【課題を解決するための手段】
【0020】
要約
本発明の開示は、ヒト補体のインヒビター(例えば、抗C5抗体などの補体成分C5のインヒビター)を含む組成物、およびこの組成物を用いて補体関連障害を処置または予防するための方法に関する。いくつかの実施形態では、この組成物は、ヒト補体成分C5タンパク質に結合する、抗体、またはその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、この組成物は、ヒトC5フラグメントC5aもしくはC5bに結合する、抗体、またはその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、C5インヒビターは、低分子または核酸、例えば、siRNAまたはアンチセンスRNA(哺乳動物でC5 mRNAに結合しかつ不活性化を促進する)である。
【0021】
補体関連障害としては、ヒトにおける任意の内科的障害であって、その処置は、補体系の阻害から直接または間接的に利益がある障害が挙げられる。この障害は一般には、補体系の不適切な調節、例えば、以下が不適切であることによって特徴付けられる:(i)補体系の活性化、または(ii)被験体の活性化された補体系の期間。補体関連障害としては限定するものではないが、炎症および自己免疫障害が挙げられる。補体関連障害は、例えば、RA;抗リン脂質抗体症候群(APS);ループス腎炎;虚血性再灌流傷害;aHUS;定型(下痢または感染性とも呼ばれる)溶血性尿毒症症候群(tHUS);DDD;視神経脊髄炎(NMO);多巣性運動ニューロパチー(MMN);MS;黄斑変性症(例えば、AMD);HELLP症候群;TTP;自然胎児消失;寡免疫性血管炎(Pauci−immune vasculitis);表皮水泡症;再発性胎児消失;および外傷性脳損傷であり得る。いくつかの実施形態では、補体関連障害は、補体関連の血管障害、例えば、心血管系障害、心筋炎、心血管系障害、末梢(例えば、筋骨格)血管障害、腎血管障害、腸間膜/腸内の血管障害、血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑腎炎、全身性紅斑性狼瘡関連血管炎、関節リウマチ関連血管炎、免疫複合体血管炎、高安病、拡張型心筋症、糖尿病性血管症、川崎病(動脈炎)、静脈気体塞栓(VGE)、およびステント留置後再狭窄、回転式粥腫切除術(rotational atherectomy)、および経皮経管冠動脈形成拡張術(PTCA)である。さらなる補体関連障害としては限定するものではないが、重症筋無力症(MG)、寒冷凝集素症(CAD)、皮膚筋炎、発作性寒冷血色素尿症(PCH)、グレーブス病、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、全身炎症反応敗血症、敗血性ショック、脊髄損傷、糸球体腎炎、橋本甲状腺炎、I型糖尿病、乾癬、天疱瘡、自己免疫溶血性貧血(AIHA)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、グッドパスチャー症候群、ドゴー病、および劇症型(catastrophic)APS(CAPS)が挙げられる。
【0022】
一態様では、本開示は、ヒトでの補体関連障害を処置または予防するための方法を特徴付ける。この方法は、ヒト補体のインヒビター(例えば、ヒト補体成分C5のインヒビター)を含む治療上有効な量の組成物を、それを必要とするヒトに対して投与する工程を包含する。
【0023】
別の態様では、本開示は、ヒトにおいて補体関連障害を処置または予防するための方法を特徴付け、この方法は、治療上有効な量のヒト補体のインヒビター(例えば、ヒト補体成分C5のインヒビター)を含む組成物を、それを必要とするヒトに対して投与する工程を包含する。
【0024】
本明細書に記載の任意の方法のいくつかの実施形態では、このインヒビターは、ヒト補体成分C5タンパク質の発現を阻害し得る。このインヒビターは、ヒト補体成分C5タンパク質のタンパク質発現を阻害してもよいし、またはこのタンパク質をコードするmRNAの発現を阻害してもよい。本明細書に記載の任意の方法のいくつかの実施形態では、このインヒビターは、ヒト補体成分C5のフラグメントC5aおよびC5bへの切断を阻害し得る。
【0025】
本明細書に記載の任意の方法のいくつかの実施形態では、このインヒビターは、C5aおよびC5bの一方または両方に結合し、かつ阻害する。このインヒビターは、例えばC5aまたはC5bに結合する抗体であってもよい。いくつかの実施形態では、このインヒビターは、C5aに結合するが、全長C5には結合しない抗体である。いくつかの実施形態では、このインヒビターは、C5bに結合するが、全長C5には結合しない抗体である。いくつかの実施形態では、このインヒビターは、配列番号12〜25のいずれか1つに示される少なくとも4つ(例えば、少なくとも、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、または17以上)連続のアミノ酸を含むか、またはそのアミノ酸からなるアミノ酸配列を有する、ヒトC5aタンパク質またはそのフラグメントに結合する抗体である。いくつかの実施形態では、このインヒビターは、配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するヒトC5aタンパク質に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、このインヒビターは、配列番号4または26のいずれか1つに示される少なくとも4つ(例えば、少なくとも、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、または17以上)連続のアミノ酸を含むか、またはそのアミノ酸からなるアミノ酸配列を有する、ヒトC5bタンパク質またはそのフラグメントに結合する抗体である。いくつかの実施形態では、このインヒビターは、配列番号4または26に示されるアミノ酸配列を有するヒトC5bタンパク質に結合する抗体である。
【0026】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、このインヒビターは、ポリペプチド、ポリペプチドアナログ、核酸、核酸アナログ、および低分子からなる群より選択され得る。このポリペプチドは、本明細書に記載の任意のものなどのヒト補体成分C5タンパク質に結合する、抗体、またはその抗原結合フラグメントであってもよいし、またはそれからなってもよい。いくつかの実施形態では、この抗体は、補体成分C5タンパク質のα鎖に結合し得る。いくつかの実施形態では、この抗体は、補体成分C5タンパク質のβ鎖に結合し得る。いくつかの実施形態では、この抗体は、ヒト補体成分C5のα鎖に結合し得、かつこの抗体は、(i)ヒト体液での補体活性化を阻害し得、(ii)精製されたヒト補体成分C5のヒト補体成分C3bもしくはヒト補体成分C4bのいずれかへの結合を阻害し得、および/または(iii)ヒト補体活性化産物なしのC5aに結合し得ない(または前述の特性のいずれかの組み合わせ)。この抗体は、配列番号1〜11のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有するか、またはそれからなるヒト補体成分C5タンパク質に結合し得る。この抗体は、配列番号5のアミノ酸8位置〜アミノ酸位置12に相当するアミノ酸配列を含む単離されたオリゴペプチドに結合し得る。いくつかの実施形態では、この抗体は、モノクローナル抗体、単鎖抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、ダイアボディ、キメラ化抗体もしくはキメラ抗体、脱免疫化ヒト抗体、完全ヒト抗体、単鎖抗体、Fvフラグメント、Fdフラグメント、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、またはF(ab’)
2フラグメントであってもよい。いくつかの実施形態では、この抗体は、エクリズマブであってもまたはパキセリズマブであってもよい。
【0027】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、この組成物は、ヒトに静脈内投与されてもよい。
【0028】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、補体関連障害は、別の補体経路関連障害である。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、この補体関連障害は、古典的な補体経路関連障害である。いくつかの実施形態では、この補体関連障害は、関節リウマチ、虚血性再灌流傷害、非定型溶血性尿毒症症侯群、血栓性血小板減少性紫斑病、デンス・デポジット病(DDD);加齢性黄斑変性症、自然胎児消失、寡免疫性血管炎、表皮水泡症、再発性胎児消失、多発性硬化症、HELLP、子癇前症、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、重症筋無力症、寒冷凝集素症、皮膚筋炎、グレーブス病、橋本甲状腺炎、I型糖尿病、乾癬、天疱瘡、自己免疫溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、抗リン脂質抗体症候群、劇症型抗リン脂質症候群、視神経脊髄炎(NMO)、多巣性運動ニューロパチー(MMN)、デゴス(Degos)病、および本明細書に記載される任意の他の補体関連障害からなる群より選択される。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、ヒトが補体関連障害を有するか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがあると特定する工程をさらに包含し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法はまた、投与後に、補体関連障害の1つ以上の症状の改善についてヒトをモニタリングする工程を包含し得る。
【0030】
補体関連障害がaHUSである、本明細書に記載の任意の方法の実施形態では、aHUSは、遺伝型であっても、後天性であっても、または特発型であってもよい。いくつかの実施形態では、aHUSは、補体H因子(CFH)関連のaHUS(例えば、CFHの変異、またはCFHに結合する被験体における抗体の存在に起因する)、膜補因子タンパク質(MCP)関連のaHUS、補体I因子(CFI)関連のaHUS、C4b結合タンパク質(C4BP)関連のaHUS、フォン・ヴィレブランド因子(vWF)関連の障害、補体B因子(CFB)関連のaHUS、またはC3消費増大の結果として低C3レベルを生じる別の経路の障害であってもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、被験体がaHUSを有するか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがあることを特定する工程をさらに包含し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、投与後、aHUSの1つ以上の症状の改善について被験体をモニタリングする工程を包含し得る。
【0033】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、この組成物は、血漿療法(例えば、血漿交換または血漿注入)の前、間、または後に被験体に投与され得る。いくつかの実施形態では、被験体に対するC5インヒビターの投与によって、患者による血漿療法の必要性が軽減され得る。例えば、いくつかの実施形態では、被験体へのC5インヒビターの投与(例えば、慢性投与)は、患者による血漿療法の必要性を少なくとも2カ月まで軽減または実質的に減少し得る(例えば、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月もしくは12カ月、または1、2、3、4、5もしくは6年以上)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、定型HUSまたはaHUSを処置するために有用な1つ以上の追加の活性剤を被験体に投与する工程を包含し得る。この1つ以上の追加の活性剤は、例えば、降圧剤、抗血小板剤、プロスタサイクリン、線維素溶解剤および抗酸化剤からなる群より選択され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、ヒトとは乳児である。乳児とは、例えば、0.5歳(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、または9.5歳)であってもよい。乳児は、10歳未満であってもよい(例えば、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、または1歳未満)。
【0035】
補体関連障害が定型HUSである本明細書に記載の任意の方法の実施形態では、定型HUSは、ヒトでの大腸菌感染に関連し得る。大腸菌感染は、例えば、大腸菌O157(例えば、O157:H7)、O26、O103、O111、またはO145感染であり得る。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、代表的な溶血性尿毒症症候群は、ヒトでのShigella dysenteriae感染と関連し得る。Shigella dysenteriae感染は、Shigella dysenteriaeの1型の感染であり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法はさらに、ヒトが定型溶血性尿毒症症候群を有するか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがあると特定する工程を包含し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、投与後に、定型溶血性尿毒症症候群の1つ以上の症状の改善についてヒトをモニタリングする工程を包含し得る。
【0038】
補体関連障害がCAPSである本明細書に記載の任意の方法の実施形態では、CAPSは、誘発条件に関連し得る。誘発条件としては、例えば、癌、移植、感染、手術、原発性抗リン脂質抗体症候群、または自己免疫障害、例えば、関節リウマチまたは全身性紅斑性狼瘡を挙げることができる。したがって、いくつかの実施形態では、CAPSは、癌、例えば、限定するものではないが、胃癌、卵巣癌、リンパ腫、白血病、子宮内膜癌、腺癌腫、肺癌、またはCAPSを誘発するかまたはCAPSと関連することが当該分野で公知の任意の他の癌と関連し得る。いくつかの実施形態では、CAPSは特発性であってもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法はまた、ヒトがCAPSを有するか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがあることを特定する工程を包含し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、投与後、CAPSの1つ以上の症状の改善についてヒトをモニタリングする工程を包含し得る。
【0040】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、組成物は、血漿交換、プラズマフェレーシス、IVIG、またはCAPSを処置するための任意の他の追加の療法の前、間または後にヒトに対して投与され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法はまた、CAPSを処置するために有用な1つ以上の追加の活性剤をヒトに投与する工程を包含し得る。この1つ以上の追加の活性剤は、降圧剤、抗サイトカイン剤、ステロイド、抗凝固剤または線維素溶解剤からなる群より選択され得る。
【0042】
補体関連障害がTTPである本明細書に記載の任意の方法の実施形態では、TTPは、遺伝性であってもよい。例えば、ヒトは、ADAMTS13遺伝子に1つ以上の(例えば、2、3、4、または5以上)の変異を担持し得る。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、TTPは、後天性であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ヒトは、ADAMTS13メタロプロテイナーゼに結合し、かつ阻害する抗体を産生し得る。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、TTPは、再発型であり得る。例えば、ヒトとは、TTPを有するヒトであってもよい。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、TTP(または再発性TTP)は、誘発条件、例えば、限定するものではないが、癌、妊娠、細菌もしくはウイルスの感染、手術、または当該分野で公知であるかもしくは本明細書で記載される任意の他のTTP関連状態に関連する。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、TTP(または再発性TTP)は、TTPに関連する治療剤の使用に関連する。例えば、TTPは、例えば、チクロピジンもしくはクロピドグレルなどの血小板凝集インヒビターまたは免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、マイトマイシンC、FK506、またはインターフェロンα)の使用に関連し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、ヒトがTTPを有するか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがあることを特定する工程を包含し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、投与後、TTPの1つ以上の症状の改善についてヒトをモニタリングする工程を包含し得る。
【0044】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、組成物は、血漿交換、血漿注入、プラズマフェレーシス、または脾臓摘出の前、間、または後にヒトに投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、ヒトに対して、TTPを処置または予防するために有用な1つ以上の追加の活性剤を投与する工程を包含し得る。この1つ以上の追加の活性剤は、降圧剤、ステロイド、抗凝固剤、または線維素溶解剤からなる群より選択され得る。
【0045】
補体関連障害がDDDである本明細書に記載の任意の方法の実施形態では、DDDは、遺伝型の障害であり得る。例えば、ヒトは、補体H因子遺伝子、補体因子H関連5遺伝子、または補体成分C3遺伝子におけるDDD関連の変異を有し得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、ヒトがDDDを有するか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがあることを特定する工程を包含し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、投与後、DDDの1つ以上の症状における改善についてヒトをモニタリングする工程を包含し得る。
【0047】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、組成物は、血漿交換、血漿補充、プラズマフェレーシス、または静脈内γグロブリン療法の前、間または後にヒトに投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、DDDを処置するために有用な1つ以上の追加の活性剤をヒトに対して投与する工程を包含し得る。1つ以上の追加の活性剤は、降圧剤、コルチコステロイド、抗凝固剤、または線維素溶解剤からなる群より選択され得る。
【0048】
補体関連障害がMGである本明細書に記載の任意の方法の実施形態では、ヒトは、MG関連自己抗体、例えば、限定はしないが、MG関連抗AChR抗体、MG関連抗MuSK抗体、またはMG関連抗横紋(striational)タンパク質抗体を発現するヒトであってもよい。MGは、眼のMGおよび/またはMGの薬物誘発型、例えば、D−ペニシラミン誘発性MGであってもよい。いくつかの実施形態では、ヒトは、筋無力症クリーゼである場合もあるし、または筋無力症クリーゼを発症するリスクがある場合もある。いくつかの実施形態では、ヒトとは、新生児のMGを有する新生児であり得て、ここではMGを有する母が、胎盤から乳児へMG関連抗体を渡す。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、MGを有するか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがあるヒトを特定する工程をさらに包含し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、投与後、MGの1つ以上の症状の改善についてヒトをモニタリングする工程をさらに包含し得る。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、組成物は、血漿交換、プラズマフェレーシス、IVIG、または免疫吸着療法の前、間、または後にヒトに投与され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、MGを処置または予防するために有用な1つ以上の追加の活性剤をヒトに投与する工程を包含し得る。1つ以上の追加の活性剤は、例えば、アセチルコリンステラーゼインヒビター、免疫抑制剤、または当該分野で公知であるかもしくは本明細書に記載される、MGを処置するために有用な任意の他の追加の活性剤であってもよい。
【0051】
補体関連障害が発作性寒冷血色素尿症(PCH)である本明細書に記載の任意の方法の実施形態では、PCHは、感染(例えば、ウイルスもしくは細菌の感染)または新生物に関連し得る。例えば、PCHは、Treponema palladium感染、インフルエンザウイルス感染、水痘帯状疱疹ウイルス感染、サイトメガロウイルス(CMV)感染、エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染、アデノウイルス感染、パルボウイルスB19感染、コクサッキーA9感染、Haemophilusインフルエンザ感染、Mycoplasma pneumoniae感染、またはKlebsiella pneumoniae感染に関連し得る。いくつかの実施形態では、PCHは、非ホジキンリンパ腫に関連し得る。いくつかの実施形態では、PCHは、免疫(例えば、麻疹免疫)に関連し得る。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、PCHは、急性であってもまたは再発性であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、ヒトがPCHを有するか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがあることを特定する工程を包含し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、投与後、PCHの1つ以上の症状の改善についてヒトをモニタリングする工程を包含し得る。
【0053】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、組成物は、血漿交換、血漿注入、IVIG療法、赤血球輸血、またはプラズマフェレーシスの前、間、または後にヒトに投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、PCHを処置または予防するために有用な1つ以上の追加の活性剤をヒトに投与する工程を包含し得る。1つ以上の追加の活性剤は、降圧剤、ステロイド、免疫抑制剤(例えば、リツキシマブ)、抗生物質、抗ウイルス剤、および化学療法剤からなる群より選択され得る。
【0054】
補体関連障害がCADである本明細書に記載の任意の方法の実施形態では、CADは、感染(例えば、ウイルスもしくは細菌の感染)または新生物と関連し得る。例えば、CADは、HIV感染、サイトメガロウイルス(CMV)感染、エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染、またはMycoplasma pneumoniae感染に関連し得る。いくつかの実施形態では、CADは、非ホジキンリンパ腫に関連し得る。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、CADは、原発性であっても、または二次性であってもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、ヒトがCADを有するか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがあるということを特定する工程を包含し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、投与後、CADの1つ以上の症状の改善についてヒトをモニタリングする工程を包含し得る。
【0056】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、組成物は、血漿交換、血漿補充、IVIG療法、またはプラズマフェレーシスの前、間、または後にヒトに投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、CADを処置または予防するために有用な1つ以上の追加の活性剤をヒトに投与する工程を包含し得る。1つ以上の追加の活性剤は、降圧剤、ステロイド、免疫抑制剤(例えば、リツキシマブ)、抗生物質、抗ウイルス剤、および化学療法剤からなる群より選択され得る。
【0057】
補体関連障害がHELLP症候群である本明細書に記載の任意の方法の実施形態では、罹患した女性は妊娠している場合もあるし、または最近妊娠した女性である場合もある。例えば、女性は、投与の前14日内(例えば、13日、12日、11日、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、24時間、18時間、12時間、6時間未満、または4、3、2もしくは1時間内)に出産した女性であってもよい。いくつかの実施形態では、女性は、2回以上妊娠している。いくつかの実施形態では、女性は、少なくとも1回の以前の妊娠の間に子癇前症またはHELLP症候群を発症した女性であってもよい。
【0058】
補体関連障害がHELLP症候群である実施形態では、本明細書に記載の方法はさらに、女性がHELLP症候群を有するか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがあるということを特定する工程を包含し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法はさらに、投与後、HELLP症候群の1つ以上の症状の改善について女性をモニタリングする工程を包含し得る。
【0059】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、組成物は、血漿交換、プラズマフェレーシス、血小板輸血、または赤血球輸血の前、間、または後に女性に投与されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、女性においてHELLP症候群を処置または予防するために有用な少なくとも1つ以上の追加の活性剤を女性に投与する工程を包含し得る。1つ以上の追加の活性剤は、降圧剤、ステロイド、抗けいれん剤、および抗血栓剤からなる群より選択され得る。
【0061】
さらに別の態様では、本開示は、表示とヒト補体のインヒビター(例えば、ヒト補体成分C5のインヒビター)を含む組成物とを有する容器を備える(かまたはそれからなる)製品を特徴付ける。この表示は、本明細書に記載される任意の補体関連障害などの補体関連障害を有しているか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがあるヒトに対してこの組成物を投与することを示す。このインヒビターは、補体成分C5またはそのフラグメント、例えば、C5aまたはC5bに結合する、例えば、抗体またはその抗原結合フラグメントであってもよい。いくつかの実施形態では、この製品は、補体関連障害を処置または予防する(例えば、障害の1つ以上の症状を緩和する)ために有用な1つ以上の追加の活性剤を含む。
【0062】
本開示はまた、C5インヒビターエクリズマブでの処置の際、補体関連障害aHUSおよび腎臓の血栓性微小血管症(TMA)を有する患者が、TMAのさらなる発症なしに腎臓のTMAの完全な回復を経験したという本発明者らによる発見に一部は基づく。したがって、別の態様では、本開示は、TMAを有するか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがある患者において、血栓性微小血管症(TMA)を処置するか、またはTMAの発症もしくは重篤度を軽減するための方法を特徴付ける。この方法は、補体のインヒビター、例えば、補体成分C5のインヒビターを患者(それを必要とする)に投与し、それによって患者のTMAを処置する工程を包含する。このインヒビターは、例えば、本明細書に記載される任意のC5インヒビター、例えば、エクリズマブであってもよい。C5インヒビターの投与は、患者の脳および/または腎臓においてTMAの発症または重篤度を低減し得る。いくつかの実施形態では、C5インヒビターの投与は、患者における既存のTMA、例えば、患者の脳または腎臓に既に存在しているTMAを処置するかまたは回復を促進する。
【0063】
いくつかの実施形態では、患者は、本明細書に記載の任意の補体関連障害などの障害、例えば、膜性増殖性糸球体腎炎、ドゴー病、非定型溶血性尿毒症症侯群、抗体媒介性拒絶、HELLP症候群、または劇症型抗リン脂質抗体症候群を有する。
【0064】
本発明者らはまた、例えば、aHUSまたはCAPSを有する患者に対するエクリズマブの投与が、その疾患の1つ以上の症状の予期されない急速な緩和を生じることを発見している。例えば、本発明者らは、高血圧、尿排出の減少、および低血小板レベルが、エクリズマブでの慢性的な処置を開始して1カ月内(例えば、2週間内)にエクリズマブ処置aHUS患者では緩和されることを発見した。別の例では、本発明者らは、膜性増殖性糸球体腎炎を有する患者でのタンパク質尿は、エクリズマブでの慢性的な処置の開始後1カ月内に緩和されたことを発見した。したがって、さらに別の態様では、本開示は、発作性夜間血色素尿症の排除によって、本明細書に記載の任意の補体関連障害などの補体関連障害に関連する1つ以上の症状を緩和するための方法を特徴付ける。この方法は、補体のインヒビター(例えば、補体成分C5のインヒビター)を、それを必要とする患者に対して、補体関連障害に関連する1つ以上の症状を緩和するのに有効な量で投与する工程を包含し、ここでこの症状は、このインヒビターの投与後2カ月内に(例えば、7、6、5、4、3、または2週内に;20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、もしくは1日内に;または12、11、10、9、8、7、6内、もしくは5時間内でさえ)緩和される。補体関連障害の症状は、医薬の当該分野で周知であり、本明細書に記載されている。この補体インヒビターは、本明細書に記載される任意のC5インヒビター、例えば、エクリズマブであってもよい。2カ月内にC5インヒビターによって緩和され得る例示的な症状としては、例えば、タンパク質尿、高血圧、血小板数減少、および腎臓からの尿排出の減少が挙げられる。いくつかの実施形態では、この少なくとも1つの症状は、その正常な水準または値の40%(例えば、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、またはさらに1%)内まで緩和される。例えば、いくつかの実施形態では、aHUSを有する高血圧患者に対するC5インヒビターエクリズマブの投与は、患者の高血圧をその患者の正常血圧(拡張期および/または収縮期)の40%内まで緩和し得る。いくつかの実施形態では、C5インヒビターの投与は、被験体における補体関連障害の1つ以上の症状を完全寛解し得る。いくつかの実施形態では、患者は、腎臓移植をした患者、例えば、腎臓移植を最近受けたaHUS患者である。補体関連障害は、本明細書に記載される任意の障害、例えば、膜性増殖性糸球体腎炎、ドゴー病、非定型溶血性尿毒症症侯群、抗体媒介性拒絶、HELLP症候群、および劇症型抗リン脂質抗体症候群であってもよい。
【0065】
本明細書に記載の補体関連障害の多くは、偶発性または散発性の症状提示によって特徴付けられ、歴史的には症状が顕在する時にのみ処置されている。しかし、本発明者らは、患者が無症候性である場合にさえ、背景にある補体関連障害が存在したままであることを発見している。本発明者らはまた、この障害の再発または再燃が、補体媒介性インヒビターを用いて慢性的処置によって防止されるか、または少なくとも最小化され得ることも発見している。このような、このインヒビターの慢性的な投与は、再燃が生じる場合重篤な補体関連障害(例えば、aHUSまたはCAPS)を有する患者が被っているしばしば不可逆性の損傷(例えば、腎臓のような器官の喪失)を防止または最小化するために有用である。したがって、この患者に対して補体インヒビターを、その患者の全身の補体活性を防止または実質的に阻害するのに十分高いインヒビターの濃度を継続して維持するのに十分な量および頻度で投与することが、最も重要である。
【0066】
したがって、別の態様では、本開示は、補体関連障害を処置するための方法を特徴付けており、この方法は、補体インヒビター(例えば、抗C5抗体などのC5インヒビター)を、それを必要とする患者に対して、この患者で全身の補体阻害を維持するのに有効な量および頻度で長期に投与する工程を包含し、ただしこの補体関連障害は発作性夜間血色素尿症ではない。
【0067】
本明細書で使用する場合、「長期に投与される」、「慢性的な処置」、「長期に処置すること」またはその類似の文法的なバリエーションとは、長期間にわたって患者において全身の補体活性を完全にまたは実質的に抑制するために患者の血液中で治療剤の特定の域値濃度を維持するために使用される処置計画を指す。したがって、補体インヒビターで長期に処置される患者は、その患者の全身の補体活性を阻害または実質的に阻害する、患者の血液におけるインヒビターの濃度を維持するために十分な量および投与頻度でインヒビターを用いて、2週間以上の期間(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51もしくは52週;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12カ月;または1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5もしくは12年、または患者の寿命の残りにわたって)処置され得る。いくつかの実施形態では、補体インヒビターは、それを必要とする患者に対して、血清溶血性活性を20%以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、またはさらに5%未満)に維持するため、および血清溶血性活性を20%以下に維持するために有効である量および頻度で長期に投与され得る。例えば、Hillら、(2005)Blood 106(7):2559を参照のこと。いくつかの実施形態では、補体インヒビターは、血清乳酸脱水素酵素(LDH)レベルをLDHについての正常範囲の少なくとも20%(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、またはさらに5%未満)内で維持するのに有効な量および頻度で患者に投与され得る。Hillら、(2005)(上記)を参照のこと。いくつかの実施形態では、補体インヒビターは、血清LDHレベルを550IU/L未満(例えば、540、530、520、510、500、490、480、470、460、450、430、420、410、400、390、380、370、360、350、340、330、320、310、300、290、280、または270IU/L未満)で維持するのに有効な量および頻度で患者に投与される。患者の全身の補体阻害を維持するため、補体インヒビターを、患者に対して、例えば、週に1回、2週に1回、週に2回、1日に1回、1カ月に1回、または3週ごとに1回長期に投与してもよい。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、C5インヒビター(例えば、抗C5抗体)は、患者に対して、患者血液中で1つのC5分子あたり、少なくとも0.7(例えば、少なくとも0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10以上)の二価C5インヒビター分子(単数または複数)(例えば、全抗C5抗体、例えば、エクリズマブ)濃度を維持するために有効な投与の量および頻度で投与され得る。C5インヒビターに関して「二価(divalent)」または「2価(bivalent)」とは、C5分子のための少なくとも2つの結合部位を含むC5インヒビターを指す。C5インヒビターが一価である場合(例えば、単鎖抗C5抗体またはC5に結合するFab)、このインヒビターは、血中のC5分子1個あたり少なくとも1.5(例えば、少なくとも2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5以上)の一価C5インヒビターの濃度を維持するために有効な量および頻度でこの患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、一価C5インヒビターは、少なくとも2:1(例えば、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、または少なくとも6:1以上)という一価C5インヒビター対C5の比を維持するために有効な量および頻度で患者に投与され得る。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、全(2価)抗C5抗体は、患者の血液の1ミリリットルあたり、少なくとも40μg(例えば、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、75、80、85、90、95、100、110、または120μg以上)という濃度でこの抗体を維持するのに有効な量および頻度で患者に投与される。好ましい実施形態では、全抗C5抗体(例えば、エクリズマブ)は、患者の血液1ミリリットルあたり少なくとも50μgという濃度でこの抗体を維持するための量および頻度で投与される。好ましい実施形態では、全抗C5抗体(例えば、エクリズマブ)は、患者の血液1ミリリットルあたり少なくとも100μgという濃度でこの抗体を維持するための量および頻度で投与される。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、一価の抗C5抗体(例えば、単鎖抗体またはFabフラグメント)は、患者の血液1ミリリットルあたり少なくとも80μg(例えば、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、または170μg以上)という濃度でこの抗体を維持するために有効な量および頻度でこの患者に投与され得る。例示的な慢性的な投薬ストラテジーは本明細書に記載されている。
【0068】
別の態様では、本開示は、補体関連障害を処置するための方法を特徴付けており、この方法は、患者において全身の補体阻害を維持するのに有効な量および頻度で抗C5抗体を、それを必要とする患者に対して長期に投与する工程を包含する。いくつかの実施形態では、抗C5抗体は、それを必要とする患者に対して、血清溶血性活性を20%以下(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、またはさらに5%未満)で維持し、かつ血清溶血性活性を20%以下で維持するのに有効な量および頻度で長期に投与され得る。例えば、Hillら、(2005)Blood 106(7):2559を参照のこと。いくつかの実施形態では、抗C5抗体は、血清乳酸脱水素酵素(LDH)レベルをLDHについての正常範囲内に:少なくとも20%(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、またはさらに5%未満);または550IU/L以下(例えば、550、540、530、520、510、500、490、480、470、460、450、430、420、410、400、390、380、370、360、350、340、330、320、310、300、290、280以下、または270IU/L未満)に維持するのに有効な量および頻度で患者に投与され得る。例えば、Hillら、(2005)(上記)を参照のこと。いくつかの実施形態では、抗C5抗体は、患者の血液中でC5分子1個あたり少なくとも0.7(例えば、少なくとも0.8、0.9、1、2、3または4以上)という全(2価)抗C5抗体分子(単数または複数)の濃度を維持するための量および頻度でこの患者に投与される。いくつかの実施形態では、抗C5抗体は、少なくとも1:1(例えば、少なくとも3:2、2:1、5:2、または3:1)という血中の全(2価)抗C5抗体対C5の比を維持するために有効な量および頻度で患者に投与され得る。抗C5抗体が一価である場合、抗C5抗体は、血中でC5分子1個あたり少なくとも2という一価抗C5抗体の濃度を維持するのに有効な量および頻度でこの患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、一価抗C5抗体は、少なくとも2:1(例えば、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、または6:1以上)という一価抗C5抗体対C5の比を維持するために有効な量および頻度で患者に投与され得る。この抗C5抗体は、例えば、エクリズマブであってもよい。患者は、補体関連障害を有する場合も、有する疑いがある場合も、または発症するリスクがある場合もあるが、ただしこの障害は発作性夜間血色素尿症ではない。例えば、補体関連障害は、膜性増殖性糸球体腎炎、ドゴー病、非定型溶血性尿毒症症侯群、抗体媒介性拒絶、HELLP症候群、および劇症型抗リン脂質抗体症候群からなる群より選択される障害であってもよい。
【0069】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、抗C5抗体は、患者の体重に基づいてその患者に長期に投与され得る。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、抗C5抗体(例えば、エクリズマブ)は、患者の体重に基づいて、表1に示される投薬スケジュールのもとで患者に長期に投与され得る。
【0070】
【表1-1】
【0071】
【表1-2】
*本開示によれば、(B)の維持投薬スケジュールは、処置投与計画の期間、例えば、少なくとも1カ月(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、36、または48カ月以上);少なくとも1年(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15年以上);またはその患者の余生にわたって維持され得る。
【0072】
好ましい実施形態では、抗C5抗体(例えば、エクリズマブ)は、表2に示される投薬スケジュールのもとで患者の体重に基づいてその患者に投与され得る。
【0073】
【表2-1】
【0074】
【表2-2】
*本開示によれば、(B)の維持投薬スケジュールは、処置投与計画の期間、例えば、少なくとも1カ月(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、36、または48カ月以上);少なくとも1年(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15年以上);またはその患者の余生にわたって維持され得る。
【0075】
表1または2の例示的な投薬スケジュールは、投薬計画の期間にわたって患者における全身の補体活性の完全または実質的に完全な阻害を維持するような方法で必要に応じて医療従事者によって調節され得る(投与される抗体の頻度、期間および/または総量において)ことが理解される。
【0076】
別の態様では、本開示は、補体関連障害を処置するための方法を特徴付けており、この方法は、抗C5抗体を、それを必要とする患者に対して、患者の血液1ミリリットルあたり少なくとも40μg(例えば、少なくとも41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、75、80、85、90、95、100、110、または120μg以上)の抗体という濃度を維持するのに有効な量および頻度で長期に投与する工程を包含し、ここでこの患者は、補体関連障害を有するか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがあり、ただしこの障害は発作性夜間血色素尿症ではない。
【0077】
いくつかの実施形態では、この抗C5抗体は、2週ごとに少なくとも1回患者に投与される。いくつかの実施形態では、この抗C5抗体は、1週あたり1回患者に投与される。いくつかの実施形態では、この抗C5抗体は、以下の投薬スケジュールのもとで少なくとも9週間(例えば、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51もしくは52週;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12カ月;または1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5もしくは12年、またはその患者の余生の間)患者に投与され得る:少なくとも800mg(例えば、少なくとも810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1100、または1200mg以上)の抗C5抗体を4連続週の間に1週に1回;少なくとも800mg(例えば、少なくとも810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1100、または1200mg以上)の抗C5抗体を5週の間に1回;および少なくとも800mg(例えば、少なくとも810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1100、または1200mg以上)の抗C5抗体を、その後は、この投薬スケジュールの残りの期間、隔週に。好ましい実施形態では、少なくとも900mgの抗C5抗体を患者に対して4週間にわたり週に1回投与し;少なくとも1200mgを患者に対して、第5週の間に投与し;そして少なくとも1200mgの抗C5抗体を患者に対して、その後、慢性投薬スケジュールの残りの期間、隔週に投与する。
【0078】
さらに別の態様では、本開示は、器官または組織を移植するための方法を特徴付ける。この方法は、器官または組織を、それを必要とする患者に対して移植する工程を包含し、ここでこの移植の前および後に長期に、ヒト補体のインヒビターは、その患者における全身性の補体活性を実質的に阻害するのに有効な量および頻度でその患者に投与される。補体インヒビターは、例えば、C5インヒビター、例えば、抗C5抗体(例えば、エクリズマブ)であってもよい。本明細書に記載されるとおり、C5インヒビター(例えば、抗C5抗体)は、患者の血液中でC5分子1個について少なくとも0.7個の2価C5インヒビター分子(単数または複数)(または少なくとも1.5個の一価C5インヒビター分子(単数または複数))の濃度を維持する量および頻度で投与され得る。いくつかの実施形態では、C5インヒビター(例えば、抗C5抗体)は、患者の血液中で、少なくとも少なくとも40μg(例えば、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、75、80、85、90、95、100、110、または120μg以上)のインヒビター(例えば、この抗C5抗体)の濃度を維持する量および頻度でこの患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも800mg(例えば、少なくとも810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1100、または1200mg以上)の抗C5抗体(例えば、エクリズマブ)が、患者に対して、その患者に器官または組織を移植する前24時間内に(例えば、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2時間内に)投与される。いくつかの実施形態では、この方法はまた、移植の際、器官または組織中の補体活性化を阻害する時間および条件下で、この器官または組織とC5インヒビター(例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブ)とを接触(例えば、浸漬)する工程を移植の前に包含し得る。この器官は、例えば、皮膚、腎臓、心臓、肺、四肢(例えば、指またはつま先)、眼、幹細胞集団、骨髄、脈管の組織、筋肉、神経組織、または肝臓であってもよい。患者は、aHUSを有する場合もあるし、発症するリスクがある場合もあるし、または有する疑いがある場合もある。いくつかの実施形態では、少なくとも700mg(例えば、少なくとも710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1100、または1200mg以上)の抗C5抗体が、患者に対して、移植後24時間内に(例えば、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3時間内、または2時間内)に投与される。いくつかの実施形態では、この抗C5抗体は、患者に対して、移植後に長期に投与される。例えば、抗C5抗体は、患者に対して、少なくとも9週間(例えば、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51もしくは52週;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12カ月;または1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5もしくは12年、またはその患者の余生の間)以下の投薬スケジュールのもとで長期に投与される:少なくとも700mg(例えば、少なくとも710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1100、または1200mg以上)の抗C5抗体を器官または組織移植後24時間内に;少なくとも700mg(例えば、少なくとも710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1100、または1200mg以上)の抗C5抗体を最初の移植用量後、4週間にわたって週に1回;少なくとも700mg(例えば、少なくとも710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1100、または1200mg以上)の抗C5抗体を第5週の間に1回;および少なくとも700mg(例えば、少なくとも710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1100、または1200mg以上)の抗C5抗体を、その後、その投薬スケジュールの残りの間は隔週に。好ましい実施形態では、抗C5抗体は、以下の投薬スケジュールのもとで移植操作を受けている患者に対して投与される:少なくとも1200mgの抗C5抗体が、患者に対して移植の前24時間内に投与される;少なくとも900mgの抗C5抗体が患者に対して移植後24時間内に投与される;少なくとも1200mgの抗C5抗体が、抗C5抗体の最初の術後投与後4週間にわたって1週あたり1回患者に投与される;1200mgが患者に対して抗C5抗体の最初の術後投与後第5週で投与される;そして少なくとも1200mgの抗C5抗体が、患者に対して、この慢性処置計画の残りの間、その後隔週に投与される。
【0079】
いくつかの実施形態では、この方法はさらに、患者に対して1つ以上の免疫抑制剤、例えば、限定するものではないが、ラパマイシン、サイクロスポリンA、抗IL−2剤、OKT3、およびタクロリムスを投与する工程を包含し得る。1つ以上の免疫抑制剤が、移植の前、間または後に投与されてもよい。1つ以上の免疫抑制剤がまた、C5インヒビターの投与の前、同時または後に投与されてもよい。
【0080】
本開示はまた、患者に対して移植される場合、器官または組織に対する補体媒介性の傷害の軽減のための方法を特徴付ける。この方法は、器官または組織を、それを必要とする患者に対して移植する前に、その器官または組織とC5のインヒビターを含む薬学的溶液とを、その患者に移植された場合その器官または組織に対する補体媒介性の傷害を軽減する時間および条件下で接触させる工程を包含する。C5インヒビターはまた、この患者に対してこの器官または組織の移植の前、間および/または後に投与され得る。この溶液はまた、1つ以上の免疫抑制剤、例えば、限定するものではないが、ラパマイシン、サイクロスポリンA、抗IL−2剤、OKT3、およびタクロリムスを含んでもよい。
【0081】
本発明者らはまた、重篤な補体関連障害、例えば、CAPSおよびAPSならびに寛解があった患者において、再燃または再発について患者を罹りやすくする低レベルの補体活性が患者で保持され続けることを発見した。上で注記のとおり、これらの重篤な障害を有する患者での症状の再発は、腎臓などの主要な器官に対する即時的かつときどき不可逆性の傷害に相当し得る。したがって、本開示は1つの特定の理論または作用機序には決して限定はされないが、本発明者らは、急激な再燃または再発を防止するために、補体関連障害(例えば、aHUSおよびCAPS)を有する患者が、その障害の1つ以上の症状が緩和された後でさえ、および/または患者が臨床的寛解があった後でさえC5インヒビターで長期に処置されなければならないと断言する。したがって、さらに別の態様では、本開示は補体関連障害を処置するための方法を特徴付け、ただし、この障害は、発作性夜間血色素尿症ではない。この方法は、補体関連障害に罹患した患者に対してC5インヒビター(例えば、抗C5抗体、例えば、エクリズマブ)を、補体関連障害を処置するために有効な量で投与する工程を包含する。C5インヒビターは、この障害の1つ以上(例えば、2、3、4、5、または6以上)の症状が緩和された後でさえ患者に投与される。いくつかの実施形態では、C5インヒビターは、患者に対して、1つ以上の症状が完全に緩和された後でさえ投与される。いくつかの実施形態では、C5インヒビターは、患者が臨床的寛解した後でさえその患者に投与される。C5インヒビターは、患者に対して、1つ以上の症状がその患者において緩和されるか、および/またはその患者が臨床的寛解をした後、少なくとも8週の間(例えば、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51もしくは52週;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12カ月;または1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5もしくは12年、またはその患者の余生の間)、例えば、患者に長期に投与され得る。補体関連障害は、本明細書に記載の任意の障害、例えば、膜性増殖性糸球体腎炎、ドゴー病、非定型溶血性尿毒症症侯群、抗体媒介性拒絶、HELLP症候群、および劇症型抗リン脂質抗体症候群であってもよい。
【0082】
本開示は、例えば、aHUS患者における、エクリズマブの効果の観察に基づいて、特定の理論または作用機序には決して限定されないが、本発明者らは、補体成分C5aの生物学的活性が、aHUSに関連する血管収縮および高血圧に実質的に寄与し得ると結論した。したがって、C5aインヒビターを用いるC5aの阻害は、aHUSを処置するためならびに/またはaHUSに関連する血管収縮および高血圧を緩和するために有用である。この方法は、それを必要とする患者に対して、補体成分C5のインヒビターを、患者におけるaHUSを処置するのに有効な量で投与する工程を包含する。いくつかの実施形態では、aHUSに関連する血管収縮および高血圧は、C5aインヒビターの投与後、2カ月内(例えば、7、6、5、4、3もしくは2週内に;14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2もしくは1日内に;または12、11、10、9、8、7、6もしくは5時間内に)緩和され得る。いくつかの実施形態では、C5aインヒビターは配列番号12〜25のいずれか1つに示される少なくとも4(例えば、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、または17以上)連続のアミノ酸を含むか、またはそれからなるアミノ酸配列を有するヒトC5aタンパク質またはそのフラグメントに結合する抗体(またはその抗原結合フラグメント)である。いくつかの実施形態では、このインヒビターは、配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するヒトC5aタンパク質に結合する抗体である。C5aインヒビターは、C5をフラグメントC5aおよびC5bに切断することを阻害しない。C5aインヒビターはまた、C5bも膜攻撃複合体の形成も阻害しない。本明細書に記載されるとおり、いくつかの実施形態では、C5aインヒビター(例えば、抗C5a抗体)は、C5aとC5aレセプター(例えば、C5aRまたはC5L2)との間の相互作用を阻害し得る。いくつかの実施形態では、この抗体は、モノクローナル抗体、単鎖抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、ダイアボディ、キメラ化抗体もしくはキメラ抗体、脱免疫化ヒト抗体、完全ヒト抗体、単鎖抗体、Fvフラグメント、Fdフラグメント、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、またはF(ab’)
2フラグメントであってもよい。
【0083】
補体関連障害がaHUSである本明細書に記載の任意の方法の実施形態では、aHUSは、遺伝子型であっても、後天性型であっても、または特発性型であってもよい。いくつかの実施形態では、aHUSは、補体H因子(CFH)関連のaHUS(例えば、H因子またはH因子に結合しかつ不活性化する自己抗体における変異に関連するaHUS)、膜補因子タンパク質(MCP)関連のaHUS、補体I因子(CFI)関連のaHUS、C4b−結合タンパク質(C4BP)関連のaHUS、補体B因子−(CFB)関連のaHUS、vWF障害、またはC3消費の増大の結果として低レベルのC3を生じる補体活性化の別の経路における任意の他の変異に関連するaHUSであってもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法はさらに、患者がaHUSを有するか、有する疑いがあるか、または発症するリスクがあることを特定する工程を包含し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、投与後、aHUSの1つ以上の症状の改善について患者をモニタリングする工程を包含し得る。本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、C5aインヒビターは、血漿療法(例えば、血漿交換または血漿注入)の前、間または後に患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、患者に対するC5aインヒビターの投与は、患者による血漿療法の必要性を緩和し得る。例えば、いくつかの実施形態では、患者に対するC5aインヒビターの投与(例えば、慢性投与)は、少なくとも2カ月(例えば、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月もしくは12カ月または1、2、3、4、5、または6年以上)、患者による血漿療法の必要性を緩和または実質的に減少し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の方法は、患者に対して、定型のHUSまたはaHUSを処置するために有用な1つ以上の追加の活性剤を投与する工程を包含し得る。1つ以上の追加の活性剤は、例えば、降圧剤、抗血小板剤、プロスタサイクリン、線維素溶解剤、および抗酸化剤からなる群より選択され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、ヒトとは乳児である。乳児は、例えば、0.5歳(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、または9.5歳)であってもよい。乳児は、10歳未満(例えば、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1未満、または1歳未満)であってもよい。
【0086】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの実施形態では、補体関連障害は発作性夜間血色素尿症ではない。
【0087】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、交換可能に用いられ、かつ長さにも翻訳後修飾にもかかわらず、アミノ酸の任意のペプチド連結鎖を意味する。本明細書に記載される補体成分C5タンパク質は、野生型タンパク質を含んでも、もしくは野生型タンパク質であってもよく、または多くとも50(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、35、40、または50)まで連続のアミノ酸置換を有する改変体であってもよい。保存的置換は代表的には、以下の群のなかの置換を包含する:グリシンおよびアラニン;バリン、イソロイシン、およびロイシン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギン、グルタミン、セリンおよびトレオニン;リジン、ヒスチジンおよびアルギニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシン。
【0088】
本明細書に記載されるヒト補体成分C5タンパク質はまた、全長タンパク質および/または未熟(プレ−プロ)C5タンパク質よりも短いが、全長タンパク質が哺乳動物における抗原性応答を誘導する能力(下の「抗体産生のための方法」を参照のこと)の少なくとも10%(例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または100%以上)を保持している、タンパク質の「抗原性ペプチドフラグメント」を包含する。C5タンパク質の抗原性ペプチドフラグメントは、末端、およびタンパク質の内部欠失改変体を包含する。欠失改変体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20のアミノ酸セグメント(2つ以上のアミノ酸の)または連続しない単一のアミノ酸を欠いてもよい。抗原性ペプチドフラグメントは、少なくとも6(例えば、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、または600以上)のアミノ酸残基長(例えば、配列番号1〜11のいずれか1つの少なくとも6連続のアミノ酸残基)であってもよい。いくつかの実施形態では、ヒトC5タンパク質の抗原性ペプチドフラグメントは、500未満(例えば、450、400、350、325、300、275、250、225、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、または6未満)のアミノ酸残基長(例えば、配列番号1〜11のいずれか1つにおける500未満連続のアミノ酸残基)を有する。いくつかの実施形態では、全長の抗原性ペプチドフラグメント、未熟ヒトC5タンパク質(プレプロ−C5タンパク質)は、少なくとも6、ただし500未満のアミノ酸残基長を有する。
【0089】
いくつかの実施形態では、ヒト補体成分C5タンパク質は、配列番号1(下を参照のこと)に示されるアミノ酸配列を有するヒトC5タンパク質に対して70%(例えば、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%)以上同一であるアミノ酸配列を有し得る。
【0090】
アミノ酸配列同一性(%)は、最大配列同一性パーセントを達成するように、必要な場合、配列を整列させギャップを導入した後、参照配列中のアミノ酸に同一である候補配列中のアミノ酸の割合として規定される。配列同一性のパーセントを決定する目的のためのアライメントは、当該分野の技術の範囲内の種々の方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN、ALIGN−2またはMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような市販のコンピュータソフトウエアを用いて達成することができる。比較されている配列の完全長に渡り最大アライメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含むアライメントを測定するための適切なパラメーターは、公知の方法によって決定され得る。
【0091】
例示的なヒトC5タンパク質およびその抗原性ペプチドフラグメントのアミノ酸配列は、当該分野で公知であり、下に示される。
【0092】
本開示を通じて用いる場合、「抗体」という用語は、当該分野で公知であり、本明細書に記載される種々の方法のうちいずれかによって生成される、抗体全体またはインタクトな抗体(例えば、IgM、IgG、IgA、IgD、またはIgE)分子を指す。「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ化抗体またはキメラ抗体、ヒト化抗体、脱免疫化ヒト抗体、および完全ヒト抗体を包含する。抗体は、任意の種々の種、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、サル、ヒヒ、またはチンパンジー)、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、スナネズミ(アレチネズミ)、ハムスター、ラット、およびマウスの中で生成されても、またはそれに由来してもよい。この抗体は、精製されても、または組み換え抗体であってもよい。
【0093】
本明細書で使用する場合、「抗体フラグメント」、「抗原結合フラグメント」という用語、または類似の用語は、抗原(例えば、補体成分C5タンパク質)に結合する能力を保持している抗体のフラグメント、例えば、単鎖抗体、単鎖Fvフラグメント(scFv)、Fdフラグメント、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、またはF(ab’)
2フラグメントを指す。scFvフラグメントは、単一のポリペプチド鎖であって、scFvが由来する抗体の重鎖および軽鎖の両方の可変領域を含む単一のポリペプチド鎖である。さらに、ダイアボディ(Poljak(1994) Structure 2(12):1121〜1123;Hudsonら、(1999)J.Immunol.Methods 23(1−2):177−189、(その各々の開示はその全体が参照によって本明細書に援用される))およびイントラボディ(intrabodies)(Hustonら、(2001)Hum.Antibodies 10(3−4):127〜142;Wheelerら、(2003)Mol Ther 8(3):355〜366;Stocks(2004)Drug Discov. Today 9(22):960〜966(その各々の開示はその全体が参照によって本明細書に援用される))(補体成分C5タンパク質に結合する)は、組成物中に組み込まれてもよいし、本明細書に記載される方法で用いられてもよい。
【0094】
他に規定しない限り、本明細書に用いる全ての技術用語および科学用語は、本開示が関与する当該分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先する。好ましい方法および材料が下に記載されるが、本明細書に開示される方法および材料と類似または等価な方法および材料が、現在開示される方法および組成物の実施または試験で用いられ得る。本明細書に言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の引用文献は、その全体が参照によって援用される。
【0095】
本開示の他の特徴および利点、例えば、補体関連障害を処置または予防するための方法は、以下の説明、実施例から、および特許請求の範囲から明らかである。また、本発明は例えば、以下を提供する:
(1)
補体関連障害を処置するための方法であって、補体インヒビターを、補体関連障害の処置を必要とする患者に対して、該患者における全身的な補体活性を実質的に阻害するのに有効な量および頻度で長期に投与する工程を包含し、ここで該患者は、補体関連障害を有するか、補体関連障害を有する疑いがあるか、または補体関連障害を発症するリスクがあり、ただし該補体関連障害は、発作性夜間血色素尿症ではない、方法。
(2)
同種の器官または組織を移植するための方法であって、器官または組織を、器官または組織の移植を必要とする患者に対して移植する工程を包含し、ここで該移植の前およびその後に、補体インヒビターが、該患者における全身性の補体活性を実質的に阻害するのに有効な量および頻度で該患者に投与される、方法。
(3)
前記器官または組織が、肝臓、腎臓、心臓、肺、皮膚、眼、骨髄、および脈管の組織からなる群より選択される、2に記載の方法。
(4)
前記患者が、補体関連障害を有するか、補体関連障害を有する疑いがあるか、または補体関連障害を発症するリスクがある、2または3に記載の方法。
(5)
前記補体インヒビターが、血清溶血性活性を20%以下まで低下し、かつ該血清溶血性活性を20%以下に維持するのに有効な量および頻度で患者に長期に投与される、1〜4のいずれか1項に記載の方法。
(6)
前記補体インヒビターが、血清LDHレベルを500IU/L以下に維持するのに有効な量および頻度で患者に対して長期に投与される、1〜5のいずれか1項に記載の方法。
(7)
前記補体インヒビターが、ポリペプチド、ポリペプチドアナログ、核酸、核酸アナログ、および低分子からなる群より選択される、1〜6のいずれか1項に記載の方法。
(8)
前記補体インヒビターが、可溶性のCR1、LEX−CR1、MCP、DAF、CD59、H因子、コブラ毒因子、FUT−175、コンプレスタチン、およびK76 COOHからなる群より選択される、1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(9)
前記補体インヒビターがヒト補体成分タンパク質の発現を阻害する、1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(10)
前記補体インヒビターが、ヒト補体成分C5、C4、C3、またはC2の切断を阻害する、1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(11)
前記補体インヒビターが補体成分C5のフラグメントC5aおよびC5bへの切断を阻害する、10に記載の方法。
(12)
前記補体インヒビターがヒト補体成分タンパク質に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントである、10または11に記載の方法。
(13)
前記抗体またはその抗原結合フラグメントがヒト補体成分C5タンパク質に結合する、12に記載の方法。
(14)
前記抗体が前記補体成分C5タンパク質のα鎖に結合する、13に記載の方法。
(15)
前記抗体が、前記ヒト補体成分C5のα鎖に結合し、該抗体が、(i)ヒト体液における補体活性化を阻害し、(ii)精製されたヒト補体成分C5の、ヒト補体成分C3bまたはヒト補体成分C4bのいずれかへの結合を阻害し、(iii)該ヒト補体活性化産物がないC5aに結合しない、13または14に記載の方法。
(16)
前記抗体が、配列番号1〜26のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する前記ヒト補体成分C5タンパク質に結合する、13に記載の方法。
(17)
前記抗体が、配列番号5のアミノ酸位置8からアミノ酸位置12までに相当するアミノ酸配列を含む、単離されたオリゴペプチドに結合する、13に記載の方法。
(18)
前記ポリペプチドが、補体成分C5フラグメントC5bに結合する抗体を含む、12または13に記載の方法。
(19)
前記抗体がモノクローナル抗体である、12〜18のいずれか1項に記載の方法。
(20)
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、ヒト化抗体、組み換え抗体、ダイアボディ、キメラ化抗体またはキメラ抗体、脱免疫化ヒト抗体、完全ヒト抗体、単鎖抗体、Fvフラグメント、Fdフラグメント、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、およびF(ab’)2フラグメントからなる群より選択される、12〜19のいずれか1項に記載の方法。
(21)
前記抗体がエクリズマブである、12または13に記載の方法。
(22)
前記抗体が、前記患者の血液中でC5分子1個ごとに少なくとも0.7個の抗C5抗体分子という濃度を維持するための量および頻度で該患者に投与される、12、13または21のいずれか1項に記載の方法。
(23)
前記抗体が、前記患者の血液1ミリリットルあたり少なくとも50μgという該抗体を維持するための量および頻度で該患者に投与される、12、13または21のいずれか1項に記載の方法。
(24)
前記抗体が、前記患者の血液1ミリリットルあたり少なくとも100μgという該抗体の濃度を維持するために有効な量および頻度で該患者に投与される、23に記載の方法。
(25)
前記患者の体重が40kg以上である、1〜24のいずれか1項に記載の方法。
(26)
前記抗体が、以下:
少なくとも800mgの該抗体を、1週あたり1回で4週間連続;
少なくとも800mgの該抗体を、第5週の間に1回;および
少なくとも800mgの該抗体を、その後隔週に;
というスケジュールのもとで、少なくとも7週間、前記患者に投与される、12、13または21〜25のいずれか1項に記載の方法。
(27)
前記抗体が、以下:
少なくとも900mgの該抗体を、1週あたり1回で4週間連続;
少なくとも1200mgの該抗体を、第5週の間に1回;および
少なくとも1200mgの該抗体を、その後隔週に;
というスケジュールのもとで、少なくとも7週間、前記患者に投与される、26に記載の方法。
(28)
前記患者の体重が40kg未満だが、30kg以上である、1〜24のいずれか1項に記載の方法。
(29)
前記抗体が、以下:
少なくとも500mgの該抗体を、1週あたり1回で2週間連続;
少なくとも700mgの該抗体を、第3週の間に1回;および
少なくとも700mgの該抗体を、その後隔週に;
というスケジュールのもとで、少なくとも5週間、前記患者に長期に投与される、28に記載の方法。
(30)
前記抗体が、以下:
少なくとも600mgの該抗体を、1週あたり1回で2週間連続;
少なくとも900mgの該抗体を、第3週の間に1回;および
少なくとも900mgの該抗体を、その後隔週に;
というスケジュールのもとで、少なくとも5週間、前記患者に長期に投与される、29に記載の方法。
(31)
前記患者の体重が30kg未満だが、20kg以上である、1〜24のいずれか1項に記載の方法。
(32)
前記抗体が、以下:
少なくとも500mgの該抗体を、1週あたり1回で2週間連続;
少なくとも500mgの該抗体を、第3週の間に1回;および
少なくとも500mgの該抗体を、その後隔週に;
というスケジュールのもとで、少なくとも5週間、前記患者に長期に投与される、31に記載の方法。
(33)
前記抗体が、以下:
少なくとも600mgの該抗体を、1週あたり1回で2週間連続;
少なくとも600mgの該抗体を、第3週の間に1回;および
少なくとも600mgの該抗体を、その後隔週に;
というスケジュールのもとで、少なくとも5週間、前記患者に長期に投与される、32に記載の方法。
(34)
前記患者の体重が20kg未満だが、10kg以上である、1〜24のいずれか1項に記載の方法。
(35)
前記抗体が、以下:
少なくとも500mgの該抗体を、1週あたり1回で1週間;
少なくとも200mgの該抗体を、第2週の間に1回;および
少なくとも200mgの該抗体を、その後隔週に;
というスケジュールのもとで、少なくとも4週間、前記患者に長期に投与される、34に記載の方法。
(36)
前記抗体が、以下:
少なくとも600mgの該抗体を、1週あたり1回で1週間;
少なくとも300mgの該抗体を、第2週の間に1回;および
少なくとも300mgの該抗体を、その後隔週に;
というスケジュールのもとで、少なくとも4週間、前記患者に長期に投与される、36に記載の方法。
(37)
前記患者の体重が10kg未満だが、5kg以上である、1〜24のいずれか1項に記載の方法。
(38)
前記抗体が、以下:
少なくとも200mgの該抗体を、1週あたり1回で1週間;
少なくとも200mgの該抗体を、第2週の間に1回;および
少なくとも200mgの該抗体を、その後3週間ごとに1回;
というスケジュールのもとで、少なくとも5週間、前記患者に長期に投与される、37に記載の方法。
(39)
前記抗体が、以下:
少なくとも300mgの該抗体を、1週あたり1回で1週間;
少なくとも300mgの該抗体を、第2週の間に1回;および
少なくとも300mgの該抗体を、その後3週間ごと;
というスケジュールのもとで、少なくとも5週間、前記患者に長期に投与される、38に記載の方法。
(40)
前記補体インヒビターが、前記移植の前24時間内に前記患者に投与される、2〜24のいずれか1項に記載の方法。
(41)
前記補体インヒビターが、移植の前12時間内に前記患者に投与される、2〜24または40のいずれか1項に記載の方法。
(42)
前記補体インヒビターが、前記器官または組織の前記移植後24時間内に前記患者に投与される、2〜24、40または41のいずれか1項に記載の方法。
(43)
前記補体インヒビターが、前記器官または組織の前記移植後12時間内に前記患者に投与される、2〜24、40、41または42のいずれか1項に記載の方法。
(44)
前記補体インヒビターが、補体成分C5に結合する全抗体であり、前記移植の前、該抗体の少なくとも900mgが前記患者に投与される、2〜4、または40〜43に記載の方法。
(45)
前記移植の前、前記抗体の少なくとも1,200mgが前記患者に投与される、44に記載の方法。
(46)
前記補体インヒビターが、補体成分C5に結合する全抗体であり、前記移植の後、該抗体の少なくとも800mgが前記患者に投与される、2〜4、または40〜45のいずれか1項に記載の方法。
(47)
前記移植の後、前記抗体の少なくとも900mgが前記患者に投与される、46に記載の方法。
(48)
前記移植の後、前記抗C5抗体が以下:
少なくとも800mgの該抗C5抗体を、前記器官または組織移植後24時間内;
少なくとも800mgの該抗C5抗体を、1週あたり1回で4週間;
少なくとも800mgの該抗C5抗体を、第5週の間に1回;および
少なくとも800mgの該抗C5抗体を、その後隔週に;
というスケジュールのもとで、少なくとも7週間、前記患者に投与される、46または47に記載の方法。
(49)
前記移植の後、前記抗C5抗体が以下:
少なくとも1200mgの該抗C5抗体を前記器官または組織移植後24時間内;
少なくとも900mgの該抗C5抗体を、1週あたり1回で4週間;
少なくとも1200mgの該抗C5抗体を、第5週の間に1回;および
少なくとも1200mgの該抗C5抗体を、その後隔週に;
というスケジュールのもとで、少なくとも7週間、前記患者に投与される、46、47または48のいずれか1項に記載の方法。
(50)
前記抗体が前記スケジュールのもとで少なくとも21週間前記患者に投与される、26、27、29、30、32、33、35、36、38、39、48、または49のいずれか1項に記載の方法。
(51)
前記抗体が、前記スケジュールのもとで少なくとも1年間前記患者に投与される、26、27、29、30、32、33、35、36、38、39、48、49、または50のいずれか1項に記載の方法。
(52)
前記インヒビターが、前記患者の余生の間、該患者に投与される、26、27、29、30、32、33、35、36、38、39、または48〜51のいずれか1項に記載の方法。
(53)
前記インヒビターが、1週間あたり少なくとも1回、前記患者に長期に投与される、1〜25、28、31、34、37、または40〜47のいずれか1項に記載の方法。
(54)
前記インヒビターが、2週間ごとに少なくとも1回、前記患者に長期に投与される、1〜25、28、31、34、37、または40〜47のいずれか1項に記載の方法。
(55)
前記インヒビターが、前記患者の余生の間、該患者に長期に投与される、1〜54のいずれか1項に記載の方法。
(56)
血栓性微小血管症(TMA)を有するか、TMAを有する疑いがあるか、またはTMAを発症するリスクがある患者においてTMAを処置するための方法であって、ヒト補体のインヒビターを、TMAの処置を必要とする患者に対して投与し、それによって該患者におけるTMAを処置する工程を包含する、方法。
(57)
血栓性微小血管症(TMA)を有するか、TMAを有する疑いがあるか、またはTMAを発症するリスクがある患者において、TMAの発症または重篤度を低減するための方法であって、ヒト補体のインヒビターを、TMAの発症または重篤度の低減を必要とする患者に対して投与し、それによって該患者における該TMAの発症または重篤度を低減する工程を包含する、方法。
(58)
前記患者が補体関連障害を有する、56または57に記載の方法。
(59)
前記インヒビターの投与が前記患者の脳において前記TMAの発症または重篤度を低減する、56〜58のいずれか1項に記載の方法。
(60)
前記インヒビターの投与が、腎臓における前記TMAの発症または重篤度を低減する、56〜59のいずれか1項に記載の方法。
(61)
前記患者への前記インヒビターの投与が、該患者における既存のTMAの解決を促進する、56〜60のいずれか1項に記載の方法。
(62)
補体関連障害に関連する1つ以上の症状を緩和するための方法であって、該方法は補体関連障害に関連する1つ以上の症状を緩和するのに有効な量で、ヒト補体のインヒビターを、補体関連障害に関連する1つ以上の症状の緩和を必要とする患者に対して投与する工程を包含し、ここで該症状が該インヒビターの投与後14日内で緩和され、ただし該補体関連障害は、発作性夜間血色素尿症ではない、方法。
(63)
前記1つ以上の症状が、前記インヒビターの投与後10日内に緩和される、62に記載の方法。
(64)
前記1つ以上の症状が、前記インヒビターの投与後5日内に緩和される、62または63に記載の方法。
(65)
前記1つ以上の症状が、前記インヒビターの投与後2日内に緩和される、62〜64のいずれか1項に記載の方法。
(66)
前記1つ以上の症状が、前記インヒビターの投与後1日内に緩和される、62〜65のいずれか1項に記載の方法。
(67)
前記1つ以上の症状が、前記インヒビターの投与後12時間内に緩和される、62〜66のいずれか1項に記載の方法。
(68)
前記1つ以上の症状が、タンパク質尿、LDHレベルの上昇、高血圧、血小板数減少、および尿排出量減少からなる群より選択される、62〜67のいずれか1項に記載の方法。
(69)
前記1つ以上の症状の少なくとも1つが正常の40%内まで緩和されている、62〜68のいずれか1項に記載の方法。
(70)
前記1つ以上の症状の少なくとも1つが正常の20%内まで緩和されている、62〜69のいずれか1項に記載の方法。
(71)
前記1つ以上の症状の少なくとも1つが、前記患者において完全に緩和される、62〜70のいずれか1項に記載の方法。
(72)
補体関連障害を処置するための方法であって、補体関連障害に罹患している患者に対して、該補体関連障害を処置するのに有効な量でヒト補体のインヒビターを投与する工程を包含し、ここで該インヒビターは、該障害の1つ以上の症状が緩和された後でさえ該患者に投与され、ただし該補体関連障害は、発作性夜間血色素尿症ではない、方法。
(73)
前記インヒビターが、1つ以上の症状が完全寛解された後でさえ前記患者に投与される、72に記載の方法。
(74)
前記インヒビターが、前記患者が臨床寛解に入った後でさえ、該患者に投与される、72または73に記載の方法。
(75)
前記インヒビターが、前記障害の1つ以上の症状が緩和された後でさえ、少なくとも2カ月間、前記患者に投与される、62〜74のいずれか1項に記載の方法。
(76)
前記インヒビターが、前記障害の1つ以上の症状が緩和された後、少なくとも6カ月間、前記患者に投与される、62〜75のいずれか1項に記載の方法。
(77)
前記インヒビターが、前記障害の1つ以上の症状が緩和された後、少なくとも1年間、前記患者に投与される、62〜76のいずれか1項に記載の方法。
(78)
前記インヒビターが、前記障害の1つ以上の症状が緩和された後、少なくとも2年間、前記患者に投与される、62〜77のいずれか1項に記載の方法。
(79)
前記インヒビターが、前記患者に長期に投与される、62〜78のいずれか1項に記載の方法。
(80)
前記補体関連障害が、膜性増殖性糸球体腎炎、非定型溶血性尿毒症症侯群、抗体媒介性拒絶、HELLP症候群、および劇症型抗リン脂質抗体症候群からなる群より選択される、1または4〜79のいずれか1項に記載の方法。
(81)
aHUSを処置するための方法であって、補体成分C5aのインヒビターを、aHUSの処置を必要とする患者に対して、該患者のaHUSを処置するのに有効な量で投与する工程を包含する、方法。
(82)
前記インヒビターが:(i)C5aに結合する抗体;または(ii)該抗体の抗原結合フラグメントである、81に記載の方法。
(83)
前記抗体が、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むヒトC5aに結合する、81または82に記載の方法。
(84)
前記抗体がモノクローナル抗体である、81〜83のいずれか1項に記載の方法。
(85)
前記抗体が単鎖抗体である、81または84のいずれか1項に記載の方法。
(86)
前記抗体がヒト化抗体である、81または85のいずれか1項に記載の方法。
(87)
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、組み換え抗体、ダイアボディ、キメラ化抗体またはキメラ抗体、脱免疫化ヒト抗体、完全ヒト抗体、単鎖抗体、Fvフラグメント、Fdフラグメント、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、およびF(ab’)2フラグメントからなる群より選択される、81〜86のいずれか1項に記載の方法。
(88)
前記インヒビターが、前記患者における高血圧および血管収縮の一方または両方を緩和する、81〜87のいずれか1項に記載の方法。
(89)
前記高血圧が、前記インヒビターの投与後7日内に緩和される、88に記載の方法。
(90)
前記インヒビターが前記患者に長期に投与される、81〜89のいずれか1項に記載の方法。
(91)
製品であって:
表示を備えた容器;と
ヒト補体成分C5のインヒビターを含む組成物とを備え、該表示は、補体関連障害を有するか、補体関連障害を有する疑いがあるか、または補体関連障害を発症するリスクがあるヒトに対して、該組成物が投与されることを示しており、ただし該補体関連障害が発作性夜間血色素尿症ではない、製品。
(92)
前記インヒビターが、ヒト補体成分C5タンパク質に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントである、91に記載の製品。
(93)
1つ以上の追加の活性剤をさらに含む、91または92に記載の製品。