ぐことができる。
【0022】
図1には、液体アブレーションシステム100の一例が示されている。システムは、組織の標的体積に挿入できるように構成された細長い本体102を備える。細長い本体は、目的の組織の形状に従って、様々な形状及びサイズを有してもよい。さらに、細長い本体の特定のサイズを、治療を行う組織の種類及び位置、治療を行う組織の体積の大きさ等、様々な因子に応じて決定することができる。一例として、ある実施形態では、細長い本体は、約16ゲージから約18ゲージの間(すなわち、外径が約1.27ミリから約1.65ミリの間)、(例えば、
図2に示すように)長さLが略25cmの薄肉ステンレススチール針であってもよい。細長い本体102は、装置を標的体積部分に挿入するのを容易にするために組織を穿刺するための先の尖った遠位端104を有してもよいが、別の実施形態では、尖っていない先端部部を有してもよく、先端部を様々な形状に形成することができる。細長い本体102は、本体の長さ方向に沿って電気エネルギーを、本体の遠位部分に沿って設けられる1以上のアブレーション要素に伝達させる導電材料から形成されてもよい。放射電極105は、細長い本体からRFエネルギーを伝達することができるアブレーション要素の一例である。
【0023】
ある実施形態では、放射電極105は、細長い本体102の一部分であってもよい。例えば、放射電極105として機能する部分を除いた、細長い本体102の長さ全体に絶縁材料を被覆させることができる。より詳細には、一実施形態では、細長い本体102を、1.5ミル(mil)の厚みにフッ素重合体Xylan(登録商標)8840で被覆してもよい。電極105は、様々な長さ及び形状を有することができる。一実施形態では、電極105は、周辺組織に対して露出する管状の細長い本体の4mmの部分であってもよい。また、電極105は、細長い本体105の長さ方向のいずれの位置に設けられてもよい(さらに、細長い本体の長さ方向に沿って1以上の電極が設けられてもよい)。一実施形態では、電極は、遠位端104に隣接して設けられてもよい。別の実施形態では、細長い本体を、絶縁材料から形成することができ、電極を、細長い本体の周りまたは細長い本体の複数の部分の間に設けることができる。
【0024】
別の実施形態では、電流を導電するのに好適なその他の様々な材料で電極を形成することができる。任意の金属または金属塩を使用してもよい。ステンレススチール以外の金属の例として、プラチナ、金または銀が挙げられ、金属塩の例として、銀/塩化銀が挙げられる。一実施形態では、電極を銀/塩化銀で形成してもよい。金属電極では、周辺組織および/または液体電位からの電位差を前提としている。この電位差を利用して電流を流すと、電極/組織の境界面においてエネルギー散逸が発生するが、これは、電極付近の組織の過剰加熱を増幅させる可能性がある。銀/塩化銀のような金属塩を使用する1つの利点は、高い交換電流密度を有することである。その結果、小さな電圧降下で大きな電流を電極を介して組織に通電させることができ、境界面におけるエネルギー散逸を最小限にすることができる。このように、銀/塩化銀のような金属塩から形成される電極により、組織の境界面で生成される過剰エネルギーを低減させることができ、その結果、電極の周辺に液体が流れていなくても、望ましい治療的温度プロファイルを得ることができる。
【0025】
電極105またはその他のアブレーション要素は、細長い本体102に延在する内側ルーメン(内腔)106から液体を(矢印109で示すように)周辺組織へと供給するように構成された1以上の流出孔108を有してもよい。これに替えて、電極105は、細長い本体102に形成された1以上の流出孔108の近くに配置されてもよい。多くの実施形態では、処置の際に液体を流す効果を最大にするべく、電極を1以上の流出孔108に隣接させて配置することが望ましい。流出孔108を、様々なサイズ、数およびパターン構成に形成することができる。また、細長い本体102に対して様々な方向に液体を導くように流出孔108を構成することができる。方向は、
図1の矢印109に示される法線方向(すなわち、細長い本体面に対して垂直な方向)、および、細長い本体の周りに円形のまたは渦状の液体の流れを形成するような様々な方向を含む、細長い本体102の長手方向の軸に沿った近位方向にまたは遠位方向が含まれる。ある実施形態では、細長い本体102は、流出孔として機能する開口遠位端を有するように形成されてもよい。一例として、一実施形態では、放電加工機(EDM)を使用して、直径約0.4mmの24個の等間隔に配置された流出孔108を、電極105の外周部分に形成してもよい。当業者であれば、流出孔108の形成に更なる製造方法が利用可能であることが理解できる。また、ある実施形態では、流出孔を、電極自体に設けるのではなく、細長い本体の電極に隣接る部分に沿って設けてもよい。
【0026】
流出孔108と連通する内側ルーメン106はさらに、加熱アセンブリ110を収容してもよく、加熱アセンブリは、液体が組織に供給される直前に、内側ルーメン106を通過する液体を加熱する。電極105またはその他のアブレーション要素から離れた場所に位置する細長い本体の部分は、電極105の遠位端において内側ルーメン106が終端するように、強固な構成又は充填された構成であってもよい。一実施形態では、細長い本体の電極から離れた部分の内部体積が、エポキシドで充填されたプラスチックプラグで埋められてもよい、または、締まりばめされてもよい。別の実施形態では、細長い本体の電極から離れた部分を、強固な金属から形成して、細長い本体の電極に近接した部分に、溶接、かしめまたはその他の周知の技術を使用して接続させてもよい。
【0027】
液体タンク112から液体を内側ルーメン106および加熱アセンブリ110へと供給することができる。以下に詳細に説明するように、液体は少なくとも部分的に脱気されてもよい。ある実施形態では、システムの液体タンクに液体が導入される前に脱気を行ってもよいし、
図1に示すような別の実施形態では、液体を脱気するための装置119をシステムに組み込んでもよく、これについては以下に詳細に説明する。液体タンク112および設けられている場合には脱気装置119は、流体管114を介して内側ルーメン106と接続されてもよく、流体管114は、例えば、可撓性プラスチックチューブであってもよい。あるいは、流体管114は可撓性を有さない固いチューブ、または、可撓性部分および硬い部分が組み合わされたチューブであってもよい。
【0028】
液体は、ポンプ116によって、液体タンク112から、設けられている場合には脱気装置119へと送られた後、内側ルーメン106へと押し出されてもよい。ポンプ116は、プランジャ(図示せず)が前進すると一定量の流れが生成される注射器(シリンジ)型のポンプであってもよい。このようなポンプの一例として、米国、イリノイ州シカゴのCole‐Palmer社が販売するモデル74900が挙げられる。ダイアフラムポンプのようなその他の種類のポンプを採用してもよい。
【0029】
ポンプ116および/または設けられている場合には脱気装置119を、電源およびコントローラ118によって制御可能である。電源およびコントローラ118から、ポンプ116および/または設けられている場合には脱気装置119に、電気制御信号を送信し、液体の所望の流量をポンプによって生成させる。電源および制御装置118は、電気接続120を介してポンプ116と接続されてもよい。電源および制御装置118は、接続122を介して細長い本体102と電気的に接続され、接続126を介して集電極124と接続されてもよい。さらに、電源および制御装置118を、同様な電気接続を介して加熱アセンブリ110、設けられている場合には脱気装置119、および/または、液体中の気体の量または割合のような液体の1以上のパラメータを特定するセンサ(図示せず)のうちの1以上に接続することができる。ポンプ116、電源並びに制御装置118、脱気装置119およびその他の構成要素は、液体を少なくとも部分的に脱気し、処置を行う場所に液体を供給するための制御ユニットとみなすこともできる。
【0030】
集電極124は様々な形態を有することができる。例えば、集電極124は、患者の体の外側に配置される大きな電極であってもよい。別の実施形態では、集電極124は、細長い本体102に沿って別の部分に設けられる、または、患者の体の処置部分に導入される第2の細長い本体に設けられる、対極板であってもよい。
【0031】
動作時には、電源およびコントローラ118によって、所望の流量の液体の目的の組織への供給、液体の所望の治療的温度への加熱、および、電極105のような1以上のアブレーション要素を介した治療的アブレーションエネルギーの伝達が駆動される。そのためには、電源およびコントローラ118自体が、必要な電気制御信号および治療的エネルギー信号を生成、調整および伝達するための複数の構成要素を備えてもよい。例えば、電源およびコントローラ118は、所与の振幅および周波数を有する1以上のRF信号を生成する1以上の周波数発生器を備えてもよい。1以上のRF電力増幅器によって、例えば、1アンペアで50ボルトといった、相対的に高電圧高電流信号になるように、このような信号を増幅してもよい。増幅されたRF信号が、1以上の電気接続122および細長い本体102を介してアブレーション要素へと供給されて、RFエネルギーが放射電極105と患者の体から離れて配置されてもよい集電極124との間で受け渡される。細長い本体が非導電性材料で形成されている実施形態では、1以上の電気接続122を、細長い本体の内側ルーメンにまたは細長い本体の外面に沿って延在させて、電流を放射電極105に供給することができる。アブレーション要素と集電極124との間をRFエネルギーが通過することにより、組織が有する電気抵抗によって、細長い本体102を囲む組織の部分が過熱される。電源およびコントローラ118はまた、1以上のRF信号の一部分を、例えば、電力モニタに供給して、RF信号電力を所望の処置レベルに調整することを可能とするべく、方向性結合器を備えてもよい。
【0032】
図1に示す細長い本体102は、様々な態様で患者の体に挿入可能となるような形態であってもよい。
図2には、遠位端に設けられた細長い本体202を備える医療機器200の一実施形態が示されており、本体は、組織の目的範囲に直接挿入されるように構成されているまたは腹腔鏡として構成されている。細長い本体202に加えて、医療機器200は、オペレータが装置を操作可能とするハンドル204を備えてもよい。ハンドル204は、細長い本体の様々な構成要素(例えば、加熱アセンブリおよびアブレーション要素205)を、例えば、上述した電源並びにコントローラ118、および、設けられている場合には脱気装置119に接続する1以上の電気接続206を有してもよい。ハンドル204はまた、液体供給源を医療機器200に接続するための少なくとも1つの流体管208を有してもよい。
【0033】
医療機器200は、流体補助アブレーションで使用可能な医療機器の実施形態の一例であり、その他の医療機器を採用することができる。例えば、心室頻拍のような不整脈の治療には、非常に小さな細長い本体が必要となる。このような場合、適切なサイズの細長い本体を、例えば、カテーテルの遠位端に設けて、循環系を介して心臓に挿入する。一実施形態では、約20ゲージから約25ゲージ(すなわち、外径が約0.5ミリから約0.9ミリ)のステンレススチール製の針を、カテーテルの遠位端に設けてもよい。カテーテルは、様々なサイズを有することができるが、ある実施形態では、約120cmの長さおよび8フレンチ("フレンチ(French)"とは、カテーテルの分野で使用されているカテーテルのサイズを示す測定単位であり、3倍するとミリ単位のカテーテルの直径が得られる)の直径を有することができる。
【0034】
[流体補助アブレーションを使用した治療]
アブレーションは一般的に、組織を選択的に壊死させるおよび/または除去するべく、高温または低温を印加することを伴う。アブレーションで達成される組織の熱的破壊には、時間−温度関係が存在することが知られている。組織に不可逆的な熱損傷を与える閾値温度は、一般的に、約41℃とされている。また、41℃を上回って処置温度が増加するにしたがって、特定のレベルの細胞の壊死を達成するのに必要な時間が減少することが知られている。正確な時間−温度関係は、細胞の種類によって異なるが、所望の熱照射量レベルを決定するのに使用可能な、多くの細胞種に共通の一般的な関係が存在することも知られている。この関係は、43℃における等価時間(equivalent time)と一般的に称されており、次のように表される。
【数1】
ここで、Tは組織の温度であり、Rは0から5の間の治療効率を示す単位をもたないインジケータ(典型的には、43℃以上の温度では2であり、41℃を下回る温度では0であり、41℃から43℃の間の温度では4である)であり、これらについては、Sapareto S.A.およびW.C. Dewey, Int. J. Rad. One. Biol. Phys. 10(6):787- 800 (1984)に記載されている。この式およびパラメータセットは、熱照射量を計算するのに使用される数多くの周知の方法のうちの1つが示されているに過ぎず、本発明の方法および装置に任意の方法を使用することができる。組織を破壊するのに必要な熱照射量は組織の種類に依存するが、上記の式(1)を使用すると、t
eq,43℃=20分から1時間の熱照射量が一般的に治療に用いられることが計算できる。以上のように、治療的温度とは、41℃を越える温度を指すが、最終的に組織に伝達される熱照射量および治療的効果は、温度の時間的履歴(すなわち、組織にこれまで印加された加熱量)、加熱される組織の種類、および、式(1)によって決定される。例えば、Nath, S. and Haines, D. E., Prog. Card. Dis. 37(4): 185-205 (1995) (Nath et al.)は、50℃の温度で1分間の治療を提案しており、これは、43℃で128分、R=2と等価である。また、効率を最大にするには、治療温度を処置を行う組織全体にわたって均一にして、熱照射量が均一に伝達されるようにする必要がある。
【0035】
図3には、電極105のようなアブレーション要素からの所定の距離において達成される温度のシミュレーション結果によって表される、幾つかのアブレーション技術の性能プロファイルが示されている。第1プロファイル302は、液体促進を使用しないRFアブレーションの性能が例示されている。図に示すように、組織の温度は、電極から離れるに従って急速に下がっている。アブレーション要素から10ミリメートルの距離ですでに、組織の温度が略体温になっており(37℃)、治療温度である50℃よりもかなり低い温度になっている。そして、アブレーション要素に近接した場所では、温度が非常に高く、これは、組織が早く脱水および乾燥して焦げてしまうことを意味する。一旦組織が焦げてしまうと、組織のインピーダンスが大幅に上昇し、アブレーション要素から離れた場所に位置する組織にエネルギーを伝達することが難しくなる。
【0036】
第2組織温度プロファイル304は、米国特許第5,431,649号に記載されたシステムと同様な第2の従来技術に関する。第2のシステムでは、電極が組織に挿入されて、組織を加熱するべく400kHzのRFで電流を約525mAで流す。同時に、体温(37℃)の生理食塩水を、10ml/分の流量で組織注入する。これにより、組織温度プロファイル304は、プロファイル302よりも均一となっているが、最高温度は略50℃に達している。したがって、温度プロファイル304では、組織の非常に小さな部分の1分間の施術を基準として規定されている、一般的に許容される組織損傷温度閾値を越えている。上記したように、小さな温度上昇で、有意な治療結果を達成するための治療時間が大幅に長くなる。
【0037】
第3組織温度プロファイル306は、本発明の技術を使用して得られる。図示した実施形態では、銀/塩化銀から形成された電極を、組織内に挿入し、480kHzのRF電流を525mA流して組織を加熱する。同時に、50℃に加熱された生理食塩水を流量10ml/分で組織に注入する。得られる温度プロファイル306は、均一であり、電極から15ミリメートル離れた場所になるまで、治療的閾値温度が50℃を越えている。さらに、この体積内では温度が均一であることから、伝達される熱照射量もこの体積内で均一となる。
【0038】
図3に示す均一な温度プロファイルは、アブレーションエネルギーを印加する間に、標的組織に加熱された液体を導入することにより達成される。液体によって熱が組織の奥深くに伝達されるので、プロファイル302に示すような、アブレーション要素付近に発生する組織の焦げ付きおよびインピーダンスの変化を低減させることができる。さらに、液体が治療レベルに加熱されるので、プロファイル304に示すように液体は周辺組織の温度を引き下げるヒートシンクのように機能することがない。したがって、RFエネルギーを印加すると同時に加熱された生理食塩水を組織にかん流させることにより、電極付近の組織が乾燥および/または気化することを防ぐことができ、RFエネルギーで加熱される組織内の熱伝導性を向上させることができる。その結果、例えば、41℃を越える温度である治療温度にまで加熱可能な組織の全体積が、大きくなる。実験の結果、例えば、本明細書に記載する流体補助アブレーション技術を使用すると、略8cmの直径を有する組織の体積(すなわち、156cm
3の球状体積)を、5分間で処置可能であることが分かった。これに対して、従来のRFでは、同じ5分間の時間で、略3cmの直径を有する体積(すなわち、14cm
3の球状体積)しか処置できない。
【0039】
さらに、本発明に係る流体補助アブレーション装置は、処置を行う組織に応じた、治療プロファイルの形状を調整するために変更可能な多数のパラメータを有する。例えば、SERFアブレーション技術を使用する場合、オペレータ又は制御システムは、温度プロファイル306を調整するのに、生理食塩水の温度(例えば、約40℃から約80℃)、生理食塩水の流量(例えば、約0ml/分から約20ml/分)、RF信号出力(例えば、約0Wから約100W)、処置時間(例えば、約0分から約10分)等のパラメータを変更することができる。また、治療を変更するのに、様々な電極構成を使用することができる。例えば、
図1に例示された放射電極105は、単極電流フローに適した連続シリンダ状帯に配置されているが、電極を、例えば、連続的な表面積を形成する球状または螺旋形のようなその他の配置に形成することができる、または、電極は複数の別個の部分を有してもよい。1つの電極(または、1つの電極の一部分)がカソードとして機能し、別の電極(または別の部分)がアノードとして機能するバイポーラオペレーション用に、電極が構成されてもよい。
【0040】
SERFアブレーション技術で使用されるのに望ましい液体は、殺菌された生理食塩水(食塩を含有する溶液として定義される)である。しかしながら、リンゲル液または濃縮生理食塩水その他の液体を使用することができる。目的の組織に適用された場合に所望の治療的および物理的特性を提供するような液体を選択でき、組織を感染から守る目的から無菌液が推奨される。液体に溶解されている1種類以上の気体を少なくとも部分的に液体から取り除くことにより、液体が所定の圧力および混合比の1種類以上の気体を含むようにして、液体を改善させることができる。ある実施形態では、所定の圧力および混合比は、複数種類の気体の1以上の所定値よりも低い値であってもよい。以下に、主に、流体補助アブレーション術に関して使用される液体の脱気のための装置および方法について説明がなされる。
【0041】
[液体の脱気]
多くの場合、液体は、ある条件の下で、気泡の形で溶液から発生する1種類以上の溶解された気体を含んでいる。液体に溶解されている典型的な気体の例としては、酸素、窒素、二酸化炭素および大気中に存在するその他の気体が挙げられる。所定の温度および圧力において、溶液中の特定の気体を保持する液体の能力に応じて、溶解された状態の気体が溶液から気化する。これは、特定の温度において、特定の種類に溶解されている特定の気体の量および液体の量は、液体と平衡状態にある気体の分圧に比例するというヘンリーの法則に従って発生する。すなわち、液体中に溶解可能な気体の量は、液体の温度、液体を囲む環境中の気体の圧力、および、液体の種類並びに量に依存する。例えば、水および生理食塩水は共に、液体の温度が上昇すると、液体中に保持可能な気体の量が減少する。溶液中の気体分子の運動エネルギーが増加すると、気体分子が容易に液体から脱出できるようになり、溶解度が下がる。
【0042】
流体補助アブレーションでは、液体が組織に供給される直前に液体が加熱される。加熱されることによって、溶解された気体の溶解度が下がり、1種類以上の気体が溶液から気泡の形で出現する。気泡は、例えば、ルーメンの内部で発生し、流出孔108を出て、細長い本体102を囲む組織に入る。さらに、放射電極105からの熱によって、細長い本体の外側でも気泡が発生する。アブレーション術の間に発生した気体は、処置を行う場所に供給される液体の効果および制御に対して悪影響を与える可能性がある。これは主に、液体自体は非圧縮性であるのに対して、液体中に形成される気泡が圧縮性であることが原因である。この気体の圧縮性またはコンプライアンスは、流体補助アブレーションシステムにとっては望ましくない。例えば、ポンプは、液体が満たされたシリンジ内でプランジャを特定の速さで前進させることにより、特定の流量を発生させるように設計されている。流路に非圧縮性の液体のみが収容されている限りにおいて、組織の生理的変化によって生じる背圧の変化またはアブレーション術による液体の抵抗の変化にかかわらず、流量が一定に保たれる。しかしながら、液体が圧縮性の気泡を含む場合、組織からの背圧が増加すると、圧力の変化が少なくとも部分的に気泡の圧縮性によって吸収されてしまい、流量を変更してしまう可能性がある。したがって、流体補助アブレーション術で使用される液体のコンプライアンスを可能な限り低減するべきである。例えば、液体中に溶解した気体の少なくとも一部を取り除くことによって低減可能である。溶解した気体を液体から取り除くことによって、溶液から気化する温度を上げることができ、ひいては、液体が使用される流体補助アブレーションシステムのコンプライアンスを下げることができる。脱気された液体を使用することにより、流体補助アブレーションシステムの効率、再現性および全体的な信頼性を向上させることができる。
【0043】
様々な方法で、液体から気体を取り除くことができ、幾つかについて以下に詳細に記載する。様々な方法には、1以上の化学物質を使用した脱気、液体の沸騰、液体の真空への暴露、および、所望の気体濃度を有する気体に液体を暴露することが含まれる。このような液体から気体を取り除く方法は、液体中のほぼ全ての気体を取り除くことに適用できるが、ある実施形態では、液体中に一定量の気体を残すことが望ましい。例えば、液体中に一定レベルの酸素又は一定レベルの二酸化炭素を維持することが望ましい。非制限的な例として、一実施形態では、液体を、酸素(O
2)の分圧が、約20水銀柱ミリメートルから約40水銀柱ミリメートルの範囲に脱気することが望ましい。このレベルの酸素が存在すれば、流体補助アブレーションで処置される組織の完全な酸素欠乏を防ぐことができる。したがって、本発明の装置および方法は、液体が所定の濃度の特定の気体を含むように、液体を少なくとも部分的に脱気するのに使用される。ある実施形態では、これは、特定の気体の所定の分圧を下回るように液体を脱気することによって達成できる。所定の分圧は、ユーザが所望に設定することができる。
【0044】
液体内に溶解された気体と結合するまたは反応する1以上の化学物質を液体に添加することにより、化学的脱気を実行することができる。1種類以上の気体を液体から取り除くように、化学物質を調合または構成することができる。当業者であれば、液体中に含まれる1種類以上の気体を標的として取り除くことができる様々な化学物質または化学物質群を認識している。例えば、亜硫酸アンモニウムのような還元剤を液体に添加することにより、液体から選択的に酸素を取り除くことができる。
【0045】
沸騰による液体の脱気は、1種類以上の気体を除去させるような温度以上になるまで液体を所定の時間加熱することにより行われる。液体が加熱されると、溶液中に気体を保持する能力が低下し、それによって、液体内の気体を溶液の外に気化させ、システムから拡散させることができる。一例として、所望の塩分濃度を有する脱気された生理食塩水は、希釈生理食塩水から開始して(例えば、水で希釈された生理食塩水)、希釈生理食塩水を、残りの液体が所望の塩分濃度を有するまで沸騰させることによって生成することができる。
【0046】
液体を沸騰させることは、液体中に含まれるすべての種類の気体を一部取り除くのに有効である。しかしながら、液体を加熱する方法では、液体内の全ての種類の気体に作用することから、特定の気体のみを排出させるのは難しい。しかしながら、同じ温度でも、異なる種類の気体を異なる割合で消散させることができる。したがって、液体の加熱を選択的に制御することにより、液体から特定の気体の排除を少なくとも部分的に狙うことができる。少なくとも所望の気体濃度割合および液体が加熱される温度に応じて、液体を所定の時間加熱または沸騰させることができる。ある実施形態では、液体を約30分間、沸点まで加熱することができる。
【0047】
液体を脱気する別の方法として、液体を真空源に暴露する、すなわち、液体に真空を印加する方法が挙げられる。沸騰する方法と同様に、真空を液体に印加することは、液体中に含まれるすべての種類の気体を一部取り除くのに有効である。液体に真空を印加する装置の例を以下に詳細に説明するが、このような装置には、物質交換器(mass exchanger)のような装置が含まれ、真空源は、通常、液体を囲む大気の圧力を低下させることにより、液体から気体を引き出すことができ、平衡力により溶液から気体を外に出すことができる。例えば、液体をチャンバ内に配置して、真空源をチャンバに連結し、真空源がチャンバ内の液体に真空を印加できるように構成する。少なくとも一部、所望の気体のパーセント濃度および液体に印加される真空力に応じて、液体を任意の期間真空に暴露することができるが、ある実施形態では、液体を少なくとも約8時間真空に暴露することができる。液体を真空に暴露すると同時に液体を撹拌することによってキャビテーションを発生させる、または、真空に接触する液体の表面積を大きくすることによって、このプロセスを加速させることが可能である。
【0048】
液体を脱気させる更なる別の方法として、液体を、所望の気体濃度を有する気体を含有する1以上のガス源に暴露する、すなわち、1種類以上の気体を液体に印加することが挙げられる。これは、真空(または、ネガティブ)ガス源を採用して溶液から気体を引き出す上記の真空に暴露する方法の変形であるといえる。液体を、一定期間、特定の濃度の気体に晒すことにより、液体がガス源と平衡になるように働き、液体中の気体の割合が、ガス源に存在する気体の割合に近づき、最終的には等しくなる。物質交換器を含む、気体を液体に印加する装置の例については、以下に詳細に記載する。ある実施形態では、液体をチャンバ内に配置し、ガス源をチャンバに連結して、ガス源がチャンバと流体接続されてもよい。液体がチャンバ内に存在し、それに気体が印加されると、チャンバが換気されて、液体から出た余剰な気体が外に排出される。さらに、液体、および/または、液体に印加される気体を、撹拌して、平衡化プロセスの速度を上げてもよい。当業者であれば、様々な撹拌手段をシステムに付加できることが理解でき、例えば、液体のチャンバおよびガスチャンバのうちの一方または両方に、回転力を印加することができる。
【0049】
液体に印加されるガス源は、所定の濃度の1種類の気体または複数の種類の気体の組み合わせを特定の分圧で含んでもよい。液体内の1種類以上の気体の所望の濃度を達成するべく、複数のガス源を同時に液体に印加してもよいし、連続して印加してもよい。少なくとも部分的に、液体内の所望の気体濃度および印加される気体の気体濃度に応じて、任意の時間、液体をガス源の1以上に晒すことができる。例えば、ある実施形態では、約20水銀柱ミリメートルから約40水銀柱ミリメートルの間の酸素分圧を含む気体に、液体を晒すことができる。上記したように、液体をこのような気体に晒すと、液体が、約20水銀柱ミリメートルから約40水銀柱ミリメートルの間の酸素分圧になるまで、液体の平衡化過程が発生する。別のガス源も同様に利用することができる、または、所定の濃度を有し複数の種類の気体の混合を含む1つのガス源を利用することができる。例えば、ある実施形態では、液体のpHを維持できることから、酸素だけでなく二酸化炭素も含むガス源をを利用するのが望ましい。このような一実施形態では、約35水銀柱ミリメートルから約40水銀柱ミリメートルの間の分圧を有する二酸化炭素を含むガス源を利用できる。
【0050】
[アブレーションプロセスにおける脱気]
流体補助アブレーション術に関して、液体の脱気を複数回行うことができる。ある実施形態では、液体を液体タンクに供給する前に、液体の脱気を行うことができる。このような実施形態では、液体を脱気した後で、液体タンクに液体を供給する。液体タンクに導入される前に脱気された液体は、密閉容器に密閉された、溶液中に気体が再び入り込むのを防ぐ。これに替えて、液体タンク内に液体を配置した状態で脱気を行うことができる。ある実施形態では、少なくとも部分的に脱気された液体を収容する液体タンクを、消毒された容器に配置することができる、および/または、滅菌パッケージに予めパッケージ化することができる。そして、容器を、流体補助アブレーションシステムに連結することができる。例えば、脱気を行った液体を、注射器内に封入して、液体アブレーション術システムでの使用のために予めパッケージ化されていてもよい。このような実施形態では、液体中の気体濃度を測定するためのセンサが提供されてもよい。密封された液体タンク内の気体濃度を測定することで、密封が完全であり、気体が液体中の溶液に再び入り込んでいないかを確かにすることができるので望ましい。センサの例については、以下に詳細に説明する。
【0051】
これに替えて、
図1に示すように、液体の脱気を行う装置を、流体補助アブレーション術システムに設けることができる。液体タンク112から、液体が脱気装置119に供給され、脱気装置119は、本明細書に記載された方法またはその他の脱気方法を使用して、装置を流れる液体の脱気を行うことができる。そして、液体は、管114を流れて、アブレーションで使用されるべく細長い本体102に入る。別の実施形態では、脱気装置119を液体タンク112の上流側に配置することができ、最初の供給源(図示せず)から供給された液体が、脱気のために脱気装置119を通過し、その後で、上記したような処置を行う場所の近くで使用されるべく液体タンク112に格納される。液体の脱気で使用される装置の実施形態の例について、以下に詳細に説明する。
【0052】
[生理食塩水脱気の効果]
図4には、脱気が行われていない生理食塩水("通常の食塩水"と示されている)および少なくとも部分的に脱気された生理食塩水を使用した場合の性能プロファイルが示されている。
図4に示す結果で使用された、脱気された生理食塩水は、600mlの通常の生理食塩水および200mlの純粋を一緒に、30分間沸騰させて得られたものである。残りの生理食塩水が600mlになるまで沸騰が続けられた。温められた状態の生理食塩水を、フラスコに封入して冷却した。このようにすることで、部分的に真空が形成され、脱気されたばかりの生理食塩水に大気が再び溶解してしまうのを防ぐことができる。上記のようにして生成された600mlの生理食塩水で測定された溶解してる酸素のレベルは、略1mg/Lであった。常温および常圧で平衡状態の同様な生理食塩水は、典型的には、略8mg/Lの溶解した酸素を含む。
【0053】
グラフには、生理食塩水およびRF出力レベルの様々な処置設定における、異なる濃度で気体が溶解した2つの生理食塩水を使用した場合に処置可能であった病変部分の直径が示されている。2つの異なる気体濃度を有する生理食塩水は、10ml/分の流量で流され、実験はそれぞれ5回ずつ繰り返された。グラフには、様々な温度および出力レベルにおける病変部の平均直径および標準偏差が示されている。グラフに示すように、脱気された生理食塩水では、様々な温度および出力レベルにわたって、大きな直径の病変部の処置を可能としていることが分かる。RF出力レベルが大きくなるおよび/または生理食塩水の温度が高くなると、いずれの状況でも液体中に含まれる気体が気化しやすくなるが、脱気された生理食塩水と通常の生理食塩水との間の、処置可能な病変部のサイズの違いが大きくなる。脱気された生理食塩水の方が、より大きな病変部を処置可能であり、処置可能なサイズの変動も少ない。したがって、流体補助アブレーション術において少なくとも部分的に脱気された生理食塩水を用いることにより、処置の信頼性および効果を向上させることができ、特に、高出力レベルおよび温度においてその効果が顕著となる。
【0054】
[液体を脱気する装置]
様々方法によって液体を脱気できるのと同様に、様々な装置を使用して液体の脱気を行うことができる。このような装置の例として、液体が配置された容器またはチャンバを備え、上記したような脱気方法を直接液体に適用する装置(例えば、化学物質、真空または気体をチャンバに適用する、および/または、上記したようにチャンバを加熱する)、または、物質交換器のようなより精巧な装置を使用することができる。物質交換器の一例として、CD Medical社が製造するCell-Pharm(登録商標)Hollow-Fiber Oxygenatorが挙げられる。液体を脱気するのに使用される装置310の一実施形態の例が、
図5から
図7に示されている。
【0055】
図5から
図7に示される装置310は、気体透過可能であり、実質的に液体を通さない複数のチューブ330を有する物質交換器である。装置310は、処理される(すなわち、液体から少なくとも部分的に気体が取り除かれる)液体を受け取る流入口312、処置済の液体を流出させるための流出口314、および、その間に配置された処理チャンバ316を備えてもよい。処理チャンバ316は、液体が流入口312からチューブ330に入り、流出口314から出るように、流入口312および流出口314と流体接続する1以上のチューブ330を有してもよい。図示した実施形態では、チューブ330はその端部が、近位ディスク320および遠位ディスク322に配置される。近位ディスク320は、液体が処理チャンバ316を流れるのをブロックして、流入口312から入った液体のみをチューブ330を通過させてチャンバ316に流すようにする。同様に、遠位ディスク322は、チューブ330を介して処理チャンバ316を横断した液体が、逆流してチャンバ316に戻るのを防いでいる。
【0056】
1以上のガス排出口または孔340、342が、チャンバ316の一部を構成していてもよい。ガス孔340、342により、真空源350(
図6)またはガス源360(
図7)のような様々な構成要素を処理チャンバ316に接続することができ、構成要素350、360は、処理チャンバ316と流体接続される。ガス源350、360を以下に説明するように操作して、液体を少なくとも部分的に脱気する。チューブ330を流れる液体の所望の処理に基づいて、ガス孔340、342を選択的に開閉できる。ある実施形態では、装置310を流れる液体の少なくとも1つのパラメータを決定するためのセンサ370を、流出口314にまたはその近くに設けることができる。センサ370は、複数のパラメータを測定可能に構成することができるが、ある実施形態では、センサ370は、流出口314を通過する液体の気体濃度を測定するように構成される。
【0057】
処理チャンバ316が配置される装置310筐体318は、液体が流れると同時に、液体に溶解している気体の少なくとも一部を除去可能なような、任意の形状および大きさを有する。図に示すように、筐体318は、多くの場合、シリンダ形状を有しており、複数のチューブ330をその内部に空間的に配置可能な大きさを有する。筐体318は、図に示すように、筐体318の近位端318pおよび遠位端318dの近くに設けられた流入口312および流出314よりも大きくてもよい、または、流入口および/または流出口と同じ若しくは小さな外径を有してもよい。流入口312および流出口314は、任意の同様なサイズおよび形状を有してもよく、図に示すように、多くの場合シリンダ形状を有し、液体が内部を流れることが可能な大きさを有する。当業者であれば、このような構成要素の大きさは、液体搬送システムにおける装置の位置に依存して変化することが理解できる。
【0058】
処置チャンバ316内に配置される1以上のチューブ330は、気体を透過させるが、実質的に液体は透過させない。したがって、チューブ330に入った液体はチューブ330を流れるが、特定の環境下が処置チャンバ316内に生成された場合(例えば、真空またはその他のガス源を印加することにより)、液体中の気体はチューブ330から抜け出て消散する。気体を透過させるが実質的に液体は透過させないような壁を形成するのに使用可能な材料は多く存在するが、例えば、W.L. Gore & Associates, Inc社から入手可能な細孔性ポリエチレン繊維または発砲ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。チューブ330を様々な大きさおよび形状に形成可能であるが、多くの場合、図に示すように、チューブ330は細長く、処理チャンバ316の全長にわたって延在し、ほぼ円筒形状を有する。以下に詳細に説明するように、複数のチューブ330の間に空間を設けて、チューブ330を流れる液体から除去された気体が、処理チャンバ316に散逸され、さらには、ガス孔340およびガス孔342のうちの一方から排出されるようにしてもよい。任意の数のチューブ330を使用することができ、チューブを流れる液体の流量は、チューブ330の数および直径に少なくとも部分的に依存する。
【0059】
処理チャンバ316と流入口312および流出口314とを分離するように、ディスク320、322を構成してもよい。この場合、流入口312から入った液体は、ほぼ、チューブ330を通過して処理チャンバ316のみを流れて、流入口312を介して液体がチャンバ316に入ることがほぼない、または、流出口314付近のチャンバ316部分に逆流することがない。したがって、ディスク320、322の直径を、筐体318の近位端318pおよび遠位端318dにおける筐体318の内径にほぼ等しくしてもよい。さらに、チューブ330の端部と、チューブ330が配置されてもよいディスク320、322との間の接続は、液体がチューブ330と対応するディスク320、322との間のチャンバ316にほぼ流れ込むことがないように、流体密封される。ディスク320、322を形成するのに様々な材料を使用することができるが、一実施形態例では、ディスク320、322の形成にエポキシを使用する。
【0060】
ガス孔340、342は、近位ディスク320と遠位ディスク322との間の処理チャンバ316に真空またはガスを印加できるように構成される。したがって、ガス孔340、342は、処理チャンバ316と流体接続されてもよい。
図5に示す実施形態では、ガス孔340、342が開口部であるが、一実施形態では、
図6に示すように、真空源350をガス孔340、342のうちの一方に接続して、他方の孔を閉じて、処理チャンバ316内に真空が形成されるようにしてもよい。処理チャンバ316に真空を印加すると、チューブ330を通過する液体から気体を引き出すことができ、チューブ330の気体透過可能な壁を介して処理チャンバ316内へと気体を排出できる。上記したように、真空源350を印加して、チューブ330を通過する液体中の所望の気体パーセント濃度を生成することができる。
【0061】
孔340、342を使用した別の例が
図7に示されており、ガス源360を、ガス孔340、342のうちの一方に連結して、他方を解放状態としてもよい。ガス源360は、所望の濃度レベルの1種類以上の特定の気体を有することができる。気体が処理チャンバ316に供給されると、チャンバ316内のガスおよび液体内の気体の間の平衡化プロセスが開始される。液体からの過剰な気体が液体から出て、チューブ330の気体透過可能壁を介して、チャンバ316内に散逸される。システムは平衡化を続け、過剰な気体が解放されたガス孔342から排出されて、チューブ330およびチャンバ316内を流れる液体中の気体のパーセント濃度がほぼ均一となる。上記したように、何種類かの気体を、同時に又は連続して供給して、液体中の気体の様々なパーセント濃度を達成することができる。
【0062】
装置310の遠位端に設けらるセンサ370は、任意の数であってもよく、システムの任意の数のパラメータを測定してもよい。一実施形態の例では、センサ370は、流出口314に近接して位置する液体中の気体パーセント濃度を測定する。例えば、センサ370は、酸素センサである。図には、センサ370が筐体318の遠位端318dに設けられているが、別の実施形態では、1以上のセンサ370を、装置310の別の位置またはシステムの別の位置に配置することができる。
【0063】
装置310の様々な構成要素について、形状およびサイズの例が示されているが、当業者であれば、装置310のサイズおよび形状、並びに、その構成要素は、少なくとも、別の構成要素のサイズおよび形状を含む複数の因子に応じて、異なることが理解できる。例えば、流体補助アブレーション術システムで使用される脱気装置310の構成要素のサイズは、流体補助アブレーション術システムの別の構成要素を基準として決定されてもよい。一方、液体タンクと流体補助アブレーション術システムとを連結する前に液体を脱気するのに使用される脱気装置310の構成要素のサイズは、流体補助アブレーション術システムの別の構成要素のサイズを考慮する必要がないことから、より大きなサイズであってもよい。
【0064】
[アブレーションシステムへの組み込み]
流体補助アブレーションシステムとは別に液体の脱気を行う実施形態では、脱気装置119がシステムとは分離するように設けられ、システムは
図1を参照して上記で説明したような態様で動作可能である。本明細書に記載されたようなまたは周知の数多くの態様で液体の脱気を行うことができ、処置を行う場所の近くに脱気した液体を供給するべく、流体補助アブレーションシステムに液体が供給されるまたは連結される。流体補助アブレーションシステムの一部として、液体の脱気が行われる実施形態では、システムは、
図1を参照して説明したのと同様な態様で動作可能である。脱気装置310または等価な装置を、
図1の脱気119装置として設けることができる。この場合、ポンプ116によって液体タンク112から液体が押し出されて、脱気装置310の流入口312へと入る。液体は、チューブ330を介して処理チャンバ316を横断して流出口314へと入る。液体がチューブ330を通過して流れると、真空源および/または別のガス源が提供する力のような、脱気力が液体に印加されて、チューブ330内の液体から選択的に気体を取り除くことができる。流出口から出た液体は、ポンプ116によって管114へと送られて、処置を行う場所の近くへと供給される。
【0065】
[使用方法]
本明細書に開示される装置およびシステムの様々な実施形態を、数多くの医学的状態を扱う様々な外科的手術で使用することができる。例えば、本明細書に開示した医療機器を、観血手術において、直接、組織の標的体積に挿入するように構成することができる。これに替えて、本明細書に開示した医療機器を、内視鏡施術またはその他の低侵襲手術で、組織の1以上の層を通過させるように、構成することができる。さらに、装置を、組織の1以上の層に形成されたアクセス孔若しくはその他の開口部、または自然孔をを介して(すなわち、内視鏡的に)、患者に挿入できるように構成することができる。採用した装置によっては、
図2に示すように細長い本体を直接挿入することによって、または、細長い本体を含むカテーテルを、例えば、患者の循環系を介して処置を行う患部に到達させてもよい。処置を行う患部に装置を到達させた後、手術器具の一部分、例えば、細長い本体102の遠位端を、アブレーション要素が処置体積内に配置されるように、標的処置体積内に挿入させることができる。ある実施形態では、アブレーション要素を、処置体積の中央付近に位置させてもよい。
【0066】
装置および関係する温度センサが処置体積内に配置されると、液体を装置を介して処置体積に供給できる。上記したような少なくとも部分的に脱気された液体のような液体を治療的温度で上記したように供給するのに、本明細書に開示された加熱アセンブリを使用することができる。これに替えて、別の実施形態では、液体を最初に治療温度に加熱せずに供給してもよい。例えば、上記したような脱気装置を使用して組織の標的体積に供給される液体を必要に応じて脱気することができる(例えば、液体タンクから処置体積へと流れる間に)、または、液体タンクに収容される前に液体の脱気を行ってもよい。さらに、脱気の量を、例えば、アブレーション術の前に又は施術中に、センサを使用して検出してもよい。液体を処置体積に供給するのに加えて、1以上のアブレーション要素を起動して、RFエネルギーのような治療エネルギーを組織の処置体積に同時に供給してもよい。しかしながら、ある実施形態では、1以上のアブレーション要素を起動する必要はなく、細長い本体から治療温度に加熱された液体を供給することのみにより、処置を行うことができる。所定時間が経過した後に、または、1以上のフィードバック情報(例えば、処置体積内に配置された温度センサの値)に基づいて、アブレーション要素の駆動を停止させる、および、処置体積への液体の供給を止めてもよい。そして、装置を取り外す、および/または、更なる処置を行うために装置を別の位置に配置してもよい。
【0067】
その他の実施形態では、脱気された液体を、その他の種類のアブレーションプロセスで使用することができる。例えば、加熱されていない脱気された液体を、処置体積を貫通しないが接触するように構成された従来のシャワーヘッド型のアブレーション電極を介して供給することができる。加熱されていない液体を使用する場合であっても、アブレーション要素の付近で液体が熱に晒されることから、脱気された液体を使用することは有益である。
【0068】
[消毒および再使用]
本明細書に開示される装置は、一度の使用で廃棄されてもよいし、複数回使用できるように設計されていてもよい。いずれの場合であっても、少なくとも一度使用した後に、再使用のために調整を行うことができる。調整では、装置を分解し、特定の部品の清掃または交換を行い、再び組み立てを行う段階の任意の組み合わせを含むことができる。詳細には、装置を分解して、装置の任意の数の特定のピース又はパーツを選択的に交換または取り外す、または、その両方を行ってもよい。特定のパーツを清掃および/または交換するした後、装置を再び組み立てて、再生工場に送ってもよいし、または、手術が行われる直前に外科チームによって組み立てが行われてもよい。当業者であれば、装置の調整には、分解、清掃/交換、および、再組み立てを行う様々な技術を使用可能であることが理解できる。このような技術の使用、および、調整が行われた装置についても、本発明の範囲に含まれる。
【0069】
例えば、本明細書に記載される手術器具を、部分的にまたは完全に分解することができる。詳細には、
図2に示す医療機器200の細長い本体202を、ハンドル204から取り外すしてもよく、または、ハンドルおよび細長い本体のアセンブリを、電気接続および流体接続206、208から外してもよい。別の実施形態では、ハンドル、細長い本体および接続を、例えば、
図1に示す液体タンク、ポンプ電源およびコントローラを収容する筐体と取り外し可能に連結してもよい。
【0070】
本明細書に記載された脱気装置も、部分的にまたは完全に分解することができる。詳細には、装置310と同様な脱気装置を流体補助アブレーションシステムから取り外して、例えば、装置にクリーニング液を通過させることにより、洗浄または消毒することができる。さらに、ある実施形態では、装置を、個々のチューブ330のように個々のパーツに分解して、取り外す、個別に洗浄するまたは交換してもよい。
【0071】
望ましくは、手術の前に、本明細書に記載される装置の加工を行ってもよい。まず最初に、新しいまたは再利用され機器を入手し、必要であれば、清掃を行う。そして、機器を消毒する。消毒を行う方法の一つとして、機器を、プラスチック製の袋またはタイベック(登録商標)のような袋である、閉じられたまたは封止された容器に配置する。容器および容器内に収容されたものを、ガンマ線、X線または高エネルギー電子線のような容器を貫通する放射場に配置する。放射によって、機器および容器内のバクテリアが死滅する。消毒された機器を、滅菌容器に収納することができる。封止された容器によって、それが医療施設で開封されるまで、機器を無菌状態に保つことができる。
【0072】
多くの実施形態において、装置が消毒されることが望ましい。消毒は、ベータ線またはガンマ線の放射、エチレンオキサイド、蒸気、および、浸漬(例えば、低温浸漬)を含む、当業者が周知の方法を使用して行うことができる。ある実施形態では、細長い本体のような装置の構成要素の形成に使用される材料の選択によっては、例えば、ガンマ線のような特定の消毒方法に対して耐久性を有さない場合がある。この場合、例えば、エチレンオキサイドのような別の好適な消毒方法を使用することができる。
【0073】
当業者であれば、上記の実施形態に基づいて、本発明の更なる特徴及び利点を理解できる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に示された事項を除いて、図面及び本明細書に特に記載された構成によって限定されない。また、本明細書で挙げられた文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の発明は、以下の項目に記載の形態によっても実施され得る。
[項目1]
細長い本体であって、上記細長い本体に隣接した組織塊内に液体を供給する内側ルーメンを有する細長い本体と、
上記細長い本体に隣接した上記組織塊を加熱するアブレーション要素と、
上記細長い本体から分離され、上記内側ルーメンを介して液体を供給するべく、上記内側ルーメンに流体接続する液体供給源であって、上記液体供給源は、上記液体が、所定の分圧よりも低い分圧を有する1又は複数の気体を収容するように、少なくとも部分的に脱気された一定量の液体を収容する、液体供給源と
を備えるアブレーションシステム。
[項目2]
上記液体供給源に連結され、上記液体供給源から上記細長い本体の上記内側ルーメンに液体を供給するポンプを更に備える項目1に記載のアブレーションシステム。
[項目3]
上記液体供給源に連結され、少なくとも部分的に上記液体を脱気する物質交換器を更に備える項目1又は2に記載のアブレーションシステム。
[項目4]
上記液体供給源は、上記内側ルーメンへと液体を供給するために、上記細長い本体に連結された注射器を含む項目1から3のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目5]
上記液体は、生理食塩水を含む項目1から4のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目6]
上記液体中の上記気体の量を測定するセンサを更に備える項目1から5の何れか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目7]
上記細長い本体の上記内側ルーメン内に配置され、上記細長い本体から供給される上記液体を加熱する加熱アセンブリを
更に備える項目1から6のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目8]
上記液体内に収容された酸素の分圧は、約20水銀柱ミリメートルから約40水銀柱ミリメートルの範囲内である
項目1から7のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目9]
上記細長い本体の少なくとも遠位部分は、上記組織塊内に挿入される
項目1から8のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目10]
上記細長い本体は、組織穿刺遠位端を含む
項目1から9のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目11]
上記組織穿刺遠位端は、先の尖った端である
項目10に記載のアブレーションシステム。
[項目12]
上記液体は、本質的に、標準の生理食塩水溶液からなる
項目1から11のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目13]
上記液体は、本質的に、濃縮された生理食塩水溶液からなる
項目1から11のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目14]
上記液体は、本質的に、リンゲル溶液からなる
項目1から11のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目15]
液体供給源と接続し、上記液体供給源からの液体を少なくとも部分的に脱気する物質交換器と、
細長い本体であって、上記細長い本体に隣接した組織塊内に上記液体を供給する細長い本体と、
上記細長い本体に隣接した上記組織塊を加熱するアブレーション要素と
を備えるアブレーションシステム。
[項目16]
上記物質交換器は、上記細長い本体の近位端に連結された制御ユニット内に配置され、
上記制御ユニットは、液体供給源から、上記物質交換器を通過して、上記細長い本体の内側ルーメン内に液体を供給するポンプを有する項目15に記載のアブレーションシステム。
[項目17]
上記物質交換器を流れた後の液体中の気体の量を測定するセンサを更に備える項目15又は16に記載のアブレーションシステム。
[項目18]
上記細長い本体から供給される上記液体を加熱する加熱アセンブリを
更に備える項目15から17のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目19]
上記加熱アセンブリによって加熱される前に、液体が少なくとも部分的に脱気されるように、上記物質交換器は上記加熱アセンブリの近傍に配置される項目18に記載のアブレーションシステム。
[項目20]
上記液体内に収容された酸素の分圧は、約20水銀柱ミリメートルから約40水銀柱ミリメートルの範囲内である
項目15から19のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目21]
上記細長い本体の少なくとも遠位部分は、上記組織塊内に挿入される
項目15から20のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目22]
上記細長い本体は、組織穿刺遠位端を含む
項目15から21のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目23]
上記組織穿刺遠位端は、先の尖った端である
項目22に記載のアブレーションシステム。
[項目24]
上記液体は、本質的に、標準の生理食塩水溶液からなる
項目15から23のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目25]
上記液体は、本質的に、濃縮された生理食塩水溶液からなる
項目15から23のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目26]
上記液体は、本質的に、リンゲル溶液からなる
項目15から23のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目27]
上記物質交換器は、複数の非同軸気体透過性導管及び非同軸液体非透過性導管を含む
項目15から26のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目28]
上記物質交換器は、上記物質交換器を流れる上記液体内の気体の量を調整するために、ガス源に連結する少なくとも1つの出口を含む
項目15から27のいずれか一項に記載のアブレーションシステム。
[項目29]
上記ガス源は、上記液体から気体を取り除く
ための真空源を含む項目28に記載のアブレーションシステム。
[項目30]
上記ガス源は、所定の圧力よりも低い圧力を有する1又は複数の気体の一定量を含む
項目28に記載のアブレーションシステム。
[項目31]
アブレーションシステムの作動方法であって、
液体供給源からの液体であって、所定の分圧よりも低い分圧を有する1又は複数の気体を上記液体が含むように、上記液体供給源内の上記液体が少なくとも部分的に脱気された上記液体を、細長い本体の側壁に形成された少なくとも1つの出口孔に供給する段階
を備える作動方法。
[項目32]
上記細長い本体の上記少なくとも1つの出口孔に液体を供給する段階は、上記細長い本体の内側ルーメンを通り、上記少なくとも1つの出口孔へ液体を押し出す段階を含む
項目31に記載の作動方法。
[項目33]
上記少なくとも1つの出口孔に上記液体を供給する段階の前に、上記所定の分圧よりも低い分圧でその中に収容された上記1又は複数の気体をもたらすために、少なくとも部分的に上記液体を脱気する段階を
更に備える項目31又は32に記載の作動方法。
[項目34]
上記液体を少なくとも部分的に脱気する段階は、上記細長い本体に上記液体を供給する段階の前に、物質交換器に上記液体を通過させる段階を含む
項目31から33のいずれか一項に記載の作動方法。
[項目35]
上記液体は、本質的に、標準の生理食塩水溶液からなる
項目31から34のいずれか一項に記載の作動方法。
[項目36]
上記液体は、本質的に、濃縮された生理食塩水溶液からなる
項目31から34のいずれか一項に記載の作動方法。
[項目37]
上記液体は、本質的に、リンゲル溶液からなる
項目31から34のいずれか一項に記載の作動方法。
[項目38]
上記少なくとも1つの出口孔に上記液体を供給する段階の前に、センサにより、上記液体内の少なくとも1つの気体の分圧を決定する段階を更に備える
項目31から37のいずれか一項に記載の作動方法。
[項目39]
アブレーションシステムの作動方法であって、
所定の分圧よりも低い分圧を有する1又は複数の気体を含むように、少なくとも部分的に脱気された液体を、細長い本体の内側ルーメンを介して供給する段階と、
上記少なくとも部分的に脱気された液体が、上記細長い本体内の少なくとも1つの出口孔を介して流れる段階の前に、上記内側ルーメンを介して流れ、上記少なくとも部分的に脱気された液体を加熱するための上記内側ルーメン内に配置された少なくとも1つの加熱アセンブリにエネルギーを供給する段階と、
上記少なくとも1つの加熱アセンブリにエネルギーを供給しながら同時に、アブレーション要素にエネルギーを供給する段階と
を備える作動方法。
[項目40]
上記内側ルーメンを介して上記少なくとも部分的に脱気された液体を供給する段階の前に、上記液体を少なくとも部分的に脱気する物質交換器を介して液体を供給するポンプをアクティブ化する段階を更に備え、
上記少なくとも部分的に脱気された液体は、上記物質交換器から上記細長い本体の上記内側ルーメンに流れる
項目39に記載の作動方法。
[項目41]
上記内側ルーメンを介して上記少なくとも部分的に脱気された液体を供給する段階は、上記少なくとも部分的に脱気された液体をタンクから上記内側ルーメンに供給するためのポンプをアクティブ化する段階を含む
項目39又は40に記載の作動方法。
[項目42]
上記液体は、本質的に、標準の生理食塩水溶液からなる
項目39から41のいずれか一項に記載の作動方法。
[項目43]
上記液体は、本質的に、濃縮された生理食塩水溶液からなる
項目39から41のいずれか一項に記載の作動方法。
[項目44]
上記液体は、本質的に、リンゲル溶液からなる
項目39から41のいずれか一項に記載の作動方法。
[項目45]
上記細長い本体の上記内側ルーメンを介して少なくとも部分的に脱気された液体を供給する段階の前に、センサにより、上記少なくとも部分的に脱気された液体内の気体の量を決定する段階を更に備える
項目39から44のいずれか一項に記載の作動方法。
[項目46]
流体補助アブレーション術用の少なくとも部分的に脱気された液体であって、
上記少なくとも部分的に脱気された液体は、脱気された生理食塩水を含む
液体。
[項目47]
1又は複数の化学物質を用いて脱気する段階と、
生理食塩水が残るまで、通常の生理食塩水の第1の体積及び純水の第2の体積を煮沸する段階を任意で含む、上記生理食塩水を煮沸する段階と、
上記生理食塩水を密閉し、上記生理食塩水を冷却する段階と、
上記生理食塩水を真空に曝露する段階と、
所望の気体濃度を有する気体に上記生理食塩水を曝露する段階と
により得られる
項目46に記載の液体。
[項目48]
殺菌された標準の生理食塩水溶液、リンゲル溶液、又は濃縮された生理食塩水溶液を含むこと、
約40度から約80℃までの範囲内の温度を有すること、及び
約0ml/minから約20ml/minまでの生理食塩水の流量を有すること
の少なくとも1つで構成される
項目46又は47に記載の液体。
[項目49]
項目1から30のいずれか一項に記載のアブレーションシステム内の流体補助アブレーション治療剤として利用するための項目46から48のいずれか一項に記載の液体。