【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するために、請求項1の特徴を有する貫通コイル構成を提供する。更に、請求項12の特徴を有する試験方法、並びに請求項15の特徴を有する試験装置を提供する。
【0011】
有利な実施形態を従属請求項に示している。全ての請求項の表現は、引用により本発明の説明の内容に組み込まれる。
【0012】
受電コイル構成は、通路開口部の円周にわたって配分された2つ又はそれよりも多くのセグメントコイル構成を含む。セグメントコイル構成の各々は、長い製品の表面の円周全体の一部のみを覆う検出範囲、すなわち、円周セグメントを有する。このような貫通コイル構成は、各々の場合にそれぞれ試験片の円周の一部又はセグメントのみを覆う2つ又はそれよりも多くのセグメントコイル構成の共通励磁部を含む。従って、個々のセグメントコイル構成によって送出される全ての信号は、同じ励磁部に基づいており、かつこの点において直接的に互いに同等である。同時に、複数のセグメントコイル構成への受電コイル構成のそれぞれセグメント化又は分割は、発生する不良信号の物体表面のある一定の円周区間との相関を可能にする。その結果、欠陥の位置特定は、従来の貫通コイル構成の場合と同様に物体の縦方向ばかりではなく、周方向においても可能である。この場合に、堅牢性及び信頼性に関する従来の貫通コイル構成の長所は維持することができる。
【0013】
主張する本発明では、セグメントコイル構成が、貫通コイル構成の基準軸線までの異なる距離で通路開口部を封入する少なくとも2つのシェルの上に配分されることが提供される。ここでは、第1のセグメントコイル構成は、第1シェル上で周方向に相互に重なり合うことなく配置される。これとは対照的に、第2のセグメントコイル構成は、第2シェル上で周方向に相互に重なり合うことなく配置される。基準軸線までの半径方向にシェルの間に距離があるので、第1のセグメントコイル構成は、第2のセグメントコイル構成のものとは異なる基準軸線までの距離を有する。この場合に、「シェル」という用語は、表面の表面セグメントが基準軸線と平行に位置合せされ、かつ周方向に区分的又は連続的に湾曲している基準軸線周りに周方向に延びる表面を指す。
【0014】
基準軸線までの表面の半径方向距離は、予め定義された距離関数に従う。シェルの全てのセグメントコイル構成が上述のシェル上に位置するという事実の結果、基準軸線までの半径方向距離は、シェルの各セグメントコイル構成の各点で距離関数を通じて正確に定義される。シェルのセグメントコイル構成は、相互に重なり合うことなくそれぞれのシェル上に配置される。それらは、周方向に互いに直接に隣接することができる。しかし、一般的に、互いに面する隣接するセグメントコイル構成の端部の間には周方向に距離がある。
【0015】
互いまでの第1及び第2シェルの定義された距離において、第1及び第2のセグメントコイル構成の信号の直接的な比較可能性が存在し、その理由は、発生する不良信号が、一般的に特徴的な距離性能を示し、かつ従って既知の距離関数によって互いと比較することができるからである。
【0016】
貫通方向に重なり合う2つ又はそれよりも多くのシェル上の構成は、試験される長い製品に沿った軸線方向の位置との発生する不良信号の正確な相関を可能にする。
【0017】
周方向の相互の重複の防止は、有利であると考えられる。本発明者の観測結果によれば、名目上は基準軸線まで同じ距離に位置することになるセグメントコイル構成の重なり合う領域では、試験に関連する試験片表面までの信号発生コイル構成の距離が、重なり合う領域の外側のものからずれており、これは、測定時の不正確性をもたらす場合がある。この不正確性は、相互重複の防止の場合に防止される。
【0018】
それにも関わらず、周方向の完全な試験を可能にするために、第1及び第2のセグメントコイル構成は、第1のセグメントコイル構成間に位置する円周区間が第2のセグメントコイル構成により部分的又は完全に検出可能であるように互いに周方向にオフセットして配置される。換言すると、第1及び第2のセグメントコイル構成は、第2のセグメントコイル構成が第1のセグメントコイル構成によって覆われない円周区間を検出するように互いに周方向にオフセットして配置される。従って、第1及び第2のセグメントコイル構成は、試験される長い製品の異なる円周区間を覆い、検出範囲は、全体的に互いを補い、かつ周方向の完全な試験が可能であるように必要に応じて部分的に重なり合う。
【0019】
別の形式に従って、それぞれのセグメントコイル構成は、相互に重なり合うことなくそれらの関連付けられたシェル上に配置され、それぞれのセグメントコイル構成は、全円周が全てのシェルのセグメントコイル構成によって覆われるように、周方向に互いに周方向にオフセットした異なるシェル上に配置される。
【0020】
セグメントコイル構成は、正確に2つのシェル、すなわち、1つの第1シェル及び正確に1つの第2シェルの上に配分されることが好ましい。これは、構成的観点から複雑性の低い構造をもたらし、セグメントコイル構成によって発生される信号を2つの距離関数だけに割り当てれば十分である。しかし、2つよりも多いシェル、例えば、3つ、4つ、5つ、又は6つのシェルにわたってセグメントコイル構成を配分させることも可能であり、これらのシェル間には、各場合に半径方向に距離が存在する。この場合に、円周の完全なカバレージは、3つ又はそれよりも多くのシェルのセグメントコイル構成を結合することによってのみ達成されるという可能性がある。
【0021】
一部の実施形態において、第1のセグメントコイル構成は、基準軸線までの第1の半径方向の距離で円形円筒形第1シェル上に配置され、第2のセグメントコイル構成は、第1の半径方向距離からずれた基準軸線までの第2の半径方向の距離で円形円筒形第2シェル上に配置される。断面形状が対称中心に対して中心対称性を有する場合に、対称中心を通る軸線は、中心基準軸線又は中心軸線と呼ぶことができる。このような実施形態において、シェルは、各場合に貫通コイル構成の中心軸線と同軸に円形円筒シェル表面を形成する。円形断面を有する実施形態は、例えば、丸い材料(中実又は管状の円形断面を有する長い製品)を試験するのに有利であるが、それらは、適切な信号評価の場合には、多角形断面を有する長い製品の試験にも使用することができる。
【0022】
代替的な実施形態の場合に、シェルは、円形形状以外の断面形状を有することができる。例えば、長円形断面又は卵形断面を有するシェルが可能である。シェルは、多角形断面、例えば、丸いコーナ領域を有する本質的に正方形の断面を有することもできる。シェル間及び基準軸線までの半径方向の距離は、均一ではなくてもよく、周方向で変動する場合がある。
【0023】
セグメントコイル構成の過剰な感度差を防止するために、第1シェルと第2シェル間、又は隣接するシェル間の半径方向の距離は、それぞれ、1センチメートルよりも大きいとすべきではなく、距離は、好ましくは1mm又はそれ未満、特に0.1mmと1mmの間に存在する。より大きな距離が可能であり、信号強度差は、次に、それぞれ電子的に又は計算方式で均衡を取るか又は考慮することができる。
【0024】
シェル当たりのセグメントコイル構成の数は、試験タスクに適応させることができる。セグメントコイル構成の数が各シェル上で同一であるという可能性がある。異なる数のセグメントコイル構成をシェル上に設けることもできる。
【0025】
多くの場合に、偶数個のセグメントコイル構成、例えば、2つ、4つ、6つ、又は8つのセグメントコイル構成がシェル上に配置されれば有利である。代替的に又は追加的に、正反対のセグメントコイル構成の対又は複数の対をシェル上に設けることができる。それは、個々のシェル、複数のシェル、又は全てのシェルに適用することができる。
【0026】
一般的に、受電コイル構成は、正反対のセグメントコイル構成の複数の対を含むことができる。これは、信号評価において長所をもたらす場合がある。その手段は、シェル構造を有する貫通コイル構成の場合(主張するような本発明による)又はシェル構造のないそのような貫通構成の場合に有利である場合がある。
【0027】
それぞれの使用目的に適応させて、セグメントコイル構成の異なる実施形態が可能である。セグメントコイル構成は、専ら1つ又は複数の差動コイル構成、専ら1つ又は複数の絶対コイル構成、又は少なくとも1つの差動コイル構成及び少なくとも1つの絶対コイル構成の組合せを含むことができる。
【0028】
ここでは、「差動コイル構成」という用語は、単一の差動コイル構成及び複数の差動コイル構成の両方を含むものとする。差動コイル構成によって発生された電気信号は、典型的には差動信号と呼ばれる。
【0029】
絶対コイル構成は、絶対信号を送出する。対応する評価の場合に、この信号は、欠点検出に使用することができる。絶対信号の振幅は、絶対コイル構成と試験片表面間の距離に強くかつ特徴的に依存するので、絶対コイル構成は、この構成が距離評価デバイスに作動のために接続され、かつ距離信号が距離信号として相応に評価される場合に(例えば、DE 44 38 171 A1を参照されたい)、絶対信号の対応する評価の場合の距離センサとして機能することができる。
【0030】
全てのセグメントコイル構成は、各場合に少なくとも1つの差動コイル構成を有することが好ましい。「差動コイル構成」という用語は、逆の方式で作用する2つ又はそれよりも多くの部分コイル構成を含むコイル構成を指す。その結果、差動コイル構成を通して到達する磁場の変化は、逆に作用する部分コイル構成における磁場強度変化が異なる場合に限り信号を発生する。これとは対照的に、磁場変化が存在しない場合、又は磁場変化が逆に作用する部分コイル構成において等しく強力に作用する場合には、出力信号はないことになる。差動コイル構成により、非常に感度の高い欠点検出は、小さい欠点寸法の場合でさえも可能である。差動コイル構成は、好ましくは、差動コイル構成による完全な試験が周方向に可能であるように、差動信号を試験片の円周全体で検出することができるように配置される。
【0031】
差動コイル構成の他に、セグメントコイル構成は、絶対コイル構成を更に含むことが好ましい。全てのセグメントコイル構成に又はセグメントコイル構成の一部だけにそれを行ってもよい。ここでは、「絶対コイル構成」という用語は、通過して到達した磁場の変化の場合に出力信号(絶対信号)を供給するコイル構成を指す。絶対コイル構成は、複数の部分コイル構成を含むことができる。しかし、差動コイル構成とは対照的に、この部分コイル構成は、複数の部分コイル構成内の磁場変化によっても各場合に信号が発生されるように、到達した磁場に関して調和性があるように接続され、この信号は、絶対コイル構成の出力で合計される。
【0032】
上述の手段は、シェル構造を有する貫通コイル構成において(主張する本発明による)、及びシェル構造のない一般的な貫通コイル構成において有利とすることができる。
【0033】
差動コイル構成により、例えば、孔欠陥又は横断方向の欠陥を高感度で検出することができる。更に、縦方向欠陥をその深度勾配に従って評価することができる。絶対コイル構成により、取りわけ、一定の縦方向の欠点をその全長で検出することができる。差動信号及び絶対信号の同時の検出により、欠陥タイプの確実な認定が可能である。
【0034】
更に、絶対コイル構成により、距離信号も検出可能であり、従って、セグメントコイル構成と試験片表面の間の距離、すなわち、試験距離に関する情報は、絶対コイル構成の信号部分から導出することができる。この距離信号は、例えば、偏心した試験片位置の場合に異なるセグメント上で検出された不良信号の比較可能性を改善するために、例えば、電子側で又はソフトウエアによって距離補償に使用することができる。
【0035】
差動コイル構成及び絶対コイル構成は、共通支持要素上に配置されることが好ましい。その結果、互いに対するこのコイル構成の相対位置は、機械的に正確に設定することができる。一部の実施形態において、支持要素は、内面(貫通される試験物体に向けて対面する)及び外面を有し、差動コイル構成及び絶対コイル構成は、支持要素の少なくとも一部が同じ表面に配置される。同じ表面に配置されるコイル構成の構成要素は、シェルの形状によって予め決められた貫通コイル構成の基準軸線まで同じ距離を有し、従って、信号の共通評価が直ちに可能である。
【0036】
上述の手段は、シェル構造を有する貫通コイル構成において(主張する本発明による)、及びシェル構造のない一般的な貫通コイル構成において有利とすることができる。
【0037】
一部の貫通コイル構成では、セグメントコイル構成において、差動コイル構成が、励磁コイル構成のコイル平面(典型的には中心平面)に対して本質的に対称的に配置され、絶対コイル構成が、励磁コイル構成によって発生された磁場の不均質な磁場領域において部分的又は完全にコイル平面と非対称的に配置されることが提供される。その結果、特に感度の高い距離検出が、絶対コイル構成によって可能である。この場合に、絶対コイル構成の巻線は、典型的には励磁コイルのコイル平面に垂直な湾曲した区域に位置することが考慮されるものとする。非対称の構成の場合に、少なくとも、信号発生巻線の一部は、不均質な磁場領域に位置し、絶対コイル構成の位置で発生する磁場は、絶対コイル構成を通って到達する半径方向の成分(y成分)を有する。この成分の強度は、絶対コイル構成と長い製品の表面との間の距離次第で大幅に変化し、これは、絶対コイル構成の位置での磁力線分布に影響を与える。これは、勾配磁場における絶対巻線の構成をもたらし、この構成は、貫通される時の長い製品の半径方向の位置的変化に応じ変化する。長い製品の非中心又は偏心性の位置により、それぞれ、絶対コイル構成の巻線を通る磁束の変化が発生し、この磁束の変化は、距離センサとして使用された絶対コイル構成により検出することができる。
【0038】
一部の実施形態において、励磁コイル構成のコイル平面又は中心平面に対して対称的である絶対コイル構成が、それぞれ、コイル平面の前の第1の不均質な磁場領域内の第1の部分コイル構成及びコイル平面の背後の第2の不均質な磁場領域内の第2の部分コイル構成を含み、第1及び第2の部分コイル構成が、反対方向に作用するように接続されるという点で、特に強いかつ安定した距離信号が得られる。不均質な磁場は、異なる磁力線方向に部分コイル構成を通って到達する。反対方向に接続されることにより、部分コイル構成において誘導された電圧は強い距離信号が得られるように合計されることが達成される。
【0039】
磁場の不均質部分におけるこの構成に関連して距離センサとして使用される絶対コイル構成のセグメント化は、距離検出センサのセグメント化をもたらし、従来の絶対コイル構成とは対照的に、ここでは、試験される長い製品のほぼ貫通方向に延びる磁力線ではなく、磁力線の垂直な成分が使用される。この磁気磁力線により、勾配磁場の変化は、試験される長い製品の位置に応答して検出される。
【0040】
この手段は、シェル構造を有する貫通コイル構成において(主張する本発明による)、及びシェル構造のない一般的な貫通コイル構成において有利とすることができる。
【0041】
絶対コイル構成によって異なる円周区間に別々に距離信号を発生させるためにセグメント化によって与えられるこのオプションは、距離信号により、貫通コイル構成内の長い製品の位置に関する位置情報を取得することを可能にする。
【0042】
対単位で正反対のセグメントコイル構成の絶対信号の共通評価は、例えば、特に簡単な方式で、対応する斜めの方向における試験片直径、一部の場合に更に直径変動及び/又はミスアラインメントの検出を可能にする。
【0043】
この手段は、シェル構造を有する貫通コイル構成において(主張する本発明による)、及びシェル構造のない一般的な貫通コイル構成において有利とすることができる。
【0044】
本発明は、長い製品が本発明に説明するタイプの貫通コイル構成を貫通方向に沿って貫通するように使用される長い製品を試験する試験方法にも関する。
【0045】
このような貫通構成は、従来の貫通コイル構成で実施することができない評価方法を可能にする。
【0046】
一部の実施形態では、例えば、対単位で正反対のセグメントコイル構成の信号の共通評価が行われる。
【0047】
一変形では、共通評価は、対単位で正反対のセグメントコイル構成のそれぞれ距離信号及び絶対信号の合計信号及び/又は差動信号の検出を含む。直径及び偏心度の両方は、この評価によって判断することができる。
【0048】
複数(例えば、3つ、4つ、5つ、又は6つ)の周方向にオフセットされた絶対コイル構成の距離信号の評価は、取りわけ、貫通コイル構成に関する試験片の直径値、直径変動、及び/又は偏芯の判断を可能にする。
【0049】
一部の実施形態では、直径、試験片幾何学形状、真円度、及び/又は貫通コイル構成と試験物体の間の軸線オフセットに関する情報は、円周にわたって配分された複数の絶対コイル構成の絶対信号から得られる。
【0050】
本発明の使用の別の長所は、不良信号と試験される物体の対応する円周区間との間の相関を含む不良プロトコルを発生することができるという点である。この情報により、欠陥の評価の有意な改善及び精密化が可能である。例えば、原則的に再加工することができる欠陥がその後の使用中に重大な方式で応力を受けない円周区間に位置する場合には、再加工を省略することができる。再加工を必要とする場合に、欠陥領域が、不良プロトコルに基づいて比較的小さい円周区間まで絞り込まれ、従って、不良が見つけやすくすることができる。再加工することができない不良の場合に、この不良が極めて重要な円周区間に位置するか否かを不良プロトコルに基づいて判断することができ、従って、試験片の更なる使用に関して、以前よりも正確に判断することができる。それは、例えば、溶接管の場合は縫い目及び壁欠陥の差別化された評価に向けて、かつ多角形のプロフィールの場合は縁部及び面欠陥の妥当な評価に向けて合理的である場合がある。差別化及びその重み付けは、無傷品質で製造される材料を生産するように期限中に製造工程を中断することができるために特に重要である。
【0051】
不良プロトコルは、縦方向位置の関数として試験物体の直径、試験片幾何学形状、及び/又は真円度に関するデータを含むこともできる。
【0052】
貫通コイル構成のシェル構造と関連して、特に正確な試験結果を達成することができる。一般的に、この手段は、シェル構造を有する貫通コイル構成において(主張する本発明による)、及びシェル構造のない一般的な貫通コイル構成においても有利に使用することができる。
【0053】
上述の特徴及び更に別の特徴は、特許請求の範囲からのみではなくこの説明及び図面からももたらされ、個々の特徴は、各場合に本発明の実施形態において及び他の分野で単独又は部分的組合せの形態で達成することができ、かつ本質的に有利かつ保護可能である実施形態を表すことができる。本発明の例示的実施形態を図面に示すと共に、その後により詳細に説明する。