【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、総務省「移動通信システムにおける三次元稠密セル構成及び階層セル構成技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記移動通信網を介した音声通信では、通信端末装置が利用している音声通信システムの種類の切り替えが発生する場合がある。例えば、3G(例えばW−CDMA:Wideband Code Division Multiple Access)の移動通信ネットワーク(以下「3Gネットワーク」という。)では音声通信システムとして回線交換システムが用いられ、LTE(Long Term Evolution)/LTE−Advancedの移動通信ネットワーク(以下「LTEネットワーク」という。)では音声通信システムとしてVoLTE(Voice Over Long Term Evolution)システムが用いられる。音声通信を行っている通信端末装置が接続している移動通信ネットワークがLTEネットワークから3Gネットワークにハンドオーバーしたとき音声通信システムがVoLTEシステムから3Gの回線交換システムに切り替わるSRVCC(Single Radio Voice Call Continuity)が実行される。また、音声通信を行っている通信端末装置が接続している移動通信ネットワークが音声通信に対応したLTEネットワークから音声通信に対応していないLTEネットワーク(3Gネットワークに重複)にハンドオーバーしたときも、上記SRVCCが発生し得る。このような音声通信中に音声通信システムの切り替わるSRVCCの発生を音声通信品質として検出したいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る方法は、音声通信品質を測定する方法であって、予め設定した音声通信の測定設定時間に基づいて、通信端末装置及び測定用通信装置のうちいずれか一方を音声通信の発信側装置とし他方を音声通信の着信側装置として移動通信網を介した音声通信を行うことと、前記移動通信網を介した音声通信を行っている間、前記通信端末装置が接続されている基地局の識別情報及びその基地局との無線通信に用いられている無線通信方式の識別情報の
両方を連続的に取得し、その
両方の識別情報を含む音声通信ログを記録することと、前記連続的に取得された基地局の識別情報及び無線通信方式の識別情報の
両方に基づいて、前記音声通信における音声通信システム
がVoLTEシステムから回線交換システムに切り替わるSRVCCの発生を検出することと、を含む。ここで、前記音声通信ログは、前記音声通信の開始時刻及び終了時刻の情報と、前記音声通信中の音声通信システムの切り替えが発生した発生時刻の情報と、前記通信端末装置の位置情報と、前記通信端末装置が接続している基地局の識別情報とを含んでもよい。
前記方法において、前記発信側装置及び前記着信側装置それぞれに前記測定設定時間の情報を配信してもよい。
【0006】
本発明の他の態様に係るシステムは、音声通信品質を測定するシステムであって、移動通信網を介して互いに音声通信可能な通信端末装置及び測定用通信装置を備え、前記通信端末装置及び前記測定用通信装置は、予め設定した音声通信の測定設定時間に基づいて、前記通信端末装置及び前記測定用通信装置のうちいずれか一方を音声通信の発信側装置とし他方を音声通信の着信側装置として移動通信網を介した音声通信を行い、前記通信端末装置は、前記移動通信網を介した音声通信を行っている間、前記通信端末装置が接続されている基地局の識別情報及びその基地局との無線通信に用いられている無線通信方式の識別情報の
両方を連続的に取得し、その
両方の識別情報を含む音声通信ログを記録し、前記連続的に取得された基地局の識別情報及び無線通信方式の識別情報の
両方に基づいて、前記音声通信における音声通信システム
がVoLTEシステムから回線交換システムに切り替わるSRVCCの発生を検出する手段を備える。ここで、前記音声通信ログは、前記音声通信の開始時刻及び終了時刻の情報と、前記音声通信中の音声通信システムの切り替えが発生した発生時刻の情報と、前記通信端末装置の位置情報と、前記通信端末装置が接続している基地局の識別情報とを含んでもよい。
前記システムにおいて、前記音声通信ログを取得して前記音声通信における音声通信システムの切り替えの検出を行うサーバを備えてもよい。ここで、前記サーバは、前記通信端末装置及び前記測定用通信装置それぞれに前記測定設定時間の情報を配信してもよい。
また、前記システムにおいて、前記通信端末装置は、前記連続的に取得された基地局の識別情報及び無線通信方式の識別情報の少なくとも一方に基づいて、前記音声通信における音声通信システムの切り替えを検出してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、音声通信中に音声通信システムの切り替わるSRVCCの発生を音声通信品質として検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る通信システム全体の要部構成の一例を示す説明図である。本実施形態の通信システムは、ユーザが利用可能な通信端末装置100と、通信端末装置100による移動通信網(携帯電話網)200を介した音声通信の評価に関する処理を行う通信品質測定システム400とを含む。通信品質測定システム400は、単一のサーバやネットワーク装置で構成してもよいし、複数のサーバやネットワーク装置を組み合わせて構成してもよい。
【0010】
通信品質測定システム400は、測定用通信装置としての音声通信装置410と、配信・解析サーバ(「測定サーバ」又は「スケジュールサーバ」ともいう。)420とを備えている。通信端末装置100は、基地局210,212を含む移動通信網200と、固定電話網300とを介して、通信品質測定システム400の音声通信装置410と音声通信することができる。また、通信端末装置100は、上記基地局210,212を含む移動通信網200又はWiFi(Wireless Fidelity)などの無線LANのアクセスポイント装置510を介してインターネット500にアクセスし、通信品質測定システム400の配信・解析サーバ420との間で各種データを送受信したり、音声通信測定の測定設定時間を含む測定条件の情報(測定スケジュール)を受信したりすることができる。
【0011】
通信端末装置100は、例えば音声通信可能な携帯電話機、スマートフォン、PHSなどの移動通信端末やタブレットPCであり、無線中継装置としての基地局210,212や交換機などを有する移動通信網200を介して、通信先と音声通信やデータ通信を行うことができる。
【0012】
例えば、通信端末装置100は、移動通信網200の無線通信エリアとしての3G(例えばWCDMA(登録商標))ネットワークのセルに在圏しているときに、3Gネットワークの音声通信システムである回線交換システムにより、他の移動通信網のセルに在圏している接続されている携帯電話機、スマートフォン、PHSなどの移動通信端末やタブレットPCなどの各種の通信端末装置との間で音声通信することができる。また、通信端末装置100は、移動通信網200の無線通信エリアとしてのLTEネットワークのセルに在圏しているときに、LTEネットワークの音声通信システムであるVoLTEシステムにより、他の移動通信網のセルに在圏している接続されている上記各種の通信端末装置との間で音声通信することができる。また、通信端末装置100は、移動通信網200の3Gネットワーク又はLTEネットワークのセルに在圏しているときに、その移動通信網200及び固定電話網300を介して、音声通信先としての通信品質測定システム400の音声通信装置410との間で音声通信を行うことができる。また、上記セルは、例えば互いに大きさが異なるマクロセル、マイクロセル、フェムトセル、ピコセル等の各種セルのいずれかである。
【0013】
通信端末装置100は、例えば、アンテナ、送信増幅器、受信増幅器、無線信号処理部、ベースバンド信号処理部、アプリケーション実行管理部、小型マイクなどからなる音声入力装置、スピーカー、レシーバ、振動発生器などからなる音声出力装置、表示手段としてのLCDなどの表示部、主制御装置などで構成される。また、通信端末装置100は、現在位置取得手段として、GPSを用いて自身の現在位置の情報を取得するGPS受信部を備える。また、通信端末装置100は、CCDやCMOS等のカメラデバイスなどからなる撮像部や、ジャイロセンサ、加速度センサ、磁気センサ等からなる姿勢検知部を備えてもよい。
【0014】
主制御装置は、例えばMPU(Micro Processing Unit)などのマイクロプロセッサや、RAM、ROMなどのメモリで構成され、予め組み込まれた所定の制御プログラムに基づいて各部を制御する。例えば、主制御装置は、所定の制御プログラムが実行されることにより、移動通信網200及び固定電話網300を介した音声通信装置410との間における音声通信の処理及びその制御、移動通信網200及びインターネット500を介した配信・解析サーバ420との間における音声通信ログや音声通信評価結果の送受信処理及びその制御、配信・解析サーバ420からの測定設定時間を含む測定条件の情報(測定スケジュール)の受信及びその制御などを行うことができる。また、主制御装置は、音声通信評価処理(例えば、音声通信システムの切り替え発生の評価、音声品質の評価値の計算処理)を行うようにしてもよい。
【0015】
また、通信端末装置100は、主制御装置のネイティブ環境上で各種アプリケーションのプログラムを実行したり、アプリケーション実行管理部で構築される仮想環境上で各種アプリケーションのプログラムを実行したりすることができる。ここで、「アプリケーション」(以下、適宜「アプリ」と略す。)とは、音声通信評価処理のほか、電話、録音、ブラウザ、カメラ、検索、メール、情報配信、カレンダー、時計、音楽再生、地図表示、データフォルダ、メッセージの通信、動画再生等の様々な用途それぞれに応用することができるソフトウェアを意味し、「アプリケーションソフトウェア」とも呼ばれる。また、「アプリケーション」は、各種言語で開発された実行プログラムのファイルや、プログラム実行時等に用いられたり参照されたりする設定情報及び画像などのファイルなどの集合体である。
【0016】
アプリケーション実行管理部は、例えば、アプリケーションの実行に用いられるプログラムモジュールやライブラリを管理する。また、アプリケーション実行管理部は、Android(登録商標)アプリケーション、iOS(登録商標)アプリケーション、Windows(登録商標)アプリケーションなどの複数種類のアプリケーションのいずれか一つ又は二以上を実行するためのフレームワーク(例えば、Androidフレームワーク、iOS フレームワーク、など)や、Dalvik(登録商標) VMやJava(登録商標) VMなどの仮想実行環境(仮想マシン)を構築する。また、アプリケーション実行管理部は、複数のアプリケーションを並列実行することができるマルチタスク機能を有するように構成されている。
【0017】
音声通信装置410は、配信・解析サーバ420及び通信端末装置100それぞれと双方向に通信可能に構成されている。例えば、音声通信装置410は、通信端末装置100からの発呼に応答したり、通信端末装置100に対して発呼したりすることにより、移動通信網200及び固定電話網300を介して通信端末装置100との間で音声通信を行うことができる。
【0018】
配信・解析サーバ420は、例えば、架電サーバ、固定電話、自動音声応答装置(IVR)等であり、音声通信装置410及び通信端末装置100それぞれと通信可能に構成されている。配信・解析サーバ420は、音声通信評価に関する各種処理を行うサーバである。例えば、配信・解析サーバ420は、音声品質の評価値を計算することができる。また、配信・解析サーバ420は、音声通信品質評価用のテスト信号の音源ファイル、音声品質の評価値の情報など格納して管理したり、これらの情報について各種統計処理や分析処理を行ったりすることができる。
【0019】
なお、配信・解析サーバ420は複数のサーバで構成してもよい。例えば、上記測定時間を含む測定条件の情報を配信する配信サーバと、音声通信品質の評価に関する各種処理を行う解析サーバとを、別々に設けてもよい。
【0020】
また、音声通信装置410及び配信・解析サーバ420はそれぞれ、例えば、MPUやメモリ等を有するコンピュータ装置、外部通信インターフェース部などのハードウェアを用いて構成され、所定のプログラムが実行されることにより音声通信評価のための各種処理を行うことができる。
【0021】
上記構成の通信システムにおいて、音声通信中の通信端末装置100がLTEネットワークのセルから3Gネットワークのセルへの移動に伴うハンドオーバーをすると、SRVCCが実行され、音声通信システムがVoLTEシステムから3Gの回線交換システムに切り替わる。移動通信システムの音声通信品質の評価では、上記音声通信中に音声通信システムの切り替わるSRVCCの発生の有無についても、評価項目として重要である。そこで、本実施形態の通信システムにおける音声通信品質の測定では、以下に示すように通信端末装置100における音声通信ログを用いて音声通信中に音声通信システムが切り替わるSRVCCの発生を検出している。
【0022】
本実施形態の音声通信品質測定の一例において、通信端末装置100の主制御装置、アンテナ、送信増幅器、受信増幅器、無線信号処理部、ベースバンド信号処理部などは、予め設定した音声通信の測定設定時間に基づいて通信網200、300を介した通信端末装置100又は音声通信装置410からの発呼により音声通信装置410との間で音声通信を行う手段や、通信網200、300を介した音声通信を行っている間、通信端末装置100が接続されている基地局210、212の識別情報及びその基地局との無線通信に用いられている無線通信方式(RAT:Radio Access Technology)の識別情報の少なくとも一方を所定時間間隔で連続的に取得する手段としても機能する。
また、通信端末装置100の主制御装置は、上記音声通信中に連続的に取得した基地局210、212の識別情報及び無線通信方式(RAT)の識別情報の少なくとも一方を含む音声通信ログを記録する手段としても機能する。
また、音声通信装置410のコンピュータ装置及び外部通信インターフェース部は、予め設定した音声通信の測定設定時間に基づいて通信網200、300を介した通信端末装置100又は音声通信装置410からの発呼により通信端末装置100との間で音声通信を行う手段、及び、上記通信網200、300を介した音声通信を行うときに音声通信ログを記録する手段としても機能する。
また、配信・解析サーバ420のコンピュータ装置及び外部通信インターフェース部は、通信端末装置100から上記音声通信ログを取得し、その音声通信ログに含まれる上記連続的に取得された基地局210、212の識別情報及び無線通信方式(RAT)の識別情報の少なくとも一方に基づいて、音声通信における音声通信システムの切り替えを検出する手段としても機能する。
また、配信・解析サーバ420のコンピュータ装置及び外部通信インターフェース部は、通信端末装置100及び音声通信装置410それぞれに測定設定時間の情報を配信する手段としても機能する。
【0023】
なお、通信端末装置100に組み込まれる音声通信評価のアプリケーション(以下「音声通信評価アプリ」という。)は、複数の動作モードを有してもよい。例えば、音声通信評価アプリは、ユーザが当該アプリを手動で起動して音声通信評価処理を開始する手動測定モードと、予め配信された測定設定時間に基づいて当該アプリがバックグラウンドで起動して音声通信評価処理を開始する自動測定モードとを有してもよい。手動測定モード及び自動測定モードは、例えばユーザの選択操作や通信品質測定システム400側からの指示に基づいて選択することができる。また、音声通信評価アプリは、音声通信における音声通信システムの切り替えの発生の判定を通信端末装置100で行う端末判定モードと、音声通信における音声通信システムの切り替えの発生の判定を配信・解析サーバ420で行うサーバ判定モードとを有する。端末判定モード及びサーバ判定モードについても、例えばユーザの選択操作や通信品質測定システム400側からの指示に基づいて選択することができる。
【0024】
次に、本実施形態に係る通信システムにおける音声通信品質測定の例について説明する。
図2は、本実施形態に係る通信システムにおける通信端末装置100による音声通信品質測定の一例を示すシーケンス図である。なお、本例は、通信品質測定の測定条件として、通信品質測定を実行する時間を指定する測定設定時間を含む情報を、通信端末装置100及び音声通信装置410に配信している。また、本例では、通信端末装置100は、通信品質測定処理を行うための通信品質測定アプリが予めインストールされ、上記サーバ判定モードで動作している。また、通信端末装置100及び音声通信装置410は、NTPサーバやGPS信号等を利用して、互いに時間同期されている。また、通信端末装置100は、通信品質測定アプリが予め起動されて常時バックグランド動作の状態になっている。
【0025】
図2において、まず、配信・解析サーバ420は、通信品質測定の測定設定時間(例えば、発信時刻及び通話時間)を含む測定条件(以下「測定スケジュール」という。)の情報を、通信端末装置100及び音声通信装置410に送信する。
【0026】
表1は、配信・解析サーバ420から送信される測定スケジュールの情報の一例を示している。この例では、測定スケジュールを識別して管理するためのスケジュールID(スケジュール管理番号)と、測定設定時間(発信時刻及び通話時間)の情報と、通信品質測定を行う通信の発信元及び発信先それぞれの電話番号及びタイプの情報とを含んでいる。
【表1】
【0027】
通信端末装置100は、配信・解析サーバ420から受信した測定スケジュールの情報に基づいて、測定設定時間の指定された発信時刻に近づいたタイミングになると音声通信ログの記録を開始する。
【0028】
また、音声通信装置410は、配信・解析サーバ420から受信した測定スケジュールの情報に基づいて、測定設定時間の指定された発信時刻に近づいたタイミングになると、音声通信ログの記録を開始する。なお、音声通信装置410では、音声通信ログの記録を常時実行しておいてもよい。
【0029】
音声通信装置410は、上記所定の発信時刻になると、移動通信網200の交換機205及び固定電話網300を介して、上記測定スケジュールで発信先として指定された通信端末装置100の電話番号宛に発呼する自動発信を実行する。交換機205は、音声通信装置410からの発信を受けると、リングバックトーンの応答を音声通信装置410へ送信するとともに、固定電話網300及び移動通信網200を介して通信端末装置100に発呼する。
【0030】
通信端末装置100は交換機205からの発呼を着信すると、その着信に対する応答を、交換機205を介して音声通信装置410に送信する。音声通信装置410は、通信端末装置100からの応答を受信すると、交換機205を介して通信端末装置100と音声通信装置410との間に音声通信回線が確立されて両者間で通話可能な状態になる。
【0031】
なお、音声通信品質を測定するときの通信端末装置100と音声通信装置410との間の通話は、例えば、通信端末装置100又は音声通信装置410に予め保存されているテスト用の音源ファイルを再生し、両者間でテスト用の音声信号を送受信する。
【0032】
また、本実施形態において、上記音声通信を行っている通信端末装置100は、音声通信中の所定時間間隔ごとに(例えば、数秒ごとに)、接続している基地局からその基地局の識別情報及びその基地局との無線通信に用いられている無線通信方式(RAT)の識別情報とを含む基地局情報を連続的に取得し、音声通信ログに記録している。
【0033】
上記基地局情報には、通信端末装置100が基地局から受信している下りリンク信号の
受信品質情報を含んでもよい。受信品質情報としては、例えば、3G(WCDMA)ネットワークの場合の受信信号コード電力(RSCP:Received Signal Code Power)、域内の電力密度で割ったチップあたりの受信エネルギー(Ec/No:Received energy per chip divided by the power density in the band)又は受信信号強度インジケータ(RSSI: Received Signal Strength Indicator)や、LTEネットワークの場合の基準信号受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)、基準信号受信品質(RSRQ:Reference Signal Received Quality)、受信信号強度インジケータ(RSSI)が挙げられる。
【0034】
その後、上記所定の測定設定時間で指定されている発信時刻から通話時間(表1の例では150秒)が経過したタイミングで音声通信装置410から交換機205側に切断要求が送信されることにより切断処理が実行され、音声通信が終了し、通信端末装置100及び音声通信装置410はそれぞれ音声通信ログの記録を終了する。
【0035】
図3は、通信端末装置100による音声通信品質測定中に発生したSRVCCの一例を示す説明図である。また、表2及び表3はそれぞれ通信端末装置100及び音声通信装置410に記録される音声通信ログの例を示している。
【表2】
【表3】
【0036】
表2に示す通信端末装置100の音声通信ログは、スケジュールID毎に、着信時刻(日時欄の1行目)、通話時間(音声通信時間)及び現在位置の測定データと、発信元の電話番号と、発信先(自分自身)の電話番号と、接続成否の情報と、接続している基地局の識別情報としての基地局ID及び無線通信方式の識別情報としてのRATの識別番号とを含んでいる。基地局ID及びRATの識別番号を含む基地局情報は、例えば接続している基地局210又は212から受信する報知情報から取得することができる。
【0037】
更に、表2に示す通信端末装置100の音声通信ログは、各スケジュールIDの音声通信について、音声通信中の所定時間間隔ごとに(表2の例では、5秒ごとに)、接続している基地局の識別情報と、その基地局との無線通信に用いられている無線通信方式(RAT)の識別情報とを連続的に取得し、音声通信ログに記録している。なお、表2の例に示すように、所定の時間間隔ごとに上記基地局の識別情報及び無線通信方式(RAT)の識別情報とともに通信端末装置100の現在位置(GPSの経度及び緯度)の情報を取得し、それら所定の時間間隔ごとに取得した三つの情報を音声通信ログに記録するようにしてもよい。
【0038】
一方、表3に示す音声通信装置410の音声通信ログは、スケジュールID毎に、発信時刻及び通話時間(音声通信時間)の測定データと、発信元の電話番号と、発信先(自分自身)の電話番号と、接続成否の情報とを含んでいる。
【0039】
通信端末装置100及び音声通信装置410それぞれにおいて記録された音声通信ログは配信・解析サーバ420に送信される。
【0040】
配信・解析サーバ420は、通信端末装置100からの音声通信ログと音声通信装置410からの音声通信ログとを受信すると、それらの音声通信ログに基づいて各種音声通信品質を測定する。特に、本実施形態において、配信・解析サーバ420は、通信端末装置100の音声通信ログに連続的に記録されている基地局ID及びRATの識別情報の少なくとも一方に基づいて、
図3に示すような音声通信品質測定中におけるSRVCCの発生を検出している。例えば、表2のスケジュールID=1の音声通信ログにおいて、2016年11月11日の午前10時0分0秒に音声通信が開始され、その音声通信中の午前10時1分0秒に基地局IDが「AAA」(LTEネットワークの基地局)から「BBB」(3Gネットワークの基地局)に変化し、RATの識別番号が「13」(LTE)から0、13以外の番号(3G)に変化している。この変化から、音声通信中の午前10時0分55秒と午前10時1分0秒の間に、音声通信システムがVoLTEシステムから3Gの回線交換システムに切り替わるSRVCCが発生したと判定される。また、そのSRVCCが発生したときの通信端末装置100の位置情報(GPSの緯度及び経度)及び基地局IDにより、SRVCCの発生の発生場所を特定することができる。以上のように、通信端末装置100の音声通信ログに基づいて、SRVCCの発生時刻だけでなく、SRVCCの発生場所を精度よく特定することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、配信・解析サーバ420が、基地局ID及びRATの識別情報の少なくとも一方に基づいて音声通信システムの切り替えを検出しているが、通信端末装置100が基地局ID及びRATの識別情報の少なくとも一方に基づいて音声通信システムの切り替えを検出してもよい。また、音声通信装置410が通信端末装置10から取得した基地局ID及びRATの識別情報の少なくとも一方に基づいて音声通信システムの切り替えを検出してもよい。
【0042】
以上、本実施形態によれば、通信端末装置100の音声通信ログにおける音声通信中に連続的に取得されて記録されている基地局ID及びRATの識別情報の少なくとも一方に基づいて、移動通信網を介した音声通信におけるSRVCCの発生を簡易に検出することができる。
また、本実施形態によれば、前記音声通信ログが、音声通信の開始時刻及び終了時刻の情報と、音声通信中の音声通信システムの切り替えが発生した発生時刻の情報とを含むことにより、SRVCCの発生時刻を特定することができる。更に、前記音声通信ログが、通信端末装置100の位置情報と、通信端末装置100が接続している基地局の基地局IDとを含むことにより、SRVCCの発生場所を精度よく特定することができる。
また、本実施形態によれば、前記測定設定時間を含む測定スケジュールの情報を配信・解析サーバ420から通信端末装置100及び音声通信装置410に配信しているので、移動通信網を介した音声通信について、上記SRVCCの発生の検出条件を簡易かつ任意に設定又は変更することができる。
【0043】
なお、本明細書で説明された通信端末装置100、音声通信装置410、配信・解析サーバ420それぞれにおける処理工程及び構成要素は、前述の手段のほか、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの処理工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0044】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、NodeB、通信端末装置、サーバ、ゲートウェイ、交換機、コンピュータ、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0045】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、FLASHメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0046】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【解決手段】予め設定した音声通信の測定設定時間に基づいて、通信端末装置及び測定用通信装置のうちいずれか一方を音声通信の発信側装置とし他方を音声通信の着信側装置として移動通信網を介した音声通信を行う。移動通信網を介した音声通信を行っている間、通信端末装置が接続されている基地局の識別情報及びその基地局との無線通信に用いられている無線通信方式の識別情報の少なくとも一方を所定時間間隔で連続的に取得し、その識別情報を含む音声通信ログを記録する。前記連続的に取得された基地局の識別情報及び無線通信方式の識別情報の少なくとも一方に基づいて、前記音声通信における音声通信システムの切り替えを検出する。