【実施例】
【0063】
実施例1:フォラシン(登録商標)アッセイを用いる検出のROS試験方法
特定の試料中に存在するROSの量を決定するために典型的には96ウェル試料プレートと共にFLUOstar Omegaマルチモードマイクロプレートリーダー(BMG Labtech社、ケーリー、ノースカロライナ州)を利用した。このリーダーは二重注射筒型注入器容を有し、試薬を試料ウェルに注入する能力を有する。マイクロプレートパラメーターについては、ROS感受性光タンパク質であるフォラシン(登録商標)を含むABELアッセイキット61M(Knight Scientific社、15 ウォルズリー・クロース・ビジネス・パーク、プリマス、PL2 3BY、英国)のプロトコルに従った。注入器ポンプを逆浸透/脱イオン(RO/DI)水で洗浄し、リーダーを適切な温度(通常は37℃)に設定した。
【0064】
前記重合体試料の試験では、典型的には、約0.5cmの直径のディスクを使用した。そのディスクは所与のウェルの直径よりもわずかに小さかった。分析する試料の標的数を考慮し、適切な数のウェルを緩衝溶液で満たし、次に前記重合体ディスクを各ウェルに配置した。
【0065】
試料ウェルプレートを急いでマイクロプレートに挿入し、連続光ルミネセンス測定値(相対発光量、すなわち、RLUで報告される)を開始して収集した。15分の平衡化の後に試料と緩衝溶液を含む各ウェルにフォラシン(登録商標)を注入するか、又はピペットで添加した。データ収集が追加時間に続いた。
【0066】
実施例2:フォラシン(登録商標)アッセイを用いるスーパーオキシド及び他のROSの決定
所与の試料についてスーパーオキシドに起因するシグナルを決定するため、実施例1に記載される方法に従って、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)により緩衝液が追加的に増加したマイクロプレート用の姉妹試料ウェルを同時に調製した。SODはABEL−61M試験キットの中に提供された。実施例1とSOD含有姉妹ウェルとの間の正規化されたRLUトレースの差異は、典型的には最大RLUとして報告されるスーパーオキシドに起因するシグナルを生み出した。スーパーオキシドを含まない「他のROS」はSODを含んだ試料ウェルについて記録されたデータである。
【0067】
実施例3:マイクロプレート上でのMCLAアッセイを用いる一重項酸素試験方法
典型的には96ウェル試料プレートと共にFLUOstar Omegaマルチモードマイクロプレートリーダーを利用した。試験チャンバー温度を37℃に設定した。前記重合体試料の試験では、典型的には、約0.5cmの直径のディスクを使用した。そのディスクは所与のウェルの直径よりもわずかに小さかった。スーパーオキシドと一重項酸素を検出するために用いられた化学発光指標はMCLA、すなわち、2−メチル−6−(p−メトキシフェニル)−3,7−(ジヒドロイミダゾ[1,2α]ピラジン−3−オン(Bancirova、Luminescence誌、第26巻(第6号)、685〜88頁(2011年))であった。MCLAはオレゴン州、ユージーンのMolecular Probes社より購入した。姉妹試料ウェルを次のように調製した。
1.放射線照射クーポンと緩衝済みMCLA溶液
2.放射線照射クーポンと緩衝済みMCLAとSOD
3.放射線照射クーポンと緩衝済みMCLAとSODとNaN
3
4.放射線照射クーポンと緩衝済みMCLAとNaN
3
5.緩衝済みMCLAのみ
【0068】
ウェルの調製後、ウェルプレートを急いでマイクロプレートに挿入し、連続光ルミネセンス測定値(相対発光量、すなわち、RLUで報告される)を開始して約5分間収集した。試料1と2との間のRLUの差異はスーパーオキシドに起因する。1と4との間のRLUの差異は一重項酸素に起因する。1と3との間のRLUの差異はスーパーオキシドと一重項酸素に起因する。ウェル5のRLUは対照基線を設定する。
【0069】
実施例4:変調DSC試験方法
次の設定を用いる変調DSCモードを用いてTAインスツルメンツQ2000 DSC上で変調DSC(MDSC)を実施した:
2℃/分の基底加熱速度を用いる−50℃から250℃までの初期試料加熱。60秒の期間と共に+/−0.32℃の温度範囲を用いて変調を実施した。
【0070】
実施例5:標準DSC方法
次の設定を用いてTAインスツルメンツQ2000 DSC上でDSCを実施した:
10℃/分で−50℃から300℃までの初期試料加熱。
【0071】
実施例6:HC試料調製
供給業者から受領したときのペレット又は粉末を熱間圧縮することによって所与の高分子材料の固形クーポンを固形シートに調製した。それぞれのクーポンを、適切なことにはDSCにより確定した融点において、又は融点を超える温度において50PSIで5分間圧縮した。試料を放冷し、後に照射前の貯蔵のために−20℃の冷凍庫に入れた。全てのクーポンに45kGyで照射した(Sterigenics社、コロナ、カリフォルニア州)。
【0072】
実施例7:EPR試験方法
名目上は100kHz磁場変調と共に約9GHzで運用されているBroker Biospin X−バンドCW−EMX(ビレリカ、マサチューセッツ州)分光計を使用してEPRスペクトルを獲得した。典型的には、シグナル飽和を避けるために1mW未満のマイクロ波出力を用いてスペクトルを獲得し、EPRスペクトルに到達するためにマルチ重層スキャンを行った。
【0073】
実施例8:結晶質EPRの結果とアモルファスEPRの結果
ポリD,L−乳酸(Polysciences社、カタログ番号23976)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(Polysciences社、カタログ番号16916)、及びポリ(ジオキサノン)(Aldrich社、カタログ番号719846)のクーポンを実施例6のように調製した。ポリ(トリメチレンカーボネート)(pTMC)及び2:1PGA/TMCペレットのブロック共重合体のクーポンを実施例6に従って調製した。クーポンを個々の包装中に封入し、45kGyの標的線量までガンマ照射した(Sterigenics社、コロナ、カリフォルニア州)。試料を室温で維持した。照射とEPR測定との間の時間は約8週間であった。それぞれの照射を受けた試料について実施例(4又は5)によってDSCを実施して融解吸熱の存在を検出した。同様に、安定化フリーラジカルの存在をいくらかでも検出するために実施例7に従ってそれぞれの照射を受けた試料に対してEPRを実施した。結果が表1に作表されている。
【0074】
【表1】
【0075】
実施例9
45kGy(標的線量)照射2:1PGA/TMCのフリーラジカル濃度を温度の関数としてEPRにより測定した。2:1PGA/TMCのブロック共重合体を米国特許第6165217号明細書に従って調製した。
図3は温度上昇と共に減少するEPRシグナルを示す。温度がこの半結晶性重合体の結晶質融解温度(Tm約200℃)に近づくにつれ、EPRシグナルと、したがって、フリーラジカル濃度が消失する。一旦、フリーラジカルが180℃で消失すると、
図3中の後の室温の線の平坦なEPR反応によって証明されるように、室温に冷却してもフリーラジカルは再形成されない。
【0076】
実施例10
45kGy照射PDOのフリーラジカル濃度を温度の関数としてEPRにより測定した。Aldrich社のカタログ番号719846から半結晶性PDO重合体を購入した。
図7は温度上昇と共に減少するEPRシグナルを示す。温度がこの半結晶性重合体の結晶質融解温度(Tm約110℃)に近づくにつれ、EPRシグナルと、したがって、フリーラジカル濃度が消失する。
【0077】
実施例11
45kGy照射1:1PGA/TMCのランダムブロックのフリーラジカル濃度を温度の関数としてEPRにより測定した。ペレット状の1:1PGA/TMCのランダムブロック共重合体を実施例6に従って調製した。
図5は室温で非常に小さいEPRを示す。この小さなシグナルは最大でPGAの結晶質融解温度(Tm約200℃)までの温度上昇と共に減少する。その後の室温での測定は最初の非加熱試料を用いたものよりもさらに小さいEPRシグナルを示す。この小さなEPRシグナルは、最初の試料の中に存在する少数のフリーラジカルがPGA融解温度まで加熱されて消失し、後に室温まで冷却されてもフリーラジカルが形成されないことを示唆している。
【0078】
実施例12
45kGy照射ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(P3OHB)のフリーラジカル濃度を温度の関数としてEPRにより測定した。Polysciences社のカタログ番号16916からp3OHBを入手した。その試料を45kGyで照射し、実施例7に従ってEPRシグナルを測定した。
図8は、比較的に高フリーラジカル濃度を有する放射線照射を受けた物質に応答する室温での強いEPRシグナルを示す。その後、このフリーラジカル濃度とEPRシグナルは温度上昇と共に減少する。温度がこの半結晶性重合体の結晶質融解温度(Tm約170℃)に近づくにつれ、EPRシグナルと、したがって、フリーラジカル濃度が消失する。一旦、フリーラジカルが180℃で消失すると、後の室温の線の平坦なEPR反応によって証明されるように、室温に冷却してもフリーラジカルは再形成されない。
【0079】
実施例13:フリーラジカルの経時的安定性
2:1PGA/TMCを米国特許第6165217号明細書に従って調製した。そのウェブを、前記重合体の非制御性早期加水分解を最小にするために乾燥剤パック(Minipak、Multisorb Technologies社、バッファロー、ニューヨーク州)を含む空気/酸素不浸透性の重合体包装の中に封入した。次にその試料に25kGyの標的線量でガンマ照射した。その大きな放射線照射を受けたウェブ試料から二次試料クーポンを約2.5cm×約8cmのサイズにした。微量天秤で測定すると、各クーポンの最初の重量は1.5gと1.8gの間の範囲であった。約250mlの3倍濃度のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Sigma Chemical社、P3813、セントルイス、ミズーリ州)を含む8オンス(約237ml)のスクリューキャップ付きジャーに各クーポンを入れた。ジャーの蓋をねじって密閉し、37℃に設定した加熱循環槽の中に置いた。水槽のレベルは各試料ジャー中の水レベルと一致するか、又はそれを越えた。
【0080】
選択した時間で個々の試料ジャーを取り出し、試料をジャーから取り出した。新しいペーパータオルに水を吸い取らせて試料を乾燥し、試料の重量を測定した。次に、緩衝液に浸漬された試料を外界真空チャンバー(非加熱)に移し、高真空に曝して残留している水を除去した。試料重量が一定に達したところで乾燥したと判定した。試料を真空下に一晩置くことが典型的であったが、4〜8時間以内にこのことが起こることが観察された。乾燥したところで新しい乾燥剤を含む不浸透性のバリアー包装中に各試料を個々に包装した。放射線照射を受けた加水分解試料に対して実施例7に記載されるように室温でのXバンドEPR測定を実施した。
図11に示されているように最大で17日の時点までEPR反応を測定した。
【0081】
実施例14:経時的RQS
2:1PGA/TMCを米国特許第6165217号明細書に従って調製した。そのウェブを、前記重合体の非制御性早期加水分解を最小にするために乾燥剤パック(Minipak、Multisorb Technologies社、バッファロー、ニューヨーク州)を含む空気/酸素不浸透性の重合体包装の中に封入した。次にその試料に25kGyの標的線量でガンマ照射した。その大きな放射線照射を受けたウェブ試料から二次試料クーポンを約2.5cm×約8cmのサイズにした。微量天秤で測定すると、各クーポンの最初の重量は1.5gと1.8gの間の範囲であった。約250mlの3倍濃度のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Sigma Chemical社、P3813、セントルイス、ミズーリ州)を含む8オンス(約237ml)のスクリューキャップ付きジャーに各クーポンを入れた。ジャーの蓋をねじって密閉し、37℃に設定した加熱循環槽の中に置いた。水槽のレベルは各試料ジャー中の水レベルと一致するか、又はそれを越えた。
【0082】
選択した時間で個々の試料ジャーを取り出し、試料をジャーから取り出した。新しいペーパータオルに水を吸い取らせて試料を乾燥し、試料の重量を測定した。次に、緩衝液に浸漬された試料を外界真空チャンバー(非加熱)に移し、高真空に曝して残留している水を除去した。試料重量が一定に達したところで乾燥したと判定した。試料を真空下に一晩置くことが典型的であったが、4〜8時間以内にこのことが起こることが観察された。乾燥したところで新しい乾燥剤を含む不浸透性のバリアー包装中に各試料を個々に包装した。実施例1に記載されるように放射線照射を受けた加水分解試料に対してROS測定を行った。
図12に示されているように最大で17日の時点までROSを検出した。
【0083】
実施例15:経時的スーパーオキシド
2:1PGA/TMCを米国特許第6165217号明細書に従って調製した。そのウェブを、前記重合体の非制御性早期加水分解を最小にするために乾燥剤パック(Minipak、Multisorb Technologies社、バッファロー、ニューヨーク州)を含む空気/酸素不浸透性の重合体包装の中に封入した。次にその試料に25kGyの標的線量でガンマ照射した。その大きな放射線照射を受けたウェブ試料から二次試料クーポンを約2.5cm×約8cmのサイズにした。微量天秤で測定すると、各クーポンの最初の重量は1.5gと1.8gの間の範囲であった。約250mlの3倍濃度のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Sigma Chemical社、P3813、セントルイス、ミズーリ州)を含む8オンス(約237ml)のスクリューキャップ付きジャーに各クーポンを入れた。ジャーの蓋をねじって密閉し、37℃に設定した加熱循環槽の中に置いた。水槽のレベルは各試料ジャー中の水レベルと一致するか、又はそれを越えた。
【0084】
選択した時間で個々の試料ジャーを取り出し、試料をジャーから取り出した。新しいペーパータオルに水を吸い取らせて試料を乾燥し、試料の重量を測定した。次に、緩衝液に浸漬された試料を外界真空チャンバー(非加熱)に移し、高真空に曝して残留している水を除去した。試料重量が一定に達したところで乾燥したと判定した。試料を真空下に一晩置くことが典型的であったが、4〜8時間以内にこのことが起こることが観察された。乾燥したところで新しい乾燥剤を含む不浸透性のバリアー包装中に各試料を個々に包装した。実施例1及び2に記載されるように放射線照射を受けた加水分解試料に対してROS測定を行った。
図12に示されているように最大で17日の時点までスーパーオキシドを検出した。
【0085】
実施例16:アンプレックスレッドH
2O
2試験方法
試験物質を計量し、次に500μlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の中に入れることによって過酸化水素(H
2O
2)測定用の試料溶液を調製した。室温でよく混合する条件下で30分後に100μlの結果生じた上清を試料採取した。
【0086】
50μlのアンプレックスレッドDMSO溶液(Molecular Probes社、ユージーン、オレゴン州)、100μlのホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液(HRP、10単位/ml、Molecular Probes社)及び4.85mlの緩衝溶液を混合して反応溶液を新しく調製した。96ウェルプレートにおいて100μlの上清を各ウェルの中の等量の反応溶液と混合し、室温で30分間保温した。その後、540nm/580nm(励起光/発光)においてFluostar Omegaマイクロプレートリーダー上で蛍光シグナルを測定した。約700U/mlのカタラーゼ(ウシ肝臓由来、Sigma−Aldrich社、カタログ番号C30)を使用して姉妹試料ウェルを調製した。アンプレックスウェルとカタラーゼを含むアンプレックスウェルとの間のRLUの差異は過酸化水素に起因するものである。その差異は試料溶液を調製するために使用された試料の重量によって正規化された。
【0087】
実施例17:放射線照射2:1PGA/TMCからの過酸化水素の一時的放出
2:1PGA/TMCを米国特許第6165217号明細書に従って調製した。そのウェブを、前記重合体の非制御性早期加水分解を最小にするために乾燥剤パック(Minipak、Multisorb Technologies社、バッファロー、ニューヨーク州)を含む空気/酸素不浸透性の重合体包装の中に封入した。次にその試料に25kGyの標的線量でガンマ照射した。その大きな放射線照射を受けたウェブ試料から二次試料クーポンを約2.5cm×約8cmのサイズにした。微量天秤で測定すると、各クーポンの最初の重量は1.5gと1.8gの間の範囲であった。約250mlの3倍濃度のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Sigma Chemical社、P3813、セントルイス、ミズーリ州)を含む8オンス(約237ml)のスクリューキャップ付きジャーに各クーポンを入れた。ジャーの蓋をねじって密閉し、37℃に設定した加熱循環槽の中に置いた。水槽のレベルは各試料ジャー中の水レベルと一致するか、又はそれを越えた。
【0088】
選択した時間で個々の試料ジャーを取り出し、試料をジャーから取り出した。新しいペーパータオルに水を吸い取らせて試料を乾燥し、試料の重量を測定した。次に、緩衝液に浸漬された試料を外界真空チャンバー(非加熱)に移し、高真空に曝して残留している水を除去した。試料重量が一定に達したところで乾燥したと判定した。試料を真空下に一晩置くことが典型的であったが、4〜8時間以内にこのことが起こることが観察された。乾燥したところで新しい乾燥剤を含む不浸透性のバリアー包装中に各試料を個々に包装した。実施例16に従って試料に対してH
2O
2を検出し、
図13に報告した。
【0089】
実施例17A:放射線照射2:1PGA/TMCからの過酸化水素の3か月の放出
2:1PGA/TMCを米国特許第6165217号明細書に従って調製した。そのウェブを、前記重合体の非制御性早期加水分解を最小にするために乾燥剤パック(Minipak、Multisorb Technologies社、バッファロー、ニューヨーク州)を含む空気/酸素不浸透性の重合体包装の中に封入した。次にその試料に45kGyの標的線量でガンマ照射した。その大きな放射線照射を受けたウェブ試料から二次試料クーポンを約2.5cm×約8cmのサイズにした。各クーポンの最初の重量を微量天秤により測定した。約250mlの3倍濃度のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Sigma Chemical社、P3813、セントルイス、ミズーリ州)を含む個々のスクリューキャップ付きジャーに各クーポンを入れた。ジャーの蓋をねじって密閉し、37℃に設定した加熱循環槽の中に置いた。水槽のレベルは各試料ジャー中の水レベルと一致するか、又はそれを越えた。
【0090】
選択した時間で個々の試料ジャーを取り出し、試料をジャーから取り出した。試料を乾燥させた。乾燥したところで新しい乾燥剤を含む不浸透性のバリアー包装中に各試料を個々に包装した。
【0091】
過酸化水素の検出のために実施例16からわずかに改変された方法に従った。試験物質を計量し、次に約200mg/mLの試料重量対緩衝液体積レベルでリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に入れることによってH
2O
2の試料溶液を調製した。室温でよく混合する条件下で60分後に結果生じた上清の二次試料を採取した。
【0092】
アンプレックスレッドDMSO溶液(Molecular Probes社、ユージーン、オレゴン州)反応溶液を調製した。96ウェルプレートにおいて上記の上清を各ウェルの中のDMSO反応溶液と混合し、37℃で保温した。その後、540nm/580nm(励起光/発光)においてFluostar Omegaマイクロプレートリーダー上で蛍光シグナルを測定した。約100U/mlのカタラーゼ(ウシ肝臓由来、Sigma−Aldrich社、カタログ番号C30)を使用して姉妹試料ウェルを調製した。アンプレックスウェルとカタラーゼを含むアンプレックスウェルとの間のRLUの差異は過酸化水素に起因するものである。希釈3%ストック過酸化水素溶液より作製された校正曲線に対する相関により、RLUシグナルを過酸化水素の絶対濃度に変換した。
【0093】
加水分解試料について、
図13aにおいて報告されるように過酸化水素が3か月を超えて検出された。
【0094】
実施例17B:重合体混合物による強化された過酸化水素産生
90重量%の2:1PGA/TMCと10重量%のポリジオキサノン(PDO)(Boehringer Ingelheim社より購入されたPDO、ロット番号76013)から構成される高分子顆粒混合物を米国特許第6165217号明細書に従って調製した。乾燥剤パック(Minipak、Multisorb Technologies社、バッファロー、ニューヨーク州)を含む空気不浸透性の重合体包装の中にウェブ試料を封入した。それらの試料に25kGyの標的線量で放射線照射した。より少ない二次試料から実施例16に従って過酸化水素発生を測定した。希釈ストック過酸化水素溶液より作製された校正曲線に対する相関により、RLUシグナルを過酸化水素の絶対濃度に変換した。
【0095】
45kGyという著しく高い標的線量で放射線照射されているが、米国特許第6165217号明細書に従って同様に調製された非混合性2:1PGA/TMCのみの試料に由来する以前のデータと上記の混合試料のシグナルを比較した。より少ない二次試料から実施例16に従って過酸化水素発生を測定した。希釈ストック過酸化水素溶液より作製された校正曲線に対する相関により、RLUシグナルを過酸化水素の絶対濃度に変換した。
図13bに報告されているように、より低い線量で照射を受けた混合物が非混合性相対物よりも著しく多くの量の過酸化水素を産生した。
【0096】
実施例18:不活性雰囲気と空気の間で増加したROSの比較
2:1PGA/TMC共重合体ウェブを米国特許第6165217号明細書に従って調製した。乾燥剤パック(Minipak、Multisorb Technologies社、バッファロー、ニューヨーク州)を含む空気/酸素不浸透性の重合体包装の中にウェブ試料を封入した。包装を閉じる直前に乾燥窒素のパージにより包装内部の外界空気を除去した。別の試料包装は閉じる前に空気のパージを有しなかった。その後、45kGyの標的線量で封止された包装をガンマ照射した(Sterigenics社、コロナ、カリフォルニア州)。
【0097】
受領したらすぐに試料を取り出し、実施例1に記載されるようにフォラシン(登録商標)アッセイを行ってROSシグナルを測定した。実施例2に記載されるようにフォラシン(登録商標)アッセイによってスーパーオキシドの量を測定した。条件毎に2種類の試料を調製し、平均を報告した。窒素雰囲気放射線照射2:1PGA/TMCはフォラシン(登録商標)アッセイによって推測されるようにその空気相対物よりもかなり多くのROSを産生した(
図14を参照のこと)。
【0098】
実施例19:ガンマ処理EO滅菌例
2:1PGA/TMC共重合体ウェブを米国特許第6165217号明細書に従って調製し、20kGyの標的ガンマ照射(Sterigenics社、コロナ、カリフォルニア州)とその後のエチレンオキシド滅菌(Sterilization Services社、アトランタ、ジョージア州、30336)の対象とし、実施例1及び2に従って試験した。条件毎に2種類の試料を調製し、平均を報告した。ブランク対照試料と比べて高い約20分におけるピークによって証明されるように、試料は、
図6に示されているスーパーオキシドを含む
図15に示されているROSを産生した。
【0099】
実施例20:小表面積(HC’d)実施形態とROS
米国特許第4243775号明細書に従って材料から2:1PGA/TMCブロック共重合体固形クーポンを調製し、本書の実施例6に従って処理した。この物質の表面積は、後にROS測定のために使用される圧縮ディスクの幾何形状に基づいて約0.002m
2/gであると計算された。
図17に示されているようにROS測定を本書の実施例1に従って実施した。
【0100】
実施例21:大表面積電界紡糸2:1PGA/TMC
電界紡糸45kGyガンマ放射線照射2:1PGA/TMCにより生成されたスーパーオキシドが、フォラシンアッセイ方法を用いて時間の関数として測定された。ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)中の4重量%の2:1PGA/TMCの溶液から4層の電界紡糸試料を調製した。Elmarco NS Lab 500電界紡糸ユニットを使用してこの溶液から繊維を紡糸し、続いて120℃で5分間保温して冷結晶化した。金属プレート上に2:1PGA/TMCナノ繊維の薄い層を電界紡糸することによって第1層を作製した。層の厚みを増すために追加の溶液を添加し、さらに3層の電界紡糸2:1PGA/TMC繊維を堆積した。結果生じる試料は総計で4層の電界紡糸層から構成された。繊維の直径は100nm未満から約1.5ミクロン超までの範囲であった。45kGyの線量のeビームを用いて各試料に照射を行った(Sterigenics社、コロナ、カリフォルニア州)。実施例2に従って試験され、結果が
図18に示される。この材料の比表面積はBETにより測定され、約4.3m
2/gであることが分かった。
【0101】
実施例22:放射線照射物質上での一重項酸素検出
2:1PGA/TMCを米国特許第6165217号明細書に従って調製した。そのウェブを、前記重合体の非制御性早期加水分解を最小にするために乾燥剤パック(Minipak、Multisorb Technologies社、バッファロー、ニューヨーク州)を含む空気/酸素不浸透性の重合体包装の中に封入した。その後、45kGyの標的ガンマ線量でその試料をガンマ照射した。放射線照射を受けた材料のクーポンを実施例3に従って試験した。スーパーオキシドと一重項酸素の両方に起因するシグナルを
図19に示されているように測定した。
【0102】
実施例23:血管形成に対する放射線照射材料と非放射線照射材料の比較
エチレンオキシド滅菌した非放射線照射半結晶性加水分解性高分子材料(グループA)を次のように調製した。2:1PGA/TMC共重合体ウェブを米国特許第6165217号明細書に従って調製し、120℃で一晩真空乾燥し、前記重合体の非制御性早期加水分解を最小にするために乾燥剤パック(Minipak、Multisorb Technologies社、バッファロー、ニューヨーク州)を含む空気/酸素不浸透性の重合体包装の中に包装した。そのウェブから名目上1cmのウェブディスクを切り取り、次に乾燥剤パック(Minipak、Multisorb Technologies社、バッファロー、ニューヨーク州)を含む空気/酸素不浸透性の重合体包装の中に再包装した。クーポンを滅菌するためにそれらのクーポンをエチレンオキシド(EO)透過性包装の中に移し、滅菌に充分なエチレンオキシド曝露(300分のEO曝露)(Nelson Labs社、ソルトレイクシティ、ユタ州)の対象とした。その材料を受け取り、後で使用するために必要になるまで、乾燥剤パック(Minipak、Multisorb Technologies社、バッファロー、ニューヨーク州)を含む空気/酸素不浸透性の重合体包装の中に再包装した。
【0103】
ガンマ照射半結晶性加水分解性高分子材料(グループB)を次のように調製した。2:1PGA/TMC共重合体ウェブを米国特許第6165217号明細書に従って調製し、120℃で一晩真空乾燥し、前記重合体の非制御性早期加水分解を最小にするために乾燥剤パック(Minipak、Multisorb Technologies社、バッファロー、ニューヨーク州)を含む空気/酸素不浸透性の重合体包装の中に包装した。そのウェブから名目上1cmのウェブディスクを切り取り、次に乾燥剤パック(Minipak、Multisorb Technologies社、バッファロー、ニューヨーク州)を含む空気/酸素不浸透性の重合体包装の中に再包装した。その後、それらのディスクに45kGyのガンマ照射の(名目上の)標的線量まで照射し(Sterigenics社、コロナ、カリフォルニア州)、後で使用するために必要になるまで包装を開封しないままでいた。
【0104】
apoE−/−マウスモデルはC57野生型類似体と比べて減退した血管発生を示すことが示されており(Couffinhalら、Circulation誌、第99巻、3188〜98頁(1999年))、血管形成を研究するための広く使用される臨床前モデルになっている(Silvaら、Biomaterials誌、第31巻(第6号)、1235〜41頁(2010年))ので、ROS発生器具のインビボでの血管形成性効果を評価するためにそのマウスモデルを選択した。グループAとグループBの滅菌ディスクを本研究の処置群として使用することによって同じ形状のROS発生材料の効果を比較した。
【0105】
ApoE−/−マウスと野生型対照の背中の左右に各処置群から1枚のディスクを皮下移植した。生存中の時点は3日、7日、及び14日であった。各種の6匹のマウスを各時点に捧げた。殺処理の後にそれぞれの移植物を取り出し、ひとまとめに固定し、組織学検査室に送った。ディスク当たり3枚の断面を処理し、H&E(ヘマトキシリン及びエオシン)とCD31抗体で染色した。その後、経験を積んだ組織学者が100倍の光学倍率下で移植物の境界内の血管数について各断面を手作業で評価し、データをJMPバージョン10.2.2(SAS Institute社、ケーリー、ノースカロライナ州)により分析した。全ての3日目の移植物では血管は観察されなかった。両方の条件とマウスの種類の中で7日目と14日目に血管を計数した。
【0106】
グループAの比較では、7日目においてapoE−/−マウスと野生型マウスの間で見られる血管の数に有意な差は無かった。しかしながら、この血管数の差異は下で示されるように14日目には統計学的に有意になり、apoE−/−マウスの血管数は野生型マウスの血管数よりも少なかった。
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
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【表4】
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【表5】
【0111】
【表6】
【0112】
ROS発生グループBでは、下で示されるように7日目と14日目の両方においてapoE−/−マウスと野生型マウスの間に血管数の有意な差異は無かった。このことは、apoE−/−マウスにおけるROS発生グループB材料の存在が野生型マウスと比べた血管数の差異を打ち消したことを表すようである。
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【表7】
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【表8】
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【表9】
【0116】
【表10】
【0117】
【表11】
【0118】
本発明の前記の説明によって当業者は、現在のところ最善の本発明の実施形態と考えられるものを作製し、使用することが可能になるが、当業者は本明細書における特定の実施形態、方法、及び実施例の変形、組合せ、及び同等のものの存在を理解し、認識する。したがって、本発明は上記の実施形態、方法、及び実施例によって制限されるべきではなく、本発明の範囲と精神の範囲内の全ての実施形態と方法によって制限されるべきである。