(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189908
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】ブルニアンリンク作成デバイスおよびキット
(51)【国際特許分類】
A44C 25/00 20060101AFI20170821BHJP
A44C 27/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
A44C25/00 A
A44C27/00
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-212682(P2015-212682)
(22)【出願日】2015年10月29日
(62)【分割の表示】特願2014-116177(P2014-116177)の分割
【原出願日】2011年6月23日
(65)【公開番号】特開2016-41271(P2016-41271A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2015年11月25日
(31)【優先権主張番号】61/410,399
(32)【優先日】2010年11月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513102154
【氏名又は名称】ング、 チェン チューン
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ング、 チェン チューン
【審査官】
村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05231742(US,A)
【文献】
特開2003−171854(JP,A)
【文献】
米国特許第05426788(US,A)
【文献】
米国意匠特許発明第00592537(US,S)
【文献】
英国特許出願公開第02147918(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 25/00
A44C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の間隔で直線状の列に配置され、当該列の方向における前側に前方アクセス溝を有する複数のピンを用いてブルニアンリンクからなるブルニアンリンクアイテムを作成する方法であって、
前記直線状の列における隣接するピンの間に、後方のピンから前方のピンに向かって、複数の弾性バンドを順次掛けるステップであって、各弾性バンドは、隣接する一対のピンに掛けられるステップと、
前記弾性バンドが掛けられたピンの前方アクセス溝にフックツールを挿入し、弾性バンドの端部を捕捉するステップと、
前記捕捉された弾性バンドの端部を引っ張り上げ、後方の隣接するピンに掛けるステップと、を有する
ブルニアンリンクアイテムを作成する方法
【請求項2】
ブルニアンリンクアイテムを作成するために、ブルニアンリンクの端部をクリップで連結するステップを有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ブルニアンリンクアイテムを作成する際に、弾性バンドが誤ってピンから外れることを防止するために、各ピンは、外側に広がったフランジ状上部を有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前方アクセス溝の上部は、開放端を有している請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのリファレンス]この出願は、2010年11月5日に出願された米国仮出願番号61/410,399の優先権を主張する。
【0002】
この開示は全体的に、リンクされたアイテムを作成するための方法とデバイスに関する。より特定には、この開示は、リンクされた装着可能なアイテムを弾性バンドから作成するための方法とデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
独自に色付けされたブレスレットまたはネックレスを作るための材料を含むキットは、常にいくらかの人気を博してきた。しかしながら、そのようなキットは通常、異なる色に色付けされた糸およびビーズのような原材料を含むだけで、使用可能で望ましいアイテムを製造することについては個人の技量と才能に任されている。従って、独自の装着可能なアイテムを作成するための材料を提供するのみでなく、望ましく耐久性のある装着可能なアイテムを、多くの技量および芸術的レベルの人々が容易に作成できるように製造を簡単化するキットが必要であり且つその要望がある。
【発明の概要】
【0004】
ブルニアンリンク(Brunnian link)とは、チェインを形成するために、別の閉じたループを捕捉するようにそれ自体上で二重化された閉じたループから形成されたリンクである。そのようなリンクを望ましいやり方で形成するのに、弾性バンドが利用されることができる。例示的キットおよびデバイスは、複雑な構成のブルニアンリンク物品の作成を提供する。しかも、例示的キットは、ブルニアンリンク組み立て技術を使って独自の装着可能な物品の成功する作成を提供する。
【0005】
例示的キットは、少なくとも1つのベースによって望ましい特別な向きにサポートされたいくつかのピンバーを含む。望ましい特別な方向は、完成品の望ましいリンクされた構成に依存する。ベースとピンバーは、完成されたリンクの向きの無尽のバリエーションを提供するように、様々な組み合わせおよび向きに組み立てられ得る。しかも、可能な完成品の作成を更に拡張するために、追加のベースとピンバーが追加されることができる。
【0006】
ピンバーの各々は、弾性バンドをその場に保持するためのフランジ状の上部部分と、前方アクセス溝を含む。前方アクセス溝は、ブルニアンリンクを形成するために、より下のバンドが掴まれて隣接するバンドの上で引っ張られることができるように、一番上の弾性バンドの下にフックが挿入されることを提供する。開示されたキットは、隣接するピンの多くの可能な向きと、従って完成されたリンクされた物品についての異なる向きおよびデザインを提供する。
【0007】
ここに開示されたこれらおよびその他の特徴は、以下の明細書および図面から最も良く理解されることができ、以下はその簡単な説明である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、ブルニアンリンク物品を作成するための例示的キットの斜視図である。
【
図2】
図2は、ブルニアンリンク物品の概略図である。
【
図3】
図3は、一連のブルニアンリンクの概略図である。
【
図5A】
図5Aは、例示的ベースと例示的ピンバーのインターフェース表面の斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、例示的ベースに載置されたピンバーの斜視図である。
【
図6】
図6は、例示的ピンバーの1つのピンの斜視図である。
【
図12】
図12は、いくつかのピンバーに組み立てられたいくつかのベースの組み立て図である。
【
図13】
図13は、1つの望ましい特別な向きにお互いに対して載置されたいくつかのピンバーの組み立て図である。
【
図14A】
図14Aは、ブルニアンリンクされた物品を作成するための組み立てステップの斜視図である。
【
図14B】
図14Bは、ブルニアンリンクされた物品を作成するための組み立てステップの斜視図である。
【
図14C】
図14Cは、ブルニアンリンクされた物品を作成するための組み立てステップの斜視図である。
【
図15】
図15は、ブルニアンリンクされた物品の繋がれていない端部をしっかり留めるための例示的クリップの平面図である。
【
図16】
図16は、例示的クリップでしっかり留められた弾性バンドを描いた斜視図である。
【
図17】
図17は、望ましい特別な向きにピンバーを保持するための例示的ベーステンプレートの斜視図である。
【
図18】
図18は、例示的ベーステンプレートの底面図である。
【
図19】
図19は、2つのベーステンプレートの横並びの取り付けの斜視図である。
【
図20】
図20は、2つのベーステンプレートのエンドツーエンドの取り付けの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、
図2に示されたブレスレット、ネックレスおよびその他の装着可能なまたは装飾的なアイテムのようなブルニアンリンクアイテムを作成するための例示的キットが10で指し示されている。
【0010】
図3を参照すると、ブルニアンリンク20が、実際の結び目を形成することなく、連続的なループ状構造から形成されている。いくつかのリンクが、円形構造を形成するようにチェインに形成されている。端部がそれからしっかり留められて、耐久性のある装着可能なアイテムが作成される。この例では、3つの閉じたループ状のゴムバンドのような弾性アイテム20が単一のチェインを形成しているのが示されている。各リンクは、系列中の別のループ構造の中央部分24で1つのループ構造の端部22を捕捉することによって形成される。各リンクは、望ましい形状と一体性を維持することを前および後続のリンクに依存する。1つのリンク20を取り除くことは、全てのリンクがお互いからはずれるようになることに結果としてなる。
【0011】
図1を参照すると、例示的キット10は、その各々が複数のピン26を含むピンバー14をサポートするベース12を含む。フックツール16が、バンドを1つのピン26から別のものへ掴んで動かすために含まれている。クリップ18は、リンクされたアイテムを完成してしっかり留めるために完成したリンクの端部を受け取る。ピンバー14と対応するピン26を望ましい揃えでサポートするために、示されたように1つまたはいくつかのピンバー14がいくつかのベース12に載置されている。この例では、中央のピンバー14が、2つの最も外側のピンバー14から1つ先にされている。この揃えは、望ましいリンクされたアイテムの作成を提供する。この例では、ピンバー14を望ましい相対的な向きにサポートするために、3つのベース12が利用されている。
【0012】
引き続き
図1を参照しながら、
図4、5A−Bを参照すると、ベース12は、ピンバー14の各ピン26の底部において規定された対応する開口部30内に受け取られる複数の直立に伸長する円筒28を含む。ベース12の円筒28と円筒28を受け取っている開口部30は、ピンバー14をその場に保持するための僅かな干渉フィットを規定する嵌合特徴である。3つのベース12がこの例では示されているが、追加の数のピンバー14をサポートするのにより少なくかまたはより多くが利用されることができる。
【0013】
ベース12は、円筒28の間に配置された、ピンバー14上に規定された対応するスロット34内にフィットするタブ32を含む。タブ32とスロット34の間のインターフェースが、揃えを提供し、ピンバー14の直立した向きを維持する。ピン26の各々は、ベース12の円筒28の間に規定されたボス37を受け取る前方スロット36を含む。前方スロット36とボス37のインターフェースは、ピンバー14をベース12上に更に揃えてサポートする。
【0014】
ピンバー14は、単一の列に規定された複数のピン26を有する一体構造である。ピン26の各々は等距離Aの間隔を空けられている。ピン26の各々は、フランジ状上部38と前方アクセス溝40を含む。
【0015】
図6、7、8および9を参照すると、各ピン26は、バー部分42から上向きに伸長し、ゴムバンドを保持して間隔を空けるための特徴を含む。各ピン26は、リンクの作成中にゴムバンドが誤って外れることを防止するために外向きにフレアー状になったフランジ状上部38を含む。アクセス溝40は、ピン26の中心に向けて内向きに伸長する縦方向の溝である。アクセス溝40は、バー部分42から、フランジ状上部38を有する開放端にまで延びる。溝40は、ピン26の間でゴムバンドの端部を動かすために利用されるフックツール16(
図1)の挿入のための間隙を提供する。
【0016】
ピン26の各々は、中央部分46の直径から外向きにフレアー状になった下部部分44を含む。ピン26の中央部分46は、組み立て中にゴムバンドがしっかり留められるところである。下部部分44は、ゴムバンドがバー部分42に対して下向きに滑るのを防止するために外向きにフレアー状である。上部および下部のフレアー状部分38、44は、組み立て中に望ましい揃えを提供するように、ゴムバンドが中央部分46を中心とするようにする。フランジ38のエッジは、鋭いエッジまたは表面を排除するように丸みをおびさせられている。
【0017】
図10Aおよび11Aを参照すると、例示的ベース12は、お互いから等距離に間隔を空けられた3つの円筒28の3つの列を含む。タブ32とボス37が、ピンバー14上に形成された対応するスロット34と36内に受け取られる。ピンバー14のための更なる横方向のサポートを提供するために、スタビライザー50が円筒28の各列の間に配置されている。
【0018】
図10Bおよび11Bを参照すると、別の例示的ベース12’は、お互いから等距離に間隔を空けられた6つの円筒28の3つの列を含む。より大きな例示的ベース12’によって提供された追加の円筒28は、同じ数のベース12’で追加のピンバー14の載置を提供する。分かる通り、ピンバー14についての様々な載置構成を提供するあらゆる数の円筒28の行および列をもったベースを提供することが、この開示の想定内である。
【0019】
図12および13を参照すると、ベース12が、望ましいパターンといくつかのピンバー14の間の均等な間隔を設定するのに利用される。従って、ベース12の各々は、1つまたはいくつかのピンバー14と係合することができる。ベース12は、縦方向に3つのピンバー14と係合し受け取ることができ、および/または1つのベース12によって提供された3つを超えて追加のピンバーを追加するように、ピンバーのグループのサイドに追加されても良い。
図12は、3つのベースが3つのピンバー12をサポートし、2つの追加のベース12が1つの列だけで現行のピンバー14と係合されて、円筒28の2つの列が追加のピンバー14を受け取るように横方向に伸長するようになっている構成を描いている。
図13は、
図12に示されるように横方向に伸長されている追加のベース12によって提供される5つのピンバー14が横並びに揃えられている構成を描いている。分かる通り、追加のベースおよびピンバー14が追加できる程度と可能な構成は、開示されたキットのユーザの望みによってのみ制限される。ピンバー14の追加は、キットのユーザの想像力によってのみ制限される、より独自で込み入ったデザインを提供する。
【0020】
図14A−Cを参照すると、例示的キットによって提供されるブルニアンリンクを形成する方法は、弾性バンドを隣接するピン26上に装填する最初のステップを含む。この例では、一番右の端部で始まって各ゴムバンドが隣接するピンに渡って引き伸ばされ中央部分において保持される。第1の弾性バンド52が、隣接するピン26の第1のペアの間に置かれる。第2の弾性バンド54がそれから、前に組み立てられた第1の弾性バンド52の一端の上に置かれ、それから第3の弾性バンド56等々、望ましい数のゴムバンドが対応するピンバー14上に置かれるまで、となる。これらの例では、3つの弾性バンド52、54および56のみが説明の目的で示されているが、実際には、完成品の望ましい長さを提供するために多くの弾性バンドが利用され得ることに注意されたい。
【0021】
一旦弾性バンド52、54および56がピン26の各々の上に置かれると、フック16が、アクセス溝40中に挿入され、一番上の弾性バンド56を通り過ぎて下向きに動かされる。フック16はそれから、弾性バンド54の一端がフック端中に捕捉されることを許容するのに十分な距離だけ矢印58によって指し示された方向に溝から外向きに動かされる。更なる持ち上げは、
図14Bに示されるように別の隣接するピン26上での組み立てのために第3の弾性バンド56の端部を通して60によって指し示された方向に第2の弾性バンド54の捕捉された端部を引っ張り上げる。捕捉された端部は、フランジ状上部38の上を越えて引っ張り上げられ、隣接するピン上に引っ張り戻されて、単一のリンクを形成する。弾性バンド54の捕捉された端部はそれから、隣接するピン26と係合するように開放される。このプロセスが、望ましい長さのリンクのチェインが得られるまで繰り返される。
【0022】
図14A、14Bおよび14Cに描かれた例は、リンクの単一の列から形成されたチェインを描いている。リンク構成および組み合わせの幅広い種類を形成するように、例示的ベーステンプレート12は多くのピンバー14をサポートするように配列されることができ、従ってリンクは隣接するピンバー14に跨って縦方向および横方向に形成されることができる。
【0023】
図15および16を参照すると、一旦リンクが作成されると、作り上げられたリンクのチェインが元に戻らないように端部をしっかり留めるのに、クリップ18が使われる。クリップ18は、内部エリア61内に弾性バンド64の端部を捕捉する内向きに対向する端部62をもった、実質的にC字形状である。
【0024】
図17−20を参照すると、6つのピンバー14を望ましい向きに保持するための例示的ベーステンプレート66が示されている。例示的ピンバー14の各々は、規定されたサイズの開口部30を含み、ベーステンプレート66は、ピンバー14がベーステンプレート66の溝70内でその場に留められるように、ピンバー14中の開口部30と望ましいきつさの干渉フィットを提供するようなサイズとされた複数の円形ボス68を含む。ピンバー14とベーステンプレート66のボスの間の干渉フィットは、望ましい装着可能なアイテムの使用および構築中の分離を防止するために、ベースへの積極的な載置および取り付けを確かにする。
【0025】
図18、19および20を参照すると、ベーステンプレート66は、第1および第2の端部72、74と、第1および第2の端部72、74の間の第1および第2のサイド76、78を含む。第1の端部72が雄ジョイント82を含み、第2の端部74が対応する雌ジョイント80を含む。第1のサイド76が雄ジョイント82を含み、第2のサイド78が雌ジョイント80を含む。拡張された能力を提供するように、交番するサイドがいくつかのベーステンプレート66のお互いとの取り付けを提供する。
【0026】
図19は、ジョイント84によって横並びの構成にお互いに接続された2つのベーステンプレート66を描いている。
図20は、ジョイント84によってエンドツーエンドの構成にお互いに接続された2つのベーステンプレート66を描いている。分かる通り、多くの異なる望ましい構成を形成するように、あらゆる数のベーステンプレート66がお互いにしっかり取り付けられることができる。異なる構成は、装着可能なアイテムの異なる形状および構成を作成するための多くのオプションを提供する。
【0027】
従って、例示的キットおよび方法は、ブレスレット、ネックレスおよびその他の装着可能なアイテムの作成のためにブルニアンリンクの多くの異なる組み合わせおよび構成の作成を提供する。しかも、例示的キットは、潜在的なブルニアンリンク作成の能力を更に作り出して拡張するために拡張可能である。更には、例示的キットは、そのようなリンクおよびアイテムの簡単なやり方での作成を提供して、様々な技量レベルの人々に独自の装着可能なアイテムを成功裡に作成することを許容する。
【0028】
例示的実施形態が開示されたが、いくつかの変形がこの開示の範囲内に入るであろうことを当業者は理解するであろう。このため、この発明の範囲と内容を決定するためには以下の請求項が検討されるべきである。