(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190008
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】ペンニードル外カバー用リバーシブルキャップ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20170821BHJP
A61M 5/50 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
A61M5/32 500
A61M5/50 530
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-137601(P2016-137601)
(22)【出願日】2016年7月12日
(62)【分割の表示】特願2010-202111(P2010-202111)の分割
【原出願日】2010年9月9日
(65)【公開番号】特開2016-179281(P2016-179281A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2016年8月12日
(31)【優先権主張番号】12/563,096
(32)【優先日】2009年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エー.ディビアシ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート バニーク
【審査官】
和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−131602(JP,A)
【文献】
特開2001−286562(JP,A)
【文献】
米国特許第06315113(US,B1)
【文献】
特開2000−271219(JP,A)
【文献】
特開平11−137687(JP,A)
【文献】
米国特許第04927019(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンニードル外カバー用のリバーシブルキャップであって、
第1の面および第2の面を有するベースと、
このベースの前記第1の面から上方に延在するシール壁と、
前記ベースに取り外し可能に取り付けられる取り外し可能なフランジと
を具え、このリバーシブルキャップは第1または第2の位置にてペンニードルの外カバーの開口を覆うように取り付けられ、当該リバーシブルキャップが注射針の使用前に前記第1の位置にて前記外カバーに取り付けられると前記第1の面が見え、該リバーシブルキャップが前記注射針の使用後に前記第2の位置にて前記外カバーに取り付けられると前記第2の面が見えることを特徴とするリバーシブルキャップ。
【請求項2】
前記取り外し可能なフランジは、リバーシブルキャップが前記第1の位置にある場合、このリバーシブルキャップから分離されて当該リバーシブルキャップを前記外カバーから取り外せるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のリバーシブルキャップ。
【請求項3】
標章がリバーシブルキャップの前記第2の面に配され、この標章は、リバーシブルキャップが前記第2の位置にて前記外カバーに取り付けられた場合に視認可能であって前記ペンニードルの注射針が使用済みであることを示すことを特徴とする請求項1に記載のリバーシブルキャップ。
【請求項4】
リバーシブルキャップが前記第1の位置にある場合、このリバーシブルキャップを前記外カバーから容易に取り外せるように、取手が前記ベースに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のリバーシブルキャップ。
【請求項5】
リバーシブルキャップを前記外カバーから取り外した後、前記取手が前記シール壁の開口によって収容されることを特徴とする請求項4に記載のリバーシブルキャップ。
【請求項6】
リバーシブルキャップを前記第2の位置にて前記外カバーに取り付けた場合、前記シール壁が前記外カバーによって収容されることを特徴とする請求項1に記載のリバーシブルキャップ。
【請求項7】
リバーシブルキャップは、前記外カバーに対し超音波融着または接着によって前記第1の位置にて接続されていることを特徴とする請求項1に記載のリバーシブルキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射針の非患者端を覆うためのリバーシブルキャップに関する。より詳細には、本発明は外カバーに取り付けた場合に針容器をもたらすリバーシブルキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
ある特定の状況において、薬剤を人の組織に直接注入することが望まれる。一般に、注射器またはペン注入器具は、筋肉の組織層や皮下組織層および皮内組織層の如き、組織領域へと薬剤を注入するために用いられる。
【0003】
図1および
図2に示すような典型的なペン注入器具および作用は、2006年10月12日に公開された特許文献1に記述され、これはその全体を参照することによってこの明細書に組み入れられる。
【0004】
図1に示すような典型的なペン注射器100の如き、ペン注入器具は、投与量つまみ/ボタン24と、外側スリーブ13と、キャップ21とを一般に具えている。投与量つまみ/ボタン24は、使用者が注入される薬剤の量を設定することを可能にする。外側スリーブ13は、薬剤を注入する際に使用者によって把持される。キャップ21は、ペン注射器器具100をシャツポケットや小物入れまたは他の適当な場所にしっかりと保持するために使用者によって用いられる。
【0005】
図2は、
図1に示した典型的な薬剤送出ペンの分解図である。投与量つまみ/ボタン24は、二重の目的を有し、注入される薬剤の投与量を設定することと、設定された薬剤を下部ハウジング17を介して薬剤送出ペンに装着される薬剤カートリッジ12から送りねじ7およびストッパー15を介して注入することとの両方で用いられる。標準的な薬剤送出ペンにおいて、投与および送出機構のすべては外側スリーブ13内に見い出され、これらが当業者らによって理解されているので、ここでより詳細に記述されない。薬剤カートリッジ12内のプランジャーまたはストッパー15の末端側への移動は、薬剤がハブ20の注射針11へと押し込まれることをもたらす。薬剤カートリッジ12は隔壁16によってシールされ、これはハブ20内に配された隔壁穿通針カニューレ18によって突き破られる。ハブ20は下部ハウジング17に好ましくはねじ込まれているけれども、他の装着手段をカートリッジに装着するが如く用いることができる。使用者や、ペン注射器具100を取り扱う人を保護するため、ハブ20に装着される外カバー69がハブを覆う。内側シールド59が外カバー69内の患者注射針11を覆う。患者注射針11を締まり嵌めまたはスナップ止めの如きあらゆる適当な手段によって覆うため、内側シールド59をハブ20に固定することができる。外カバー69および内側シールド59が使用前に取り外される。キャップ21が外側スリーブ13に対してぴったりと嵌合し、使用者が薬剤送出ペン100を確実に持ち運ぶことを可能にする。
【0006】
薬剤カートリッジ12は、一端を隔壁16でシールされ、かつストッパー15で他端をシールされた一般的なガラス管である。隔壁16はハブ20内の隔壁穿通カニューレ18によって突き刺し可能であるが、薬剤カートリッジ12に対しては移動しない。ストッパー15は薬剤カートリッジ12内で軸線方向に変位可能であって、流体を密封状態に保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0229562号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ハブ20と、注射針11と、外側シールド69と、内側シールド59とを含むペンニードルが1回限りの注射のために一般に用いられ、次にこれが廃棄される。注射の後に続き、使用済みの注射針、すなわち「針」を適切に処分しなければならない。使用済みの針は体液などによって汚染された状態になり、その使用後にこれを処理する可能性のある人にとって危険性をもたらす可能性がある。針廃棄容器が廃棄された針を収容してその中に廃棄されたあらゆる物との意図的ではない接触を阻止する。従って、使用後にペンニードルを穿刺抵抗力が強いカバーおよびキャップ内に完全に封じ込める外カバー用のキャップに対する要求が存在する。
【0009】
他の問題は、使用済みの注射針を適切に取り扱って偶然の針刺しまたは汚染を回避することである。ペンニードルの外カバーは、ハブアセンブリーにアクセスするために外カバーを開けた後で処分される箔状シールにより一般的にシールされている。従って、注射針の使用前後共に外カバーをシールするためのキャップに対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態によると、リバーシブルキャップは、注射針を使う前の第1の位置にて、および注射針を使った後の第2の位置にて、外カバーに取り付けられる。
【0011】
本発明の他の形態によると、キャップの逆向きの面がここに収容されるペンニードルの状態を示すために異なる標章を有する。
【0012】
本発明の典型的な一実施形態によるペンニードルアセンブリーは、ペンニードルの注射針の非注入端を覆うキャップを含む。注射針は、外カバーに配されたハブによって収容される。キャップは第1または第2の位置にて外カバーに取り付けられるようになっている。キャップは第1の位置にて取り外し可能であり、このキャップは第2の位置にて外カバーに固定される。
【0013】
本発明の目的や利点および重要な特徴は、添付図面と関係付けられた本発明の典型的な実施形態を開示する後続の詳細な説明から明白となろう。
【0014】
本発明の種々の実施形態に関する上述の利点および他の特徴は、 本発明の典型的な実施形態に関する後続の詳細な説明および添付図面から、より明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】組み立てられた既存のペン注射器の立体投影図である。
【
図2】
図1のペン注射器の部品の分解立体投影図である。
【
図3】本発明の典型的な一実施形態によるペンニードル外カバー用のリバーシブルキャップの立体投影図である。
【
図4】
図3のリバーシブルキャップの別な方向からの立体投影図である。
【
図5】外カバーに取り付けられた
図3のキャップの立体投影図である。
【
図6】キャップを裏返した
図5のキャップおよびペンニードルの分解立体投影図である。
【
図7】本発明の他の典型的な実施形態によるリバーシブルキャップの立体投影図である。
【
図8】取り外し可能なフランジを取り外した
図7のリバーシブルキャップを別な方向からの立体投影図である。
【
図10】外カバーに対してシールされた
図7のキャップの立体投影図である。
【
図11】タブが持ち上げられて外カバーに対するシールを破壊した
図7のキャップの立体投影図である。
【
図12】外カバーから取り外した後の
図7のキャップの立体投影図である。
【
図13】キャップの第1の面に固定されたタブを持つ
図7のキャップの立体投影図である。
【
図14】
図7のキャップの第2の面を示す立体投影図である。
【0016】
図面全体を通し、類似の参照符号が類似の部品や構成要素および構造を参照しているように理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図3〜
図6に示すような本発明の典型的な一実施形態において、キャップ101は、注射針の使用前後にペンニードル141の注射針149の非患者端147を覆う。このキャップ101は、第1の面103および第2の面105を有する。キャップ101は、ペンニードル141の外カバー169に対し、第1の面が見える
図4に示すような第1の位置か、または第2の面が見える
図3に示すような第2の位置にて取り付け可能である。第1の面103は、注射針149が注射のためにまだ使われていないことを示す表示104を有する。第2の面105は、注射針が注射のために使用済みであることを示す、汚染された針標章の如き表示106を有する。
【0018】
キャップ101は第1の端108と第2の端109とを有する外側側壁107を有する。第1のリップ117がこの側壁107の第1の端108から内側に延在し、第2のリップ118が側壁107の第2の端109から内側に延在している。第1の内側側壁110が第2の面105から第1の端まで延在している。第2の内側側壁111が第1の面103から第2の端109まで延在している。複数のリブ113が第1の内側側壁110に沿って軸線方向に延在している。これらのリブ113は、第2の面105から第1のリップ117まで延在している。複数のタブ115が第2の内側側壁111の周方向に配されている。取手119がキャップ101を容易に把持するために外側側壁107から外方に延在している。
【0019】
最初はキャップ101が
図5に示すような第1の位置にて外カバー169に取り付けられ、第1の面103が見えるようになっている。第1の面103にある標章104は、注射針が注射のためにまだ使われていないことを示す。リブ113は、外カバー169のフランジ171とで締まり嵌めをもたらす。注射が行われる場合、使用者は取手119を把持してこの取手を外カバー169から離れるように引き上げ、これによってキャップ101を外カバーから取り外す。次に、ペンニードル1
41をペン注射器具100(
図1および
図2)に接続して注射を行うことができる。
【0020】
薬剤を注射した後、注射針149の患者端を覆って注射針の患者端を保護し、偶然の針刺しを阻止する内側シールド159を必要に応じて配置することができる。ハブ151および内側シールド159を使用する場合、これらは外カバー169内に配される。キャップ101が裏返され、
図6に示すような第2の位置にて外カバー169に取り付けられる。キャップ101が外カバー169に向けて下方に押されると、タブ115の傾斜部121がフランジ171を乗り越え、これによってフランジをタブ115とキャップ101の第1の面103との間に固定する。第1の面103とほぼ平行であるタブ115の平坦部123は、タブ115がフランジ171を乗り越えることを阻止し、これによってキャップ101を外カバー169に対して確実に固定すると共に針容器を与える。キャップ101の第2の面105にある第2の標章106は、キャップ101が第2の位置に固定されている場合に視認可能である。この第2の標章106は、注射針が注射のために使用済みであることを示し、このような標章は、
図3に示すような汚染された針標章を含むことができる。
【0021】
図7〜
図14に示すような他の典型的な実施形態において、リバーシブルキャップ201は、第1または第2の位置にてペンニードルの外カバー169(
図6)に対して取り付け可能である。このキャップ201は、当該キャップ201を第1の位置にて外カバーに取り付けた場合に視認可能である第1の面203を有する。このキャップを第2の位置にて外カバーに取り付けた場合、キャップ201の第2の面205が見える。
【0022】
図7に示すように、シール壁211がキャップ201の第1の面203から上方へ延在している。開口212がこの壁211に形成されている。取り外し可能なフランジ213がシール壁211を囲んでいる。ノッチ214がフランジ213と第1の面203との間に形成され、フランジ213を容易に取り外せるようになっている。タブ217が第1の面203から外側に延在し、好ましくは第1の面203とほぼ同じ平面である。溝218がタブ217に形成され、この溝218を中心としてタブを容易に曲げられるようになっている。外カバーが開けられたことを示す
図8に示すような標章219がキャップ201の第2の面205の配されている。
【0023】
図9〜
図14は、
図9に示すような外カバー169をキャップ201に対して開けたりシールし直すことを示している。キャップ201は、その製造過程にて外カバーに取り付けられる。キャップ201の取り外し可能なフランジ213は、
図10に示すように第1の位置にて第1の面203が見えるように、外カバー169のフランジ171に好ましくは超音波融着または接着により接続される。タブ217は、このタブが外カバーに隣接し、溝218を中心として曲げられる。
【0024】
外カバーを開く場合、
図11に示すように、タブ217が外カバーから離れるように上方に持ち上げられる。次に、フランジ213がノッチ214に沿ってキャップ201から分離され、これによってキャップ201と外カバーとの間のシールを破壊する。次に、キャップ201が外カバーから取り外され、タブ217が
図13に示すようにキャップ201の第1の面203に向けて下方に押され、タブ217はシール壁211内の開口212により収容される。注射を行って使用済みのペンニードルが外カバーへと戻されると、キャップ201が第2の位置にて外カバーに取り付けられ、第2の面205が見えるようになっている。シール壁211が外カバーとでシールを形成するように、キャップ201が下方に押される。第2の位置において、キャップ201の第2の面205にある標章219が見えており、ペンニードルが注射のために使用済みであることを示している。このような標章は、
図8および
図14に示すような「非滅菌」を含むことができるが、任意の適当な標章を用いることが可能である。
【0025】
前述の実施形態および利点は単なる例示であって、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。本発明の典型的な実施形態の説明が例示であって、本発明の範囲を限定しないように意図されている。種々の選択肢や修正および変更は、当業者らにとって自明であって、添付の請求項およびそれらの均等物に規定されるような本発明の範囲内に含まれるように意図される。