(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記刃部材は、前記長手方向と直交する方向に移動され、前記刃部材の移動方向と前記光ファイバの長手方向に直交する高さ方向における前記光ファイバと前記外周縁部との相対位置を変更可能であり、
前記保守情報を求めるために、前記高さ方向における前記光ファイバと前記外周縁部との相対位置情報として、前記高さ方向における前記外周縁部の位置を測定する位置測定センサをさらに備える請求項1に記載の光ファイバ切断システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第一実施形態〕
以下、本発明に係る光ファイバ切断システム1の第一実施形態について、
図1〜6を参照して説明する。
図1,2に示すように、本実施形態の光ファイバ切断システム1は、光ファイバ100(光ファイバ心線)を切断(劈開)するための刃部材13を含む光ファイバ切断装置2と、光ファイバ100に対する刃部材13の位置情報を取得する取得部10と、を備える。また、本実施形態の光ファイバ切断システム1は、刃部材13の位置情報を取り扱う演算部3、記憶部4及び表示部5を備える。
【0020】
光ファイバ切断装置2は、1対のクランプ11,12、刃部材13および押し当て部材14を備える。1対のクランプ11,12および刃部材13は、光ファイバ切断装置2の基台17上に配されている。特に図示しないが、押し当て部材14も同様にして、基台17上に配されている。
【0021】
1対のクランプ11,12は、光ファイバ100の長手方向に間隔をあけて配されて、光ファイバ100を把持する。各クランプ11,12は、光ファイバ100を上下方向(
図2における上下方向)から挟み込む下クランプ11A,12A及び上クランプ11B,12Bを有する。下クランプ11A,12A及び上クランプ11B,12Bのうち相互に対向する部位(光ファイバ100を挟み込む部位)には、ゴム等の弾性パッド18(
図5,6参照)が設けられている。
【0022】
刃部材13は、円板状に形成されている。刃部材13は、その円板平面が光ファイバ100の長手方向(1対のクランプ11,12の配列方向)に直交するように配されている。刃部材13は、1対のクランプ11,12およびこれに把持された光ファイバ100に対して、1対のクランプ11,12間を光ファイバ100の長手方向と直交する方向に移動可能とされている。
刃部材13は、その移動経路の途中(移動途中)において刃部材13の外周縁部19(刃先)が1対のクランプ11,12に把持された光ファイバ100の表面に接触することで、光ファイバ100の表面を加傷する。
【0023】
刃部材13は、基台17上において刃部材13の軸線を中心に回転可能とされている。これにより、光ファイバ100に接触する刃部材13の外周縁部19の位置が変更可能となっている。また、刃部材13は、ネジ等の保持手段によって、回転不能な状態と回転可能な状態とに切り換え可能とされている。これにより、光ファイバ100に接触する刃部材13の外周縁部19の位置を適切に保持することもできる。
【0024】
また、本実施形態の光ファイバ切断装置2では、光ファイバ100の長手方向及び刃部材13の移動方向に直交する高さ方向(
図2における上方向)における光ファイバ100と刃部材13の外周縁部19との相対位置が変更可能となっている。これにより、刃部材13で光ファイバ100の表面を加傷する際に、刃部材13の外周縁部19を光ファイバ100の表面に押し付ける圧力(接触圧)を変えることができる。
【0025】
図2に例示する光ファイバ切断装置2において、刃部材13は、基台17上において前述した刃部材13の移動方向に移動可能に配された刃台20に対し、刃部材13の軸線を中心に回転可能に設けられている。
また、
図2に例示する光ファイバ切断装置2では、前述した高さ方向における刃部材13の位置(高さ位置)が調整可能とされ、1対のクランプ11,12で把持された光ファイバ100の高さ位置は固定されている。以下、刃部材13の高さ位置を調整する機構について具体的に説明する。
【0026】
図2に例示する光ファイバ切断装置2では、刃台20が、ベース部21と、ベース部21に対して揺動可能に連結された揺動部22と、を備える。ベース部21と揺動部22とを連結する軸(連結軸)は、光ファイバ100の長手方向に平行している。揺動部22は、連結軸から離れる方向に延びている。刃部材13は、揺動部22の延長方向の中途部に設けられている。揺動部22の延長方向の先端部には、ベース部21に対する揺動部22の先端部の高さ位置を調整する調整ネジ23が取り付けられている。これにより、刃部材13の高さ位置が調整可能とされている。
本実施形態において、刃部材13の回転や刃部材13の高さ位置の調整は、光ファイバ切断装置2を扱う作業者によって手動で調整される。
【0027】
上記した1対のクランプ11,12および刃部材13を含む光ファイバ切断装置2において、光ファイバ100の表面を加傷する(光ファイバ100の表面に初期傷をつける)際には、
図5(b)〜(d),
図6(b)〜(d)に示すように、刃部材13を1対のクランプ11,12によって把持された光ファイバ100の長手方向に直交する方向に移動させることで、刃部材13の外周縁部19を光ファイバ100の表面に押し付ける。
この際、1対のクランプ11,12の間に位置する光ファイバ100は、
図5(a)、
図6(a)に示すように、刃部材13の押し付けによって撓む。これにより、刃部材13の外周縁部19のうち周方向の所定長さが、光ファイバ100の表面に接触する。以下の説明では、この所定長さを、光ファイバ100に対する刃部材13の「接触長」と呼ぶ。光ファイバ100に対する刃部材13の接触長は、
図5(d)、
図6(d)において符号CL1,CL2で示している。
【0028】
刃部材13の接触長は、高さ方向における光ファイバ100と刃部材13との相対位置に応じて変化する。例えば
図5に示すように、高さ方向において刃部材13の上端が光ファイバ100に対して比較的下方に位置する場合には、光ファイバ100の撓みが小さく(接触圧が低く)、刃部材13の接触長CL1が短い。一方、
図6に示すように、高さ方向において刃部材13の上端が
図5の場合と比較して上方に位置する場合には、光ファイバ100の撓みが大きく(接触圧が高く)、刃部材13の接触長CL2が長くなる。刃部材13の外周縁部19の切断性能が同じである場合、刃部材13の接触長が長い方が光ファイバ100の表面を加傷する度合いが大きい。
【0029】
図2に示す押し当て部材14は、刃部材13によって光ファイバ100の表面を加傷した後に、光ファイバ100の加傷部を押し曲げることで、光ファイバ100を切断する。
【0030】
上記した光ファイバ切断装置2においては、刃部材13が回転可能とされている。このため、刃部材13の所定(同一)の外周縁部19(周方向の一部の外周縁部19)、および/または、所定(同一)の接触圧で毎回繰り返し光ファイバ100を加傷することで、所定の外周縁部19が摩耗(刃部材13の刃先の経時摩耗、経時欠損等の劣化を含む)して光ファイバ100を切断するための切断性能が低下した場合には、刃部材13を回転させて光ファイバ100に接触する刃部材13の外周縁部19の位置を変更する。具体的には、所定の外周縁部19に隣り合う別の外周縁部19が加傷時に光ファイバ100に接触するように、刃部材13を回転させる。これにより、前述の切断性能が回復する。
【0031】
また、上記した光ファイバ切断装置2においては、高さ方向における光ファイバ100と刃部材13との相対位置が変更可能となっている。このため、刃部材13の所定(同一)の外周縁部19、および/または、所定(同一)の接触圧で毎回繰り返し光ファイバ100を加傷することで、所定の外周縁部19が摩耗して光ファイバ100を切断するための切断性能が低下した場合には、接触圧が高くなるように(接触長が長くなるように)、高さ方向における光ファイバ100と刃部材13との相対位置を変更する。これにより、前述の切断性能が回復する。
上記説明において、切断性能が低下しているか否かは、例えば作業者が切断後の光ファイバ100の端面の状態を確認して判断する。
【0032】
図1,2に示すように、取得部10は、光ファイバ100に接触する刃部材13の外周縁部19の位置情報を取得する。
本実施形態の取得部10は、光ファイバ100に対する刃部材13の外周縁部19の位置情報として、刃部材13の回転角度(回転位置)を測定する外縁位置測定センサ15を含む。言い換えれば、外縁位置測定センサ15は、光ファイバ100に接触する刃部材13の外周縁部19の位置を測定する。本実施形態において、外縁位置測定センサ15は、光ファイバ切断装置2に設けられている。
外縁位置測定センサ15は、例えば刃部材13の回転角度を連続的に測定してもよいが、本実施形態では回転角度を離散的に測定する。測定される刃部材13の回転角度(外周縁部19の位置)の数は、刃部材13の径寸法に応じて適宜設定されてよいが、本実施形態では16個とする。すなわち、本実施形態では、刃部材13の周方向に並び、光ファイバ100の切断に用いることが可能な刃部材13の外周縁部19の位置の数を16箇所とする。
【0033】
外縁位置測定センサ15は、例えば
図1,2に示すように、刃部材13の外縁部分に周方向に等間隔で配列された複数(16個)のマーカー24の一つを検出することで、刃部材13の回転角度を測定する。
マーカー24は、磁気など任意の手法で検出されてよいが、本実施形態では光を利用して検出される。この種のマーカー24は、例えば画像取得装置で認識が可能な文字情報(例えば1〜16の数字)であってもよいし、3次元バーコードのように明暗で位置を示すコードであってよい。
【0034】
本実施形態の外縁位置測定センサ15は、発光部25及び受光部26を有する光センサである。このため、マーカー24は、例えば光を反射する反射板であってもよいが、本実施形態では刃部材13をその軸方向に貫通し、発光部25からの光を透過させる貫通孔である。複数の貫通孔の大きさを互いに異ならせることで、貫通孔を通り受光部26に到達する光量を異ならせることができる。これにより、刃部材13の回転角度を測定することができる。
外縁位置測定センサ15で測定された刃部材13の回転角度(測定値)は、例えば電気信号で外縁位置測定センサ15から出力される。
【0035】
また、本実施形態の取得部10は、高さ方向における光ファイバ100と刃部材13の外周縁部19との相対位置情報を取得する。具体的に、本実施形態の取得部10は、上記の相対位置情報として、高さ方向における刃部材13の外周縁部19の位置(刃部材13の高さ位置)を測定する接触長測定センサ(位置測定センサ)16を含む。本実施形態において、接触長測定センサ16は、光ファイバ切断装置2に設けられている。
接触長測定センサ16は、例えば刃部材13の高さ位置を連続的に測定してもよいが、本実施形態では離散的に測定する。測定される刃部材13の高さ位置の数は任意であってよいが、本実施形態では「低」、「中」、「高」の3つとする。すなわち、本実施形態では、同一の外周縁部19の位置において、光ファイバ100の切断に用いることが可能な刃部材13の高さ位置の数を3箇所とする。
したがって、本実施形態では、光ファイバ100の切断に用いることが可能な刃部材13の位置の総数が、刃部材13の周方向における外周縁部19の位置の数16箇所と、刃部材13の高さ位置の数3箇所とを掛け合わせた48箇所となる。
【0036】
接触長測定センサ16は、例えば
図1に示すように、刃台20の揺動部22の先端部において、揺動部22の揺動方向(高さ方向)に間隔をあけて配列された複数(3つ)のマーカー27の一つを検出することで、刃部材13の高さ位置を測定する。
マーカー27を検出する手法は、外縁位置測定センサ15と同様である。すなわち、本実施形態の接触長測定センサ16は発光部28及び受光部29(
図2参照)を有する光センサであり、マーカー27は発光部28からの光を透過させる貫通孔である。また、複数のマーカー27の大きさを互いに異ならせることで、刃部材13の高さ位置を測定することができる。
接触長測定センサ16で測定された刃部材13の高さ位置(測定値)は、例えば電気信号で外縁位置測定センサ15から出力される。
【0037】
上記した外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16は、光ファイバ切断装置2に設けられる。
外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16は、
図2に例示するように、刃部材13の外周縁部19が光ファイバ100と接触する位置から刃部材13の移動方向に離れた位置(例えば待機位置)に配された状態で刃部材13の位置情報を取得するように、基台17上に配置されてよい。この場合、外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16から延びる電気配線(不図示)の配置等を容易に設定できる。
また、外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16は、例えば刃台20のベース部21上に配されてもよい。この場合、刃部材13の移動方向の任意の位置において、刃部材13の位置情報を取得することが可能となる。
【0038】
外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16は、
図2に例示するように、発光部25,28及び受光部26,29を別個とした構成でもよいが、例えば発光部25,28及び受光部26,29を一体に設けたフォトセンサであってもよい。
【0039】
図1に示す演算部3は、外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16において取得された位置情報に基づいて刃部材13に関する保守情報を演算する。
保守情報には、例えば、刃部材13の所定の外周縁部19が摩耗して光ファイバ100を切断するための切断性能が低下した際、次に光ファイバ100の切断に用いる外周縁部19の位置(所定の外周縁部19とは別の外周縁部19)および/または刃部材13の高さ位置(以下、「刃部材13の次回移動先位置」と呼ぶ)を示す情報、すなわち切断性能を回復させるための情報が含まれてよい。
「刃部材13の次回移動先位置」の演算には、光ファイバ100の切断に用いる刃部材13の複数(48箇所)の位置の正しい使用順序(以下、「刃部材13の正しい使用順序」と呼ぶ)を示す情報を利用する。当該情報は、予め後述の記憶部4に記憶されている。
【0040】
本実施形態において、「刃部材13の正しい使用順序」の情報は、以下の手順A〜Eを順番に含むものとする。
手順A:最初に光ファイバ100の切断に使用する刃部材13の位置(初期位置)は、刃部材13の高さ位置を「低」とし、かつ、刃部材13の周方向における外周縁部19の位置を「1番」とした位置(「刃の高さ位置(刃高さ):低、刃部材13の外周縁部19の位置(刃角度):1番」)とする。刃部材13の周方向における外周縁部19の位置は、刃部材13の周方向に「1番」、「2番」…「16番」の番号が付されているものとする。
手順B:その上で、光ファイバ100に接触する刃部材13の所定番号の外周縁部19が摩耗する毎に、刃部材13を回転させ、「1番」→「2番」→「3番」→・・・→「15番」→「16番」の順番で刃部材13の周方向における外周縁部19の位置を変更する。
【0041】
手順C:刃部材13が1回転して「1番」に戻った際には、刃部材13の高さ位置を「低」から「中」に変更する。すなわち、刃部材13のうち「刃高さ:低、刃角度:16番」の位置を使用した後には、「刃高さ:中、刃角度:1番」の位置を使用する。
手順D:刃部材13の高さ位置を「中」に保持した状態で、上記「手順B」と同様に、「1番」→「2番」→「3番」→・・・→「15番」→「16番」の順番で刃部材13の周方向における外周縁部19の位置を変更する。
手順E:刃部材13が1回転して「1番」に戻った際には、上記「手順C」と同様にして、刃部材13の位置を「刃高さ:中、刃角度:16番」から「刃高さ:高、刃角度:1番」に変更する。
手順F:刃部材13の高さ位置を「高」に保持した状態で、上記「手順B」と同様に、「1番」→「2番」→「3番」→・・・→「15番」→「16番」の順番で刃部材13の周方向における外周縁部19の位置を変更し、「刃高さ:高、刃角度:16番」での使用が完了した(切断性能が低下した)段階で、刃部材13自体の使用を終わらせる。
【0042】
このため、本実施形態において、現在使用している刃部材13の位置が「刃高さ:中、刃角度:16番」である場合、演算部3において演算される「刃部材13の次回移動先位置」は、上記した「刃部材13の正しい使用順序」の情報に基づいて、「刃高さ:高、刃角度:1番」となる。
【0043】
また、保守情報には、例えば刃部材13の消耗度合いを示す情報が含まれてよい。刃部材13の消耗度合いとは、例えば、光ファイバ100の切断に用いることが可能な刃部材13の位置の総数(48箇所)を分母とし、現時点で光ファイバ100の切断に使用済みの刃部材13の位置の数を分子とした割合である。例えば、使用済みの刃部材13の位置の数が36箇所である場合、刃部材13の消耗度合いは75%となる。
【0044】
また、保守情報には、例えば刃部材13の残り寿命を示す情報が含まれてよい。刃部材13の残り寿命とは、例えば、光ファイバ100の切断に用いることが可能な刃部材13の位置の総数(48箇所)を分母とし、現時点で光ファイバ100の切断に未使用の刃部材13の位置の数を分子とした割合である。例えば、未使用の刃部材13の位置の数が12箇所である場合、刃部材13の残り寿命は25%となる。
【0045】
また、保守情報には、例えば刃部材13の推定交換時期を示す情報(例えば42日後)が含まれてよい。この場合、刃部材13の推定交換時期を示す情報は、例えば1日に使用される刃部材13の位置の数の推定値を基準として演算されてよい。
【0046】
記憶部4は、光ファイバ100に対する刃部材13の位置情報や前述の保守情報を記憶する。また、記憶部4には、前述した「刃部材13の正しい使用順序」、光ファイバ100の切断に用いることが可能な刃部材13の位置の総数(48箇所)等の情報が記憶されている。記憶部4に記憶された各種情報は、演算部3によって適宜読み出されることがある。
【0047】
表示部5は、例えば
図3,4に示すように、刃部材13の位置情報や保守情報を表示する。以下、表示部5に表示される情報の例について、
図3,4を参照して具体的に説明する。
【0048】
図3に例示する表示部5(表示画面)には、現在の刃部材13の位置情報(
図3において「現在位置」で表示された情報)が表示されている。「現在位置」の情報は、外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16において取得された刃部材13の位置情報である。
また、
図3の表示部5には、記憶部4に記憶された「刃部材13の正しい使用順序」の情報に基づいて、演算部3で演算された現在の刃部材13の正しい位置情報(
図3において「今回・正位置」で表示された情報)が表示されている。例えば未使用の刃部材13を取り付けた直後の状態では、「今回・正位置」として、「刃高さ:低、刃角度:1(度)」が表示される。
【0049】
また、
図3の表示部5には、演算部3で演算された「刃部材13の次回移動先位置」の情報(
図3において「次回・正位置」で表示された情報)が表示されている。「次回・正位置」の情報は、「今回・正位置」の情報および記憶部に記憶された「刃部材13の正しい使用順序」の情報に基づいて演算部3で演算された情報である。例えば「今回・正位置」の情報として「刃高さ:中、刃角度:16」が表示された場合、「次回・正位置」の情報として「刃高さ:高、刃角度:1」が表示される。
表示部5に「次回・正位置」の情報が表示される場合、光ファイバ切断装置2を扱う作業者は、「次回・正位置」の情報表示に従い、刃部材13を回転させたり、刃部材13の高さ位置を調整したりすればよい。このため、作業者が刃部材13の位置を変更する際に、刃部材13の移動ミスが発生することを好適に抑制できる。
【0050】
上記した「現在位置」、「今回・正位置」、「次回・正位置」の3種類の情報は、
図3のように同時に表示されてもよいが、例えば作業者が表示部5用の操作ボタン(不図示)等を操作することで順番に表示されるようにしてもよい。
【0051】
また、
図3の表示部5には、作業者が刃部材13の位置を変更することで刃部材13の移動ミスが発生した場合、すなわち、作業者による刃部材13の位置変更が「刃部材13の正しい使用順序」に従っていない場合に、移動ミスが発生していることを作業者に警告する情報(
図3において「点灯時エラー」で表示された情報)が表示される。
刃部材13の移動ミスの判断は、例えば、演算部3が「現在位置」の情報と「今回・正位置」の情報とを比較することで行われる。
図3の例では、「現在位置」が「刃高さ:中、刃角度:15」であり、「今回・正位置」の「刃高さ:中、刃角度:16」と異なるため、「点灯時エラー」の情報が表示される。
上記のように刃部材13の移動ミスを作業者に警告する(通知する)ことで、作業者は刃部材13の位置を正しく変更することができる。したがって、刃部材13の移動ミスの発生をさらに抑制することができる。
【0052】
また、
図3の表示部5には、演算部3で演算された刃部材13の残り寿命の情報(
図3において「刃の残量」で表示された情報)が表示されている。「刃の残量」の情報は、例えば数字のみで表示されてもよいが、作業者が容易に認識できるように、図示例のような円グラフや棒グラフなどのグラフィック(視覚表現)で表示されると好ましい。また、
図3の表示部5には、例えば、刃の残量が0%になった場合に、作業者に刃部材13の交換を通知する情報が表示されてもよい。
【0053】
図4に例示する表示部5(表示画面)には、現在の刃部材13の位置情報(
図4において符号50で示す刃部材13の現在位置情報)が表示されている。
図4で表示される情報自体は、
図3における「現在位置」の情報と同じである。ただし、
図4の表示部5には、刃部材13の現在位置情報50が、グラフィックで表示されている。
【0054】
具体的に、刃部材13の現在位置情報50には、刃部材13を模した円形51と、円形51の外縁部分に並べて表示され、刃部材13の周方向における外周縁部19の位置を示す複数の番号と、これら複数の番号のうち現在光ファイバ100に接触している刃部材13の外周縁部19の番号を指し示す「▽(三角形状の矢印)」と、が含まれている。
図4の表示部5には、刃部材13の周方向における外周縁部19の位置を示す複数の番号のうち、光ファイバ100に接触する刃部材13の外周縁部19の番号(
図4において「15」)、および、この番号に隣り合う二つの番号(
図4において「14」、「16」)のみ表示されているが、これに限ることはない。
【0055】
また、刃部材13の現在位置情報50には、刃部材13の3箇所の高さ位置(「低」、「中」、「高」)を示す文字情報および線(目盛り)が含まれている。刃部材13の高さ位置を示す線は、円形51(刃部材13)に対応するように表示されている。具体的には、刃部材13の高さ位置が最も低い「低」を示す線が、円形51の外周縁に対応するように表示され、刃部材13の高さ位置が中程度である「中」を示す線、および、高さ位置が最も高い「高」を示す線が、「低」を示す線よりも円形51の径方向内側に順番に表示されている。
【0056】
また、刃部材13の現在位置情報50には、現在の刃部材13の高さ位置を示す文字情報を囲む「□(四角形)」が含まれている。
図4の表示部5では、「中」の文字情報が「□」で囲まれており、現在の刃部材13の高さ位置が「中」であることを示している。
上記のように刃部材13の現在位置情報50がグラフィックで表示されている場合には、作業者は現在の刃部材13の位置を容易に把握することができる。
【0057】
また、
図4に例示した刃部材13の現在位置情報50には、刃部材13の高さ位置を変更すべき向き(正しい向き)を示す矢印52A,52Bが含まれている。この矢印52A,52Bが表示されていることで、作業者が刃部材13の高さ位置を変更する際に誤った向き(例えば「中」から「低」)に変更することを好適に抑制できる。
【0058】
図4の表示部5では、例えば、現在の刃部材13の正しい位置情報(
図3の「今回・正位置」に相当する情報)や、「刃部材13の次回移動先位置」の情報(
図3の「次回・正位置」に相当する情報)が、上記した刃部材13の現在位置情報50の場合と同様のグラフィックで表示されてもよい。また、グラフフィック表示による3種類の情報は、表示部5に同時に表示されてもよいし、表示部5用の操作ボタン(不図示)等を操作することで順番に表示されてもよい。
【0059】
また、
図4の表示部5には、演算部3で演算された刃部材13の消耗度合いの情報(
図4において「刃の使用済み量」で表示された情報)が表示されている。「刃の使用済み量」の情報は、例えば数字のみで表示されてもよいが、作業者が容易に認識できるように、図示例のような棒グラフや円グラフなどのグラフィックで表示されると好ましい。また、
図4の表示部5には、例えば、刃の使用量が100%になった場合に、作業者に刃部材13の交換を通知する情報が表示されてもよい。
【0060】
表示部5に表示される各種情報の表示方法(数字表示、グラフィック表示等)は、
図3,4等で例示したものに限らず、任意であってよい。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の光ファイバ切断システム1によれば、取得部10によって光ファイバ100に接触する刃部材13の外周縁部19の位置情報を取得することで、光ファイバ100に対する刃部材13の外周縁部19の位置を正確に把握できる。このため、作業者の人為的ミスによって刃部材13の移動ミスが発生することを好適に抑制できる。その結果、刃部材13を無駄なく使用することが可能となる。
【0062】
特に、本実施形態の光ファイバ切断システム1では、取得部10が刃部材13の外周縁部19の位置情報として、刃部材13の回転角度を測定する外縁位置測定センサ15を含む。これにより、刃部材13の回転角度(光ファイバ100に接触する刃部材13の外周縁部19の位置)を正確に把握することができる。
【0063】
また、本実施形態の光ファイバ切断システム1では、取得部10が高さ方向における光ファイバ100と刃部材13の外周縁部19との相対位置を取得する。特に、取得部10は、相対位置情報として、高さ方向における刃部材13の外周縁部19の位置を測定する接触長測定センサ16を含む。これにより、高さ方向における光ファイバ100と刃部材13との相対位置(刃部材13の高さ位置)を正確に把握することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態の光ファイバ切断システム1によれば、光ファイバ100に対する刃部材13の外周縁部19の位置情報を取得する取得部10の他に、演算部3、記憶部4、表示部5を備えることで、「刃部材13の次回移動先位置」を作業者に通知することも可能となる。このため、作業者による刃部材13の移動ミスの発生を好適に抑制できる。
また、仮に作業者による刃部材13の移動ミスが発生しても、移動ミスの旨を作業者に通知(警告)することも可能となる。このため、作業者による刃部材13の移動ミスの発生をさらに抑制できる。
【0065】
また、本実施形態の光ファイバ切断システム1によれば、取得部10、演算部3、記憶部4、表示部5を備えることで、刃部材13の消耗度合い、残り寿命、推定交換時期、交換指示等の保守情報を作業者に通知することも可能となる。このため、刃部材13の交換準備を適切に行うことができる。例えば、刃部材13の消耗度合いが100%近く(残り寿命が0%近く)になったり、刃部材13の交換時期が近づいたりした時に、未使用の刃部材13を予め準備することができる。言い換えれば、未使用の刃部材13を常に携行する必要が無くなり、光ファイバ切断装置2の取り扱いが容易となる。
【0066】
また、本実施形態の光ファイバ切断システム1によれば、取得部10で取得された刃部材13の位置情報や、これに基づいて演算された保守情報を扱う演算部3、記憶部4、表示部5が、光ファイバ切断装置2に設けられている。このため、演算部3、記憶部4、表示部5を光ファイバ切断装置2と別個に設ける場合と比較して、作業者の動作(例えば視線の動き)を最小限におさえることができる。すなわち、作業者は光ファイバ切断システム1を容易に取り扱うことができる。
【0067】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について、
図7を参照して第一実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第一実施形態と共通する構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
図7に示すように、本実施形態の光ファイバ切断システム1Aは、第一実施形態と同様に、光ファイバ切断装置2A、外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16、演算部3、記憶部4及び表示部5を備える。光ファイバ切断装置2Aの構成は、第一実施形態の光ファイバ切断装置2と同様であってよい。外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16は、第一実施形態と同様に、光ファイバ切断装置2Aに設けられている。また、演算部3、記憶部4及び表示部5の機能は、第一実施形態と同様である。
【0069】
ただし、本実施形態の光ファイバ切断システム1Aでは、外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16で測定された刃部材13の位置情報(刃部材13の回転角度、刃部材13の高さ位置)を、光ファイバ切断装置2Aとは別個の外部装置6Aに送信する。すなわち、本実施形態の光ファイバ切断装置2Aは、外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16から出力された刃部材13の位置情報を外部装置6Aに送信する送信部31Aを備える。
【0070】
外部装置6Aは、例えば、光ファイバ100(光ファイバ心線)同士を接続する融着接続装置であってもよいし、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、クラウドデータサーバなど、刃部材13の位置情報を取り扱うことが可能な任意の装置であってよい。
外部装置6Aが、融着接続装置である場合には、例えば光ファイバ切断装置2Aにおいて切断された一の光ファイバ100と、一の光ファイバ100と別の光ファイバ100とを接続してもよい。別の光ファイバ100は、光ファイバ切断装置2Aにおいて一の光ファイバ100とは別個に切断された光ファイバ100であってもよいが、これに限ることはない。
外部装置6Aは、光ファイバ切断装置2Aから送信された刃部材13の位置情報を受信する受信部(不図示)を備える。情報を光ファイバ切断装置2Aから外部装置6Aに送信する回線は、無線であってもよいし、有線であってもよい。
【0071】
そして、本実施形態の光ファイバ切断システム1Aでは、演算部3、記憶部4及び表示部5が、上記の外部装置6Aに設けられている。このため、刃部材13の位置情報に基づく保守情報等の演算、記憶、表示は、外部装置6Aで行われる。
【0072】
また、前述した融着接続装置では、例えば光ファイバ100の接続データが収集されてもよい。接続データには、例えば、融着接続装置で光ファイバ100同士を接続する前に画像処理装置で取得される光ファイバ100の端面状態(光ファイバ切断装置2Aにおいて切断された後の光ファイバ100の端面の状態)や、光ファイバ100の推定接続損失(光ファイバ100の端面状態から推定される光ファイバ100の接続損失)などの情報が含まれる。
この場合、外部装置6Aの記憶部4には、刃部材13の位置情報や保守情報が、上記した接続データと関連付けて記憶されてもよい。記憶部4を含む外部装置6Aは、例えば融着接続装置であってもよいが、これに限ることはない。記憶部4を含む外部装置6Aが融着接続装置と別個である場合、前述の接続データは、無線または有線の回線によって融着接続装置から外部装置6Aに送信されればよい。
【0073】
本実施形態の光ファイバ切断システム1Aは、第一実施形態と同様の効果を奏する。
さらに、本実施形態の光ファイバ切断システム1Aによれば、演算部3、記憶部4、表示部5が、上記の外部装置6Aに設けられている。このため、第一実施形態の光ファイバ切断システム1Aと比較して、光ファイバ切断装置2Aの小型化、低コスト化を図ることができる。また、光ファイバ切断装置2Aが小型となることで、光ファイバ切断装置2Aの持ち運びが容易となり、特に屋外における光ファイバ切断装置2Aの使用に有効となる。
【0074】
また、本実施形態の光ファイバ切断システム1Aにおいて、刃部材13の位置情報や保守情報が、融着接続装置で収集される接続データと関連付けて外部装置6Aの記憶部4に記憶される場合には、例えば以下の効果を奏する。
刃部材13の位置情報や保守情報と接続データとを関連付けた情報に基づいて、演算部3において刃部材13の取り扱いに有効なデータを演算したり、表示部5に表示したりすることが可能となる。有効なデータとしては、例えば光ファイバ100に対する刃部材13の位置を変更すべきタイミングや、刃部材13を交換すべきタイミング(刃部材13の残り寿命)などが挙げられる。また、これらのタイミングを精度よく演算することも可能となる。
【0075】
〔第三実施形態〕
次に、本発明の第三実施形態について、
図8を参照して第一、第二実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第一、第二実施形態と共通する構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
図8に示すように、本実施形態の光ファイバ切断システム1Bは、第一実施形態と同様に、光ファイバ切断装置2B、外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16、演算部3、記憶部4及び表示部5を備える。光ファイバ切断装置2Bの構成は、第一実施形態の光ファイバ切断装置2と同様であってよい。外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16は、第一実施形態と同様に、光ファイバ切断装置2Bに設けられている。また、演算部3、記憶部4及び表示部5の機能は、第一実施形態と同様である。
【0077】
ただし、本実施形態の光ファイバ切断システム1Bでは、外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16で測定された刃部材13の位置情報や、刃部材13の位置情報に基づいて演算された保守情報を、光ファイバ切断装置2Bとは別個の外部装置6Bに送信する。すなわち、本実施形態の光ファイバ切断装置2Bは、第二実施形態と同様の送信部31Aを備える。
外部装置6Bの具体例は、第二実施形態において例示したものと同様であってよい。
【0078】
そして、本実施形態の光ファイバ切断システム1Bでは、演算部3及び記憶部4が光ファイバ切断装置2Bに設けられ、表示部5が外部装置6Bに設けられている。このため、刃部材13の位置情報や保守情報のうち表示部5に表示する情報のみが、光ファイバ切断装置2Bから外部装置6Bに送信される。
【0079】
本実施形態の光ファイバ切断システム1Bは、第一、第二実施形態と同様の効果を奏する。
さらに、本実施形態の光ファイバ切断システム1Bによれば、表示部5が外部装置6Bに設けられているため、第一実施形態の光ファイバ切断システム1Bと比較して、光ファイバ切断装置2Bの小型化、低コスト化を図ることができる。
【0080】
〔第四実施形態〕
次に、本発明の第四実施形態について、
図9を参照して第一、第二実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第一、第二実施形態と共通する構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
図9に示すように、本実施形態の光ファイバ切断システム1Cは、第一実施形態と同様に、光ファイバ切断装置2C、外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16、演算部3、記憶部4及び表示部5を備える。光ファイバ切断装置2Cの構成は、第一実施形態の光ファイバ切断装置2と同様であってよい。外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16は、第一実施形態と同様に、光ファイバ切断装置2Cに設けられている。また、演算部3、記憶部4及び表示部5の機能は、第一実施形態と同様である。
【0082】
また、本実施形態の光ファイバ切断システム1Cでは、第二実施形態と同様に、外縁位置測定センサ15、接触長測定センサ16で測定された刃部材13の位置情報を、光ファイバ切断装置2Cとは別個の外部装置6Cに送信する。すなわち、本実施形態の光ファイバ切断装置2Cは、第二実施形態と同様の送信部31Aを備える。
外部装置6Cの具体例は、第二実施形態において例示したものと同様であってよい。
【0083】
そして、本実施形態の光ファイバ切断システム1Cでは、演算部3及び記憶部4が外部装置6Cに設けられ、表示部5が光ファイバ切断装置2Cに設けられている。このため、刃部材13の位置情報に基づく保守情報等の演算、記憶は外部装置6Cで行われる。
また、刃部材13の位置情報や保守情報のうち表示部5に表示する情報が、外部装置6Cから光ファイバ切断装置2Cに送信される。すなわち、外部装置6Cには、表示部5に表示する情報を光ファイバ切断装置2Cに送信するための送信部(不図示)が設けられる。また、光ファイバ切断装置2Cには、表示部5に表示する情報を受信するための受信部(不図示)が設けられる。
【0084】
本実施形態の光ファイバ切断システム1Cは、第一、第二実施形態と同様の効果を奏する。
さらに、本実施形態の光ファイバ切断システム1Cによれば、演算部3及び記憶部4が上記の外部装置6Cに設けられているため、第一実施形態の光ファイバ切断システム1Cと比較して、光ファイバ切断装置2Cの小型化、低コスト化を図ることができる。
【0085】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0086】
例えば、演算部3を外部装置に設けた第二、第四実施形態の光ファイバ切断システム1A,1Cでは、記憶部4が光ファイバ切断装置2A,2Cに設けられてもよい。すなわち、外部装置6A,6Cの演算部3で演算された保守情報を、光ファイバ切断装置2A,2Cに送信し、光ファイバ切断装置2A,2Cの記憶部4に記憶してもよい。
【0087】
また、光ファイバ切断装置2A〜2C及び外部装置6A〜6Cを含む第二〜第四実施形態の光ファイバ切断システム1A〜1Cでは、例えば、演算部3、記憶部4、表示部5が光ファイバ切断装置2A〜2C及び外部装置6A〜6Cの両方に設けられてもよい。
【0088】
本発明の光ファイバ切断システムにおいて、予め記憶部に記憶される「刃部材の正しい使用順序」の情報は上記実施形態に記載のものに限らず、任意に設定されてよい。「刃部材の正しい使用順序」の情報は、例えば以下の手順A1〜E1を順番に含むものとしてもよい。
手順A1:「刃高さ:低、刃角度:1番」を、光ファイバの切断に使用する刃部材の初期位置とする。
手順B1:その上で、光ファイバに接触する刃部材の外周縁部の位置(刃角度:1番)が摩耗する毎に、刃高さを「低」→「中」→「高」の順番で変更する。
手順C1:「刃高さ:高、刃角度:1番」の位置が摩耗した後は、「刃高さ:低、刃角度:2番」の位置に変更する。
手順D1:その後、「手順B1」と同様にして、「刃角度:2番」の位置が摩耗する毎にで、刃高さを「低」→「中」→「高」の順番で変更する。
手順E1:以下、「手順B1」、「手順D1」と同様に、「刃角度:16番」まで位置を変更しながら使用する。
【0089】
本発明の光ファイバ切断システムにおいて、作業者等が刃部材の位置を変更することで刃部材の移動ミスが発生した場合、作業者に対する警告は、表示部への表示で行うことに限らず、例えばスピーカー等から音を発することで行ってもよい。
【0090】
本発明の光ファイバ切断システムでは、例えば同一の外周縁部および刃部材の高さ位置で光ファイバを加傷した回数を数えてもよい。この場合、演算部は、例えば、取得された位置情報および光ファイバを加傷した回数に基づいて刃部材の消耗度合いや残り寿命を演算することができる。その結果、刃部材の消耗度合いや残り寿命の情報を上記実施形態の場合と比較してより細かく作業者に伝えることが可能となる。
【0091】
本発明の光ファイバ切断装置では、例えば1対のクランプで把持された光ファイバの高さ位置が調整可能とされてもよい。この場合、刃部材の高さ位置は、上記実施形態と同様に調整可能とされてもよいが、例えば固定されてもよい。
【0092】
本発明では、例えば光ファイバ切断装置が切断後の光ファイバの端面の状態を分析する画像分析装置を備えてもよい。この場合には、例えば、画像分析装置で得られた光ファイバ端面の分析結果に基づき、刃部材の所定の外周縁部の切断性能が低下したと判断したときに、光ファイバに対する刃部材の位置を変更する指示を、表示部に表示することができる。また、例えば、画像分析装置で得られた光ファイバ端面の分析結果、刃部材の位置情報に基づき、演算部等において光ファイバに対する刃部材の位置を変更すべき適切なタイミングを演算することもできる。
【0093】
また、本発明は、光ファイバに対する刃部材の位置変更を作業者等の手動で行う光ファイバ切断装置に限らず、例えば、光ファイバに対する刃部材の位置変更をモータ等により自動で行う光ファイバ切断装置にも適用可能である。
【解決手段】光ファイバの長手方向に間隔をあけて配され、光ファイバを把持する1対のクランプと、1対のクランプ間を通るように移動させて外周縁部19を光ファイバに接触させることで光ファイバの表面を加傷する円板状の刃部材13であって、光ファイバに接触する外周縁部19の位置を変更可能な円板状の前記刃部材13と、光ファイバの加傷部を押し曲げて光ファイバを切断する押し当て部材と、光ファイバに接触する外周縁部19の位置情報を取得する取得部10と、を備える光ファイバ切断システム1を提供する。