(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、一般式(I)により表されるオリゴ糖に関係する。
【0016】
ここで、R
1からR
4は、互いに独立し且つそれぞれのグリクロン酸及び/又はラムノース単位毎に独立して、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、サルフェート基若しくはホスフェート基から選ばれているか、又は、−OCH
2R
a基であって、R
aはヒドロキシ基、アルキロキシ基、アシロキシ基、スルフェート基若しくはホスフェート基である。
【0017】
nは、50以下の整数であって、且つ分子量が5,000ダルトン以上で且つ100,000ダルトン以下となるように選ばれている。
【0018】
また、当該オリゴ糖の薬学的に許容される塩であっても良い。
【0019】
本発明のオリゴ糖は、これまでに説明されたことがない。これらの物質は、細胞外基質の構成分子の合成及び組織化を促進し且つ分解を限定することにより、その均一性及び密度を維持できる。従って、これらの物質は、細胞外基質の構成分子の生合成及び/又は組織化を促進し、且つ/又はその分解を減らし、それによって細胞外基質の構造を形成及び維持し、内因性及び/又は外因性の皮膚及び毛細血管の老化の兆候を防止且つ/又は処置するために用いることができる。特に、皮膚及び/又は毛細血管の構造及び機能の変成、組織再生の変成、組織の弛緩、皮膚及び/又は毛細血管の微小循環の変成、皮膚の解毒作用の変成、(皮膚及び/又は毛細血管の)色における明るさの均一性の喪失、皮膚(皺や隈の発生、皮膚の乾燥等)及び/又は毛細血管(脆弱毛)表面の質感の変成、及び、皮膚及び/又は毛髪の毛細血管の構造の変成(抜け毛を含む)を防ぐために用いることができる。
【0020】
本発明の文脈において、
・「分子量」の語は、単一の分子又は分子の混合物について区別無しに言及し、混合物の場合は平均値を意味する。
【0021】
・「グリクロン酸」は、グルクロン酸又はイズロン酸(これは小さな比率で発見される)を意味する。
【0022】
・「薬学的に許容される塩」の語は、アルコール、ケトン、エーテル又は塩素系溶剤を含む有機又は水性溶媒中において鉱物酸又は有機酸を加えて得られ、且つ、薬学的な見地から許容できる塩を意味する。言及できる塩の例としては、以下の塩を含む。つまり、ベンゼンスルホン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、クエン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヨウ素酸塩、イセチオン酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル-ビス-b-オキシナフトエ酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、テオフィリン酢酸塩、p-トルエンスルホン酸塩である。
【0023】
・アルキル基は、直鎖又は分岐で一価の飽和炭化水素鎖であり、1から6の炭素原子を含む、例えば次の基を意味する。つまり、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基。
【0024】
・「アルキル」の語は、例えばアルコキシ基のように基の名前の一部として用いられた場合、上と同じ定義を維持する。従って、アルコキシ基と言ったとき、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチロキシ基のことであってもよい。
【0025】
・「減圧下における濃縮」工程は、50から100 mmHgで且つ40から50℃において、抽出物に含まれる水を蒸発させようとする工程である。
【0026】
望ましくは、本発明は、上記に定義した一般式(I)にて表されるオリゴ糖に関する。ここで、R
1からR
4は、互いに独立し且つそれぞれのグリクロン酸及び/又はラムノース単位毎に独立して、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシロキシ基、サルフェート基若しくはホスフェート基から選ばれているか、又は、−OCH
2R
a基であってR
aは既に定義したとおりである。もっとも望ましくは、本発明は、上記に定義した一般式(I)にて表されるオリゴ糖に関しており、R
1からR
4は、互いに独立し且つそれぞれのグリクロン酸及び/又はラムノース単位毎に独立して、ヒドロキシ基又はスルフェート基である。
【0027】
前記に定義した一般式(I)のオリゴ糖は、5,000ダルトン以上で且つ100,000以下の分子量を有する。望ましくは、本発明は、上記に定義した一般式(I)のオリゴ糖に関するものであり、nは、分子量が5,000ダルトン以上で且つ50,000ダルトン以下、より望ましくは5,000ダルトン以上で且つ30,000ダルトン以下となるように選ばれる。更に望ましくは、nは、分子量が5,000ダルトン上で且つ25,000ダルトン以下、より望ましくは、5,000ダルトン以上で且つ15,000以下となるように選ばれる。
【0028】
本発明のオリゴ糖は、オオバアオサから抽出された多糖のラジカル分解によって調製される。従って、本発明は、以下の工程を含むオリゴ糖の調製方法に関係する。
【0029】
(a)藻であるオオバアオサの粉末を、温度が20℃から100℃、溶液のpHが4から8の範囲において、水に分散させる工程
(b)温度が20℃から100℃、溶液のpHが4から8の範囲において、過酸化水素(H
2O
2)を徐々に加える工程
(c)攪拌しながら、温度を20℃から100℃、溶液のpHを4から8の範囲に維持する工程
(d)室温において、濾過又は遠心沈降する工程
(e)減圧下にて濃縮する工程
(f)低分子量分子を、接線流限外濾過(tangential ultrafiltration)の後に微粒子化するか、アルコール沈殿、濾過、洗浄及び乾燥して純化する工程。
【0030】
本発明の分解方法により、オオバアオサ粉末の乾燥重量に対して約25%という高い生産収率で低分子量のオリゴ糖を得ることができる。
【0031】
本発明の分解方法の工程(a)は、オオバアオサ粉末を水に分散させることを含む。望ましくは、分散は、500から2500回転/分、より望ましくは1000から2000回転/分の攪拌下にて行う。
【0032】
分散は、20℃から100℃の温度範囲、望ましくは40℃から90℃の温度範囲、より望ましくは50℃から80℃の温度範囲にて行う。
【0033】
分散の間、溶液のpHは4から8、望ましくは5から7.5の範囲である。溶液のpHをこれらの値に維持するために、当業者に既知のあらゆる方法を使用することができる。望ましくは、5Nのナトリウム又は5Nのカリウムを加える。
【0034】
分解後における多糖の水中での濃度は、当業者の必要及び使用した装置に依存する。望ましくは、多糖の濃度は1から1000g/lであり、より望ましくは1から100g/lであり、最も望ましくは10から50g/lである。
【0035】
本発明の分解方法の工程(b)は、徐々に過酸化水素を加えることを含む。望ましくは、オオバアオサ抽出物と加えた過酸化水素の重量比を1:1とする。加える過酸化水素としては、望ましくは35%のH
2O
2水を選ぶ。
【0036】
過酸化水素の導入は、徐々に行う。望ましくは、過酸化水素の導入は、30分から5時間の期間をかけて連続的に行う。
【0037】
過酸化水素の導入は、20℃から100℃の温度範囲、望ましくは40℃から90℃の温度範囲、より望ましくは50℃から80℃の温度範囲にて行う。
【0038】
過酸化水素の導入の間、溶液のpHは4から8、望ましくは5から7.5の範囲であってよい。溶液のpHをこれらの値に維持するために、当業者に既知のあらゆる方法を使用することができる。望ましくは、5Nのナトリウム又は5Nのカリウムを加える。
【0039】
本発明の分解方法の工程(c)は、オオバアオサ抽出物/過酸化水素の混合物を攪拌することを含む。
【0040】
望ましくは、攪拌は、100から2000回転/分、より望ましくは300から1000回転/分の回転速度にて行う。
【0041】
望ましくは、この攪拌は、30分から5時間の範囲、より望ましくは30分から3時間の範囲、更に望ましくは1時間から2時間の範囲で維持する。
【0042】
攪拌は、20℃から100℃の温度範囲、望ましくは40℃から90℃の温度範囲、より望ましくは50℃から80℃の温度範囲にて行う。
【0043】
攪拌中、溶液のpHは4から8、望ましくは5から7.5の範囲とする。溶液のpHをこれらの値に維持するために、当業者に既知のあらゆる方法を使用することができる。望ましくは、5Nのナトリウム又は5Nのカリウムを加える。
【0044】
本発明の分解方法の工程(d)は、溶液から不溶粒子を除去するための濾過又は遠心沈降の工程を含む。
【0045】
濾過を行うために、当業者に既知のあらゆる方法が使用できる。望ましくは、珪藻土を通す前面濾材濾過を行う。
【0046】
遠心沈降を行うために、当業者に既知のあらゆる方法が使用できる。望ましくは、室温、10,000gにて10分間の遠心沈降を行う。
【0047】
本発明の分解方法の工程(e)は、抽出物中の水を蒸発させて濃縮することを含む。この濃縮を行うために、当業者に既知のあらゆる方法が使用できる。この工程は、望ましくは、50から100mmHgの圧力下、40℃から50℃の温度範囲にて行う。
【0048】
本発明の分解方法の工程(f)は、低分子量のオリゴ糖を次のように高純度化することを含む。
【0049】
接線流限外濾過の場合、望ましくは5、10又は30kDaの膜において行う。
【0050】
アルコール沈殿、その後の濾過、洗浄及び乾燥の場合、当業者に既知のあらゆる方法が使用できる。望ましくは、沈殿は、アルコールとして例えばイソプロパノール又はエタノールを選んで行う。望ましくは、得られた沈殿は焼成ガラス又は帆布によって濾過する。
【0051】
更に、本発明の分解方法は、触媒の存在下又は触媒無しに行うことができる。つまり、望むなら、本発明の分解方法は、Cu
2+又はFe
2+のような2価のカチオンとして選ばれた触媒の存在下で行っても良い。触媒は、本発明の方法における工程(b)、工程(c)又は工程(d)において添加してもよい。
【0052】
本発明の分解方法により、用いたオオバアオサ粉末の乾燥重量に対して20から25%のオーダーという高い生産収率にて低分子量分子を得ることができる。
【0053】
本発明のオリゴ糖は、化粧品に用いて、細胞外基質の構成分子の生合成及び/又は組織化を促進し、且つ/又はその分解を減らし、それによって細胞外基質の構造を形成及び維持し、外因性及び/又は内因性の皮膚及び毛細血管の老化の兆候を防止且つ/又は処置することができる。特に、皮膚及び/又は毛細血管の構造及び機能の変成、組織再生の変成、組織の弛緩、皮膚及び/又は毛細血管の微小循環の変成、皮膚の解毒作用の変成、(皮膚及び/又は毛細血管の)色における明るさの均一性の喪失、皮膚(皺や隈の発生、皮膚の乾燥等)及び/又は毛細血管(脆弱毛)表面の質感の変成、及び、皮膚及び/又は毛の毛細血管の構造の変成(抜け毛を含む)を防ぐことができる。
【0054】
本発明は、従って、1つ以上の本発明のオリゴ糖を、化粧品において、外因性及び/又は内因性の皮膚及び毛細血管の老化の兆候を防止且つ/又は処置する、特に、皮膚及び/又は毛細血管の構造及び機能の変成、組織再生の変成、組織の弛緩、皮膚及び/又は毛細血管の微小循環の変成、皮膚の解毒作用の変成、(皮膚及び/又は毛細血管の)色における明るさの均一性の喪失、皮膚(皺や隈の発生、皮膚の乾燥等)及び/又は毛細血管(脆弱毛)表面の質感の変成、及び、皮膚及び/又は毛の構造の変成(特に、抜け毛)を防ぐための成分として使用することに関係する。
【0055】
本発明は、また、上記に説明した低分子量のオリゴ糖を1つ以上活性物質として含む化粧品組成物に関する。
【0056】
本発明の当該組成物は、投与方法に適した任意の投与量に適用されても良い。つまり、本発明の組成物は、クリーム、ジェル、ミルク、水中油滴又は油中水滴のエマルジョン、溶液、軟膏、スプレー、ボディオイル、アフターシェーブローション、石鹸、リップスティックプロテクター、メイク用のスティック及びペンシルに適用されても良い。
【0057】
本発明の組成物は、1つ以上の本発明のオリゴ糖を含む。その量は組成物の全重量に対して0.005%から75%であり、望ましくは0.01%から25%であり、更に望ましくは0.1%から5%である。
【0058】
組成物を調製するために、本発明の低分子量オリゴ糖又は薬学的に許容されるその塩の1つ以上が、化粧品の分野で一般に用いられる賦形剤に混合される。
【0059】
本発明の組成物は、クリームの形であって、本発明の低分子量オリゴ糖又は薬学的に許容されるその塩の1つ以上が化粧品の分野で一般に用いられる賦形剤を伴っても良い。
【0060】
本発明の組成物は、ジェルの形であって、セルロースエステルのような適切な賦形剤又は他のゲル化剤、例えばカーボポール(carbopol、登録商標)、セピノブ(sepinov、ポリアクリレート)、グアーガム等を含んでいても良い。
【0061】
本発明の組成物は、ローション又は溶液の形であって、その中で本発明の低分子量オリゴ糖又は薬学的に許容されるその塩の1つ以上がカプセル封入されていても良い。
【0062】
本発明の微小球は、例えば、脂質、寒天又は水からなっていても良い。本発明の低分子量オリゴ糖又は薬学的に許容されるその塩の1つ以上が、リポソーム型のベクター、グリコスフィア、シクロデキストリンに組み込まれていても良いし、カイロミクロン、マクロ-、ミクロ-、ナノ-粒子及びマクロ-、ミクロ-、ナノ-カプセルに組み込まれていても良いし、粉末状の有機ポリマー、タルク、ベントナイト及び他のミネラル担体に吸収されていても良い。
【0063】
これらのエマルジョンは、安定性が高く、0℃から50℃の間の温度において必要な時まで保存でき、構成物の沈殿や相の分離を生じることが無い。
【0064】
本発明の組成物は、また、化粧品における通常の添加剤又は補助薬を含んでいても良い。例えば、抗菌剤、香料、抽出又は合成脂質、ゲル化及び増粘ポリマー、界面活性剤及びエマルジョン化剤、水溶性又は油溶性の活性物質、植物抽出物、組織抽出物、海洋性抽出物、合成活性剤等を含んでいても良い。
【0065】
本発明の組成物は、また、他の補助的な活性物質を含んでも良い。例えば、痩身効果、抗セルライト効果、硬化効果、保湿効果、抗老化効果、抗菌活性、抗酸化活性、抗ラジカル活性、治療効果、収斂効果、抗皺効果、キレート活性、錯体化及び封鎖活性、鎮静効果、コンシーラー効果、抗赤み効果、軟化活性、ヘアコンディショナー効果、ふけ防止活性、毛髪成長刺激効果、抜け毛防止効果、毛髪形成効果、脱毛活性、毛の成長抑制活性、細胞再生に伴う活性、炎症反応調整効果、卵形の顔の維持に伴う活性、更に、日光への防御、刺激抑制活性、細胞への栄養供給、細胞呼吸、抗脂漏治療、皮膚の色、毛髪の保護等のための物質を含んでいても良い。
【0066】
本発明の組成物が補完的な成分を含む場合、一般に、その効果を発揮するのに十分高い濃度にて組成物中に存在する。
【0067】
本発明の組成物は、毎日用いられ、日に一回以上用いられるのが望ましい。
【0068】
本発明の組成物は、許容性が高く、毒性が無く、長期間に亘って皮膚に塗布されても系統的な影響を伴わない。
【0069】
本発明の組成物は、従って、細胞外基質の構成分子の生合成及び/又は組織化を促進し、且つ/又はその分解を減らし、それによって細胞外基質の構造を形成及び維持し、内因性及び/又は外因性の皮膚及び毛細血管の老化の兆候を防止且つ/又は処置することができる。特に、皮膚及び/又は毛細血管の構造及び機能の変成、組織再生の変成、組織の弛緩、皮膚及び/又は毛細血管の微小循環の変成、皮膚の解毒作用の変成、(皮膚及び/又は毛細血管の)色における明るさの均一性の喪失、皮膚(皺や隈の発生、皮膚の乾燥等)及び/又は毛細血管(脆弱毛)表面の質感の変成、及び、皮膚及び/又は毛の構造の変成(特に、抜け毛)を防ぐことができる。
【0070】
以下、本発明について例を挙げて説明するが、この内容に発明を限定するものではない。
【0071】
――例1:本発明のオリゴ糖の調製――
(抽出)
多糖の抽出は、50グラムのオオバアオサ藻粉末を1リットルの水に分散し、95℃にて2時間、激しく攪拌する(1000回転/分)することによって行った。続いて、混合物は、焼成ガラス1上の珪藻土(50g)を通して高温濾過した(藻の除去は、遠心沈降(10,000g、30分、22℃)によって行うこともできる)。
【0072】
オオバアオサ抽出物は、次に、96%(4℃)のエタノールを3倍量加えて2時間攪拌し(500回転/分)、沈殿を生じさせる。沈殿は、濾布(孔は500μm)上に集めた後、96%、100℃のエタノールにより洗浄し、液分を除去して乾燥する(40℃にて15時間)。最後に、沈殿を粉砕すると共に篩に掛けて500μgとし、オオバアオサから抽出された多糖の微粉末を得る。
(低分子量オリゴ糖の生成)
得られた50gの多糖(オオバアオサから抽出されたもの)を1リットルの水(80℃、pH 7−7.5)に激しく攪拌(1500回転/分)しながら溶解する。150mlの35%H
2O
2溶液を、2.5ml/分の速さで1時間かけて加える。これは80℃において、NaOH(5M)を連続的に加えることによってpH 7−7.5に維持しながら行う。
【0073】
H
2O
2を加え終えた後、80℃にて攪拌(500回転/分)を2時間続ける。このとき、NaOH(5M)を連続的に加えることによってpH 7−7.5に維持する。
【0074】
試料の温度が25℃に戻った後、珪藻土による濾過(又は10,000g、25℃の遠心沈降)により不溶部を除去する。
【0075】
続いて、濾液を40℃、減圧下にて、初めの体積の1/4にまで濃縮する。
【0076】
続いて、濃縮液に対して96%(4℃)のエタノールを5倍量加えて2時間攪拌し(500回転/分)、沈殿を生じさせる。
【0077】
沈殿を焼成ガラス3(孔径<100μm)上に回収し、粉砕した後、50mlのエタノールにより30分洗浄し、焼成ガラス3により濾過する。最後に、沈殿は乾燥炉にて乾燥され(40℃、15時間)、微粉末に粉砕される。
【0078】
低分子量オリゴ糖の生成収率は80%である。
(分析)
・構成糖の分析
オリゴ糖の加水分解は2NのTFAにより行った。構成糖の分析は、イオンクロマトグラフィ(HPAEC)により、単糖データベース(グルクロン酸、ラムノース)を参照して同定を行った。
・分子量の測定
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC MALLS)により、2つのクロマトグラフィーカラムOHP AK SB 804 及び 806 HQ (Shodex)を用いて分析した。
・スルホン基量
スルホン基率は、Dodgson 及びPrice (1962)のバリウム/ゼラチン非濁法によって測定した。
【0080】
――例2:本発明によるオリゴ糖の連続的調製――
(調製)
50gのオオバアオサ粉末を、90℃、1リットルの水に2時間激しく攪拌(1000回転/分)して分散させた。混合物を焼成ガラス1上の珪藻土(50g)により高温濾過した。不溶部の除去は、遠心沈降(10,000g、15分、22℃)により行っても良い。
【0081】
オオバアオサの多糖抽出物を激しく攪拌(1000回転/分)しながら80℃、pH 7−7.5に維持する。60mlの35%H
2O
2を、1ml/分の速さで1時間かけて加える。これは60℃において、NaOH(5M)を連続的に加えることによってpH 7−7.5に維持しながら行う。
【0082】
H
2O
2を加え終えた(約1時間)後、80℃、pH 7−7.5にて攪拌(500回転/分)を2時間続ける。
【0083】
続いて、濾液を40℃、減圧下にて、初めの体積の1/5にまで濃縮する。
【0084】
続いて、濃縮液に96%(4℃)のエタノールを5倍量加えて1時間攪拌し(500回転/分)、沈殿を生じさせる。得られた沈殿を焼成ガラス3(孔径<100μm)上に濾別し、粉砕し、50mlの96%エタノールにより30分洗浄した後、焼成ガラス3上に濾別する。
【0085】
最後に、沈殿を乾燥炉にて乾燥し(40℃、15時間)、微粉末に粉砕する。
(分析)
・構成糖の分析
オリゴ糖の加水分解は2NのTFAにより行った。構成糖の分析は、イオンクロマトグラフィ(HPAEC)により、単糖データベース(グルクロン酸、ラムノース)を参照して同定を行った。
・分子量の測定
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC MALLS)により、2つのクロマトグラフィーカラムOHP AK SB 804 及び 806 HQ (Shodex)を用いて分析した。
・スルホン基量
スルホン基率は、Dodgson 及びPrice (1962)のバリウム/ゼラチン非濁法によって測定した。
【0087】
――例3:本発明によるオリゴ糖の連続生成と、接線流限外濾過による高純度化――
50gのオオバアオサ藻粉末を1リットルの水に分散し、90℃にて2時間、激しく攪拌する(1000回転/分)。続いて、60mlの35%H
2O
2溶液を、1ml/分の流量で1時間かけて加える。これは、80℃において、NaOH(5M)によりpHを5−8に調製しながら行う。H
2O
2を加え終えた(約1時間)後、80℃、pH 5−8にて攪拌(500回転/分)を3時間続ける。続いて、混合物を焼成ガラス1上に珪藻土(50g)を通して高温濾過する。不溶粒子の除去は、遠心沈降(10,000g、15分、22℃)によって行うこともできる。
【0088】
続いて、濾液を濃縮する。これは、5kダルトンの膜上に、接線流限外濾過によって、抽出物が10%の乾燥物に濃縮されるまで行う。最後に、濃縮物を低分子量のオリゴ糖の微粉末とする。
【0089】
――例4:インビトロ培養したヒト繊維芽細胞について行ったトランスクリプトミクス的調査――
インビトロ培養したヒト繊維芽細胞について、例1から3により調製したオリゴ糖を重量で0.05%(つまり、100gの細胞培地に対して0.05g)含む場合及び含まない場合のトランスクリプトミクス的調査を行った。
【0090】
両方の神経芽細胞がコンフルエントに達したとき、それぞれの全RNAを抽出し、異なるラベル付けされた相補的な一本鎖DNA(cDNA)にそれぞれ逆転写させる(コントロール条件下で培養された繊維芽細胞から抽出されたRNAからのcDNAは、シアニンCy3にラベル付けし、テスト条件下で培養された繊維芽細胞から抽出されたRNAからのcDNAはシアニンCy5にラベル付けする)。
【0091】
これらの2種類のcDNAはプールされ、44,000のヒトゲノムを含むDNAチップ上にハイブリッド化(hybridized)される。
【0092】
チップを読むことにより、本発明のオリゴ糖により繊維芽細胞を処理することによって促進された遺伝子について、過剰発現(対象としているハイブリッド化された遺伝子配列において、Cy5ラベルがCy3ラベルよりも優位になる)及び低発現(対象としているハイブリッド化された遺伝子配列において、Cy5ラベルがCy3ラベルよりも劣位になる)を測定することができる。
【0093】
調査中、用いたオリゴ糖が、特に、遺伝子FGF1及びRHAMMの過剰発現と、遺伝子ADAMTS、TMEM27及びITH5の低発現とを発生させた。これら全ての遺伝子は、同じ名前のタンパク質をエンコードしており、細胞外基質の構成分子のメタボリズム及び生成に関係している。
【0094】
実際、タンパク質FGF1及びCCNA2により、繊維芽細胞が動員され、これらの細胞により、細胞外基質の2つの主要な構成分子(コラーゲン及びヒアルロン酸)の生合成が促進される。タンパク質RHAMMについては、ヒアルロン酸のレセプタとカップリングされて、ヒアルロン酸の固定及び組織化に関係し、これにより細胞外基質の構造の生成及び維持を可能とする。
【0095】
更に、遺伝子ADAMTS及びTMEM27の低発現は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の活性を阻害することにより、コラーゲン分子の異化(分解)を減少させる。また、遺伝子ITH5の低発現は、ヒアルロン酸の異化を阻害する。
【0096】
結果として、トランスクリプトミクス的調査により、本発明の組成物は、細胞外基質の一体性を生成且つ維持することが明らかになった。これは、(i)コラーゲン分子及びヒアルロン酸の生合成を(遺伝子FGF1及びCCNA2の過剰発現によって)促進すること、(ii)構成分子の分解を(遺伝子ADAMTS、TME27及びITH5の低発現によって)阻害すること、(iii)ヒアルロン酸分子の固定及び組織化を(遺伝子RHAMMの過剰発現によって)促進すること、によって行われる。
【0097】
――例5:培養下のヒト繊維芽細胞のインビトロ調査――
本発明のオリゴ糖を含まない場合(コントロール条件)と、0.01%、0.02%及び0.05%(順に、培地100gに対して0.01g、0.02g及び0.05g)含む場合(処理条件)とにおいて、ヒト繊維芽細胞についての第2のインビトロ実験を行った。
【0098】
培養繊維芽細胞は、ウシ胎児血清と、L−グルタミン及びゲンタマイシンとを含むRPMI 1640中にて、割礼の際に採取されたヒト包皮の皮膚から樹立された。第2継代と第4継代との間に、異なる実験間において再現性があることを確認するために試験を行った。繊維芽細胞は、25cm
2のボックスに10
6細胞/mmの割合で播種(seed)した。続いて、本発明のオリゴ糖を含まずに(コントロール条件)又は3つの濃度で含んで(処理条件)24時間、培養した。24時間の培養の後、繊維芽細胞を遠心沈降により回収し、次の点から評価した。
【0099】
・ELISA技術を用いた免疫組織学的分析によるメタロプロテアーゼ基質MMP1及びMMP3
・ELISA技術を用いた免疫組織学的分析によるヒアルロン酸
・クロマトグラフdosageによる全コラーゲン
遠心沈降の後、繊維芽細胞を含むペレットは、コラゲナーゼ(1 mg/細胞ペレット)により0.5ml/lの酢酸中で4℃にて24時間分解される。10,000gにて遠心沈降した後、コラーゲンは1Mの塩化ナトリウムにより沈殿され、沈殿は再度懸濁化されたのち透析される。1級アミノ酸は、オルトフタルアルデヒド酸(OPA)によりその阻害を排除することで得られた。続いて、ヒドロキシプロリン及びプロリンがNBD−Clを用いてアミノ基をNBD−Clとカップリングすることにより得られた。NBD−hypは逆相HPLCにより分離した。アミノ酸誘導体の分離を進めるために、ヒドロキシプロリンを含む標準のNBD−Clとのカップリングを最初に行った。ヒドロキシプロリンは、逆相HPLCにより分離した後、蛍光を測定した。
【0100】
全ての試験は三度ずつ行い、下の表に結果を示している。この表に示す結果は、コントロール条件(処理無し)に対する比較として示している。
【0102】
得られた結果は、本発明のオリゴ糖が、細胞外基質の主な構成分子、つまりコラーゲン及びヒアルロン酸の生合成を促進することを示す。また、この結果は、本発明のオリゴ糖が、コラーゲンの分解に関与するメタロプロテアーゼ基質(MMP1及びMMP3)の合成の減少を促進することも示す。
【0103】
これらのオリゴ糖は、従って、細胞外基質の主な構成分子の生合成を誘導すると共に、その分解を抑制する。
【0104】
本発明の組成物は、従って、細胞外基質の構成分子の生合成及び/又は組織化を促進し、且つ/又はその分解を減らし、それによって細胞外基質を形成及び維持し、内因性及び/又は外因性の皮膚及び毛細血管の老化の兆候を防止且つ/又は処置するために用いることができる。特に、皮膚及び/又は毛細血管の構造及び機能の変成、組織再生の変成、組織の弛緩、皮膚及び/又は毛細血管の微小循環の変成、皮膚の解毒作用の変成、(皮膚及び/又は毛細血管の)色における明るさの均一性の喪失、皮膚(皺や隈の発生、皮膚の乾燥等)及び/又は毛細血管(脆弱毛)表面の質感の変成、及び、皮膚及び/又は毛の構造の変成(特に、抜け毛)を防ぐために用いることができる。
【0105】
――例6:ヒト志願者における医学的研究――
18人の志願者(18人のコーカソイド女性、56±6歳)の顔面について、二重盲検法による医学的研究を行い、本発明のオリゴ糖の再形成(reshaping)及び再構成(re-sculpting)効果を見積もった。56日間、各志願者は、本発明のオリゴ糖を2重量%含む(つまり100gの化粧品に本発明のオリゴ糖を2g含む)化粧品を顔の一方の半分に塗布し、顔の他方の半分にプラシーボ化粧品(本発明のオリゴ糖を含まない以外は同じ組成の化粧品)を塗布した。顔の半分の分配は無作為に行われた。
【0106】
顔の再形成、再構成効果は、2つの相補的な技術により検証した。
【0107】
・縞投影(fringe projection)を用い、顎における皮膚弛緩の低減を測定する
・硬度弾性測定(ballistometry)により、皮膚の硬さと弾力性を分析する
縞投影により、直接且つ即時に顔の形態を三次元的に得ることができ、体積を評価することができる。この技術により、顔における卵形の弛緩の軽減(再成形、再構成の効果)を評価することができる。三次元の情報は、顔の表面に投影され、デジタルカメラにより記録された縞模様の変形から計算される。この分析は、異なる測定時に撮影された画像の重ね合わせによる。このようにして、皮膚の弛緩について興味の対象である領域が定められる。この領域が同じ志願者の全ての測定時について同じ位置に特定される。これにより、当該興味の対象である領域と、その参照面への投影と間の体積が計算できる。分析されるパラメータは、mm
3にて表される顎の相対体積である。このパラメータの減少は、本製品の再成形効果を意味する。
【0108】
用いた二つ目の技術、硬度・弾性測定は、皮膚表面に質量を当てることに基づく。皮膚の生物機械的特性は、皮膚と質量との相互作用を通して測定される。言い換えると、皮膚に振動を与えて三秒間記録し、電気的信号に変換し、定量して最後に振幅の点から評価する。この測定により、皮膚の硬さと弾性を評価することができる。
【0109】
これらの測定はテンプレートを用いて行われ、全ての測定時に測定器具を正確に再配置することができる。測定のパラメータは次の通り。
【0110】
・最初の接触時の皮膚において、プローブ先端が入り込んだ記録ピークの高さに対する凹み(mm単位)。この凹みは、プローブ先端が皮膚に進入する際の抵抗を示し、従って、皮膚の硬さを予測できる。凹みが小さいほど、皮膚は硬い。凹みの減少は、硬化の効果を示す。
【0111】
・エネルギー減衰を測定するアルファ(単位無し)。アルファは、プローブの反射したエネルギーを示し、従って皮膚の密度を示す。当該エネルギーが大きいほど、皮膚の密度が高い。アルファの増大は、より密度の高い皮膚を示唆する。
【0112】
面積(mm
2単位)は、曲線下の領域、つまり、反発のプロファイルと横軸との間の面積に対応する。この面積は、プローブの反発を示し、従って皮膚の柔らかさ(フラスコ面)、その弛緩を示す。面積が小さいほど、皮膚は硬い。このように、面積の減少は弛緩の減少(硬さの増加)を示す。
【0113】
得られた結果は全て次の表に示している。この表に示された内容は、化粧品の塗布を全く行っていない研究の始め(t0)と比較して計算されている。
【0115】
得られた結果は、本発明のオリゴ糖が次のことを促進することを示す。
【0116】
・再形成の効果(縞投影により測定されるように、頬の弛緩の体積を減少させる)
・再構成の効果(硬度弾性測定により測定される凹みのパラメータの減少)、皮膚密度の増加(硬度弾性測定により測定されるアルファパラメータの増加)及び皮膚の弛緩の減少(硬度弾性測定により測定される面積パラメータの減少)による再構成効果。