【実施例】
【0105】
V.実施例
以下の実施例は例示のためのものであり、権利を請求する本発明を制限するものではない。
【0106】
以下に使用する試薬と溶媒は、市場の供給元(例えばアルドリッチ・ケミカル社(ミルウォーキー、ウィスコンシン州、米国))から得ることができる。
1H NMRスペクトルは、Varian Mercury 400MHz NMR分光器で記録した。顕著なピークはTMSと比較して与えられ、順番に記載する:多重性(s、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;m、多重項)及び陽子の数。質量分析の結果は、電荷に対する質量の比として報告し、その後に各イオンの相対的な豊富さを(カッコの中に)示す。実施例では、単一のm/eの値を、最も一般的な原子同位体を含むM+H(又はM-Hの記載もある)イオンに関して報告する。同位体のパターンは、すべての場合に予想される式に対応する。エレクトロスプレー・イオン化(ESI)分光分析を、ヒューレット-パッカード社のMSDエレクトロスプレー質量分析器で実施した。サンプルの供給にはHP1100 HPLCを用いた。通常は、分析物をメタノールに0.1mg/mlの濃度に溶かし、1マイクロリットルを送達溶媒と共にこの質量分析器に注入する。この質量分析器では、100〜1500ダルトンを走査した。1%のギ酸を含むアセトニトリル/水を送達溶媒として使用してポジティブESIモードですべての化合物を分析することができた。以下に示す化合物は、2mMのNH
4OAcを含むアセトニトリル/水を送達系として使用してネガティブESIモードでも分析することができた。
【0107】
本発明の実施例と明細書全体で以下の略号を用いる。
EtOH:エタノール
EtONa:ナトリウムエトキシド
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィ
MeOH:メタノール
【0108】
本発明の範囲に含まれる化合物は、当業者に知られている多彩な反応を利用し、以下に説明するようにして合成することができる。当業者であれば、別の方法を利用して本発明の標的化合物を合成できることと、本明細書に記載した方法がすべてではなく、興味の対象である化合物に至る広く適用できて実用的な経路が提示されていることも分かるであろう。
【0109】
本明細書で権利を主張するいくつかの分子は、異なる鏡像異性体の形態及び異なるジアステレオマーの形態で存在することができ、これら化合物のそのような変異体はすべて請求項に含まれる。
【0110】
本明細書でカギとなる化合物の合成に利用する実験手続きの詳細な説明により、さまざまな分子に至る。それらの分子は、同定するための物理的データと構造の表示によって記述される。
【0111】
当業者であれば、有機化学における標準的なワーク・アップ手続きの間、酸と塩基が頻繁に利用されることも分かるであろう。親化合物の塩が、必要な固有の酸性又は塩基性を有する場合には、本明細書に記載した実験手続きの間にその塩が生成されることがある。
【0112】
実施例1
シス-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)-2-フェニルピペリジン-3-カルボン酸(3-トリフルオロメチルフェニル)アミドの合成
【0113】
【化18】
【0114】
a)2-クロロ-3-カルボキシエチルピリジン(25g、134.7ミリモル)、フェニルボロン酸(21.04g、172.6ミリモル)、K
2CO
3(55.1g、399ミリモル)を1,4-ジオキサン(200ml)と水(200ml)に溶かした溶液にPd(PPh
3)
4(3.0g、2.6ミリモル)を添加した。この反応混合物を2時間にわたって100℃に加熱した。次に、この溶液を室温まで冷却し、ジオキサンを減圧下で除去した。得られた水層を酢酸エチルで抽出し、1つにまとめた有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、セライトで濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、10〜100% EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、2-フェニルピリジン誘導体が91%の収率で得られた(27.98g)。LC-MS R
t(保持時間):2.45分、MS:(ES) m/z 228 (M+H
+)。
【0115】
b)2-フェニル-ニコチン酸エチルエステル(20g、88ミリモル、上記のステップaで調製)をEtOH(60ml)と濃HCl(15ml)に溶かした溶液にPtO
2(800mg、3.52ミリモル)を添加した。パー・シェイカーを40〜45psiで1時間使用して、この反応混合物を水素化した。次に、この反応混合物をセライトで濾過し、EtOHで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をCH
2Cl
2で希釈し、飽和NaHCO
3で洗浄した。フラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、0〜20% MeOH/CH
2Cl
2)によって精製すると、望む生成物が85%の収率で得られた(17.4g)。LC-MS R
t(保持時間):1.73分、MS:(ES) m/z 234 (M+H
+)。
【0116】
c)反応フラスコの中で、2-フルオロ-6-メチル安息香酸(3.79g、24.6ミリモル)をCH
2Cl
2(20ml)に溶かした溶液に塩化オキサリル(3.2ml、30.75ミリモル)を室温で添加した後、触媒量のDMFを添加した。この反応物を室温にて2時間にわたって撹拌し続けた。溶媒と過剰な塩化オキサリルを真空中で除去し、残留物を高真空下で20分間にわたって乾燥させた。得られた酸塩化物を乾燥CH
2Cl
2(20ml)に溶かし、0℃まで冷却した後、ステップbで作ったピペリジン(5.56g、20.5ミリモル)とEt
3N(8.6ml、61.5ミリモル)を添加した。次にこの混合物を放置して室温まで温め、一晩撹拌した。この反応混合物をCH
2Cl
2で希釈し、水を添加した。層を分離し、水層をCH
2Cl
2で抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO
4)、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、10〜35% EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、望む化合物が7.47g得られた(収率99%)。LC-MS R
t(保持時間):2.50分と2.58分(2つの回転異性体)、MS:(ES) m/z 370 (M+H
+)。
【0117】
d)ステップcからのエステル(2.98g、8.06ミリモル)をTHF(100ml)に溶かした溶液に水素化アルミニウムリチウム溶液(THFの中に2.0M、8.2ml、16.4ミリモル)を0℃で添加した。得られた溶液を0℃で2時間にわたって撹拌し続けると、反応が完了した。15% NaOH水溶液(625μl)を一滴ずつ添加して反応を終わらせた後、H
2O(625μl)を添加した。得られた濁ったコロイド状混合物に水(1.85ml)をさらに添加し、得られた混合物を室温にて1時間にわたって撹拌し続けた。次にこの混合物をセライト・プラグで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、33〜67% EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、望む生成物が2.46g得られた(収率93%)。LC-MS:R
t(保持時間):1.90分と2.09分(2つの回転異性体)、MS:(ES) m/z 328 (M+H
+)。
【0118】
e)ステップdからのアルコール(1.42g、4.33ミリモル)を酢酸(65ml)に溶かした溶液を、CrO
3(2.61g、26.1ミリモル)のスラリーを含むH
2O(16ml)に室温で添加した。得られた混合物を、室温で反応を完了させるまで撹拌し続けた(90分)。この混合物をセライト・プラグで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、3〜10% CH
2Cl
2:MeOHの後、50〜67% EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、望む生成物が1.03g得られた(収率70%)。LC-MS:R
t(保持時間):1.88分と2.12分(2つの回転異性体)、MS:(ES) m/z 342 (M+H
+)。
【0119】
f)上で調製した酸(34.2mg、0.1ミリモル)とトリエチルアミン(6当量)をCH
2Cl
2(1ml)に溶かした溶液に3-トリフルオロメチルアニリン(16.2mg、0.1ミリモル、1.0当量)を添加した。次にT3P(95.5mg、0.15ミリモル)をゆっくりと添加し、得られた溶液を室温にて1.5時間にわたって撹拌した。この反応混合物をCH
2Cl
2(1ml)で希釈し、1NのHCl水溶液で洗浄した後、飽和NaHCO
3水溶液で洗浄した。有機層を分離し、無水MgSO
4の上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。フラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、5〜40% EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、生成物が白色の固形物として35mg得られた(収率73%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ1.22〜2.45 (m, 8H)、2.93〜3.32 (m, 3H)、6.77〜7.82 (m, 12H)、9.10 (s, 0.38H)、9.30 (s, 0.62H)。LC-MS:R
t(保持時間)=2.88分、MS:(ES) m/z 485 (M+H
+)。
【0120】
実施例2
N-(3-t-ブチルフェニル)-1-(5-クロロ-3-メチルピコリノイル)-2-フェニルピペリジン-3-カルボキサミドの合成
【0121】
【化19】
【0122】
a)無水ジクロロメタン(0.5M)に溶かした塩化2-クロロニコチノイル(1.05当量)を、3-t-ブチルアニリン(1当量)と2MのK
2CO
3水溶液(2.2当量)を無水ジクロロメタン(0.5M)に溶かした溶液に0℃で30分間かけて添加し、この反応混合物を室温でさらに1.5時間にわたって撹拌した。層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した。1つにまとめた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮すると、望むアミドが泡状固形物として得られた。それをさらに精製することなく次のステップで使用した。MS:(ES) m/z 289.1 (M+H
+)。
【0123】
b)上記のピリジンアミド(1当量)、フェニルボロン酸(1.4当量)、2MのK
2CO
3水溶液(2.4当量)をトルエン(0.7M)に溶かした溶液にPd(PPh
3)
4(2〜5モル%)を添加し、この反応混合物を一晩(約12時間)にわたって100℃に加熱した。室温まで冷却した後、この反応混合物をセライトで濾過し、そのセライト・プラグをEtOAcで洗浄した。濾液を水で希釈し、EtOAcで抽出し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を自動化フラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、EtOAc-ヘキサンの10%〜100%の勾配)によって精製し、真空中で乾燥させると、2-フェニル-3-カルボキシアミドピリジンが60〜75%の収率で得られた。MS:(ES) m/z 331.2 (M+H
+)。
【0124】
c)上で調製した2-フェニルピリジン誘導体(1当量)をEtOHと濃HCl(過剰量、比は4:1)に溶かした溶液にPtO
2(10モル%)を添加し、パー・シェイカーを40〜45psiで1.5時間使用して、この反応混合物を水素化した。それをセライトで濾過し、EtOHで洗浄し、濾液を濃縮した。残留物をCH
2Cl
2で希釈し、飽和NaHCO
3水溶液で洗浄した。次に、残留物を自動化フラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、CH
2Cl
2-MeOHの1%〜30%%の勾配)によって精製し、真空中で乾燥させると、表題の化合物が、泡状固形物として約85%の収率で得られた。MS:(ES) m/z 337.2 (M+H
+)。
【0125】
d)5-クロロ-3-メチルピコリン酸(30mg、0.16ミリモル)とN-(3-t-ブチルフェニル)-2-フェニルピペリジン-3-カルボキサミド(50mg、0.15ミリモル、上のcで調製)を無水DMF(1ml)に溶かした。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.15ml)を室温で添加した後、HCTU(67mg、0.16ミリモル)を添加した。周囲温度で2時間にわたって撹拌した後、LC-MSとTLCによって反応が完了したことがわかった。この反応混合物をEtOAc(50ml)で希釈し、1NのHCl(20ml)、飽和NaHCO
3(30ml)、ブライン(30ml)で洗浄し、得られた溶液を減圧下で濃縮した。残留物を分離用HPLC(0.1%TFAを含むMeCN-H
2Oが20→95%の勾配)によって精製し、純粋な画分を凍結乾燥させると表題の化合物が得られた(50mg、収率67%)。HPLC保持時間=2.88分。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.42 (d, 1H, J=0.8 Hz)、7.97 (br, 1H)、7.59 (d, 1H, J=0.8 Hz)、7.56 (d, 1H, J=7.6 Hz)、7.34 (m, 3H)、7.20 (m, 3H)、7.10 (d, 1H, J=7.6 Hz)、6.61 (2セットのbr, 1H)、3.12 (2セットのm, 2H)、2.94 (3セットのm, 1H)、2.36 (s, 3H)、2.20 (2セットのbr, 2H)、1.74 (br複合, 2H)、1.29 (s, 9H)。MS:(ES) m/z 490.2 (M+H
+)。
【0126】
実施例3
シス-1-(2-メチルベンゾイル)-2-(3-フルオロフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミドの合成
【0127】
【化20】
【0128】
a)N-(3-t-ブチルフェニル)-2-クロロニコチンアミド(570.2mg、2ミリモル)、3-フルオロフェニルボロン酸(401.2mg、2.8ミリモル)、3mlのトルエン、1mlの2N炭酸カリウムの混合物を含む水にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(234.5mg、0.2ミリモル)を添加した。次に、この混合物を窒素雰囲気下で3時間にわたって90℃に加熱した後、室温まで冷却した。次に、この反応混合物を30mlの水と150mlのEtOAcで希釈した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させた(Na
2SO
4)。有機溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカ・ゲル・カラム(ヘキサン中に40%のEtOAc)によって精製すると、N-(3-t-ブチルフェニル)-2-(3-フルオロフェニル)ニコチンアミドが得られた(691.4mg、99%)。MS:(ES) m/z 394.5 (M+H
+)。
【0129】
b)N-(3-t-ブチルフェニル)-2-(3-フルオロフェニル)ニコチンアミド(501.2mg、1.4ミリモル)、酸化白金(51.9mg、0.21ミリモル)、濃HCl(400μl、5.2ミリモル)の混合物を含む5mlのエタノールを水素風船下で一晩にわたって激しく撹拌した。この混合物を濾過し、固形物を25mlのメタノールで3回洗浄した。1つにまとめた溶液を減圧下で乾燥させた。残留物に30mlの飽和炭酸水素ナトリウムと150mlのEtOAcを添加した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムの上で乾燥させた。溶媒を蒸発させると、粗2-(3-フルオロフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミドが茶色の固形物として得られた。それをそのまま次のステップで使用した。MS:(ES) m/z 355.7 (M+H
+)。
【0130】
c)2-(3-フルオロフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミド(上で調製、177.3mg、0.5ミリモル)を2mlのジクロロメタンに溶かした溶液にEt
3N(100μl、過剰量)と塩化2-メチルベンゾイル(92.3mg、0.6ミリモル)を室温にて添加した。次に、得られた溶液を、この温度で反応が完了するまで撹拌した(10分間)。次に、この反応混合物を直接シリカ・ゲル・カラムに充填し、ISCO(ヘキサンの中に30%のEtOAc)を用いて精製すると、最終生成物である2-(3-フルオロフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミドが得られた(151.2mg、収率64%)。
1H NMR (400 MHZ, CDCl
3, 回転異性体の混合物):δ 7.91 (s, 0.6H)、7.85 (s, 0.4H)、7.18〜7.46 (m, 9H)、7.11 (m, 1H)、6.95 (m, 1H)、6.67 (d, J=1.2 Hz, 1H)、3.36 (d, J=1.6 Hz, 0.4H)、3.26 (d, J=1.6 Hz, 1H)、3.05 (m, 1H)、2.89 (t, J=1.2 Hz, 1H)、2.45 (s, 1H)、2.02〜2.40 (m, 4H)、1.70〜1.84 (m, 3H)、1.44〜1.64 (s, 1H)、1.32 (s, 6H)、1.25 (s, 1H)。MS:(ES) m/z 473.2 (M+H
+)。
【0131】
実施例4
シス-1-(2-メチルベンゾイル)-2-(2,2-ジメチルプロピル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミドの合成
【0132】
【化21】
【0133】
a)2-ブロモニコチン酸(1.01g、5ミリモル)を無水ジクロロメタン(8ml)に溶かした溶液にEDCI(1.34g、7ミリモル)と3-t-ブチルアニリン(0.74g、5ミリモル)を室温で添加し、得られた反応混合物を12時間にわたって撹拌した。次に、この混合物をジクロロメタンで希釈した後、飽和炭酸水素ナトリウムと水で洗浄した。ジクロロメタン層を無水硫酸マグネシウムの上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィによって精製すると、2-ブロモ-N-(3-t-ブチルフェニル)ニコチンアミドが59%の収率で得られた(950mg)。R
t: 2.44分(20-100-5法)。MS:(ES) m/z 333, 335 (M+H
+)。
【0134】
b)シアン化銅(215mg、2.40ミリモル)をTHF(6ml)に懸濁させた懸濁液に塩化2,2-ジメチルプロピルマグネシウム(1M-ジエチルエーテル、4.8ml、4.8ミリモル)を-78℃で添加した。同じ温度で1時間にわたって撹拌した後、2-ブロモ-N-(3-t-ブチルフェニル)ニコチンアミド(200mg、0.601ミリモル)を固体として一度に添加した。この反応混合物を徐々に室温まで温め、一晩にわたって撹拌して反応させた。飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルを添加し、得られた反応混合物をセライトで濾過し、酢酸エチルで洗浄した。層を分離し、生成物をもう一度酢酸エチルで抽出した。1つにまとめた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去した後、20%〜50%の酢酸エチルを含むヘキサンの勾配を利用して粗材料をシリカ・ゲル・カラム・クロマトグラフィによって精製すると、N-(3-t-ブチルフェニル)-2-(2,2-ジメチルプロピル)ニコチンアミドが得られた(168mg、0.517ミリモル、86%)。Rf=0.45(トルエン:酢酸エチル=2:1)。
【0135】
c)N-(3-t-ブチルフェニル)-2-(2,2-ジメチルプロピル)ニコチンアミド(168mg、0.517ミリモル)をエタノール(5ml)に溶かした。酸化白金(11.6mg、0.0511ミリモル)を添加した後、濃塩酸(250μl)を添加した。パー装置を45psiで1.5時間にわたって使用し、この反応混合物を水素化した。この反応混合物の分析から変換が完全ではないことがわかったため、一連の操作をもう一度繰り返した。酸化白金を濾過して除去し、溶媒を減圧下で除去した。粗材料を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を用いて中和し、酢酸エチルで抽出した。次に、有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムの上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去すると、粗2,3-シス-2-(2,2-ジメチルプロピル)ピペリジン-3-カルボン酸-(3-t-ブチルフェニル)アミド(153mg)が得られた。それをさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0136】
d)2,3-シス-2-(2,2-ジメチルプロピル)ピペリジン-3-カルボン酸-(3-t-ブチルフェニル)アミド(84.8mg、0.257ミリモル)をピリジン(415μl、5.13ミリモル)に溶かした溶液に、塩化2-メチルベンゾイル(81.6mg、0.528ミリモル)を含むクロロホルム(415μl)を室温で添加した。触媒量の(計量していない)ジメチルアミノピリジンを添加して反応を促進させ、この混合物を3日間にわたって撹拌した。次に酢酸エチルと水をこの反応混合物に添加し、生成物を酢酸エチルで3回抽出した。1つにまとめた有機層を無水硫酸マグネシウムの上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去した後、10%〜20%酢酸エチルを含むヘキサンを用い、粗材料をシリカ・ゲル・クロマトグラフィによって精製すると、2,3-シス-2-(2,2-ジメチルプロピル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸-(3-t-ブチルフェニル)アミドが得られた(47.0mg、0.105ミリモル、41%)。Rf=0.6(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)。R
t=3.16分、3.26分(化合物は、いくつかの配座異性体の混合物として存在する。20-100-5法)。
1H NMR (CDCl
3) δ 9.68 (s, 1H)、9.43 (s, 1H)、8.33 (s, 1H)、8.28 (s, 1H))、6.97〜7.79 (m, 8H)、5.48 (br, 1H)、5.39 (dd, J=4, 10 Hz, 1H)、5.33 (dd, J=6, 6 Hz, 1H)、3.38 (ddd, J=4, 14, 14 Hz, 2H)、3.25 (dd, J=13, 13 Hz, 2H)、2.66 (dd, J=4, 8.4 Hz, 1H)、2.63 (ddd, J=2.8, 2.8, 8 Hz, 1H)、2.50 (s, 9H)、2.40 (s, 9H)、2.25 (s, 9H)、2.13 (s, 9H)、1.79〜1.99 (m, 2H)、1.23〜1.56 (m, 2H)、1.32 (s, 9H)、1.07 (s, 9H)、1.06 (s, 9H)、0.97 (s, 9H)、0.95 (s, 9H)。MS:(ES) m/z 449 (M+H
+)。
【0137】
実施例5
シス-2-シクロペンチル-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミドの合成
【0138】
【化22】
【0139】
a)窒素雰囲気下において、2-クロロニコチン酸メチルエステル(400mg、2.33ミリモル)、CuI(19mg、0.1ミリモル)、Pd(dppf)Cl
2(42mg、0.06ミリモル)を無水ジメチルアセトアミド(1.7ml)に溶かして室温で撹拌している溶液に臭化シクロペンチル亜鉛(0.5M、6.5ml、3.26ミリモル)を添加した。この反応混合物を3.5時間にわたって70℃に加熱した後、室温まで冷却し、セライトで濾過し、ケークを酢酸エチルで洗浄した。濾液を水とブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、10〜100% EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、望む化合物が83%の収率で得られた(400mg)。LC-MS R
t(保持時間):1.87分;MS:(ES) m/z 206 (M+H
+)。
【0140】
b)窒素雰囲気下において、-78℃の3-t-ブチルアニリン(580mg、3.89ミリモル)を含む乾燥THF(2ml)にn-BuLi(1.47ml、3.68ミリモル)を添加し、得られた溶液を0℃で10分間にわたって撹拌した。この反応混合物を再び-78℃に冷却し、乾燥THF(2ml)に溶かした2-シクロペンチル-ニコチン酸メチルエステル(400mg、1.94ミリモル)を添加した。この反応混合物を放置して2時間かけて0℃にした後、飽和NH
4Cl水溶液を用いて反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、10〜100% EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、純粋な化合物が91%の収率で得られた(572mg)。LC-MS R
t(保持時間):2.61分;MS:(ES) m/z 323 (M+H
+)。
【0141】
c)濃HCl(1ml)を含むエタノール(10ml)にN-(3-t-ブチルフェニル)-2-シクロペンチルニコチンアミド(570mg、1.77ミリモル)を溶かした溶液に酸化白金(40mg、0.17ミリモル)を添加し、パー・シェイカーを40psiで1.5時間使用して、この溶液を水素化した。この反応混合物をセライトで濾過し、ケークをエタノールで洗浄した。濾液を濃縮し、残留物を高真空下で2時間にわたって乾燥させると、望むピペリジンがHCl塩としてかなりの収率で得られた。LC-MS R
t(保持時間):1.97分;MS:(ES) m/z 329 (M+H
+)。
【0142】
d)Et
3N(142μl、1.02ミリモル)を含む乾燥CH
2Cl
2(1ml)に、上で調製したシス-2-シクロペンチルピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチル-フェニル)アミド(123mg、0.34ミリモル)を溶かした溶液に塩化2-メチルベンゾイル(53mg、0.34ミリモル)を添加し、この混合物を室温で2時間にわたって撹拌した。次に、この反応混合物を酢酸エチル(20ml)で希釈し、1NのHCl水溶液、水、ブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を逆相分離用HPLC(CH
3CN-H
2Oの20〜95%の勾配)によって精製し、乾燥させると(凍結乾燥装置)、表題の化合物が65%の収率で得られた(109mg)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ 1.22〜1.48 (m, 11H)、1.56〜1.80 (m, 5H)、1.84〜2.06 (m, 4H)、2.10〜2.23 (m, 1H)、2.30 (s, 1.6H)、2.39 (s, 1.4H)、2.41〜2.50 (m, 1H)、2.71〜2.76 (m, 1H)、3.02〜3.09 (m, 1H)、3.25〜3.39 (m, 1H)、5.11 (bs, 1H)、7.05〜7.30 (m, 6H)、7.47〜7.55 (m, 2H)、8.32 (bs, 1H)。LC-MS R
t(保持時間):3.16分;MS:(ES) m/z 447 (M+H)
+。LC-MS法:Agilent Zorbax SB-C18、2.1×50mm、5μ、35℃、流速1ml/分、20%〜100%Bの勾配で2.5分間、100%Bで1.0分間の洗浄;A=0.1%ギ酸/5%アセトニトリル/94.9%水、B=0.1%ギ酸/5%水/94.9%アセトニトリル。
【0143】
実施例6
(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-クロロ-4-メチルフェニル)アミドの合成
【0144】
【化23】
【0145】
b)シス-2-(4-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステルを、実施例1に示したのと同様にして合成した。
【0146】
c:1)シス-2-(4-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル(61g、174.8ミリモル)とジ-p-トルオイル-L-酒石酸(62g、174.8ミリモル)をEtOH(500ml)に溶かした。この透明な溶液を濃縮し、吸引して乾燥させた。次に、得られた白色の塩を250mlの酢酸エチルに溶かすと透明な溶液が得られた。この溶液に、500mlのTBMEをゆっくりと添加した。得られた溶液を乱さないようにして室温で3日間放置した。その時点で大量の白色の結晶が形成された。次に、それらを濾過した後、100mlのTBMEで洗浄すると、白色の固形物が得られた(60g)。
【0147】
上記の塩をエタノールに再び溶かし、濃縮し、吸引して乾燥させた。得られた塩を500mlのTHFに溶かした後、TBME(500ml)を添加した。得られた透明な溶液を乱さないようにしてさらに2.5日間にわたって室温で放置した。得られた白色の結晶を濾過すると、塩が20.5g得られた(富化比は64:1)。
【0148】
c:2)その塩(16.7g)を、CH
2Cl
2(150ml)に懸濁させて0℃で撹拌している中に飽和NaHCO
3水溶液(100ml)を添加し、得られた反応混合物を室温で30分間にわたって撹拌した。層を分離し、水層をCH
2Cl
2(50ml)で抽出した。1つにまとめた有機層を飽和NaHCO
3水溶液(2×100ml)で洗浄し、乾燥させ、濃縮すると、(2R,3S)-2-(4-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステルが、90%の収率と約97% eeで得られた。
【0149】
d)上で調製した(2R,3S)-2-(4-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル(600mg、1.72ミリモル)を、Et
3N(480μl、3.44ミリモル)が含まれた乾燥CH
2Cl
2(5ml)に溶かした0℃の溶液に、塩化2-メチルベンゾイル(266mg、1.72ミリモル)を添加し、得られた混合物を室温で一晩にわたって撹拌した。次に、この反応混合物をCH
2Cl
2(20ml)で希釈し、1NのHCl水溶液、水、ブラインで洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧下で濃縮すると、(2R,3S)-2-(4-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステルがかなりの収率で得られた。この粗生成物をそのまま次のステップで使用した。
【0150】
e)上記の粗生成物(2R,3S)-2-(4-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル(840mg、1.72ミリモル)を乾燥CH
2Cl
2(4ml)に溶かした0℃の溶液に、4NのHClを含む1,4-ジオキサン(5ml、20ミリモル)をゆっくりと添加した。HClを添加した後、得られた反応混合物を放置して室温にした後、1時間にわたって撹拌した。それをCH
2Cl
2(30ml)で希釈し、0℃まで冷却し、飽和NaHCO
3水溶液を用いて中性にすると、(2R,3S)-2-(4-アミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル(612mg)が、2ステップかけて97%の収率で得られた。
【0151】
f)(2R,3S)-2-(4-アミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル(612mg、1.67ミリモル)、シクロペンタノン(140mg、1.67ミリモル)、酢酸(100mg、1.67ミリモル)を乾燥ジクロロエタンに溶かした溶液に、Na(OAC)
3BH(495mg、2.33ミリモル)を室温で添加し、得られた反応混合物を4時間にわたって50℃に加熱した後、室温まで冷却し、48時間にわたって撹拌した。次に、それをCH
2Cl
2(30ml)で希釈し、飽和NaHCO
3水溶液で洗浄し、乾燥させ、真空中で濃縮した。酢酸エチルとヘキサンを移動相として用いて残留物をISCOフラッシュ・カラム(40gのカラム、0〜40%勾配)によって精製すると、(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステルが得られた(450mg)。
【0152】
g)3-クロロ-4-メチルフェニルアミン(65mg、0.46ミリモル)を乾燥ジクロロエタン(1ml)に溶かした溶液に、Me
3Al(290μl、0.57ミリモル、トルエン中に2M)を周囲温度で添加した。20分間にわたって撹拌した後、乾燥ジクロロエタン(1ml)に溶かした(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル(100mg、0.23ミリモル)を添加した。次に、この反応混合物を3時間にわたって85℃に加熱した後、室温まで冷却し、CH
2Cl
2(20ml)で希釈し、飽和NaHCO
3水溶液で洗浄した。水層をCH
2Cl
2(20ml)で抽出し、1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO
4)、濃縮した。残留物を逆相分離用HPLC(添加物として0.1%のTFAを含むCH
3CN-H
2Oの20〜95%の勾配)によって精製し、さまざまな画分を含む生成物をまとめてプールし、濃縮した。残留物をCH
2Cl
2(30ml)で希釈し、飽和NaHCO
3水溶液で洗浄した。CH
2Cl
2層を乾燥させ(MgSO
4)、濃縮すると、純粋な(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-クロロ-4-メチルフェニル)アミドが50%の収率で得られた。
【0153】
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ8.4 (bs, 1H)、7.55 (s, 1H)、7.37〜7.05 (m, 9H)、6.55〜6.52 (m, 2H)、3.77〜3.70 (m, 1H)、3.30〜3.16 (m, 1H)、3.04〜2.91 (m, 2H)、2.43〜1.94 (m, 8H)、1.71〜1.46 (m, 11H)。
【0154】
実施例7
エチル(2R,3S)-2-[4-(シクロペンチルアミノ)フェニル]-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸塩の合成
【0155】
【化24】
【0156】
ステップa)(2R,3S)-2-(4-t-ブトキシカルボニルアミノフェニル)-ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル(13.74g、39.36ミリモル、WO 2010/075257で調製されたように)と、2-フルオロ-6-メチル安息香酸(6.37g、41.33ミリモル)と、Et
3N(14.4ml、102.3ミリモル)とを乾燥DMF(110ml)中に溶かした溶液に、HATU(15.71g、41.33ミリモル)を0℃で添加し、得られた混合物を室温で3時間にわたって撹拌した。次に、この反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄した。1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、ヘキサン中に10〜55%の酢酸エチル)によって精製すると、19g(100%)のエチル(2R,3S)-2-[4-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸塩が得られた。MS:(ES) m/z 485 (M+H
+)
【0157】
ステップb)上記エチル(2R,3S)-2-[4-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸塩(19g、39.36ミリモル)を乾燥CH
2Cl
2(110ml)に溶かした溶液に、4NのHClを含む1,4-ジオキサン(110ml、440ミリモル)を0℃でゆっくりと添加した。HClを添加した後、得られた反応混合物を放置して室温にした後、3時間にわたって撹拌した。それを酢酸エチル(200ml)で希釈し、0℃まで冷却し、飽和NaHCO
3水溶液を用いて中性にすると、エチル(2R,3S)-2-(4-アミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸塩(15g、100%)が得られた。MS:(ES) m/z 385 (M+H
+)。
【0158】
ステップc)エチル(2R,3S)-2-(4-アミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸塩(16g、41.65ミリモル)とシクロペンタノン(10.51g、125ミリモル)とを乾燥ジクロロエタン(200ml)に溶かした溶液に、NaBH(OAc)
3(14.12g、66.60ミリモル)を室温で添加した。得られた反応混合物を、3時間にわたって45℃に加熱した後、室温まで冷却し、飽和NaHCO
3水溶液を用いて反応を停止させ、ジクロロメタンで抽出し、乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、15〜40%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製すると、エチル(2R,3S)-2-[4-(シクロペンチルアミノ)フェニル]-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸塩が白色の固形物として得られた(17g、90%)。MS:(ES) m/z 453 (M+H
+)。
【0159】
(2R,3S)-2-[4-(シクロペンチルアミノ)フェニル]-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)-N-[4-(ヒドロキシメチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン-3-カルボキサミドの合成
【0160】
【化25】
【0161】
ステップa)エチル(2R,3S)-2-[4-(シクロペンチルアミノ)フェニル]-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸塩(2g、4.4ミリモル)を1,4-ジオキサン(9ml)に溶かした溶液を、3NのHCl水溶液(6ml)に室温で添加し、得られた反応混合物を1.5時間にわたって80℃に加熱した。次に、それを0℃まで冷却し、飽和NaHCO
3水溶液を用いて中性にし、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を減圧下で濃縮し、残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、CH
2Cl
2中に20%のEtOAc)によって精製すると、望む酸(1.4g、74%)が得られた。MS:(ES) m/z 425 (M+H
+)。
【0162】
ステップb)上記の生成物(2R,3S)-2-[4-(シクロペンチルアミノ)フェニル]-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(1.4g、3.3ミリモル)とヒューニッヒ塩基(586μl、3.3ミリモル)を乾燥CH
2Cl
2(25ml)に溶かした溶液に、塩化メタンスルホニル(378mg、3.3ミリモル)を、窒素雰囲気下、0℃で添加した。この溶液をさらに15分間にわたって撹拌し、次に、[4-アミノ-2-(トリフルオロメチル)フェニル]メタノール(631mg、3.3ミリモル)とヒューニッヒ塩基(586μl、3.3ミリモル)とを順次添加した。反応混合物を30分間にわたって放置して室温にした。TLCとLC-MSによって反応が完了したことがわかった場合、過剰な溶媒を減圧下で除去した。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(SiO
2、ジクロロメタン中に0〜20%の酢酸エチル)によって精製すると、望む化合物(1.2g)が61%の収率で得られた。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ9.50 (bs, 0.6H)、9.38 (bs, 0.4H)、7.75〜7.70 (m, 1H)、7.50〜7.33 (m, 3H)、7.24〜7.19 (m, 2H)、7.06〜6.90 (m, 2H)、6.67〜6.55 (m, 3H)、4.77〜4.76 (m, 2H)、3.78〜3.66 (m, 1H)、3.32〜3.00 (m, 3H)、2.44〜1.45 (m, 17H)。MS:(ES) m/z 598 (M+H
+)。
【0163】
実施例8
4-[[(2R,3S)-2-[4-(シクロペンチルアミノ)フェニル]-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボニル]アミノ]-2-(トリフルオロメチル)安息香酸の合成
【0164】
【化26】
【0165】
表題の化合物を上記実施例に示したのと同様にして合成した。
1H NMR (400MHz, CD
3OD) δ10.4 (br, 1H)、8.05〜7.65 (m, 4H)、7.36〜6.95 (m, 5H)、6.50〜6.47 (m, 1H)、3.92〜3.94 (m, 1H)、3.50〜3.21 (m, 3H)、2.50〜1.59 (m, 18H)。MS:(ES) m/z 612 (M+H
+)。
【0166】
実施例9
シス-2-[4-(シクロペンチルアミノ)フェニル]-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)-N-[4-ホルミル-3-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン-3-カルボキサミドの合成
【0167】
【化27】
【0168】
シス-2-[4-(シクロペンチルアミノ)フェニル]-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)-N-[4-(ヒドロキシメチル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン-3-カルボキサミド(130mg、0.22ミリモル)を1,2-ジクロロエタン(2ml)に溶かした溶液に、MnO
2(380mg、4.4ミリモル)を室温で添加した。得られた反応混合物を3時間にわたって撹拌し、次にジクロロメタンで希釈し、SiO
2のプラグで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をHPLCによって精製すると、(シス鏡像異性体の混合物として)望む化合物(40mg)が31%の収率で得られた。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ10.2 (bs, 1H)、8.12〜6.88 (m, 10H)、3.82〜3.04 (m, 4H)、2.88〜1.40 (m, 18H)。MS:(ES) m/z 596 (M+H
+)。
【0169】
実施例10
(2R,3S)-2-(4-アミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)-N-[4-メチル-3-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン-3-カルボキサミド
【0170】
【化28】
【0171】
表題の化合物を上記実施例に示したのと同様にして合成した。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ9.21 (br, 0.6H)、8.91 (br, 0.4H)、7.67 (d, j=2.2 Hz, 0.4H)、7.60 (d, j=2.2 Hz, 0.6H)、7.51〜7.47 (m, 1H)、7.41 (d, j=8.4 Hz, 1H)、7.33 (d, j=8.4 Hz, 1H)、7.24〜7.03 (m, 2H)、6.95〜6.84 (m, 2H)、6.68 (d, j=5.5 Hz, 1H)、6.62〜6.60 (m, 1H)、3.65 (br, 2H)、3.28〜2.96 (m, 3H)、2.44 (s, 1H)、2.41〜2.38 (m, 3H)、2.11 (s, 3H)、1.80〜1.74 (m, 1H)、1.70 (s, 3H)。MS:(ES) m/z 514 (M+H
+)。
【0172】
実施例11
以下のものは、本明細書の実施例と同様の方法で調製して評価した代表的な化合物である。特性評価のデータを以下の化合物に関して与える。これらの化合物と、本明細書に記載したようにして調製した他の化合物に関する生物学的評価を
図1に示す。
【0173】
(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(4-メチル-3-トリフルオロメチルフェニル)アミド
【0174】
【化29】
【0175】
1H NMR (400MHz, TFA-d) δ 7.91 (d, J=8.6 Hz, 1H)、7.84 (d, J=8.6 Hz, 1H)、7.58〜6.82 (m, 8H)、6.75 (t, J=8.6 Hz, 1H)、4.10〜4.00 (m, 1H)、3.60〜3.47 (m, 1H)、3.45〜3.41 (m, 1H)、3.33〜3.25 (m, 1H)、2.44〜2.22 (m, 7H)、2.04〜1.92 (m, 4H)、1.82〜1.69 (m, 7H)。
【0176】
(2R,3S)-1-(2-クロロベンゾイル)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸(4-メチル-3-トリフルオロメチルフェニル)アミド
【0177】
【化30】
【0178】
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ9.41 (bs, 0.5H)、9.03 (bs, 0.5H)、7.55 (s, 1H)、7.49〜7.39 (m, 3H)、7.31〜7.27 (m, 2H)、7.18〜7.04 (m, 2H)、6.83〜6.74 (m, 3H)、3.76〜3.64 (m, 1H)、3.22〜2.90 (m, 5H)、2.39 (s, 3H)、2.32〜2.20 (m, 1H)、2.16〜2.04 (m, 1H)、2.0〜1.86 (m, 2H)、1.80〜1.72 (m, 3H)、1.56 (bs, 5H)。
【0179】
(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-クロロ-4-メチルフェニル)アミド
【0180】
【化31】
【0181】
1H NMR (DMSO-d
6) δ 10.22 (s, 1H)、7.67 (dd, J=1.8 Hz, J=11.0 Hz, 1H)、7.04〜7.33 (m, 9H)、6.30 (dd, J=5.8 Hz, J=9.4 Hz, 1H)、5.52 (br, 1H)、3.56〜3.64 (m, 1H)、3.00〜3.17 (m, 2H)、2.90〜2.98 (m, 1H)、2.23 (2.24) (s, 3H)、1.97 (2.33) (s, 3H)、1.32〜2.22 (m, 12H)。
【0182】
(2R,3S)-1-(4-クロロベンゾイル)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)ピペリジン-3-カルボン酸(4-メチル-3-トリフルオロメチルフェニル)アミド
【0183】
【化32】
【0184】
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ8.79 (bs, 1H)、7.62 (s, 1H)、7.52〜7.48 (m, 1H)、7.37〜7.30 (m, 5H)、7.13 (d, J=8.4 Hz, 1H)、6.52〜6.50 (m, 3H)、3.75〜3.69 (m, 1H)、3.44 (bs, 1H)、3.09〜2.97 (m, 2H)、2.39 (s, 3H)、2.37〜2.30 (m, 1H)、2.13〜2.08 (m, 1H)、2.10〜1.93 (m, 2H)、1.80〜1.59 (m, 7H)、1.48〜1.42 (m, 2H)。
【0185】
(2R,3S)-2-(4-シクロヘキシルアミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミド
【0186】
【化33】
【0187】
1H NMR (400MHz, CDCl
3):δ 8.24 (m, 1H)、7.40〜6.85 (m, 8H)、6.65〜6.40 (m, 3H)、3.57 (s, 1H)、3.30〜2.90 (m, 4H)、2.50〜1.85 (m, 9H)、1.80〜1.50 (m, 5H)、1.40〜1.00 (m, 13H)。
【0188】
(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(4-メチル-3-ピロリジン-1-イル-フェニル)アミド
【0189】
【化34】
【0190】
1H NMR (400MHz, CDCl
3):δ 7.98 (m, 1H)、7.40〜7.18 (m, 3H)、7.10〜6.80 (m, 4H)、6.64〜6.40 (m, 3H)、3.80〜3.50 (m, 2H)、3.30〜2.90 (m, 6H)、2.50〜2.10 (m, 7H)、2.10〜1.80 (m, 8H)、1.80〜1.20 (m, 9H)。
【0191】
(2R,3S)-2-[4-(シクロペンチルオキシ)フェニル]-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-クロロ-4-メチルフェニル)アミド
【0192】
【化35】
【0193】
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 8.68 (bs, 0.6H)、8.58 (bs, 0.4H)、7.59〜7.40 (m, 3H)、7.29〜6.90 (m, 4H)、6.80 (m, 2H)、6.65 (m, 1H)、4.72 (m, 1H)、3.30〜2.92 (m, 3H)、2.44 (s, 1H)、2.42〜2.30 (m, 1H)、2.30 (s, 1H)、2.29 (s, 2H)、2.20 (s, 2H)、2.19〜2.12 (m, 1H)、2.08〜1.92 (m, 2H)、1.90〜1.72 (m, 7H)、1.60 (m, 2H)。
【0194】
(±)-(2R,3S)-2-(4-シクロペンチルアミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(4-クロロ-3-メチルフェニル)アミド
【0195】
【化36】
【0196】
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 8.25 (bs, 0.4H)、8.16 (bs, 0.6H)、7.44〜7.20 (m, 6H)、7.06〜6.84 (m, 2H)、6.59〜6.50 (m, 2H)、3.75 (m, 1H)、3.66 (bs, 1H)、3.26〜2.92 (m, 3H)、2.43 (s, 1H)、2.42〜2.30 (m, 1H)、2.30 (s, 1H)、2.29 (s, 2H)、2.20 (s, 2H)、2.19〜2.12 (m, 1H)、2.08〜1.92 (m, 2H)、1.80〜1.58 (m, 7H)、1.45 (m, 2H)。
【0197】
(2R,3S)-2-(4-シクロブチルアミノフェニル)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミド
【0198】
【化37】
【0199】
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 8.20 (s, 0.6H)、8.39 (s, 0.4H)、7.44〜6.88 (m, 10H)、6.25 (dd, J=12 Hz, J=6 Hz, 1H)、6.45 (t, J=8.4 Hz, 1H)、3.87 (m, 1H)、3.26〜2.95 (m, 3H)、2.46〜2.05 (m, 8H)、1.86〜1.61 (m, 5H)、1.34〜1.11 (m, 9H)。
【0200】
(2R,3S)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)-2-[4-(テトラヒドロピラン-4-イルアミノ)フェニル]ピペリジン-3-カルボン酸(3-モルホリン-4-イル-フェニル)アミド
【0201】
【化38】
【0202】
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 7.61 (s, 1H)、7.34〜6.92 (m, 10H)、6.78〜6.65 (m, 1H)、6.62〜6.53 (m, 1H)、3.98〜3.85 (m, 4H)、3.83〜3.70 (m, 1H)、3.55〜3.30 (m, 3H)、3.27〜2.98 (m, 4H)、2.42〜1.92 (m, 8H)、1.81〜1.45 (m, 7H)。
【0203】
(2R,3S)-1-(2-フルオロ-6-メチルベンゾイル)-2-[4-((R)-2-トリフルオロメチルピロリジン-1-イルメチル)フェニル]ピペリジン-3-カルボン酸(3-t-ブチルフェニル)アミド
【0204】
【化39】
【0205】
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 8.01 (bs, 0.5H)、7.96 (bs, 0.5H)、7.55〜7.37 (m, 3H)、7.30〜7.19 (m, 6H)、7.13〜7.06 (m, 1H)、7.01〜6.90 (m, 1H)、6.85〜6.64 (m, 1H)、4.15〜4.11 (m, 1H)、3.58〜3.54 (m, 1H)、3.30〜3.20 (m, 2H)、3.17〜2.80 (m, 2H)、2.45〜2.17 (m, 4H)、2.00〜1.94 (m, 2H)、1.86〜1.60 (m, 8H)、1.31〜1.26 (m, 7H)。
【0206】
実施例12
材料と方法
A.細胞
1.
C5a受容体を発現する細胞
a)U937細胞
U937細胞はC5aRを発現する単球細胞系であり、ATCC(ヴァージニア州)から入手できる。この細胞を、2mMのL-グルタミンと、1.5g/lの炭酸水素ナトリウムと、4.5g/lのグルコースと、10mMのヘペス(HEPES)と、1mMのピルビン酸ナトリウムと、10%FBSとを補足したRPMI-1640培地の中の懸濁液として培養した。細胞を5%CO
2/95%空気、湿度100%、37℃の環境下で増殖させ、週に2回、1:6で継代培養し(細胞は1×10
5〜2×10
6細胞/mlの密度で培養した)、1×10
6細胞/mlで回収した。アッセイの前に細胞を0.5mMのサイクリックAMP(シグマ社、オハイオ州)で一晩にわたって処理した後、使用前に1回洗浄した。cAMPで処理したU937細胞は、C5aRリガンド結合アッセイと機能アッセイで使用できる。
【0207】
b)分離したヒト好中球
任意により、ヒト又はマウスの好中球を用いて化合物の活性を調べることができる。好中球は、新鮮なヒト血液から密度分離と遠心分離を利用して分離できる。簡単に説明すると、全血を同量の3%デキストランと共にインキュベートした後、45分間放置して分離する。分離後、最上層を15mlのフィコール(血液懸濁液30mlごとにフィコールを15ml)の上に層にして載せ、ブレーキなしで400×gで30分間にわたって遠心分離する。その後、試験管の底にあるペレットを分離し、PharmLyse RBC分解緩衝液(BDバイオサイエンシーズ社、サン・ホセ、カリフォルニア州)の中に再び懸濁させた後、サンプルをブレーキ付きで400×gで10分間にわたって遠心分離する。残った細胞ペレットを再び適度に懸濁させる。この細胞ペレットは好中球からなる。
【0208】
B.アッセイ
1.
C5aRに結合する125I-C5aの抑制
C5aRを発現するU937細胞をcAMPで処理してから遠心分離し、アッセイ用緩衝液(pH7.1の20mMのヘペス、140mMのNaCl、1mMのCaCl
2、5mMのMgCl
2、0.1%ウシ血清アルブミン)の中に3×10
6細胞/mlの濃度で再び懸濁させる。結合アッセイを以下のように設定した。化合物を5μl含むアッセイ用プレートに0.1mlの細胞を添加し、スクリーニングのため(又は化合物のIC
50を求めるための投与量-反応曲線決定の一部として)各化合物について最終濃度を約2〜10μMにした。次に、
125Iで標識した0.1mlのC5a(パーキン・エルマー・ライフ・サイエンシーズ社、ボストン、マサチューセッツ州から入手)をアッセイ用緩衝液に希釈して最終濃度を約50pMにしたもの(ウエル1つにつき約30,000cpmになる)を添加してからプレートを密封し、振盪機の土台の上で約3時間にわたって4℃でインキュベートした。真空細胞回収機(パッカード・インスツルメンツ社;メリデン、コネティカット州)の上にある、0.3%ポリエチレンイミン(PEI)溶液にあらかじめ浸しておいたGF/Bガラス製フィルタの上に、反応物を吸引して載せた。シンチレーション流体(40μl;Microscint 20、パッカード・インスツルメンツ社)を各ウエルに添加した後、プレートを密封し、放射能をトップカウント・シンチレーション・カウンタ(パッカード・インスツルメンツ社)で測定した。希釈剤だけ(全カウント用)又は過剰なC5a(1μg/ml、非特異的結合用)を含む対照ウエルを用いて化合物の全抑制の割合を計算した。グラフパッド社(サン・ディエゴ、カリフォルニア州)のコンピュータ・プログラムPrismを用いてIC
50値を計算した。IC
50値は、放射性標識したC5aが受容体に結合する割合を50%低下させるのに必要な濃度である。(リガンドの結合と他の機能アッセイの説明に関するより詳細なことに関しては、Dairaghi他、J. Biol. Chem. 第274巻:21569〜21574ページ (1999年);Penfold他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 第96巻:9839〜9844ページ (1999年);Dairaghi他、J. Biol. Chem. 第272巻:28206〜28209ページ (1997年)を参照のこと)。
【0209】
2.
カルシウムの動員
任意により、化合物が細胞内でカルシウムの流れを抑制する能力をさらに調べることができる。細胞内に貯えられたカルシウムの放出を検出するため、細胞培地の中で細胞(例えばcAMPで刺激したU937細胞または好中球)を3μMのINDO-1AM染料(モレキュラー・プローブズ社、ユージン、オレゴン州)と共に室温にて45分間にわたってインキュベートした後、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で洗浄する。INDO-1AMの充填後、細胞をフラックス緩衝液(ハンクスの平衡塩類溶液(HBSS)と1%FBS)の中に再び懸濁させる。カルシウムの動員をフォトン・テクノロジー・インターナショナル社の分光測光器(フォトン・テクノロジー・インターナショナル社;ニュー・ジャージー州)を用いて350nmで励起させて測定し、400nmと490nmでの蛍光発光を二重同時記録する。細胞内のカルシウムの相対的レベルは、400nm/490nm発光比として表記する。実験は、2mlのフラックス緩衝液の中に10
6個の細胞がそれぞれ含まれた複数のキュベットの中で常に混合しながら37℃で実施する。ケモカイン・リガンドは、1〜100nMの範囲で用いることができる。発光比を時間に関してプロットする(典型的には2〜3分間)。リガンドをブロックする候補化合物(10μMまで)を10秒の時点で添加し、次いで60秒の時点でケモカイン(すなわちC5a;R&Dシステムズ社;ミネアポリス、ミネソタ州)を添加し、150秒の時点で対照ケモカイン(すなわちSDF-1α;R&Dシステムズ社;ミネアポリス、ミネソタ州)を添加する。
【0210】
3.
走化性アッセイ
任意により、細胞の中で化合物が走化性を抑制する能力をさらに調べることができる。走化性アッセイは、96ウエルの走化性チェンバー(Neuroprobe;ゲサースバーグ、メリーランド州)の中で、5μmの小孔のあるポリカーボネート・ポリビニルピロリドンで被覆したフィルタを用い、走化性緩衝液(ハンクの平衡塩溶液(HBSS)と1%FBS)を利用して実施する。C5aRリガンド(すなわちC5a;R&Dシステムズ社;ミネアポリス、ミネソタ州)を用い、C5aRを媒介とした遊走が化合物を媒介として抑制されることを調べる。他のケモカイン(すなわちSDF-1α;R&Dシステムズ社;ミネアポリス、ミネソタ州)を特異性の対照として用いる。下方のチェンバーには29μlのケモカイン(すなわち0.03nMのC5a)とさまざまな量の化合物を充填する。上方のチェンバーには、20μlの中に100,000個のU937細胞または好中球細胞が含まれている。これらのチェンバーを37℃で1.5時間にわたってインキュベートし、下方のチェンバーにある細胞の数を、5倍に拡大した視野の中でウエルごとに細胞の数を直接数えることによって、またはCyQuantアッセイ(モレキュラー・プローブズ社)によって定量する。CyQuantアッセイは、核酸含量の測定と微視的観察を行なう蛍光染料法である。
【0211】
C.C5aRの阻害剤の同定
1.
アッセイ
C5a受容体がリガンドに結合するのを阻止する有機小分子を評価するため、細胞表面にC5aRを発現している細胞(例えばcAMPで刺激したU937細胞、または分離したヒト好中球)への
125I-C5aの結合を検出するアッセイを利用した。結合を抑制した化合物では、競合的であるなしに関係なく、抑制されなかった対照よりも少ない放射能のカウントが観察される。
【0212】
同じ数の細胞をプレートの各ウエルに添加した。次に細胞を放射性標識したC5aと共にインキュベートした。細胞を洗浄して結合しなかったリガンドを除去した後、放射能のカウント数を定量することによって結合したリガンドを明らかにした。有機化合物なしでインキュベートした細胞が全カウント数を与える。非特異的結合は、細胞を、標識していないリガンドおよび標識したリガンドとともにインキュベートすることによって明らかにした。%抑制は以下の式によって決めた。
%抑制=(1-[(サンプルのcpm)−(非特異的cpm)]/[(全cpm)−(非特異的cpm)])×100
【0213】
2.
投与量反応曲線
候補化合物のC5aRに対するアフィニティと、リガンド結合を抑制する能力を確認するため、化合物の濃度が1×10
-10〜1×10
-4Mの範囲で抑制活性を調べた。このアッセイでは、化合物の量を変化させる一方で、細胞数とリガンドの濃度を一定に維持した。
【0214】
D.生体内効果モデル
動物モデルで化合物の効果を明らかにすることにより、C5aを媒介とした疾患の治療における興味の対象である化合物の潜在的な効果を評価することができる。以下に説明するモデルに加え、興味の対象である化合物を研究するための他の適切な動物モデルは、Mizuno, M.他、Expert Opin. Investig. Drugs (2005年)、第14巻(7)、807〜821ページに見いだすことができる。この論文は、参考として本明細書にその全体が組み込まれているものとする。
【0215】
1.
C5aで誘導される白血球減少症のモデル
a)ヒトC5aRノック-イン・マウス・モデルにおいてC5aによって誘導される白血球減少症
動物モデルにおける本発明の化合物の効果を調べるため、標準的な技術を利用して組み換えマウスを作り出すことができる。ここでは、マウスのC5aRをコードしている遺伝子配列を、ヒトC5aRをコードしている配列で置き換えてhC5aR-KIマウスが作り出される。このマウスでは、hC5aを投与すると、血管の壁面にあって血液の白血球と結合する接着分子が上方調節されて、その白血球が血流に入らないよう封鎖される。マウスに20μg/kgのhC5aを投与し、1分後に末梢血に含まれる白血球を標準的な方法で定量する。さまざまな投与量の本発明の化合物でマウスをあらかじめ治療すると、hC5aによって誘導される白血球減少症をほぼ完全に阻止することができた。
【0216】
b)カニクイザル・モデルにおいてC5aによって誘導される白血球減少症
本発明の化合物の効果を非ヒト霊長類モデルで調べるため、C5aによって誘導される白血球減少症をカニクイザル・モデルで調べる。このモデルでは、hC5aを投与すると、血管の壁面にあって血液の白血球に結合する接着分子が上方調節されて、その白血球が血流に入らないよう封鎖される。カニクイザルに10μg/kgのhC5aを投与し、1分後に末梢血に含まれる白血球を定量する。
【0217】
c)ANCAによって誘導される脈管炎のマウス・モデル
0日目に、ミエロペルオキシダーゼに対する精製抗体を50mg/kgの割合でhC5aR-KIマウスに静脈内注射する(Xiao他、J. Clin. Invest. 第110巻:955〜963ページ (2002年))。マウスにはさらに、本発明の化合物の毎日の投与量または賦形剤を7日間にわたって経口投与する。その後、マウスを安楽死させて腎臓を取り出し、組織学的検査にかける。腎臓切片の分析から、賦形剤で処理したマウスと比べて糸球内の半月形損傷と壊死性損傷の数と重篤度が有意に低下していることがわかる。
【0218】
d)脈絡膜新生血管形成のマウス・モデル
加齢性黄斑変性(AMD)の治療における本発明の化合物の効果を調べるため、hC5aR-KIマウスの目のブルーフ膜をレーザー光凝固によって破壊する(Nozika他、PNAS 第103巻:2328〜2333ページ (2006年))。1〜2週間の間、マウスを賦形剤で治療するか、本発明の化合物を毎日経口投与または硝子体内投与して治療する。レーザーによって起こされた損傷の修復と新生血管形成を組織学と血管造影法によって評価する。
【0219】
2.
関節リウマチのモデル
a)破壊性関節炎のウサギ・モデル
細菌の膜成分であるリポ多糖(LPS)を関節内に注射したときに候補化合物がウサギの炎症反応を抑制する効果を調べるため、破壊性関節炎のウサギ・モデルを利用する。この研究の設計は、関節炎で見られる破壊性関節炎を真似ている。LPSを関節内に注射することにより、サイトカインとケモカインの放出を特徴とする急性の炎症反応が起こる。そのサイトカインとケモカインの多くは、関節リウマチの関節で同定されている。これら走化性メディエータの上昇に応答して白血球の顕著な増加が滑液と滑膜の中で起こる。ケモカイン受容体のいろいろな選択的アンタゴニストがこのモデルで効果を有することがわかっている(Podolin他、J. Immunol. 第169巻(11):6435〜6444ページ (2002年)を参照のこと)。
【0220】
本質的にPodolinら(上記文献)が記載しているようにしてウサギのLPSの研究を行い、雌のニュージーランド・ウサギ(約2kg)の1つの膝にLPS(10ng)を、賦形剤だけ(1%のDMSOを含むリン酸緩衝化生理食塩水)と共に、又は候補化合物(投与量1=50μM又は投与量2=100μM)と共に、合計体積1.0mlにして関節内投与して治療する。LPSを注射してから16時間後、膝を洗浄し、細胞をカウントする。治療のプラスの効果は、滑膜の炎症の組織病理学的評価によって明らかにした。組織病理学的評価では炎症スコアを利用する:1 - 最少、2 - 穏やか、3 - 中程度、4 - 中程度〜顕著。
【0221】
b)コラーゲンによって誘導される関節炎のラット・モデルにおける化合物の評価
17日間進展させたコラーゲンII型関節炎の研究を行ない、関節炎によって誘導されるくるぶしの臨床的膨張に候補化合物が及ぼす効果を調べる。ラットのコラーゲン関節炎は、多数の抗関節炎剤の臨床前試験に広く用いられてきた多発性関節炎の1つの実験モデルである(Trentham他、J. Exp. Med. 第146巻(3):857〜868ページ (1977年);Bendele他、Toxicologic Pathol. 第27巻:134〜142ページ (1999年);Bendele他、Arthritis Rheum. 第42巻:498〜506ページ (1999年)を参照のこと)。このモデルの特徴は、ロバストで容易に測定できる多発性関節炎の発症及び進行に信頼があることと、パンヌス形成並びに穏やか〜中程度の骨吸収に伴う軟骨の顕著な破壊と、軟骨膜骨の増殖である。
【0222】
雌のルイス・ラット(約0.2kg)をイソフルランで麻酔し、この17日間にわたる研究の0日目と6日目に、2mg/mlのウシ・コラーゲンII型を含むフロイント不完全アジュバントを尾の付け根と背中の2つの部位に注射する。候補化合物を有効な投与量で0日目〜17日目まで毎日皮下投与する。足根関節の直径をノギスで測定し、関節の膨張の低下を効果の指標とする。
【0223】
3.
敗血症のラット・モデル
興味の対象である化合物の敗血症様の疾患に伴う一般的な炎症反応を抑制する効果を調べるため、敗血症の盲腸結紮・穿刺(CLP)ラット・モデルを用いる。ラットのCLP研究は、本質的にFujimura N.他 (American Journal Respiratory Critical Care Medicine 2000年; 第161巻:440〜446ページ)が記載しているようにして行なう。ここに簡単に記載すると、体重が200〜250gの両方の性別のウィスター・アルビノ・ラットを12時間絶食させた後、実験を開始する。ラットを通常の12時間昼と夜のサイクルに維持し、標準的なラットの餌を実験の12時間前まで与える。次にラットを4つの群に分ける。それは(i)2つの偽手術群と(ii)2つのCLP群である。これら2つの群(すなわち(i)と(ii))のそれぞれを賦形剤対照群と試験化合物群に分ける。敗血症をCLP法によって誘導する。簡単な麻酔下で切開が最少になるようにして正中線で開腹し、回腸弁の直下で盲腸を、3-0絹糸を用いて結紮する。そのため腸が通じる状態が維持される。盲腸の対腸間膜面の互いに1cm離した2つの場所に18ゲージの針で穴を開け、糞便が押し出されるまで盲腸をやさしく圧迫する。次に腸を腹部に戻し、切開部を閉じる。手術が終わると体重100gにつき3mlの生理食塩水を皮下投与してすべてのラットを蘇生させる。手術後、ラットを絶食させるが、次の16時間は安楽死させるまで水を自由に飲めるようにする。偽手術群に開腹手術を行なって盲腸を操作するが、結紮も穿刺もしない。治療のプラスの効果を、組織と臓器の組織病理学的スコアの測定と、肝臓機能、腎臓機能、脂質過酸化に関してカギとなるいくつかの指標の測定によって調べる。肝機能をテストするため、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)とアラニントランスアミナーゼ(ALT)を測定する。血中尿素窒素とクレアチニンの濃度を調べて腎機能を評価する。炎症促進性サイトカイン(例えばTNF-α、IL-1β)の血清レベルもELISAによって調べる。
【0224】
4.
実験的ループス腎炎のマウスSLEモデル
興味の対象である化合物が全身性エリテマトーデス(SLE)に及ぼす効果を調べるため、MRL/lpr囓歯類SLEモデルを使用する。MRL/Mp-Tmfrsf6
lpr/lpr株(MRL/lpr)が、一般に用いられているヒトSLEのマウス・モデルである。このモデルで化合物の効果を調べるため、オスのMRL/lprマウスを年齢が13週間の時点で対照群とC5aRアンタゴニスト群に等分した。次に、次の6週間にわたって浸透ポンプを通じて化合物または賦形剤をマウスに投与することで、投与された状態を維持するとともにマウスに対するストレスの効果を最少にする。発症して疾患が進行している6週間にわたって血清と尿のサンプルを2週間ごとに回収する。これらマウスの半数未満で糸球体硬化症が進行し、腎不全によって死ぬに至る。腎不全の1つの指標としての事後死亡は測定した基準の1つであり、治療がうまくいくと通常は試験群の中で突然死の発生が遅延する。それに加え、腎疾患の存在と程度も、血中尿素窒素(BUN)とアルブミン尿を測定して連続的にモニターすることができる。組織と臓器も19週間の時点で回収し、病理組織学と免疫組織化学で調べ、組織損傷と細胞浸潤に基づいて得点化する。
【0225】
5.
COPDのラット・モデル
囓歯類モデルにおいて煙によって誘導される気道の炎症を利用し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)での化合物の効果を評価することができる。ケモカインのさまざまな選択的アンタゴニストがこのモデルで効果を示すことがわかっている(Stevenson他、Am. J. Physiol Lung Cell Mol Physiol. 第288巻 L514〜L522ページ (2005年)を参照のこと)。COPDの急性ラット・モデルをStevensonらが記載しているようにして作る。興味の対象である化合物を経口で全身投与(すなわちIV投与)するか、噴霧化して局所的に投与する。オスのスプレーグ-ドーレー・ラット(350〜400g)をパースペックス・チェンバーの中に入れ、ポンプを通じて引き込むタバコの煙に曝露する(30秒ごとに50ml。間に新鮮な空気)。ラットの合計曝露時間は32分間である。曝露後7日目までにラットを安楽死させる。治療の何らかのプラスの効果を、炎症性細胞浸潤の低下と、ケモカインおよびサイトカインのレベル低下とによって評価する。
【0226】
慢性モデルでは、マウスまたはラットを、12ヶ月間までの期間、毎日タバコの煙に曝露する。化合物を毎日1回経口で全身投与するか、噴霧化して潜在的に局所的に投与する。動物は、急性モデル(Stevenson他)で観察された炎症に加え、ヒトCOPDに見られるのと似た気腫などの他の症状と、肺の化学的性質の変化も示す可能性がある(Martorana他、Am. J. Respir. Crit. Care Med. 第172巻(7):848〜853ページを参照のこと)。
【0227】
6.
多発性硬化症のマウスEAEモデル
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)はヒト多発性硬化症のモデルである。このモデルのバリエーションが以前から公開されており、この分野で公知である。典型的なプロトコルでは、C57BL/6(チャールズ・リヴァー・ラボラトリーズ社)マウスをEAEモデルとして用いる。4mg/mlのヒト型結核菌(シグマ-オールドリッチ社)を含む完全フロイント・アジュバント(CFA)の中で乳化状態になった200μgのミエリン希突起膠細胞糖タンパク質(MOG)35-55(ペプチド・インターナショナル社)を0日目に皮下投与してマウスを免疫化する。それに加え、0日目と2日目にマウスに200ngの百日咳毒素(カルバイオケム社)を腹腔内投与する。臨床スコアは0〜5のスケールに基づく:0、疾患の徴候なし;1、尾の弛緩;2、後肢の衰弱;3、後肢の麻痺;4、前肢の衰弱または麻痺;5、瀕死。評価する興味の対象である化合物の投与は、0日目(予防)または7日目(治療。疾患の組織学的証拠が存在するが、臨床的徴候を示すマウスはほとんどいないとき)に開始することができ、活性と薬物動態特性が適切である濃度にして1日に1回以上投与する(例えば100mg/kgを皮下投与)。化合物の効果は、重篤度を比較すること(賦形剤と化合物の存在下で比較した最大平均臨床スコア)によって、または脊柱から分離したマクロファージ(F4/80陽性)の数の減少を測定することによって比較できる。脊柱の単球細胞は、不連続なパーコル勾配を通じて分離することができる。ラット抗マウスF4/80-PEまたはラットIgG2b-PE(カルタグ・ラボラトリーズ社)を用いて細胞を染色し、サンプル1つにつき10μlのポリビーズ(ポリサイエンシーズ社)を用いたFACS分析によって定量することができる。
【0228】
7.
腎臓移植のマウス・モデル
マウスで移植モデルを実現できる。例えばC57BL/6マウスからBALB/cマウスへの同種異系腎臓移植モデルが、Faikah Gueler他によってJASN Express、2008年8月27日号に記載されている。簡単に述べると、マウスを麻酔し、ドナーの左腎臓を大動脈と腎臓静脈のカフに小さな大静脈カフを利用して取り付け、尿管をまとめて取り出す。レシピエントの左腎臓を摘出した後、血管のカフを、元の腎臓の血管の位置よりも下で、レシピエントの腹部大動脈と大静脈にそれぞれ吻合する。尿管は膀胱に直接吻合する。冷たい虚血の時間は60分間であり、温かい虚血の時間は30分間である。元の右腎臓は、同種異系移植のときに除去することができ、長期生存の研究では、移植4日後に除去することができる。マウスの一般的な体調を拒絶の証拠としてモニターする。化合物を用いたマウスの治療は、手術前に、または移植直後に例えば毎日皮下注射して開始することができる。マウスの腎機能と生存を調べる。自動化された方法(ベックマン・アナライザー社、クレフェルト、ドイツ国)で血清クレアチニンのレベルを測定する。
【0229】
8.
虚血/再灌流のマウス・モデル
虚血/再灌流障害のマウス・モデルをXiufen Zheng他、Am. J. Pathol.、第173巻:4ページ、2008年10月に記載されているようにして実現することができる。簡単に述べると、年齢が6〜8週間のCD1マウスを麻酔し、加熱パッドの上に置いて手術中は暖かさが維持されるようにする。腹部を切開した後、腎臓の茎を鋭利にならないようにして切開し、微小血管用鉗子を左腎茎に25〜30分間設置する。虚血の後に鉗子と右腎臓を取り出し、切開部を縫合し、マウスを回復させる。血液を回収し、腎臓の健康状態の指標として血清クレアチニンとBUNを分析する。あるいはマウスの生存の時間変化をモニターする。化合物は、手術の前および/または後にマウスに投与することができ、血清クレアチニンに対する効果、BUN、マウスの生存を化合物の効果の指標として用いる。
【0230】
9.
腫瘍増殖のマウス・モデル
年齢が6〜16週間のC57BL/6マウスに1×10
5個のTC-1細胞(ATCC、ヴァージニア州)を右又は左の後ろ脇腹に皮下注射する。約2週間後に細胞の注入を開始し、腫瘍のサイズが大きくなってマウスを殺ねばならなくなるまで、2〜4日ごとに腫瘍をノギスで測定する。マウスを安楽死させるとき、十分に検死した後に脾臓と腫瘍を取り出す。切除した腫瘍を測定して計量する。化合物は、腫瘍の注入前及び/又は後に投与することができ、化合物の効果を評価するのに腫瘍増殖の遅延又は抑制を用いる。