特許第6189920号(P6189920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6189920-燃料電池分離板及びその製造方法 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189920
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】燃料電池分離板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0202 20160101AFI20170821BHJP
【FI】
   H01M8/02 B
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-251736(P2015-251736)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-127021(P2016-127021A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2015年12月24日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0000100
(32)【優先日】2015年1月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514040088
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102185
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 繁範
(74)【代理人】
【識別番号】100129399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】イム ジェ ウク
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョン ホン
【審査官】 佐藤 知絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−093937(JP,A)
【文献】 特開昭62−254363(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/165492(WO,A1)
【文献】 特開2011−171111(JP,A)
【文献】 特開2009−099475(JP,A)
【文献】 特開2003−109622(JP,A)
【文献】 特開2003−223906(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0077107(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/0202
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張黒鉛(expanded graphite)と熱可塑性樹脂との混合物の成形体を含む、燃料電池分離板であって、
前記成形体は、
前記膨張黒鉛及び前記熱可塑性樹脂を含む低黒鉛含有層と、
前記低黒鉛含有層よりも低い前記熱可塑性樹脂の含量を有し、前記低黒鉛含有層の両面に配置される高黒鉛含有層と、
を含み、
前記低黒鉛含有層は、60〜90wt%の前記膨張黒鉛及び10〜40wt%のフルオロカーボンポリマーを含み、
前記高黒鉛含有層は、91〜95wt%の前記膨張黒鉛及び5〜9wt%の前記フルオロカーボンポリマーを含む、燃料電池分離板。
【請求項2】
膨張黒鉛(expanded graphite)又は天然黒鉛フレーク(Natural graphite flake)と熱可塑性樹脂との混合物の成形体を含む、燃料電池分離板であって、
前記成形体は、
前記膨張黒鉛又は天然黒鉛フレーク及び前記熱可塑性樹脂を含む低黒鉛含有層と、
前記低黒鉛含有層よりも低い前記熱可塑性樹脂の含量を有し、前記低黒鉛含有層の両面に配置される高黒鉛含有層と、を含み、
前記低黒鉛含有層は、60〜90wt%の前記膨張黒鉛、及び10〜40wt%のフルオロカーボンポリマーを含み、
前記高黒鉛含有層は、85〜92wt%の前記天然黒鉛フレーク及び8〜15wt%の前記フルオロカーボンポリマーを含む、燃料電池分離板。
【請求項3】
前記フルオロカーボンポリマーは、FEP(fluorinated ethylene propylene)、PTFE(polytetrafluoroethylene)、PFA(tetrafluoroethylene−perfluoroalkyl vinyl ether copolymer)、又はこれらの組み合わせである、請求項1又は2に記載の燃料電池分離板。
【請求項4】
前記成形体は、圧縮成形、射出成形、押出成形、又はこれらのうちの2つ以上の成形方法を組み合わせて製造される、請求項1乃至のいずれかに記載の燃料電池分離板。
【請求項5】
前記高黒鉛含有層は0.1〜10cc/min以上の多孔性を有する、請求項乃至のいずれかに記載の燃料電池分離板。
【請求項6】
膨張黒鉛(expanded graphite)と熱可塑性樹脂を混合するステップと、
前記膨張黒鉛と前記熱可塑性樹脂との混合物を成形するステップと、
を含む、燃料電池分離板の製造方法であって、
前記混合するステップは、
前記膨張黒鉛を60〜90wt%、フルオロカーボンポリマーを10〜40wt%の組成で混合した第1炭素複合体を製造するステップと、
前記膨張黒鉛を91〜95wt%、前記フルオロカーボンポリマーを5〜9wt%の組成で混合した第2炭素複合体を製造するステップと、
を含み、
前記成形するステップは、
前記第1炭素複合体と前記第2炭素複合体を圧延して、前記第1炭素複合体からなる低黒鉛含有層が前記第2炭素複合体からなる2つの高黒鉛含有層の間に位置する、多層シートを製造するステップと、
前記多層シートを280〜360℃の温度で1〜20分間圧縮成形するステップと、を含む、燃料電池分離板の製造方法。
【請求項7】
膨張黒鉛(expanded graphite)又は天然黒鉛フレーク(Natural graphite flake)と熱可塑性樹脂を混合するステップと、
前記膨張黒鉛又は天然黒鉛フレークと前記熱可塑性樹脂との混合物を成形するステップと、を含む、燃料電池分離板の製造方法であって、
前記混合するステップは、
前記膨張黒鉛を60〜90wt%、フルオロカーボンポリマーを10〜40wt%の組成で混合した第1炭素複合体を製造するステップと、
天然黒鉛フレークを85〜92wt%、前記フルオロカーボンポリマーを8〜15wt%の組成で混合した第2炭素複合体を製造するステップと、を含み、
前記成形するステップは、
前記第1炭素複合体と前記第2炭素複合体を圧延して、前記第1炭素複合体からなる低黒鉛含有層が前記第2炭素複合体からなる2つの高黒鉛含有層の間に位置する、多層シートを製造するステップと、
前記多層シートを280〜360℃の温度で1〜20分間圧縮成形するステップと、を含む、燃料電池分離板の製造方法。
【請求項8】
前記フルオロカーボンポリマーは、FEP、PTFE及びPFAのいずれか1つである、請求項6又は7に記載の燃料電池分離板の製造方法。
【請求項9】
前記成形するステップの後、前記成形された分離板の表面に分布する前記熱可塑性樹脂を除去するステップをさらに含む、請求項乃至のいずれかに記載の燃料電池分離板の製造方法。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂を除去するステップは、前記熱可塑性樹脂をブラスト(blasting)工程を通じて除去するステップを含む、請求項に記載の燃料電池分離板の製造方法。
【請求項11】
前記高黒鉛含有層は0.1〜10cc/min以上の多孔性を有する、請求項6乃至10のいずれかに記載の燃料電池分離板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池分離板及びその製造方法に係り、より詳細には、高温耐酸性特性を有する燃料電池分離板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料(水素、リン酸、メタノールなど)の酸化反応を電気化学的に起こすことによって、その酸化反応に伴う自由エネルギー変化を直接電気エネルギーとして取り出すことができるように組み立てた電池である。燃料電池は、燃料及び反応触媒の種類によって、固体酸化物燃料電池(SOFC、solid oxide fuel cells)、リン酸型燃料電池(PAFC、phosphoric acid fuel cell)、高分子電解質燃料電池(PEMFC、proton exchange membrane fuel cell)、直接メタノール型燃料電池(DMFC、direct methanol fuel cell)などに分類される。
【0003】
燃料電池のスタック部品のうち、電解質、燃料極及び空気極を互いに分離する分離板は、電気伝導度、気体透過度、強度、腐食特性、及び溶出特性などの特性が要求され、分離板の材質としては、金属または黒鉛などが使用されている。金属分離板は腐食特性において欠点があり、黒鉛分離板は、製造単価が高く、体積が大きいという欠点がある。このような問題点によって、黒鉛粉末に熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を混合した後、圧縮成形及び射出成形法で分離板をモールディングする方法などが使用されている。
【0004】
特に、高温用燃料電池分離板の製造時に、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂とエポキシ樹脂などが使用され、熱可塑性樹脂としては、150℃以上の温度で安定なスーパーエンジニアリングプラスチックが使用される。
【0005】
高温耐酸性燃料電池分離板を製造する方法に関する先行文献である米国特許公開第2010−0307681号(特許文献1)には、流路が形成された2つの板間に平板が挿入される構造を有する3層構造の分離板が開示されているが、その製造のためには3回以上の成形工程を必要とするため、製造に長時間がかかり、3組以上の金型を必要とするため、その製造工程が非常に複雑であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許公開第2010−0307681号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、黒鉛のような伝導性物質の使用量を減少させながらも、分離板の伝導度を低下させず、製造工程が単純かつ効率的な燃料電池分離板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような問題点を解決するための本発明の燃料電池分離板は、膨張黒鉛(expanded graphite)と熱可塑性樹脂との混合物の成形体を含む。このとき、熱可塑性樹脂はフルオロカーボンポリマー(Fluorocarbon polymer)であり、フルオロカーボンポリマーは、FEP(fluorinated ethylene propylene)、PTFE(polytetrafluoroethylene)、PFA(perfluoroalkoxy)、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0009】
成形体は、60〜90wt%の膨張黒鉛及び10〜40wt%のフルオロカーボンポリマーを含むことができ、好ましくは、成形体は、60〜70wt%の膨張黒鉛及び30〜40wt%のフルオロカーボンポリマーを含むことができる。
【0010】
また、本発明の一実施例において、成形体は、膨張黒鉛及び熱可塑性樹脂を含む低黒鉛含有層と、低黒鉛含有層よりも低い熱可塑性樹脂の含量を有し、低黒鉛含有層の両面に配置される高黒鉛含有層とを含むことができる。
【0011】
このとき、低黒鉛含有層は、60〜90wt%の膨張黒鉛及び10〜40wt%のフルオロカーボンポリマーを含み、高黒鉛含有層は、91〜95wt%の膨張黒鉛及び5〜9wt%のフルオロカーボンポリマーを含むことができる。
【0012】
また、低黒鉛含有層は、60〜90wt%の膨張黒鉛及び10〜40wt%のフルオロカーボンポリマーを含み、高黒鉛含有層は、85〜92wt%の天然黒鉛フレーク(Natural graphite flake)及び8〜15wt%のフルオロカーボンポリマーを含むことができる。
【0013】
また、本発明の一実施例において、高黒鉛含有層は、0.1〜10cc/min以上の多孔性を有することができる。
【0014】
一方、本発明に係る燃料電池分離板の製造方法は、膨張黒鉛と熱可塑性樹脂を混合するステップ、及び膨張黒鉛と熱可塑性樹脂との混合物を成形するステップを含む。このとき、成形するステップは、混合物を280〜360℃の温度で1〜20分間圧縮成形するステップを含むことができる。
【0015】
また、本発明の一実施例において、混合するステップは、膨張黒鉛とフルオロカーボンポリマーを押出混合するステップを含み、成形するステップは、混合物を280〜360℃の温度で1〜20分間射出成形するステップを含むことができる。
【0016】
また、本発明の一実施例において、成形するステップは、混合物を押出してシートを製造するステップ、及びシートを280〜360℃の温度で1〜20分間圧縮成形するステップを含むことができる。
【0017】
本発明の一実施例において、混合するステップは、膨張黒鉛を60〜90wt%、フルオロカーボンポリマーを10〜40wt%の組成で混合した第1炭素複合体を製造するステップ、及び膨張黒鉛を91〜95wt%、フルオロカーボンポリマーを5〜9wt%の組成で混合した第2炭素複合体を製造するステップを含み、成形するステップは、第1炭素複合体と第2炭素複合体を圧延して、第1炭素複合体からなる低黒鉛含有層が第2炭素複合体からなる2つの高黒鉛含有層の間に位置する、多層シートを製造するステップ、及び多層シートを280〜360℃の温度で1〜20分間圧縮成形するステップを含むことができる。
【0018】
本発明の他の一実施例において、混合するステップは、膨張黒鉛を60〜90wt%、フルオロカーボンポリマーを10〜40wt%の組成で混合した第1炭素複合体を製造するステップ、及び天然黒鉛フレーク(Natural graphite flake)を85〜92wt%、フルオロカーボンポリマーを8〜15wt%の組成で混合した第2炭素複合体を製造するステップを含み、成形するステップは、第1炭素複合体と第2炭素複合体を圧延して、第1炭素複合体からなる低黒鉛含有層が第2炭素複合体からなる2つの高黒鉛含有層の間に位置する、多層シートを製造するステップ、及び多層シートを280〜360℃の温度で1〜20分間圧縮成形するステップを含むことができる。
【0019】
また、本発明に係る燃料電池分離板の製造方法は、成形するステップの後、成形された分離板の表面に分布する熱可塑性樹脂を除去するステップをさらに含むことができる。このとき、熱可塑性樹脂を除去するステップは、熱可塑性樹脂をブラスト(blasting)工程を通じて除去するステップを含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る燃料電池分離板及びその製造方法は、伝導性物質の使用量を減少させながらも、分離板の伝導度を低下させないという効果を有する。
【0021】
本発明に係る燃料電池分離板及びその製造方法は、製造工程が単純であり、製造時間が短縮されるという効果を有する。
【0022】
本発明に係る燃料電池分離板及びその製造方法は、高い電気伝導度及び気密性を有するという効果を有する。
【0023】
また、本発明に係る燃料電池分離板及びその製造方法は、射出成形性に優れ、圧縮成形中、分離板の厚さの偏差が小さいという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第2実施例に係る燃料電池分離板を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明らかになるであろう。しかし、本発明は、ここで説明する実施例に限定されず、他の形態に具体化されてもよい。むしろ、ここで紹介する実施例は、開示された内容が徹底且つ完全になるように、そして、当業者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために提供されるものである。
【0026】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されるもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示すものでない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0027】
別に定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含めてここで使用される全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈しなければならず、本明細書で明らかに定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されない。
【0028】
以下、本発明の実施例に係る燃料電池分離板について詳細に説明する。本発明の第1実施例に係る燃料電池分離板は、膨張黒鉛と熱可塑性樹脂との混合物の成形体を含む。熱可塑性樹脂としては、高温安定性を有するポリアクリレート(polyacrylate)、ポリスルホン(polysulfone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylenesulfide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetherether ketone)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルイミド(polyetherimide)、フルオロカーボンポリマー(Fluorocarbon polymer)、液晶ポリマー(liquid crystal polymer)などを使用することができる。
【0029】
しかし、これらのうち、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(perfluoroalkoxy、PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(fluorinated ethylene propylene、FEP)などのフルオロカーボンポリマーを使用することが好ましく、200℃の温度と90%以上のリン酸濃度の雰囲気内で運転されるPAFCに適用するためには、優れた耐酸性を有するFEP、PTFE、PFA、またはこれらの組み合わせを使用することがより好ましい。
【0030】
また、本実施例において、燃料電池分離板の成形体は、60〜90wt%の膨張黒鉛及び10〜40wt%のフルオロカーボンポリマーを含むことができる。膨張黒鉛は、一般的な天然黒鉛に比べて伝導度が高いという特性があるので、膨張黒鉛を使用することによって、相対的に少ない量の黒鉛を添加しても分離板の伝導度を低下させないことができ、燃料電池分離板のガス漏れが発生しない高温耐酸性の燃料電池分離板を製造することができる。
【0031】
したがって、本発明の実施例に係る高温耐酸性の燃料電池分離板は、DMFC、PEMFC、PAFCなどの燃料電池に使用可能である。
【0032】
また、本発明の実施例に係る燃料電池分離板の成形体は、射出成形が容易になるように、フルオロカーボンポリマーの含量を30〜40wt%に増加させることができる。
【0033】
また、本実施例において、成形体は、膨張黒鉛と熱可塑性樹脂の混合物を圧縮、射出または押出して製造されたものであってもよく、その製造方法については、後述する燃料電池分離板の製造方法の実施例で詳細に説明する。
【0034】
以下では、図1を参照して、本発明の第2実施例に係る燃料電池分離板について詳細に説明する。以下で説明すること以外の他の構成は、前述した第1実施例に係る燃料電池分離板で説明したものと同一であるので、以下では、これについての説明を省略する。
【0035】
本発明の第2実施例に係る燃料電池分離板の成形体100は、膨張黒鉛及び熱可塑性樹脂を含む低黒鉛含有層110と、低黒鉛含有層110よりも高い黒鉛の含量及び低い熱可塑性樹脂の含量を有し、低黒鉛含有層110の両面に配置される高黒鉛含有層120とを含む。このとき、高黒鉛含有層120は、0.1〜10cc/min以上の多孔性を有するように形成することができる。
【0036】
このとき、低黒鉛含有層110は、60〜90wt%の膨張黒鉛及び10〜40wt%のフルオロカーボンポリマーを含むことができ、高黒鉛含有層120は、91〜95wt%の膨張黒鉛及び5〜9wt%のフルオロカーボンポリマーを含むことができる。
【0037】
更に他の例として、高黒鉛含有層120は、85〜92wt%の天然黒鉛フレーク(Natural graphite flake)及び8〜15wt%のフルオロカーボンポリマーを含むこともできる。このとき、好ましくは、前記のフルオロカーボンポリマーは、FEP、PTFE、PFA、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0038】
本実施例に係る成形体は、膨張黒鉛または天然黒鉛フレークと熱可塑性樹脂との混合物を圧延及び圧縮して製造されたものであってもよく、その製造方法については、後述する燃料電池分離板の製造方法の実施例で詳細に説明する。
【0039】
本実施例において、燃料電池分離板100の表面に高黒鉛含有層120を適用することによって電気伝導度を高め、中間部には熱可塑性樹脂の相対的含量が高い低黒鉛含有層110を適用することによってガス密閉率を高めることができる。また、高黒鉛含有層120が適用された燃料電池分離板100の表面を多孔性にすることによって、燃料電池の内部で反応面積が広くなるので、電池の効率を向上させることができる。
【0040】
以下、本発明の実施例に係る燃料電池分離板の製造方法について詳細に説明する。本発明の第1実施例に係る燃料電池分離板の製造方法は、大きく、膨張黒鉛と熱可塑性樹脂を混合するステップ、及び膨張黒鉛と熱可塑性樹脂の混合物を成形するステップを含む。
【0041】
前述したように、熱可塑性樹脂としては、フルオロカーボンポリマー(Fluorocarbon polymer)を使用することが好ましく、より好ましくは、フルオロカーボンポリマーのうち、FEP、PFA、PTFE、またはこれらの組み合わせを使用する。
【0042】
このとき、膨張黒鉛と熱可塑性樹脂との混合物は、60〜90wt%の膨張黒鉛及び10〜40wt%のフルオロカーボンポリマーを含むことができる。
【0043】
混合物を成形するステップは、一例として、前記のような組成の混合物を280〜360℃の温度で1〜20分間圧縮成形して行うことができる。
【0044】
他の例として、成形するステップは、膨張黒鉛とフルオロカーボンポリマーを押出混合し、押出混合物を280〜360℃の温度で1〜20分間射出成形して成形体を製造してもよく、このとき、フルオロカーボンポリマーの含量を30〜40wt%に高くして射出成形を容易にすることができる。
【0045】
更に他の例として、成形するステップは、膨張黒鉛と熱可塑性樹脂との混合物を押出してシートを製造し、製造されたシートを280〜360℃の温度で1〜20分間圧縮成形して行われてもよい。このとき、他の例として、混合物を押出して製造されたシートを、280〜360℃の温度で予熱した状態で圧縮成形機に投入することで、成形時間1〜3分で非常に速く分離板を製造することもできる。
【0046】
前記のような成形ステップの後、成形された分離板の表面には、成形中に成形圧力によってフルオロカーボンポリマーのような熱可塑性樹脂層が過剰に分布し得るが、これは、分離板の電気伝導度を低下させる原因となる。したがって、電気伝導度の向上のために熱可塑性樹脂層を除去する工程をさらに行うことができる。一例として、表面の熱可塑性樹脂は、ブラスト(blasting)工程を通じて除去することができる。
【0047】
以下では、本発明の第2実施例に係る燃料電池分離板の製造方法について詳細に説明する。以下で説明すること以外の他の構成は、前述した第1実施例に係る燃料電池分離板の製造方法で説明したものと同一であるので、以下では、これについての説明を省略する。
【0048】
本実施例に係る製造方法では、膨張黒鉛を60〜90wt%、フルオロカーボンポリマーを10〜40wt%の組成で混合した第1炭素複合体、及び膨張黒鉛を91〜95wt%、フルオロカーボンポリマーを5〜9wt%の組成で混合した第2炭素複合体を準備する。次に、製造された炭素複合体を共に圧延して、第1炭素複合体からなる低黒鉛含有層が第2炭素複合体からなる高黒鉛含有層間に位置する、3層構造の多層シートを製造する。このとき、好ましくは、前記のフルオロカーボンポリマーは、FEP、PTFE、PFA、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0049】
また、他の例として、前記の高黒鉛含有層は、天然黒鉛フレーク(Natural graphite flake)を85〜92wt%、フルオロカーボンポリマーを8〜15wt%の組成で混合した炭素複合体を使用して製造されてもよい。このとき、好ましくは、前記のフルオロカーボンポリマーは、FEP、PTFE、PFA、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0050】
次に、多層シートを280〜360℃の温度で1〜20分間圧縮成形して、成形体を製造する。また、他の例として、多層シートを280〜360℃の温度で予熱させた状態で圧縮成形機に投入し、成形時間1〜3分で非常に速く分離板を製造することもできる。本実施例によって製造される燃料電池分離板は、3層構造を有しながらも、シートの製造を通じて1回の圧縮成形工程で燃料電池分離板を製造することができるという利点がある。
【0051】
また、前述した第1実施例のように、圧縮成形後に表面に形成される過剰の熱可塑性樹脂層をブラスト工程を通じて除去することができる。
【実施例】
【0052】
以下では、本発明に係る燃料電池分離板の効果を確認するための実験例を詳細に説明する。以下で説明する実験例は本発明を例示したもので、本発明が下記の実験例の条件に限定されるものではない。
【0053】
実験例1
【0054】
膨張黒鉛とFEP樹脂組成物を用いて、燃料電池分離板用成形体を製造し、膨張黒鉛とFEP樹脂の組成変化による伝導度、屈曲強度及びガス密閉度を確認した。その結果を下記の表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1に示されたように、FEP含量が減少するにつれて、伝導度は向上し、屈曲強度は低下したが、高温用耐腐食性燃料電池分離板としての使用が可能な程度に維持された。特に、FEP樹脂の含量が約10wt%である場合にも、膨張黒鉛とFEP樹脂の組み合わせの特性によってガス密閉度が維持されることを確認した。
【0057】
表1の組成の炭素複合体のうち、膨張黒鉛の量が約60wt%である場合にも、燃料電池に十分に適用可能な電気伝導度を有することが確認できた。したがって、高伝導性燃料電池分離板の場合にも、伝導性物質の量を適切に維持できるので、分離板の成形をより容易に行うことができることを確認した。
【0058】
特に、射出成形時に素材の流動性確保のために、流れ性の良い樹脂の量が多くなければならないにもかかわらず、既存の方法は、伝導性フィラーの量を高めながらも射出性を確保しなければならないという困難があったが、本実験例を通じて製造された炭素複合体は、FEP樹脂の量を30〜40%まで添加できるので、本発明に係る燃料電池分離板の製造時、射出成形の使用に大きく有利になると判断される。
【0059】
また、本発明を通じて製造される炭素複合体は、高流動性を有するので、圧縮成形中、分離板の厚さの偏差を減少させるという利点がある。
【0060】
表1に示した組成の炭素複合体は、伝導性、屈曲強度、そして、気密性が確保されるので、280〜360℃の温度で1分〜20分間圧縮成形する単純な工程を通じて燃料電池分離板の製造が可能である。
【0061】
実験例2
【0062】
多孔性分離板のための炭素複合体を製造し、伝導度、屈曲強度及びガス密閉度を測定した。表2は、膨張黒鉛とFEP樹脂のうち、膨張黒鉛の組成を91〜95%にして製造した実験例の結果であり、表3は、天然黒鉛フレークの組成を85〜92%にして炭素複合体を製造した実験例の結果である。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
前記のような炭素複合体を成形して、0.1〜10cc/min以上の多孔性を有する燃料電池分離板を製造できることを確認した。このように製造された炭素複合体は、図1に示した燃料電池分離板の高黒鉛含有層に適用可能である。
【0066】
以上、本発明の好ましい一実施例を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施できるということを理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0067】
100 燃料電池分離板の成形体
110 低黒鉛含有層
120 高黒鉛含有層
図1