(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ガスを吸込み、吸込んだガスを昇圧させて、吐出口から吐出する送風機が従前より知られている。そのような送風機は、特許文献1に示されるようにガスレーザ発振器内においてレーザガスを循環させるために使用されている。
【0003】
図14は従来の送風機の構成を示す断面図である。ここでは、オイル潤滑方式のガスレーザ発振器用送風機の例を示す。
図14に示される送風機100は、インペラ1の回転によりガスを送風するガス送風部2と、インペラ1を回転させるためのモータ部3とを備える。
【0004】
ガス送風部2のケーシング4はインペラ1を包囲していて、モータ部3のケーシング5と一体形成されている。さらに、ガス送風部2のケーシング4には、ガスを吸込むための一つの吸込口4aと、ガスを吐出するための吐出口4b、4cとが形成されている。インペラ1が中心軸Xを中心に回転することにより、ガスが図中の矢印6で示されるように吸込口4aから吸込まれ、矢印7、8で示されるように吐出口4b、4cから吐出されるようになっている。
【0005】
モータ部3のケーシング5には、インペラ1を回転させるロータ9が収容されている。そして、モータ部3のケーシング5は、ガス送風部2のケーシング4内の空間とモータ部3のケーシング5内の空間とを仕切る隔壁部5aを備えている。インペラ1の回転中心およびロータ9の回転中心は同じ中心軸X上に在る。また、モータ部3のケーシング5の内周面にはステータ10がロータ9を取囲むように設置されており、ロータ9はステータ10により電磁力を受けて回転可能となっている。
【0006】
オイル潤滑方式の送風機100においては、ロータ9は鉛直方向に配置される。そして、モータ部3のケーシング5の内底部には、潤滑オイルを貯留するオイル溜り14が形成されている。
オイル溜り14内には、ロータ9の軸方向下端部9aをオイルに浸漬するようにして回転自在に支持する軸受部11が配置されている。一方、ロータ9の軸方向上端部9bは、隔壁部5aを貫通してガス送風部2内に突出している。そして、ロータ9の軸方向上端部9bは、インペラ1の回転中心部と結合されている。
【0007】
隔壁部5aには、ロータ9の軸方向上端部9bが貫通する貫通孔が形成されている。その貫通孔には軸受部12が配置されており、ロータ9の軸方向上端部9bは軸受部12に回転自在に支持されている。
【0008】
また、ロータ9は、ロータ9の高速回転に伴う遠心力を利用して、オイル溜り14のオイルの一部を軸受部12に供給できるようになっている。供給されたオイルは軸受部12の潤滑に使用され、それから、オイル溜り14に戻るようになっている。
【0009】
そして、ロータ9の軸方向上端部9bが貫通する隔壁部5aの貫通孔には、軸シール13が軸受部12に隣接して配置されている。それにより、軸受部12に供給されたオイルがガス送風部2のケーシング4内に浸入し難くしている。
但し、ロータ9の軸方向上端部9bは高速に回転する回転軸部であるため、軸シール13としては、回転軸部の高速回転を妨げないように、非接触式の軸シール、例えばラビリンスシールが採用されている。
【0010】
さらに、オイルがモータ部3からガス送風部2内に浸入することを防止するため、モータ部3のケーシング5には排気口5bが形成されている。排気口5bからモータ部3のケーシング5の内部空間を常時排気することにより、モータ部3内の圧力がガス送風部2内の圧力よりも低くされる。それにより、モータ部3内のオイルがガス送風部2内に浸入してインペラ1によりガスレーザ発振器内に拡散されないようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、従来の送風機100においては、ロータ9の軸方向上端部9bの外周面と、この上端部9bが貫通する貫通孔の内周面との間の隙間に非接触式の軸シール13を配置している。さらに、モータ部3のケーシング5の内部空間を排気している。そのため、ガス送風部2内のガスの一部がモータ部3のケーシング5内に吸込まれるので、ガス送風部2からモータ部3内へのガスの流れ15が発生する。モータ部3内へのガスの流れ15が発生すると、このガスの流れ15により、粒子状の異物が軸シール13に到達する危険性がある。
【0013】
図15は、従来の送風機100における軸シール13の周辺の部分断面図であり、異物16が軸シール13に到達する様子を模式的に示している。
図15に示されるように、非接触式の軸シール13は、ロータ9の回転に伴って回転する回転部13aと、回転しない固定部13bとを有し、回転部13aと固定部13bとの間には隙間が在る。しかし、その隙間は、オイルシール性を確保するために、可能な限り小さくされる。このため、異物16が軸シール13に到達して、軸シール13に在る隙間に異物16が挟まってしまい、軸シール13の焼付きおよび破損が発生する危険性がある。
【0014】
そこで本発明は、上述したような問題点に鑑み、非接触式の軸シール部の破損を低減することが可能な送風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第一態様は、ガスを送風するインペラを収容するガス送風部と、インペラを回転させるロータを収容するモータ部と、ガス送風部とモータ部とを仕切る隔壁部と、を備えた送風機であって、ロータの一端部が隔壁部を貫通して、ガス送風部内に在るインペラの回転中心部を支持している、送風機に係る。
第一態様によれば、そのような送風機であって、一端部が貫通する隔壁部の貫通孔には、非接触式の軸シールが配置され、さらに、隔壁部の、インペラに対向する面には、異物を捕捉する溝が形成されている、送風機が提供される。この第一態様により上述の課題が解決される。しかし、本発明は、第一態様に限られず、以下の第二態様ないし第九態様のいずれかの送風機を提供することもできる。
【0016】
本発明の第二態様によれば、第一態様の送風機であって、溝は、軸シールを取囲む環状の溝である、送風機が提供される。
【0017】
本発明の第三態様によれば、第二態様の送風機であって、
インペラの回転軸と環状の溝の外周側側面との間の距離をr1、
インペラの回転軸と環状の溝の内周側側面との間の距離をr2、
インペラと隔壁部との間の距離をh1、
インペラの、隔壁部に対向する面と、環状の溝の底面との間の距離をh2、としたとき、
上記環状の溝は、
r2<r1、 h1<h2、 および、r1・h1<r2・h2 の関係式を満たすように形成されている、送風機が提供される。
【0018】
本発明の第四態様によれば、第一態様または第二態様の送風機であって、上記隔壁部の面には複数の溝が形成されている、送風機が提供される。
【0019】
本発明の第五態様によれば、第一態様から第四態様のいずれかの送風機であって、溝内に粘着剤が配置されている、送風機が提供される。
【0020】
本発明の第六態様によれば、第一態様から第五態様のいずれかの送風機であって、所定の量の異物が溝内に溜まったことを検出する検出装置をさらに備えた、送風機が提供される。
【0021】
本発明の第七態様によれば、第一態様から第六態様のいずれかの送風機であって、隔壁部には、溝内に溜まった異物を排出する排出路が形成されている、送風機が提供される。
【0022】
本発明の第八態様によれば、第一態様から第七態様のいずれかの送風機であって、隔壁部の、溝が形成された面は、鉛直方向に対して直交している、送風機が提供される。
【0023】
本発明の第九態様によれば、第一態様から第八態様のいずれかの送風機であって、モータ部には、モータ部の内部空間を排気する排気口が形成されている、送風機が提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第一態様によれば、ロータの一端部が貫通する隔壁部の貫通孔に非接触式の軸シールを配置しているので、ガス送風部内のガスの一部は、非接触式の軸シールに在る隙間を通ってモータ部内に流入する。そのため、ガス送風部内に粒子状の異物が発生したとき、異物はガスの流れに伴い、軸シールに向かって隔壁部とインペラとの間の隙間を移動する場合がある。このとき、隔壁部の、インペラに対向する面に溝が形成されているため、異物を溝により捕捉することができる。それにより、異物が軸シールに在る隙間に侵入する危険性を低減することができる。したがって、送風機において軸シールの信頼性が高まる。
【0025】
本発明の第二態様によれば、上記のように異物を捕捉できる溝を、軸シールを取囲むように環状に形成することにより、軸シールに向かって移動する異物は必ず溝を横切ることになる。このため、異物が軸シールに在る隙間に侵入する危険性が低減する。
【0026】
本発明の第三態様によれば、上述した、r2<r1、 h1<h2、 および、r1・h1<r2・h2 の関係式を満たすように環状の溝を形成していることにより、軸シールに向かって移動する異物が溝内に入りやすくなって、軸シールに到達しにくくなる。
【0027】
つまり、隔壁部の、インペラに対向する面に溝を形成しているため、隔壁部とインペラとの間の隙間に関しては、溝が形成された所は他の所よりも広くなる。この結果、溝におけるガスの流速は、隔壁部とインペラとの間の隙間を通過するガスの流速よりも遅くなる。したがって、異物が隔壁部とインペラとの間の隙間を移動する際に異物は溝に入りやすい。このような作用を十分に発揮させて異物を軸シールに到達しにくくするには、ガスの流れにおいて上流となる溝外周側において隔壁部とインペラとが形成するガス流路面積(2π・r1・h1)よりも、下流となる溝内周側において溝底面とインペラとが形成するガス流路面積(2π・r2・h2)を大きくする必要がある。このことは、上述した、r2<r1、 h1<h2、 および、r1・h1<r2・h2 の関係式を満たすように環状の溝を形成することにより達成し得る。
【0028】
本発明の第四態様によれば、上記のように異物を捕捉できる溝を複数形成することにより、異物が軸シールに在る隙間に侵入する危険性を一層低減することができる。
【0029】
本発明の第五態様によれば、上記のように異物を捕捉できる溝内に粘着剤を配置することにより、粘着剤により異物を確実に捕捉することができる。
【0030】
本発明の第六態様によれば、所定の量の異物が溝内に溜まったことを検出できるため、溝内の異物の除去を使用者に促すことができる。
【0031】
本発明の第七態様によれば、溝内に溜まった異物を排出する排出路が隔壁部に形成されているため、溝内に溜まった異物の除去を簡単に行うことができる。また、排出路に排気ポンプを接続すれば、送風機を停止して使用者が溝内の異物を除去する必要も無くなる。
【0032】
本発明の第八態様によれば、隔壁部の、溝が形成された面を鉛直方向に対して直交させることにより、溝が形成された面上を移動する異物は自重により溝内に落ち込みやすくなる。そのため、溝により異物が捕捉される確率を向上させることができる。
【0033】
本発明の第九態様によれば、モータ部の内部空間を排気する排気口を形成することにより、モータ部内の圧力をガス送風部内の圧力よりも低くすることができる。それにより、モータ部内のロータの軸受部に潤滑オイルを供給する方式において、オイルがガス送風部内に浸入して拡散されるといった問題が発生しなくなる。
【0034】
添付図面に示される本発明の典型的な実施形態の詳細な説明から、本発明のこれらの目的、特徴および利点ならびに他の目的、特徴および利点がさらに明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面において、同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。また、以下の各実施形態では、
図14に示した従来の送風機と同じ構成部分については同じ符号を付して、重複する説明を割愛することとする。
【0037】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態の送風機100Aを示す断面図、
図2は
図1中のA−A線に沿って見た断面図である。
第1実施形態の送風機100Aは、インペラ1の回転によりガスを送風するガス送風部2と、インペラ1を回転させるモータ部3とを備える。
【0038】
ガス送風部2のケーシング4はインペラ1を包囲している。ケーシング4には、矢印6で示されるようにガスを吸込むための一つの吸込口4aと、矢印7、8で示されるようにガスを吐出するための吐出口4b、4cとが形成されている。
【0039】
モータ部3のケーシング5はロータ9を収容している。さらに、モータ部3のケーシング5は、ガス送風部2のケーシング4内の空間とモータ部3のケーシング5内の空間とを仕切る隔壁部5aを備えている。また、モータ部3のケーシング5の内周面にはステータ10が設置され、ロータ9はステータ10により電磁力を受けて回転可能である。
【0040】
第1実施形態の送風機100Aはオイル潤滑方式の送風機であり、ロータ9は鉛直方向に配置される。
ロータ9の軸方向下端部9aは、モータ部3のケーシング5の内底部に設置された軸受部11に回転自在に支持されている。さらに、ロータ9の軸方向下端部9aは、モータ部3のケーシング5の内底部に在るオイル溜り14に浸漬されている。
【0041】
一方、ロータ9の軸方向上端部9bは、隔壁部5aを貫通してガス送風部2のケーシング4内に突出している。そして、ロータ9の軸方向上端部9bは、インペラ1の回転中心部と結合されている。さらに、ロータ9の軸方向上端部9bが貫通する隔壁部5aの貫通孔には軸受部12が配置されている。ロータ9の軸方向上端部9bは軸受部12に回転自在に支持されている。
【0042】
また、ロータ9の内部には、オイル通路(不図示)がロータ9の軸方向に沿って形成されている。ロータ9の軸方向下端部9aにはオイル通路の入口(不図示)が形成されている。オイル通路の出口(不図示)は、ロータ9の軸方向上端部9bにおける軸受部12の近傍に形成されている。
このような構成において、ロータ9内のオイル通路に入っているオイルは、ロータ9の高速回転に伴う遠心力によって、オイル通路の内壁面に押し当てられる。このとき、オイルには、オイル通路の内壁面に沿ってオイルを押し上げようとする方向の分力が作用する。その結果、オイルが、ロータ9の軸方向下端部9aにおけるオイル通路の入口から吸上げられるようになる。さらに、吸上げられたオイルは、ロータ9内のオイル通路を通過してロータ9の軸方向上端部9bにおけるオイル通路の出口から放出される。それにより、放出されたオイルの一部が軸受部12に供給され、軸受部12の潤滑に使用され、それから、オイル溜り14に戻るようになっている。
【0043】
さらに、ロータ9の軸方向上端部9bが貫通する隔壁部5aの貫通孔には、軸シール13が軸受部12に隣接して配置されている。それにより、軸受部12に供給されたオイルがガス送風部2のケーシング4内に浸入し難くしている。軸シール13としては、ロータ9の高速回転を妨げないように、非接触式の軸シール、例えばラビリンスシールが採用されている。
【0044】
非接触式の軸シール13は、ロータ9の回転に伴って回転する回転部13aと、回転しない固定部13bとを有し、回転部13aと固定部13bとの間には隙間が在る(
図3参照)。つまり、軸シール13は、ガス送風部2とモータ部3との間のガスの連通作用を完全に遮断しているものではない。
そのため、モータ部3のケーシング5に排気口5bを形成し、インペラ1の回転中、排気口5bからモータ部3のケーシング5の内部空間を常時排気している。その結果、モータ部3内の圧力はガス送風部2内の圧力よりも低く維持されている。それにより、モータ部3内のオイルがガス送風部2内に浸入してインペラ1によりガスレーザ発振器内に拡散されるといった問題が発生しないものとなっている。
【0045】
しかし、モータ部3内の圧力がガス送風部2内の圧力よりも低くなるようにモータ部3の内部空間を排気していることにより、ガス送風部2からモータ部3内へ向かうガスの流れ15が発生する。特に、ガス送風部2内のガスの一部が、隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を流通して、軸シール13に在る隙間からモータ部3内へ流入する。このとき、ガス送風部2内に粒子状の異物16が発生した場合、そのようなガスの流れ15によって異物16が軸シール13の隙間に到達してしまう(
図15参照)。軸シール13の隙間は例えば約0.1mmであり、軸シール13に在る隙間はオイルシール性の観点から狭いほど好ましい。この結果、異物16が軸シール13に在る隙間に挟まってしまい、軸シール13が破損してしまうことが考えられる。
【0046】
そのため、第1実施形態においては、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面に溝20Aが形成されている。さらに、
図2に示すように、溝20Aは軸シール13を取囲む環状の溝である。
【0047】
ここで、溝20Aの作用について説明する。
図3は、第1実施形態の送風機100Aにおける軸シール13の周辺の部分断面図であり、ガス送風部2からモータ部3内へ向かうガスの流れ15と、異物16の挙動とを模式的に示している。
【0048】
モータ部3のケーシング5内の圧力がガス送風部2のケーシング4内の圧力よりも低い場合、
図3に示されるようなガスの流れ15が発生する。それにより、ガス送風部2内のガスの一部は、軸シール13に向かって隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を通過する。そして、ガス送風部2内に粒子状の異物16が発生した場合には、異物16もまた、軸シール13に向かって隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を移動する。
このとき、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面には、異物16の移動経路を横切るように溝20Aが存在しているため、異物16を溝20Aにより捕捉することができる。特に、第1実施形態においては溝20Aを環状に形成していることにより、軸シール13に向かって移動する異物16は必ず溝20Aを横切ることになる。このため、異物16が軸シール13に在る隙間に侵入する危険性を低減することができる。その結果、送風機100Aにおいて軸シール13の信頼性が高まる。
【0049】
なお、溝20Aが形成された隔壁部5aの面を鉛直方向に対して直交させることが、より好ましい。このように構成することにより、異物16が自重により溝20A内に落ち込みやすくなるので、溝20Aにより異物16が捕捉される確率を向上させることができる。このような構成は、以降に説明する第2実施形態から第10実施形態に対しても有効である。
【0050】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態に対して異なる点のみを説明することとする。
図4Aは第2実施形態の送風機100Bを示す断面図、
図4Bは
図4A中のB−B線に沿って見た断面図である。
第2実施形態においては、
図4Aおよび
図4Bに示すように、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面に複数の溝20A、20Bが形成されている。複数の溝20A、20Bは軸シール13を取囲む環状の溝である。さらに、各溝20A、20Bは中心軸Xを中心として同心円状に形成されている。
その他の構成については第1実施形態と同じである。
なお、
図4Bにおいては2本の環状の溝20A、20Bを示しているが、本発明はこれに限定されない。溝20A、20Bの他に、少なくとも一つの環状の溝が軸シール13を取囲むように形成されていてもよい。
【0051】
第2実施形態においても、モータ部3内の圧力がガス送風部2内の圧力よりも低くなるようにモータ部3の内部空間を排気している。その結果、ガス送風部2内のガスの一部が、隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を流通して、軸シール13に在る隙間からモータ部3内へ流入する。そして、ガス送風部2内に粒子状の異物が発生した場合には、異物は、軸シール13に向かって隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を移動することがある。
このとき、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面には複数の溝20A、20Bが異物16の移動経路を横切るように存在しているため、異物は複数の溝20A、20Bにより捕捉される。
第1実施形態に対して、溝20Bを追加したため、異物が軸シール13に在る隙間に侵入する危険性を一層低減することができる。その結果、第1実施形態よりも軸シール13の信頼性が高まる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態に対して異なる点のみを説明することとする。
図5Aは第3実施形態の送風機100Cを示す断面図、
図5Bは
図5A中のC−C線に沿って見た断面図である。
第3実施形態においては、
図5Aおよび
図5Bに示すように、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面に複数の溝20C、20Dが形成されている。第3実施形態の溝20C、20Dは、第2実施形態に示される環状の溝20A、20Bの各々をいくつかの溝部に分割したような形態からなる。
その他の構成については第1実施形態と同じである。
【0053】
第3実施形態においても、モータ部3内の圧力がガス送風部2内の圧力よりも低くなるようにモータ部3の内部空間を排気している。その結果、ガス送風部2内のガスの一部が、隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を流通して、軸シール13に在る隙間からモータ部3内へ流入する。そして、ガス送風部2内に粒子状の異物が発生した場合には、異物は、軸シール13に向かって隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を移動することがある。
このとき、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面には複数の溝20C、20Dが異物の移動経路を横切るように存在しているため、異物は複数の溝20C、20Dにより捕捉される。
第1実施形態に対して、異物を捕捉する溝が多いため、異物が軸シール13に在る隙間に侵入する危険性を一層低減することができる。その結果、第1実施形態よりも軸シール13の信頼性が高まる。また、第1実施形態のように環状の溝20A、20Bを隔壁部5aに形成した構造よりも強度が高い。
【0054】
なお、
図5Bに示されるように、複数の溝20Cは、中心軸Xを中心とした第1の仮想円の円周方向に等間隔に形成されている。複数の溝20Dは、中心軸Xを中心とした、第1の仮想円よりも大きい第2の仮想円の円周方向に等間隔に形成されている。さらに、中心軸Xから径方向に見て、隣合う溝20Dと溝20Dとの間を補間するように、複数の溝20Cが形成されている。このように複数の溝20C、20Dを形成することにより、異物が、隣合う溝20Dと溝20Dとの間を通過しても、その異物を溝20Cにより捕捉することができる。
【0055】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態に対して異なる点のみを説明することとする。
図6Aは第4実施形態の送風機100Dを示す断面図、
図6Bは
図6A中のD−D線に沿って見た断面図である。
第4実施形態においては、
図6Aおよび
図6Bに示すように、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面に多数の溝20Eが形成されている。さらに、溝20Eは円形の凹部であり、中心軸Xを中心とした複数の仮想円の各円周方向に等間隔に形成されている。各仮想円の間隔も等しく設定されている。
その他の構成については第1実施形態と同じである。
【0056】
第4実施形態においても、モータ部3内の圧力がガス送風部2内の圧力よりも低くなるようにモータ部3の内部空間を排気している。その結果、ガス送風部2内のガスの一部が、隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を流通して、軸シール13に在る隙間からモータ部3内へ流入する。そして、ガス送風部2内に粒子状の異物が発生した場合には、異物は、軸シール13に向かって隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を移動することがある。
このとき、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面には多数の溝20Eが異物の移動経路に対して一様に散在しているため、異物は多数の溝20Eにより捕捉される。
第1実施形態に対して、異物を捕捉する溝が多いため、異物が軸シール13に在る隙間に侵入する危険性を一層低減することができる。その結果、第1実施形態よりも軸シール13の信頼性が高まる。
【0057】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態に対して異なる点のみを説明することとする。
図7Aは第5実施形態の送風機100Eを示す断面図、
図7Bは
図7A中のE−E線に沿って見た断面図である。
第5実施形態においては、
図7Aおよび
図7Bに示すように、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面にグリッド部21が配置されている。さらに、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面には、グリッド部21を保持するための一つの溝20Fが形成されている。溝20Fは中心軸Xを中心として環状に形成されている。その他の構成については第1実施形態と同じである。
【0058】
第5実施形態においても、モータ部3内の圧力がガス送風部2内の圧力よりも低くなるようにモータ部3の内部空間を排気している。その結果、ガス送風部2内のガスの一部が、隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を流通して、軸シール13に在る隙間からモータ部3内へ流入する。そして、ガス送風部2内に粒子状の異物が発生した場合には、異物は、軸シール13に向かって隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を移動することがある。
このとき、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面にはグリッド部21を保持する溝20Fが存在しているため、異物は、グリッド部21の多数の網目により捕捉される。
第1実施形態に対して、多数の網目により異物を捕捉できるため、異物が軸シール13に在る隙間に侵入する危険性を一層低減することができる。その結果、第1実施形態よりも軸シール13の信頼性が高まる。なお、溝20Fが隔壁部5aに形成されておらず、グリッド部21がインペラ1と隔壁部5aとの間に配置されていてもよい。
【0059】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態に対して異なる点のみを説明することとする。
図8は第6実施形態の送風機100Fを示す断面図である。
第6実施形態においては、
図8に示すように、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面に溝20Gが形成されている。溝20Gは第1実施形態と同様に、軸シール13を取囲む環状の溝である。さらに、溝20Gは第1実施形態と同様に、中心軸Xを中心として同心円状に形成されている(
図2参照)。
【0060】
さらに、第6実施形態においては、溝20Gが、
r2<r1、 h1<h2、 r1・h1<r2・h2 の関係式を満たすように形成されている。
ここで、r1は、回転軸Xと環状の溝20Gの外周側側面との間の距離である。r2は、回転軸Xと環状の溝20Gの内周側側面との間の距離である。h1は、インペラ1と隔壁部5aとの間の距離である。そして、h2は、インペラ1の、隔壁部5aに対向する面と、溝20Gの底面との間の距離である。
その他の構成については第1実施形態と同じである。
【0061】
第6実施形態においても、モータ部3内の圧力がガス送風部2内の圧力よりも低くなるようにモータ部3の内部空間を排気している。その結果、ガス送風部2内のガスの一部が、隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を流通して、軸シール13に在る隙間からモータ部3内へ流入する。そして、ガス送風部2内に粒子状の異物が発生した場合には、異物は、軸シール13に向かって隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を移動することがある。
このとき、隔壁部5aとインペラ1との間の隙間に関しては、溝20Gが形成された所は他の所よりも広くなっている。この結果、溝20Gにおけるガスの流速は、隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を通過するガスの流速よりも遅くなる。したがって、異物16が隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を移動する際に異物16は溝20G内に入りやすい。
【0062】
以上の作用を十分に発揮させて異物16を軸シール13に到達しにくくするには、ガスの流れにおいて上流となる溝外周側において隔壁部とインペラとが形成するガス流路面積(2π・r1・h1)よりも、下流となる溝内周側において溝底面とインペラとが形成するガス流路面積(2π・r2・h2)を大きくすることが望ましい。
そのため、溝20Gは、
r2<r1、 h1<h2、 および r1・h1<r2・h2 の関係式を満たすように形成されているとよい。
【0063】
なお、第6実施形態においては、第1実施形態と同様に形成された溝20Gに上記の関係式を適用する例を示した。しかし、上記の関係式は、第2実施形態および第3実施形態において説明した少なくとも一つの溝においても適用可能である。
【0064】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態に対して異なる点のみを説明することとする。
図9は第7実施形態の送風機100Gを示す断面図である。
第7実施形態においては、
図9に示すように、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面に溝20Hが形成されている。溝20Hは第1実施形態と同様に形成されている。つまり、溝20Hは軸シール13を取囲む環状の溝である。
さらに、第7実施形態においては、溝20Hの内壁面に粘着剤22が配置されている。その他の構成については第1実施形態と同じである。
【0065】
第7実施形態においても、モータ部3内の圧力がガス送風部2内の圧力よりも低くなるようにモータ部3の内部空間を排気している。その結果、ガス送風部2内のガスの一部が、隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を流通して、軸シール13に在る隙間からモータ部3内へ流入する。そして、ガス送風部2内に粒子状の異物が発生した場合には、異物は、軸シール13に向かって隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を移動することがある。
このとき、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面には異物の移動経路を横切るように溝20Hが存在しているため、異物は溝20H内に入る。さらに、溝20Hの内壁面には粘着剤22が配置されているため、溝20H内に入った異物は粘着剤22によって確実に捕捉される。
このように異物が粘着剤22により確実に捕捉されるため、第1実施形態に対して、異物が軸シール13に在る隙間に侵入する危険性を一層低減することができる。その結果、第1実施形態よりも軸シール13の信頼性が高まる。
【0066】
なお、第7実施形態においては、第1実施形態と同様に形成された溝20Hに粘着剤22を適用した例を示した。しかし、粘着剤22は、第2実施形態から第6実施形態において説明した溝の内壁面に配置されてもよい。
【0067】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態に対して異なる点のみを説明することとする。
図10は第8実施形態の送風機100Hを示す断面図である。
第8実施形態においては、
図10に示すように、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面に溝20Iが形成されている。溝20Iは第1実施形態と同様に形成されている。つまり、溝20Iは軸シール13を取囲む環状の溝である。
さらに、第8実施形態においては、溝20I内に透過式のフォトカプラ23が配置されている。送風機100Hは、透過式のフォトカプラ23から出力される信号に基づいて送風機100Hの動作を制御する制御装置24を備えている。
【0068】
透過式のフォトカプラ23は、発光部23aと、発光部23aからの光Lを受光する受光部23bとを備える。フォトカプラ23の発光部23aは溝20Iの一側に固定され、フォトカプラ23の受光部23bは溝20Iの他側に固定されている。
図10に示されるような発光部23aから受光部23bへ向かう光Lが遮断されたとき、フォトカプラ23は制御装置24に信号を送信するようにされている。さらに、フォトカプラ23の発光部23aおよび受光部23bは、溝20Iの底面を基準とした所定の高さに配置されている。その他の構成については第1実施形態と同じである。
【0069】
第8実施形態においても、モータ部3内の圧力がガス送風部2内の圧力よりも低くなるようにモータ部3の内部空間を排気している。その結果、ガス送風部2内のガスの一部が、隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を流通して、軸シール13に在る隙間からモータ部3内へ流入する。そして、ガス送風部2内に粒子状の異物が発生した場合には、異物は、軸シール13に向かって隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を移動することがある。
このとき、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面には異物の移動経路を横切るように溝20Iが存在しているため、異物は溝20I内に入る。
そして、溝20I内に複数の異物が堆積して所定の量または高さに達したとき、フォトカプラ23の光Lが遮断されて、フォトカプラ23は制御装置24に信号を送信する。それにより、例えば、制御装置24は、ロータ9の回転を停止させて、異物の除去を使用者に促すアラームを出力する。
【0070】
このように所定の量の異物が溝20I内に溜まったことを検出できるため、第1実施形態に対して、異物が軸シール13に在る隙間に侵入する危険性を一層低減することができる。その結果、第1実施形態よりも軸シール13の信頼性が高まる。
【0071】
なお、第8実施形態においては、第1実施形態と同様に形成された溝20Iに透過式のフォトカプラ23を適用した例を示した。しかし、透過式のフォトカプラ23は、第2実施形態から第7実施形態において説明した溝のいずれかに適用されてもよい。
【0072】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態に対して異なる点のみを説明することとする。
図11は第9実施形態の送風機100Iを示す断面図である。
第9実施形態においては、
図11に示すように、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面に溝20Jが形成されている。溝20Jは第1実施形態と同様に形成されている。つまり、溝20Jは軸シール13を取囲む環状の溝である。
さらに、第9実施形態においては、溝20Jの底部に反射式のフォトカプラ25が配置されている。送風機100Iは、反射式のフォトカプラ25から出力される信号に基づいて送風機100Hの動作を制御する制御装置24を備えている。
【0073】
反射式のフォトカプラ25は、溝20Jの底部からインペラ1の方に向けて光Lを発光する発光部25aと、光Lを受光する受光部25bとを備える。
図11に示されるような発光部25aから受光部25bへ戻る光Lを受光部が検知できなくなったとき、フォトカプラ25は制御装置24に信号を送信するようにされている。
【0074】
さらに、反射式のフォトカプラ25においては、受光部の感度、すなわち、受光部が検知できる光Lの光量を調節することができる。溝20Jの底部上に堆積する異物の量が増加するほど、発光部25aから受光部25bに戻る光Lの光量は減少する。したがって、受光部が検知できる光Lの光量を設定することにより、溝20J内の異物が所定の量または高さに達したか否かを検知することができる。
その他の構成については第1実施形態と同じである。
【0075】
第9実施形態においても、モータ部3内の圧力がガス送風部2内の圧力よりも低くなるようにモータ部3の内部空間を排気している。その結果、ガス送風部2内のガスの一部が、隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を流通して、軸シール13に在る隙間からモータ部3内へ流入する。そして、ガス送風部2内に粒子状の異物が発生した場合には、異物は、軸シール13に向かって隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を移動することがある。
このとき、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面には異物の移動経路を横切るように溝20Jが存在しているため、異物は溝20J内に入る。
そして、溝20J内に複数の異物が堆積して所定の量または高さに達したとき、フォトカプラ25の発光部25aから受光部25bへ戻る光Lを受光部が検知できなくなり、フォトカプラ25は制御装置24に信号を送信する。それにより、例えば、制御装置24は、ロータ9の回転を停止させて、異物の除去を使用者に促すアラームを出力する。
【0076】
このように所定の量の異物が溝20J内に溜まったことを検出できるため、第1実施形態に対して、異物が軸シール13に在る隙間に侵入する危険性を一層低減することができる。その結果、第1実施形態よりも軸シール13の信頼性が高まる。
【0077】
なお、第9実施形態においては、第1実施形態と同様に形成された溝20Jに反射式のフォトカプラ25を適用した例を示した。しかし、反射式のフォトカプラ25は、第2実施形態から第7実施形態において説明した溝のいずれかに適用されてもよい。
【0078】
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態に対して異なる点のみを説明することとする。
図12は第10実施形態の送風機100Jを示す断面図である。
第10実施形態は、第8実施形態(
図10参照)において説明した溝20Iに対して、溝20I内から異物16を排出する異物排出構造を備えている。この異物排出構造は、
図12に示されるように、溝20I内の異物16を送風機100J外に排出する排出路26を有する。排出路26は、溝20Iの底部から送風機100J外へ、ガス送風部2とモータ部3とを仕切る隔壁部5aの内部を通るようにして形成されている。さらに、排出路26の出口には排気装置、例えば排気ポンプ(不図示)が接続されている。
【0079】
第10実施形態においても、モータ部3内の圧力がガス送風部2内の圧力よりも低くなるようにモータ部3の内部空間を排気している。その結果、ガス送風部2内のガスの一部が、隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を流通して、軸シール13に在る隙間からモータ部3内へ流入する。そして、ガス送風部2内に粒子状の異物が発生した場合には、異物16は、軸シール13に向かって隔壁部5aとインペラ1との間の隙間を移動することがある。
このとき、隔壁部5aの、インペラ1に対向する面には異物16の移動経路を横切るように溝20Iが存在しているため、異物は溝20I内に入る。
そして、溝20I内に複数の異物が堆積して所定の量または高さに達したとき、フォトカプラ23の光Lが遮断されて、フォトカプラ23は制御装置24に信号を送信する。それにより、制御装置24は、排気ポンプ(不図示)を作動させる。排気ポンプにより排出路26内の空気が排出されるため、溝20I内に在る異物16も排出路26を通って送風機100J外へ排出される。
【0080】
このように所定の量の異物16が溝20I内に溜まったことを検出し、溝20I内の異物を送風機100J外へ排出できるため、第1実施形態に対して、異物が軸シール13に在る隙間に侵入する危険性を一層低減することができる。その結果、第1実施形態よりも軸シール13の信頼性が高まる。
さらに、第8実施形態に対して、溝20I内に溜まった異物16の除去を簡単に行うことができる。また、排出路26に排気ポンプを接続することにより、送風機100Jを停止して使用者が溝20I内の異物を除去する必要が無くなる。
【0081】
なお、第10実施形態においては、第8実施形態と同様に形成された溝20Iに異物排出構造を適用した例を示した。しかし、異物排出構造は、第1実施形態から第7実施形態および第9実施形態において説明した溝のいずれかに適用されてもよい。
【0082】
次に、第10実施形態の送風機100Jを適用したガスレーザ発振器について説明する。
図13は、
図12に示される送風機100Jが適用されたガスレーザ発振器を示す模式図である。
図13に示されるガスレーザ発振器は、出力すべきレーザ光を共振させるための共振器部30を備える。共振器部30は、レーザガスを収容し、放電によってレーザガスを励起してレーザ光を放出する軸形の放電部31を有する。レーザガスは、例えば、おもに二酸化炭素と窒素とヘリウムとからなる混合気体である。この放電部31は、例えば、2本の放電管31a、31bを直列に接続して構成されている。
【0083】
放電部31の軸方向の両端となる位置にそれぞれ出力鏡(半反射鏡)32とリア鏡(全反射鏡)33とが配置されている。出力鏡32およびリア鏡33は高精度に位置決めされている。
放電管31a、31bにはそれぞれ高周波電源34a、34bが接続されている。高周波電源34a、34bにより高周波の電力を各放電管31a、31b内の電極間に印加することにより、各放電管31a、31b内の電極間のレーザガスを放電させる。レーザガスを放電により励起すると、各放電管31a、31bの長軸方向にレーザ光が放出される。このレーザ光が出力鏡32とリア鏡33との間で反射を繰返して増幅されるとともに、出力鏡32を透過して共振器部30の外へ出力される。出力されたレーザ光は金属加工や樹脂加工などに利用される。
【0084】
各放電管31a、31bにはそれぞれレーザガス流路35a、35bが接続されている。レーザガス流路35aは、放電管31a、31b間を連通する連通部36から第1熱交換器37、送風機100J、および第2熱交換器38を順次経由して放電部31の一端部39に至る流路である。一方、レーザガス流路35bは、放電管31a、31b間の連通部36から第1熱交換器37、送風機100J、および第2熱交換器38を順次経由して放電部31の他端部30に至る流路である。なお、
図13では、レーザガスが流れる方向の理解を容易にするため、レーザガス流路35a、35b内に白抜き矢印Qを描いてある。
【0085】
また、レーザガス流路35bには、レーザガスが充填されたガスボンベ41が接続されている。ガスボンベ41とレーザ流路35bとを連通する流路には止め弁42および流量調整弁43が設けられている。これに対し、レーザガス流路35aには、排気ポンプ44が接続されている。排気ポンプ44とレーザ流路35aとを連通する流路には止め弁45および流量調整弁46が設けられている。
【0086】
レーザガス流路35a、35bにおいて、送風機100Jを作動させることにより、各放電管31a、31b内のレーザガスは各放電管31a、31bから排出され、第1熱交換器37により冷却される。さらに、第1熱交換器37を通過したレーザガスは、送風機100Jにより各放電管31a、31b内に還流する。送風機100Jを通過するときにレーザガスは圧縮されて該レーザガスの温度が上昇する。このため、送風機100Jを通過したレーザガスを第2熱交換器38により冷却している。以上の構成により、各放電管31a、31b内のレーザガスをレーザガス流路35b、35bにより循環させながら、レーザガスを冷却している。
【0087】
さらに、送風機100Jのモータ部3の内部空間を排気するための排気口5bは、前述の排気ポンプ44に接続されている。排気口5bと排気ポンプ44とを連通する流路には、固定オリフィスからなる流量制御弁47が設けられている。流量制御弁47は、モータ部3内の潤滑オイルが排気口5bより排出されないように、排気流量を制御している。
【0088】
異物を排出する排出路26もまた、排気ポンプ44に接続されている。そして、排気路26と排気ポンプ44とを連通する流路には止め弁48およびフィルタ49が設けられている。フィルタ49により、排出路26から排出された異物が排気ポンプ44に侵入することを防止している。
【0089】
なお、
図13に示したガスレーザ発振器においては、第1実施形態から第9実施形態において説明した送風機のいずれかを、第10実施形態の送風機100Jの代わりに適用してもよい。
【0090】
以上、ガスレーザ発振器に適用可能な送風機を例にして本発明を説明したが、本発明の送風機はガスレーザ発振器への適用に限定されず、圧縮機、ガスタービン、あるいは真空ポンプにも適用できる。
また、上述した各実施形態では、モータ部3内の圧力がガス送風部2内の圧力よりも低くなるようにモータ部3の内部空間を排気している送風機を例にしているが、本発明は、モータ部3内の排気を必要とするものに限定されない。つまり、本発明は、回転軸部と、回転軸部が貫通する貫通孔が形成された壁部との間に非接触式の軸シールを配置する構造を備え、そのような構造により、当該軸シールの隙間にガスが流通する可能性が有るものすべてに適用できる。
【0091】
また、以上では典型的な実施形態を示したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の思想を逸脱しない範囲で上述の実施形態を様々な形、構造や材料などに変更可能である。