特許第6189868号(P6189868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6189868ケラチン物質に即時の及び長期継続する利益を提供するためのコンディショニング組成物用添加剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189868
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】ケラチン物質に即時の及び長期継続する利益を提供するためのコンディショニング組成物用添加剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20170821BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61Q5/12
【請求項の数】17
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-556775(P2014-556775)
(86)(22)【出願日】2013年2月11日
(65)【公表番号】特表2015-506984(P2015-506984A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】US2013025531
(87)【国際公開番号】WO2013122861
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2016年2月3日
(31)【優先権主張番号】61/598,031
(32)【優先日】2012年2月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512118196
【氏名又は名称】ハーキュリーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】パキータ・エラーゾ−マイェヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ハイスベルト・クルーン
(72)【発明者】
【氏名】ナビル・ナオウリ
(72)【発明者】
【氏名】トゥットゥ・マリア・ヌーティネン
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー・ジーフェルリンク
【審査官】 石川 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06489286(US,B1)
【文献】 特表2005−529159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/81
A61Q 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)疎水変性ポリ(アクリルアミド-N-プロピルトリメチルアンモニウムクロライド)(ポリAPTAC);及び
b)水
を含む、ケラチン表面に即時の及び長期継続する利益を提供するためのコンディショニング組成物用添加剤であって、
前記疎水変性ポリAPTACは、前記コンディショニング組成物用添加剤全量の0.1乃至20質量%の量で存在し、1至8meq/gの範囲のカチオン電荷密度を有
前記疎水変性ポリAPTACが、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アルキルエトキシレート(メタ)アクリレート、エチレングリコールベヘニルエーテルメタクリレート、及びアルキルアリール(メタ)アクリレートからなる群より選択される1.5質量%乃至15質量%の疎水性コモノマーを含む
コンディショニング組成物用添加剤。
【請求項2】
前記疎水変性ポリAPTACが、100,000乃至1,000,000g/molの範囲の分子量を有する、請求項1に記載のコンディショニング組成物用添加剤。
【請求項3】
前記疎水変性ポリAPTACが、200,000乃至500,000g/molの範囲の分子量を有する、請求項2に記載のコンディショニング組成物用添加剤。
【請求項4】
多糖類及びカチオン性合成ポリマーからなる群より選択される直接付着ポリマーをさらに含む、請求項1に記載のコンディショニング組成物用添加剤。
【請求項5】
前記多糖類が、セルロース誘導体である、請求項4に記載のコンディショニング組成物用添加剤。
【請求項6】
前記セルロース誘導体が、ヒドロキシエチルセルロースである、請求項5に記載のコンディショニング組成物用添加剤。
【請求項7】
前記ヒドロキシエチルセルロースが、疎水変性されたヒドロキシエチルセルロースである、請求項6に記載のコンディショニング組成物用添加剤。
【請求項8】
前記多糖類が、ポリガラクトマンナンである、請求項4に記載のコンディショニング組成物用添加剤。
【請求項9】
前記ポリガラクトマンナンが、グアーである、請求項8に記載のコンディショニング組成物用添加剤。
【請求項10】
前記グアーが、疎水変性されたグアーである、請求項9に記載のコンディショニング組成物用添加剤。
【請求項11】
前記疎水変性ポリAPTACが、4至6meq/gの範囲のカチオン電荷密度を有する、請求項1に記載のコンディショニング組成物用添加剤。
【請求項12】
前記疎水変性ポリAPTACが、前記コンディショニング組成物用添加剤の全質量の0.25質量%から5質量%の量で存在する、請求項1に記載のコンディショニング組成物用添加剤。
【請求項13】
前記疎水性コモノマーが、ステアリルアクリレートを含む、請求項1に記載のコンディショニング組成物用添加剤。
【請求項14】
a) ケラチン表面に即時の及び長期継続する利益を提供するためのコンディショニング組成物用添加剤;及び
b)パーソナルケア活性成分
を含むコンディショニング組成物であって、
前記コンディショニング組成物用添加剤が、疎水変性ポリ(アクリルアミド-N-プロピルトリメチルアンモニウムクロライド)(ポリAPTAC)及び水を含み、
前記疎水変性ポリAPTACが、前記コンディショニング組成物用添加剤全量の0.1乃至20質量%の量で存在し、且つ、1至8meq/gの範囲のカチオン電荷密度を有
前記疎水変性ポリAPTACが、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アルキルエトキシレート(メタ)アクリレート、エチレングリコールベヘニルエーテルメタクリレート、及びアルキルアリール(メタ)アクリレートからなる群より選択される1.5質量%乃至15質量%の疎水性コモノマーを含む
コンディショニング組成物。
【請求項15】
ヘアケア製品を構成する、請求項14に記載のコンディショニング組成物。
【請求項16】
スキンケア製品を構成する、請求項14に記載のコンディショニング組成物。
【請求項17】
ケラチン表面に即時の及び長期継続する利益を提供する方法であって、
コンディショニング組成物を前記ケラチン表面に適用する工程を含み、
前記コンディショニング組成物が、コンディショニング組成物用添加剤及びパーソナルケア活性成分を含み、
前記コンディショニング組成物用添加剤が、疎水変性ポリ(アクリルアミド-N-プロピルトリメチルアンモニウムクロライド)(ポリAPTAC)及び水を含み、
前記疎水変性ポリAPTACが、前記コンディショニング組成物用添加剤全量の0.1乃至20質量%の量で存在し、且つ、1至8meq/gの範囲のカチオン電荷密度を有
前記疎水変性ポリAPTACが、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アルキルエトキシレート(メタ)アクリレート、エチレングリコールベヘニルエーテルメタクリレート、及びアルキルアリール(メタ)アクリレートからなる群より選択される1.5質量%乃至15質量%の疎水性コモノマーを含む
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年2月13日に出願された米国特許仮出願第61/598,031号の権益を主張し、その内容の全体を、参照により本明細書に組み込むこととする。
【背景技術】
【0002】
本明細書中に開示され、特許請求の範囲に記載される発明の概念は、髪及び皮膚のためのコンディショニングシステムなどの、ケラチン物質に即時の且つ長期継続する利益を提供する目的でケラチン物質に使用するための、コンディショニング組成物用添加剤である。とりわけ、このコンディショニング組成物用添加剤は、疎水変性ポリ(アクリルアミド-N-プロピルトリメチルアンモニウムクロライド)及び水を含む。本明細書中に開示され、特許請求の範囲に記載される発明概念のコンディショニング組成物用添加剤は、優れたもつれ解き特性、改善された疎水性、及び多数回の洗浄サイクルの間もヘアカラー保持を提供できる。本明細書中に開示され、特許請求の範囲に記載される発明概念は、前記コンディショニング組成物用添加剤を含むコンディショニング組成物、並びに前記コンディショニング組成物用添加剤の適用方法を更に含む。
【0003】
損傷のない無傷の髪は滑らかで光沢があり、髪の表面のキューティクルは滑らかに並んでいるため、髪の櫛梳きが容易である。髪の表面はまた、本来は疎水性であり、洗浄の際の過剰な水吸収を妨げる。髪が、脱色、パーマ処理、または着色によって物理的または化学的に損傷した場合、髪表面は粗く縮れ、もつれ解き及び髪の櫛梳きが困難になる。髪表面が水をさらに吸収しやすくなる結果、洗浄中に髪繊維は膨張し、髪の櫛梳きはさらにいっそう困難になる。無傷の髪の特性を保持し、起こり得る損傷を回避するように設計されたヘアケア製品がますます求められている。
【0004】
損傷した髪のための現行のコンディショニングシステムは、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン、脂肪アルコール、ポリクオタニウム、アミノ酸、タンパク質、脂質、及び保湿剤の一つもしくは複数の組合せを使用する。損傷した髪の湿式コンディショニングは、髪のアニオン電荷を、正電荷を帯びた界面活性剤によって中和し、界面活性剤及びポリマーから疎水性層を形成することによって達成される。この疎水性層は、髪をより吸水しにくくし、髪繊維の摩擦を低減することによって、髪繊維の膨張の低減をもたらす。湿式コンディショニングの総合的な結果は、髪のもつれ解き、扱いやすさ、及び柔らかな感触の改善である。シャンプー、2/1シャンプー、ボディーウォッシュ、またはシャワーゲル等のクレンジングシステムを用いた処理を行うと、髪の櫛梳き性能、もつれ解き特性、及び疎水性、並びに潤滑性が、十分に維持されない
【0005】
シリコーンは、従来ヘアケア応用に使用されており、コンディショニング特性、例えば、櫛梳き及びもつれ解きの容易さ、色の保持、滑らかさ、及び疎水性を提供する。シリコーンは、髪表面に薄膜を形成することによって機能するが、これらシリコーンは、シリコーンの性質によって、自己付着性であるか、または付着のためにさらなるカチオン性成分を必要とする。
【0006】
伝統的なコンディショニング製品、例えば、濯ぎ落とす製品及び洗い流さない製品には、カチオン性/両性界面活性剤(例えば、ベヘントリモニウムクロライド、セトリモニウムクロライド、ステアラミドプロピルジメチルアミン等)と脂肪アルコール(例えば、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール)との、製剤の枠組みを含む。この枠組みに加えて、前記製剤は、典型的には、シリコーン(例えば、アモジメチコン、ジメチコン)、油、及びタンパク質(加水分解タンパク質、四級化タンパク質など)等の有効成分を含む。これらの伝統的なコンディショニング製品は、シャンプーなどのクレンジング製品を用いて洗浄した際に、ケラチン表面に長期継続する利益をもたらさない。
【0007】
本明細書及び特許請求の範囲に記載される発明概念の、さらなる実施態様は、添付の図面と共に理解することができる。
【0008】
例示的な図面、実験、結果、及び検査法によって本発明概念の少なくとも一つの実施形態を詳説するに先立ち、本発明概念が、その応用において、以下の説明中に記載されるかまたは図面、実験、及び/結果に詳説される構成の詳細及び構成要素の取り決めに限定されないことが理解されるべきである。本発明概念は、別の実施態様であってよく、また、多様な方法で実践もしくは実施することができる。このように、本明細書で使用される言語には、可能な限り広い範囲及び意味を持つことが意図され、実施態様は網羅的なものではなく、例示を企図したものである。また、本明細書で使用される用法及び用語は、説明のためのものであり、限定的とみなされるべきではないことを理解されたい。
【0009】
本明細書中で別途定義しない限り、本発明概念に関連して使用される科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によって必要とされない限り、単数形の用語には複数の意味が含まれ、複数形の用語には単数の意味が含まれる。一般的に、本明細書中に記載される化学に関して使用される技術用語及び技術は、当業者には周知であり、通常使用されているものである。反応及び精製技術は、製造者の仕様書に従うか、または、当分野で一般的に遂行されるように、または、本明細書に記載のように実施される。本明細書中に記載される分析化学、有機合成化学、医薬品化学、及び薬化学に関して使用される技術用語及び検査法及びその技術は、当業者には周知であり、通常使用されているものである。標準的な技術が、化学合成、化学分析、薬剤調合、製剤、及び送達、並びに患者の治療に使用される。
【0010】
本明細書中で言及される全ての特許、公開特許公報、及び非特許文献は、本明細書及び特許請求の範囲に現在記載される発明概念に関係する当業者の技術レベルを示す。本明細書中のいかなる部分に言及される全ての特許、公開特許公報、及び非特許文献は、これら個別の特許または公報がそれぞれ個別具体的に参照のために援用される旨が表示されていた場合と同様に、その全体を、参照のために援用することとする。
【0011】
本明細書及び特許請求の範囲に開示される全ての組成物及び/方法は、本明細書の開示に照らして、過度の実験を行うことなく実現することができる。本発明の組成物及び方法が好ましい実施態様に関して開示されている一方で、当業者には、本発明の概念、精神、及び範囲から乖離することなく、前記組成物/方法に、また、本明細書中に記載された方法の工程に、または一連の工程に、変更を適用してよいことが明らかである。当業者には、こうした全ての同等置換及び変更が、添付の特許請求の範囲に定義される本発明概念の精神、範囲、及び概念の範疇にあることが明らかである。
【0012】
本明細書に使用されている通り、以下の用語は、特記のない限り、以下の意味を有すると理解される。
【0013】
特許請求の範囲及び/または明細書中で「含む」なる語と共に使用された場合、「一つの」なる語の使用は、「一」を意味してよいが、これはまた、「一つもしくは複数」、「少なくとも一つ」、及び「一つもしくはそれ以上」の意味とも矛盾のないものである。本明細書が別の選択肢及び「及び/または」のみを意味する定義を裏付けるものの、特許請求の範囲の「もしくは」なる語は、別の選択肢のみを意味する旨が特記されているか、または選択肢が相互排他的である場合を除き、「及び/または」を意味して使用される。本明細書を通して、「約」なる語は、値が、前記値の測定に使用される装置及び方法に内在する誤差の変動、及び/または研究対象間に存在する変動を含む値を示すために使用される。「少なくとも一つ」なる語の使用は、1並びに、以下に限定されるものではないが、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100等の1より大なる量を含むと理解される。「少なくとも一つ」なる語は、その付随する語により、100もしくは1000、あるいはそれ以上に拡張されてよく、また、さらなる上限も十分な結果をもたらしうることから、100/1000の量は限定的にとらえられるべきでない。さらにまた、「X、Y、及びZの少なくとも一つ」なる語の使用は、Xのみ、Yのみ、Zのみ、並びにX、Y、及びZのあらゆる組み合わせを含むと理解される。
【0014】
本明細書及び特許請求の範囲中に使用されるように、「含んでいる」(及び含んでいるのあらゆる形態、例えば「含む」)、「有している」(及び有しているのあらゆる形態、例えば「有する」)、「含有している」(及び含有しているのあらゆる形態、例えば「含有する」)、または「包含している」(及び包含しているのあらゆる形態、例えば「包含する」)なる語は、包括的もしくは制限のないものであり、付加的な、明記されていない構成要素または操作工程を排除するものではない。
【0015】
本明細書中に使用されるように、「またはその組み合わせ」は、その語の前に挙げられた項目の全ての並べ方及び組み合わせを意味する。例えば、「A、B、C、またはその組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCの少なくとも一つを含むことを企図し、特定の文脈において順番が重要である場合には、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABの少なくとも一つを含むことも企図する。この例に続き、明確に含まれるのは、一つもしくは複数の項目または語の繰り返しを含む組み合わせ、例えば、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等である。当業者であれば、文脈からそうでないことが明らかでない限り、典型的には、組み合わせられる項目または語の数に制限はないことを理解するであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願番号第13/168,690号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本明細書及び特許請求の範囲に開示される発明概念は、ケラチン表面に即時の且つ長期にわたる利益を提供するコンディショニング組成物用添加剤に関する。このコンディショニング組成物用添加剤は、疎水変性ポリ(アクリルアミド-N-プロピルトリメチルアンモニウムクロライド)(ポリAPTAC)及び溶媒を含む。非限定的な一実施態様では、前記溶媒は水を含む。前記疎水変性ポリAPTACは、前記コンディショニング組成物用添加剤の全質量の、約0.1質量%乃至約20質量%の量で存在してよい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
驚くべきことに、比較的に低濃度(<10質量%)の疎水変性ポリAPTAC溶液であれば、ケラチン表面に、シャンプーなどの洗浄製品で洗浄した後もコンディショニングもしくはカラーリング保持の点で、即時の且つ長期継続する利益を提供できることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明によるコンディショニング組成物用添加剤で処理した、漂白された白人の毛房の表面上にある水滴の写真であり、前記コンディショニング組成物用添加剤によって毛房に付与された疎水性を示す。
図2図2は、本発明によるコンディショニング組成物用添加剤で処理した、漂白された白人の毛房の、非コンディショニングシャンプーで5回洗浄した後の表面上にある水滴の写真であり、前記コンディショニング組成物用添加剤によって毛房に付与された疎水性を示す。
図3図3は、市販のコンディショナーで処理した、漂白された白人の毛房の表面上にある水滴の写真である。
図4図4は、実施例2fのコンディショニング組成物用添加剤(2.45質量%のセテアリルアルコール、0.65質量%のカチオン性界面活性剤、及び残量の水と共に、活性剤1質量%を含有)で処理した、漂白された白人の毛房の表面上にある水滴の写真である。この毛房は、シリコーンを含まないシャンプーで5回洗浄される。
図5図5は、実施例2fのコンディショニング組成物用添加剤で処理し、以下の洗浄サイクル:12/2%のSLES/CAPBを含む、髪1グラムあたり0.1グラムの髪洗浄シャンプー及び髪1グラムあたり0.2グラムの実施例2fのヘアコンディショナーで5回洗浄した、漂白された白人の毛房の表面のAFM画像である。
図6図6は、実施例2fのコンディショニング組成物用添加剤(2.45質量%のセテアリルアルコール、0.65質量%のカチオン性界面活性剤、及び残量の水と共に、活性剤1質量%を含有)で処理した、漂白された白人の毛房の表面のSEM写真である。コンディショナーの適用後、この毛房は、髪1グラムあたり0.1グラムの髪洗浄シャンプー(12/2%のSLES/CAPB)で5回洗浄される。
図7図7は、実施例2fのコンディショニング組成物用添加剤で処理し、以下の洗浄サイクル:12/2%のSLES/CAPBを含む、髪1グラムあたり0.1グラムの髪洗浄シャンプー及び髪1グラムあたり0.2グラムの実施例2fのヘアコンディショナーで5回洗浄した、漂白された白人の毛房の表面のSEM画像である。
図8図8は、実施例2dのポリマー1%を3%のセテアリルアルコールと共に含むエマルションの光学顕微鏡の画像である。
図9図9は、実施例2cのポリマー1%を3%のセテアリルアルコールと共に含むエマルションの光学顕微鏡の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
非限定的な一実施態様では、疎水変性ポリAPTACの水中濃度は、約1.0質量%であってよい。
【0021】
溶液中のポリAPTACポリマーのコンディショニング組成物用添加剤としての典型的な濃度は、およそ1質量%であり、これは最終溶液の粘度によって約0.1質量%から約10質量%にまで調節可能である。非限定的な一実施態様では、疎水変性ポリAPTACは、コンディショニング組成物用添加剤の全質量の約0.25質量%から約5質量%の量で存在してよい。
【0022】
コンディショニング組成物用添加剤は、髪1グラムあたりの添加剤のグラム数として、疎水変性ポリAPTAC溶液の約0.01から0.5グラムの範囲で適用してよい。これは、コンディショナーの適用と同様であり、洗い流さなくても(典型的な適用量は髪1グラムあたり0.2グラム未満である)、または濯ぎ流しても(典型的な適用量は髪1グラムあたり0.1グラム以上である)よい。本明細書及び特許請求の範囲に開示される発明概念に記載される疎水変性ポリAPTACは水溶性である。
【0023】
コンディショニング組成物添加剤中の疎水変性ポリAPTACは、約1乃至約8meq/gのカチオン電荷密度を有していてよい。非限定的一実施態様では、疎水変性ポリAPTACは、約3乃至約7meq/gのカチオン電荷密度を有する。別の非限定的一実施態様では、疎水変性ポリAPTACは、約4乃至約6meq/gのカチオン電荷密度を有する。
【0024】
疎水変性ポリAPTACは、アクリルアミド-N-プロピルメチルアンモニウムクロライド(APTAC)を少なくとも一つの疎水性コモノマーと共に重合させることにより製造できる。疎水性コモノマーは、様々な疎水性レベルを提供するために、異なる量で疎水変性ポリAPTACに添加してよい。前記疎水性コモノマーは、エチレン性不飽和モノマーであってよい。本明細書に開示され、特許請求の範囲に規定される本発明概念中のコモノマーは、ナトリウムアクリレート、アクリル酸、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アルキルエトキシレート(メタ)アクリレート、エチレングリコールベヘニルエーテルメタクリレート、及びアルキルアリール(メタ)アクリレートからなる群より選択してよい。非限定的な一実施態様では、前記アルキルアクリレートは、ステアリルアクリレートであってよい。疎水コモノマーは、疎水変性ポリAPTACの全質量に基づいて、約1.5乃至約15パーセント含まれる。
【0025】
本明細書に開示され、特許請求の範囲に規定される本発明概念におけるポリマーの分子量は、標準的な分析的測定、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して測定することができる。非限定的な一実施態様では、疎水変性ポリAPTACは、約100,000乃至約1,000,000g/molの範囲の分子量を有する。非限定的な別の実施態様では、疎水変性ポリAPTACは、約200,000乃至約500,000g/molの範囲の分子量を有する。
【0026】
コンディショニング組成物用添加剤中の疎水変性ポリAPTACは、あらゆる種類のラジカル重合反応、例えば、溶液、エマルション、塊状、及び沈殿重合法を使用することにより製造することができる。一つもしくは複数の付加的モノマーもまた重合に加えることができる。付加的モノマーは、カチオン性、アニオン性、両性、及び双性イオン性のモノマーからなる群より選択することができる。例えば、以下に限定されるものではないが、疎水変性ポリAPTACは、ビニルモノマー、例えば、ビニルピロリドン(VP)、アクリレート、アクリルアミド、およびビニルアルコールと共にコポリマーを形成できる。
【0027】
疎水変性ポリAPTACはまた、他のあらゆるポリマー、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、または双性イオン性ポリマーと組み合わせることができる。本明細書中に記載され、特許請求の範囲に規定される本発明概念の疎水変性ポリAPTACは、直接付着ポリマー(substantive polymer)、例えば、以下に限定されるものではないが、セルロースもしくはガラクトマンナン骨格に基づくポリマーと組み合わせてよい。前記直接付着ポリマーは、エマルションを安定化するために疎水変性ポリAPTACと組み合わせて使用してよく、レオロジー調整剤として作用する。前記直接付着ポリマーは、ヒドロキシエチルセルロースまたはガラクトマンナンに基づくカチオン性多糖類であってよい。
【0028】
本明細書に開示され、特許請求の範囲に規定される本発明概念においては、前記直接付着ポリマーは疎水変性ヒドロキシエチルセルロースであってよい。非限定的一実施態様では、疎水変性ヒドロキシエチルセルロースは、約0.1質量%乃至約20質量%の範囲内であってよい。別の非限定的実施態様では、疎水変性ヒドロキシエチルセルロースは、約1質量%乃至約5質量%の範囲内であってよい。
【0029】
米国特許出願番号第13/168,690号に教示される直接付着ポリマー及びコンディショニングシステムもまた興味の対象であり、この文献の開示はここにその全体を参照のために援用することとする。
【0030】
疎水変性ポリAPTACは、ポリマー溶液として、または脂肪アルコールと組み合わせて送達することができる。このコンディショニング組成物用添加剤は、洗い流さないコンディショナーとして、とりわけ、濯ぎ流すコンディショナーとして、この上ないコンディショニング性能を奏することができる。疎水変性ポリAPTACは、カチオン性活性剤よりも改善されたコンディショニング性能を示す。さらに、疎水変性ポリAPTAC溶液は、単独で、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、脂肪アルコール、シリコーン、タンパク質等を添加する必要なくこれらの利点を提供することができる。
【0031】
本明細書に開示され、特許請求の範囲に規定される本発明概念はまた、ケラチン表面に即時及び長期の利益を提供するコンディショニング組成物用添加剤及びパーソナルケア活性成分を含むコンディショニング組成物に関する。
【0032】
本明細書に開示され、特許請求の範囲に規定される本発明概念のコンディショニング組成物用添加剤は、コンディショニング組成物に導入されると、即時及び長期の性能を提供する。コンディショニング組成物がヘアケア組成物である場合には、前記コンディショニング組成物用添加剤を用いて拡張できるその利益には、シャンプー、コンディショニングシャンプー、シャワーゲル等の洗浄システムを用いて複数回洗浄した後の、またスタイリング応用における、コンディショニング、もつれ解き、疎水性、改善された感覚特性、及び色の持続が含まれる。コンディショニング組成物がスキンケア組成物である場合には、前記コンディショニング組成物用添加剤を使用して拡張できるその利益には、保湿、疎水性もしくは撥水性のUVA及び/またはUVB保護が含まれる。
【0033】
コンディショニング組成物の形成においては、前記コンディショニング組成物用添加剤は、パーソナルケア活性成分との組み合わせで製剤に利益を提供する。添加剤のカチオン性の性質により、これは他の成分を髪及び皮膚に付着させるために使用することができる。他の成分の例には、以下に限定されるものではないが、シリコーン、保湿剤、及び香料、油溶性活性成分、例えば、ビタミン、酸化防止剤、及びUVフィルターが含まれる。
【0034】
本明細書に開示され、特許請求の範囲に規定される本発明概念中に言及されるカチオン性界面活性剤の例は、以下に限定されるものではないが、セトリモニウムクロライド及びステアラミドプロピルジメチルアミンであってよい。
【0035】
本明細書に開示され、特許請求の範囲に規定される本発明概念はまた、ケラチン表面に即時の且つ長期継続する利益を提供する方法に関する。この方法には、ケラチン表面にコンディショニング組成物を提供する工程が含まれる。前記コンディショニング組成物は、コンディショニング組成物用添加剤及びパーソナルケア活性成分を含む。前記コンディショニング組成物用添加剤及びパーソナルケア活性成分は、前述のものと同様である。
【0036】
以下の実施例は、本明細書に開示され、特許請求の範囲に規定される本発明概念を詳説するものであり、特記のない限り、部及びパーセンテージは質量に基づく。各実施例は、本明細書に開示され、特許請求の範囲に規定される本発明概念の説明のために提供され、本明細書に開示され、特許請求の範囲に規定される本発明概念を限定するものではない。実際のところ、当業者には、本発明の範囲もしくは精神から乖離することなく、本明細書に開示され、特許請求の範囲に規定される本発明概念に様々な変更及び変形を行えることが明らかであろう。例えば、一実施態様の一部として例示もしくは記載される特徴は、別の実施態様に使用してさらに別の実施態様を生み出すことができる。然るに、本明細書に開示され、特許請求の範囲に規定される本発明概念は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとして、こうした変更及び変形を包含することを企図する。
【実施例】
【0037】
(ポリマーのカチオン電荷密度を測定する操作)
ポリマーのカチオン電荷を測定するために、Mutek電荷量分析器を使用した。水性試料を測定セル中に置いた。PCDを点け、セルのピストンを振動させて高流量を発生させた。セル壁に吸着したあらゆる荷電物質を、流れによってその対イオンから分離し、流動電流を発生させた。セル中の二つの電極がこの電流を感知し、これを表示した。滴定モジュールが、試料と逆に荷電した滴定剤(カチオン性試料−アニオン性滴定剤)を自動的に選択し、これを0mVになるまで試料に加えた。結果として、滴定剤の消費(ml)が、要した電荷(meq/g)と共にディスプレイに表示された。
【0038】
(接触角測定)
ポリAPTACの即時の及び長期継続する疎水性を、洗浄シャンプーを用いた数回の洗浄の後に接触角を測定することによって研究した。接触角が大きいほど、表面の疎水性が高い。損傷のない無傷の茶色の髪は、自然の疎水性を有するが、全ての化学処理、例えば漂白が、髪の疎水性を低減する。測定方法は以下に記載される通りである。
・ 髪房の一部を特別に設計されたプレート上に伸ばし、繊維を空間中に共に保持して「単一」表面を形成させた。
・ 脱塩水の水滴を、注射器から繊維表面に送達した。
・ 水滴質量は上限0.008gであった。
・ 画像を、1秒または10秒の間隔で集めた。
【0039】
(ポリAPTACホモポリマーの合成)
トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミドクロライド(DIMAPA-Q, APTAC)を、水性媒質中、不連続な断熱過程によって重合させた。
【0040】
1. 分子量Mwがおよそ100,000g/molのポリAPTAC
320±10kgの軟水及び670±10kgのAPTAC(60%)を容器に加えて撹拌した。混合物のpHを、硫酸(50%)を用いて約5.1±0.1に調節した。その後、1.05kgの2-メルカプトエタノールを57℃で添加した。水に溶解させた0.30kgのVA-044(2,2’-アゾビス[2(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド)の添加により重合を開始させた。最高温度に達した後、容器を80℃未満に冷却した。バーンアウト工程のために、水に溶解させた0.25kgのV-50(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド)を添加した(約1時間)。最後に、生成物を冷却してフィルターに叩き込んだ。
【0041】
2. 分子量Mwがおよそ200,000g/molのポリAPTAC
320±10kgの軟水及び670±10kgのAPTAC(60%)を容器に加えて撹拌した。混合物のpHを、硫酸(50%)を用いて約5.1±0.1に調節した。その後、0.45kgの2-メルカプトエタノールを57℃で添加した。水に溶解させた0.30kgのVA-044の添加により重合を開始させた。最高温度に達した後、容器を80℃未満に冷却した。バーンアウト工程のために、水に溶解させた0.95kgのV-50を添加した(約1時間)。最後に、生成物を冷却してフィルターに叩き込んだ。
【0042】
3. 分子量Mwがおよそ300,000g/molのポリAPTAC
579.8kgの軟水及び403.5kgのAPTAC(60%)を容器に加えて撹拌した。混合物のpHを、4.3kgの硫酸(50%)を用いて約5.3-5.4に調節した。その後、0.05kgの2-メルカプトエタノールを75℃以下で添加した。2.48kgの水に溶解させた0.92kgの過硫酸ナトリウムの添加により重合を開始させた。反応を1時間行った。その後、溶液を冷却した。70℃で、2.48kgの水に溶解させた0.94kgの過硫酸ナトリウムを添加した。管類を清掃するために10.0kgの水を加えた。最後に、生成物を冷却してフィルターに叩き込んだ。
【0043】
4. 分子量Mwがおよそ500,000g/molのポリAPTAC
591.8kgの軟水及び391.4kgのAPTAC(60%)を容器に加えて撹拌した。混合物のpHを、3,657kgの硫酸(50%)を用いて約5.3-5.4に調節した。その後、0.07kgの2-メルカプトエタノールを75℃以下で添加した。2.48kgの水に溶解させた0.9kgの過硫酸ナトリウムの添加により重合を開始させた。反応を1時間行った。70℃で、2.48kgの水に溶解させた0.9kgの過硫酸ナトリウムを添加した。管類を清掃するために10.0kgの水を加えた。最後に、生成物を冷却してフィルターに叩き込んだ。
【0044】
5. 分子量Mwがおよそ1,000,000g/molのポリAPTAC
592.5kgの軟水及び387.8kgのAPTAC(60%)を容器に加えて撹拌した。混合物のpHを、4.63kgの硫酸(50%)を用いて約5.1±0.2に調節した。その後、4.92kgの水を用いて管類を洗浄した。72℃で、2.46kgの水に溶解させた0.2kgの過硫酸ナトリウムの添加により重合を開始させた。4.92kgの水を用いて管類を洗浄した。反応を1時間行った。容器を80℃以下に冷却した。2.46kgの水に溶解させた0.24kgのV-50を加えた。4.92kgの水を用いて管類を洗浄した。最後に、生成物を冷却してフィルターに叩き込んだ。
【0045】
(疎水変性ポリAPTACの合成)
モノマー及びコモノマーを、水性媒質中、不連続な過程によって重合させた。重合は断熱反応であった。
【0046】
1.ステアリルアクリレートで変性させたポリAPTAC(分子量Mwはおよそ500,000)
295.2kgの軟水、664.3kgのAPTAC(60%)、及び、11%のセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)、44%の水、及び44%のステアリルアクリレートを含む13.7kgのプレエマルションを容器に吸引した。その後、7.30kgの硫酸(50%)を加えてpHを5.1に調節した。60℃で、0.15kgの2-メルカプトエタノールを容器に添加した。2.70kgの水に溶解させた0.30kgのVA-044を用いて重合を開始させた。最高温度に達した後、5.4kgの水に溶解させた1.0kgのV50を加えた。10kgの水を用いて管類を洗浄した。最後に、生成物をフィルターに叩き込んだ。活性固形物は約40質量%であり、粘度は約7,700cpsであった。得られたポリマーは、約1.5%のステアリルアクリレートを含んでいた。
【0047】
2.ステアリルアクリレートで変性させたポリAPTAC(分子量Mwはおよそ1,000,000)
295.2kgの軟水、664.3kgのAPTAC(60%)、及び、11%のセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)、44%の水、及び44%のステアリルアクリレートを含む13.7kgのプレエマルションを容器に吸引した。その後、7.30kgの硫酸(50%)を加えてpHを5.1に調節した。72℃で、2.46kgの水に溶解させた0.2kgの過硫酸ナトリウムの添加により重合を開始させた。4.92kgの水を用いて管類を洗浄した。反応を1時間行った。容器を80℃以下に冷却した。2.46kgの水に溶解させた0.24kgのV-50を加えた。4.92kgの水を用いて管類を洗浄した。最後に、生成物を冷却してフィルターに叩き込んだ。得られたポリマーは、約1.5%のステアリルアクリレートを含んでいた。
【0048】
3.PEG-18ベヘニルエーテルメタクリレート(BEM)で変性させたポリAPTAC(分子量Mwはおよそ500,000)
328.0kgの軟水、633.3kgのAPTAC(60%)、及び20kgのポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテルメタクリレート(50%)を容器に吸引した。その後、4.10kgの硫酸(50%)を加えてpHを5.0に調節した。5.0kgの水を用いて管類を洗浄した。60℃で、0.15kgの2-メルカプトエタノールを容器に加えた。2.70kgの水に溶解させた0.30kgのVA-044を用いて重合を開始させた。最高温度に達した後、5.4kgの水に溶解させた1.0kgのV50を加えた。最後に、生成物をフィルターに叩き込んだ。活性固形物は約40質量%であり、粘度は約13,000cpsであった。得られたポリマーは、約1.5%のBEMを含んでいた。
【0049】
(比較例1)
ベンチマークとして、二種類の市販の濯ぎ落とすコンディショナーを適用し濯ぎ落とし、さらに簡易シャンプー製剤(12質量%のラウリルエーテル(2EO)硫酸ナトリウム、2質量%のコカミドプロピルベタイン)で洗浄した後に試験した。前記製品を髪1gあたり0.2グラムの濯ぎ落とすコンディショナーとして適用した。使用した髪は、無傷の茶色の髪を1時間漂白することにより損傷させた。この髪を、さらなる全ての試験に用いた。シャンプーは、髪1グラムあたり0.1グラム適用し、その後濯ぎ落とした。
【0050】
【表1】
【0051】
櫛梳き測定を、手動で髪のもつれ解きをすることなく、テクスチャーアナライザーで行った。髪房を櫛で梳くために要するエネルギーを、gf-mmで表した。実施例1aは、カチオン性ポリマーをカチオン性界面活性剤と共に含んでいた。実施例1bは、カチオン性界面活性剤のみを含んでいた。上記表1からは、いずれの実施例も、初期のコンディショニング特性に優れていることが明らかであるが、カチオン性界面活性剤が長期間継続するコンディショニングを提供しないことも明らかである。
【0052】
(実施例2:ポリAPTACホモポリマー)
ポリAPTACホモポリマーの特性を表2に示す。
【表2】
【0053】
ポリAPTACホモポリマーを、2.45%の脂肪アルコール及び0.65%のカチオン性界面活性剤中に1質量%として試験した。2.45%の脂肪アルコール及び0.65%のカチオン性界面活性剤を含む参照例を使用した。コンディショナーを損傷した髪に適用し(漂白した髪1グラムあたり0.2グラム、1時間漂白)、水で濯ぎ、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後、ウェットコーム(wet comb)エネルギーをインストロンで測定した。試験結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
表3に示される上記結果から、高いMwを有するポリAPTACホモポリマーがよりよい性能をもたらすことは明らかである(実施例2e)。しかし、様々なポリマー間の相違は小さく、低いMw(100,000)の場合のコームエネルギー結果は十分であり、全ての組み合わせが参照例よりも優れた性能を示す。
【0056】
実施例2fは、4.8meq/gのカチオン電荷及び500,000ダルトンのMwを有するポリAPTACであった。これは、非常に低用量であってさえ、十分に処方されたシリコーン含有コンディショナーと比較してもより優れたコームエネルギーをもたらす。
【0057】
結果を表4に示す。ウェットコームエネルギー値を、テクスチャーアナライザーで測定した。コンディショナーを、損傷した髪に、漂白した髪1グラムあたり0.05g適用し(1時間漂白)、洗い流さずにおき、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後に、ウェットコームエネルギーを測定した。
【0058】
【表4】
【0059】
実施例2d及び2fを、1%のポリクアテルニウム-55、0.65%のカチオン性界面活性剤、及び2.45%の脂肪アルコールを含む実施例1d(比較例)と比較した。ポリクアテルニウム-55は、カチオン性ポリマーの例であった。コンディショナーを、損傷した髪に、漂白した髪1グラムあたり0.2g適用し(1時間漂白)、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後に、ウェットコームエネルギーを測定した。
【0060】
【表5】
【0061】
表5に示される結果から、シリコーンを含まないシャンプーで数回洗浄した後の実施例2d及び2fのコンディショニング性能は、比較例1dに記載されたカチオン性ポリマーと比較してより優れていることが明確に読み取れる。
【0062】
ポリAPTACホモポリマーもまた、カチオン性界面活性剤と組み合わせて使用することができるが、驚くべきことに、付加的なカチオン性界面活性剤を使用しない場合のコームエネルギー値がさらに低値であることが判明した。実施例2fを、ポリAPTACホモポリマーが1%、Mwが500,000ダルトン、及び脂肪アルコールが3%の実施例6aを含む製剤と比較した。
【0063】
コンディショナーを、損傷した髪に、漂白した髪1グラムあたり0.2g適用し(1時間漂白)、洗い流さずにおき、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1回及び3回洗浄した後に、ウェットコームエネルギーを測定した。結果を表6に示す。
【0064】
【表6】
表6に示される結果から、驚くべきことに、シリコーンを含まないシャンプーで数回洗浄した後でも、コンディショニング性能が改善されていることが読み取れる。
【0065】
(実施例3:色の保持)
ポリAPTACホモポリマーを含むコンディショニングシステムで複数回洗浄した後に改善された性能としては、さらにヘアカラーの色落ちを防ぐ値がある。髪房をその色落ち問題が知られる赤い染料で処理した。使用したヘアカラーは、Loreal Garnier Nutrisse Creme level 3製のパーマネントカラーであった。使用した過程は以下の通りである。
・ 発色(developing)クリームの入った適用ボトルを開け、チューブから染料を加え、ボトルを閉じ、均一な混合物になるまで振った。
・ 乾いた毛房に、房の長さに亘って約1分間撫で下ろすことにより、即座に染色過程を開始した。
・ 前記髪をアルミホイルで被い、30分間待った。
・ 水が完全に澄むまで髪をマッサージすることにより、水(35℃)で濯ぎ落とした。
・ 操作により、シリコーンを含まないマイルドなシャンプーで洗浄するか、または髪房をまずコンディショナーで処理した。
・ 髪を最初に洗浄した場合は、洗浄後にコンディショナーを適用した。
・ 髪を最初にコンディショナーで処理した場合は、髪はその後に洗浄した。
・ 翌日まで髪を乾燥させた。
・ BYKガードナーの分光光度計を用いて色指数(L*a*b*)における変化を測定した。
全髪色ΔL(+より明るい)
赤−緑Δa(+より赤色、−より緑色)
黄−青(より黄色、より青色)
全変化 ΔE=[(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)2]1/2
・ 髪房を、白い紙の上で標線の間に均一に置き、その上にガラスプレートをのせて表面をさらに均一にした。
・ 髪房の別々の位置で5回測定した。
【0066】
試験を、コンディショナー(0.65%/2.45%のカチオン性界面活性剤/脂肪アルコール中1%の実施例2fのポリマー;髪1グラムあたり0.2グラムの用量)を用いた髪房の処理で実施した。染色過程の直後、過剰のヘアダイを水で濯ぎ落とした。その後、髪を、シリコーンを含まないシャンプーSLES/CAPB 12/2%で洗浄した後、髪をコンディショナーで処理した。この洗浄サイクルを10回繰り返し、色の差ΔEを、3回、5回、及び10回の洗浄サイクル後に測定した。コンディショナーを、さらにFructisカラーレジストコンディショナーと比較した。試験結果を表7に示す。
【0067】
【表7】
【0068】
この表からは、実施例2fが、特に色を保護する目的で開発された市販のコンディショナーと比較すると、この色システムに対して、複数回の洗浄の後の色保持にも実質的な改善を確かに示すことが明らかである。
【0069】
この試験は、コンディショナー(0.65%/2.45%のカチオン性界面活性剤/脂肪アルコール中1%の実施例2fのポリマー;髪1グラムあたり0.2グラムの用量)を用いた髪房の処理で実施した。この処理は、染色過程の直後、過剰なヘアダイをまず水で濯ぎ落とした時点で行われた。まずコンディショニングした髪房を、その後シリコーンを含まないシャンプーSLES/CAPB 12/2%で洗浄した。さらに、このコンディショナーを、3回、5回、及び10回のシャンプー洗浄後に、コンディショナー処理を行っていない髪及びFructis染料パッケージのコンディショナーと比較した。使用したシャンプーは、12質量%のSLES及び2質量%のCAPBのものであった。試験結果を表8に示す。
【0070】
【表8】
【0071】
この表からは、実施例2fが、コンディショナー処理を行っていない髪及び染料パッケージのコンディショナーと比較すると、この色システムに対して、複数回の洗浄の後の色保持に実質的な改善を確かに示すことが明らかである。表8及び表7の結果を比較すると、適用方法が結果に影響を及ぼすことが見て取れる。コンディショナーがシャンプーの前に適用された場合に、複数回洗浄後の全体的な色保持は改善された。
【0072】
(実施例4:初期の及び長期継続する疎水性)
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて活性剤1質量%として使用した。ポリAPTACホモポリマーを含む基本ポリマー溶液を、漂白した白人の髪に、それぞれ0.2g/gで適用し、24時間に亘り乾燥させた。その後、処理した髪房を、髪に水滴を適用することによって疎水性について試験した。図1及び2は、実施例2fのポリマー溶液で処理した髪房の表面の水滴の写真である。図2は、ポリマー溶液を髪房に適用した後にシリコーンを含まないシャンプーで5回洗浄した髪房を示す。図1及び2からは、処理された髪房は、これら髪房の表面上の水滴が大きな接触角を示したことから、事実上非常に疎水性であることが明らかに見て取れる。
【0073】
図2からは、主要界面活性剤として使用されたラウレス硫酸ナトリウム中に存在するアルキル基との相互作用により、多数の洗浄の後に疎水性が増大したことが明らかに見て取れる。
【0074】
水滴は、髪表面上に10分間以上留まることが観察された。この水滴の挙動が、処理された髪房の疎水性の証拠であった。
【0075】
図3は、市販のコンディショナーで処理した、漂白された白人の髪に適用された水滴の写真である。図3からは、市販のコンディショナーで処理された髪房には、図1及び2で処理された髪房に観察されたものと同程度の疎水性が付与されていないことが明らかに見て取れる。市販のコンディショナーで処理した髪房では、水滴は、髪房表面と小さな接触角を示し、吸収されるか、少なくともこの水滴の適用直後に髪房表面に広がった。
【0076】
(実施例5:初期の及び長期継続する疎水性)
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE2S、2質量%のCAPB)で5回洗浄し、5回目の後、髪房を疎水性の維持について試験した。
【0077】
図4は、髪房上の水滴の写真である。図4は、実施例2fのポリAPTACホモポリマーが、処理された髪に、シャンプーで5回洗浄した後にも長期継続する疎水性を提供したことを明示する。
【0078】
(実施例6:髪表面へのポリマーの付着)
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを髪1グラムあたり0.1グラムの洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE2S、2質量%のCAPB)で5回洗浄し、処理された髪房の表面を走査電子顕微鏡を用いて研究した。
【0079】
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを髪1グラムあたり0.1グラムの洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE2S、2質量%のCAPB)、その後、髪1グラムあたり0.2グラムを用いる洗浄サイクルで5回処理し、処理された髪房の表面を走査電子顕微鏡(SEM)及び原子間蛍光顕微鏡(AFM)を用いて研究した。
【0080】
図5からは、実施例2fをコンディショナーとしてした場合、髪表面に付着しうることが見て取れる。広範に広がったフィルム状付着物が明らかに見られる。
【0081】
図6及び7からは、実施例2fをコンディショナーとしてした場合、損傷した髪表面を滑らかにしうることが見て取れる。キューティクルが髪表面に整列している。図6からは、効果が長期継続することが見て取れる。洗浄シャンプーを用いた5回の洗浄の後にも、キューティクルは髪表面に滑らかに並び、均一な層をなしている。
【0082】
接触角が大きいほど表面の疎水性が大きい。損傷のない無傷の茶色の髪は、本来疎水性であるが、漂白等の化学的処理は髪の疎水性を低減させる。表9は、接触角に対する漂白の影響を示す。
【0083】
【表9】
【0084】
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE2S、2質量%のCAPB)で5回洗浄した。処理された髪房の接触角を、最初の洗浄の前、洗浄2回後、及び洗浄5回後に測定した。試験結果を表10に示す。
【表10】
【0085】
表10からは、中程度に漂白された白人の髪房を処理することにより、漂白された元々の髪房(85°)と比較して接触角の値がより大きくなったことが見て取れる。処理された髪房の疎水性が、少なくとも洗浄5回の間は保持されることもまた示される。
【0086】
長期継続する疎水性が表11に示される。600秒後でさえも、実施例2fで処理した髪房が疎水性であることが見て取れる。
【表11】
【0087】
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE2S、2質量%のCAPB)で5回洗浄した。処理された髪房の接触角を、最初の洗浄の前及び洗浄2回後に測定した。試験結果を表12に示す。
【表12】
【0088】
上記表12からは、中程度に漂白された白人の髪房を処理することにより、漂白された元々の髪房(85°)と比較して接触角の値がより大きくなったことが見て取れる。洗浄シャンプーでの洗浄後に、ポリAPTACホモポリマーと界面活性剤との相互作用により接触角の値が増大したことが見て取れる。最小分子量は200,000以上であれば、分子量が大きいほど接触角も大きいこともまた見て取れる。
【0089】
経験を積んだ専門家のパネルは、処理された髪房の感覚特性を評価することができ、結果を、測定値、例えばコームエネルギー値とともにまとめる。
【0090】
感覚特性は、消費者の許容に不可欠な部分である。感覚評価を活用して、多数回使用の後の長期に亘る特性を決定することができる。
【0091】
実施例2fのポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを髪1グラムあたり0.1グラムの洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE2S、2質量%のCAPB)、その後、髪1グラムあたり0.2グラムを用いる洗浄サイクルで5回処理した。全ての評価について髪房を3つ準備した。髪房の感覚特性を、第1洗浄サイクルの後及び第5洗浄サイクルの後に評価した。洗浄サイクルは、日常の状況を模倣した。
【0092】
表13は、髪1gあたり0.2gの、実施例2fの濯ぎ落とすコンディショナーで処理された湿った髪房の感覚評価の結果を示す。洗浄には、シリコーンを含まない簡易シャンプー(12質量%のSLE2S、2質量%のCAPB)を髪1gあたり0.1gで使用した。髪房には、その挙動に基づいて数字を付した。上記評価において使用した等級付けシステムでは、等級1が最低であり、等級5が最高の値であった。
【表13】
【0093】
表13からは、第1回の洗浄サイクル後の結果が既に良好であることが見て取れる。5回の洗浄サイクルの後には、感覚特性がさらに改善され、非常に良好である。髪房は、全てのカテゴリーにおいて良好な結果を示し、否定的な副作用は全く見られなかった。
【0094】
(実施例7:ポリAPTACホモポリマーと様々な界面活性剤との組み合わせ)
実施例2fのポリAPTACホモポリマーを、2.5%の脂肪アルコール及び0.7%のカチオン性界面活性剤中に1質量%として試験した。この実施例に使用したカチオン性界面活性剤は、セトリモニウムクロライド(実施例7a)、ベヘントリモニウムクロライド(実施例7b)、及びステアラミドプロピルジメチルアミン(実施例7c)であった。ポリAPTACホモポリマー/界面活性剤コンディショナー組成物を、損傷した髪に適用し(漂白された髪1グラムあたり0.2グラム、1時間漂白)、水で濯ぎ、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後、ウェットコームエネルギーをテクスチャーアナライザーで測定した。試験結果を表14に示す。
【表14】
【0095】
表14に示される上記結果から、ポリAPTACホモポリマーは、様々なカチオン性界面活性剤と組み合わせることができ、非常に低いコームエネルギー値をもたらすことが明らかである。
【0096】
(実施例8:疎水変性ポリAPTAC(Mw=1,000,000))
ポリAPTACを、様々な濃度で疎水性コモノマーを使用して疎水変性した。この実施例で使用した疎水性コモノマーの濃度は、1.5質量%(実施例8a)3質量%(実施例8b)、及び5質量%(実施例8c)であった。ステアリルアクリレートを、各ポリAPTAC変性において、疎水性コモノマーとして使用した。これら実施例の分子量は、1,000,000ダルトンであった。得られた疎水変性ポリマーを、2.45%の脂肪アルコール及び0.65%のカチオン性界面活性剤中に1質量%として試験した。参照として、付加的カチオン性ポリマーを含まないコンディショナー枠組みを試験し、疎水変性ポリAPTACを含むコンディショナー試料と比較した。全てのコンディショナー試料を損傷した髪に適用し(漂白した髪1グラムあたり0.2グラム、1時間漂白)、水で濯ぎ、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後、ウェットコームエネルギーをテクスチャーアナライザーで測定した。試験結果を表15に示す。
【表15】
【0097】
表15に示される上記結果から、疎水変性ポリマーは、この上ない長期継続性利益をさらに示す非常に低いコームエネルギー値をもたらすことが明らかである。
【0098】
(実施例9:疎水変性ポリAPTAC(Mw=5000,000))
様々な濃度の疎水性コモノマーを使用した疎水変性APTACを、この実施例にも示した。ステアリルアクリレートを、疎水性コモノマーとして使用した。ステアリルアクリレートの濃度は、1.5質量%(実施例9a)3質量%(実施例9b)、5質量%(実施例9c)、及び10質量%(実施例9d)であった。
【0099】
得られた疎水変性ポリマーを、3%の脂肪アルコール中に1質量%として試験した。参照として、脂肪アルコール中のポリAPTACホモポリマーを使用した。これら全てのポリマーは、約500,000ダルトンの分子量を有していた。さらに、付加的カチオン性ポリマーを含まないコンディショナー枠組みを試験し、ポリAPTACホモポリマー及び疎水変性ポリAPTACを含むコンディショナー例と比較した。全てのコンディショナー試料を損傷した髪に適用し(漂白した髪1グラムあたり0.2グラム、1時間漂白)、水で濯ぎ、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後、ウェットコームエネルギーをテクスチャーアナライザーで測定した。試験結果を表16に示す。
【表16】
【0100】
表16に示される上記結果から、疎水変性ポリマーは、この上ない長期継続性利益をさらに示す非常に低いコームエネルギー値をもたらすことが明らかである。疎水変性によれば、ホモポリマーと比較して、初期ウェットコームエネルギー値が低減されることも明白である。疎水変性のレベルが高いほど、初期ウェットコームエネルギー値が低くなる。
【0101】
PEG-18ベヘニルメタクリレート(BEM)を疎水性コモノマーとして、2.5質量%(実施例9e)、5質量%(実施例9f)、及び10質量%(実施例9g)の濃度で使用した。得られる疎水変性ポリマーを、2.45%の脂肪アルコール及び0.65%のカチオン性界面活性剤中に1質量%として試験した。参照として、ポリAPTACホモポリマーを、2.45%の脂肪アルコール及び0.65%のカチオン性界面活性剤中に1質量%として試験した。これら全てのポリマーは、約500,000ダルトンの分子量を有していた。さらに、付加的カチオン性ポリマーを含まないコンディショナー枠組みを試験し、ポリAPTACホモポリマー及び疎水変性ポリAPTACを含むコンディショナー例と比較した。全てのコンディショナー試料を損傷した髪に適用し(漂白した髪1グラムあたり0.2グラム、1時間漂白)、水で濯ぎ、髪1グラムあたり0.1グラムのヘアシャンプー(シャンプー:12/2 SLES/CAPB)で1、3、及び5回洗浄した後、ウェットコームエネルギーをテクスチャーアナライザーで測定した。試験結果を表17に示す。
【表17】
【0102】
表17に示される上記結果から、疎水変性ポリマーは、この上ない長期継続性利益をさらに示す非常に低いコームエネルギー値をもたらすことが明らかである。疎水変性によれば、ホモポリマーと比較して、初期ウェットコームエネルギー値が低減されることも明白である。疎水変性のレベルが高いほど、初期ウェットコームエネルギー値が低くなる。
【0103】
(実施例10:接触角−疎水変性ポリAPTAC(Mw=500,000))
表18は、接触角に対する漂白の影響を示す結果を示す。
【表18】
【0104】
実施例9a-9dの疎水変性ポリAPTACを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール3質量%と共に活性剤1質量%として使用した。ポリAPTACホモポリマー(Mw 500,000)を参照として使用した。基本コンディショナー製剤を、中程度に損傷した白人の髪に、髪1gあたり0.2gで適用し、濯ぎ流した。試験結果は、以下の表19に示される。
【表19】
【0105】
表19からは、中程度に漂白された白人の髪房を処理することにより、漂白された元々の髪房(85°)と比較して接触角の値がより大きくなったことが見て取れる。疎水処理によれば、初期接触角値が増大することも示される。
【0106】
実施例8aの疎水変性ポリAPTACホモポリマーを、100質量%となるまで水を加えて、セテアリルアルコール2.45質量%及びカチオン性界面活性剤0.65質量%と共に活性剤1質量%として使用した。基本コンディショナー製剤を、漂白した白人の髪に0.2g/gで適用し、濯ぎ落とした。室温で乾燥させた後、これを洗浄シャンプーベース(12質量%のSLE2S、2質量%のCAPB)で2回洗浄した。処理された髪房の接触角を、最初の洗浄の前及び洗浄2回後に測定した。この製剤を、脂肪アルコールとカチオン性界面活性剤とからなる参照、並びに、ポリAPTACホモポリマー(Mw=1,000,000)を含む製剤と比較した。試験結果を表20に示す。
【表20】
【0107】
上記表から、実施例8aに示される疎水変性が、参照及びポリAPTACホモポリマーを含む製剤と比較して、非コンディショニングシャンプーでの数回の洗浄の後でさえも、髪表面の疎水性を改善していることが見て取れる。
【0108】
(実施例11:エマルション安定化)
典型的なコンディショナー製剤は、主要乳化剤、共乳化剤、例えば、脂肪アルコール、及びカチオン性界面活性剤、例えば、セトリモニウムクロライドもしくはベヘントリモニウムクロライドからなる水中油型(o/w)エマルションである。ポリAPTACホモポリマーは、乳化特性を全く持たず、このためカチオン性界面活性剤をポリAPTACホモポリマーで完全に置き換えることはできない。実施例9a乃至9dに示されるポリAPTACの疎水変性は、カチオン性ポリマーのエマルション安定化特性を改善した。図8は、3質量%の脂肪アルコールと組み合わせた1質量%のポリAPTACホモポリマー(Mw=1,000,000)からなるコンディショナーの典型的な構成を示す。図9は、3質量%の脂肪アルコールと組み合わせた実施例9cの疎水変性ポリAPTACを示す。疎水変性がエマルション安定化特性を改善したことが明白に読み取れる。
【0109】
(実施例12:界面活性剤ベースの応用)
疎水変性により、ポリAPTACは、界面活性剤ベースの応用のためには、ポリAPTACポリマー(参照としてMw=1,000,000)よりも好適となる。高いカチオン電荷のために、ホモポリマーはアニオン性界面活性剤と共に複合体を形成しがちである。下記の表21は、12質量%のSLES 2EO及び2質量%のCAPBと組み合わせた0.2質量%の実施例9eのウェットコームエネルギー結果を示す。結果は、シリコーンを含まない市販のシャンプーと比較される。
【表21】
【0110】
上記表から、実施例9eが市販の製品よりも優れた性能を示すことが見て取れる。その性能は、洗浄3回後でさえも維持される。
【0111】
開示された情報を詳説する目的のために、相当され得るあらゆる成分または方法論の組み合わせを記載することは、むろん不可能であるが、当業者であれば、開示された情報の多くのさらなる組み合わせ及び変更が可能であることを認識することができる。従って、開示された情報は、添付の特許請求の範囲の精神及び範疇に含まれる、こうした全ての交代、変形、及び変更を包含することを企図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9