特許第6189979号(P6189979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイシンの特許一覧

<>
  • 特許6189979-循環式搬送装置 図000002
  • 特許6189979-循環式搬送装置 図000003
  • 特許6189979-循環式搬送装置 図000004
  • 特許6189979-循環式搬送装置 図000005
  • 特許6189979-循環式搬送装置 図000006
  • 特許6189979-循環式搬送装置 図000007
  • 特許6189979-循環式搬送装置 図000008
  • 特許6189979-循環式搬送装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189979
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】循環式搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20170821BHJP
   B65G 27/04 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B65G47/14 101C
   B65G27/04
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-3535(P2016-3535)
(22)【出願日】2016年1月12日
(65)【公開番号】特開2017-124882(P2017-124882A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2016年10月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599069507
【氏名又は名称】株式会社ダイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100100055
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 弘明
(72)【発明者】
【氏名】古田 光
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰
(72)【発明者】
【氏名】原 順一
(72)【発明者】
【氏名】神戸 祐二
(72)【発明者】
【氏名】赤岩 誠
(72)【発明者】
【氏名】山本 篤史
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 和紀
(72)【発明者】
【氏名】皆川 恭弘
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−046807(JP,A)
【文献】 特開2001−063816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00−47/20
B65G 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を所定の供給方向へ搬送するための振動態様を呈する、供給側整列路を備えた供給側搬送体と、搬送物を前記供給方向と逆向きの回収方向へ搬送するための振動態様を呈するとともに、前記供給側整列路から排除された搬送物を受け入れて前記回収方向に搬送し、当該搬送物の少なくとも一部を前記供給側整列路の上流側へ戻す回収側搬送路を備えた回収側搬送体とを具備する循環式搬送装置において、
前記供給側整列路から排除された搬送物を前記回収側搬送路へ移乗させる回収移乗部と、前記回収側搬送路により搬送されてきた搬送物を前記供給側整列路へ移乗させる供給移乗部とが設けられ、
前記回収移乗部において、前記供給側整列路からの搬送物の排除経路の下流端部が前記回収側搬送路の上流部の上方に間隔を有して張り出すとともに、
前記供給移乗部において、前記回収側搬送路の下流端部が前記供給側整列路の上流部の上方に間隔を有して張り出し、
前記回収移乗部における張り出し構造は、前記供給側搬送体の前記供給側整列路からの前記排除経路の下流端部が形成された部分の下方へ向けて側方に突出する上流側突出部が前記回収側搬送体に設けられることにより構成され、
前記供給移乗部における張り出し構造は、前記供給側搬送体の前記供給側整列路の上流部が形成された部分の上方へ向けて側方に突出する下流側突出部が前記回収側搬送体に設けられることにより構成され、
前記回収側搬送体の前記上流側突出部と前記下流側突出部の間にある領域では、前記供給側搬送体の内側面と前記回収側搬送体の内側面とは、相互に側方へ間隔を隔てて対面するように配置され、
前記上流側突出部は前記内側面の間の間隙の延長範囲を越えて前記供給搬送体の側へ突出する一方で、前記供給側搬送体の前記下流端部は前記間隙の延長範囲内に対して前記回収側搬送体の側へ突出せず、
前記下流側突出部は前記間隙の延長範囲を越えて前記供給側搬送体の側へ突出する一方で、前記供給側搬送体の前記上流部は前記間隙の延長範囲内に対して前記回収側搬送体の側へ突出しない、
ことを特徴とする循環式搬送装置。
【請求項2】
前記供給側搬送体と前記回収側搬送体の間の前記間隙の最小値は、前記搬送物の最大寸法値よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の循環式搬送装置。
【請求項3】
前記供給側搬送体には、前記供給側整列路と並行し、前記供給側整列路から排除された搬送物を受け入れて前記供給方向へ搬送した先に前記回収側搬送路の上流部との間に前記回収移乗部を構成する下流端部を前記排除経路の下流端部として備えた供給側搬送路がさらに設けられる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の循環式搬送装置。
【請求項4】
前記供給移乗部として、前記回収側搬送路の外周側下流端部と前記供給側整列路の上流部との間において、前記回収側搬送路により搬送されてきた搬送物を前記供給側整列路に移乗させる外周側供給移乗部が設けられ、
第2の供給移乗部として、前記回収側搬送路の内周側下流端部と前記供給側搬送路の上流部との間において、前記回収側搬送路により搬送されてきた搬送物を前記供給側搬送路に移乗させる内周側供給移乗部が設けられる、
ことを特徴とする請求項3に記載の循環式搬送装置。
【請求項5】
前記回収側搬送路の少なくとも下流側領域には、
外周側に形成されて搬送物を選別して通過させる外周側選別路部と、
該外周側選別路部の下流側に引き続いて形成され、前記外周側下流端部に至る外周側搬送路部と、
前記外周側選別路部の内側に並行して形成され、前記内周側下流端部に至る内周側搬送路部と、
が設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の循環式搬送装置。
【請求項6】
前記回収移乗部と前記供給移乗部との間において、前記供給側搬送体の供給側内側部と前記回収側搬送体の回収側内側部とが相互に側方内側に対面し、
前記供給側内側部には、前記回収側内側部よりも上方に伸びる仕切壁が設けられる、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の循環式搬送装置。
【請求項7】
前記仕切壁に、前記供給側内側部と前記回収側内側部の間の前記間隙を上方から覆う形状を備えた被覆部が設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の循環式搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は循環式搬送装置に係り、特に、搬送物を整列路上で整列させながら、整列路から排除された搬送物を上流側へ戻して再び整列路に供給するようにした循環式搬送装置の搬送体の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、搬送装置では、搬送途中の搬送物の姿勢を制御することにより、搬送物を所望の姿勢に揃えた整列状態で搬送するように構成されたものがある。この種の搬送装置としては、例えば、パーツフィーダやリニアフィーダなどと呼ばれる振動式搬送装置が知られている。このような搬送装置においては、搬送物を整列路上で搬送しつつ、所望の姿勢にない搬送体を振り落としたり、気流によって吹き飛ばしたりすることにより、選別したり、反転などのように姿勢を変更したりし、整列路の出口に供給される全ての搬送物を所望の姿勢に揃えるようにしている。
【0003】
上記の搬送物の整列過程においては、整列路上から不適切な姿勢にある搬送物が排除されるため、この搬送物を回収して上流側へ戻し、再び整列路上へ供給するための回収側搬送体を備えた循環式搬送装置が知られている(例えば、以下の特許文献1及び2参照)。この循環式搬送装置では、供給側搬送体と、回収側搬送体とが並行して設けられ、供給側搬送体には、搬送物を整列状態で供給するための供給側整列路と、この供給側整列路に並列し、供給側整列路から排除された搬送物を受け入れて供給側整列路の下流側へ搬送する供給側搬送路とが形成され、回収側搬送体には、供給側搬送路の下流端部から搬送物を受け入れて供給側整列路の上流側へ搬送する回収側搬送路が形成されている。また、供給側搬送体と回収側搬送体の間には、搬送物の移動に支障のない程度の間隙及び段差を有して両搬送体が対面する構造をそれぞれ備えた、供給側搬送路から回収側搬送路へ搬送物を移乗させる回収移乗部と、回収側搬送路から供給側整列路及び供給側搬送路へ搬送物を移乗させる供給移乗部とが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−063816号公報
【特許文献2】特開2002−068460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年の電子部品では急激な微細化が進行してきており、現状では0604(0.6mm×0.4mm)や0402(0.4mm×0.2mm)サイズの立方体状の電子部品(電気抵抗、コンデンサ、インダクタ、ダイオード、トランジスタなど)が多く用いられるようになってきているが、次世代の部品サイズとしては、0201(0.25mm×0.125mm)サイズが検討されるなど、今後、ますます電子部品の微細化が進むことが予想されている。このように搬送物が微細化すると、ごみなどによって搬送物が搬送経路において詰まったり、搬送面に貼り付いたりする搬送不良や、搬送物に汚れが付着することにより不具合が生ずる搬送汚染などの問題が生じやすくなる。また、両搬送体が僅かな間隙及び段差を有して対面する上述の回収移乗部及び供給移乗部において、搬送物がかみこんだり塵埃が詰まったりして搬送動作に支障が生ずる場合もある。
【0006】
また、上記のような電子部品の微細化とともに、電子システムの製造ラインではライン速度の高速化が進んでいるため、搬送装置にも搬送速度の高速化及び搬送態様の高密度化が要求されるとともに、不適切な姿勢の電子部品を誤って供給したときの復旧のためのライン停止時間による損害が増大しているため、搬送物の整列精度に対する要求水準も高くなってきている。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、搬送物の微細化に伴う搬送不良や搬送汚染を軽減できるとともに、搬送速度の高速化や搬送態様の高密度化にも寄与できる循環式搬送装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
斯かる実情に鑑み、本発明に係る循環式搬送装置は、搬送物を所定の供給方向へ搬送するための振動態様を呈する、給側整列路を備えた供給側搬送体と、搬送物を前記供給方向と逆向きの回収方向へ搬送するための振動態様を呈するとともに、前記供給側整列路から排除された搬送物を受け入れて前記回収方向に搬送し、当該搬送物の少なくとも一部を前記供給側整列路の上流側へ戻す回収側搬送路を備えた回収側搬送体とを具備する。
【0009】
本発明において、前記供給側整列路から排除された搬送物を前記回収側搬送路へ移乗させる回収移乗部と、前記回収側搬送路により搬送されてきた搬送物を前記供給側整列路へ移乗させる供給移乗部とが設けられ、前記回収移乗部において、前記供給側整列路からの搬送物の排除経路の下流端部が前記回収側搬送路の上流部の上方に間隔を有して張り出すか、或いは、前記供給移乗部において、前記回収側搬送路の下流端部が前記供給側整列路の上流部の上方に間隔を有して張り出すことが好ましい。これによれば、回収移乗部又は供給移乗部において、それぞれ供給側整列路からの排除経路又は回収側搬送路の下流端部が回収側搬送路の上流部又は供給側整列路の上流部の上方に間隔を有して張り出すため、搬送物が微細化しても、回収移乗部又は供給移乗部において搬送物が供給側搬送体と回収側搬送体の間隙に搬送物や塵埃がかみこんで両搬送体が干渉を起こしたり、搬送物が破損したり、塵埃などが発生したりすることを防止できる。この場合に、回収移乗部において、供給側整列路からの排除経路の下流端部が回収側搬送路の上流部の上方に間隔を有して張り出すとともに、供給移乗部において、回収側搬送路の下流端部が供給側整列路の上流部の上方に間隔を有して張り出すことが望ましいことはもちろんである。
【0010】
本発明において、前記回収移乗部における張り出し構造(供給側搬送体の排除経路の下流端部が回収側搬送体の回収搬送路の上流部に対して上方に間隔を有して張り出す構造、以下同様。)は、前記供給側搬送体の前記供給側整列路からの前記排除経路の下流端部が形成された部分の下方へ向けて側方に突出する上流側突出部が前記回収側搬送体に設けられることにより構成されることが好ましい。また、前記供給移乗部における張り出し構造(回収側搬送体の回収搬送路の下流端部が供給側搬送体の供給側整列路の上流部に対して上方に間隔を有して張り出す構造、以下同様。)は、前記供給側搬送体の前記供給側整列路の上流部が形成された部分の上方へ向けて側方に突出する下流側突出部が前記回収側搬送体に設けられることにより構成されることが好ましい。これによれば、回収移乗部及び供給移乗部の張り出し構造が、いずれも、回収側搬送体において、供給側搬送体の上方若しくは下方に向けて側方に突出する上流側突出部及び下流側突出部を設けることによって構成されることにより、供給側搬送体の搬送構造を優先して設計できるので、供給側整列路上の搬送物の搬送状態を安定化させるとともに、搬送性能や整列性能を高めることができる。特に、供給側搬送体を対称的な形状に構成しやすくなることにより、振動による搬送態様の安定性を確保しつつ搬送速度を高めることができる。また、両搬送体の内側部同士の側方間隔を確保しつつ、装置のコンパクト化を図ることができる。特に、前記回収側搬送体の前記上流側突出部と前記下流側突出部の間にある領域では、前記供給側搬送体の内側面と前記回収側搬送体の内側面とは、相互に側方へ間隔を隔てて対面するように配置され、前記上流側突出部は前記内側面の間の間隙の延長範囲を越えて前記供給搬送体の側へ突出する一方で、前記供給側搬送体の前記下流端部は前記間隙の延長範囲内に対して前記回収側搬送体の側へ突出せず、前記下流側突出部は前記間隙の延長範囲を越えて前記供給側搬送体の側へ突出する一方で、前記供給側搬送体の前記上流部は前記間隙の延長範囲内に対して前記回収側搬送体の側へ突出しないことが望ましい。
【0011】
本発明において、前記供給側搬送体には、前記供給側整列路と並行し、前記供給側整列路から排除された搬送物を受け入れて前記供給方向へ搬送した先に前記回収側搬送路の上流部との間に前記回収移乗部を構成する下流端部を前記排除経路の下流端部として備えた供給側搬送路がさらに設けられることが好ましい。これによれば、供給側整列路から排除された搬送物は、上記排除経路としての供給側搬送路により供給方向に搬送され、その下流端部において回収移乗部を介して回収側搬送路の上流部に移乗されるため、回収移乗部を限定した範囲に設けても、供給側整列路における搬送物の排除を行う選別領域を広く確保することができる。
【0012】
この場合においては、前記回収移乗部において、前記供給側搬送路の前記下流端部が前記回収側搬送路の上流部の上方に間隔を有して張り出すことが好ましい。また、この張り出し構造は、前記供給側搬送体の前記供給側搬送路の前記下流端部が形成された部分の下方へ向けて側方に突出する前記上流側突出部が前記回収側搬送体に設けられることにより構成されることが望ましい。
【0013】
本発明において、前記供給移乗部として、前記回収側搬送路の下流端部と前記供給側整列路の上流部との間において、前記回収側搬送路により搬送されてきた搬送物を前記供給側整列路に移乗させる外周側供給移乗部を設け、これに加えて、前記回収側搬送路の下流端部と前記供給側搬送路の上流部との間において、前記回収側搬送路により搬送されてきた搬送物を前記供給側搬送路に移乗させる内周側供給移乗部が、第2の回収移乗部として設けられることが好ましい。上記の外周側供給移乗部では、前記回収側搬送路の外周側下流端部が前記供給側整列路の上流部の上方に間隔を有して張り出すことが好ましい。この張り出し構造は、前記供給側搬送体の前記供給側整列路の上流部が形成された部分の上方へ向けて側方に突出する下流側外周突出部が前記回収側搬送体に設けられることにより構成されることが望ましい。また、上記の内周側供給移乗部では、前記回収側搬送路の内周側下流端部が前記供給側搬送路の上流部の上方に間隔を有して張り出すことが好ましい。この張り出し構造は、前記供給側搬送体の前記供給側搬送路の上流部が形成された部分の上方へ向けて側方に突出する下流側内周突出部が前記回収側搬送体に設けられることにより構成されることが望ましい。
【0014】
本発明において、前記回収側搬送路の少なくとも下流側領域には、外周側に形成されて搬送物を選別して通過させる外周側選別路部と、該外周側選別路部の下流側に引き続いて形成され、前記外周側下流端部に至る外周側搬送路部と、前記外周側選別路部の内側に並行して形成され、前記内周側下流端部に至る内周側搬送路部とが設けられることが好ましい。この場合に、外周側選別路部は、搬送路の幅制限や高さ制限等によって選別、単列化、単層化、姿勢選択、姿勢転換などを行うことにより、搬送物の搬送態様を制御する。これにより、搬送物の供給量、姿勢、搬送密度などが回収側搬送路内において制御されて供給側整列路に戻されるため、供給側整列路における搬送物の量や整列状態の安定性を高めることができ、高速・高密度搬送化と、整列状態の高精度化を図ることができる。
【0015】
本発明において、前記回収移乗部と前記供給移乗部との間において、前記供給側搬送体の供給側内側部と前記回収側搬送体の回収側内側部とが相互に側方内側に対面し、前記供給側内側部には、前記回収側内側部よりも上方に伸びる仕切壁が設けられることが好ましい。この場合に、前記仕切壁には、前記供給側内側部と前記回収側内側部の間の間隙を上方から覆う形状を備えた被覆部が設けられることが望ましい。これによれば、供給側内側部と回収側内側部が相互に側方に対面する形に構成されることによって、回収移乗部において回収側搬送路の上流部を供給側整列路の排除経路の下流端部の下方に間隔を有して配置しつつ、回収側搬送路を供給側整列路に対して相対的に徐々に上昇させていき、供給移乗部において、回収側搬送路の下流端部を供給側整列路の上流部の上方に間隔を有して配置させることができる。また、供給側内側部に、回収側内側部より上方へ伸びる仕切壁を設けることにより、供給側整列路から排除された搬送物が供給側内側部と回収側内側部との対面領域の間隙内に落下することが抑制される。特に、この仕切壁に、供給側内側部と回収側内側部の間の間隙を上方から覆う形状を備えた被覆部が設けられることにより、供給側整列路から排除されて供給側搬送路へ受け入れられる搬送物が、供給側内側部と回収側内側部との対面領域の間隙内に落下することがさらに確実に防止される。ここで、上記被覆部は、仕切壁から連続して回収側搬送体の側に張り出すように形成されることが望ましい。
【0016】
本発明において、前記供給側整列路(及び、設けられる場合には前記供給側搬送路)は直線状に構成され、前記回収側搬送路は前記上流側突出部に設けられた上流部及び前記下流側突出部に設けられた下流部が前記供給側搬送体の側の側方に突出した、](square bracket)形、若しくは、〕(tortoise shell bracket)形の平面形状を備えていることが好ましい。これによれば、供給側搬送体を直線状に構成できるとともに供給方向の左右に対称的に構成しやすくなることから、供給側整列路の整列性能を確保することが容易になるとともに、搬送性能を向上させやすくなり、搬送態様も安定化しやすくなる。特に、供給側搬送体の左右方向の非対称性を低減することにより、理想的な振動態様を精密に実現できるため、搬送性能を高めることができる。この一方で、回収側搬送体の概略構造は回収方向の左右に非対称になるものの、上記の張り出し構造によって上下方向に重なり合う部分を除いて供給側搬送体との干渉を避けることができるため、両搬送体の内側部同士の左右方向の間隔を十分に確保しつつ、装置全体を小幅化、小型化を図ることが容易になる。
【0017】
本発明において、前記供給側搬送体と前記回収側搬送体の間の間隙の最小値は、前記搬送物の最大寸法値よりも大きいことが好ましい。これによれば、上記間隙に搬送物がかみこんで両搬送体が干渉したり、上記間隙に塵埃が詰まったりすることによる不具合の発生を抑制できる。ここで、上記最大寸法値とは、搬送物について種々の方向に測った長さのうちの最大値を言う。また、本発明において、前記供給側搬送体を振動させる供給側加振手段と、前記回収側搬送体を振動させる回収側加振手段とを別々に有することが好ましい。また、前記供給側加振手段により振動する前記供給側搬送体の振動周波数は、前記回収側加振手段による振動する前記回収側搬送体の振動周波数よりも高いことが望ましい。さらに、前記供給側搬送体の振動の上下動及び振幅は、前記回収側搬送体の振動の上下動及び振幅より小さいことが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、搬送物の微細化に伴う搬送不良や搬送汚染を軽減できるとともに、搬送速度の高速化や搬送態様の高密度化にも寄与できる循環式搬送装置を実現することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る循環式搬送装置の実施形態の全体構成を斜め前方の回収側搬送体の側から見た様子を示す斜視図(a)、及び、斜め前方の供給側搬送体の側から見た様子を示す斜視図(b)である。
図2】同実施形態の(図3の2倍に拡大した)拡大平面図である。
図3】同実施形態の左側面図(a)、正面図(b)、及び、右側面図(c)である。
図4】同実施形態の図2のA−A線に沿った断面を矢印の方向に示す断面矢視図である。
図5】同実施形態の図2のB−B線に沿った断面を矢印の方向に示す断面矢視図である。
図6】同実施形態の図2のC−C線に沿った断面を矢印の方向に示す断面矢視図である。
図7】同実施形態の図2のD−D線に沿った断面を矢印の方向に示す断面矢視図である。
図8】同実施形態の図2のE−E線に沿った断面を矢印の方向に示す断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付図面を参照して本発明に係る循環式搬送装置の実施形態について詳細に説明する。図1乃至図3は、本実施形態の装置全体を示す外観図、図4乃至図8は、図2に示す各部の拡大断面図である。
【0021】
本実施形態の循環式搬送装置10は、供給側加振機構13の上部に搭載された供給側搬送体11と、回収側加振機構14の上部に搭載された回収側搬送体12とを備える。供給側搬送体11と回収側搬送体12は、相互に並行する姿勢で取り付けられている。供給側搬送体11は、供給側加振機構13の上部に搭載されたベースブロック11Eと、このベースブロック11Eの上部に取り付けられたアタッチメントブロック11Fとによって構成される。供給側加振機構13は、図示しないベースプレート上に、供給方向に対して斜め前方に向くようにやや傾斜した姿勢の板ばねを、それぞれ前後二か所に介して弾性支持された図示しないトッププレートを有し、このトッププレートが図示しない圧電駆動体(圧電素子)や電磁駆動体(電磁石)などからなる加振源により供給方向Fの前方へ斜め上方に向かう往復振動を発生させるように構成される。そして、供給側搬送体11(実際には上記ベースブロック11E)は、上記トッププレート上に搭載されている。
【0022】
上記供給側加振機構13の側方には、上記回収側搬送体12を搭載した回収側加振機構14が配置される。この回収側加振機構14も、供給側加振機構13と共通のベースプレート上に、供給側加振機構13と同様の図示しない弾性支持用の板ばね及びトッププレートを有し、上記と同様の加振源により上記と同様に往復振動を発生させるように構成される。そして、回収側搬送体12は、このトッププレート上に搭載されている。ただし、この回収側加振機構14によって発生する振動は、上記供給方向Fとは逆向きの回収方向Bの前方へ斜め上方に向かう往復振動である。これによって、供給側搬送体11上の供給側整列路11a及び供給側搬送路11bでの搬送物の搬送の向きである供給方向Fと、回収側搬送体12上の回収側搬送路12aでの搬送物の搬送の向きである回収方向Bとは、相互に逆向きとなる。
【0023】
なお、供給側加振機構13は、一般に、供給側整列路11aにおいて搬送物が安定した姿勢で高速に搬送されるように、高い振動周波数(例えば、300Hz〜1.5kHz)で、相対的に振動の上下動を小さくするとともに振幅も小さくすることにより、搬送方向以外の振動モードをほとんど含まないように安定した振動を供給側搬送体11に与えるように構成される。これにより、搬送中において搬送物が上下に暴れにくくなり、搬送姿勢も安定したものとなる。一方、回収側搬送体12は、後述するように供給側整列路11aや供給側搬送路11bを基準としたときに回収側搬送路12aを相対的に上流側から下流側へ向けて上り勾配となるように形成しなければならないため、回収側加振機構14により与えられた振動の上下動や振幅も相対的に大きくしないと、搬送物が滞留しやすくなり、効率的な搬送ができない。そこで、回収側加振機構14では、上り勾配の回収側搬送路12aにおいて効率的に搬送物を移動させるために、低い振動周波数(例えば、50〜200Hz程度)の振動を与えるとともに、当該振動の上下動や振幅をある程度大きくすることが好ましい。なお、振動式搬送装置では当然の前提事項ではあるが、本実施形態では、上述のように供給側搬送体11と回収側搬送体12とが別々の振動態様を呈するように駆動されるため、両搬送体11と12は動作時において互いに接触しないように、所定の間隙(少なくとも搬送物の最大寸法値より大きい間隙)を有するように配置されている。
【0024】
供給側搬送体11の上記ベースブロック11Eには、供給方向Fに沿った延長形状のアタッチメントブロック11Fを取り付けるための取付座部と、この取付座部の側方に、供給方向Fとほぼ平行に伸びるように構成された直線状の供給側搬送路11bとが形成されている。また、上記取付座部に取り付けられた上記アタッチメントブロック11Fには、供給方向Fに伸びるように構成された直線状の供給側整列路11aが形成される。供給側整列路11aは、基本的には単層、単列に整列された搬送物を直線状に搬送していくものであり、上流部で受け入れた搬送物を単層、単列化するため或いは選別するための、搬送物に対する幅制限構造や高さ制限構造、搬送物の姿勢や形状等を検出するセンサ出力に応じて動作する排除用気流の吹き付け構造11pや反転用気流の吹き付け構造などを、V溝状やR溝状のトラック構造と組み合わせた構成を有する公知の選別領域11Dを備えている。なお、供給側整列路11aは、特に限定されるものではないが、確実な搬送状態の制御や高効率搬送を実現するために、基本的に水平に伸びるように設定される。
【0025】
また、アタッチメントブロック11Eにおいては、上記供給側整列路11aに対して供給側搬送路11b側に隣接する部分に、供給側整列路11aから上記各構造によって排除された搬送物を供給側搬送路11bに向けて落下させるための傾斜面(搬送物が滑落する面)11sが形成されている。そして、供給側搬送路11bの搬送底面と、この傾斜面11sとには、搬送物の貼り付き防止のために、いずれも、搬送物が移動していく方向に沿って伸びるように形成された複数のR溝がストライプ状に平行に形成されている。ここで、R溝の間の平坦部の幅は搬送物のサイズ以下となるように構成することが望ましい。また、このR溝構造の代わりに、或いは、このR溝構造とともに、ショットブラストなどによる他の貼り付き防止加工や低摩擦樹脂コーティングなどを搬送面や傾斜面に施してもよい。上述のように、供給側搬送体11は高い振動周波数の小さな上下動及び振幅を備えた振動により搬送物を供給方向Fに向けて移動させていくので、微小な電子部品などの微細で軽量の搬送物では搬送面に搬送物が貼り付きやすく、スムーズに移動しにくく、滞留しやすくなるため、上記のような対策をとることが特に有効である。
【0026】
本実施形態の循環式搬送装置10において搬送する搬送物は、特に限定されるものではないが、一例として、電気抵抗、コンデンサ(積層セラミックコンデンサ)、インダクタ、ダイオード、トランジスタなどの電子部品であって、角部が丸められた立方体形状を備えたものを想定している。この搬送物の寸法は、一般に0201と呼ばれるサイズを有し、具体的には長さL=0.25mm、厚さ及び幅d=0.125mmである。ここで、上述のような立方体形状の搬送物の場合、上記搬送物の最大寸法値は、長さ方向の一方の端部の四つの頂点のうちの一つの頂点と、他方の端部の四つの頂点のうちの、前記一つの頂点とは対角位置にある頂点(すなわち、前記一つの頂点から一つの稜線のみ若しくは一つの表面のみを通過して到達することができない頂点)とを結ぶ方向に計測した、上記二つの頂点間の距離に相当する長さを言う。また、上記搬送物に対応する本実施形態の装置サイズは、供給方向の全長が200mm程度である。
【0027】
本実施形態において、上記供給側搬送路11bは直線状に構成され、上記供給側整列路11aと並行するように形成されている。ここで、供給側搬送路11bの供給方向Fに見た勾配は、上記供給側整列路11aと同様に水平であってもよいが、搬送物をより高速かつ確実に移動させるために、図示のように若干の下り勾配となるように形成してもよい。また、供給側搬送路11bでは、上流部から下流部までは樋状の断面溝を備えた直線状に形成されているが、その下流端部11beは、側方に向けて開口し、しかも、やや下り勾配となるように形成された搬送面を備えている。なお、この下流端部11beの搬送底面にも上記の複数のR溝が形成されているが、それらのR溝は、供給側搬送路11bの他の部分のように供給方向Fに伸びた形ではなく、下り勾配に沿った方向、すなわち、隣接する回収側搬送路12aに向かう側方に延長された形状を備える。供給側搬送路11bの下流端部11beと回収側搬送路12aの上流部は、後述する回収移乗部Xを構成する。
【0028】
なお、供給側搬送路11bの下流端部11beは、供給側搬送体11の振動方向によって定まる供給方向Fとほぼ直交する方向に伸びるため、搬送物を回収側搬送路12aにスムーズに排出するために、搬送底面を所定の角度βだけ、回収側搬送路12aに向けて傾斜させ、下り勾配となるように形成している。図示例では、角度βは5度−10度程度である。
【0029】
本実施形態において、上記回収側搬送路12aは、供給側搬送路11bの下流端部11beの下方に配置される上流部を備え、回収方向に向けて僅かな上り勾配となるように形成されている。回収側搬送路12aは全体として樋状断面を有するが、図4に示すように、下流部に達するまでは外周側に向けて幅方向に傾斜した搬送底面12adを備えている。回収側搬送路12aの上記搬送底面12adは幅方向外側へ傾斜した状態のままで図5に示すように下流側に向けて徐々に上昇していく。そして、回収側搬送路12aの下流部分には、図6に示すように、回収側搬送路12aの幅方向の外周側に、上流側から絞り込まれ、狭幅化された細幅の外周側選別路部12bが上記搬送底面12adの下流側に連続して形成される。また、この外周側選別路部12bの下流側に引き続いて、図7に示すように、凹状(樋状)の断面構造を有するように形成された外周側搬送路部12cが形成される。この外周側搬送路部12cは外周側下流端部12ceまで達し、搬送物を上記供給側整列路11aの上流部に移乗させる外周側供給移乗部Yoを構成する。また、回収側搬送路12aには、上記外周側選別路部12bと並行して凹状(樋状)の断面構造を有するように形成された内周側搬送路部12dが形成される。この内周側搬送路部12dは内周側下流端部12deまで達し、搬送物を上記供給側搬送路11bの上流部に移乗させる内周側供給移乗部Yiを構成する。なお、外周側供給移乗部Yoと内周側供給移乗部Yiは、上記の供給移乗部Yを構成する。
【0030】
図4に示すように、回収側搬送体12は、回収側搬送路12aの上流部分に対応する箇所が供給側搬送体11に向けて側方へ突出し、供給側搬送体11の供給側搬送路11bの下流端部11beの下方に配置される上流側突出部12Eを備えている。この上流側突出部12Eの上面には、上記回収方向Bに沿った直線状の回収側搬送路12aの端部に、当該回収方向Bに対して屈折した向き、すなわち、供給側搬送体11に向けてまっすぐに、或いは、斜めに、それぞれ伸びる上流端部12aeが形成されている。回収側搬送路12aの上流端部12aeの搬送底面は、その下流側の回収側搬送路12aの他の部分と同様に、外周側、すなわち、供給側搬送体11から離れる側に向けて下り勾配(角度α)となるように構成されている。ここで、当該角度αは、搬送物を回収側搬送路12a内の外周側箇所へ寄せ集め、後述する外周側選別路部12bに沿って搬送物を高密度に整列させるためである。角度αは通常5度−10度程度である。なお、図示例の回収側搬送路12aの搬送底面12adは、供給側搬送路11bとは異なり、複数のR溝構造を備えていない。これは、回収側搬送体12の振動の上下動や振幅が供給側搬送体11のそれよりも大きいため、搬送物の搬送底面12adへの貼り付きや一部箇所における搬送物の滞留が生じにくいからである。
【0031】
上記構造により、回収移乗部Xにおいて、供給側搬送路11bの下流端部11beは、回収側搬送路12aの上流部(図示例では上流端部12ae)の上方に間隔を有して張り出した構造とされる。すなわち、上記下流端部11beを構成する供給側搬送体11の一部分は、側方に突出することにより、回収側搬送路12aの上流端部12aeを備えた回収側搬送体12の上流側突出部12Eに対して、上方に離間した状態で配置されている。これにより、下流端部11beから上流端部12aeに落下した搬送物は、供給側搬送体11と回収側搬送体12との間の間隙に入り込みにくくなるとともに、仮に当該間隙に搬送物や塵埃などが入り込んでも、両搬送体の間にかみこまれることがないように構成される。例えば、図4に示すように、上記の張り出し構造において、両搬送体11と12の間の上下方向の間隙Gtxは、搬送物の寸法の最大寸法より大きく確保することが好ましい。ただし、この上下方向の間隙Gtxは、供給側搬送体11と回収側搬送体12のそれぞれの振動の上下動のストロークを考慮し、両搬送体の振動が逆相となったときに振動の上下動によって搬送物がかみこまれる虞がないように、搬送物の最大寸法値よりも大きい値に設計される。例えば、搬送物が上述の0201サイズとすれば、上述の振動の上下動のストロークをも考慮すると、0.4mm以上であることが好ましく、図示例では、上記間隙Gtxを0.4mm−0.5mm程度の値にしている。このようにすると、搬送物だけでなく、塵埃などが詰まったりすることも防止できる。
【0032】
一方、図7及び図8に示すように、回収側搬送体12は、下流側の端部付近において、供給側搬送体11の側(側方)へ突出し、供給側搬送体11の供給側整列路11a及び供給側搬送路11bの上流部の上方に配置される下流側突出部12Fを備えている。この下流側突出部12Fには、上記の外周側移乗部Yoにおいて、外周側搬送路部12cの上記外周側下流端部12ceを構成する外周側突出部12Foと、上記の内周側移乗部Yiにおいて、内周側搬送路部12dの上記内周側下流端部12deを構成する内周側突出部12Fiとを有する。ここで、外周側突出部12Foに形成された外周側下流端部12ceは、供給側整列路11aの上流部の上方に間隔を有して張り出した構造を有し、内周側突出部12Fiに形成された内周側下流端部12deは、供給側搬送路11bの上流部の上方に間隔を有して張り出した構造を有する。ここで、供給側整列部11aは供給側搬送路11bよりも回収側搬送体11から離間した位置にあるため、外周側突出部12Foは内周側突出部12Fiよりも側方への突出(張出)量が大きい。なお、この供給移乗部Y(外周側供給移乗部Yo及び内周側供給移乗部Yi)においても、上下方向の間隙Gtyo(図8参照)とGtyi(図7参照)は、上記間隙Gtxと同様であり、搬送物の最大寸法値より大きい値、例えば、0.4mm以上とすることが好ましく、図示例では、それぞれ、0.5mm−0.6mm程度の値に設計されている。
【0033】
図8に示すように、外周側搬送路部12cの下流端部12ceは、回収方向Bとほぼ直交する方向に伸びるため、当該下流端部12ceの搬送面上を搬送物が円滑に移動し、上記供給側整列路11aに移乗できるように、張り出し先に向けて下り勾配(角度γ)になるように形成されている。この角度γは通常5度−10度程度である。
【0034】
本実施形態において、回収側搬送体12に形成される回収側搬送路12aが、上流端部12aeにおいては供給側搬送体11に形成される供給側搬送路11bの下流端部11beよりも低い位置にあり、外周側下流端部12ce及び内周側下流端部12deにおいては供給側搬送体11に形成される供給側整列路11aの上流部及び供給側搬送路11bの上流部よりも高い位置にある。このため、回収側搬送体12は、供給側搬送体11の側方において上流部と下流部の途中で搬送面の高さを逆転させるように構成されなければならない。このため、回収側搬送体12の上記上流側突出部12Eと下流側突出部12Fの間にある領域では、回収側搬送体12の内側部と供給側搬送体11の内側部とは、図5及び図6に示すように、相互に側方に間隔を隔てて対面するように配置されている。
【0035】
このとき、供給側整列路11aから排除された搬送物が供給側搬送路11bに落下するとき、気流などの勢いが強すぎて上記内側面の間の左右方向の間隙Gsに搬送物が落下したり、かみこんだりする虞がある。同様に、搬送物ではなくとも、塵埃などが間隙Gsに詰まったりする虞もある。このため、本実施形態においては、左右方向の間隙Gsを上記間隙Gtx、Gtyo、Gtyiと同様に、搬送物をかみこまないように、搬送物の最大寸法値よりも大きい値となるように設定している。図示例では、Gsを0.5mm−1.0mm程度に設計している。また、搬送物が間隙Gsに向けて落下しないように、供給側搬送体11の内側部において、すなわち、上記供給側搬送路11bの内側(回収側搬送体12と対面する側)に、回収側搬送体12の内側部よりも高い仕切壁11tを形成している。また、この仕切壁11tの上部には、上記間隙Gsを上方から覆うようにカバーする被覆部11taを形成している。この被覆部11taを設けることによって、搬送物や塵埃などが間隙Gsに入り込む余地を完全に無くすことができる。図示例では、被覆部11taは、仕切壁11t(好ましくはその上端)から連続して供給側搬送体12の側に張り出した構造を備えている。
【0036】
回収側搬送体12は、図2に示すように、平面的に見たときに、回収側搬送路12aが]若しくは〕の形状になるように形成される。このような平面形状により、両搬送体11と12とが干渉しないように間隙を十分に確保しつつ、上述のように回収側搬送路12aの上流端と下流端においてそれぞれ上下に間隔を有して張り出した回収移乗部Xと供給移乗部Yとを形成できる。このような構造は、回収側搬送体12が上流側突出部12E及び下流側突出部12Fを備えることにより、供給方向F及び回収方向Bと直交する断面に沿って見たときにも、回収側搬送体12が]若しくは〕の形状になることを意味する。このような構造は、両搬送体11と12の間隙を確保しつつ、装置全体をコンパクトに構成するのに役立つ。なお、排出部12pは搬送物のロット替えなどにおいて残存した搬送物を排出するために設けられる。また、循環式搬送装置10の外部から新たな搬送物を与える場合には、ホッパー等を用いて、回収側搬送路12aの外周側下流端部12ceや外周側選別路部12bよりも上流側の中途位置などに搬送物を供給すればよい。
【0037】
以上説明した本実施形態によれば、回収移乗部X、並びに、供給移乗部Y(外周側供給移乗部Yo及び内周側供給移乗部Yi)において、それぞれ上述の張り出し構造が設けられることによって、搬送物が微細化しても、搬送物や塵埃のかみこみを防止し、搬送物に損傷を与えたり、塵埃を発生したり、振動態様に影響を与えたりすることを回避できる。また、上記張り出し構造は、回収移乗部X、並びに、供給移乗部Y(外周側供給移乗部Yo及び内周側供給移乗部Yi)において、供給側搬送体11と回収側搬送体12との間に大きな上下方向及び左右方向の間隙Gtx,Gtyo,Gtyi,Gsを与えることを可能にするため、供給側搬送体11の振動態様と、回収側搬送体12の振動態様とが大きく異なる場合、或いはまた、回収側搬送体12の振動の上下動及び振幅が大きい場合でも、各移乗部での段差や間隙の変動による搬送物への影響を考慮する必要がなくなる。
【0038】
また、本実施形態では、供給側搬送体11に供給側整列路11aと並行する供給側搬送路11bを設けるとともに、回収側搬送体12の上流側突出部12E及び下流側突出部12Fを供給側搬送体11に向けて側方へ突出させることにより、回収移乗部X及び供給移乗部Yを構成しているため、供給側搬送路11bの下流端部11beや回収側搬送路11aの下流端部(外周側下流端部12ce及び内周側下流端部12de)を供給方向F及び回収方向Bに限定した範囲に形成した場合でも、確実に搬送物を移乗させることができる。このため、上記各下流端部の幅を限定した分だけ、供給側整列路11aにおける選別処理に用いることのできる供給方向Fの範囲である選別領域11D(図2参照)を相対的に広く確保することができるという利点がある。
【0039】
特に、近年は、供給すべき搬送物の搬送距離をなるべく限定することによって、搬送物の汚れなどを軽減したいという要求が強くなってきているため、搬送装置全体のサイズ(特に、供給方向F及び回収方向Bに見たときの装置の全長)を小さくしたいが、一方で選別精度の要求水準も高くなっているため、選別領域11Dの長さをある程度確保しなければならない。本実施形態では、上記構造によって装置全長を小さくしても選別領域11Dの設定割合を大きく確保できるため、選別精度を確保しつつ、搬送物の搬送距離を削減することが可能になる。
【0040】
尚、本発明の循環式搬送装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、供給側搬送体11に供給側搬送路11bを設け、回収側搬送路12aに外周側選別路部12b、外周側搬送路部12c及び内周側搬送路部12dを形成しているが、これらの少なくとも一つを設けないで構成することも可能である。
【符号の説明】
【0041】
10…循環式搬送装置、11…供給側搬送体、11a…供給側整列路、11b…供給側搬送路、11be…下流端部、11s…傾斜面、11D…選別領域、11E…ベースブロック、11F…アタッチメントブロック、11…仕切壁11t…被覆部、12…回収側搬送体、12a…回収側搬送路、12b…外周側選別路部、12c…外周側搬送路部、12ce…外周側下流端部、12d…内周側搬送路部、12de…内周側下流端部、12E…上流側突出部、12F…下流側突出部、12Fo…外周側突出部、12Fi…内周側突出部、13…供給側加振機構、14…回収側加振機構、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8