(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記システム制御手段(MPU,RAM)は、前記搬送物判定手段(MPU,RAM)の判定結果において前記搬送物(CA)が所定の判別態様であるときに前記搬送物制御手段(OPS)を前記搬送物通過状態として前記搬送物(CA)を通過させ、前記搬送物通過検出手段(MPU,RAM)により前記所定の判別態様の先の前記搬送物(CA1)が前記制御エリア(MES)を通過して下流側へ脱出したことが検出されるとともに前記搬送物判定手段により次の前記搬送物(CA2)が前記所定の判別態様であるという判定結果が得られていないときに前記搬送物制御手段(OPS)を前記搬送物制御状態に戻し、その他のときには前記搬送物制御手段(OPS)を前記搬送物制御状態に維持することを特徴とする請求項1に記載の搬送物判別制御システム。
前記搬送物判定手段(MPU,RAM)は、前記搬送物検出手段(MPU,RAM)の前記搬送物検出処理により前記搬送物(CA)が前記第1の計測エリア(ME1)内に配置されていることが検出されないときには、前記搬送物(CA)の前記判定対象部分(CAs1〜CAs4)に対して行う前記搬送物判定処理を実施しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送物判別制御システム。
前記第1の計測エリア(ME1)の前記搬送路(121)に沿った搬送方向(F)の長さLD1は、前記搬送物の1個分の前記搬送方向(F)の長さをLDS、前記撮影周期をTs、前記搬送速度をVsとすれば、n=1〜10の自然数としたとき、
LD1≧LDS+n×α=LDS+n×Ts×Vs
が成立する値を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の搬送物判別制御システム。
前記第2の計測エリア(ME2)の前記搬送路(121)に沿った搬送方向(F)の長さLD2は、前記搬送物の1個分の前記搬送方向(F)の長さLDS以上の値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送物判別制御システム。
前記第1の計測エリア(ME1)、前記第2の計測エリア(ME2)及び前記制御エリア(MES)が一体のサーチエリア(SAS)として設定され、該サーチエリア(SAS)内の画像データに対して前記搬送物検出処理が実施されることを特徴とする請求項1、2又は5に記載の搬送物判別制御システム。
前記第1の計測エリア(ME1)を通過した前記搬送物(CA)の数(N)を係数する第1の搬送物係数手段と、前記第2の計測エリア(ME2)を通過した前記搬送物(CA)の数(M)、或いは、前記搬送物通過状態に対応する判定結果が得られた前記搬送物(CA)であって、前記第2の計測エリア(ME2)若しくは前記制御エリア(MES)を通過した前記搬送物(CA)の数(M)を係数する第2の搬送物係数手段とをさらに具備することを特徴とする請求項1、2、5、6のいずれか一項に記載の搬送物判別制御システム。
前記複数の撮影画像(GPX)のうち少なくとも前記第1の計測エリア(ME1)内の画像データを保存するデータ保存手段(MPU,MM)と、該データ保存手段(MPU,MM)により保存された過去の前記画像データを読みだして表示するデータ表示手段(MPU,DP1,DP2)とをさらに有し、
前記搬送物判定手段(MPU,RAM)は、前記データ保存手段(MPU,MM)によって保存された過去の前記画像データに対しても、前記画像計測処理を施して前記第1の計測エリア(ME1)内の少なくとも前記判定対象部分(CAs1〜CAs4)の画像に基づいて前記搬送物(CA)を判定することができるように構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の搬送物判別制御システム。
前記搬送路(121)は前記搬送物(CA)の搬送方向(F)に沿った方向に往復する態様で振動することによって前記搬送物(CA)を搬送するものであり、前記撮像手段(CM1,CM2)が静止している場合には、撮影時における前記搬送路(121)の振動による前記撮影画像(GPX)内の前記搬送路(121)に対する位置変動をなくすように前記撮影画像(GPX)内の前記第1の計測エリア(ME1)の位置を補正することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の搬送物判別制御システム。
前記搬送路(121)は前記搬送物(CA)の搬送方向(F)に沿った方向に往復する態様で振動することによって前記搬送物(CA)を搬送するものであり、前記撮像手段(CM1,CM2)が静止している場合には、撮影時における前記搬送路(121)の振動による前記撮影画像(GPX)内の前記搬送路(121)に対する位置変動をなくすように前記撮影画像(GPX)内の前記第1の計測エリア(ME1)及び前記第2の計測エリア(ME2)の位置を補正することを特徴とする請求項1、2、5〜8のいずれか一項に記載の搬送物判別制御システム。
前記搬送路(121)を振動させる加振手段(125)と、前記搬送物判定手段(MPU,RAM)による前記搬送物(CA)の判定結果に応じた判別態様に基づいて、前記加振手段(125)の駆動態様を制御する加振制御手段(CL12)と、をさらに具備することを特徴とする請求項11に記載の搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された搬送物判別制御システムにおいては、ワーク検出領域LAの範囲とワークWの形状との関係により透過型光電センサ6の出力値が決まってしまうため、図示例のような特殊な輪郭形状のワークでないと適用できず、模様やマークの有無のみが外観の差異点である場合には適用できないなど、ワークに関する適用範囲がきわめて狭いとともに、異なるワークに適用させるには、長孔71bの形状を変えたり、判別のための透過型光電センサの出力電位の閾値を変更、調整したりするなどの、煩雑な改造や調整作業が必要になるという問題点がある。また、この方法で正確な判定を行うためには、搬送物の位置を検知するために別途のセンサによりトリガ信号を検出する必要がある。
【0007】
一方、上記特許文献2のようにワークの画像を処理することによって判定を行うようにしたシステムでは、ワークの外観の種々の特徴点を用いて判別を行うことができるため、ワーク形状に対する適応性が高く、種々のワークの姿勢を判別することができるという利点がある。しかしながら、特許文献2で指摘されている画像処理時間を短縮するという課題は、近年のコンピュータの処理能力の向上により解決しやすくなってきたものの、画像処理時間の短縮と画像処理による判定精度とは負の相関を有するため、ワークの搬送速度の高速化に対応しつつ、如何に判定精度を高めるかが、依然として大きな課題となっている。また、この方法でも、正確な判定を高速に行うためにはワーク位置を示すトリガ信号を別途検出する必要がある。
【0008】
特に、電子部品においては、近年、大幅かつ急激な小型化が進行しているとともに、高速かつ高密度に供給することが要求されるようになってきているため、画像判定に用いることのできる時間的余裕が少なくなりつつある。また、高速かつ高密度の部品供給が行われるため、正規の姿勢でない部品や欠陥のある部品が供給されてしまうと、システムの停止などによる時間的損失が従来よりも大きくなるため、従来よりも高い判別精度が要求されるようになってきている。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、搬送物の撮影画像を処理することにより搬送物を判別し、判別した結果に応じて制御する搬送物判別制御システムにおいて、搬送速度の高速化に対応しつつ、画像判定による搬送物の判別精度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
斯かる実情に鑑み、本発明に係る搬送物判別制御システムは、搬送路(121)上の既定の場所で搬送物(CA)を既定の撮影間隔(Ts)で連続して撮影する撮像手段(CM1,CM2)と、前記搬送物(CA)が前記搬送路(121)上の制御エリア(MES,MER)を通過する
ようにする搬送物通過状態と前記搬送物(CA)が前記搬送路(121)上の前記制御エリア(MES,MER)で制御される
ようにする搬送物制御状態とが切り替え可能に構成された搬送物制御手段(OPS、OPR)と、前記撮像手段(CM1,CM2)により前記撮影間隔(Ts)で撮影された複数の撮影画像(GPX)のいずれかにおいて、前記搬送路(121)上の前記搬送物(CA)の搬送速度(Vs)と前記撮影間隔(Ts)との関係により、前記搬送路(121)を通過する全ての前記搬送物(CA)が常に含まれるように予め設定された範囲(LD1)を有するとともに前記制御エリア(MES,MER)の上流側に隣接して配置される第1の計測エリア(ME1)内の画像データに対して画像計測処理を施すことによって、前記搬送物(CA)が前記第1の計測エリア(ME1)内に配置されていることを検出する搬送物検出処理を行う搬送物検出手段(MPU,RAM)と、前記搬送物検出手段(MPU,RAM)により前記搬送物(CA)が前記第1の計測エリア(M
E1)内に配置されていることが検出されたときに、前記搬送物(CA)の少なくとも判定対象部分(CA1〜CA4)の画像に基づいて前記搬送物(CA)を判定する搬送物判定処理を行う搬送物判定手段(MPU,RAM)と、前記搬送物判定手段(MPU,RAM)による前記搬送物(CA)の判定結果に応じた判別態様に基づいて、前記搬送物制御手段(OPS、OPR)の前記
搬送物通過状態と前記
搬送物制御状態とを切り替えるシステム制御手段(MPU,RAM)と、を具備することを特徴とする。ここで、上記
搬送物制御状態とは、搬送物を反転させたり、排除したり、別の場所に導いたりする状態をいう。
【0011】
本発明によれば、撮像手段が既定の撮影間隔で連続して撮影するとともに、搬送物の搬送速度と撮影間隔との関係により搬送路を通過する全ての搬送物が常に含まれるように予め設定された範囲を有する第1の計測エリア内の画像データに対して画像計測処理を施すことにより、いずれかの撮影画像の第1の計測エリア内に配置された搬送物を検出することができるため、従来技術のように個々の搬送物の位置を検知するためのトリガ信号を生成する必要がなくなる。また、この画像に含まれる上記判定対象部分の画像データを処理することで判定対象部分に関する情報を確実に抽出することができる。したがって、搬送物が繋がって搬送されてくる場合などにおいて個々の搬送物の検知漏れを考慮する必要がないために事前に搬送物間に間隙を形成する必要がなくなるなどの理由により、搬送物の高速搬送や高密度搬送が容易になるとともに検出システムの全体構成を簡易に構成することができる。また、連続して撮影される複数の撮影画像のうちの予め設定された第1の計測エリア内の画像データのみを処理すれば足りるので、前記搬送物を判定するための画像計測処理を高速かつ高精度に行うことができる。
【0012】
本発明において、前記撮像手段(CM1,CM2)により前記撮影間隔(Ts)で撮影された複数の撮影画像(GPX)のいずれかにおいて、前記搬送路(121)上の前記搬送物(CA)の搬送速度(Vs)と前記撮影間隔(Ts)との関係により、前記搬送路(121)を通過する全ての前記搬送物(CA)の少なくとも一部の画像が常に含まれるように予め設定された範囲(LD2)を有するとともに前記制御エリア(MES)の下流側に隣接して配置される第2の計測エリア(ME2)内の前記搬送物(CA)の画像データに基づいて画像計測処理を施すことによって、前記搬送物(CA)が前記制御エリア(MES)を通過して下流側へ脱出したことを検出する搬送物通過検出手段(MPU,RAM)をさらに具備し、前記システム制御手段(MPU、RAM)は、先の前記搬送物(CA1)の判別態様が前記
搬送物通過状態に対応し、次の前記搬送物(CA2)の判別態様が前記
搬送物制御状態に対応するものであれば、前記搬送物通過検出手段(MPU,RAM)により前記先の搬送物(CA1)が前記制御エリア(MES)を通過して下流側へ脱出したことが検出されたときに、前記搬送物制御手段(OPS)の前記
搬送物通過状態から前記
搬送物制御状態への切り替えを行うことが好ましい。
【0013】
これによれば、第1の計測エリアを前記制御エリアの上流側に隣接して配置するとともに、前記制御エリアの下流側に隣接して配置された第2の計測エリアの画像データに対して搬送物通過検出手段により画像計測処理を施すことにより、搬送物が前記制御エリアを通過して下流側へ脱出したことを検出することができる。このため、搬送物判定手段により前記第1の計測エリアの搬送物の所定の判別態様(例えば、良品)に応じて前記搬送物制御手段を
搬送物通過状態としたとき、搬送物判定手段により次の搬送物が同じ所定の判別態様(例えば、良品)であるという判定結果が得られていない場合には、搬送物通過検出手段により上記と同じ所定の判別態様(例えば、良品)の搬送物が前記制御エリアを通過して下流側へ脱出したことが検出されたときに、システム制御手段により、搬送物制御手段を
搬送物通過状態から
搬送物制御状態に切り替えることができる。これにより、高速で高密度に搬送物が搬送されてくる場合においても、高速かつ確実に搬送物を制御することができる。
【0014】
本発明において、前記システム制御手段(MPU,RAM)は、前記搬送物判定手段(MPU,RAM)の判定結果において前記搬送物(CA)が所定の判別態様(例えば、良品)であるときに前記搬送物制御手段(OPS)を前記
搬送物通過状態として前記搬送物(CA)を通過させ、前記搬送物通過検出手段(MPU,RAM)により上記と同じ所定の判別態様(例えば、良品)の先の前記搬送物(CA1)が前記制御エリア(MES)を通過して下流側へ脱出したことが検出されるとともに前記搬送物判定手段により次の前記搬送物(CA2)が同じ判別態様(例えば、良品)であるという判定結果が得られていないときに前記搬送物制御手段(OPS)を前記
搬送物制御状態に戻し、その他のときには前記搬送物制御手段(OPS)を前記
搬送物制御状態に維持することが好ましい。これによれば、搬送物判定手段により所定の判別態様(例えば、良品)であるという判定結果が得られた搬送物のみが前記制御エリアを通過でき、それ以外の搬送物は前記制御エリアにて制御される。このため、搬送物が上記と異なる判別態様(例えば、不良)と判定された場合に限らず、検出漏れや判定ミスなどが生じた場合でも、上記の所定の判別態様(例えば、良品)以外の搬送物は前記制御エリアで必ず制御されるから、上記と異なる判別態様(例えば、不良)の搬送物がそのまま供給されるといった事態を確実に回避できる。
【0015】
本発明において、前記搬送物判定手段(MPU,RAM)は、前記搬送物検出手段(MPU,RAM)の前記搬送物検出処理により前記搬送物(CA)が前記第1の計測エリア(ME1)内に配置されていることが検出されないときには、前記搬送物(CA)の前記判定対象部分(CAs1〜CAs4)に対して行う前記搬送物判定処理を実施しないことが好ましい。本発明では、上述のように、原点センサなどによる搬送物の位置検出を行わずに所定の間隔で連続して撮影を行うので、搬送物の間に隙間が生ずることなどにより撮影画像の第1の計測エリア内に搬送物の画像が含まれていない場合が発生しうる。そして、この場合には第1の計測エリア内では搬送物判定手段による判定ができない。このため、判定対象部分の画像が第1の計測エリア内に含まれていることを検出する搬送物検出処理を実施し、搬送物が第1の計測エリア内に配置されているときにのみ搬送物判定処理を実施し、そうでなければ搬送物判定処理を実施しないことにより、第1の計測エリア外での処理が不要になるとともに、無駄な判定処理を省略することができる。
【0016】
本発明において、前記第1の計測エリア(ME1)の前記搬送路(121)に沿った搬送方向(F)の長さLD1は、前記搬送物の1個分の前記搬送方向(F)の長さをLDS、前記撮影周期をTs、前記搬送速度をVsとすれば、n=1〜10の自然数としたとき、
LD1≧LDS+n×α=LDS+n×Ts×Vs
が成立する値を有することが好ましい。これによれば、全ての搬送物がいずれかの画像データにおいて常に第1の計測エリア内に配置された状態で搬送物検出手段により検出され、搬送物判定手段により判定されるため、どのような搬送物であっても確実に判定することができる。ここで、nは3〜7の範囲内であることがさらに望ましい。
【0017】
本発明において、前記第2の計測エリア(ME2)の前記搬送路(121)に沿った搬送方向(F)の長さLD2は、前記搬送物の1個分の前記搬送方向(F)の長さLDS以上の値であることが好ましい。これにより、搬送物が第2の計測エリア(ME2)において検出されなくなった時点で制御エリアを通過し、脱出した状態となるので、搬送物が制御エリアを通過し、脱出したことを検出することができる。特に、LD2≧LDS+n×α=LDS+n×Ts×Vs(n=1〜10)であることが望ましい。これによれば、1個の搬送物が第2の計測エリア内に配置された状態を、搬送物検出処理により検出すれば、搬送物が制御エリアを通過して下流側へ脱出したことがわかる。
【0018】
本発明において、前記第1の計測エリア(ME1)、前記第2の計測エリア(ME2)及び前記制御エリア(MES)が一体のサーチエリア(SAS)として設定され、該サーチエリア(SAS)内の画像データに対して前記搬送物検出処理が実施されることが好ましい。これによれば、搬送物が上流側から下流側へ移動する過程に応じて、制御エリア(MES)を含め、その両側にわたるサーチエリア内の任意の場所で搬送物を検出し、その位置を特定することが可能になる。
【0019】
本発明において、前記第1の計測エリア(ME1)を通過した前記搬送物(CA)の数(N)を係数する第1の搬送物係数手段と、前記第2の計測エリア(ME2)を通過した前記搬送物(CA)の数(M)、或いは、前記
搬送物通過状態に対応する判定結果が得られた前記搬送物(CA)であって、前記第2の計測エリア(ME2)若しくは前記制御エリア(MES)を通過した前記搬送物(CA)の数(M)を係数する第2の搬送物係数手段とをさらに具備することが好ましい。これによれば、第1の搬送物係数手段により制御エリアに進入してきた搬送物の数(導入数N)を係数でき、第2の搬送物係数手段により制御エリアを通過した搬送物の数(通過数若しくは良品数M)を係数できるため、良品率、供給率などを求めることが可能になる。
【0020】
本発明において、前記複数の撮影画像(GPX)のうち少なくとも前記第1の計測エリア(ME1)及び前記第2の計測エリア(ME2)内の画像データを保存するデータ保存手段(MPU,MM)と、該データ保存手段(MPU,MM)により保存された過去の前記画像データを読みだして表示するデータ表示手段(MPU,DP1,DP2)とをさらに有し、前記搬送物判定手段(MPU,RAM)は、前記データ保存手段(MPU,MM)によって保存された過去の前記画像データに対しても、前記画像計測処理を施して前記第1の計測エリア(ME1)内の少なくとも前記判定対象部分(CAs1〜CAs4)の画像に基づいて前記搬送物(CA)を判定することができるように構成されていることが好ましい。なお、上記の保存される画像データとしては、前記第1の計測エリア(ME1)及び前記第2の計測エリア(ME2)内に限らず、前記制御エリア(MES)を含めたサーチエリア(SAS)全体の画像データであることが好ましい。また、このような限定された範囲の画像データではなく、撮影画像(GPX)、若しくは、所定の画像エリア(GPY)内の画像データであることが、搬送物の搬送態様をより広範囲に確認できる点でより好ましい。この場合において、前記搬送物判定手段(MPU,RAM)により実行される前記画像計測処理の設定を変更する手段をさらに有することが好ましい。この場合には、前記画像データに対する画像計測処理の態様を再設定した上で、画像計測処理(搬送物検出処理及び搬送物判定処理)を再実行することにより、判定結果を確認しながら画像計測処理の調整作業を容易に行うことができる。
【0021】
本発明において、前記搬送路(121)は前記搬送物(CA)の搬送方向(F)に沿った方向に往復する態様で振動することによって前記搬送物(CA)を搬送するものであり、前記撮像手段(CM1,CM2)が静止している場合には、撮影時における前記搬送路(121)の振動による前記撮影画像(GPX)内の前記搬送路(121)に対する位置変動をなくすように前記撮影画像(GPX)内の前記第1の計測エリア(ME1)の位置を補正することが好ましい。これによれば、搬送体の振動による撮影画像の画像処理領域における搬送路に対する位置ずれを解消することができるため、当該位置ずれによる画像処理位置のずれが防止され、搬送路上の一定位置で搬送物検出処理及び搬送物判定処理を実施することができる。したがって、上記位置ずれによる搬送物の制御不良などを回避でき、搬送物の制御を確実で正確な態様で実施できる。なお、制御エリア(MES)や前記第2の計測エリア(ME2)についても同様の補正を行うことが望ましい。
【0022】
この場合において、前記搬送物判定手段(MPU,RAM)は、前記撮影画像(GPX)内に撮像された前記搬送路(121)上の特定箇所の位置を前記画像計測処理により検出し、当該位置に応じて前記第1の計測エリア(ME1)、前記第2の計測エリア(ME2)、又は、前記制御エリア(MES)の位置を補正することが望ましい。搬送路の振動による各エリアの搬送路に対する位置ずれ量を、予め設定された搬送路の振動幅及び振動周期の値を用いて撮影時ごとに算出し、当該位置ずれ量に応じて撮影画像内の各エリアの位置を補正してもよいが、撮影画像内の搬送路上の特定箇所の位置を画像処理により検出することで、撮影画像内に表れた実際の搬送体の振動態様に対応した補正を行うことができるため、各エリアの位置を確実かつ高精度に設定することができる。搬送路上の特定箇所としては、搬送路上に表示された位置表示マークを用いることができる。
【0023】
次に、本発明に係る搬送装置は、前記搬送路(121)を備えた搬送手段(12,CL12)と、上記搬送物判別制御システム(CM1,CM2,DTU,DP1、DP2,SP1,SP2)とを具備することを特徴とする。
【0024】
本発明において、前記搬送路(121)を振動させる加振手段(125)と、前記搬送物判定手段(MPU,RAM)による前記搬送物(CA)の判定結果に応じた判別態様に基づいて、前記加振手段(125)の駆動態様を制御する加振制御手段(CL12)と、をさらに具備することが好ましい。この制御の対象となる駆動態様としては、加振手段の駆動の停止、加振手段の駆動周波数や駆動電圧の変更などが挙げられる。これにより、搬送物の搬送態様(搬送速度、搬送姿勢の安定性など)を調整することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、搬送物の撮影画像を処理することにより搬送物を判定し、その判定結果に応じた判別態様に基づいて制御する搬送物判別制御システムにおいて、搬送速度の高速化に対応しつつ、画像判定による部品の判別精度を高めることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、
図1を参照して、本発明に係る実施形態の全体構成について説明する。
図1は、搬送装置10の駆動制御系と、搬送装置10の搬送物判別制御システムの構成とを示す概略構成図である。
【0028】
搬送装置10は、螺旋状の搬送路111を有するボウル型の搬送体110を備えたパーツフィーダ11と、このパーツフィーダ11の上記搬送路111の出口から搬送物を受け取るように構成された入口を備えた直線状の搬送路121を有する搬送体120を備えたリニアフィーダ12とを具備する振動式搬送装置である。本実施形態の搬送物判別制御システムでは、リニアフィーダ12の搬送体120の搬送路121上の搬送物CAを撮影画像GPXに基づいて検査、判定する。なお、本発明において、振動式搬送装置に限られない構成については、搬送物CAが搬送路に沿って搬送される各種の搬送装置に用いることができる。また、振動式搬送装置であっても、上記パーツフィーダ11とリニアフィーダ12の組み合せに限定されるものではなく、循環式パーツフィーダなどの他の形式の搬送装置に用いることが可能である。さらに、上記の組み合せにあっても、リニアフィーダ12の搬送路121上の搬送物CAを検査するものに限らず、パーツフィーダ11の搬送路111上の搬送物CAを検査するものであっても構わない。
【0029】
パーツフィーダ11はコントローラCL11によって駆動、制御される。また、リニアフィーダ12はコントローラCL12によって駆動、制御される。これらのコントローラCL11、CL12はパーツフィーダ11やリニアフィーダ12の加振手段(電磁駆動体や圧電駆動体などを含む。)を交流駆動し、搬送体110,120を搬送路111,121上の搬送物CAが所定の搬送方向Fに移動する態様となるように振動させる。また、コントローラCL11、CL12は、搬送物判別制御システムの主体となる画像処理機能を有する検査処理ユニットDTUに入出力回路(I/O)を介して接続されている。
【0030】
また、コントローラCL11,CL12は、下記の動作プログラムを実行する後述する演算処理装置MPUに対して、マウスなどの後述する操作入力装置SP1,SP2などを介して所定の操作入力(デバッグ操作)が行われると、上記の動作プログラムに従って搬送装置10の駆動を停止する。このとき、上記の動作プログラムに従って、例えば、検査処理ユニットDTUにおける画像計測処理も停止される。このデバッグ操作及び当該操作に応じた各所の動作については後に詳述する。
【0031】
検査処理ユニットDTUは、パーソナルコンピュータ等の演算処理装置MPU(マイクロプロセシングユニット)を中核構成とし、図示例では、上記演算処理装置MPUは、中央処理ユニットCPU1,CPU2、キャッシュメモリCCM、メモリコントローラMCL、チップセットCHSなどから構成される。また、この検査処理ユニットDTUには、撮像手段であるカメラCM1,CM2にそれぞれ接続された画像処理を行うための画像処理回路GP1,GP2が設けられている。これらの画像処理回路GP1,GP2はそれぞれ画像処理メモリGM1,GM2に接続されている。画像処理回路GP1,GP2の出力は上記演算処理装置MPUにも接続され、カメラCM1,CM2から取り込んだ撮影画像GPXの画像データを処理し、適宜の処理画像(例えば後述する画像エリアGPY内の画像データ)を演算処理装置MPUに転送する。主記憶装置MMには予め搬送物判別制御システムの動作プログラムが格納されている。検査処理ユニットDTUが起動されると、演算処理装置MPUにより上記動作プログラムが読み出されて実行される。また、この主記憶装置MMには、演算処理装置MPUにより、後述する画像計測処理を実行した対象となる撮影画像GPX若しくは画像エリアGPYの画像データが保存される。
【0032】
また、検査処理ユニットDTUは、入出力回路(I/O)を介して液晶モニタ等の表示装置DP1,DP2や操作入力装置SP1,SP2に接続される。表示装置DP1,DP2は、上記演算処理装置MPUによって処理された撮影画像GPX若しくは画像エリアGPYの画像データ、画像計測処理の結果、すなわち、搬送物検出処理や搬送物判定処理の結果などが、所定の表示態様で表示される。なお、この表示機能は、実際に搬送物が搬送されている場合に限らず、後述するように、過去のデータを読みだして再生している場合にも機能する。また、表示装置DP1,DP2の画面を見ながら操作入力装置SP1,SP2を操作することにより、各種の操作指令、設定値などの処理条件を上記演算処理装置MPUに入力することができる。
【0033】
次に、本実施形態における上述の搬送物判別制御システムを用いた搬送装置10における搬送物CAの基本的な検出方法及び判定方法の例について説明する。
図2は、本実施例における搬送物CAの形状及び搬送路121上の搬送姿勢を示す説明図である。図示例において、搬送物CAは、略立方体形状(例えば、立方体の8つの角部を丸めた形状)を有する電子部品(例えば、チップ抵抗、チップインダクタ、チップコンデンサなど)である。この搬送物CAは、相互に直交する搬送面121a,121bを備えた搬送路121上において、長手方向軸(主軸)を搬送方向Fに向けた姿勢で搬送される。搬送物CAの前後両端には金属製の端子部CAaが露出し、その間の側面部分には絶縁材からなる白色面CAb及び方向識別マークである黒色面CAcが露出している。この搬送物CAの正規の搬送姿勢は、先端面CAt5を搬送先(下流側、図示左側)に向け、後端面CAt6を搬送元(上流側、図示右側)に向けた姿勢であって、四つの側面CAs1〜CAs4のうち、搬送先の側に白色面CAb、搬送元の側に黒色面CAcが表れる側面CAs1が上方を向く姿勢であり、全体が白色面CAbである側面CAs2が搬送路121の開放された側の側方を向く姿勢となる。
【0034】
なお、
図2及び
図3では、搬送路121の搬送面121aが相対的に急峻な面であり、搬送面121bが相対的になだらかな面であって、カメラCM1,CM2が図示下方の手前側(すなわち搬送面121bの手前上方側)から斜めに撮像したときの画像を示している。このため、搬送物CAにおいて、搬送路121上における図示上側に配置された側面(搬送面121a側に配置される側面)が上方を向く面(以下、単に「上方側面」という。)であり、図示下側に配置された側面(搬送面121b側に配置される側面)が側方を向く面(以下、単に「側方側面」という。)である。
図2中の左端にある搬送物CAについて言えば、上方側面が側面CAs1であり、側方側面が側面CAs2である。
【0035】
図3は、
図2に示す搬送物CAの搬送姿勢が正規のものであるか否かを判定するための計測エリアの設定例を説明するための説明図(a)〜(c)である。カメラCM1,CM2によって撮影された撮影画像GPXは、上記画像処理回路GP1,GP2によって適宜に処理され、
図3(a)に示すように、搬送路121上の搬送方向Fと直交する方向について必要な範囲である画像幅GPWに含まれる画像データのみが取り込まれる。また、撮影画像GPXのうちの搬送方向Fに沿った範囲についても、図示のように画像長GPLに限定した範囲で画像データを取り込むようにしてもよい。このように撮影画像GPXから、実際に取り込まれ、演算処理装置MPUに転送される画像エリアGPYを限定することによって、取込速度及び転送速度を向上させることができる。本実施形態の画像エリアGPYは、
図3(a)に示すように搬送方向Fに長い矩形領域となる。
【0036】
本実施形態では、上記動作プログラムに組み込まれて実行される検査処理コンポーネントに従って行われる画像計測処理によって、搬送物CAに対して検出及び判定が行われる。この画像計測処理は、
図3(a)に示す上記画像エリアGPYの全体にわたり行われるのではなく、この画像エリアGPYの一部の限定された領域のみに対して行われる。本実施形態では、画像エリアGPYの中にサーチエリアSASが設定されている。このサーチエリアSASには、搬送物CAを選別するための制御エリアMESが含まれる。制御エリアMESは、図示例の場合には搬送物CAの選別処理のためのエリアであり、搬送路121上を通過させるか、或いは、搬送路121上から排除するかによって、搬送物CAを選別し、所望の搬送物CAのみを下流側へ送り出すための領域である。搬送物CAの選別処理については、上記のサーチエリアSAS内の画像データのみが上記画像計測処理の対象となる。
【0037】
サーチエリアSASには、
図3(b)に示すように、上記制御エリアMESの上流側に隣接する第1の計測エリアME1と、上記制御エリアMESの下流側に隣接する第2の計測エリアME2とがさらに含まれる。ここで、制御エリアMESは、搬送物CAが中心位置CLNに形成された
排除用噴気口OPSによって排除され得る搬送路121上の領域である。また、第1の計測エリアME1は、上記サーチエリアSASの内部であって、上流側から搬送されてきた搬送物CAが
排除用噴気口OPSによって排除されない領域である。さらに、第2の計測エリアME2は、上記サーチエリアSASの内部であって、制御エリアMESを通過して下流側へ脱出したときの、搬送物CAが
排除用噴気口OPSによって排除されない領域である。
【0038】
サーチエリアSAS内では、上記画像計測処理において、予め登録された搬送物CAの画像(以下、単に「基準画像」という。)と対応する外縁形状を備えた画像(以下、単に「検出画像」という。)が存在するか否かが検索される。検出画像が存在する場合には、検出画像が占める領域の位置を搬送物検出領域WDSとして特定する。これが搬送物検出処理である。搬送物検出処理は、搬送物CAの姿勢や欠陥を検出する必要はなく、搬送物CAの存在及び位置を検出するだけでよいので、搬送物CAの外形などのパターン形状や外形の内側の平均明度などの一致度を求め、これを所定の閾値と比較して検出の有無を決定する。また、検出時においては、サーチエリアSAS内におけるパターン形状の位置を算出し、上述のように搬送物検出領域WDSを特定する。なお、搬送物検出処理では、上述の外形などのパターン形状の一致度を判定要素とするだけでもよいが、上述のように外形の内側の平均明度などの一致度をも判定要素とすることにより、搬送物CAの検出精度を高めることができる。例えば、照明方向と部品姿勢との関係により、搬送物CAの明度が全体として暗くなってしまうと、画像の背景との区別が付きにくくなるために検出漏れが生じやすくなるが、平均明度の閾値を低く設定することによって検出漏れを低減できる。
【0039】
上記の搬送物検出処理において、搬送物検出領域WDSが第1の計測エリアME1内にある場合には、以下に説明する搬送物判定処理が引き続いて行われる。また、搬送物検出領域WDSが制御エリアMES及び第2の計測エリアME2内にあるときには、そのまま計測を実施し、制御エリアMES及び第2の計測エリアME2内の搬送物検出領域WDSがなくなった時点で、搬送物通過検出信号を出力する搬送物通過検出処理を実施する。なお、後述するように、或る一つの搬送物CAが第1の計測エリアME1内に配置されている様子が複数の撮影画像GPXに撮影されている場合には、その都度、搬送物検出処理を実施して搬送物検出領域WDSを導出するが、以下の搬送物判定処理は1回(例えば、初回)のみ実施するようにしてもよい。
【0040】
搬送物判定処理は以下のように実施される。まず、上記のように特定された搬送物検出領域WDSを基準として、
図3(c)に示すように、第1の判定エリアGWAと、第2の判定エリアGWBの位置決めを行い、その明度により側面CAs1〜CAs4に対応するか否かを検出する。例えば、第1の判定エリアGWAが搬送物CAの上方側面上に配置され、第2の判定エリアGWBが搬送物CAの側方側面上に配置される。本実施形態では、上方側面が側面CAs1であり、側方側面が側面CAs2である場合に搬送物CAが正規の姿勢で搬送されている状態であると設定されている。このとき、第1の判定エリアGWAは、側面CAs1を検出するために、搬送方向Fに伸びる細長い判定補助エリアGWA1と、上流側に配置された判定補助エリアGWA2と、下流側に配置された判定補助エリアGWA3とを有する。判定補助エリアGWA1は、側面CAs1の白色面CAbと黒色面CAcの境界を搬送方向Fのエッジ検出処理によって検出し、この検出されたエッジを境界位置として判定補助エリアGWA2及びGWA3の位置を補正する。その後、位置補正された判定補助エリアGWA2及びGWA3の明度を所定の閾値と比較することなどにより、それぞれの明度が正規の姿勢にある搬送物CAと一致するか否かを判定する。図示例では、判定補助エリアGWA2が白色面CAbを検出し、判定補助エリアGWA3が黒色面CAcを検出すると、搬送物CAが正規の姿勢にある良品と判定される。なお、搬送物CAの判別態様(良否の判別)は、姿勢に限らず、形状や寸法等の良不良などであってもよい。
【0041】
第2の判定エリアGWBは、側方側面が側面CAs2(全て白色面CAbである側面)であるか否かを判定する。この場合にも、第2の判定エリアGWBの明度が所定の閾値よりも高いことなどによって判定を行うことができる。なお、第1の判定エリアGWAと第2の判定エリアGWBの双方を判定することによって判定対象の画像データから得られた取得情報に冗長性を持たせることができるので、画像の明るさなどのばらつきによる誤判定を回避できるなど、判別精度を高めることができる。
【0042】
一方、上記画像エリアGPYには、上記サーチエリアSASとは別の位置(図示例では、サーチエリアSASよりも上流側の位置)に、搬送物CAを反転させるための反転処理を行うか否かを決定するための判定エリアGV1、GV2が設けられる。第1の判定エリアGV1及び第2の判定エリアGV2は、搬送物CAの上方側面が通過する位置に配置されている。第1の判定エリアGV1は、搬送物CAの上方側面が、上記黒色面CAcを含む上記側面CAs1でない場合、すなわち、全体が白色面CAbである側面CAs2〜CAs4である場合(例えば、所定の閾値よりも明るい場合)に判定結果NGを出力し、端子部CAaが含まれていたり、側面CAs1などであったりする場合(例えば、所定の閾値より暗い場合)に判定結果PASSを出力する。また、第2の判定エリアGV2は、第1の判定エリアGV1よりも搬送方向Fに狭い領域である。この第2の判定エリアGV2内において搬送方向Fの走査によりエッジが検出されると、密着して搬送されてきた前後の搬送物CAの境界が配置されているとし、やはり判定結果をPASSとする。そして、判定結果がNGであるときにのみ、反転用噴気口OPRから気流を噴出させ、搬送物CAの上方側面が他の側面となるように反転させる。このようにすることで、第1の判定エリアGV1内に上方側面が配置され、かつ、この上方側面が側面CAs2〜CAs4であるときにのみ、搬送物CAの姿勢を変更することができる。
【0043】
本実施形態では、カメラCM1,CM2は、予め設定された既定の撮影周期で連続して撮影を実行し、当該撮影周期ごとに撮影画像GPX若しくは上記画像エリアGPY内の画像データが画像処理装置GP1,GP2を介して上記演算処理装置MPUに転送される。演算処理装置MPUでは、転送された上記画像データのうち、演算処理用メモリRAMを用いて、サーチエリアSAS内の画像データを上述のように処理し、検出及び判定を行う。ただし、本実施形態では、別途トリガセンサを設けたり、搬送物CAの画像データ中から搬送物CAの所定の形状パターンを所定の領域内でサーチし、当該形状パターンが検出されたときに内部トリガを発生させたりするのではなく、既定の撮影周期を示す外部トリガを導入したり、演算処理装置MPUから一定周期のトリガ信号をカメラCM1,CM2に出力したりするなどの方法で、既定の撮影周期で連続して撮影を実行している。このため、搬送路121上を搬送されてくる全ての搬送物CAの少なくとも判定対象部分(本実施形態では端子部CAaを除く側面CAs1〜CAs4の表面部分に相当するが、搬送物CAの外観全体であってもよい。)を検出し、漏れなく判定しようとすれば、全ての搬送物CAの上記検出対象部分が、いずれかの撮影画像GPX又は画像エリアGPYにおいて、第1の計測エリアME1内に含まれるようにする必要がある。
【0044】
また、本実施形態では、サーチエリアSAS内において、搬送物検出領域WDSを特定するために搬送物検出処理を行うが、この搬送物検出処理では、第1の計測エリアME1内においては、当該エリア内に搬送物CAの全体が含まれているときに検出したものとしている。したがって、第1の計測エリアME1内で搬送物CAの位置を検出するためには、いずれかの画像データにおいて全ての搬送物CAの全体が第1の計測エリアME1内に含まれた状態となるように設定する必要がある。
【0045】
そこで、撮影周期をTs[sec]、搬送物CAの搬送方向Fの長さをLDS[mm]、搬送物CAの搬送速度をVs[mm/sec]とした場合、全ての搬送物CAの画像が必ずいずれかの画像データの上記第1の計測エリアME1内に含まれるようにするためには、第1の計測エリアME1の搬送方向Fの範囲LD1を以下の式(1)のように設定する。
LD1≧LDS+α=LDS+Ts×Vs…(1)
例えば、搬送物CAの搬送方向Fの長さLDSが0.6[mm]、搬送速度Vsが50[mm/sec]、撮影周期Tsが1[msec]であるとすれば、LDS=0.6[mm]、α=0.05[mm]であり、LD1≧0.65[mm]となる。また、撮影周期Tsを0.5[msec]とすれば、LDS=0.6[mm]、α=0.025とすることで、LD1≧0.625[mm]となる。
【0046】
実際には、搬送物CAの搬送速度には、個体ごとに、場所により、或いは、経時的に、ばらつきが存在するため、搬送物CAの全体若しくは一部が2回以上、好ましくは3回以上の画像データに撮影されるように設定することが望ましい。一般的には、n(nは自然数)回以上の画像データに撮影されるようにするには、
LD1≧LDS+n×α=LDS+n×Ts×Vs…(2)
が成立するようにLD1を設定する。本実施形態の場合には、nを3〜7の範囲になるように設定している。これは、nが小さくなると搬送速度のばらつきによる搬送物CAの撮影漏れが生ずる虞が高くなり、逆にnが大きくなると画像処理の負荷が増大するからである。一般的には、自然数nは1〜10の範囲内であることが好ましい。なお、本実施形態では画像処理時間は一般的に150〜300μsec程度である。また、撮影間隔Tsは500〜840[μsec]程度である。
【0047】
また、本実施形態の場合には、上述のように搬送物CAが第1の計測エリアME1に到達することを検知するトリガ信号を用いないので、或る撮影画像GPX又は画像エリアGPYの第1の計測エリアME1内に搬送物CAやその判定対象部分CAs1〜CAs4がそもそも全く配置されていない場合も生じ得る。そこで、第1の計測エリアME1内の画像計測処理に際しては、搬送物CAの少なくとも判定対象部分CAs1〜CAs4の画像が第1の計測エリアME1内に含まれているか否かを検出する、上述の搬送物検出処理を実施する。そして、この搬送物検出処理で所定の条件で搬送物が検出されたとき、すなわち、上述の例では、搬送物CAの全体が第1の計測エリアME1内に含まれているときに、上記搬送物判定処理を実施し、そうでなければ、搬送物判定処理は実施しない。なお、第1の計測エリアME1内において複数回同じ搬送物CAが検出される場合には、1回(例えば、初回)のみ搬送物判定処理を実施し、他の回は搬送物判定処理を省略してもよい。
【0048】
一方、制御エリアMES及び第2の計測エリアME2においては、上記の搬送物検出処理のみを実施し、上記の搬送物判定処理を実施しない。そして、搬送物通過検出処理が実施され、制御エリアMES及び第2の計測エリアME2内において搬送物CAが検出された後に、その搬送物CAが検出されなくなった時点で、当該搬送物CAが制御エリアMESを通過して下流側へ脱出したことが検出されたとして、上記の搬送物通過検出信号を出力する。なお、第2の計測エリアME2は搬送物CAの長さLDSと同じでもよいが、それ以上、例えば、LDS+n×α(n=1)を越える長さに設定している場合には、搬送物CAの全体が第2の計測エリアME2内で検出された時点で、搬送物通過検出信号を出力するようにしてもよい。なお、搬送物CAの少なくとも一部が第2の計測エリアME2から脱したときに搬送物通過検出が行われる場合には、第2の計測エリアME2の搬送方向Fの範囲LD2を、搬送物CAが第2の計測エリアME2を脱する前に制御エリアMESを脱する値となるように予め設定しておくことが必要となる。
【0049】
図4及び
図5は、カメラCM1で撮影された撮影画像GPX又はこれから得られる画像エリアGPY内の画像データに基づいて、所定の態様で搬送されてくる搬送物CAに対する制御及び処理の態様を説明するための手順説明図(a)〜(f)である。
図4は、複数の搬送物CAが互いに長さLDS程度の間隔で離間した態様で搬送されてくる場合について示す。この場合には、
図4(a)に示すように搬送物CA1がサーチエリアSAS(第1の計測エリアME1)内に進入し、その後に、
図4(b)に示すように、搬送物CAの全体がサーチエリアSAS(第1の計測エリアME1)に入ると、搬送物検出処理により搬送物検出領域WDSの位置が特定される。その後に、特定された搬送物検出領域WDSの位置を基準として、上述の判定エリアGWA及びGWBを用いた搬送物判定処理が実施される。この搬送物判定処理において搬送物CA1が良品であると判定されれば、先行する不良品が制御エリアMES内に配置されていない限り、排除用噴気口OPSからの気流が停止される。
【0050】
その後、
図4(c)〜(e)に示すように、画像が撮影されるたびに搬送物CA1は徐々に移動し、第1の計測エリアME1から制御エリアMESへ移行し、その後に、制御エリアMESから第2の計測エリアME2へ移行する。このとき、撮影された各画像データに対して搬送物検出処理が実施され、その都度、搬送物検出領域WDSの位置が特定される。ここで、排除用噴気口OPSから搬送物CA1へ向かう気流は、搬送物CA1が第1の計測エリアME1から制御エリアMESへ移行する前に停止され、また、搬送物CA1が制御エリアMESから第2の計測エリアME2へ移行した後に復帰する。
【0051】
上記の間に、
図4(e)に示すように、次の搬送物CA2がサーチエリアSAS(第1の計測エリアME1)に入ってくると、上記搬送物CA1と同様に、
図4(f)に示すように、搬送物CA2の全体がサーチエリアSAS(第1の計測エリアME1)に入ったときに搬送物検出処理により搬送物CA2が検出され、その搬送物検出領域WDAの位置が特定される。そして、この搬送物検出処理に引き続いて上記と同様に搬送物判定処理が行われる。この判定結果が不良品であれば、排除用噴気口OPSから噴出される気流は停止されず、そのまま、搬送物CA2が制御エリアMESに入ると、気流により搬送物CA2は搬送路121上から排除される。
【0052】
図5は、複数の搬送物CAが高密度の配列態様で(すなわち、互いに密着して、或いは、長さLDSの半分以下の小さな間隔で)搬送されてくる場合について示す。この場合には、
図5(a)に示すように搬送物CA1がサーチエリアSAS(第1の計測エリアME1)内に進入し、その後に、
図5(b)に示すように、搬送物CAの全体がサーチエリアSAS(第1の計測エリアME1)に入ると、搬送物検出処理により搬送物検出領域WDSの位置が特定される。その後に、特定された搬送物検出領域WDSの位置を基準として、上述の判定エリアGWA及びGWBを用いた搬送物判定処理が実施される。この搬送物判定処理において搬送物CA1が良品であると判定されれば、先行する不良品が制御エリアMES内に配置されていない限り、排除用噴気口OPSからの気流が停止される。
【0053】
図5の場合には、搬送物CA1が制御エリアMESに入る前に次の搬送物CA2が第1の計測エリアME1に進入するが、第1の計測エリアME1の範囲LD1は搬送物の長さLDSの2倍未満であるため、
図5(c)及び(d)に示すように、搬送物CA1が制御エリアMESに入った後でなければ、次の搬送物CA2の全体が第1の計測エリアME1に入って搬送物検出処理により搬送物検出領域WDSが検出され、その位置が特定されることはない。次の搬送物CA2が検出され、その判定結果が出るときには、先の搬送物CA1は既に制御エリアMES内にあり、そのために排除用噴気口OPSからの気流は停止された状態にある。図示の場合には、次の搬送物CA2の判定結果は不良品であるが、先の搬送物CA1が制御エリアMESを脱出していないため、まだ気流を復帰させることはできない。気流を復帰させるタイミングは、先の搬送物CA1が制御エリアMESを脱出したとき以降、例えば、
図5(e)や
図5(f)に示される時点である。このとき、次の搬送物CA2は未だ制御エリアMES内に配置されているため、当該搬送物CA2は気流によって搬送路121上から排除される。
【0054】
さらに、その次の搬送物CA3が第1の計測エリアME1に進入し、上記と同様に検出され、搬送物検出領域WDAの位置が特定されると、上記と同様に搬送物判定処理が実施される。このとき、搬送物CA3が良品であれば、搬送物CA3が制御エリアMESに入る前に気流が停止される。ここで、気流は、良品が判定されない限り継続して発生し続けるが、この気流が生じている状態では、気流の停止は対象となる搬送物、すなわち良品である搬送物CAが制御エリアMESに入る前に行われる。したがって、第1の計測エリアME1で搬送物検出処理及び搬送物判定処理により良品の搬送物CAが確認されたときに気流の停止を行えばよい。これに対し、気流が停止された状態からの気流の復帰は、気流が停止された原因となる搬送物、すなわち良品である搬送物CA1が制御エリアMESから脱出した後に行われなければならない。この搬送物CA1が制御エリアMESから脱出する時点は上記の搬送物通過検出処理(搬送物通過検出信号)によって判明するので、当該検出若しくは信号によって気流が復帰されるように設定すればよい。
【0055】
なお、
図1に示す画像表示装置DP1、DP2などにおいて、適宜に形成される画像表示欄では、上記画像エリアGPY内の画像データを表示するとともに、上記のサーチエリアSAS、又は、第1の計測エリアME1、第2の計測エリアME2、制御エリアMESなどの各領域を枠線等によって表示することができる。ここで、上記に加えて、或いは、上記とは別に、搬送物検出処理による搬送物検出領域WDS、搬送物判定処理に用いる判定エリアGWA、GWB、反転用噴気口OPRを制御するための搬送物判定処理に用いる判定エリアGV1、GV2の少なくとも一つを、枠線等によって表示することができる。これらの場合には、各枠線等の表示の色や線種などの区別可能な表示態様で、判定結果が識別できるように構成してもよい。例えば、搬送物判定処理でOK判定(判別態様が良品)となった場合には、その枠線等を第1表示態様(例えば緑色表示)にする。また、搬送物判定処理でNG判定(判別態様が不良品)となった場合には、その枠線等を第2表示態様(例えば赤色表示)とする。なお、各表示態様は上記例の色彩に限らず、実線、点線、破線、一点鎖線などの線種、太さであってもよいなど、相互に区別できる態様であれば特に限定されない。
【0056】
本実施形態では、振動式の搬送装置10により、振動する搬送路121上を搬送されていく搬送物CAを検査対象とする一方で、カメラCM1,CM2は振動しない場所(基台100上)に設置されているため、撮影画像GPX又は画像エリアGPYの画像データにおいて、搬送方向Fの前後に往復する態様で所定の振幅で振動する搬送路121は、当該画像データの撮影時の振動位相の変化に応じて、変位した位置に配置される。したがって、搬送物CAの外観を、搬送路121を基準とする固定された位置で検出、判定しようとすると、画像内のサーチエリアSASや各計測エリアME1,ME2の位置を、撮影タイミングに合わせて搬送体120の振動と同期して同振幅で移動させる必要がある。例えば、搬送体120には、振幅が0.1mm、振動周波数が300Hzといった振動が与えられている。
【0057】
このため、本実施形態では、サーチエリアSASや各計測エリアME1,ME2の位置を、撮影画像GPX又は画像エリアGPYの撮影時点における搬送体120の振動位置に合わせるために、搬送体120に設定された位置補正用マーク(図示せず)を基準として補正することができる。この位置補正用マークは位置検出が容易かつ確実なものであれば特に限定されないが、画像中で確実にブロブとして認識でき、かつ、その重心位置を安定して検出できる単色(同一グレースケール)のマークとすることで、その位置の検出精度を高めることができる。なお、位置補正用マークは、意図的に設けたものではなく、搬送装置に本来的に存在し、画像処理によって検出可能な部分、例えば、搬送体120に形成された稜線や角部、ボルトヘッド、噴気口などであってもよい。ただし、搬送物CAによって隠れない場所にあるものが好ましい。
【0058】
本実施形態においては、上記の位置補正のため、搬送路121に対するサーチエリアSASや各計測エリアME1、ME2の位置は、撮影時の振動の位相タイミングとは無関係に、常に搬送路121に対して同じ位置となる。したがって、例えば、不良姿勢の搬送物CAを排除するための排除エアを排除用噴気口OPSから吹き付ける位置、或いは、不良姿勢の搬送物CAの姿勢を修正するための反転エアを反転用噴気口OPRから吹き付ける位置に対して、各計測エリアME1、ME2が常に一定の位置関係となるように設定されるため、搬送物判定処理の結果に応じて搬送物CAに排除力や反転力を作用させる場合に、常に近似したタイミングで作用を生じさせることができる。
【0059】
図6には、搬送装置10の搬送体120に形成される搬送物CAの整列手段の構成例を示す。図示の例では、予め図示しない上流側部分で搬送物CAの長手方向が搬送方向Fに向く姿勢(
図2に示す姿勢)となるように、搬送路121の幅や高さの制限などを設けて制御している。また、この制限箇所の下流側には、図示のように、搬送路121に沿って第1の反転位置を形成する反転用噴気口OPR1、第2の反転位置を形成する反転用噴気口OPR2、及び、第3の反転位置を形成する反転用噴気口OPR3が配列されている。これらの反転位置により、搬送物CAの搬送方向Fに沿った軸線周りの姿勢が修正される。さらに、その下流側には、上述の選別
のための排除用噴気口OPSが設けられた選別位置が形成されている。先に説明した撮影画像GPX又は画像エリアGPYの画像データには、上記の最も下流側の反転用噴気口OPR3と
排除用噴気口OPSが撮影された場合を示すものである。ここで、本実施形態においては、カメラCM2は、反転用噴気口OPR1を有する第1の反転位置と、反転用噴気口OPR2を有する第2の反転位置とを撮影し、カメラCM1は、反転用噴気口OPR3を有する第3の反転位置と、排除用噴気口OPSを有する選別位置とを撮影する。ただし、本発明では、一つの画像データにいずれか一つの制御位置のみを含めてもよく、二以上の任意の数の制御位置を含めてもよい。
【0060】
本実施形態において、選別位置では、搬送方向Fに長さLSSを有するサーチエリアSAS内の画像が処理対象となるが、反転位置では、判定エリア内の画像のみが処理対象となる。このように、サーチエリアSASを有する位置では処理対象となる画像範囲が広がるが、搬送物CAが制御エリアMES内に入るタイミングを搬送物検出処理により第1の計測エリアME1内で検出でき、搬送物CAが制御エリアMESから脱出するタイミングを搬送物通過検出処理により制御エリアMES若しくは第2の計測エリアME2内で検出することができるため、高密度に搬送されてくる搬送物CAを高速かつ確実に判別し、制御することが可能になるという利点を有する。
【0061】
図7には、反転用噴気口OPRを有する反転位置の上記の搬送物判定処理とは異なる処理を説明する説明図である。この処理においては、
図7(a)に示すように、サーチエリアSAR内で上記の搬送物検出処理を実施し、搬送物検出領域WDRを特定し、この搬送物検出領域WDRを基準として、
図7(b)に示すように、上記と同じ判定エリアGV1、GV2を用いて搬送物判定処理を実施するようにしたものである。すなわち、上記の実施形態における選別位置に対する処理(本発明に係る処理)と同じ処理を反転位置に対しても実施するようにしたものである。サーチエリアSARの内部には、第1の計測エリアME1が設定され、この第1の計測エリアME1は、反転用噴気口OPRによって作用を受ける制御エリア(反転エリア)MERの上流側に隣接した位置に設けられる。第1の計測エリアME1内で検出された搬送物検出領域WDRが特定されると、この搬送物検出領域WDRの位置を基準として設定される判定エリアGV1、GV2において搬送物判定処理が実施される。第1の計測エリアME1の搬送方向Fの範囲LD1は、前述と同様に搬送物CAの長さLDRに対して所定の値となるように設定される。なお、この反転位置においても、上記実施形態と同様に、第2の計測エリアME2を設けてもよく、また、常時は反転用の気流が生じ、良品判定がなされたときのみ当該気流を停止するようにしてもよい。
【0062】
図8は、上記の選別位置において、第1の計測エリアME1に進入する搬送物CAの数と、第2の計測エリアME2を通過する搬送物CAの数とを係数する手段を示す説明図である。
図8(a)に示すように、本実施形態では、第1の計測エリアME1内に搬送方向Fの係数位置CT1を設定し、この係数位置CT1に搬送物CAが到達したとき、或いは、搬送物CAの一部が係数位置CT1を超えたときに、
図8(b)に示すように、導入数Nを一つ加算するようにしている。この係数位置CT1は、第1の計測エリアME1の範囲LD1内であればよいが、制御エリアMES寄り(下流側寄り)に設定されることが好ましい。また、第2の計測エリアME2内には、搬送方向Fの係数位置CT2を設定し、この係数位置CT2に搬送物CAが到達したとき、或いは、搬送物CAの一部が係数位置CT2を超えたときに、
図8(b)に示すように、通過数Mを一つ加算するようにしている。この係数位置CT2は、第2の係数エリアME2の範囲LD2内であればよいが、制御エリアMESとは反対寄り(下流側寄り)に設定されることが好ましい。
【0063】
また、前述のように係数位置CT2で係数すると、制御領域MESを通過してきた搬送物CAの通過数Mを係数することができるが、この通過数Mは、必ずしも、制御領域MESの通過状態に対応する判別態様(良品)と判定された搬送物に限らず、
搬送物制御(排除)状態に対応する判別態様(不良)と判定された搬送物であっても、制御(排除)ミスなどによって誤って通過してしまうことがあるため、良品数とは一致しない可能性がある。そこで、第1の計測エリアME1内で良品と判定された搬送物が上記係数位置CT2を通過した場合にのみ係数して良品数Mを求める。これにより、上述の係数ミスを回避できる。このとき、上記の係数位置CT2の代わりに、制御エリアMESの中央位置CLN、或いは、その上流側(制御エリアMES内)や第1の計測エリアME1と制御エリアMESとの境界線に別の係数位置を設定し、この別の係数位置で係数してもよい。これによれば、搬送物判定処理の判定直後に係数を実施できるため、容易に良品数のみをカウントできる。なお、本実施形態では、搬送物判定処理を第1の計測エリアME1内でのみ行うが、第1の計測エリアME1よりも下流側の位置、例えば、制御エリアMES内の中央位置CLN、或いは、その上流側の上記別の係数位置に達するまで、搬送物判定処理を行うようにしてもよい。このようにすると、上記別の係数位置に対して上流側のさらに近い位置での判定結果を用いて良品数Mを係数できる。
【0064】
さらに、振動を用いて搬送する本実施形態の搬送装置10では、搬送物CAは、搬送方向Fに対して斜め上方へ往復振動する搬送体120上で、斜め上方へ繰り返し前進することで、搬送されていく。したがって、搬送物CAは搬送体120に対して前後に往復動作を繰り返しながら進むから、上記の係数位置CT1、CT2を逆向きに越えることにより一つの搬送物CAが係数位置CT1、CT2を2回以上通過することがあり得る。そこで、このことによる係数誤差を解消するために、
図8(c)に示すように、搬送物CAが上記の係数位置CT1、CT2を逆向きに越えたときには、導入数N及び通過数Mを一つ減算するようにしている。なお、通過数(或いは、上記良品数)Mを導入数Nで割ることにより、良品率や供給率M/Nを求めることができる。
【0065】
本実施形態では、搬送物CAの種類、寸法、良品姿勢、基準画像データ、搬送物検出処理の明度の閾値などの各種の設定値、搬送物判定処理の明度の閾値などの各種の設定値、などといった、搬送物CAの検出及び判定に用いられる各種のデータが主記憶装置MMなどに記憶され、各処理にあたっては適宜に読み出されて使用される。また、カメラCM1,CM2の撮影タイミングを定めるための設定値、撮影画像GPX又は画像エリアGPYを取り込む際の画像取込条件の設定値、搬送路121の振動による各設定エリアの位置補正の態様を定める設定値、各種の設定画面や表示画面の態様を定める設定値、反転位置や選別位置における制御の態様、例えば、気流の吹き付けタイミングや圧力値などの設定値、などについても同様に取り扱われる。
【0066】
本実施形態では、上記主記憶装置MM内に保存されている過去の撮影画像GPX又は画像エリアGPYを時系列にて連続して格納した画像ファイルを選択して読み出し、表示させることができる。そして、選択された画像ファイルに対する各種の操作処理を実行するための手段も用意される。
【0067】
主記憶装置MM内に保存される画像ファイルは、運転モードにおいて取り込まれる複数の撮影画像GPX又は画像エリアGPYの画像データを、演算処理装置MPUにより自動的に記録したものである。この画像ファイルの保存は、主記憶装置MMに空き容量が存在する場合には全ての画像データについて実施することができるが、主記憶装置MMに空き容量が存在しない場合でも、最新の既定期間分(例えば1時間分など)、或いは、最新の既定枚数分(例えば1000枚分など)の画像ファイルについては常に保存されるようにしておくことが好ましい。
【0068】
上記のように過去に記録した撮影画像GPX又は画像エリアGPYを表示した状態で、この画像データに対して、適宜の操作により、上記搬送物検出処理及び上記搬送物判定処理からなる画像計測処理を再度実行することができる。表示態様の制御機能の一つとして、同一ファイル内に格納された複数の撮影画像GPX又は画像エリアGPYについては、適宜の操作により、前後に撮影された他の画像データに一つずつ切り替えることができる。また、同一画像ファイル内の複数の撮影画像GPX又は画像エリアGPYを連続して表示しつつ、並行して、表示された画像データに対する画像計測処理を実行させることもできる。
【0069】
次に、
図9を参照して、本実施形態の全体の動作プログラムの流れについて説明する。
図9は、上記検査処理ユニットDTUの演算処理装置MPUにより、動作プログラムに従って実行される処理の概略フローチャートである。この動作プログラムを起動すると、まず、上記の画像撮影及び画像計測処理が開始されるとともに、コントローラCL11、CL12により搬送装置10(パーツフィーダ11及びリニアフィーダ12)の駆動が開始される。そして、前述のデバッグ操作に応じたデバッグ設定がOFFであれば、撮影画像GPX又は画像エリアGPYに対して画像計測処理が実行され、最終の判定結果がOK判定であれば、デバッグ操作が行われない限り、そのまま次の撮影画像GPX又は画像エリアGPYの画像計測処理が実施される。例えば、選別位置では、常時は排除用噴気口OPSから気流が流れているが、判定結果がOK(良品)であれば、排除用噴気口OPSの気流を停止し、全ての良品が制御エリアMESを通過した後に気流を復帰させる。これにより、不良の搬送物CAを搬送路121上から排除する。また、反転位置では、常時は反転用噴気口OPRからの気流は停止されているが、判定結果がNG(不良品)であれば、反転用噴気口OPRから気流を噴出させて搬送路121上で反転させる。なお、反転位置においても、
図7に示す構成を採用することにより、反転用噴気口OPRから気流が常時流れるようにし、良品が検出されたときにのみ気流を停止するようにしてもよい。
【0070】
このようにして、搬送路121上で搬送物CAが制御されることにより、下流側へは良品のみが整列した状態で供給されていく。この場合にも、その後、デバッグ操作が行われない限り、そのまま次の撮影画像GPX又は画像エリアGPYの判定が実施される。
【0071】
上記の途中でデバッグ操作が行われ、デバッグ設定がONになると、上記ルーティンから抜け出して、搬送装置10の駆動が停止され、画像計測処理も停止される。そして、この状態において適宜の操作を行うと、前述のように画像ファイルを選択可能な状態となる。このとき、選択表示される画像ファイルは、直前の運転モードにおいて記録していた複数の撮影画像GPX又は画像エリアGPYを含む画像ファイルである。これをそのまま選択して適宜の操作をすると、再実行モードに移行する。このモードでは、上述のようにすでに実行された制御動作を記録した画像ファイルに基づいて、画像の表示や検出及び判定を再実行させることができる。すなわち、搬送装置10の搬送物CAの制御に不具合が生じた場合には、この不具合を解消するために、まず、過去の画像データに基づいて画像計測処理を再実行することによって、画像計測処理の問題箇所を探る。当該問題箇所が判明すれば、それに応じて検出や判定の設定内容(設定値)を変更、調整し、再び過去の画像データに対して画像計測処理を再実行することで調整、改善作業の結果を確認することができる。その後、適宜の復帰操作を行うと、デバッグ設定がOFFに戻され、画像計測処理が再開されるとともに、搬送装置10の駆動が再開される。また、表示装置の画面は運転モードの表示画面に戻る。
【0072】
以上説明した本実施形態では、カメラCM1,CM2が既定の撮影間隔で連続して撮影するとともに、搬送物の搬送速度Vsと撮影間隔Tsとの関係により搬送路121を通過する全ての搬送物CAが常に含まれるように予め設定された範囲LD1を有する第1の計測エリアME1内の画像データに対して画像計測処理を施すことにより、いずれかの撮影画像において第1の計測エリアME1内に配置された搬送物CAを検出することができるため、従来技術のように個々の搬送物の位置を検知するためのトリガ信号を生成する必要がなくなる。また、この画像に含まれる上記判定対象部分CAs1〜CAs4の画像データを処理することで当該判定対象部分に関する情報を確実に抽出することができる。したがって、搬送物CAが繋がって搬送されてくる場合などにおいて個々の搬送物CAの検知漏れを考慮する必要がないために事前に搬送物間に間隙を形成する必要がなくなるなどの理由により、搬送物の高速搬送や高密度搬送が容易になるとともに検出システムの全体構成を簡易に構成することができる。また、連続して撮影される複数の撮影画像のうちの予め設定された第1の計測エリアME1内の画像データのみを処理すれば足りるので、前記搬送物CAを判定するための画像計測処理を高速かつ高精度に行うことができる。
【0073】
また、第1の計測エリアME1を前記制御エリアMESの上流側に隣接して配置するとともに、搬送物通過検出手段により制御エリアMESの下流側に隣接して配置された第2の計測エリアME2の画像データに対して画像計測処理を施すことにより、搬送物CAが制御エリアMESを通過して下流側へ脱出したことを検出することができる。このため、搬送物判定手段により前記第1の計測エリアME1の搬送物CAの所定の判別態様(例えば、良品)に応じて搬送物制御手段を
搬送物通過状態としたとき、搬送物判定手段により次の搬送物が同じ所定の判別態様(例えば、良品)であるという判定結果が得られていない場合には、搬送物通過検出手段により上記と同じ所定の判別態様(例えば、良品)の搬送物が前記制御エリアを通過して下流側へ脱出したことが検出されたときに、搬送物制御手段を
搬送物通過状態から
搬送物制御状態に切り替えることができる。これにより、高速で高密度に搬送物が搬送されてくる場合においても、高速かつ確実に搬送物を制御(選別)することができる。
【0074】
さらに、搬送物判定手段により所定の判別態様(例えば、良品)であるという判定結果が得られた搬送物CAのみが制御エリアMESを通過でき、それ以外の搬送物CAは制御エリアMESにて制御(排除)される。このため、搬送物CAが上記と異なる判別態様(例えば、不良)と判定された場合に限らず、検出漏れや判定ミスなどが生じた場合でも、上記の所定の判別態様(例えば、良品)以外の搬送物CAは制御エリアMESで制御されるから、上記と異なる判別態様(例えば、不良)の搬送物CAがそのまま供給されるといった事態を確実に回避できる。
【0075】
本実施形態では、前述のように、搬送物CAの係数手段を設けることで搬送物CAの選別位置における良品率を求めることができるので、上流側の整列効率や供給先への供給効率を推測することができる。このため、上記の良品率が一定の割合を下回ったときには、自動的にコントローラCL11及びCL12に指令を出し、搬送装置10の駆動を停止するように構成することもできる。なお、このような判定結果に応じた搬送装置10の駆動制御方法としては、駆動停止以外に、搬送速度やその他の搬送態様を変化させるように加振手段の駆動力(電圧や電流など)、振幅、周波数などを制御するものであってもよい。
【0076】
尚、本発明の搬送物判別制御システム及び搬送装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、選別位置における選別方法として気流の吹き付けによる搬送物CAの搬送路121上からの排除を行っているが、搬送物CAの選別のための手法をはじめとして、個々の処理内容や各計測エリアの範囲については特に限定されるものではなく、機械的な排除手段を用いるなど、検出や判定のための種々の公知技術を採用することができる。また、搬送物を制御する態様としては、排除だけでなく、反転、分配などの種々の態様とすることができる。