(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190051
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】変換要素の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20170821BHJP
G02B 1/118 20150101ALI20170821BHJP
B29C 59/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
G02B5/20
G02B1/118
B29C59/00 C
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-520372(P2016-520372)
(86)(22)【出願日】2014年6月6日
(65)【公表番号】特表2016-528527(P2016-528527A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】EP2014061868
(87)【国際公開番号】WO2014202414
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2016年2月17日
(31)【優先権主張番号】102013211634.9
(32)【優先日】2013年6月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】リヒター マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ブルガー マルクス
【審査官】
中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−035678(JP,A)
【文献】
米国特許第08399268(US,B1)
【文献】
国際公開第2012/169289(WO,A1)
【文献】
特開2013−140965(JP,A)
【文献】
特開2009−087760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02B 1/118
G03F 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換要素(500)を製造する方法であって、
− 表面(101)を有する基板(100)を形成するステップと、
− 前記表面(101)上に第1のマスク構造(200)を形成するステップであって、前記第1のマスク構造(200)が、第1のウェブ(210)と、前記第1のウェブ(210)の間に配置される第1の開口部(220)とを有し、前記第1の開口部(220)が空洞を形成し、前記空洞において前記基板(100)の前記表面(101)にアクセスすることができる、ステップと、
− 前記第1のマスク構造(200)の上に第2のマスク構造(300)を配置するステップであって、前記第2のマスク構造(300)が、第2のウェブ(310)と、前記第2のウェブ(310)の間に配置される第2の開口部(320)とを有し、前記第1のウェブ(210)が少なくとも部分的に前記第2のウェブ(310)によって覆われ、前記空洞が、前記第2の開口部(320)を通じて少なくとも部分的にアクセス可能のままである、ステップと、
− 前記第2の開口部(320)を通じて前記空洞の中に材料(400)を吹きつけるステップと、
− 前記第2のマスク構造(300)を除去するステップと、
− 前記空洞の中に吹きつけられた前記材料(400)を硬化させるステップと、
− 前記第1のマスク構造(200)を除去するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記空洞の中に吹きつけられた前記材料(400)を硬化させる前記ステップが、熱的方法によって実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空洞の中に吹きつけられた前記材料(400)が、変換要素(500)を形成し、
前記方法が、
− 前記基板(100)の前記表面(101)から前記変換要素(500)を分離するさらなるステップ、
を含む、
請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記変換要素(500)を分離する前記ステップが、転写接着接合プロセスによって実行される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記吹きつけられる材料(400)が、波長変換蛍光体(410)を備えている、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1のマスク構造(200)が、レジストから形成される、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1のマスク構造(200)を除去する前記ステップが、前記第1のマスク構造(200)を溶剤によって溶解させことによって実行される、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のマスク構造(200)が、プラスチック材料または金属を含む、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1のマスク構造(200)を除去する前記ステップが、引きはがすことによって実行される、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のマスク構造(300)が、金属を含む、
請求項1から請求項9のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1に記載されている、変換要素を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、波長を変換する変換要素によって光の色が変換されるオプトエレクトロニクス部品が開示されている。このようなオプトエレクトロニクス部品の変換要素は、第1の波長を有する電磁放射を吸収し、第2の(一般的にはより長い)波長を有する電磁放射を放出するように設計されている蛍光体を備えている。異なる波長を有する電磁放射を放出する異なる種類の蛍光体を互いに組み合わせることもできる。一例として、青色スペクトル領域において放出する発光ダイオードチップを備えたオプトエレクトロニクス部品であって、発光ダイオードチップによって生成される青色光が変換要素によって白色光に変換される、オプトエレクトロニクス部品、が公知である。
【0003】
オプトエレクトロニクス半導体チップの発光面の上に配置することのできる、薄層としての変換要素を形成する方法が公知である。従来技術においては、スクリーン印刷法によって変換薄層を製造する方法が開示されている。しかしながら、このようにして得られる変換要素は、形状公差が比較的大きい。さらには、スタンピング加工によるセラミック薄層として変換要素を製造する方法が公知である。しかしながら、この方法は製造コストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、変換要素を製造する方法を開示することである。この目的は、請求項1の特徴を備えた方法によって達成される。さまざまな発展形態は、従属請求項に開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
変換要素を製造する方法は、表面を有する基板を形成するステップと、表面上に第1のマスク構造を形成するステップであって、第1のマスク構造が、第1のウェブ(web)と、第1のウェブの間に配置される第1の開口部とを有し、第1の開口部が空洞を形成し、空洞において基板の表面にアクセスすることができる、ステップと、第1のマスク構造の上に第2のマスク構造を配置するステップであって、第2のマスク構造が、第2のウェブと、第2のウェブの間に配置される第2の開口部とを有し、第1のウェブが少なくとも部分的に第2のウェブによって覆われ、空洞が、第2の開口部を通じて少なくとも部分的にアクセス可能のままである、ステップと、第2の開口部を通じて空洞の中に材料を吹きつけるステップと、第2のマスク構造を除去するステップと、第1のマスク構造を除去するステップと、を含む。本方法では、多数の変換要素を高いコスト効率で並行して製造することが可能であり、これは有利である。この場合、変換要素は、正確に定義された高精度の形状として、特に、鋭利な縁部(sharp edge)を備えるように形成され、これは有利である。吹きつけられる材料から変換要素を形成することによって、材料の組成を選択するうえでの自由度が高く、結果として、さまざまな色の範囲の変換要素を製造することが可能となり、これは有利である。
【0006】
本方法の一実施形態においては、空洞の中に材料を吹きつけた後、空洞の中に吹きつけられた材料を硬化させるさらなるステップを実行する。これにより、空洞の中に吹きつけられた材料から、材料の硬化時に形成される変換要素の形状は、第1のマスク構造の第1のウェブの間に配置されている第1の開口部によって定義される形状として高い精度で得られ、これは有利であり、この結果として、高い形状精度を有する変換要素を得ることができ、これは有利である。
【0007】
本方法の一実施形態においては、空洞の中に吹きつけられた材料を硬化させるステップは、熱的方法(thermal method)によって実行する。これによって、高いコスト効率かつ良好な再現性で本方法を実行することができ、これは有利である。
【0008】
本方法の一実施形態においては、空洞の中に吹きつけられた材料を硬化させるステップは、第2のマスク構造を除去するステップと、第1のマスク構造を除去するステップとの間に実行する。第2のマスク構造を除去すると第1のマスク構造が露出し、これにより、空洞の中に吹きつけられた材料を硬化させた後に、硬化した材料から形成される変換要素が損傷することなく第1のマスク構造を除去することができ、これは有利である。
【0009】
本方法の一実施形態においては、空洞の中に吹きつけられた材料は、変換要素を形成する。この場合、本方法は、基板の表面から変換要素を分離するさらなるステップを含む。この場合、その後に変換要素を目的の位置に転写することができ、これは有利である。一例として、オプトエレクトロニクス部品を形成する目的で、オプトエレクトロニクス半導体チップの発光面の上に変換要素を配置することができる。
【0010】
本方法の一実施形態においては、変換要素を分離するステップは、転写接着接合(transfer adhesive bonding)プロセスによって実行する。この場合、一例として熱剥離フィルム(thermo release film)を使用することができる。この場合、空洞の中に吹きつけられた材料から形成された変換要素を、基板の表面から目的の位置に直接的に転写することができ、これは有利である。しかしながら、変換要素をいったん保管しておくことも可能である。
【0011】
本方法の一実施形態においては、空洞の中に吹きつけられる材料は、波長変換蛍光体(wavelength-converting phosphor)を備えている。この場合、空洞の中に吹きつけられた材料から形成される変換要素は、第1の波長を有する電磁放射を第2の波長を有する電磁放射に変換するのに適しており、これは有利である。
【0012】
本方法の一実施形態においては、第1のマスク構造は、レジストから形成される。この場合、例えばフォトリソグラフィ法によって第1のマスク構造をパターニングすることができる。これにより、第1のマスク構造の形状を高い精度かつ高い再現性でフレキシブルに設定することが可能となる。
【0013】
本方法の一実施形態においては、第1のマスク構造を除去するステップは、溶剤によって第1のマスク構造を溶解させことによって実行する。第1のマスク構造が溶解した後、空洞の中に吹きつけられた材料から形成された変換要素のみが基板の表面に残り、これは有利である。
【0014】
本方法の一実施形態においては、第1のマスク構造は、プラスチック材料または金属を含む。この場合、基板の表面上に単純に配置することによって第1のマスク構造を形成することができ、これは有利である。
【0015】
本方法の一実施形態においては、第1のマスク構造を除去するステップは、引きはがすことによって実行する。これによって、特に簡単かつ時間を節約して本方法を実行することができ、これは有利である。
【0016】
本方法の一実施形態においては、第2のマスク構造は、金属を含む。この場合、第2のマスク構造を除去した後、本方法を繰り返すときに第2のマスク構造を再利用することができ、これは有利である。
【0017】
以下では、例示的な実施形態について、概略的に示した図面を参照しながらさらに詳しく説明する。本発明の上述した特性、特徴、および利点と、これらが達成される方法は、以下の説明からより明らかになり、さらに深く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】基板と、表面に配置された第1のマスク構造の断面を示している。
【
図3】基板と、第1のマスク構造と、第2のマスク構造の断面を示している。
【
図4】マスク構造の開口部の中に材料が吹きつけられた状態における、基板とマスク構造の断面を示している。
【
図5】第2のマスク構造を除去した後の、基板と第1のマスク構造の断面を示している。
【
図6】第1のマスク構造を除去した後の、表面上に変換要素が配置されている基板の断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、基板100の概略断面図を示している。基板100は、実質的に平面状の表面101を有する。基板100の表面101は、横方向において、例えば矩形形状、または円板の形の形状を有することができる。基板100は、例えば金属またはプラスチック材料を含むことができる。基板100の表面101は、接着性フィルムによって形成することもできる。
【0020】
図2は、時間的に
図1の説明図に続く処理状態における基板100のさらなる概略断面図を示している。基板100の表面101上に、第1のマスク構造200が形成されている。第1のマスク構造200は、上面201と、上面201とは反対側の下面202とを有する。第1のマスク構造200の下面202は、基板100の表面101に面している。
【0021】
第1のマスク構造200は第1のウェブ210を有し、第1のウェブ210の間に第1の開口部220が形成されている。第1の開口部220の領域においては、基板100の表面101にアクセスすることができ、表面101は覆われていない。第1のウェブ210は、基板100の表面101において、横方向に例えば格子、特に例えば矩形格子を形成することができる。この場合、第1の開口部220は、横方向において第1のウェブ210の間に矩形状に形成される。第1のウェブ210によって境界が定義されている、第1のマスク構造200の第1の開口部220は、空洞を形成している。
【0022】
第1のマスク構造200の第1のウェブ210は、それぞれ、横方向における(すなわち基板100の表面101の面に平行な方向における)第1の幅211を有する。第1のマスク構造200の第1のウェブ210は、それぞれ、基板100の表面101に垂直な方向における第1の高さ212を有する。第1の幅211は、例えば、10μm〜1mmの範囲内またはそれ以上とすることができる。第1の高さ212は、例えば、10μm〜500μmの範囲内とすることができる。2つの隣り合う第1のウェブ210の間の第1の開口部220は、それぞれ、第1の直径221を有する。第1の直径221は、例えば、500μm〜3mmの範囲内とすることができる。
【0023】
第1のマスク構造200は、例えば、ポリ酢酸ビニルレジスト(PVAレジスト)、フォトレジスト、プラスチック材料、または金属を含むことができる。第1のウェブ210と、第1のウェブ210の間に配置される第1の開口部220とを形成する目的で、例えばフォトリソグラフィ法によって基板100の表面101に第1のマスク構造200を配置してパターニングすることができる。しかしながら、第1のマスク構造200を基板100の表面101上に配置する前に第1のマスク構造200をあらかじめパターニングしておき、パターニングされた状態で基板100の表面101上に配置することもできる。
【0024】
図3は、時間的に
図2の説明図に続く処理状態における、基板100と第1のマスク構造200の概略断面図を示している。第1のマスク構造200の上に第2のマスク構造300が配置されている。第2のマスク構造300は、上面301と、上面301とは反対側の下面302とを有する。マスク構造300の下面302は、第1のマスク構造200の上面201に面している。
【0025】
第2のマスク構造300は、第2のウェブ310を有し、第2のウェブ310の間に第2の開口部320が形成される。第2のマスク構造300は、第1のマスク構造200に類似して、または同一に形成されることが好ましい。第2のマスク構造300の第2のウェブ310は、第1のマスク構造200の第1のウェブ210が少なくとも部分的に第2のマスク構造300の第2のウェブ310によって覆われるように、第1のマスク構造200の第1のウェブ210の上に配置される。第2のマスク構造300の第2の開口部320は、第1のマスク構造200の第1の開口部220の少なくとも一部分に第2のマスク構造300の第2の開口部320を通じてアクセスすることができるように、第1のマスク構造200の第1の開口部220の上に配置される。
【0026】
第2のマスク構造300の第2のウェブ310は、それぞれ、基板100の表面101に平行な横方向における第2の幅311を有する。第2のマスク構造300の第2のウェブ310は、それぞれ、基板100の表面101に垂直な方向における第2の高さ312を有する。第2のマスク構造300の第2の開口部320は、それぞれ、基板100の表面101に平行な横方向における第2の直径321を有する。第2のウェブ310の第2の幅311は、第1のマスク構造200の第1のウェブ210の第1の幅211にほぼ一致していることが好ましい。第2のマスク構造300の第2の開口部320の第2の直径321は、第1のマスク構造200の第1の開口部220の第1の直径221にほぼ一致していることが好ましい。第2のマスク構造300の第2のウェブ310の第2の高さ312も、第1のマスク構造200の第1のウェブ210の第1の高さ212にほぼ一致させることができるが、第1の高さ212より小さい、または大きいように選択することもできる。
【0027】
第2のマスク構造300は、第1のマスク構造200の上に第2のマスク構造300を配置する前にあらかじめパターニングされる。第2のマスク構造300は、例えば金属を含むことができる。一例として、第2のマスク構造300は、金属格子または金属網として具体化することができる。あらかじめパターニングされた第2のマスク構造300は、第1のマスク構造200の上に置くことによって配置されることが好ましい。次いで、第2のマスク構造300を、剥離できる方法で第1のマスク構造200の上にさらに固定することが好ましい。
【0028】
図4は、時間的に
図3の説明図に続く処理状態における、基板100と、基板100の上に配置されているマスク構造200,300のさらなる概略断面図を示している。
【0029】
第1のマスク構造200の第1の開口部220によって形成されている空洞の中に、第2のマスク構造300の第2の開口部320を通じて変換材料400が吹きつけられている。この場合、変換材料400は、第2のマスク構造300の上面301の上方から基板100の方向に吹きつけられている。
【0030】
変換材料400の一部は、第2のマスク構造300の第2の開口部320を通過して、第1のマスク構造200の第1の開口部220によって形成されている空洞の中に入り、第1のマスク構造200の第1の開口部220によって形成されている空洞の領域において基板100の表面101に固着する。変換材料400の別の部分は、第2のマスク構造300の第2のウェブ310の上面201に固着する。基板100の表面101に固着する変換材料400の部分は、第2のマスク構造300の第2のウェブ310の上面301に固着する変換材料400の部分と結合している、または隔てられているようにすることができる。第1のマスク構造200の第1の開口部220によって形成されている空洞の領域において、変換材料400は、横方向において第1のマスク構造200の第1の開口部220を好ましくは実質的に完全に満たす平面状の膜または薄膜を形成していることが好ましい。
【0031】
変換材料400は、波長変換蛍光体410を備えている。波長変換蛍光体410は、例えば、変換材料400の中に埋め込まれる粒子の形として具体化することができる。波長変換蛍光体410は、第1のスペクトル領域の波長を有する電磁放射(例えば可視光)を吸収し、異なるスペクトル領域の波長を有する(例えば異なる光の色を有する可視光の形の)電磁放射を放出するように設計する。波長変換蛍光体410は、複数の異なる波長を有する電磁放射を放出するように設計することもできる。波長変換蛍光体410は、例えば、有機蛍光体または無機蛍光体とすることができる。波長変換蛍光体410は、量子ドットを備えていることもできる。
【0032】
図5は、時間的に図の説明図に続く処理状態における、基板100と、第1のマスク構造200と、吹きつけられた変換材料400のさらなる概略断面図を示している。第1のマスク構造200の上面201から第2のマスク構造300が除去されている。この場合、変換材料400のうち第2のマスク構造300の上面301上に堆積していた部分も除去されている。変換材料400のうち、基板100の表面101上の第1のマスク構造200の第1のウェブ210の間の第1の開口部220の中に配置されていた部分は、第1のマスク構造200の第1の開口部220によって形成されている空洞内にそのまま存在している。
【0033】
第2のマスク構造300を除去するステップは、例えば、第1のマスク構造200の上面201から第2のマスク構造300を単純にリフトオフする、または引きはがすことによって、実行することができる。この場合、第2のマスク構造300が第1のマスク構造200に固定されている場合、固定状態をあらかじめ解放する。
【0034】
第2のマスク構造300を除去した後、第1のマスク構造200の第1の開口部220によって形成されている空洞内に配置されている変換材料400を硬化させることができる。変換材料400を硬化させるステップは、例えば熱的方法によって実行することができる。この目的のため、第1のマスク構造200と、第1の開口部220によって形成されている空洞内に配置されている変換材料400とを有する基板100を、例えば炉内で加熱することができる。しかしながら、例えば変換材料400に照射する、あるいは変換材料400に化学処理を実施することによって、変換材料400を硬化させることもできる。硬化時、第1のマスク構造200の第1の開口部220によって形成されている空洞内に配置されている変換材料400から変換要素500が形成される。
【0035】
図6は、時間的に
図5の説明図に続く処理状態における、基板100と、基板100の表面101上に配置されている変換要素500の概略断面図を示している。基板100の表面101から第1のマスク構造200が除去されている。第1のマスク構造200を除去するステップは、例えば、第1のマスク構造200を引きはがすことによって、または第1のマスク構造200を溶剤によって溶解させることによって、実行することができる。
【0036】
変換材料400が硬化する結果として形成された変換要素500は、第1のマスク構造200を除去した後、基板100の表面101上にそのまま存在している。変換要素500は、それぞれ、上面501と、上面501とは反対側の下面502とを有する。各変換要素500の下面502は、基板100の表面101に面している。
【0037】
変換要素500は、それぞれ、基板100の表面101に平行な横方向における第3の直径511を有する。変換要素500は、それぞれ、基板100の表面101に垂直な方向における第3の高さ512を有する。変換要素500の第3の直径511は、第1のマスク構造200の第1の開口部220の第1の直径221にほぼ一致し、したがって、例えば500μm〜3mmの範囲内とすることができる。変換要素500の第3の高さ512は、第1のマスク構造200の第1のウェブ210の第1の高さ212よりもいくらか小さいことが好ましく、例えば30μm〜150μmの範囲内とすることができる。
【0038】
変換材料400から形成される変換要素500は、埋め込まれた波長変換蛍光体410を備えている。結果として、変換要素500は、第1のスペクトル領域の波長を有する電磁放射を吸収し、異なる波長を有する電磁放射を放出するように設計される。変換要素500は、例えば、オプトエレクトロニクス部品における(例えば発光ダイオード部品における)変換要素として使用することができる。
【0039】
さらなる工程のため、基板100の表面101から変換要素500を分離することができる。基板100の表面101から変換要素500を分離するステップは、例えば転写接着接合プロセスによって実行することができる。この場合、例えば、基板100の表面101を形成する熱剥離膜を使用することができる。転写接着接合プロセスによって、変換要素500を、オプトエレクトロニクス部品における目的の位置に、例えば直接的に転写することができる。
【0040】
図1〜
図6を参照しながら説明した、変換要素500の製造方法の1つの利点として、変換要素500は鋭利な縁部を有することができる。この利点は、第1のマスク構造200の第1の開口部220によって形成されている空洞の中に変換材料400を吹きつけて、変換材料400を硬化させた後に第1のマスク構造200を除去することによって、達成される。
【0041】
ここまで、本発明について、好ましい例示的な実施形態に基づいて具体的かつ詳細に図示および説明してきた。しかしながら、本発明は、開示した例に制約されない。当業者には、本発明の保護範囲から逸脱することなく、開示した実施形態から別の変形形態を導くことができるであろう。
【0042】
[関連出願]
本特許出願は、独国特許出願第102013211634.9号の優先権を主張し、この文書の開示内容は参照によって本明細書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0043】
100 基板
101 表面
200 第1のマスク構造
201 上面
202 下面
210 第1のウェブ
211 第1の幅
212 第1の高さ
220 第1の開口部
221 第1の直径
300 第2のマスク構造
301 上面
302 下面
310 第2のウェブ
311 第2の幅
312 第2の高さ
320 第2の開口部
321 第2の直径
400 変換材料
410 波長変換蛍光体
500 変換要素
501 上面
502 下面
511 第3の直径
512 第3の高さ