特許第6189852号(P6189852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189852
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】触感標識を含むインプラント組立体
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20170821BHJP
   A61F 2/844 20130101ALI20170821BHJP
【FI】
   A61F2/07
   A61F2/844
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-542404(P2014-542404)
(86)(22)【出願日】2012年11月14日
(65)【公表番号】特表2014-533554(P2014-533554A)
(43)【公表日】2014年12月15日
(86)【国際出願番号】US2012065042
(87)【国際公開番号】WO2013074646
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】13/675,557
(32)【優先日】2012年11月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/560,720
(32)【優先日】2011年11月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ジュリオ イー.エブラカス
(72)【発明者】
【氏名】リンダ エヌ.エルキンス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ピー.ウィットート
【審査官】 石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−510453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/844
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立体であって:
拡張可能なデバイスと;
前記デバイスのまわりで周方向に巻き付けられる拘束部材であって、対向する端縁を有する拘束部材と;
前記拘束部材の前記対向する端縁を解放可能に結合して解放可能な継ぎ目にする細長い結合部材と;を具備し、前記細長い結合部材は、前記拡張可能なデバイスを展開するために該細長い結合部材に加えられる力に応じて変位するように構成されており、
該組立体は更に、
該組立体上で前記デバイスの所望の部分的展開のポイントに位置する少なくともひとつの触感標識;を具備しており、
前記少なくともひとつの触感標識は、前記細長い結合部材のループによって形成されるとともに、前記拡張可能なデバイスを展開するために前記細長い結合部材に加えられた力に対する力の変化を伝達するように構成されている、組立体。
【請求項2】
前記触感標識は前記細長い結合部材に形成されたゆるいループを含む請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記触感標識は非結合部分を含み、前記非結合が前記細長い結合部材と織り合わされたゆるいループをさらに含む請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記デバイスが体腔内人工器官を含む請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
前記デバイスがグラフト、ステント、又はステントグラフトの少なくともひとつである請求項1に記載の組立体。
【請求項6】
前記デバイスが自己拡張可能である請求項1に記載の組立体。
【請求項7】
前記デバイスがバルーン拡張可能である請求項1に記載の組立体。
【請求項8】
2つ以上の拡張可能なデバイスを含む請求項1に記載の組立体。
【請求項9】
2つ以上の拘束部材を含む請求項1に記載の組立体。
【請求項10】
前記少なくともひとつの触感標識が該組立体上で任意の2つの隣接する拘束部材の間に位置している請求項9に記載の組立体。
【請求項11】
前記部分的展開は目標部分を含む請求項1に記載の組立体。
【請求項12】
前記目標部分は前記デバイスの表面上の側枝開窓部を含む請求項11に記載の組立体。
【請求項13】
組立体であって:
拡張可能なデバイスと;
前記デバイスの周りで周方向に巻き付けられる拘束部材であって、対向する端縁を有する拘束部材と;
前記拘束部材の前記対向する端縁を、複数の縫い目を含む解放可能な継ぎ目にする細長い結合部材と;
前記デバイスの所望の部分的展開のポイントで前記解放可能な継ぎ目に沿って配置された一連のループを含む第1の触感標識であって、前記細長い結合部材の移動中における張力の増大又は減少を与えるように構成されて前記部分的展開を指示する第1の触感標識と;
前記解放可能な継ぎ目に沿って配置された一連のループを含む第2の触感標識であって、前記細長い結合部材の移動中における張力の増大又は減少を与えるように構成されて展開の別の段階を指示する第2の触感標識と;を具備し、
前記第1の触感標識と前記第2の触感標識は、前記複数の縫い目の少なくとも一つの縫い目を該第1の触感標識と該第2の触感標識との間に含んでいる、組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる2011年11月16日に出願された“腸骨分岐エンドプロテーゼ医療装置とそれを展開する方法”という表題の米国特許仮出願第61/560720号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は概ね埋め込み医療デバイスの送達と遠隔的な段階的展開に関する。
【背景技術】
【0003】
医療デバイスがしばしば患者の解剖学的構造の治療に用いられる。そのようなデバイスは解剖学的構造に恒久的又は半恒久的に埋め込まれて患者を治療する。しばしば、ステント、グラフト、ステントグラフト、フィルタ、弁、閉塞器、マーカー、マッピング・デバイス、治療薬供給装置、人工器官、ポンプ、包帯、及びその他の埋め込まれる腔内デバイスなどのこれらのデバイスは挿入ポイントで体に挿入され、カテーテルを用いて治療部位に展開される。拡張可能なデバイスのよく見られるタイプはステント及びステントグラフトである。
【0004】
ステント及びステントグラフトのような拡張可能なデバイスは、人体のいろいろな場所で、動脈瘤の修復や、血管、及び気管などのいろいろな解剖学的管腔の支持のために用いられる。拡張可能なデバイスは、たたまれた形態にあるときは小さな直径を有し、患者の治療部位に配置された後に拡張される。拡張可能なデバイスは、たたまれた形態に拘束することで治療部位への送達を容易にすることができる。
【0005】
医療デバイスを治療部位に移動させて局部の治療のためにそれを展開することは今日ではありふれた手順であるが、治療部位までのデバイスの移動を追跡し、配置された後のその展開を追跡するために蛍光透視法やその他の画像処理技法が必要である。そのような画像処理技法の一例はX線蛍光透視法であり、それは配置及び展開手順のリアルタイム 画像化として用いられる。X線蛍光透視法は優れた分解能を有するが、いろいろな実際的な制約もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6352561号明細書
【発明の概要】
【0007】
したがって、展開の進行をリアルタイムに知らせることを可能にする新しい医療デバイス、システム、及び方法が望まれている。
【0008】
添付図面は本発明をさらによく理解できるようにするためのものであり、本明細書に組み込まれてその一部を成し、本発明の実施形態を図示することで以下の説明と併せて本発明の原理を説明するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明による拡張可能な医療デバイスの、たたまれた形態にある実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、本発明による拡張可能な医療デバイスの、たたまれた形態で拘束された実施形態を示す斜視図である。
図3図3は、本発明による触感標識を含む拡張可能な医療デバイスの、たたまれた形態で拘束された実施形態をたたまれた形態で拘束して示す断面図である。
図4図4は、本発明による触感標識を含む拡張可能な医療デバイスのある実施形態を示す詳細な斜視図である。
図5図5は、本発明による触感標識を含む拡張可能な医療デバイスのある実施形態を示す詳細な斜視図である。
図6図6は、本発明による触感標識を含む拡張可能な医療デバイスのある実施形態を示す詳細な斜視図である。
図7図7は、本発明による医療デバイス組立体のための固定手段のある実施形態を示す正面図である。
図8図8は、本発明による医療デバイスのある実施形態の展開中に予期される変位に対する力を示す図である。
図9図9は、本発明による医療デバイスのある実施形態の展開中に予期される変位に対する力を示す図である。
図10図10は、本発明による医療デバイスのある実施形態の展開中に予期される変位に対する力を示す図である。
図11図11は、本発明による医療デバイスのある実施形態の展開中に予期される変位に対する力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のいろいろな様態は、意図した機能を実行するように構成されたいくつかの方法及びシステムによって実現できることは当業者には理解されるであろう。別の言い方をすると、他の方法及びシステムを本明細書に組み込んで意図した機能を実行することができる。また、本明細書で言及される添付図面はすべてが同じ縮尺で描かれたものではなく、本発明のいろいろな様態を例示するために誇張されることがあり、その点に関して、図面は限定的に解釈すべきでないということが銘記されるべきである。
【0011】
その点を言った上で、以下にさらに詳しく説明するように、本発明のいろいろな実施形態は一般に、医療デバイスの患者における段階的な部分的展開のために構成された医療組立体を含む。それに関連して、この組立体に形成された少なくともひとつの触感標識が展開の段階を臨床医に知らせる。例えば、本発明による医療デバイスは臨床医に感知される触感事象によってリアルタイムに追跡される。
【0012】
本明細書で用いられる場合、“近位的”とは医師に近い位置を示し、“遠位的”とは医師から遠い位置を指す。
【0013】
本明細書で用いられる場合、“医療デバイス”とは、例えば、血管系(血管)やその他の体の管腔又は空洞の治療領域又は部位に一時的又は長期的に埋め込まれるステント、グラフト、ステントグラフト、フィルタ、弁、閉塞器、マーカー、マッピング・デバイス、治療薬供給装置、人工器官、ポンプ、包帯、その他の埋め込まれる腔内デバイス、を含む。このような医療デバイスは、血管バイパス又は血管閉塞器など、流体耐性表面、又は防流体性表面を与える柔軟な材料を含む。
【0014】
本明細書で用いられる場合、“拡張可能なインプラント”とは、例えば、送達直径で治療部位へ送達するのに適していて、送達断面径の直径から、一連の中間直径を経て、最大の予め定められた機能直径まで拡げることができる任意の医療デバイスを含む。そのような拡張可能な医療デバイスは、例えば、ステント、グラフト、及びステントグラフトを含む。
【0015】
いろいろな実施形態で、拡張可能なインプラントは患者の血管の治療区域への送達に適する、径方向にたたまれた形態を含む。このような拡張可能なインプラントは、径方向にたたまれた形態に拘束してカテーテルのような送達デバイスに取り付けることができる。たたまれた形態での拡張可能なインプラントの直径は、インプラントを治療区域に血管を通して送達するのに十分な小ささであることが好ましい。いろいろな実施形態で、たたまれた形態の直径は、カテーテルの横断面形状を最小にして患者の組織の損傷を小さくするのに十分な小ささである。たたまれた形態で拡張可能なインプラントは、血管を通して案内される。
【0016】
いろいろな実施形態で、拡張可能なインプラントは患者の血管の治療区域にデバイスを埋め込むのに適した径方向に拡張された形態を含む。拡張された形態で、拡張可能なインプラントの直径は修復すべき血管の直径とほぼ同じであってよい。別の実施形態では、拡張された形態での拡張可能なインプラントの直径は、血管内で牽引装着を提供するために治療される血管の直径よりわずかに大きくてもよい。
【0017】
いろいろな実施形態で、拡張可能なインプラントは、自己拡張可能なステントグラフトのような自己拡張可能なデバイスを含む。このようなデバイスは、拘束を解除されると径方向にたたまれた形態から径方向に拡がった形態にふくらむ。本明細書で用いる場合、“拘束する”という用語は、(i)拡張可能なインプラントの直径の、自己拡張による拡張又はデバイスに助けられる拡張を制限すること、又は(ii)拡張可能なインプラントを覆うか又は囲むがそれ以上の制限を加えない(例えば、貯蔵又は生物適合性のため、及び/又は拡張可能なインプラント及び/又は血管を保護するため)こと、を意味する。
【0018】
いろいろな実施形態で、拡張可能なインプラントは、二次デバイス、例えばバルーンなど、の助けによって拡がるデバイスを含む。
【0019】
いろいろな実施形態で、拡張可能なインプラントはステントグラフトを含む。ステントグラフトは、支持構造又は土台を形成するひとつ以上のステント構成要素と、ステントの上及び/又は下に配置されるグラフト部材を含むように設計され一般にそのように構成される。
【0020】
いろいろな実施形態で、支持構造は、例えば、複数のステントリング、切断されたチューブ、巻かれたワイヤ(又はリボン)、又は管の形に巻かれた平らな型押しシート、などを含む。ステントリングはワイヤで互いに動作可能に結合されている。ステントリングを結合するのに用いられるワイヤは第1のステントリングの山と第2のステントリングの谷に取り付けられる。ステントリングは、谷のピーク位相が合っている(例えば、第1のステントリングのピークと第2のステントリングのピークが共通の中心線を有する)又は位相が逆になっている(例えば、第1のステントリングのピークと第2のステントリングのピークが共通の中心線を有する)ように配置される。
【0021】
支持構造としてのステント構成要素は、金属、ポリマー、又は天然材料から形成することができ、通常の医療等級の材料、例えば、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー有機シリコン・ポリマー;鉄合金、ステンレス鋼、コバルト・クロム合金、及びニチノールなどの金属;及び生物由来材料、例えばブタ動脈/静脈血管、心嚢及びコラーゲン、を含む。ステント構成要素はまた、生物吸収有機材料、例えば、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸/グリコール酸)ポリマー、ポリ(ヒドロキシブチレート)及びポリ(オルトエステル)などを含むことができる。治療部位へ送達できるどんな拡張可能なステント構成要素の構造形も本発明に基づいている。
【0022】
いろいろな実施形態で、ステントグラフトにおけるグラフト材料は、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエステル、ポリウレタン、例えばパーフルオロ・エラストマーなどのフッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ウレタン、超高分子量ポリエチレン、アラミド繊維、及びそれらの組み合わせ、などを含むことができる。グラフト材料の他の実施形態としては、高強度ポリマー繊維、例えば超高分子量ポリエチレン繊維(例えば、Spectra, Dyneema Purity 等)又はアラミド繊維(例えば、Technora など)がある。グラフト部材は生物活性物質を含むことができる。ある実施形態では、ePTFEグラフトがその血液接触表面に沿ってカーボン成分を含む。患者において治療部位へ送達されるどんなグラフト部材も本発明に基づいている。
【0023】
いろいろな実施形態で、ステント構成要素及び/又はグラフト部材は治療薬コーティングを含む。それらの実施形態では、ステント構成要素及び/又はグラフト部材の内側又は外側に、例えば、CD34抗原がコーティングされる。さらに、任意の数の薬剤又は治療薬を、特に、例えば、ヘパリン、シロリムス、パクリタクセル、エベロリムス、ABT578,ミコフェノル酸、タクロリムス、エストラジオール、酸素遊離基スカベンジャー、バイオリムスA9、抗CD34抗体、PDGF受容体ブロッカー、MMP1受容体ブロッカー、VEGF,G−CSF,HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、INOS及びeNOSの刺激薬、ACE阻害剤、ARBs、ドキシサイクリン、サリドマイド、などをグラフト部材をコーティングするのに用いることができる。
【0024】
いろいろな実施形態で、ステントグラフトのような拡張可能なインプラントを拘束部材によって、又は単に、拡張可能なインプラントの周囲を囲む“スリーブ”によって拘束することができる。いろいろな実施形態で、スリーブは拡張可能なインプラントの周囲を囲んで、直径が拘束されないインプラントの直径よりも小さいたたまれた形態に拘束する。例えば、血管内で送達するためにスリーブは拡張可能なインプラントをたたまれた形態に拘束することができる。
【0025】
いろいろな実施形態で、ステントグラフトのような拡張可能なインプラントを複数のスリーブによって拘束し、複数のスリーブが全体として拡張可能なインプラントを取り囲むようにすることができる。各スリーブは他のスリーブとはっきり異なって別になっており、それぞれが拡張可能なインプラントの一部分だけを拘束する役割を果たす。
【0026】
いろいろな実施形態で、複数のステント、グラフト、及び/又はステントグラフトが単一の拘束スリーブの内側に長手方向に一列に並べられる。
【0027】
いろいろな実施形態で、複数のステント、グラフト、及び/又はステントグラフトが軸方向に整列した複数のスリーブの内側で軸方向に並べられる。この場合、隣接するスリーブはつなぎ合わされる。
【0028】
いろいろな実施形態で、スリーブを管状にしてステントグラフトのような拡張可能なインプラントを拘束することに使用できる。この形態では、スリーブは拡張可能なインプラントのまわりに巻き付けられた又は折り曲げられたひとつ以上の材料のシートから形成される。拡張可能なインプラントを拘束するのに多数スリーブが用いられる場合、各スリーブは別のスリーブ端と隣接した少なくともひとつのスリーブ端を含む。本明細書における例示的な実施形態はひとつ以上の管状スリーブを含むように記載しているが、下にある拡張可能なインプラントに対応する形の、又は与えられた用途に適した別の形状にした非管状スリーブも本発明の範囲内にある。
【0029】
いろいろな実施形態で、スリーブは、シートの2つの対向する及び/又は平行な端縁が実質的に整列するように材料シートを巻き付けるか又は折り曲げることにより形成される。上記の整列はカテーテル組立体のカテーテルシャフトと平行又は同軸であっても、そうでなくてもよい。いろいろな実施形態で、材料のシートの端縁は互いに接触しない。
【0030】
いろいろな実施形態で、材料のシートの端縁は互いに接触し、以下に説明するように細長い結合部材で結合される。他のいろいろな実施形態で、材料のシートの端縁は、単数又は複数のシートの同じ側の端縁(例えば、シートの前と後ろ)が互いに接触するように整列される。さらに別の実施形態では、単数又は複数のシートの反対側の端縁が互いに接触し、端縁が互いに重なり合うか、又はシートの一方の側の一部が他の側の一部と接触する。別の言い方をすると、シートの前面が背面と部分的に重なり合う、又はその逆になる。
【0031】
いろいろな実施形態で、拡張可能なインプラントを拘束するのに用いられるスリーブはさらに放射線不透過又はエコー源性のマーカーを含むことができる。そのような形態では、放射線不透過マーカーはスリーブの端縁に、結合部材が一連の穴を通して縫いつけられる領域に配置できる。放射線不透過マーカーは拡張可能なインプラントの血管内での位置や向きを決めることを、例えば、スリーブ結合部材、側枝、開窓、開窓エリア、カフ、及びアンカー等の要素の画像化によって視認性を高めることによって助けることができる。以下にもっと詳しく説明するように、本開示によれば、インプラントの多段階展開は臨床医に伝えられる触感指示によって追跡でき、その間の画像化は必ずしも必要ではないので、配置又は展開手順のいくつかの時点で画像化を一時的に中断することができる。
【0032】
本明細書で用いる場合、“展開”という用語は、治療部位における医療デバイスの発動を指す、例えば、自己拡張可能なインプラント上のスリーブを除去してインプラントがふくらむことを可能にすることを指す。そのような展開の後、拡張可能なインプラントが機能的な直径まで拡がって所望の治療結果を達成することを可能にするために、単数又は複数のスリーブが除去される。いくつかの実施形態では、拡張可能なインプラントの妨げにならないように単数又は複数のスリーブは埋め込まれたままにしておくことができる。別の実施形態では、単数又は複数のスリーブは除去され得る。
【0033】
いろいろな実施形態で、自己拡張可能なステントグラフトの展開は、ステントグラフト上にスリーブを固定してそれをたたまれた状態に維持している結合部材を引き抜くステップを含む。スリーブから結合部材を除去するこのプロセスは、本明細書では“解放”とも呼ばれる。体腔送達のために拡張可能なデバイスをたたまれた状態に解放可能に維持するための拘束部材と結合部材の例は、全体が参照によって本明細書に組み込まれるレオポルド(Leopold)等への米国特許第6352561号明細書に見られる。
【0034】
いろいろな実施形態で、ステントグラフトのような拡張可能なインプラントが血管内の所定位置にあるとき、患者の体の外から、単数又は複数の結合部材を単数又は複数のスリーブから切り離すことができ、これは、単数又は複数のスリーブが開いて拡張可能なインプラントが拡がることを可能にする。上で説明したように、拡張可能なインプラントは自己拡張可能であるか、又は前記インプラントはバルーンのようなデバイスによって拡げられる。単数又は複数の結合部材は患者の体の外から操作される機械的機構によって単数又は複数のスリーブから解放されてもよい。例えば、単数又は複数の結合部材はその部材に十分な張力を加えることによって解放される。別の例では、ダイアル又は回転要素が体の外で単数又は複数の結合部材に取り付けられる。ダイアル又は回転要素の回転が単数又は複数の結合部材を解放するのに十分な張力を提供する。
【0035】
いろいろな実施形態で、この解放プロセスはステップ状である、言い換えると、段階的である。本発明による拡張可能なインプラントの全体的な展開はインプラントの多数の段階又はステップ状の展開を含むことができる。そのような展開は、ひとつ以上の拘束スリーブからの結合部材の多数の段階的又はステップ状の解放を含む。拡張可能なデバイスのステップ状展開における各ステップ又は各段階は部分的展開と呼ばれる。拡張可能なインプラントのステップ状又は多数段階の展開では、ある特定のポイントまで、例えば側枝の開窓まで、拡張可能なインプラントの一部分だけを、又は複数の特定ポイントのそれぞれまで順次段階的に拡げることが有用である。臨床医が、インプラントの部分的展開がひとつ以上の開窓又はその他の望ましい特定ポイントに到達したことをリアルタイムに知ることが理想的である。
【0036】
いろいろな実施形態で、本発明は多数の段階又はステップ状の解放手順の進行についてそのような手順を実行する臨床医が感知できる触感指示を提供する。触感指示は、以下に説明するように、デバイスに配置されたひとつ以上の触感標識によって提供される。
【0037】
本発明のいろいろな実施形態で、多数の段階の展開は、ひとつ以上の目標部分に対応する単数又は複数の所望のポイントで停止する。本発明の目的のための目標部分とは部分的展開の複数の段階の間の所望のポイントである。
【0038】
本発明のいろいろな実施形態で、拡張可能なインプラントは少なくともひとつの目標部分を含む。そのような形態では、単数又は複数の目標部分は拡張可能なインプラントの表面上に位置している。いろいろな実施形態で、単数又は複数の目標部分は側枝開窓部を含む。側枝開窓部は分岐ステントグラフトのような分岐デバイスを拡張可能なインプラントと結合し連通させることを可能にする。いろいろな形態で、側枝開窓部の直径は血管とほぼ同じである。別の形態では、側枝開窓部の直径は血管の直径より大きい。さらに別の実施形態では、側枝開窓部の直径は血管の直径より小さい。
【0039】
いろいろな実施形態で、目標部分は薬剤溶出要素を含む。これらの形態では、薬剤溶出要素は、目標部分が患者の血液に露出したときに治療薬又は薬剤を放出する部分を含む。そのような治療薬又は薬剤の例としては、プロクロルペラジンエディシレート、硫酸第1鉄、アミノカプロン酸、塩酸メカキシルアミン、塩酸プロカインアミド、硫酸アンフェタミン、塩酸メタアンフェタミン、塩酸ベンズフェタミン、硫酸イソプロテレノール、塩酸フェンメトラジン、塩化ベタネコール、塩化メタコリン、塩酸ピロカルピン、硫酸アトロフィン、臭化スコポラミン、ヨウ化イソプロパミド、塩化トリジヘキシエチル、塩酸フェンフォルミン、塩酸メチルフェニデート、テオフィリン・コリネート、塩酸セファレキシン、ジフェニドール、塩酸メクリジン、マレイン酸プロクロルペラジン、フェノキシベンザミン、マレイン酸チエチルペラジン、アニシンジオン、四硝酸エリスリチル、ジゴキシン、イソフルオロフェート、アセトアゾラミド、メタゾルアミド、ベンドロフルメチアジド、クロルプロパミド、トラザミド、酢酸クロルマジノン、フェナグリコドール、アロプリノール、アルミニウム・アスピリン、メトトレキセート、アセチル・スルフィソキサゾール、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチコステロン、酢酸コルチゾン、デキサメタソンとその誘導体、例えば、ベタメタゾン、トリアムシノロン、メチルテストステロン、17-ベータ-エストラジオール、エチニル・エストラジオール、エチニル・エストラジオール・3-メチルエーテル、プレドニソロン、17-ベータ-酢酸ヒドロキシプロジェステロン、19-ノル-プロジェステロン、ノルゲストレル、ノルエチンドロン、ノルエチステロン、ノルエチエデロン、プロゲステロン、ノルゲステロン、ノルエチノドレル、インドメタシン、ナプロキセン、フェノプロセン、スリンダック、インドプロフェン、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、プロプラノロル、チモロール、アテノロール、アルプレノロール、シメチジン、クロニジン、イミプラミン、レボドーパ、クロールプロマジン、メチルドーパ、ジヒドロキシフェニルアラニン、テオフィリン、カルシウム・グルコネート、ケトプロフェン、イブプロフェン、アトルバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、セファレキシン、エリスロマイシン、ハロペリドール、ゾメピラック、乳酸第一鉄、ビンカミン、フェノキシベンザミン、ジルチアゼン、ミルリノン、カプトロプリル、マンドール、クアンベンズ、ヒドロクロロチアジド、ラニチジン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、フルプロフェン、トルメチン、アルクロフェナック、メフェナミック、フルフェナミック、ジフニナール、ニモジピン、ニトレンジピン、リソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、リドフラジン、チアパミル、ガロパミル、アムロジピン、ミオフラジン、リジノプリル、エナラプリル、カプトプリル、ラミプリル、エナラプリラト、ファモチジン、ニザチジン、スクラルフェート、エチニジン、テトラトロール、ミノキシジル、クロルジアゼポキシド、ジアゼパン、アミトリプチリン、及びイミプラミンなどがある。その他の例としては、タンパク質とペプチドがあり、例えば、インシュリン、コルチシン、グルカゴン、甲状腺刺激ホルモン、副甲状腺及び脳下垂体ホルモン、カルシトニン、レニン、プロラクチン、コルチコトロピン、甲状腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、コリオン・ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ウシソマトトロピン、ブタソマトトロピン、オキシトシン、バソプレシン、プロラクチン、ソマトスタチン、リプレシン、パンクレオジミン、黄体形成ホルモン、LHRH、インターフェロン、インターロイキン、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン及びブタ成長ホルモン、妊娠抑制剤、例えばプロスタグランジン、妊娠促進剤、成長因子、及びヒト膵臓ホルモン放出因子、などがある。
【0040】
本発明のいろいろな実施形態で、目標部分は放射線不透過セグメントを含む。この形態では、目標部分は放射線不透過セグメント又はマーカーで囲まれ、それが患者の血管内で目標部分と拡張可能なインプラントの位置と向きを決める助けになる。いろいろな実施形態で、目標部分は放射線不透過セグメントと側枝開窓部又は開窓可能部分を含む。これらの形態では、特に放射線不透過セグメントは側枝ステントグラフトを目標部分に送達し、取り付けることを助ける。
【0041】
上述の点に注意して、図1を参照すると、同図には本発明による医療デバイス100が示されている。医療デバイス100はステント102とグラフト部材104を含む。いろいろな実施形態で、グラフト部材104はステント102の外側表面に、展開されたときにグラフト部材104が血管壁と接触するように固定される。別の実施形態では、グラフト部材104はステント102の内側表面に、展開されたときにグラフト部材104が血管壁と接触しないように固定される。
【0042】
次に図2を参照すると、本発明による医療デバイス組立体220のある実施形態が拡張可能なデバイス200を含んでいる。ステントグラフトのような拡張可能なデバイス200は拘束部材又はスリーブ210によって、治療部位へのデバイスの体腔内送達に適した外周縁寸法にまでたたまれるか又は拘束される。いろいろな実施形態で、スリーブ210のような拘束部材はグラフト部材を作るのに用いられるものと同様の材料を含む。例えば、平らな薄い壁のePTFEチューブがスリーブを作るための前駆体になる。
【0043】
図示した実施形態では、スリーブ210は概ね対向する及び/又は平行な端縁212を含み、それぞれがアイレットのような複数の開口208を含む。複数の開口208は直線的に配置されてスリーブ210の対向する端縁212に沿って縫い目線214を形成する。スリーブ210はデバイス200のまわりに延びて、解放可能に互いに固定された対向する端縁が、スリーブ210の長さに沿って軸方向に延びる解放可能な継ぎ目216になる。この場合、そのような継ぎ目を形成するために、材料の平らなシートがインプラントのまわりに周方向に巻き付けられて閉じられる。
【0044】
いろいろな実施形態で、解放可能な継ぎ目216は開口208を通って延びるか又は開口208を通って編まれた細長い結合部材202によって合わされて保持される。 縫い取り又は編みは、例えば互いに接続された個々の引き結び又はループ204を含む鎖縫いのような、任意のバリエーションの縫い合わせを含む。いろいろな実施形態で、細長い結合部材202は編まれた繊維質である。別の実施形態では、結合部材202は単フィラメント繊維である。管状スリーブを維持することができるどんなタイプの糸、紐、繊維、又はワイヤも本発明の範囲内にある。結合部材202はコレテク(KORETEK)のようなePTFE繊維,ポリエチレンテレフタレート(ダクロンやマイラー)のようなポリエーテルの縫合糸、又はケブラーのようなポリアクリルアミド、などを含む。あるいはまた、結合部材202は、ニチノール、ステンレス鋼、又は金のような金属ワイヤを含む。いろいろな実施形態で、結合部材202は遠隔引き糸を形成するのに十分なだけ長く延びるか又は同じ又は異なる材料の別の引き糸に結合される。
【0045】
いろいろな実施形態で、拡張可能なデバイスが患者の処置部位で所定位置にあるとき、患者の体の外から単数又は複数の細長い結合部材202が単数又は複数のスリーブ210から解放されることができ、これは、スリーブが開いて拡張可能なデバイス200が拡がることを可能にする。上述したように、この解放プロセスはステップ状、別の言い方では段階的に行われる。
【0046】
いろいろな実施形態で、結合部材202はカテーテルシャフトを通って延び、臨床医は近位コネクタによってそれにアクセスできる。開口208からの結合部材202の引っ張り、発動、及び移動によって、スリーブ210が解放可能な継ぎ目216に沿って開いて、デバイス200が治療部位への体腔内送達に適した縮められた状態から治療部位での展開で大きな外周寸法に拡がることが可能にされる。開口208からの結合部材202の引っ張りと移動は臨床医によって感じられるので、スリーブ210の開放とデバイス200の展開の触感が得られるが、もしもそれがなければ画像化が必要になったであろう。
【0047】
次に図3を参照すると、本発明による組立体のある実施形態が図示されている。図示のように、スリーブ210は拡張可能なデバイス200のまわりで周方向に巻き付けられてそれを縮めた形態で拘束する。スリーブ210はデバイス200のまわりに延び、対向する端縁212が合わされて結合部材202によって解放可能に固定され、解放可能な継ぎ目216となり、それがスリーブ210の長さに沿って軸方向に延びている。
【0048】
次に図4を参照すると、本発明による触感標識のある実施形態が、解放中に臨床医が感知できる細長い結合部材402の張力の変化を提供するように、組立体420上に形成されている。組立体420は対向する端縁412を有するスリーブ410を含み、前記対向する端縁412は開口408を通るループ404のようなループの鎖縫いによって解放可能な継ぎ目416に縫い合わされている。触感標識の1つのこのような実施形態は、3つのゆるいループ430,435,440から成るゆるいループ部分を含む。このようなゆるいループは、解放可能な継ぎ目416を縫う最中に、解放可能な継ぎ目416の各側から糸のような結合部材402の長さのたるみを最初に引き出すことにより形成される。編まれた鎖縫い406を有する組立体の側に、ループ430を作るために引き出されたたるみを鎖縫い406を通して配置する。次に組立体の反対側から引き出された余りの部分を解放可能な継ぎ目416の上を越えてループ430に押し込んで第2のループ435を形成する。最後に、ループ435を作るのに用いた同じたるみの端をループ435に通して押し込んで第3のループ440を形成する。実際には、鎖縫いは図示されたものよりもずっときつく、図では概略のゆるい縫いを示すことによって、他の一様にきつい鎖縫いを中断するゆるいループの存在を示すのを助けている。
【0049】
本発明によるいろいろな実施形態で、触感標識は、結合部材における引き結びやその他の結び目構造であって、スリーブからの解放中に特定のポイントで張力の増加を生ずるような引き結びやその他の結び目構造を含み得る。いろいろな実施形態で、臨床医が感じる張力の変化は張力の増加又は減少のどちらかであり、その選択はデバイス上で触感標識が形成される仕方によって可能になる(例えば、引き結び対ゆるいループ)。いろいろな実施形態で、結合部材の解放の間に臨床医が感じられる張力の増加と減少の任意の数及びそれらの組み合わせを提供するために、本発明による医療デバイス組立体上に任意の数の触感標識が形成されてよい。
【0050】
本発明によるいろいろな実施形態で、細長い結合部材における結び目構造を含む触感標識は、また、細長い結合部材の解放と解放可能な継ぎ目416の開きが早すぎないようにするためにも用いることができる。例えば、医療デバイス組立体の近位端又は遠位端又は両端の又はその近くの細長い結合部材402の結び目構造は、体の導管への挿入又はそれを通る送達のさいに起こりうる拡張可能なデバイスの早すぎる又は暴走的な展開を防ぐために用いられる。デバイスが治療部位の所定位置にあることが分かったら、臨床医は、展開を開始するために最初に追加の力を加えることにより結び目構造を引き出すことができる。結び目構造がうまく引き出された後の張力の低下は、解放可能な継ぎ目416の開きが始まったという触感指示を臨床医に提供する。
【0051】
次に図5の実施形態を参照すると、組立体520は、非結合545を含む触感又は段階標識を含んでおり、前記非結合545は、対向する端縁512を合わせて固定して解放可能な継ぎ目516にする組み合う鎖縫いの縫い目線に沿って細長い結合部材502のいくつかのループ505から503までに編み込まれているゆるいループ530,540によって特徴づけられる。この非結合545はスリーブ510と解放可能に結合しておらず、したがって細長い結合部材502の解放中にそこに到達すると張力にゆるみが生じ、それを臨床医が感知することができる。図示のような非結合545は本発明に係わる触感標識のもうひとつの実施形態である。細長い結合部材502における非結合545は、スリーブ510及び/又はデバイス500上の部分的展開のポイントが望まれる箇所、及び到達されたときを臨床医が知ることが重要である箇所の近くに配置される。
【0052】
いろいろな実施形態で、ループ530と540は、縫われた細長い結合部材502を所望の箇所で引っ張ってループ540を作り、ループ540の一部を第1の鎖縫い506を通して引っ張ってループ530を作り、ループ540の端をループ530に通して押し込み、次にループ530と540の組み合わせを細長い結合部材502の505,504,503のような他の鎖縫いに通して織り込むことにより垂れ下がりをなくすためにループ530と540を解放可能に固定することにより形成される。たるみを解放可能に固定する他の適当な手段を用いることもできる。このような配置によって、スリーブ510の長さの一部を開くことができ、それによりデバイス500の部分的展開という結果になる。この展開の間、上述したように、臨床医は細長い結合部材502がスリーブ510の開口508から移動した結果としてデバイスが展開する触感を得られる。この触感は、細長い結合部材が縫い目線に沿った連続する開口508から移動してゆくときのキャッチ・アンド・リリース感覚として特徴付けられる。
【0053】
解放可能な継ぎ目516に沿った結合部材502の移動がゆるいループ530に達すると、キャッチ・アンド・リリースの触感に代わって、細長い結合部材502の抵抗のゆるみ又は欠如の感覚として臨床医に感じられ、それが所望の部分的展開ポイントに到達したことを示す。感じられるゆるみは、例えば、デバイスのある特定の特徴、例えば側枝開口又は開窓部、又はその他の同様の特徴、特性、又はデバイスの目標部分にまで、又はその直後まで、デバイスが展開されたことを示すために位置決めされることができる。いずれにしても、解放可能な継ぎ目516に沿った細長い結合部材502の発動又は移動の最初の段階中にゆるいループ530に到達すると、臨床医は触感の変化を感知し、そのポイントでデバイス500の展開をストップするか、又は展開が完了するまで第2の又は次の段階の展開を続けるかを選択することができる。
【0054】
次に図6の実施形態を参照すると、組立体620は、次に隣接する鎖縫いループ606内に織り込まれて組み合わされたゆるいループ630,635,及び640をさらに含む触感標識を含む。この触感標識は組立体を第1段階の展開690と第2段階の展開695に分ける。第1段階の展開690の遠位端で細長い結合部材602は一連のループ650,660,及び670に押し込まれる。拘束されたデバイス600の第1段階の展開は細長い結合部材680の端に張力を加えることで始まる。開始の張力又は抵抗は、ループ670がループ660から引かれ、ループ660がループ650から引かれるときに臨床医に感知される。最初のループが引き抜かれた後、鎖縫いの引き離しを始めるために細長い結合部材602が十分遠くに引かれるとき、スリーブ602の対向する端縁612の分離とともにスリーブ610は解放可能な継ぎ目616を横切って開き始める。図示のように、デバイスの遠位側から近位側へ延びる細長い結合部材は、622,632,及び642に示される任意の数の鎖縫いの裏側にループさせることができる。第1段階の展開の終わりは、触感標識に到達したときに臨床医によって感知される。この時点で、ループ630が解放可能な継ぎ目616を通って引き抜かれて第2段階の展開が始まる前に、組み合わされたループ640と635を順次引き抜く必要がある。ループ640と635がループ630から引き抜かれている間、細長い結合部材602における張力の変化が臨床医に感知され、所望の部分的展開の箇所に達したことがリアルタイムに知らされる。この部分的展開のポイントで、展開を止めることもできる。第2段階の展開を開始するために、細長い結合部材602は組立体からさらに引き出されて第2の一連の鎖縫いをほどく。臨床医は第2の一連の鎖縫いがほどかれるときに細長い結合部材で張力の変化を感知するだろう。
【0055】
いろいろな実施形態で、複数の展開段階を可能にするために細長い結合部材の長さに沿って予め定められた位置に複数の固定されたゆるいループが設けられる。各展開段階の間の移行部分で、触感標識が臨床医に触感をフィードバックして、臨床医は触感標識の性質によって決まる張力の増加又は減少を感知する。
【0056】
いろいろな実施形態で、長手方向軸線上に配置された2つ以上のスリーブの直径を拘束するために単一の細長い結合部材が用いられてよく、隣接するスリーブの間の各ポイントで細長い結合部材にゆるいループが形成される。このようにして、臨床医は各スリーブが引き続いていつ開かれるかを感知する。
【0057】
いろいろな実施形態で、ゆるいループを、開口サイズ、開口間隔、結合部材タイプ、材料及び/又は寸法、織り込みパターン、結び目、生物適合性接着剤及び/又はコーティング、又は結合部材の発動の触感に寄与するその他の因子、の適当な組み合わせで配置して展開の力を増加又は減少させることができる。
【0058】
次に図7を参照すると、デバイスに細長い結合部材を固定する特徴の実施形態が示されている。このような形態を作成するプロセスは、最後の縫い目を保持しながらループの端から細長い結合部材702に2つの引き結びを作ることである。前記引き結びをかなりきつく保ちつつ、第3のループを少なくとも約4cmの長さに残す。次に細長い結合部材702を、強化ラインから離れている3番目の二重縫い目760の下にループさせる。ループが重なりの方に向くようにしながら、編みを6番目の二重縫い目780の下で繰り返す。最後に、細長い結合部材が意図しないでほどけ始めることがないように、細長い結合部材が図示のようにロッククリップで固定される。
【0059】
次に図8を参照すると、本発明による医療デバイスの展開の過程での細長い結合部材に加えられる力の大きさの変化対細長い結合部材の変位は、図示されているような一般的特徴を有する。例えば、ひとつの触感標識を含むデバイスはデバイスの展開を2つの段階の展開に分け、それが仮想的プロットで“A”及び“B”と表される。この例示的実施形態では、触感標識はゆるめられたループを含み、たるみを引き出す細長い結合部材に加えられる力の大きさに減少を生ずる。仮想的グラフに示された張力の減少は臨床医によって感知され、デバイスは2つの展開段階“A”と“B”との間にあるという信号を臨床医に発する。
【0060】
図8に示された力対変位の仮想的プロット及び以下のプロットで、図には示されていないいろいろな張力の変化が展開の間に起こるであろう。例えば、展開のまさに始まりでは、始まりの引き結びを外すために必要な力のような力の増加があるであろう。また、展開の大部分にわたって、細長い結合部材の個々の鎖縫いの各々を引き出すために要する力から繰り返し生ずる山や谷が力の“ノイズ”のように現れるであろう。また、各触感標識における張力の増加や減少は多数の張力の変化を含むであろう。例えば、鎖縫いに織り込まれた多くのゆるんだループは力対変位のプロットで触感フィードバックとして単一のピークだけでなく“鋸歯状”パターンを生ずるであろう。同じ触感標識におけるゆるんだループのそれぞれに到達するのに伴って、張力の変化は図示されたようななめらかなピークよりはむしろ鋸歯状のピークを生ずるであろう。いろいろな実施形態で、展開の過程での細長い結合部材の全体的な張力は下向き又は上向きの動きを示すことも、認められるような傾向を全く示さないこともある。いろいろな実施形態で、細長い結合部材が拘束するスリーブから全く自由になり患者から取り出されるとき張力は急激に低下してゼロになってゆくであろう。
【0061】
次に図9を参照すると、展開の過程で細長い結合部材に加えられる力の変化対細長い結合部材の変位が図示のような一般的な特徴を有することがある。例えば、本発明によるデバイスが単一の触感標識を有し、それがデバイスの展開を図示のような2つの段階、“A”と“B”とに分ける場合である。いろいろな実施形態で、引き結び又はその他の結び目構造を用いると、展開の段階の間に張力の増加が生ずる。図9の仮想的なプロットで、細長い結合部材を移動させるために必要な力の増加は、細長い結合部材における結び目構造を引き出すために必要な力を示している。この張力の増加は臨床医によって感知され、展開の手順が2つの段階の間の移行期にあることを臨床医に知らせる。
【0062】
図10は、2つの触感標識を有する本発明によるデバイスのある実施形態について、それぞれの触感標識に到達したとき細長い結合部材における張力の減少が生ずる場合、展開するときに予期される力対変位の仮想プロットを示す。この実施形態では、2つの触感標識がデバイスの展開を図示されているように3つの展開段階、“A”、“B”及び“C”に分ける。
【0063】
図11は、複数の触感標識が展開を5つの段階、“A”、“B”、“C”、“D”、及び“E”に分けるデバイスで予期される力対変位を示す。上述したように、デバイスのいろいろな実施形態は任意の数の触感標識を含むことができ、どの触感標識も細長い結合部材の移動のさいに張力の増加又は減少を生じ、それが臨床医によって感知される。この例示実施形態では、展開のときに到達する最初の触感標識は臨床医によって感知される張力の増加を生ずる。張力の増加は展開段階“A”と“B”の移行点に到達したことを臨床医に知らせる。この例では、残りの触感標識は張力の減少を生ずる。張力の各減少が伝わる毎に、臨床医は展開段階の間の移行点に達したことを知らされる。いろいろな実施形態で、デバイスは任意の数及び任意の組み合わせの触感標識を含むことができ、デバイスが展開されるときにそれらが臨床医によって感知される張力の増加及び/又は減少を生ずる。
【0064】
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく本発明にいろいろな変更や変形を加えることが可能であることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲とその等価物の範囲内である限り本発明へのそれらの変更や変形を包含するものである。
【0065】
同様に、以上の説明では多くの特徴や利点が、デバイス及び/又は方法の構造と機能の細部といろいろな選択肢を含めて記載された。本明細書の開示は単に例示を意図したものであり、したがってすべてを尽くすことは意図していない。いろいろな変更が、特に構造、材料、要素、成分、形、サイズ、及び部品の配置に関して、組み合わせも含めて、添付されたクレームが表現される用語の広い、一般的な意味が示す全範囲にわたって可能であることは当業者には明らかであろう。これらのいろいろな変更が添付されたクレームの精神と範囲から逸脱しない限りにおいて、それらの変更は本発明に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11