【実施例】
【0037】
(ポリマーのカチオン電荷密度を測定する操作)
ポリマーのカチオン電荷を測定するために、Mutek電荷量分析器を使用した。水性試料を測定セル中に置いた。PCDを点け、セルのピストンを振動させて高流量を発生させた。セル壁に吸着したあらゆる荷電物質を、流れによってその対イオンから分離し、流動電流を発生させた。セル中の二つの電極がこの電流を感知し、これを表示した。滴定モジュールが、試料と逆に荷電した滴定剤(カチオン性試料−アニオン性滴定剤)を自動的に選択し、これを0mVになるまで試料に加えた。結果として、滴定剤の消費(ml)が、要した電荷(meq/g)と共にディスプレイに表示された。
【0038】
(接触角測定)
ポリAPTACの即時の及び長期継続する疎水性を、洗浄シャンプーを用いた数回の洗浄の後に接触角を測定することによって研究した。接触角が大きいほど、表面の疎水性が高い。損傷のない無傷の茶色の髪は、自然の疎水性を有するが、全ての化学処理、例えば漂白が、髪の疎水性を低減する。測定方法は以下に記載される通りである。
・ 髪房の一部を特別に設計されたプレート上に伸ばし、繊維を空間中に共に保持して「単一」表面を形成させた。
・ 脱塩水の水滴を、注射器から繊維表面に送達した。
・ 水滴質量は上限0.008gであった。
・ 画像を、1秒または10秒の間隔で集めた。
【0039】
(ポリAPTACホモポリマーの合成)
トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミドクロライド(DIMAPA-Q, APTAC)を、水性媒質中、不連続な断熱過程によって重合させた。
【0040】
1. 分子量Mwがおよそ100,000g/molのポリAPTAC
320±10kgの軟水及び670±10kgのAPTAC(60%)を容器に加えて撹拌した。混合物のpHを、硫酸(50%)を用いて約5.1±0.1に調節した。その後、1.05kgの2-メルカプトエタノールを57℃で添加した。水に溶解させた0.30kgのVA-044(2,2’-アゾビス[2(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド)の添加により重合を開始させた。最高温度に達した後、容器を80℃未満に冷却した。バーンアウト工程のために、水に溶解させた0.25kgのV-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド)を添加した(約1時間)。最後に、生成物を冷却してフィルターに叩き込んだ。
【0041】
2. 分子量Mwがおよそ200,000g/molのポリAPTAC
320±10kgの軟水及び670±10kgのAPTAC(60%)を容器に加えて撹拌した。混合物のpHを、硫酸(50%)を用いて約5.1±0.1に調節した。その後、0.45kgの2-メルカプトエタノールを57℃で添加した。水に溶解させた0.30kgのVA-044の添加により重合を開始させた。最高温度に達した後、容器を80℃未満に冷却した。バーンアウト工程のために、水に溶解させた0.95kgのV-50を添加した(約1時間)。最後に、生成物を冷却してフィルターに叩き込んだ。
【0042】
3. 分子量Mwがおよそ300,000g/molのポリAPTAC
579.8kgの軟水及び403.5kgのAPTAC(60%)を容器に加えて撹拌した。混合物のpHを、4.3kgの硫酸(50%)を用いて約5.3-5.4に調節した。その後、0.05kgの2-メルカプトエタノールを75℃以下で添加した。2.48kgの水に溶解させた0.92kgの過硫酸ナトリウムの添加により重合を開始させた。反応を1時間行った。その後、溶液を冷却した。70℃で、2.48kgの水に溶解させた0.94kgの過硫酸ナトリウムを添加した。管類を清掃するために10.0kgの水を加えた。最後に、生成物を冷却してフィルターに叩き込んだ。
【0043】
4. 分子量Mwがおよそ500,000g/molのポリAPTAC
591.8kgの軟水及び391.4kgのAPTAC(60%)を容器に加えて撹拌した。混合物のpHを、3,657kgの硫酸(50%)を用いて約5.3-5.4に調節した。その後、0.07kgの2-メルカプトエタノールを75℃以下で添加した。2.48kgの水に溶解させた0.9kgの過硫酸ナトリウムの添加により重合を開始させた。反応を1時間行った。70℃で、2.48kgの水に溶解させた0.9kgの過硫酸ナトリウムを添加した。管類を清掃するために10.0kgの水を加えた。最後に、生成物を冷却してフィルターに叩き込んだ。
【0044】
5. 分子量Mwがおよそ1,000,000g/molのポリAPTAC
592.5kgの軟水及び387.8kgのAPTAC(60%)を容器に加えて撹拌した。混合物のpHを、4.63kgの硫酸(50%)を用いて約5.1±0.2に調節した。その後、4.92kgの水を用いて管類を洗浄した。72℃で、2.46kgの水に溶解させた0.2kgの過硫酸ナトリウムの添加により重合を開始させた。4.92kgの水を用いて管類を洗浄した。反応を1時間行った。容器を80℃以下に冷却した。2.46kgの水に溶解させた0.24kgのV-50を加えた。4.92kgの水を用いて管類を洗浄した。最後に、生成物を冷却してフィルターに叩き込んだ。
【0045】
(疎水変性ポリAPTACの合成)
モノマー及びコモノマーを、水性媒質中、不連続な過程によって重合させた。重合は断熱反応であった。
【0046】
1.ステアリルアクリレートで変性させたポリAPTAC(分子量Mwはおよそ500,000)
295.2kgの軟水、664.3kgのAPTAC(60%)、及び、11%のセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)、44%の水、及び44%のステアリルアクリレートを含む13.7kgのプレエマルションを容器に吸引した。その後、7.30kgの硫酸(50%)を加えてpHを5.1に調節した。60℃で、0.15kgの2-メルカプトエタノールを容器に添加した。2.70kgの水に溶解させた0.30kgのVA-044を用いて重合を開始させた。最高温度に達した後、5.4kgの水に溶解させた1.0kgのV50を加えた。10kgの水を用いて管類を洗浄した。最後に、生成物をフィルターに叩き込んだ。活性固形物は約40質量%であり、粘度は約7,700cpsであった。得られたポリマーは、約1.5%のステアリルアクリレートを含んでいた。
【0047】
2.ステアリルアクリレートで変性させたポリAPTAC(分子量Mwはおよそ1,000,000)
295.2kgの軟水、664.3kgのAPTAC(60%)、及び、11%のセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)、44%の水、及び44%のステアリルアクリレートを含む13.7kgのプレエマルションを容器に吸引した。その後、7.30kgの硫酸(50%)を加えてpHを5.1に調節した。72℃で、2.46kgの水に溶解させた0.2kgの過硫酸ナトリウムの添加により重合を開始させた。4.92kgの水を用いて管類を洗浄した。反応を1時間行った。容器を80℃以下に冷却した。2.46kgの水に溶解させた0.24kgのV-50を加えた。4.92kgの水を用いて管類を洗浄した。最後に、生成物を冷却してフィルターに叩き込んだ。得られたポリマーは、約1.5%のステアリルアクリレートを含んでいた。
【0048】
3.PEG-18ベヘニルエーテルメタクリレート(BEM)で変性させたポリAPTAC(分子量Mwはおよそ500,000)
328.0kgの軟水、633.3kgのAPTAC(60%)、及び20kgのポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテルメタクリレート(50%)を容器に吸引した。その後、4.10kgの硫酸(50%)を加えてpHを5.0に調節した。5.0kgの水を用いて管類を洗浄した。60℃で、0.15kgの2-メルカプトエタノールを容器に加えた。2.70kgの水に溶解させた0.30kgのVA-044を用いて重合を開始させた。最高温度に達した後、5.4kgの水に溶解させた1.0kgのV50を加えた。最後に、生成物をフィルターに叩き込んだ。活性固形物は約40質量%であり、粘度は約13,000cpsであった。得られたポリマーは、約1.5%のBEMを含んでいた。
【0049】
(比較例1)
ベンチマークとして、二種類の市販の濯ぎ落とすコンディショナーを適用し濯ぎ落とし、さらに簡易シャンプー製剤(12質量%のラウリルエーテル(2EO)硫酸ナトリウム、2質量%のコカミドプロピルベタイン)で洗浄した後に試験した。前記製品を髪1gあたり0.2グラムの濯ぎ落とすコンディショナーとして適用した。使用した髪は、無傷の茶色の髪を1時間漂白することにより損傷させた。この髪を、さらなる全ての試験に用いた。シャンプーは、髪1グラムあたり0.1グラム適用し、その後濯ぎ落とした。
【0050】
【表1】
【0051】
櫛梳き測定を、手動で髪のもつれ解きをすることなく、テクスチャーアナライザーで行った。髪房を櫛で梳くために要するエネルギーを、gf-mmで表した。実施例1aは、カチオン性ポリマーをカチオン性界面活性剤と共に含んでいた。実施例1bは、カチオン性界面活性剤のみを含んでいた。上記表1からは、いずれの実施例も、初期のコンディショニング特性に優れていることが明らかであるが、カチオン性界面活性剤が長期間継続するコンディショニングを提供しないことも明らかである。
【0052】
(実施例2:ポリAPTACホモポリマー)
ポリAPTACホモポリマーの特性を表2に示す。
【表2】
【0053】
ポリAPTACホモポリマーを、2.45%の脂肪アルコール及び0.65%のカチオン性界面活性剤中に1質量%として試験した。2.45%の脂肪アルコール及び0.65%のカチオン性界面活性剤を含む参照例を使用した。コンディショナーを損傷した髪に適用し(漂白した髪1グラムあたり0.2グラム、1時間漂白)、水で濯ぎ、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後、ウェットコーム(wet comb)エネルギーをインストロンで測定した。試験結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
表3に示される上記結果から、高いMwを有するポリAPTACホモポリマーがよりよい性能をもたらすことは明らかである(実施例2e)。しかし、様々なポリマー間の相違は小さく、低いMw(100,000)の場合のコームエネルギー結果は十分であり、全ての組み合わせが参照例よりも優れた性能を示す。
【0056】
実施例2fは、4.8meq/gのカチオン電荷及び500,000ダルトンのMwを有するポリAPTACであった。これは、非常に低用量であってさえ、十分に処方されたシリコーン含有コンディショナーと比較してもより優れたコームエネルギーをもたらす。
【0057】
結果を表4に示す。ウェットコームエネルギー値を、テクスチャーアナライザーで測定した。コンディショナーを、損傷した髪に、漂白した髪1グラムあたり0.05g適用し(1時間漂白)、洗い流さずにおき、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後に、ウェットコームエネルギーを測定した。
【0058】
【表4】
【0059】
実施例2d及び2fを、1%のポリクアテルニウム-55、0.65%のカチオン性界面活性剤、及び2.45%の脂肪アルコールを含む実施例1d(比較例)と比較した。ポリクアテルニウム-55は、カチオン性ポリマーの例であった。コンディショナーを、損傷した髪に、漂白した髪1グラムあたり0.2g適用し(1時間漂白)、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後に、ウェットコームエネルギーを測定した。
【0060】
【表5】
【0061】
表5に示される結果から、シリコーンを含まないシャンプーで数回洗浄した後の実施例2d及び2fのコンディショニング性能は、比較例1dに記載されたカチオン性ポリマーと比較してより優れていることが明確に読み取れる。
【0062】
ポリAPTACホモポリマーもまた、カチオン性界面活性剤と組み合わせて使用することができるが、驚くべきことに、付加的なカチオン性界面活性剤を使用しない場合のコームエネルギー値がさらに低値であることが判明した。実施例2fを、ポリAPTACホモポリマーが1%、Mwが500,000ダルトン、及び脂肪アルコールが3%の実施例6aを含む製剤と比較した。
【0063】
コンディショナーを、損傷した髪に、漂白した髪1グラムあたり0.2g適用し(1時間漂白)、洗い流さずにおき、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1回及び3回洗浄した後に、ウェットコームエネルギーを測定した。結果を表6に示す。
【0064】
【表6】
表6に示される結果から、驚くべきことに、シリコーンを含まないシャンプーで数回洗浄した後でも、コンディショニング性能が改善されていることが読み取れる。
【0065】
(実施例3:色の保持)
ポリAPTACホモポリマーを含むコンディショニングシステムで複数回洗浄した後に改善された性能としては、さらにヘアカラーの色落ちを防ぐ値がある。髪房をその色落ち問題が知られる赤い染料で処理した。使用したヘアカラーは、Loreal Garnier Nutrisse Creme level 3製のパーマネントカラーであった。使用した過程は以下の通りである。
・ 発色(developing)クリームの入った適用ボトルを開け、チューブから染料を加え、ボトルを閉じ、均一な混合物になるまで振った。
・ 乾いた毛房に、房の長さに亘って約1分間撫で下ろすことにより、即座に染色過程を開始した。
・ 前記髪をアルミホイルで被い、30分間待った。
・ 水が完全に澄むまで髪をマッサージすることにより、水(35℃)で濯ぎ落とした。
・ 操作により、シリコーンを含まないマイルドなシャンプーで洗浄するか、または髪房をまずコンディショナーで処理した。
・ 髪を最初に洗浄した場合は、洗浄後にコンディショナーを適用した。
・ 髪を最初にコンディショナーで処理した場合は、髪はその後に洗浄した。
・ 翌日まで髪を乾燥させた。
・ BYKガードナーの分光光度計を用いて色指数(L*a*b*)における変化を測定した。
全髪色ΔL(+より明るい)
赤−緑Δa(+より赤色、−より緑色)
黄−青(より黄色、より青色)
全変化 ΔE=[(ΔL)
2+(Δa)
2+(Δb)
2]
1/2
・ 髪房を、白い紙の上で標線の間に均一に置き、その上にガラスプレートをのせて表面をさらに均一にした。
・ 髪房の別々の位置で5回測定した。
【0066】
試験を、コンディショナー(0.65%/2.45%のカチオン性界面活性剤/脂肪アルコール中1%の実施例2fのポリマー;髪1グラムあたり0.2グラムの用量)を用いた髪房の処理で実施した。染色過程の直後、過剰のヘアダイを水で濯ぎ落とした。その後、髪を、シリコーンを含まないシャンプーSLES/CAPB 12/2%で洗浄した後、髪をコンディショナーで処理した。この洗浄サイクルを10回繰り返し、色の差ΔEを、3回、5回、及び10回の洗浄サイクル後に測定した。コンディショナーを、さらにFructisカラーレジストコンディショナーと比較した。試験結果を表7に示す。
【0067】
【表7】
【0068】
この表からは、実施例2fが、特に色を保護する目的で開発された市販のコンディショナーと比較すると、この色システムに対して、複数回の洗浄の後の色保持にも実質的な改善を確かに示すことが明らかである。
【0069】
この試験は、コンディショナー(0.65%/2.45%のカチオン性界面活性剤/脂肪アルコール中1%の実施例2fのポリマー;髪1グラムあたり0.2グラムの用量)を用いた髪房の処理で実施した。この処理は、染色過程の直後、過剰なヘアダイをまず水で濯ぎ落とした時点で行われた。まずコンディショニングした髪房を、その後シリコーンを含まないシャンプーSLES/CAPB 12/2%で洗浄した。さらに、このコンディショナーを、3回、5回、及び10回のシャンプー洗浄後に、コンディショナー処理を行っていない髪及びFructis染料パッケージのコンディショナーと比較した。使用したシャンプーは、12質量%のSLES及び2質量%のCAPBのものであった。試験結果を表8に示す。
【0070】
【表8】
【0071】
この表からは、実施例2fが、コンディショナー処理を行っていない髪及び染料パッケージのコンディショナーと比較すると、この色システムに対して、複数回の洗浄の後の色保持に実質的な改善を確かに示すことが明らかである。表8及び表7の結果を比較すると、適用方法が結果に影響を及ぼすことが見て取れる。コンディショナーがシャンプーの前に適用された場合に、複数回洗浄後の全体的な色保持は改善された。
【0072】
(実施例4:初期の及び長期継続する疎水性)
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて活性剤1質量%として使用した。ポリAPTACホモポリマーを含む基本ポリマー溶液を、漂白した白人の髪に、それぞれ0.2g/gで適用し、24時間に亘り乾燥させた。その後、処理した髪房を、髪に水滴を適用することによって疎水性について試験した。
図1及び2は、実施例2fのポリマー溶液で処理した髪房の表面の水滴の写真である。
図2は、ポリマー溶液を髪房に適用した後にシリコーンを含まないシャンプーで5回洗浄した髪房を示す。
図1及び2からは、処理された髪房は、これら髪房の表面上の水滴が大きな接触角を示したことから、事実上非常に疎水性であることが明らかに見て取れる。
【0073】
図2からは、主要界面活性剤として使用されたラウレス硫酸ナトリウム中に存在するアルキル基との相互作用により、多数の洗浄の後に疎水性が増大したことが明らかに見て取れる。
【0074】
水滴は、髪表面上に10分間以上留まることが観察された。この水滴の挙動が、処理された髪房の疎水性の証拠であった。
【0075】
図3は、市販のコンディショナーで処理した、漂白された白人の髪に適用された水滴の写真である。
図3からは、市販のコンディショナーで処理された髪房には、
図1及び2で処理された髪房に観察されたものと同程度の疎水性が付与されていないことが明らかに見て取れる。市販のコンディショナーで処理した髪房では、水滴は、髪房表面と小さな接触角を示し、吸収されるか、少なくともこの水滴の適用直後に髪房表面に広がった。
【0076】
(実施例5:初期の及び長期継続する疎水性)
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE
2S、2質量%のCAPB)で5回洗浄し、5回目の後、髪房を疎水性の維持について試験した。
【0077】
図4は、髪房上の水滴の写真である。
図4は、実施例2fのポリAPTACホモポリマーが、処理された髪に、シャンプーで5回洗浄した後にも長期継続する疎水性を提供したことを明示する。
【0078】
(実施例6:髪表面へのポリマーの付着)
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを髪1グラムあたり0.1グラムの洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE
2S、2質量%のCAPB)で5回洗浄し、処理された髪房の表面を走査電子顕微鏡を用いて研究した。
【0079】
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを髪1グラムあたり0.1グラムの洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE
2S、2質量%のCAPB)、その後、髪1グラムあたり0.2グラムを用いる洗浄サイクルで5回処理し、処理された髪房の表面を走査電子顕微鏡(SEM)及び原子間蛍光顕微鏡(AFM)を用いて研究した。
【0080】
図5からは、実施例2fをコンディショナーとしてした場合、髪表面に付着しうることが見て取れる。広範に広がったフィルム状付着物が明らかに見られる。
【0081】
図6及び7からは、実施例2fをコンディショナーとしてした場合、損傷した髪表面を滑らかにしうることが見て取れる。キューティクルが髪表面に整列している。
図6からは、効果が長期継続することが見て取れる。洗浄シャンプーを用いた5回の洗浄の後にも、キューティクルは髪表面に滑らかに並び、均一な層をなしている。
【0082】
接触角が大きいほど表面の疎水性が大きい。損傷のない無傷の茶色の髪は、本来疎水性であるが、漂白等の化学的処理は髪の疎水性を低減させる。表9は、接触角に対する漂白の影響を示す。
【0083】
【表9】
【0084】
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE
2S、2質量%のCAPB)で5回洗浄した。処理された髪房の接触角を、最初の洗浄の前、洗浄2回後、及び洗浄5回後に測定した。試験結果を表10に示す。
【表10】
【0085】
表10からは、中程度に漂白された白人の髪房を処理することにより、漂白された元々の髪房(85°)と比較して接触角の値がより大きくなったことが見て取れる。処理された髪房の疎水性が、少なくとも洗浄5回の間は保持されることもまた示される。
【0086】
長期継続する疎水性が表11に示される。600秒後でさえも、実施例2fで処理した髪房が疎水性であることが見て取れる。
【表11】
【0087】
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE
2S、2質量%のCAPB)で5回洗浄した。処理された髪房の接触角を、最初の洗浄の前及び洗浄2回後に測定した。試験結果を表12に示す。
【表12】
【0088】
上記表12からは、中程度に漂白された白人の髪房を処理することにより、漂白された元々の髪房(85°)と比較して接触角の値がより大きくなったことが見て取れる。洗浄シャンプーでの洗浄後に、ポリAPTACホモポリマーと界面活性剤との相互作用により接触角の値が増大したことが見て取れる。最小分子量は200,000以上であれば、分子量が大きいほど接触角も大きいこともまた見て取れる。
【0089】
経験を積んだ専門家のパネルは、処理された髪房の感覚特性を評価することができ、結果を、測定値、例えばコームエネルギー値とともにまとめる。
【0090】
感覚特性は、消費者の許容に不可欠な部分である。感覚評価を活用して、多数回使用の後の長期に亘る特性を決定することができる。
【0091】
実施例2fのポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを髪1グラムあたり0.1グラムの洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE
2S、2質量%のCAPB)、その後、髪1グラムあたり0.2グラムを用いる洗浄サイクルで5回処理した。全ての評価について髪房を3つ準備した。髪房の感覚特性を、第1洗浄サイクルの後及び第5洗浄サイクルの後に評価した。洗浄サイクルは、日常の状況を模倣した。
【0092】
表13は、髪1gあたり0.2gの、実施例2fの濯ぎ落とすコンディショナーで処理された湿った髪房の感覚評価の結果を示す。洗浄には、シリコーンを含まない簡易シャンプー(12質量%のSLE
2S、2質量%のCAPB)を髪1gあたり0.1gで使用した。髪房には、その挙動に基づいて数字を付した。上記評価において使用した等級付けシステムでは、等級1が最低であり、等級5が最高の値であった。
【表13】
【0093】
表13からは、第1回の洗浄サイクル後の結果が既に良好であることが見て取れる。5回の洗浄サイクルの後には、感覚特性がさらに改善され、非常に良好である。髪房は、全てのカテゴリーにおいて良好な結果を示し、否定的な副作用は全く見られなかった。
【0094】
(実施例7:ポリAPTACホモポリマーと様々な界面活性剤との組み合わせ)
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、2.5%の脂肪アルコール及び0.7%のカチオン性界面活性剤中に1質量%として試験した。この実施例に使用したカチオン性界面活性剤は、セトリモニウムクロライド(実施例7a)、ベヘントリモニウムクロライド(実施例7b)、及びステアラミドプロピルジメチルアミン(実施例7c)であった。ポリAPTACホモポリマー/界面活性剤コンディショナー組成物を、損傷した髪に適用し(漂白された髪1グラムあたり0.2グラム、1時間漂白)、水で濯ぎ、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後、ウェットコームエネルギーをテクスチャーアナライザーで測定した。試験結果を表14に示す。
【表14】
【0095】
表14に示される上記結果から、ポリAPTACホモポリマーは、様々なカチオン性界面活性剤と組み合わせることができ、非常に低いコームエネルギー値をもたらすことが明らかである。
【0096】
(実施例8:疎水変性ポリAPTAC(Mw=1,000,000))
ポリAPTACを、様々な濃度で疎水性コモノマーを使用して疎水変性した。この実施例で使用した疎水性コモノマーの濃度は、1.5質量%(実施例8a)3質量%(実施例8b)、及び5質量%(実施例8c)であった。ステアリルアクリレートを、各ポリAPTAC変性において、疎水性コモノマーとして使用した。これら実施例の分子量は、1,000,000ダルトンであった。得られた疎水変性ポリマーを、2.45%の脂肪アルコール及び0.65%のカチオン性界面活性剤中に1質量%として試験した。参照として、付加的カチオン性ポリマーを含まないコンディショナー枠組みを試験し、疎水変性ポリAPTACを含むコンディショナー試料と比較した。全てのコンディショナー試料を損傷した髪に適用し(漂白した髪1グラムあたり0.2グラム、1時間漂白)、水で濯ぎ、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後、ウェットコームエネルギーをテクスチャーアナライザーで測定した。試験結果を表15に示す。
【表15】
【0097】
表15に示される上記結果から、疎水変性ポリマーは、この上ない長期継続性利益をさらに示す非常に低いコームエネルギー値をもたらすことが明らかである。
【0098】
(実施例9:疎水変性ポリAPTAC(Mw=5000,000))
様々な濃度の疎水性コモノマーを使用した疎水変性APTACを、この実施例にも示した。ステアリルアクリレートを、疎水性コモノマーとして使用した。ステアリルアクリレートの濃度は、1.5質量%(実施例9a)3質量%(実施例9b)、5質量%(実施例9c)、及び10質量%(実施例9d)であった。
【0099】
得られた疎水変性ポリマーを、3%の脂肪アルコール中に1質量%として試験した。参照として、脂肪アルコール中のポリAPTACホモポリマーを使用した。これら全てのポリマーは、約500,000ダルトンの分子量を有していた。さらに、付加的カチオン性ポリマーを含まないコンディショナー枠組みを試験し、ポリAPTACホモポリマー及び疎水変性ポリAPTACを含むコンディショナー例と比較した。全てのコンディショナー試料を損傷した髪に適用し(漂白した髪1グラムあたり0.2グラム、1時間漂白)、水で濯ぎ、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後、ウェットコームエネルギーをテクスチャーアナライザーで測定した。試験結果を表16に示す。
【表16】
【0100】
表16に示される上記結果から、疎水変性ポリマーは、この上ない長期継続性利益をさらに示す非常に低いコームエネルギー値をもたらすことが明らかである。疎水変性によれば、ホモポリマーと比較して、初期ウェットコームエネルギー値が低減されることも明白である。疎水変性のレベルが高いほど、初期ウェットコームエネルギー値が低くなる。
【0101】
PEG-18ベヘニルメタクリレート(BEM)を疎水性コモノマーとして、2.5質量%(実施例9e)、5質量%(実施例9f)、及び10質量%(実施例9g)の濃度で使用した。得られる疎水変性ポリマーを、2.45%の脂肪アルコール及び0.65%のカチオン性界面活性剤中に1質量%として試験した。参照として、ポリAPTACホモポリマーを、2.45%の脂肪アルコール及び0.65%のカチオン性界面活性剤中に1質量%として試験した。これら全てのポリマーは、約500,000ダルトンの分子量を有していた。さらに、付加的カチオン性ポリマーを含まないコンディショナー枠組みを試験し、ポリAPTACホモポリマー及び疎水変性ポリAPTACを含むコンディショナー例と比較した。全てのコンディショナー試料を損傷した髪に適用し(漂白した髪1グラムあたり0.2グラム、1時間漂白)、水で濯ぎ、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後、ウェットコームエネルギーをテクスチャーアナライザーで測定した。試験結果を表17に示す。
【表17】
【0102】
表17に示される上記結果から、疎水変性ポリマーは、この上ない長期継続性利益をさらに示す非常に低いコームエネルギー値をもたらすことが明らかである。疎水変性によれば、ホモポリマーと比較して、初期ウェットコームエネルギー値が低減されることも明白である。疎水変性のレベルが高いほど、初期ウェットコームエネルギー値が低くなる。
【0103】
(実施例10:接触角−疎水変性ポリAPTAC(Mw=500,000))
表18は、接触角に対する漂白の影響を示す結果を示す。
【表18】
【0104】
実施例9a-9dの疎水変性ポリAPTACを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール3質量%と共に活性剤1質量%として使用した。ポリAPTACホモポリマー(Mw 500,000)を参照として使用した。基本コンディショナー製剤を、中程度に損傷した白人の髪に、髪1gあたり0.2gで適用し、濯ぎ流した。試験結果は、以下の表19に示される。
【表19】
【0105】
表19からは、中程度に漂白された白人の髪房を処理することにより、漂白された元々の髪房(85°)と比較して接触角の値がより大きくなったことが見て取れる。疎水処理によれば、初期接触角値が増大することも示される。
【0106】
実施例8aの疎水変性ポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE
2S、2質量%のCAPB)で2回洗浄した。処理された髪房の接触角を、最初の洗浄の前及び洗浄2回後に測定した。この製剤を、脂肪アルコールとカチオン性界面活性剤とからなる参照、並びに、ポリAPTACホモポリマー(Mw=1,000,000)を含む製剤と比較した。試験結果を表20に示す。
【表20】
【0107】
上記表から、実施例8aに示される疎水変性が、参照及びポリAPTACホモポリマーを含む製剤と比較して、非コンディショニングシャンプーでの数回の洗浄の後でさえも、髪表面の疎水性を改善していることが見て取れる。
【0108】
(実施例11:エマルション安定化)
典型的なコンディショナー製剤は、主要乳化剤、共乳化剤、例えば、脂肪アルコール、及びカチオン性界面活性剤、例えば、セトリモニウムクロライドもしくはベヘントリモニウムクロライドからなる水中油型(o/w)エマルションである。ポリAPTACホモポリマーは、乳化特性を全く持たず、このためカチオン性界面活性剤をポリAPTACホモポリマーで完全に置き換えることはできない。実施例9a乃至9dに示されるポリAPTACの疎水変性は、カチオン性ポリマーのエマルション安定化特性を改善した。
図8は、3質量%の脂肪アルコールと組み合わせた1質量%のポリAPTACホモポリマー(Mw=1,000,000)からなるコンディショナーの典型的な構成を示す。
図9は、3質量%の脂肪アルコールと組み合わせた実施例9cの疎水変性ポリAPTACを示す。疎水変性がエマルション安定化特性を改善したことが明白に読み取れる。
【0109】
(実施例12:界面活性剤ベースの応用)
疎水変性により、ポリAPTACは、界面活性剤ベースの応用のためには、ポリAPTACポリマー(参照としてMw=1,000,000)よりも好適となる。高いカチオン電荷のために、ホモポリマーはアニオン性界面活性剤と共に複合体を形成しがちである。下記の表21は、12質量%のSLES 2EO及び2質量%のCAPBと組み合わせた0.2質量%の実施例9eのウェットコームエネルギー結果を示す。結果は、シリコーンを含まない市販のシャンプーと比較される。
【表21】
【0110】
上記表から、実施例9eが市販の製品よりも優れた性能を示すことが見て取れる。その性能は、洗浄3回後でさえも維持される。
【0111】
開示された情報を詳説する目的のために、相当され得るあらゆる成分または方法論の組み合わせを記載することは、むろん不可能であるが、当業者であれば、開示された情報の多くのさらなる組み合わせ及び変更が可能であることを認識することができる。従って、開示された情報は、添付の特許請求の範囲の精神及び範疇に含まれる、こうした全ての交代、変形、及び変更を包含することを企図する。