特許第6189944号(P6189944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オラテック インダストリーズ リミティド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189944
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】炎症及び疼痛を治療するための化合物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/275 20060101AFI20170821BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20170821BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20170821BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20170821BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170821BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20170821BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20170821BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20170821BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20170821BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20170821BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20170821BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20170821BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20170821BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20170821BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20170821BHJP
【FI】
   A61K31/275
   A61P17/00
   A61P17/06
   A61P37/08
   A61P29/00
   A61P37/02
   A61K9/10
   A61K9/08
   A61K9/70 401
   A61K9/06
   A61K9/20
   A61K9/48
   A61K47/14
   A61K47/12
   A61K47/44
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-517336(P2015-517336)
(86)(22)【出願日】2013年6月10日
(65)【公表番号】特表2015-519399(P2015-519399A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】US2013045033
(87)【国際公開番号】WO2013188314
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2016年5月27日
(31)【優先権主張番号】61/659,771
(32)【優先日】2012年6月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508285271
【氏名又は名称】オラテック セラピューティクス リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ピー.セント ローレント
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド エス.ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エム.ブレス
【審査官】 新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】 Journal of Agricultural and Food Chemistry,2010年,Vol.58,p.6672-6677
【文献】 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,1998年,Vol.8,p.3511-3514
【文献】 メルクマニュアル,2006年,第18版,p.122-132
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A61P 17/00
A61P 29/00
A61P 37/00JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性又は慢性腫脹、疼痛、又は発赤を特徴とする、炎症の局在性症状の徴候を軽減又は緩和するための、医薬的に許容される担体、及び3-(メチルチオ)プロピオニトリル、又はその医薬的に許容される塩を含んで成る、医薬組成物。
【請求項2】
皮膚炎又は乾せんと関係がある炎症及び/又は疼痛を治療するための医薬的に許容される担体、及び3-(メチルチオ)プロピオニトリル、又はその医薬的に許容される塩を含んで成る、医薬組成物。
【請求項3】
前記皮膚炎が、アトピー性皮膚炎又は接触性皮膚炎である、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項4】
炎症性皮膚疾患又は皮膚障害の治療のための、医薬的に許容される担体、及び3-(メチルチオ)プロピオニトリル、又はその医薬的に許容される塩を含んで成る医薬組成物であって、該炎症性皮膚疾患又は皮膚障害が、皮膚炎、乾せん、又はざ瘡である、医薬組成物。
【請求項5】
アトピー性皮膚炎を治療するため、並びに紅斑、硬結、苔癬化、スケーリング(scaling)、滲出及び痂皮から成る群から選択される1又は2以上の症状を緩和するための、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
乾せんを治療するため、並びに乾せん病変の紅斑、スケーリング(scaling)、及び/又は厚さから成る群から選択される1又は2以上の症状を緩和するための、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ざ瘡を治療するため、並びに閉鎖面疱、丘疹、膿疱、結節、及び嚢胞から成る群から選択されるざ瘡病変を緩和するための、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
局所製剤である、請求項1、2又は4に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ゲル、クリーム、ローション、軟膏、又はパッチの局所形態である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬的に許容される担体が、乳酸ラウリル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリカプリル酸/カプリン酸グリセリド、オクチサレート、シリコーン油、スクアレン、及びヒマワリ油、から成る群から選択される軟化薬である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬的に許容される担体が、乳酸エステル及びジエチレングリコールモノエチルエーテルから成る群から選択される浸透促進剤である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
経口製剤である、請求項1、2又は4に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医薬的に許容される担体、及びω−(メチルチオ)アルキルニトリルの活性化合物、又はその医薬的許容される塩を含んで成る医薬組成物に関する。本発明はまた、炎症又は炎症関連障害及び疼痛を治療するための前記化合物の使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
炎症は、微生物又は組織損傷が、高められた血管透過性、内皮受容体のアップレギュレーション、及び周囲組織に侵入し、そして炎症の従来の状況、すなわち発赤、腫脹、発熱及び疼痛を強く生成する先天性及び適応性免疫系の種々の細胞のそれによる増大された放出を生成する種々の細胞型からのサイトカイン及びケモカインの放出を誘発する工程である。
【0003】
炎症は、種々の内因性及び外因性要因により引起され得る、損傷に起因する生存組織の局在性反応である。外因性要因は、物理的、化学的及び生物学的要因を包含する。内因性要因は、炎症性メディエーター、抗原及び抗体を包含する。内因性要因はしばしば、外因性損傷の影響下で進行する。炎症性反応に続いて、しばしば細胞膜の変更された構造及び透過性を伴う。内因性要因、例えばメディエーター、及び抗原は、炎症反応の性質及びタイプ、特に損傷の領域におけるその進路を定義する。組織損傷がメディエーターの創造に限定される場合、急性炎症が進行する。免疫反応はまた、抗原、抗体及び自己抗原の相互作用を介して、工程に関与している場合、長期炎症工程が進行するであろう。種々の外因性剤、例えば感染、外傷、放射線はまた、生化学反応を開始する損傷性細胞膜による、分子レベルでの炎症性工程の経過を提供する。
【0004】
物理的原因に基づいて、疼痛は次の3種のタイプに分けられ得る:侵害受容性、神経障害性、及び混在タイプ。
【0005】
侵害受容性疼痛は、侵害受容体と呼ばれる特殊化された感覚神経により検出される疼痛についての用語である。それらの神経は、軟組織、例えば筋肉及び皮膚、並びに内部器官全体に位置する。次の2種のタイプの侵害受容性疼痛が存在する:体性疼痛及び内臓性疼痛。内臓性疼痛は内部器官に由来する。深部体性疼痛は、靭帯、腱、骨、血管、筋膜及び筋肉における侵害受容体の刺激により開始され、そして鈍く、うずく、不完全性局在性疼痛である。例としては、捻挫及び骨折を挙げることができる。表面性疼痛は、皮膚又は他の表面組織における侵害受容体の活性化により開始され、そして鋭く、明確で且つはっきりと位置する。表面体性疼痛を生成する外傷の例は、マイナーな創傷及びマイナー(第一級)火傷を包含する。侵害受容性疼痛は通常、持続期間は短く、そして損傷が回復した場合、終了する。侵害受容性疼痛の例は、術後疼痛、念剤、骨折、火傷、バンプ、打撲及び炎症性疼痛を包含する。
【0006】
神経障害性疼痛は、体性感覚系に影響を与えある損傷又は疾患により引き起こされる疼痛である。神経障害性疼痛は、中枢又は末梢の何れかの神経系における自発的異所性ニューロン放出に由来する。根本的な病因は不可逆的であるので、ほとんどの神経障害性疼痛は慢性的疼痛である。ほとんどの人々は、ずきずきする痛み、熱傷、ヒリヒリ感、刺すような痛み、電気ショック的な痛み、しびれ感及び永続的異痛のように、神経障害性疼痛を説明する。神経障害性疼痛の命名法は、病因と開始神経系の部位、例えば脳卒中後の中枢疼痛、糖尿病性末梢神経障害、ヘルペス後(又は帯状疱疹後)神経痛、末期癌疼痛、幼肢疼痛に基づかれる。
【0007】
混在タイプの疼痛は、侵害受容性及び神経障害性疼痛の両者の共存により特徴付けられる。例えば、筋肉疼痛は、慢性腰痛、偏頭痛及び筋膜疼痛を導く中枢又は末梢神経感作を誘発する。
【0008】
結合組織は、一定の連続したストレス及び外傷を受ける。急性又は慢性的影響及び種々の変性疾患の自然な進行はすべて、関節部分、例えば首、背中、腕、腰、足首及び足の痛みを伴う炎症を生成する。それらの苦痛は一般的であり、そしてしばしば、衰弱性である。
【0009】
現在の治療は、炎症のいくつかの又はすべての病原性成分に向けられる。例えば、コルチコステロイドは、広範囲の活性を有し、そしてNSAISAは、より特定には、抗−プロスタグランジン及び鎮痛剤である。すべての現在の治療は、比較的高い割合の副作用を有し、そして副作用は重度で且つ深刻である。
【0010】
炎症、炎症関連疾患、疼痛を治療するための組成物及び方法の必要性がある。組成物は製造するのに経済的で且つ容易であるべきであり、そして方法は効果的であり、且つ重度の副作用を有すべきではない。
【発明の概要】
【0011】
発明の要約
本発明は、医薬的に許容される担体、及びω−(メチルチオ)アルキルニトリルの活性化合物、又はその医薬的許容される塩又は溶媒和物を含んで成る医薬組成物に向けられる。化合物は、好ましくは少なくとも90%の鈍度(w/w)である。
【0012】
本発明はまた、炎症、炎症関連障害及び疼痛の治療方法にも向けられる。本発明は、ω−(メチルチオ)アルキルニトリル又は医薬的に許容されるその塩を、その必要な対象に投与する段階を含んで成る。活性化合物を含んで成る医薬組成物は、局所、経口及び非経口(例えば、静脈内、筋肉内、皮下又は直腸)を包含する何れかの許容される投与のもモードにより適用され得る。局所投与及び経口投与が好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な記載
定義
「アルキル」とは、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子、及びより好ましくは、1〜6個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖の基を言及する。
「アリールアルキル」とは、アルキル部分に1〜6個の炭素原子及びアリール部分に6〜10個の炭素原子を有するアリール−アルキル−基を言及する。そのようなアリールアルキル基は、ベンジル、フェネチル及び同様のものにより例示される。
「シクロアルキル」とは、1〜3個のアルキル基により任意に置換される単環又は複数の縮合環を有する、3〜12個の炭素原子の環状アルキル基を言及する。そのようなシクロアルキル基は、例によれば、単環構造体、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、1−メチルシクロプロピル、2−メチルシクロペンチル、2−メチルシクロオクチル、及び同様のもの、又は複数の環構造体、例えばアダマンチル及び同様のものを包含する。
【0014】
「医薬的に許容される塩」とは、本明細書において使用される場合、本発明の所望する生物学的活性を保持し、そして所望しない毒性効果を付与しない塩である。医薬的に許容される塩は、異なった塩の結晶性多形及び非晶形を包含する。医薬的に許容される塩は、金属又は有機対イオンにより形成され得、そして次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:アルカリ金属塩、例えばナトリウム又はカリウム塩:アルカリ土類金属塩、例えば、マグネシウム又はカルシウム塩;及びアンモニウム又はテトラアルキルアンモニウム塩、すなわちNX4+(ここで、XはC1-4である)。
【0015】
「溶媒和物」とは、本明細書において使用される場合、化合物が許容される共溶媒と、ある一定の割合で組合わされる付加複合体である。共溶媒は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:酢酸エチル、乳酸ラウリル、乳酸、ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチレングリコール、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ピリジン、ジオキサン及びジエチルエーテル。
【0016】
ω−(メチルチオ)アルキルニトリル
本発明者は、下記式I:
【化1】
(式中、
1及びR2は、独立してH、直鎖アルキル、分枝鎖アルキル、シクロアルキル及びアリールアルキルであり、
n=1−11である)
で表される、ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、又は医薬的に許容されるその塩又は溶媒和物が、炎症、炎症−関連障害、及び疼痛を治療するために有効であることを発見した。
【0017】
本発明のために有用な、好ましいω−(メチルチオ)アルキルニトリルは、下記式IIを有する化合物(R1及びR2がHである)、又は医薬的に許容されるその塩又は溶媒和物である:
【化2】
【0018】
好ましい化合物は、3−(メチルチオ)プロピオニトリル(n=2,分子量=101.03)を含み、下記に示される:
【化3】
【0019】
一連のω−(メチルチオ)アルキルニトリルは、ナトリウムチオメトキシドを、必要なω−(ハロ)アルキルニトリルとアルキル化することにより調製され得る。他方では、それらは、ナトリウムチオメトキシドのω−官能性ハロゲン化アルキルとのアルキル化、続く、確立された合成法を使用したω−官能性のニトリルへの同化により調製され得る。
【0020】
医薬組成物
本発明は、1又は2以上の医薬的に許容される担体、及び活性化合物ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、又は医薬的に許容されるその塩又は溶媒和物を含んで成る医薬組成物を提供する。医薬組成物中の活性化合物又はその医薬的に許容される塩又は溶媒和物は一般的に、局所製剤のためには、約0.01−20%、又は0.05−20%、又は0.1−20%、又は0.2−15%、又は0.5−10%、又は1−5%(w/w);注射用製剤のためには、約0.1−5%;パッチ製剤のためには0.1−5%;錠剤製剤のためには約1−90%;及びカプセル製剤のためには1−100%の量で存在する。
【0021】
1つの実施形態によれば、活性化合物は、任意の許容される担体、例えばクリーム、ゲル、ローション、又は活性化合物を安定化することができ、そして局所適用により影響される領域にそれを送達できる他のタイプの懸濁液中に組込まれる。別の実施形態によれば、医薬組成物は、剤形、例えば錠剤、カプセル、顆粒、細粒剤、粉末、シロップ、座薬、注射用溶液、パッチ、又は同様のもので存在することができる。上記医薬組成物は、従来の方法により調製され得る。
【0022】
不活性成分である医薬的に許容される担体は、従来の基準を用いて、当業者により選択され得る。医薬的に許容される担体は、非水性基剤の溶液、懸濁液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ミセル溶液、ゲル及び軟膏を包含するが、但しそれらだけには限定されない。医薬的に許容される担体はまた、次のものを包含する(但し、それらだけには限定されない)成分も含むことができる:生理食塩水及び水性電解質溶液;イオン性及び非イオン性浸透剤、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、及びデキストロース;pH調整剤及び緩衝剤、例えば水酸化物、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩;及びトロラミン;酸化防止剤、例えば亜硫酸水素、亜硫酸塩、メタ重亜硫酸、チオ硫酸、アスコルビン酸、アセチルシステイン、システイン、グルタチオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、およびパルミチン酸アスコルビルの塩、酸及び/又は塩基;界面活性剤、例えばレシチン、リン脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルイノシトール(但し、それらだけには限定されない);ポロキサマー及びポロキサミン、ポリソルベート、例えばポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート20、ポリエーテル、例えばポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;ポリビニル、例えばポリビニルアルコール及びポビドン;セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びそれらの塩;石油誘導体、例えば鉱油及び白色ワセリン;油脂、例えばラノリン、ピーナッツ油、パーム油、大豆油;モノ-、ジ-、及びトリグリセリド;アクリル酸のポリマー、例えばカルボキシポリメチレンゲル、及び疎水性的に改質された架橋されたアクリル系コポリマー;多糖類、例えばデキストラン及びグリコサミノグリカン、例えばヒアルロン酸ナトリウム。そのような医薬的に許容される担体は、良く知られている保存剤を用いて、細菌汚染に対して保存され得、それらは、塩化ベンザルコニウム、エチレンジアミン四酢酸、及びその塩、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、チメロサール、及びフェニルエチルアルコールを包含するが、但しそれらだけには限定されず、又は単一又は複数使用のための非保存製剤として製剤化され得る。
【0023】
例えば、斯かる活性化合物の錠剤製剤又はカプセル製剤は、生物活性及び活性化合物との反応を有さない他の賦形剤を含むことができる。錠剤中の賦形剤は、充填剤、結合剤、滑沢剤及び流動促進剤、崩壊剤、湿潤剤、及び放出速度調節剤を包含することができる。結合剤は、製剤の粒子の接着を促進し、そして錠剤製剤のために重要である。結合剤の例は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カラヤガム、デンプン、デンプン、及びトラガカントゴム、ポリ(アクリル酸)、及びポリビニルピロリドン。
【0024】
例えば、斯かる活性化合物のパッチ製剤は、いくつかの不活性成分、例えば1,3−ブチレングリコール、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、エデト酸二ナトリウム、D−ソルビトール、ゼラチン、カオリン、メチルパラベン、ポリソルベート80、ポビドン、プロピレングリコール、プロピルパラベン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、酒石酸、二酸化チタン、及び精製水を含むことができる。パッチ製剤はまた、皮膚透過性増強剤、例えば乳酸エステル(例えば、乳酸ラクリル)又はジエチレングリコールモノエチルエーテルも含むことができる。
【0025】
斯かる活性化合物を含む局所製剤は、ゲル、クリーム、ローション、液体、エマルジョン、軟膏、スプレー、溶液、及び懸濁液の形で存在することができる。局所製剤中の不活性成分は、例えば次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:ウリルラク(エモリエント/浸透エンハンサー)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エモリエント/浸透エンハンサー)、DMSO(溶解性エンハンサー)、シリコーンエラストマー(レオロジー/テクスチャ改質剤)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、(エモリエント)、オクチサレート、(皮膚軟化剤/UVフィルター)、シリコーンオイル(皮膚軟化剤/希釈剤)、スクアレン(エモリエント)、ヒマワリ油(皮膚軟化剤)、及び二酸化ケイ素(増粘剤)。
【0026】
1つの実施形態によれば、乳酸ラウリル(例えば、約0.1−10%、又は約0.2−5%、又は約0.5−5%)が局所ゲル製剤に含まれる。乳酸ラウリルは、局所投与のために安全であると思われる。乳酸ラウリルは、医薬及び化粧品内でのヒト使用のために適格である。乳酸ラウリルは、局所製剤に使用される場合、化合物の透過性を増強する。好ましくは、乳酸ラウリルは、90%以上、好ましくは95%以上の純度を達成するよう精製され;高純度が加水分解及び酸化剤の存在を緩和する。さらに、製剤における0.1−20%、又は0.5−10%(w/w)でのDMSOは、斯かる活性化合物の適切な溶解性を提供する。
【0027】
別の実施形態によれば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが、局所ゲル製剤に含まれる。
【0028】
使用法
炎症は、免疫系の先天性及び獲得された成分の活性化及び継続に起因する組織病理学の工程及び状態である。細胞対細胞相互作用におけるアラキドン酸カスケード及びサイトカイン生成及び作用は、免疫活性化及び応答の決定的成分であり、これが炎症を誘発する。アラキドン酸は、多くの細胞膜に存在する。アラキドン酸が膜から切除される場合、それは前炎症性実体として知られる、既知エイコサノイド、例えばプロスタグランジン及びロイコトリエンの多くを生成することができる。
【0029】
活性化合物は、インビトロで、ヒト末梢血液単核細胞からのプロ炎症性サイトカイン(例えば、IL−1β、IL−6、TNFα、IL−4及びIFNγ)放出の阻害において有効である。活性化合物は、局所適用される場合、炎症がアラキドン酸により誘発されている、マウスの耳腫脹モデルにおいて抗炎症性である。
【0030】
本発明はまた、炎症及び/又は疼痛の治療方法に向けられる。活性化合物、すなわち、ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、好ましくは3−(メチルチオ)プロピオニトリルは、そのまま使用され得るか、又はさらに医薬的に許容される担体を含む医薬組成物の形で投与され得る。前記方法は、炎症及び/又は疼痛を有する対象を、最初に同定し、そして前記対象に、活性化合物を、炎症及び/又は疼痛を治療するために有効な量で投与する段階を含んで成る。「有効量」とは、本明細書において使用される場合、病理状態を寛解するか、又は疾患の症状を軽減することにより疾患を治療するのに有効な量である。
【0031】
1つの実施形態によれば、前記方法は、炎症に関連する症状を低減するか又は軽減する。本発明は、急性又は慢性腫脹、疼痛、発赤、体温上昇、又はある場合、機能喪失により特徴づけられる炎症の局所性症状を治療するための方法を提供する。
【0032】
別の実施形態によれば、本発明は、疼痛の原因に関係なく、疼痛の症状を軽減する方法を提供する。本発明の方法により治療できる一般的な用語「疼痛」は、侵害受容性、神経障害性及び混在タイプを包含する。本発明は、種々の重度の疼痛を、すなわち軽度、中程度及び重度の疼痛;急性及び慢性疼痛を軽減する。本発明は、関節痛、筋肉痛、腱の疼痛、火傷疼痛及び炎症により引き起こされる疼痛、例えば関節リウマチの治療において有効である。
【0033】
一実施形態によれば、本発明は、炎症、及び/または筋骨格系又は皮膚に関連する疼痛の治療に有用である。高度に神経支配された筋骨格系及び皮膚系は、疼痛のデモンストレーションのために高い能力を有する。さらに、筋骨格系は組織腫脹のために高い能力を有し、そして皮膚は、発赤、腫脹及び発熱のために高い能力を有する。筋骨格系及び皮膚系においては、組織損傷の程度は、しばしば、結果として生じる炎症応答に比例しないで拡大される。皮膚においては、単なる堅調なストローキングが、サイトカイン、IL−1及びTNFの放出を引き起こすであろう。
【0034】
本発明は、炎症性骨格又は筋疾患又は状態に関連する炎症及び/又は疼痛の治療方法を提供する。前記方法は、その必要な対象を同定し、そして前記対象に、前記化合物を、炎症及び/又は疼痛を治療するのに有効な量で投与する段階を含んで成る。骨格又は筋疾患又は状態は、筋骨格捻挫、筋骨格ストレイン、腱障害(tendonopathy)、末梢神経根障害、変形性関節炎、変形性関節疾患、リウマチ性多発筋痛、若年性関節炎、痛風、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、肋軟骨炎、腱炎、滑液包炎、例えば一般的外側上顆炎(テニスエルボー)、内側上顆炎(ピッチャーエルボー)及び転子滑液包炎、顎関節症候群、及び線維筋痛症を包含する。
【0035】
本発明は、炎症性皮膚疾患、例えば皮膚炎、乾せん、及びざ瘡に関連する炎症及び/又は疼痛を治療するための方法を提供する。前記方法は、その必要な対象を同定し、そして前記対象に、前記化合物を、炎症及び/又は疼痛を治療するのに有効な量で投与する段階を含んで成る。
【0036】
本発明は、さらに、炎症性皮膚疾患、例えば皮膚炎、乾せん、及びざ瘡に(尋常性ざ瘡)関連する炎症及び/又は疼痛を治療するための方法を提供する。前記方法は、その必要な対象を同定し、そして前記対象に、前記化合物を、炎症及び/又は疼痛を治療するのに有効な量で投与する段階を含んで成る。
【0037】
皮膚は、環境的刺激に対して高い反応性であり、そして角化細胞の表皮成分は、アラキドン酸、及びIL−1及びTNFのプロ炎症性サイトカインの両者の非常に富んだ源である。皮膚の樹状細胞であるランゲルハンス細胞は、種々のリンパ球のさらなる免疫応答のための抗原を認識し、そして処理し、そしてそれらの細胞のすべては、それらの特異的細胞表面受容体を介してサイトカインにより主に調節される。
【0038】
皮膚炎(また、湿疹とも呼ばれる)は、皮膚の一般的な炎症である。皮膚炎の特定型は、アトピー性、接触性、貨幣状、及び光誘導性を包含する。
【0039】
接触性皮膚炎は、特定の適応性免疫学的病因なしに皮膚への刺激性暴露の、又はアレルギー性感作及び特定の適応性免疫学的病因を伴って、感作アレルゲンへの皮膚の続く暴露の何れかの皮膚の炎症状態である。両者は、上皮細胞、マクロファージ、樹状細胞、好中球、及び種々のT及びBリンパ球により生成されるエイコサノイド及び/又はサイトカイン部分による細胞から細胞へのメッセージングを介して疾患を開始し、そして伝播する、アラキドン酸及びサイトカイン成分を包含する先天性及び獲得された免疫系応答を包含する。接触性皮膚炎は、急性又は慢性の何れかであり得る。急性形は、開始因子による皮膚接触領域における紅斑、浮腫、及びミクロ又はマクロ小胞化を伴ってのそう痒である。慢性形は、軽度の紅斑、及び特に手上の亀裂を伴ってのそう痒である。
【0040】
アトピー性皮膚炎は、喘息、花粉症及びアトピー性皮膚炎を含むアトピーの広範な疾患複合体の一部である遺伝的に決定された疾患である。アトピー性皮膚炎を有する多くの個人は、不良の場合、表皮の異常バリア機能をもたらす重要な皮膚構造タンパク質をコードするフィラグリン遺伝子の種々の突然変異を有する。その変更されたバリアは、アラキドン酸及びエイコサノイドを包含する先天性免疫応答、及びかゆみ、紅斑及び続くスクラッチの急性応答を開始し、そしてさらに、主にTH2誘導及び活性のリンパ球による炎症を包含する適応性免疫応答を活性化する、好酸球、肥満細胞及び他の炎症性細胞の動員により最初に認識される複数の環境アレルゲンへの暴露を可能にする。アトピー性皮膚炎は、多くのサイトカイン阻害剤、例えばサイクロスポリン及びタクロリムスに対して応答する。
【0041】
乾せんの病因の現在の理論は、遺伝的に敏感である個人において、表皮におけるトリガー現象、例えば外傷又は超抗原接触が、アラキドン酸及びエイコサノイド生成、動員及び好中球の活性による先天性免疫系の応答を開始することである。前記応答の、サイトカイン活性化及び特定Tリンパ球の活性によるTH1適応性免疫の応答への続く転換が、表皮及び真皮における病理学的変化をもたらし、これが紅斑性、肥厚化及びうろこ状であるプラークの典型的な乾せん病変をもたらす。乾せんは、種々の免疫モジュレーター、例えばシクロスポリン、メトトレキセート、及びサイトカインシグナル伝達を干渉する特定の生物製剤の宿主に対して応答する。
【0042】
尋常性ざ瘡、すなわち特に顔面及び上胸及び背部の毛包脂腺卵胞単位の漸進性炎症性疾患は、思春期後の男性及び女性において、及び副腎成熟の前でさえ、女性において非常に一般的な疾患である。副腎、卵巣及び精巣腺、及び毛包脂腺ユニット自体によるアンドロゲンホルモンの増大された生成が、皮脂の増加及びその脂質組成の変化をもたらし、これが、ざ瘡の初期病変をもたらす毛包脂腺卵胞の赤外−漏斗部分のある程度の閉塞をもたらすために卵胞皮脂上皮細胞と結合する。この結果として生じる拡張及び思春期での皮脂の変更された組成が、卵胞を通して真皮中に漏れ、そしてエイコサノイド生成及び続く炎症の開始のアラキドン酸経路を開始する遊離脂肪酸に皮脂中のトリグリセリドを分解するための酵素を生成するプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)菌による卵胞のコロニー化を促進する。前記菌にまた、前記領域にさらなる炎症性細胞を引きつけるケモカイン生成、及び続くサイトカイン生成及び炎症を継続し、そして増幅する作用を開始せしめる。従って、微小面皰における漸進性炎症の開始及び伝播は、炎症性ざ瘡、丘疹、膿疱、結節、及び嚢胞のいくつかの特徴的病変への進行を生成する。本発明は、一般的なざ瘡、面皰ざ瘡、丘疹膿疱性ざ瘡、丘面皰ざ瘡、結節嚢胞ざ瘡、集簇性座瘡、首のうなじのケロイド状ざ瘡、再発性粟粒ざ瘡、壊死性ざ瘡、新生児ざ瘡、職業的ざ瘡、にきび酒さ、老人性ざ瘡、太陽ざ瘡又はにきび薬物性を治療するために有用である。
【0043】
酒さは、顔面紅斑及び時には、にきびにより特徴づけられる慢性症状である。酒さは典型的には、頬、鼻又は額全体の中央上に発赤として始まるが、しかしまた、首、胸、耳及び頭皮にはあまり影響を与えない。ある場合、追加の症状、例えば半永久的発赤、毛細血管拡張症(顔面上の表在血管の拡張)、赤色ドーム型の丘疹(小さな隆起)及び膿疱、赤くごろごろ感のする眼(ざらざら眼)、熱傷及びピリピリした感覚、及びいくつかの進行した場合、赤分葉鼻(鼻瘤)が進行することができる。皮膚に影響を及ぼす次の3種のタイプの酒さが存在する:紅斑毛細血管拡張性酒さ、丘疹膿疱性酒さ及び瘤腫性酒さ。
【0044】
アラキドン酸誘発された炎症の阻害において、及びプロ−炎症性サイトカインの放出の障害において有効であるω−(メチルチオ)アルキルニトリルは、乾せん、ざ瘡、酒さ及び皮膚炎、特に接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎及びに関連する炎症及び/又は疼痛の治療において有効である。
【0045】
アラキドン酸誘発された炎症の阻害において、及びプロ−炎症性サイトカインの放出の障害において有効であるω−(メチルチオ)アルキルニトリルは、炎症性皮膚疾患、例えば皮膚炎(アトピー性皮膚炎)、乾せん、ざ瘡及び酒さの治療において有効である。
【0046】
ω−(メチルチオ)アルキルニトリルは、アトピー性皮膚炎の治療、及び紅斑、硬結、苔癬化、スケーリング(scaling)及び滲出並びに痂皮から成る群から選択される1又は2以上の症状の緩和において有効である。メタンスルホニルアルキルニトリルは、乾せんの治療、及び紅斑、スケーリング(scaling)、及び/又は乾せん病変の厚さの緩和において有効である。メタンスルホニルアルキルニトリルは、ざ瘡の治療、及び閉鎖面疱、丘疹、膿疱、結節及び嚢胞から成る群から選択されるざ瘡病変の緩和において有効である。
【0047】
ω−(メチルチオ)アルキルニトリルは、酒さの治療、及び紅斑、毛細血管拡張症、赤色ドーム型の丘疹及び膿疱、赤くごろごろ感のする眼(gritty eyes)、及び熱傷並びにピリピリした感覚から成る群から選択される1又は2以上の症状の緩和において有効である。
【0048】
本発明の医薬組成物は、局所投与及び全身性投与により適用され得る。局所投与(Local administration)は、局所投与(topical administration)を包含する。全身性投与は、経口、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、皮下又は直腸)、及び他の全身性経路の投与を包含する。全身性投与においては、活性化合物は、最初に、血漿に達し、そして次に、標的組織中に分散する。局所投与及び経口投与は、本発明のための投与の好ましい経路である。
【0049】
組成物の投与は、損傷の程度、及び各患者の個々の応答に基づいて変更することができる。全身性投与に関しては、投与される活性化合物の血漿濃度は、変えることができ;一般的に、1×10-10−1×10-4モル/l、及び好ましくは、1×10-8−1×10-5モル/lである。
【0050】
1つの実施形態によれば、組成物は、影響される領域上に局所的に適用され、そしてその中に擦りこまれる。組成物は、医薬問題、及び慢性又は急性である疾患の病状に依存して、1日当たり少なくとも1又は2回、又は1日当たり3〜4回、局所適用される。一般的に、局所組成物は、約0.01−20%、又は0.05−20%、又は0.1−20%、又は0.2−15%、又は0.5−10%、又は1−5%(w/w)の活性化合物を含む。例えば、局所組成物は、約1又は5%(w/w)の活性化合物を含む。影響される領域のサイズに依存して、0.2−85ml、典型的には0.2−10mlの局所組成物が、用量当たり個人に適用される。活性化合物は、皮膚を通過し、そして不快な部位に送達される。
【0051】
1つの実施形態によれば、医薬組成物は、対象に経口投与される。経口投与のための投与量は、一般的に1−50、及び好ましくは1−5mg/kg/日である。
【0052】
1つの実施形態によれば、医薬組成物は、対象に皮下投与される。皮下投与のための投与量は一般的に、0.3−20、及び好ましくは0.3−3mg/kg/日である。
【0053】
当業者は、広範囲の種類の送達機構がまた、本発明のために適切であることを理解するであろう。
【0054】
本発明は、哺乳類対象、例えばヒト、ウマ及びイヌの治療に有効である。本発明は、ヒトの治療において特に有用である。
【0055】
次の実施例は本発明をさらに例示する。それらの実施例は、本発明を単に例示するものであり、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0056】
実施例1.3−(メチルチオ)プロピオニトリルの調製
3−ブロモプロピオニトリル(203mモル)を、水(80ml)中で、ナトリウムチオメトキシド(264mモル)の冷却溶液に滴下した。室温での一晩の攪拌の後、反応混合物を、分液漏斗に移し、そして下部の水相を排出した。上相に存在する生成物を、硫酸ナトリウムを含む風袋計量済みバイアルに移した。収量:180mモル;純度は、ガスクロマトグラフィーによれば、99%以上である。
【0057】
実施例2.マウスにおける局所適用による活性化合物の抗−炎症活性
3−(メチルチオ)プロピオニトリルを、実施例1に従って調製し、そしてこの実験に使用した。
【0058】
試験化合物、インドメタシン(正の対照)及びビヒクルを、マウスにおける局所アラキドン酸−誘発された耳腫脹モデルにおいて抗−炎症活性について評価した。
【0059】
22±2gの体重の雄ICRマウスを用い、そしてランダムに各群10匹に分けた。アラキドン酸(20μlのアセトン:エタノール(1:1)中、0.5mg)を、各マウスの右耳の前面及び後面に局所適用した。表1に列挙されるような試験物質及びビヒクルを、アラギドン酸適用の30分前及び15分後、同様に適用した。右耳及び左耳の厚さを測定し、そして差異を、右耳における炎症の指標として計算した。耳の腫脹を、炎症の指標として、アラキドン酸適用の60及び90分後に、Dyerモデルのマイクロメーターゲージにより測定した。%阻害率を、式:Ic−It/Ic×100(式中、Ic及びItは、それぞれ、対照及び治療されたマウスにおける耳の厚さ(mm)の上昇を示す)に従って計算した。ANOVA及びDunnett検定を用いて、ビヒクル対照と治療されたグループとの間の有意な差異を確かめた。アラキドン酸適用の90分後で測定される結果が、表1に要約される。
【0060】
【表1】
【0061】
試験化合物は、ビヒクル処理されたグループに比べて、アラキドン酸により誘発された耳腫脹において43%の阻害性をもたらした。治療されたマウスと、ビヒクル−処理されたマウスとの間の差異は、統計学的に有意である(t−検定によるp−値は0.05未満であった)ことが決定された。
【0062】
実施例3.ゲル製剤1
表2は、ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、例えば3−(メチルチオ)プロピオニトリルを含む1つのゲル製剤を例示する。
【0063】
【表2】
【0064】
実施例4.ゲル製剤2
表3は、ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、例えば3−(メチルチオ)プロピオニトリルを含む1つのゲル製剤を例示する。
【0065】
【表3】
【0066】
実施例5.サイトカイン活性の阻害(予測例)
活性化合物ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、例えば3−(メチルチオ)プロピオニトリルを、ヒト末梢包液単核細胞(PBMC)からのインビトロサイトカイン放出に対するそれらの阻害効果について試験した。PBMCによるサイトカインの分泌は、炎症応答において有意な役割を演じる。
【0067】
各活性化合物を、162μM(22μg/ml)で、新鮮なヒトPBMの培養物に、二重反復して添加する。1時間後、PBMCを、マイトジェンリポ多糖及びコンカナバリンA(ConA)を用いて、刺激し、サイトカインを分泌する。50pg/mlでの多糖を用いて、インターロイキンIL−1β、IL−6及び腫瘍壊死因子TNFαの放出を刺激する。20μg/mlでのConAを用いて、IL−4の放出を刺激し、そして5μg/mlでのConAを用いて、インターフェロンIFNγを刺激する。コルチコステロイドデキサメタゾン(100nM)を、正の対照として使用する。24時間のインキュベーションの後、上清液を、Luminex Beadキットを用いて、サイトカインについてアッセイした。活性化合物及び正の化合物によるIL-1β、IL-6、TNFα、IL-4及びIFNγの%阻害率を計算する。結果は、活性化合物が炎症工程に関与するサイトカインに対する阻害効果を有することを示す。
【0068】
実施例6.製剤の全身性投与(予測例)
この研究は、経口及び皮下経路によるラットへの投与の後、試験物質の全身性(血漿)暴露を決定するために行われる。
【0069】
活性化合物ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、例えば3−(メチルチオ)プロピオニトリルを、経口投与のために、水において、及び皮下投与のために、生理食塩水において調製する。ラットをこの研究に使用する。雄ラットは、経口及び皮下経路の両経路により、50、160又は500mg/kgで単回投与される。雌ラット(n=2)は、経口及び皮下の両経路により、500mg/kgでのみ投与される。血液を、各ラットから0.25、1、2、3、4、6、12、24及び48時間で採血し、そしてLC/MS/MSにより試験物質濃度について測定する。
【0070】
経口投与の後及び皮下投与の後、測定される平均最大血漿濃度(Cmax)を決定する。上記結果は、経口及び皮下の両経路の後、試験物質の有意な生物学的利用能を示す。
【0071】
実施例7.経口投与によるマウスにおける活性化合物の抗炎症活性(予測例)
活性化合物ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、例えば3−(メチルチオ)プロピオニトリルを、ビヒクル(水中、1%Tween80)に懸濁し、5−15mg/mlにする。試験化合物、デキサメタゾン(ビヒクル中の正の対照)、及びビヒクルを、マウスに経口投与し、そしてマウスにおける局所アラキドン酸−誘発された耳腫脹モデルにおいて抗炎症活性について評価する。
【0072】
22±2gの体重の雄のICR由来のマウスを、この実験に使用する。10−15匹のマウスを、各グループ(活性化合物、正の対照、及びビークル)のために使用する。すべての動物は、調節された温度(22−24℃)及び湿度(60%−70%)環境下で、使用の前、少なくとも1週間、12時間の明/暗サイクルで維持する。
【0073】
アラキドン酸(20μlのアセトン中、0.5mg)を、試験動物の右耳の前面及び後面に局所適用し、炎症を誘発する。ビークル(10ml/kg)及びビヒクル(10ml/kg、50−150mg/kg)中、試験化合物を、アラキドン酸曝露の1時間前、経管栄養により経口投与し、一方デキサメタゾンは、アラキドン酸曝露の3時間前、経口投与する。耳浮腫のアラキドン酸誘発の後、60分及び90分で、右耳及び左耳の厚さを測定し、そして差異を、右耳における炎症の指標として計算する。有意な活性を、ビヒクル処理された群に対して、アラギドン酸誘発された耳腫脹における統計学的に有意な阻害(t−検定により決定されたp−値は<0.05であった)として定義する。
【0074】
実施例8.カラギーナンモデルにおける活性化合物の抗−炎症及び鎮痛活性(予測例)
活性化合物ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、例えば3−(メチルチオ)プロピオニトリルを、実施例4に従って、ゲル製剤に調製する。
【0075】
ゲル製剤における試験物質、インドメタシン(正の対照)、及びビヒクル(活性化合物を有さないゲル製剤)を、ラットカラギーナン誘発された肢炎症モデルにおいて抗−炎症及び鎮痛活性について評価する。
【0076】
ラットを、この実験に使用する。カラギーナン(1%懸濁液0.1ml)を、左後肢に皮下注射し、炎症を誘発する。試験物質(1−5%)又はビヒクルゲルで、カラギーナン投与に続いて1,5、2.5及び3.5時間で、0.05、0.1、0.15又は2.0mlの体積で肢に局所適用する。インドメタシンは、カラギーナン投与後、1時間で、5mg/kgで経口投与される。炎症(浮腫又は腫脹)の程度を、プレチスモグラフを用いて決定し、肢の体積を測定する。鎮痛性を、フォン・フレイ・フィラメントを用いての機械的刺激に対する肢逃避を測定することにより決定する。炎症及び鎮痛を、カラギーナン投与の4時間後、測定する。試験物質は、ビヒクル対照に比較して、それぞれ肢逃避を誘発するのに必要とされる機械的圧力下で、肢体積の有意な低下、及び/又は有意な上昇により測定されるように、抗−炎症及び/又は鎮痛性質を有することが測定される。
【0077】
実施例9.ホットプレートモデルにおける活性化合物の鎮痛活性(予測例)
活性化合物ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、例えば3−(メチルチオ)プロピオニトリルを、実施例4に従ってゲル製剤に調製する。
【0078】
試験物質:ゲル製剤中の活性化合物(1−5%)、モルヒネ(正の対照)及びビヒクル(活性化合物)を有さないゲル製剤を、ラットホットプレートにおける鎮痛活性について評価する。
【0079】
ラットをこの実験に使用する。試験物質ゲル(1−5%)又はビヒクルゲルを、0.05、0.1、0.15又は2.0 mLの体積で、肢に局所適用する。1時間後、ラットを55℃のホットプレート上に置き、そして足を舐める時間を測定する。正の対照のモルヒネは、ホットプレートへの1時間前、30mg/kgで経口投与される。試験物質は、ビヒクル対照(t−検定、p<0.05)に比較して、舐める時間の有意な上昇に測定されるように、鎮痛性質を有することが予測される。
【0080】
実施例10.CFA−誘発された熱痛覚過敏における活性化合物の鎮痛活性(予測例)
CFA(完全フロイントアジュバント)は、炎症性疼痛を誘発することが知られている(Walker, et al.JPET. 304: 56-62, 2003)。
【0081】
180±20gの体重の雄Sprague−Dawleyラットを使用する。それぞれ8−10匹のグループに分かれた動物は、実験の24時間前、試験される後肢にCFA(0.1%溶液)の下注射(0.1ml)を受ける。熱痛覚過敏を、30℃で設定される温度調節されたガラス床を有するIITC Model−336G(IITC INC. USA)装置を用いることにより試験する。各ラットを、ガラス床上のプラスチック製箱内に配置する。床下の光ビームは、右後肢の足底表面を目的としている。肢が熱刺激から引き抜かれる場合、時間が自動的に測定される。光の強度は、12〜14秒の平均グループ基準待ち時間(プレ−CFA)及び課される20秒のカットオフ待ち時間により調節される。引き抜かれる待ち時間を、各ラットから入手し、そして熱疼痛閾値として定義する。CFA注射の24時間後、ラットは、引き抜かれる待ち時間が基準の75%以下である場合でのみ、実験のために予備選択される(熱痛覚過敏の明確な存在を示す)。
【0082】
活性化合物ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、例えば3−(メチルチオ)プロピオニトリルを、実施例4に従って、ゲル製剤に調製する。ゲル製剤中、活性化合物(1−5%)、1%のTween80中、活性化合物、モルヒネ(正の対照、経口、20mg/kg)、局所ビヒクル(活性化合物を有さないゲル製剤)、及び経口ビヒクル(水中、1%Tween80)を、ホルマリンモデルにおいて鎮痛活性について評価する。
【0083】
試験物質又はビヒクルを、熱痛覚過敏のレベルが再び測定される60分前(治療後)、後肢の足底表面に、経口(20−60mg/kg)又は局所(1−5%のゲル製剤)、投与する。熱肢逃避時間の平均±SEMを計算する。試験物質処理グループと、ビヒクル対照グループとの間の後処理の値を比較するために、不対スチューデントt検定を適用する。正の活性は、P<0.05で考慮される。
【0084】
実施例11.ホルマリン試験における活性化合物の鎮痛活性(予測例)
ホルマリン試験は、ホルマリン誘発された組織損傷に起因する持続性疼痛のモデルである。ホルマリンモデルは、侵害受容の炎症性、神経性及び中枢機構を包含する。下記に記載されるアッセイは、強力な中枢鎮痛剤及び弱い鎮痛/抗−炎症剤の両者に対して敏感な後期炎症発痛相に関する(Hunskaar, et al., J. Neuroscience Meth. 14: 69-76, 1985)。ホルマリン試験は、神経障害性疼痛を治療するための化合物を試験するための適切なモデルを表す(Benson, et al. Proceedings of Measuring Behavior, 2008, Eds. Spink, et al, 324-325)。
【0085】
活性化合物ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、例えば3−(メチルチオ)プロピオニトリルを、実施例4に従って、ゲル製剤に調製する。ゲル製剤中、活性化合物(1−5%)、1%のTween80中、活性化合物、モルヒネ(正の対照、経口、30mg/kg)、局所ビヒクル(活性化合物を有さないゲル製剤)、及び経口ビヒクル(水中、1%Tween80)を、ホルマリンモデルにおいて鎮痛活性について評価する。
【0086】
試験物質は、ホルマリン(0.02ml、2%溶液)の足底下(subplantar)注射の1時間前、23±3gの体重の8−10匹のCD−1由来の雄マウスのグループに適用される。試験物質を、後肢の足底表面に、経口(20−60mg/kg)又は局所(1−5%のゲル製剤)、投与する。続く10〜30分間、記録される、誘発された後肢舐め時間の50%以上の減少が、鎮痛活性を示す。正の活性は、ビヒクル対照と比較して、試験物質における舐めるまでの時間の有意な増大とする(t−検定、p<0.05)ことが予測される。
【0087】
実施例12.慢性狭窄損傷モデルにおける活性化合物の鎮痛活性(予測例)
末梢神経病変は、自発的疼痛の他に、軽いタッチに対する誇張された応答(触覚異痛)を包含する症状を生成することができる。慢性狭窄損傷モデルは、神経障害性疼痛モデルである。
【0088】
180±20gの体重を有する。雄のSprague Dawleyラットを使用する。ペントバルビタール(50mg/kg、5ml/kg、腹腔内)麻酔下で、坐骨神経を、大腿中央レベルで露出する。約1mm離れて、四結紮糸(4−0クロムガット)を、ゆるく神経の周りに結ぶ。次に、動物を、試験の前、7日間、柔らかな寝具を備えたゲージに個別に収容する。坐骨神経の収縮が神経損傷及び一方的な神経障害性疼痛を生成する。
【0089】
実験の日、動物は、試験の前、一晩、食物に近づけない。ラットを、ワイヤメッシュラック上に反転プレキシガラスのケージ下に置き、そして20〜30分間、順応させる。機械的異痛症が、左後肢の足底表面に対してフォン・フレイ・フィラメントを用いて、Chaplanアップ/ダウン法により評価される。Chaplan, et al. J. Neuroscience Methods, 53: 55-63, 1994参照のこと。
【0090】
神経結紮(前処理)後7−14日での疼痛閾値が、神経結紮(前結紮)の前の個々の肢の応答に対する力が10g低下される、すなわち異痛が明確に存在する場合のみ、ラットを実験のために予備選択する。
【0091】
活性化合物ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、例えば3−(メチルチオ)プロピオニトリルを、実施例4に従って、ゲル製剤に調製する。
【0092】
ゲル製剤中、活性化合物(1−5%)、1%のTween80中、活性化合物、モルヒネ(正の対照、経口、20mg/kg)、局所ビヒクル(活性化合物を有さないゲル製剤)、及び経口ビヒクル(水中、1%Tween80)を評価する。
【0093】
試験物質又はビヒクルの何れかを、左後肢の足底表面に経口(20−60mg/kg)又は局所(1−5%のゲル製剤)投与する。機械的異痛試験を、試験物質又はビヒクルの単回投与の30分前(前処理)、及び前記単回投与の1及び3時間後(後処理)、実施する。対照及び試験化合物の肢逃避閾値を測定する。
【0094】
実施例13.膝疼痛の治療(予測例)
目的:標準的なNSAID治療の一時停止後、変形性関節症に関連する、軽度〜中等度の膝疼痛を有する患者において、ゲル製剤中の活性化合物の有効性を調べること。この研究の焦点は、疼痛を伴う関節炎により引き起こされる症状に対してである。臨床試験は、他の筋骨格系障害のために、十分に確立されたパラダイムとして変形性膝関節を利用している。
【0095】
製剤:活性化合物3−(メチルチオ)プロピオニトリルを、1%及び5%で含むゲル製剤(実施例4)を、この実施例に使用する。プラシーボは、活性化合物を含まない同じゲルを含む。
【0096】
方法論:ランダム化された、二重盲検、プラシーボ調節された、並列処理の多施設臨床活性研究。
少なくとも2ヶ月間、標準的NSAID療法の安定した用量により制御される膝の疼痛を伴う変形性関節症を有する患者は、7日間の休薬期間のためにNSAIDの使用を中止する。次に、患者を、1:1:1の比率(1%活性ゲル、5%活性ゲル、プラシーボ)にランダム化する。合計150人までの患者が登録され、そして8、10、14及び21日で、引き続き、7日間、治療される。
【0097】
活性ゲル又はプラシーボを、目が覚めている間、4−6時間ごとに、合計21回の治療のために7日間、1日3回、影響される膝に適用する。
【0098】
患者は、7日間、及び続いて、さらに14日間、治療される。NSAIDは、10日目での訪問の後、再開される。
【0099】
評価についての基準:
安全性:
・研究を通しての有害事象(AE)。
・登録時の身体検査(−7日、NSAIDウォッシュアウト期間の開始)、ベースライン(1日目、治療の開始)、10日目及び21日目。
・登録時までの生命徴候(−7日目、NSAIDウォッシュアウト期間の開始)、ベースライン(1日目、治療の開始)、及び2、4、8、10、14及び21日目。
・ベースラインでの臨床実験室での測定(1日目)、8及び14日目。
【0100】
臨床活性:
一次臨床活性パラメーターは、VAS、及びWestern Ontario and McMaster University(WOMAC)スケールにより定量化されるような、適用の部位での疼痛の測定である。膝の腫脹、圧痛及び炎症に対する治療の効果が記録され、また、治療後の疼痛の低下又は根絶までの時間が記録される。
【0101】
研究エンドポイント:
一次臨床活性エンドポイントは、以下である:
・WOMAC機能障害指数でのベースライン(1日目)から8日目までの変化:
−疼痛(尺度0−20)。
−凝り(尺度0−8)。
−身体機能(尺度0−68)。
【0102】
二次臨床活性エンドポイントは、以下である:
・VAS疼痛尺度(1−100)でのベースライン(1日目)から8日目までの変化。
・毎日のベースライン(前治療1)から治療2の30分後までの変化により測定されるような、2及び3日目でのVAS疼痛尺度での日内変化。
・ベースライン(1日目)から1日目での最初の適用の30分及び60分後までの腫脹、圧痛及び炎症の研究者評価の変化。
・ベースライン(1日目)から8日目までの腫脹、圧痛及び炎症の研究者評価の変化。
・活性ゲル又はプラシーボゲルの各局所適用に続く疼痛の低下又は根絶までの時間。
・レスキュー薬(APAP)の使用。
【0103】
実施例14.アトピー性皮膚炎の治療(仮想例)
目的:アトピー性皮膚炎を有する患者における活性化合物の有効性を調べるためである。
【0104】
製剤:活性化合物ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、例えば3−(メチルチオ)プロピオニトリルをゲル製剤中に(実施例4に従って)調製する。プラシーボは、活性化合物を有さない同じゲルを含む。
【0105】
方法論:これは、ランダム化された、二重盲検、プラシーボ調節された、並列処理の臨床活性研究である。
【0106】
軽度〜重度のアトピー性皮膚炎を有する男性及び女性患者が、研究の開始の前、4週間、アトピー性皮膚炎について、すべての治療の中断の後、登録される。患者は、1:1の比率でランダム化される(活性ゲル、プラシーボ)。合計300人の患者が登録され、そして治療される。
【0107】
活性ゲル又はプラシーボを、身体の影響領域に、1日2度、12週間、適用する。治療結果は、12週まで、次に、試験薬適用の中断の4週後、2週間隔で評価される。
【0108】
評価のための基準:
安全性:
安全性が、一般的病歴及び物理的徴候により、血液学、血清化学及び尿検査についての臨床検査により、及び「0」(ナシ)〜「3」(重度)の評価尺度を用いて、紅斑、スケーリング、乾燥、ピリピリした痛み/熱傷の局所適用部位許容性パラメーターの評価により評価される。
【0109】
有効性:
有効性は、下記を用いて評価する:
1.研究開始時まで、及び12週まで、及び続いて、研究投薬の中断の4週後で、2週間隔で、疾患重症度の総合評価。調査員の全体的評価(IGA)は、0〜4の評価尺度(0=なし又はなし(clear)、1=ほとんどなし、2=軽度の関与、3=中位の疾患関与、及び4=重度の疾患関与)に基づかれる。
【0110】
2.0−4の尺度(0=なし又はなし(clear)、1=ほとんどなし、2=軽度の関与、3=中位の疾患関与、及び4=重度の疾患関与)で評価される各パラメーターによる、紅斑、硬結、苔癬化、スケーリング(scaling)及び滲出及び痂皮についての関与の代表的標的アトピー性皮膚炎領域の個別評価。
【0111】
これらの有効性評価の個々の統計学的分析が、各2週試験時点で実施される。有効性の最終的評価は、12週の治療の終了時、ビヒクルグループに対する活性グループの比較に基づかれる。4週後の治療評価は、投薬中断の後の治療効果の耐久性を評価するために利用される。
【0112】
実施例15.乾せんの治療(仮想例)
目的:尋常性乾せんを有する患者における活性化合物の有効性を調べるためである。
【0113】
製剤:活性化合物ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、例えば3−(メチルチオ)プロピオニトリルをゲル製剤中に(実施例4に従って)調製する。プラシーボは、活性化合物を有さない同じゲルを含む。
【0114】
方法論:これは、ランダム化された、二重盲検、プラシーボ調節された、並列処理の臨床活性研究である。
【0115】
軽度〜重度のアトピー性皮膚炎を有する男性及び女性患者が、登録される。患者は、研究の開始の前、4週間、尋常性乾せんについて、すべての治療を中断する。患者は、1:1の比率でランダム化される(活性ゲル、プラシーボ)。合計200人の患者が登録され、そして治療される。
【0116】
活性ゲル又はプラシーボを、身体の影響領域に、1日2度、12週間、適用する。治療結果は、12週まで、次に、試験薬適用の中断の4週後、2週間隔で評価される。
【0117】
評価のための基準:
安全性:
安全性が、一般的病歴及び物理的徴候により、血液学、血清化学及び尿検査についての臨床検査により、及び「0」(ナシ)〜「3」(重度)の評価尺度を用いて、紅斑、スケーリング、乾燥、ピリピリした痛み/熱傷の局所適用部位許容性パラメーターの評価により評価される。
【0118】
有効性:
有効性は、下記を用いて評価する:
1.研究開始時まで、及び12週まで、及び続いて、研究投薬の中断の4週後で、2週間隔で、疾患重症度の総合評価。調査員の全体的評価(IGA)は、0〜4の評価尺度(0=なし又はなし(clear)、1=ほとんどなし、2=軽度の関与、3=中位の疾患関与、及び4=重度の疾患関与)に基づかれる。
【0119】
2.0−4の尺度(0=なし又はなし(clear)、1=ほとんどなし、2=軽度の関与、3=中位の疾患関与、及び4=重度の疾患関与)で評価される各パラメーターによる、紅斑、スケーリング及び厚さについての関与の代表的標的乾せん病変領域の個別評価。
【0120】
各有効性評価の統計学的分析が、各2週試験時点について実施される。有効性の最終的評価は、12週での治療の終了時、ビヒクルグループに対する活性グループの比較に基づかれる。4週後の治療評価は、投薬中断の後の治療効果の耐久性を評価するために利用される。
【0121】
実施例16.ざ瘡の治療(仮想例)
目的:尋常性ざ瘡を有する患者における活性化合物の有効性を調べるためである。
【0122】
製剤:活性化合物ω−(メチルチオ)アルキルニトリル、例えば3−(メチルチオ)プロピオニトリルをゲル製剤中に(実施例4に従って)調製する。プラシーボは、活性化合物を有さない同じゲルを含む。
【0123】
方法論:これは、ランダム化された、二重盲検、プラシーボ調節された、並列処理の臨床活性研究である。
【0124】
軽度〜重度の尋常性ざ瘡を有する男性及び女性患者が、登録される。患者は、研究の開始の前、4週間、尋常性乾せんについて、すべての治療を中断する。患者は、1:1の比率でランダム化される(活性ゲル、プラシーボ)。合計500人の患者が登録され、そして治療される。
【0125】
活性ゲル又はプラシーボを、身体の影響領域に、1日2度、12週間、適用する。治療結果は、12週まで、次に、試験薬適用の中断の4週後、2週間隔で評価される。
【0126】
評価のための基準:
安全性:
安全性が、一般的病歴及び物理的徴候により、血液学、血清化学及び尿検査についての臨床検査により、及び「0」(ナシ)〜「3」(重度)の評価尺度を用いて、紅斑、スケーリング、乾燥、ピリピリした痛み/熱傷の局所適用部位許容性パラメーターの評価により評価される。
【0127】
有効性:
有効性は、下記を用いて評価する:
1.研究開始時まで、及び12週まで、及び続いて、研究投薬の中断の4週後で、2週間隔で、疾患重症度の総合評価。調査員の全体的評価(IGA)は、0〜4の評価尺度(0=なし又はなし(clear)、1=ほとんどなし、2=軽度の関与、3=中位の疾患関与、及び4=重度の疾患関与)に基づかれる。
【0128】
2.すべてのタイプのざ瘡病変、すなわち開放及び閉鎖面疱、丘疹、膿疱、結節及び嚢胞の個別評価。
【0129】
各有効性評価の統計学的分析が、各2週試験時点について実施される。有効性の最終的評価は、12週での治療の終了時、ビヒクルグループに対する活性グループの比較に基づかれる。4週後の治療評価は、投薬中断の後の治療効果の耐久性を評価するために利用される。
【0130】
前述は本発明の好ましい実施形態を記載し、そして変更が、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、行われてよいことが理解されるべきである。