(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の現像液組成物について、以下詳細に説明する。本発明の現像液組成物に用いる(A)アルカリ剤は、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤のいずれにもなることができる。また有機アルカリ剤と一緒に無機アルカリ剤を用いることもできる。本発明の現像液組成物のアルカリ剤としてどちらか一方のみを使用する場合には、強アルカリの無機アルカリ剤の使用は好ましくなく、有機アルカリ剤の使用が好ましい。アルカリ度の低い無機アルカリ剤であれば、単独で本発明の現像液組成物のアルカリ剤として用いることができる。
【0014】
本発明の現像液組成物に用いることができる有機アルカリ剤は、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、N−2−ヒドロキシエチレンジアミン、ベンジルアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2(2−アミノエトキシ)エタノール、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等が挙げられる。これらの有機アルカリ剤を2種以上組わせて用いてもよい。これらの中でもモノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2(2−アミノエトキシ)エタノールが好ましい。
【0015】
現像液組成物中の有機アルカリ剤の量は、現像液組成物の全質量に対して0.05〜90質量%が好ましい。アルカリ剤の量が0.05質量%未満の場合は、非画像部を十分に現像することができなくなるため好ましくない。また90質量%を超えると画像部の膜減りが大きくなるため好ましくない。有機アルカリ剤のさらに好ましい量は、現像液組成物の全質量に対して0.1〜50質量%であり、特に好ましい量は、1〜20質量%である。
【0016】
前述したように、強アルカリの無機アルカリ剤は好ましくないが、アルカリ度の低い無機アルカリ剤、例えば、第二リン酸ナトリウム(Na
2HPO
4)、第三リン酸ナトリウム(Na
3PO
4)などは、単独で、本発明の現像液組成物のアルカリ剤として用いることができる。
【0017】
また、無機アルカリ剤を有機アルカリ剤と一緒に用いても良く、無機アルカリ剤を有機アルカリ剤と一緒に用いる場合は、多くても現像液組成物の全質量に対して10質量%である。10質量%を超えると画像部の膜減りが大きくなるため好ましくない。有機アルカリ剤と一緒に用いることができる無機アルカリ剤は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0018】
本発明の現像液組成物に用いるもう一つの成分は、(B)下記一般式(I)で表される化合物である。(B)成分の化合物は、露光部の現像を促進すると共に、(C)元素の周期律表の第2族元素の金属塩と組合せて用いることにより、未露光部への現像液の浸透を抑制する効果がある。この効果は、特に、画像形成層成分が溶け込んだ使い込まれた現像液組成物の場合に、その効果が発揮される。(C)成分がない場合は、未露光部への現像液の浸透を抑制する効果は発揮されずに、露光部への現像促進効果のみを提供することが判った。
【0020】
上式中、R
1〜R
4は、各々独立してH、R
8OH、または−(AO)
a(BO)
bR
9を表す。AO、BOは、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基から選ばれる。ここでa、bは0から300までの整数を表すが、(a+b)≠0である。R
8は2価の連結基を表し、R
9はH、CH
3、COR
10、CONHR
11を表し、R
10及びR
11はアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
【0021】
R
10及びR
11によって表されるアルキル基としては、例えばCH
3−、CH
3CH
2−、CH
3(CH
2)
2−、CH
3(CH
2)
3−、CH
3(CH
2)
4−、(CH
3)
2CH(CH
2)
2−、CH
3CH
2CH(CH
3)−CH
2−、CH
3(CH
2)
2CH(CH
3)−、CH
3(CH
2)
7−、CH
3(CH
2)
8−、CH
3(CH
2)
10−、CH
3(CH
2)
12−、CH
3(CH
2)
14−、CH
3(CH
2)
16−、CH
3(CH
2)
18−、CH
3(CH
2)
20−、CH
3(CH
2)
22−、CH
3(CH
2)
24−などの炭素原子数1〜25の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。また、R
10及びR
11によって表されるアリ−ル基としては例えば、フェニル、
【0023】
などの単環又は2環のアリール基及びこれらに直鎖又は分岐のアルキル基で置換基を有するものが含まれる。
【0024】
また、R
10及びR
11によって表されるアルケニル基又はアルキニル基としては、例えばCH
2=CH(CH
2)
7−、CH
2CH
2CH=CH(CH
2)
7−、CH
3(CH
2)
5CH=CH−、CH
3(CH
2)
7CH=CH−CH
3(CH
2)
5CH(OH)CH
2CH
2CH=CH(CH
2)
7−、CH
3(CH
2)
10CH=CH(CH
2)
4−、CH
3(CH
2)
5CH=CH(CH
2)
9−、CH
3(CH
2)
4CH=CHCH
2CH=CH(CH
2)
7−、CH
3CH
2CH=CHCH
2CH=CHCH
2CH=CH(CH
2)
7−、CH
3(CH
2)
3(CH=CH)
3(CH
2)
7−、CH
3(CH
2)
8(CH=CH)
3(CH
2)
4CO(CH
2)
2−、CH
3(CH
2)
7C≡C(CH
2)
7−、CH
3(CH
2)
9CH=CH(CH
2)
7−などの炭素原子数9〜24のものが挙げられる。
【0025】
R
5、R
6は各々独立に2価の連結基を表し、同一であっても異なっていてもよい。R
5、R
6の例としては、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基があげられる。
【0026】
R
7は、上記R
1〜R
4において規定する基から選択することができる。又はR
7は、
下記一般式(II)
【0028】
(式中、R
3'は式(I)に規定したR
3と同じであり、
R
4'は式(I)に規定したR
4と同じであり、
R
5'は式(I)に規定したR
5と同じであり、
R
6'は式(I)に規定したR
6と同じであり、
R
7'は式(I)に規定したR
7と同じである。)
で表される置換基群から選択することができる。
【0029】
式(I)及び(II)中のnは0〜20の整数を表し、nが2以上の場合、R
7、R
7'は、それぞれ独立して選択することができる。
【0030】
一般式(I)で表される化合物は、具体的には、例えば、次式(I−1)で表される化合物である。
【0032】
上式中、R
1〜R
8は同一でも異なっていてもよく、H又はCH
3を示し、R
9〜R
12は同一でも異なっていてもよく、H、CH
3、COR
13、CONHR
14を示し、ここでR
13及びR
14はアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、aは2〜12の整数であり、b、c、d、e、f、g、h及びiは同一でも異なっていてもよく、0〜300の整数を示し、(b+f)(c+g)(d+h)(e+i)≠0である。
【0033】
上記一般式(I−1)で表される化合物のうち特に好ましいものは、R
1〜R
8がHまたはCH
3であり、末端が水酸基、即ちR
9、R
10、R
11、R
12が、全てHであり、平均分子量が280〜1100である化合物である。
【0034】
上記一般式(I−1)における、R
13及びR
14によって表される基は、式(I)のR
10及びR
11で記載した基の中から選ばれることができる。
【0035】
また、一般式(I)で表される化合物は、具体的には、次式(I−2)で表される化合物となることができる。
【0037】
上式中、R
1〜R
10は同一でも異なっていてもよく、H又はCH
3を示し、R
11〜R
15は同一でも異なっていてもよく、H、CH
3、COR
16、CONHR
17を示し、ここでR
16及びR
17はアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、a、bは2〜12の整数であり、c、d、e、f、g、h、i、j、k及びlは同一でも異なっていてもよく、0〜300の整数を示し、(c+h)(d+i)(e+j)(f+k)(g+l)≠0である。
【0038】
上記一般式(I−2)で表される化合物のうち特に好ましいものは、R
1〜R
10がHまたはCH
3であり、末端が水酸基、即ちR
11、R
12、R
13、R
14、R
15が、全てHであり、平均分子量が320〜1300である化合物である。
【0039】
上記一般式(I−1)における、R
16及びR
17によって表される基は、式(I)のR
10及びR
11で記載した基の中から選ばれることができる。
【0040】
一般式(I)で表される化合物の具体的な例としては、アデカポリエーテルEDP−300(株式会社ADEKA製、エチレンジアミンプロピレンオキサイド変性体:分子量300)、EDP−450(株式会社ADEKA製、エチレンジアミンプロピレンオキサイド変性体:分子量450)、アデカポリエーテルBM−34(株式会社ADEKA製、エチレンジアミンエチレンオキサイド変性体:分子量280)を挙げることができる。また、ジエチレントリアミンのプロピレンオキサイド変性体である、N,N,N',N'',N''−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、ジエチレントリアミンのエチレンオキサイド変性体、ジプロピレントリアミンのプロピレンオキサイド変性体、ジプロピレントリアミンのエチレンオキサイド変性体を挙げることができる。
【0041】
一般式(I)のnが4以上の化合物の例としては、プロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミン、トリエチレンテトラミンのプロピレンオキサイド変性体、テトラエチレンペンタミンのプロピレンオキサイド変性体を挙げることができる。
【0042】
例えば、ポリエチレンイミン(プロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミン、株式会社日本触媒製)は、以下の式で表される。
【化6】
【0043】
また、一般式(I)で表される化合物には、以下に示すような分岐構造を有する化合物を含むことができる。
【0046】
一般式(I)のnが21以上の化合物も用いることができるが、高粘度となり、変性種によっては水に対する溶解度が不十分になる場合があるので、一般式(I)のnが20までの化合物が本発明の現像組成物の使用には、好ましい。
【0047】
(B)成分の一般式(I)で表される化合物の使用量は、現像液組成物の全量に対して0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%である。(B)成分の使用量が0.001質量%未満であると、上記効果が得られず、また10質量%を超えると、他の成分との相溶性に影響を与えるので好ましくない。
【0048】
本発明の現像液組成物に用いるもう一つの成分は、(C)元素の周期律表の第2族元素の金属塩である。(C)成分の金属塩は、画像部への現像液の浸透を抑制することができる。第2族元素は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムである。本発明の現像組成物では、これらの元素を金属塩の形で用いる。具体的には、例えば、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、レブリン酸塩、マロン酸塩、アジピン酸塩又はフマル酸塩である。この中でも、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩が好ましく、特に好ましい金属塩は、塩化カルシウム、塩化マグネシウムである。
【0049】
第2族元素の金属塩の使用量は、現像液組成物の全量に対して0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜1質量%である。第2族元素の金属塩の使用量が5質量%を超えると、露光部の現像性が著しく低下するので好ましくない。
【0050】
本発明の現像液組成物に用いるもう一つの成分は、(D)カルボン酸又はその塩を有するポリマーである。(C)成分の金属イオンは、通常アルカリ性水溶液中では、空気中の二酸化炭素と結びついて炭酸塩として析出しやすい。カルボン酸又はその塩を有するポリマーを共存させることで、(C)成分の析出を抑え、アルカリ性の現像液中に安定して(C)成分を存在させることが可能になる。また、(D)成分は、現像液組成物に(C)成分を添加することにより遅くなった露光部への現像を促進させることができる。本発明の現像液組成物に用いることができるカルボン酸又はその塩を有するポリマーは、具体的には、次式(III)で表される構造単位を有する化合物である。
【0052】
上式中、Bは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は−R
a−COOX基を表し、ここでR
aは置換基を有してもよいアルキレン基を表し、Aは水素原子、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基又はその塩を表し、Xは水素原子、アルカリ金属原子、プロトン化有機アミン基又は4級アンモニウム基を表す。)
【0053】
本発明に用いることができるカルボン酸又はその塩を有するポリマーとして、例えば、ポリアクリル酸(塩)、ポリメタクリル酸(塩)、アクリル酸・マレイン酸共重合体(塩)、ポリイタコン酸(塩)、ポリマレイン酸(塩)、スチレン・アクリル酸共重合体(塩)等、酸基を含むモノマーのホモポリマー、又は他のモノマーとの共重合体を挙げることができる。また、式(III)中のAがカルバモイル基、アルコキシカルボニル基である例として、無水マレイン酸を有する(共)重合体を、アンモニア、アミン、アルコール類で変性させたポリマーを挙げることができる。これらの中でも、特に好ましいポリマーは、アクリル酸・マレイン酸共重合体ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムである。
【0054】
(D)カルボン酸又はその塩を有するポリマーの使用量は、現像液組成物の全量に対して0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。(D)カルボン酸又はその塩を有するポリマーの使用量が0.01質量%未満であると、上記効果が得られず、また20質量%を超えると、画像部へ現像液が浸透する傾向があり、膜減りを生じる場合があるので好ましくない。
【0055】
(C)元素の周期律表の第2族元素の金属塩と(D)カルボン酸又はその塩を有するポリマーは、(C)成分の金属イオンと(D)のカルボン酸のモル比率が、1:2〜1:40が好ましく、より好ましくは1:3〜1:20である。比率が1:2未満であると、非画像部の現像性が低下し、非画像部に現像残りを生じるため、また、現像液中で(C)の金属塩が炭酸塩のような不溶性物質として沈殿しやすくなるため、好ましくない。また、1:40を超えると、(C)成分の画像部への現像液の浸透を抑制する効果が薄れてしまい、画像部へ現像液が浸透して、膜減りを生じる場合があるので好ましくない。
【0056】
本発明の現像液組成物は、上記(A)〜(D)の必須の成分に加えて、界面活性剤、有機溶剤等を添加することができる。
【0057】
好ましい界面活性剤は、アルキルナフタレンスルホネートのアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホネートのアルカリ金属塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホネートのアルカリ金属塩、ジアルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩、典型的には6〜9個の炭素原子を有する脂肪族アルコールの硫酸モノエステルのアルカリ金属塩、典型的には6〜9個の炭素原子を有するスルホン酸のアルカリ金属塩を含む。好ましいアルカリ金属は、ナトリウムである。界面活性剤または界面活性剤の混合物は、典型的には現像液組成物の質量に基づいて約0.5質量%〜約15質量%、好ましくは現像液組成物の質量に基づいて約3質量%〜約8質量%を含む。当業者にはよく知られているように、多くの界面活性剤は、界面活性剤水溶液として供給される。これらのパーセントは現像液中の界面活性剤の量(すなわち、活性成分すなわち界面活性剤水溶液中の水およびその他の不活性材料を除いた成分の質量)に基づくものである。
【0058】
本発明の現像液組成物に添加することができる有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、エチレングリコールモノブチルアセテート、乳酸ブチル、レブリン酸ブチル、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、メチルフェニルカルビトール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール、キシレン、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、モノクロロベンゼン、2−フェノキシエタノール、メチルシクロヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールジブチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、n−ブチルエチルケトン、などが挙げられる。現像液組成物に有機溶媒を添加する場合の有機溶媒の添加量は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
【0059】
現像液組成物はまた、pHを比較的一定に保持する緩衝系を含むことができる。多くの緩衝系が当業者に知られている。典型的な緩衝系は、例えば;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、またはトリ−i−プロピルアミンのような水溶性アミンと、例えばベンゼンスルホン酸または4−トルエンスルホン酸のようなスルホン酸との組合せ;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)のテトラナトリウム塩とEDTAとの混合物;例えばモノアルカリホスフェート塩とトリアルキルホスフェート塩との混合物のようなホスフェート塩の混合物;アルカリボレートとホウ酸との混合物を含む。
【0060】
さらにまた、上記現像液組成物中には必要に応じて、亜硫酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸マグネシウム等の水溶性亜硫酸塩;アルカリ可溶性ピラゾロン化合物、アルカリ可溶性チオール化合物、メチルレゾルシン等のヒドロキシ芳香族化合物;ポリリン酸塩、アミノポリカルボン酸類等の硬水軟化剤や各種消泡剤を添加してもよい。
【0061】
本発明の現像液組成物は、高くても約12のpH、好ましくは、高くても約11のpHを有するものである。
【0062】
本発明の現像液組成物を用いて処理することができる平版印刷版前駆体について説明する。
【0063】
処理可能な平版印刷版前駆体は、基板上に下層を有し、下層上に上層を有している。下層及び上層は平版印刷版前駆体の画像形成層を構成している。基板と下層の間には必要に応じて中間層が形成されてもよいが、下層と上層との間には中間層が無いことが好ましい。基板の裏面には必要に応じてバックコート層が形成されていてもよい。
【0064】
<下層>
平版印刷版前駆体を構成する下層は、アルカリ性水溶液に可溶性又は分散性の樹脂を含む。アルカリ性水溶液に可溶性又は分散可能であるためには、前記樹脂が少なくとも、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、活性イミノ基、スルホンアミド基等の官能基を有することが好ましい。したがって、下層に用いる、アルカリ性水溶液に可溶性又は分散性の樹脂は、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、活性イミノ基、スルホンアミド基及びその組合せ等の官能基を有するエチレン性不飽和モノマーを1つ以上含むモノマー混合物を重合することによって好適に生成することができる。
【0065】
前記エチレン性不飽和モノマーは下式:
【化10】
【0066】
(式中、R
1は、水素原子、C
1-22の直鎖状、分枝状又は環状アルキル基、C
1-22の直鎖状、分枝状、又は環状置換アルキル基、C
6-24のアリール基又は置換アリール基であって、置換基はC
1-4アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ケト基、エステル基、アルコキシ基、又はシアノ基から選択され;Xは、O、S、及びNR
2であり、R
2は水素、C
1-22の直鎖状、分枝状又は環状アルキル基、C
1-22の直鎖状、分枝状又は環状置換アルキル基、C
6-24のアリール基又は置換アリール基であって、置換基はC
1-4アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ケト基、エステル基、アルコキシ基、又はシアノ基から選択され;Yは、単結合、或いは、C
1-22の直鎖状、分枝状又は環状アルキレン、アルキレンオキシアルキレン、ポリ(アルキレンオキシ)アルキレン、アルキレン−NHCONH−であり;Zは水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、−C
6H
4−SO
2NH
2、−C
6H
3−SO
2NH
2(−OH)、−OPO
3H
2、−PO
3H
2、又は下式
【0068】
で表される基である)
で表される化合物又はその混合物となることができる。
【0069】
前記エチレン性不飽和モノマーの例には、アクリル酸、メタクリル酸の他に、下式で表される化合物及びその混合物が含まれる。
【0073】
水不溶性かつアルカリ可溶性又は分散性樹脂の質量平均分子量は、20,000〜100,000の範囲が好ましい。水不溶性かつアルカリ可溶性又は分散性樹脂の質量平均分子量が20,000未満では、耐溶剤性や耐摩耗性が劣る傾向にある。一方、水不溶性かつアルカリ可溶性又は分散性樹脂の質量平均分子量が100,000を超えると、アルカリ現像性が劣る傾向にある。
【0074】
下層における、アルカリ性水溶液に可溶性又は分散性の樹脂の含有量は当該層の固形分に対して20〜95質量%の範囲が好ましい。アルカリ性水溶液に可溶性又は分散性の樹脂の含有量が20質量%未満では、耐薬品性の点で不都合であり、95質量%を超えると、露光スピードの点で好ましくない。また、必要に応じて、2種以上のアルカリ性水溶液に可溶性又は分散性の樹脂を併用してもよい。
【0075】
<上層>
平版印刷版前駆体を構成する上層は、アルカリ可溶性又は分散性樹脂を含む。上層に用いることができるアルカリ可溶性又は分散性樹脂は、カルボン酸又は酸無水物基を有する樹脂が好ましく、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物の一方、又は不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物の両方を含むモノマー混合物を重合して得られる共重合体、酸性水素原子を含む置換基を有するポリウレタン等が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等、不飽和カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸等を挙げることができる。共重合可能なエチレン性不飽和モノマー単位としては、前記のその他のエチレン性不飽和コモノマーを挙げることができる。
【0076】
<光熱変換物質>
前記下層及び上層の少なくとも一方に、光熱変換物質を含む。平版印刷前駆体の下層に光熱変換物質を含有し、上層には光熱変換物質を含有しない場合は、平版印刷前駆体をレーザーで画像書き込みすると、下層の光熱変換物質が、レーザーの光を熱に変換し、その熱が上層に伝達されることにより最上部層のアルカリ可溶性又は分散性樹脂の一部の分子構造が崩壊し、又は上層に孔を生じせしめ、現像液の下層への浸透を可能にすると考えられる。
【0077】
光熱変換物質とは電磁波を熱エネルギーに変換することのできる任意の材料を意味しており、最大吸収波長が近赤外線から赤外線領域にある材料、具体的には最大吸収波長が760nm〜1200nmの領域にある材料である。このような材料としては、例えば、種々の顔料または染料が挙げられる。
【0078】
顔料としては、市販の顔料、及び、カラーインデックス便覧「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)等に記載されている顔料が利用できる。顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、その他ポリマー結合顔料等が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染め付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
【0079】
染料としては、公知慣用のものが使用でき、例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編、1970刊)、「色材工学ハンドブック」(色材協会編、朝倉書店、1989年刊)、「工業用染料の技術と市場」(シーエムシー、1983年刊)、「化学便覧応用化学編」(日本化学会編、丸善書店、1986年刊)に記載されているものが挙げられる。より具体的には、アゾ染料、金属鎖塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、インジゴ染料、キノリン染料、ニトロ系染料、キサンテン系染料、チアジン系染料、アジン染料、オキサジン染料等の染料が挙げられる。
【0080】
また、近赤外線または赤外線を効率よく吸収する染料としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム染料、ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケルチオレート錯体)等の染料を用いることができる。中でも、シアニン染料が好ましく、特開2001−305722号公報の一般式(I)で示されたシアニン染料、特開2002−079772号の[0096]〜[0103]で示されている化合物を挙げることができる。
【0081】
光熱変換物質としては、特に、下記式:
【0084】
(式中、Phはフェニル基を表す)
を有する染料が好ましい。
【0085】
平版印刷版前駆体は、合紙剥離性向上や自動給版装置の版搬送性向上を目的に、最上部層中にマット剤を含有しても良く、或いは、最上部層上にマット層を設けても良い。
【0086】
<基板>
基板としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、ステンレス、鉄等の金属板;ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエチレン等のプラスチックフィルム;合成樹脂を溶融塗布あるいは合成樹脂溶液を塗布した紙、プラスチックフィルムに金属層を真空蒸着、ラミネート等の技術により設けた複合材料;その他印刷版の基板として使用されている材料が挙げられる。これらのうち、特にアルミニウム及びアルミニウムが被覆された複合基板の使用が好ましい。
【0087】
アルミニウム基板の表面は、保水性を高め、下層もしくは必要に応じて設けられる中間層との密着性を向上させる目的で表面処理されていることが望ましい。そのような表面処理としては、例えば、ブラシ研磨法、ボール研磨法、電解エッチング、化学的エッチング、液体ホーニング、サンドブラスト等の粗面化処理、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、特に電解エッチングの使用を含む粗面化処理が好ましい。
【実施例】
【0088】
本発明を以下の例に基づいて、さらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0089】
基板上に設けられる中間層用材料の合成
<ポリマー1>
ビニルホスホン酸/アクリルアミドコポリマー(モル比1:9)
攪拌器、コンデンサー、滴下装置を有する10リットルフラスコ中に、エタノール3500gを入れ70℃に加熱した。ビニルホスホン酸モノマー231.1g(2.14mol)とアクリルアミド1368.9g(19.26mol)、AIBN52gを、エタノール1000g中に溶解させ、この溶液を反応装置中に4時間かけて滴下した。モノマー溶液の滴下中、白色の沈殿が生成した。70℃に保温したまま、さらに2時間加熱攪拌を行った後、加熱を止め室温まで冷却した。沈殿した白色粉末を濾過により分離し、エタノール1000gで洗浄し乾燥した。
【0090】
基板作成
厚さ0.24mmのアルミニウム板を水酸化ナトリウム水溶液にて脱脂し、これを2%塩酸浴中で電解研磨処理して、中心平均粗さ(Ra)0.5μmの砂目板を得た。次いで、20%硫酸浴中、電流密度2A/dm
2で陽極酸化処理して、2.7g/m
2の酸化皮膜を形成し、水洗乾燥後アルミニウム基板を得た。このようにして得られた基板を、60℃に加熱したポリマー1の0.5g/L水溶液中に10秒間浸漬し、水洗乾燥した。このようにして平版印刷版前駆体用の基板を得た。
【0091】
二層型画像形成層用塗布液の調製
下層用塗布液の調製
以下の表1に示す、下層用塗布液を調製した。
【0092】
【表1】
【0093】
上層用塗布液の調製
表2に示す上層用塗布液を調製した。
【0094】
【表2】
【0095】
【化17】
【0096】
平版印刷版前駆体の作成
上記基板作成の方法で得られた基板上に、ロールコーターを用いて、表1で調製した下層用塗布液(B−1)をコーティングし、100℃で2分間乾燥して第1の画像形成層を得た。この時の乾燥塗膜量は1.5g/m
2であった。この第1の画像形成層の上に、表2で調製した上層用塗布液(T−1)を、ロールコーターを用いてコーティングし、100℃で2分間乾燥して二層型平版印刷前駆体を得た。メチルイソブチルケトンで、上層の画像形成層のみを剥離して、上層の画像形成層の乾燥塗膜量を求めた。この時の上層の画像形成層の乾燥塗膜量は0.5g/m
2であった。
さらに、上記で得られた二層型平版印刷前駆体の感光層表面上に、水分含有量2.5%、材質天然パルプ紙、厚さ70μm、重さ45g/m
2の保護材を供給し、樹脂製パレットの上に30枚堆積した。その後、側面および上面を特殊ポリオレフィンフィルムにて、空気が入らないように巻き、60℃、24時間のコンディショニング処理を行った。このようにして、二層型の平版印刷版前駆体Aを作製した。
【0097】
現像液の調製
以下に示す表3、4の組成に従って、種々の現像液を調製した。
現像液1は、(C)元素の周期律表の第2族に属する元素の金属塩として、塩化カルシウム2水和物、(D)カルボン酸又はその塩を有するポリマーとしてアクリル酸・マレイン酸共重合体(モル比40:60)のナトリウム塩(40%水溶液)、(B)一般式(I)で表される化合物としてアデカポリエーテルEDP−300をそれぞれ添加した。現像液2は、現像液1のアデカポリエーテルEDP−300をN,N,N’,N’’,N’’-ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミンに換えた以外は、現像液1と同じ組成で作製した。現像液3は、現像液1のアデカポリエーテルEDP−300を、エポミンPP−061に換えた以外は、現像液1と同じ組成で作製した。現像液4は、現像液1のアデカポリエーテルEDP−300を、アデカポリエーテルEDP−450に換えた以外は、現像液1と同じ組成で作製した。現像液5は、現像液1のアデカポリエーテルEDP−300を、アデカポリエーテルBM−34に換えた以外は、現像液1と同じ組成で作製した。 現像液6は、(C)成分の金属イオンと(D)のカルボン酸のモル比が、1:2.3となるように、現像液成分を調整した。現像液7は、(C)成分の金属イオンと(D)のカルボン酸のモル比が、1:18.8となるように、現像液成分を調整した。
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】
比較例用現像液として、表5に示す組成で現像液8〜14を調製した。
【0101】
【表5】
【0102】
発明例用現像液及び比較例用現像液中のこれらの3種類の成分の添加、非添加の一覧を表6に示す。
【0103】
【表6】
【0104】
同様に比較例用現像液15〜17として、表7に示す組成で現像液を調製した。現像液15は、現像液1の塩化カルシウムを塩化ナトリウムに換えた以外は、現像液1と同じ組成で作製した。現像液16は、現像液1のアクリル酸・マレイン酸共重合体(モル比40:60)のナトリウム塩(40%水溶液)を、カルボン酸を含まない水溶性樹脂であるデキストリンND−Sに換えた以外は、現像液1と同じ組成で作製した。現像液17は、現像液1のアデカポリエーテルEDP−300を、グリセリンのプロピレンオキサイド変性体であるアデカポリエーテルC−300に換えた以外は、現像液1と同じ組成で作製した。
【0105】
【表7】
【0106】
(C)の金属イオンと(D)のカルボン酸のモル比率の本発明の効果に与える影響を調べるために、以下の実験を行った。
(C)の金属イオンと(D)のカルボン酸のモル比率を変えて、同様に発明例用現像液18〜19として、表8に示す組成で現像液を作製した。現像液18は、現像液6の成分と同じであるが、(C)の金属イオンと(D)のカルボン酸のモル比率が、1:1.5となるように、現像液組成を作製した。現像液19は、現像液7の成分と同じであるが、(C)の金属イオンと(D)のカルボン酸のモル比率が、1:45.1となるように、現像液組成を作製した。
【0107】
【表8】
【0108】
画像形成
作製した二層型平版印刷版前駆体Aについて、プレートセッターPT−R4300(大日本スクリーン製造株式会社製)を用いて150mJ/cm
2で露光した。現像処理は自動現像機P−940X(コダック株式会社製)、および表4で得られた現像液を水で4倍希釈した現像液を用いて、30℃15秒にて行った。その後、フィニッシングガムPF2(コダック株式会社製)でガム引きを行った。さらに、2.5倍に希釈した現像液を、平版印刷版前駆体A1m
2処理当たり20mlずつ補充しながら、連続で2000m
2の平版印刷版前駆体Aの現像処理を行った。
【0109】
結果
得られた結果を表9に示す。
平版印刷版前駆体A、0m
2処理時、500m
2処理時、1000m
2処理時、2000m
2処理時の、平版印刷版前駆体Aの非画像部の現像性及び画像部の膜減りを観察した。
非画像部の現像性は、25倍ルーペで非画像部を観察し、画像形成層の現像残りの有無を評価した。以下の基準を用いて評価した。
○:十分に現像され、非画像部に画像記録層の残存は認められない。
△:非画像部上に若干画像記録層の残存が認められる。
×:非画像部上に現像不良が認められ、画像記録層が残存している。
【0110】
膜減りは、現像前後の膜面濃度を濃度計(x−rite)で光学濃度(OD)を測定し、残存率(=現像後OD/現像前OD)により判断した。以下の基準を用いて評価した。
○:残存率95%以上
△:残存率90%以上95%未満
×:残存率90%未満
【0111】
また、2000m
2の平版印刷版前駆体Aの現像処理終了後、電源を切り、12時間静置後に現像液槽から現像液を抜き、現像液槽底のスラッジの有無を観察した。
【0112】
【表9】
【0113】
現像液成分として、(C)元素の周期律表の2族に属する元素、(B)一般式(I)で表される化合物、(D)カルボン酸等を有するポリマーを全て含み、かつ(C)金属イオンと(D)のカルボン酸のモル比率が1:2〜1:40の範囲内の現像液1〜7を用いて、平版印刷版前駆体Aの現像処理を行った発明例1〜7については、処理面積が増大しても、非画像部は十分に現像され、かつ画像部の膜減りも残存率95%以上の状態を保っていた。また、2000m
2処理終了後、現像液槽の底にスラッジの堆積はなく、現像液槽の洗浄は容易であった。
【0114】
現像液8は、(B)一般式(I)で表される化合物、(D)カルボン酸等を有するポリマーを添加し、(C)元素の周期律表の2族に属する元素は添加しなかった。この現像液の場合、0m
2処理、即ち現像液槽に現像液を入れた直後から、現像液が画像部にも浸透し、画像部の膜減りが大きくなってしまった(比較例1)。
【0115】
現像液9は、(C)元素の周期律表の第2族に属する元素の金属塩、(B)一般式(I)で表される化合物を添加し、(D)カルボン酸等を有するポリマーは添加しなかった。この現像液の場合、0m
2処理、即ち現像液槽に現像液を入れた直後から、現像は不可能であった(比較例2)。
【0116】
現像液10は、(C)元素の周期律表の第2族に属する元素の金属塩、(D)カルボン酸等を有するポリマーを添加し、(B)一般式(I)で表される化合物は添加しなかった。この現像液の場合、0m
2処理、即ち現像液仕込み直後は、非画像部は現像され、画像部は膜減りの少ない良好な状態だったが、500m
2処理後には膜減りが多くなり、さらに1000m
2処理後には、非画像部に現像残りが見られるようになった(比較例3)。
【0117】
現像液11は、(C)元素の周期律表の第2族に属する元素の金属塩を添加し、(B)一般式(I)で表される化合物、(D)カルボン酸等を有するポリマーは添加しなかった。この現像液の場合、0m
2処理、即ち現像液槽に現像液を入れた直後から、現像は不可能であった(比較例4)。
【0118】
現像液12は、(B)一般式(I)で表される化合物を添加し、(C)元素の周期律表の第2族に属する元素の金属塩、(D)カルボン酸等を有するポリマーは、添加しなかった。この現像液の場合、非画像部は現像されていたが、0m
2処理、即ち現像液仕込み直後から、画像部に膜減りが見られ、1000m
2処理後にはさらに膜減りが大きくなってしまった。(比較例5)。
【0119】
現像液13は、(D)カルボン酸等を有するポリマーを添加し、(C)元素の周期律表の第2族に属する元素の金属塩、(B)一般式(I)で表される化合物は添加しなかった。この現像液の場合、0m
2処理、即ち現像液仕込み直後から、現像液が画像部にも浸透し、画像部の膜減りが大きくなってしまった(比較例6)。
【0120】
現像液14は、(D)カルボン酸等を有するポリマー、(B)一般式(I)で表される化合物、(C)元素の周期律表の第2族に属する元素の金属塩、いずれも添加しなかった。この現像液の場合、0m
2処理、即ち現像液仕込み直後は、非画像部は現像され、画像部は膜減りの少ない良好な状態だったが、500m
2処理後には膜減りが多くなり、さらに1000m
2処理後には、膜減りに加えて非画像部に現像残りが見られるようになった(比較例7)。
【0121】
現像液15は、(D)カルボン酸等を有するポリマー、(B)一般式(I)で表される化合物を添加し、(C)元素の周期律表の第2族に属する元素の金属塩の代わりに1族に属する元素の金属塩として、塩化ナトリウムを添加した。この現像液の場合、0m
2処理、即ち現像液仕込み直後から、現像液が画像部にも浸透し、画像部の膜減りが大きくなってしまった(比較例8)。
【0122】
現像液16は、(B)一般式(I)で表される化合物、(C)元素の周期律表の第2族に属する元素の金属塩を添加し、(D)カルボン酸等を有するポリマーの代わりに、水溶性樹脂であるデキストリンを添加した。この現像液の場合、0m
2処理、即ち現像液仕込み直後から、現像は不可能だった(比較例9)。
【0123】
現像液17は、(C)元素の周期律表の第2族に属する元素の金属塩、(D)カルボン酸等を有するポリマーを添加し、(B)一般式(I)で表される化合物の代わりに、グリセリンポリオキシエチレン付加物を添加した。この現像液の場合、0m
2処理、即ち現像液仕込み直後は、非画像部は現像され、画像部は膜減りの少ない良好な状態だったが、500m
2処理後には膜減りが多くなり、さらに1000m
2処理後には、非画像部に現像残りが見られるようになった(比較例10)。
【0124】
現像液18は、現像液6(発明例6)の(C)成分の金属イオンと(D)のカルボン酸基のモル比率を変えた例である。(B)一般式(I)で表される化合物、(C)元素の周期律表の第2族に属する元素の金属塩、(D)カルボン酸基等を有するポリマーを全て添加したが、(C)金属イオンと(D)のカルボン酸基のモル比率は1:1.5だった。この現像液の場合、は0m
2処理、即ち現像液仕込み直後から、非画像部上に若干画像記録層の残存が認められたが、膜減りに関しては2000m
2の処理まで良好であった。(発明例8)。
【0125】
現像液19は、現像液7(発明例7)の(C)成分の金属イオンと(D)のカルボン酸基のモル比率を変えた例である。(B)一般式(I)で表される化合物、(C)元素の周期律表の第2族に属する元素の金属塩、(D)カルボン酸基等を有するポリマーを全て添加したが、(C)金属イオンと(D)のカルボン酸基のモル比率は1:45.1だった。この現像液の場合、非画像部は2000m
2の処理まで、良好に現像されていたが、0m
2処理、即ち現像液仕込み直後から、画像部に少し膜減りがみられた。(発明例9)。