(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バイパススイッチは、一方端子が前記出力端子に接続され、他方端子が前記第1および第2のスイッチに接続されるコンタクタを含む、請求項1に記載の無停電電源装置。
前記第2の動作モードでは、前記切替制御部は、前記バイパススイッチと、前記第2および第3のスイッチとをオンし、かつ、前記第1のスイッチをオフすることにより、前記交流電源から供給される交流電力を前記負荷に供給する、請求項1または2に記載の無停電電源装置。
前記電力変換制御部は、前記切替制御部により前記バイパススイッチをオフさせるときには、前記コンバータの交流側端子に出力される交流電圧が、停電前の前記交流電源から供給されていた交流電圧に同期するように、前記コンバータにおける逆変換を制御し、かつ、前記出力端子に出力される交流電圧が、停電前の前記交流電源から供給されていた交流電圧に同期するように、前記インバータにおける逆変換を制御する、請求項3に記載の無停電電源装置。
前記電力変換制御部は、前記出力端子に出力される交流電圧が、前記交流電源から供給される交流電圧に同期するように、前記インバータを制御するためのゲート信号を生成するように構成され、
前記第2の動作モードでは、前記電力変換制御部は、通常時、前記ゲート信号の出力を停止することにより前記インバータを逆変換の待機状態とする一方で、前記切替制御部により前記バイパススイッチをオフさせるときに、前記インバータに前記ゲート信号を出力する、請求項4に記載の無停電電源装置。
前記無停電電源装置は、前記第1の動作モードに移行した後に前記交流電源からの交流電力の供給が再開する復電が発生したときには、前記第2の動作モードへ復帰するように構成され、
前記電力変換制御部は、前記交流電源の復電が検出されたことに応じて、前記コンバータに順変換を実行させるとともに、前記出力端子に出力される交流電圧が復電後の前記交流電源から供給される交流電圧に同期するように、前記インバータにおける逆変換を制御し、
前記切替制御部は、前記出力端子に出力される交流電圧が復電後の前記交流電源から供給される交流電圧に同期したときに、前記バイパススイッチをオンさせる、請求項3から5のいずれか1項に記載の無停電電源装置。
前記第2の動作モードでは、前記切替制御部は、前記バイパススイッチと、前記第1および第2のスイッチとをオンし、かつ、前記第3のスイッチをオフすることにより、前記バイパス交流電源から供給される交流電力を前記負荷に供給する、請求項1または2に記載の無停電電源装置。
前記電力変換制御部は、前記切替制御部により前記バイパススイッチをオフさせるときには、前記コンバータの交流側端子に出力される交流電圧が、停電前の前記バイパス交流電源から供給されていた交流電圧に同期するように、前記コンバータにおける逆変換を制御し、かつ、前記出力端子に出力される交流電圧が、停電前の前記バイパス交流電源から供給されていた交流電圧に同期するように、前記インバータにおける逆変換を制御する、請求項7に記載の無停電電源装置。
前記電力変換制御部は、前記出力端子に出力される交流電圧が、前記バイパス交流電源から供給される交流電圧に同期するように、前記インバータを制御するためのゲート信号を生成するように構成され、
前記第2の動作モードでは、前記電力変換制御部は、通常時、前記ゲート信号の出力を停止することにより前記インバータを逆変換の待機状態とする一方で、前記切替制御部により前記バイパススイッチをオフさせるときに、前記インバータに前記ゲート信号を出力する、請求項8に記載の無停電電源装置。
前記無停電電源装置は、前記第1の動作モードに移行した後に前記バイパス交流電源からの交流電力の供給が再開する復電が発生したときには、前記第2の動作モードへ復帰するように構成され、
前記電力変換制御部は、前記バイパス交流電源の復電が検出されたことに応じて、前記コンバータに順変換を実行させるとともに、前記出力端子に出力される交流電圧が復電後の前記バイパス交流電源から供給される交流電圧に同期するように、前記インバータにおける逆変換を制御し、
前記切替制御部は、前記出力端子に出力される交流電圧が復電後の前記バイパス交流電源から供給される交流電圧に同期したときに、前記バイパススイッチをオンさせる、請求項7から9のいずれか1項に記載の無停電電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
【0025】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る無停電電源装置の全体構成図である。
図1を参照して、本発明の実施の形態1に係る無停電電源装置は、交流電源50、バイパス交流電源51および負荷52に接続される。
【0026】
交流電源50およびバイパス交流電源51は、無停電電源装置に交流電力を供給する交流電源である。これらの交流電源の各々は、たとえば商用交流電源もしくは自家用発電機等によって構成される。
図1および以後説明する図では、交流電源の一例として三相三線式を示す。図面および説明の簡単化のため、
図1では、一相分の回路のみが代表的に示されている。ただし、交流電源の種類は、三相三線式に限定されず、たとえば三相四線式の電源でもよいし、単相三線式の電源でもよい。
【0027】
無停電電源装置は、筐体1と、筐体1の内部に収容される本体部と、本体部に電気的に接続される蓄電池53と、筐体1に設けられたバイパス端子T1、入力端子T2、蓄電池端子T3および出力端子T4とを備える。
【0028】
バイパス端子T1は、バイパス交流電源51からの交流電力を受ける。入力端子T2は、交流電源50からの交流電力を受ける。蓄電池端子T3は、蓄電池53の正極に接続されている。蓄電池53は、筐体1とは別の筐体に収容されている。出力端子T4には負荷52が接続される。
【0029】
無停電電源装置は、本体部として、電磁接触器(コンタクタ)2,7,12,14,15,16と、ヒューズ3,6と、リアクトル4,10と、コンバータ(順変換器)5と、電解コンデンサ8と、インバータ(逆変換器)9と、コンデンサ11と、サイリスタスイッチ13と、切替制御部17と、エコモード設定部18と、電力変換制御部19と、電圧検出回路20と、変流器32,36とを備える。このうち、コンタクタ2、ヒューズ3、リアクトル4、コンバータ5、インバータ9、リアクトル10およびコンタクタ12は、入力端子T2と出力端子T4との間に直列に接続される。
【0030】
コンタクタ2は、入力端子T2とコンバータ5との間の通電経路に接続される。コンタクタ2は、交流電源50から三相交流電力が正常に供給されている通常時は閉成(オン)され、たとえば無停電電源装置のメンテナンス時に開放(オフ)する。ヒューズ3は、過電流が交流電源50から流入するのを防ぐために入力端子T2とコンバータ5との間の通電経路に挿入される。リアクトル4は、交流電源50からの交流電力を通過させ、コンバータ5で発生するスイッチング周波数の信号が交流電源50に伝搬するのを防止するために設けられている。
【0031】
コンバータ5およびインバータ9は、半導体スイッチング素子により構成される。半導体スイッチング素子としては、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられる。また、半導体スイッチング素子の制御方式としてPWM(Pulse Width Modulation)制御を適用することができる。
【0032】
コンバータ5は、通常時は、交流電源50から供給される三相交流電力を直流電力に変換(順変換)する。コンバータ5で生成された直流電力は、インバータ9および蓄電池53に供給される。一方、交流電源50からの三相交流電力の供給が停止された停電時は、コンバータ5の運転は停止される。ただし、後述するエコモードの実行中において、コンバータ5は、停電時、蓄電池53の直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換(逆変換)する。すなわち、コンバータ5は、双方向に電力変換可能に構成される。エコモード時におけるコンバータ5の電力変換については後述する。
【0033】
電解コンデンサ8は、コンバータ5の出力端子に接続され、コンバータ5の出力電圧を平滑化する。インバータ9は、通常時は、電解コンデンサ8によって平滑化された直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換する。一方、停電時は、インバータ9は、蓄電池53の直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換する。コンバータ5およびインバータ9における電力変換は、電力変換制御部19によって制御される。
【0034】
リアクトル10およびコンデンサ11は、インバータ9から出力される交流電力に含まれるスイッチング周波数の成分を除去するためのフィルタを構成する。
【0035】
コンタクタ12は、インバータ9から負荷52に交流電力が供給されるインバータ給電時にオンする。一方、バイパス交流電源51からサイリスタスイッチ13およびコンタクタ14を介して負荷52に交流電力が供給されるバイパス給電時、コンタクタ12はオフする。
【0036】
サイリスタスイッチ13およびコンタクタ14は、バイパス端子T1と出力端子T4との間に並列に接続される。サイリスタスイッチ13は、切替制御部17からの制御信号φDがH(論理ハイ)レベルのときにオンし、制御信号φDがL(論理ロー)レベルのときにオフする。サイリスタスイッチ13は、制御信号φDに応答して、インバータ給電からバイパス給電に移行するときに所定時間だけオンする。コンタクタ14は、切替制御部17からの制御信号φCがHレベルのときにオンし、制御信号φCがLレベルのときにオフする。コンタクタ14は、制御信号φCに応答して、インバータ給電時はオフし、バイパス給電時はオンする。
【0037】
サイリスタスイッチ13およびコンタクタ14は、バイパススイッチを構成する。バイパススイッチの一方端子は出力端子T4に接続される。コンタクタ15は、バイパス端子T1とバイパススイッチの他方端子との間に接続される。コンタクタ15は、切替制御部17からの制御信号φAがHレベルのときにオンし、制御信号φAがLレベルのときにオフする。
【0038】
コンタクタ16は、入力端子T2とコンバータ5の交流側端子との間に位置するノード(第1のノード)N1とバイパススイッチの他方端子との間に接続される。コンタクタ16は、切替制御部17からの制御信号φBがHレベルのときにオンし、制御信号φBがLレベルのときにオフする。
【0039】
蓄電池53は、停電時にインバータ9に直流電力を供給するための電力貯蔵装置である。蓄電池53は、通常時にはコンバータ5で生成された直流電力を蓄える。ヒューズ6およびコンタクタ7は、コンバータ5の直流側端子と蓄電池端子T3との間に直列に接続される。コンタクタ7は、通常時にオンされ、たとえば無停電電源装置および蓄電池53のメンテナンス時にオフされる。ヒューズ6は、コンバータ5および蓄電池53に過電流が流入するのを防止する。
【0040】
本発明の実施の形態1に係る無停電電源装置は、運転モードとして、エコモードを有している。エコモードとは、交流電源50から正常に三相交流電力が供給されている通常時において、無停電電源装置の高運転効率を重視した運転モードである。
図2は、エコモードの実行中における電力の流れを説明するための図である。
【0041】
無停電電源装置は、一般的に、通常時には、交流電源50から供給される三相交流電力をコンバータ5によって直流電力に変換し、その直流電力をインバータ9によって三相交流電力に変換して負荷52に供給するように構成される。しかしながら、上記の構成は、負荷への給電安定性が優れている一方で、コンバータ5およびインバータ9の各々において電力変換に伴なう電力損失が発生するために、無停電電源装置の高効率化が難しいという課題がある。
【0042】
エコモードでは、
図2において実線矢印で示されるように、交流電源50から供給される三相交流電力を、バイパススイッチを介して負荷52に供給する。すなわち、コンバータ5およびインバータ9を通さずに負荷52に対して三相交流電力を供給する。これにより、コンバータ5およびインバータ9における電力損失の発生が抑制されるため、無停電電源装置の運転効率を向上させることができる。なお、エコモードの実行中においても、必要に応じてコンバータ5を運転させることにより、
図2において点線矢印で示されるように、蓄電池53に直流電力を蓄えておくことができる。
【0043】
再び
図1を参照して、エコモード設定部18は、上位の制御部(図示せず)から、エコモードの実行を要求するエコモード運転指令を受ける。エコモードの要求については、たとえば、エコモードを要求するためのスイッチを筐体1の外部に設けておき、このスイッチが利用者によってオン操作されたときに、エコモード運転指令が活性化されるようにしてもよい。あるいは、スイッチ等を設けることなく、予め定められたスケジュールなどに従ってエコモード運転指令が自動的に活性化されるようにしてもよい。
【0044】
エコモード設定部18は、エコモード運転指令を受けると、無停電電源装置の運転モードをエコモードに設定する。エコモード設定部18は、運転モードがエコモードに設定されたことを示すエコモード設定信号φ18を生成し、生成したエコモード設定信号φ18を切替制御部17および電力変換制御部19へ出力する。
【0045】
切替制御部17は、エコモード設定部18からエコモード設定信号φ18を受けると、運転モードを、交流電源50からの三相交流電力をコンバータ5およびインバータ9を介して負荷52に供給する通常モードから、エコモードに切替える。具体的には、切替制御部17は、エコモード設定信号φ18を受けると、交流電源50と負荷52との間に
図2に示される電力経路が形成されるように、コンタクタ14,15,16およびサイリスタスイッチ13を制御する。切替制御部17は、制御信号φB,φC,φDをHレベルにしてコンタクタ16,14およびサイリスタスイッチ13をオンさせる。
【0046】
サイリスタスイッチ13の応答時間は極めて短く、制御信号φCをHレベルにするとサイリスタスイッチ13は瞬時にオンする。一方、コンタクタ14の応答時間はサイリスタスイッチ13の応答時間よりも長く、制御信号φDをHレベルにしてから所定の応答時間経過後に実際にオンする。コンタクタ14がオンされた後、切替制御部17は、制御信号φDをLレベルにしてサイリスタスイッチ13をオフする。これにより、交流電源50から供給された三相交流電力は、リアクトル4を通過した後、ノードN1およびコンタクタ14を介して出力端子T4にまで導かれる。
【0047】
電力変換制御部19は、エコモード設定部18からエコモード設定信号を受けると、蓄電池53に直流電力を蓄えるためにコンバータ5を運転させる。具体的には、電力変換制御部19は、蓄電池53が所定の満充電状態になるように、蓄電池53の残容量に応じてコンバータ5における順変換を制御する。
【0048】
電力変換制御部19はさらに、エコモードの実行中、インバータ9を構成する半導体スイッチング素子をオンオフするためのゲート信号を生成する。電力変換制御部19は、交流電源50から供給される三相交流電圧と同期した三相交流電圧がインバータ9から出力されるように、ゲート信号を生成する。ただし、電力変換制御部19は、エコモードの実行中、生成したゲート信号をインバータ9内部のゲート駆動回路へ出力しない。そのため、インバータ9は、エコモードの実行中は運転されず、電力変換制御部19からゲート信号が入力されるまで待機状態(ゲート信号入力待ち状態)となる。
【0049】
電圧検出回路20は、交流電源50から供給される三相交流電圧の瞬時値を検出し、検出値を示す信号を切替制御部17に与える。変流器32は、コンバータ5に供給される交流電流を検出し、検出値を示す信号を電力変換制御部19に与える。変流器36は、インバータ9から出力端子T4に供給される交流電流を検出し、検出値を示す信号を電力変換制御部19に与える。
【0050】
切替制御部17は、エコモードの実行中、電圧検出回路20の出力信号に基づいて交流電源50の停電を検出する。たとえば切替制御部17は、電圧検出回路20によって検出される三相交流電圧の実効値が所定の閾値を下回ったときに交流電源50の停電を検出する。切替制御部17は、交流電源50の停電が検出されると、待機状態のインバータ9を起動するための起動指令φ9を生成する。切替制御部17は、生成した起動指令φ9を電力変換制御部19へ出力する。この起動指令φ9に応答してインバータ9が起動することにより、無停電電源装置は、エコモードでの給電からインバータ給電へと切り替えられる。
【0051】
ここで、エコモードでの給電からインバータ給電へと切り替えるためには、コンタクタ14をオフさせる必要がある。コンタクタ14は、機械式遮断器であり、通電が遮断されることによって主接点が開放されたときにオフされる。そのため、切替制御部17が制御信号φCをLレベルにした後、交流の半周期ごとに訪れる電流値が零となるタイミングで、コンタクタ14が実際にオフする。このようにコンタクタ14のターンオフには時間がかかるため、交流電源50の停電が検出された後、直ちにインバータ給電に切り替えることが困難となる。この結果、エコモードでの給電からインバータ給電への切り替え時において、出力端子T4に出力される電圧が瞬間的に低下する瞬時電圧低下(瞬低)が発生してしまう。
【0052】
そこで、本実施の形態では、エコモードでの給電からインバータ給電へ切り替える際に、コンバータ5およびインバータ9における電力変換を制御することにより、コンタクタ14を短時間でオフさせることを可能とする。これにより、瞬時電圧低下の発生を防止する。
【0053】
図3は、エコモードの実行中に交流電源50の停電が検出されたときの電力の流れを説明するための図である。
図3を参照して、エコモードの実行中、切替制御部17からの制御信号に応答して、コンタクタ16,14がオンされている。
【0054】
切替制御部17(
図1)は、エコモードの実行中に交流電源50の停電が検出されると、コンバータ5に逆変換を行なわせるための逆変換指令φ5を生成する。切替制御部17は、生成した逆変換指令φ5を電力変換制御部19(
図1)へ出力する。コンバータ5は、逆変換指令φ5を受けると、それまでの順変換から逆変換に切り替えられる。具体的には、コンバータ5は、
図3において一点鎖線矢印で示されるように、蓄電池53に蓄えられた直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換する。コンバータ5の交流側端子に出力された三相交流電力は、コンタクタ16を介してコンタクタ14にまで導かれる。
【0055】
このとき、電力変換制御部19は、コンバータ5の交流側のノードN1に出力される三相交流電圧が、停電発生前に交流電源50から供給されていた三相交流電圧と同期するように、コンバータ5における逆変換を制御する。
【0056】
切替制御部17は、コンバータ5に対して逆変換指令φ5を与えるとともに、上記のように、待機状態のインバータ9に対して起動指令φ9を与える。この起動指令φ9を受けてインバータ9が起動すると、電力変換制御部19は、エコモードの実行中に生成していたゲート信号をインバータ9内部のゲート駆動回路へ出力する。インバータ9を構成する半導体スイッチング素子の各々がゲート信号に従ってオンオフされる。これにより、インバータ9は、
図3において実線矢印で示されるように、蓄電池53の直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換する。インバータ9から出力された三相交流電力は出力端子T4に供給される。
【0057】
ここで、コンタクタ14は、一次側でコンバータ5の交流側端子に接続され、かつ、二次側でインバータ9の交流側端子に接続されている。切替制御部17からの逆変換指令φ5に応答してコンバータ5が逆変換を行なうことにより、コンタクタ14の一次側には、停電発生前の交流電源50からの三相交流電圧に同期した三相交流電圧が与えられる。一方、切替制御部17からの起動指令φ9に応答してインバータ9が逆変換を行なうことにより、コンタクタ14の二次側には、停電発生前の交流電源50からの三相交流電圧に同期した三相交流電圧が与えられる。一次側の三相交流電圧と二次側の三相交流電圧との位相および大きさを等しくすることにより、コンタクタ14は実質的に通電が遮断された状態となる。これにより、制御信号φDをLレベルにすると、コンタクタ4は瞬時に主接点が開放されてオフされる。
【0058】
このようにしてコンタクタ14への通電を遮断することにより、制御信号φCをLレベルにしてから所定の応答時間を待つことなく、コンタクタ14は瞬時にオフされる。したがって、コンタクタ14がターンオフする間、出力端子T4をインバータ9から出力される三相交流電圧に維持することができる。これにより、エコモードでの給電からインバータ給電への切り替え時において、出力端子T4に出力される電圧が瞬間的に低下するのを防止することができる。
【0059】
なお、コンタクタ14がオフした後、電力変換制御部19は、コンバータ5から出力される交流電流が零点を迎えたタイミングでコンバータ5の運転を停止する。
【0060】
図4は、本発明の実施の形態1に係る無停電電源装置におけるエコモードでの給電からインバータ給電へ切り替えるための制御構成を示す機能ブロック図である。
【0061】
図4を参照して、電力変換制御部19は、コンバータ制御回路30と、インバータ制御回路34と、電圧検出回路31,33,35と、正弦波発生回路38とを含む。
【0062】
電圧検出回路31は、ノードN1に与えられる三相交流電圧の瞬時値を検出し、検出値をコンバータ制御回路30に与える。電圧検出回路33は、電解コンデンサ8の端子間電圧を検出し、検出値をコンバータ制御回路30に与える。コンバータ制御回路30は、エコモード設定部18からエコモード設定信号φ18を受けると、変流器32および電圧検出回路33の出力信号に基づいて、所定の直流電圧が蓄電池53に供給されるようにコンバータ5における順変換を制御する。
【0063】
電圧検出回路35は、インバータ9から出力される三相交流電圧の瞬時値を検出し、検出値をインバータ制御回路34に与える。正弦波発生回路38は、電圧検出回路20の出力信号に基づいて、交流電源50から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の正弦波信号φ38を生成する。この所定振幅は、たとえば正弦波信号φ38の実効値が交流電源50の定格電圧の90%となるように設定される。なお、交流電源50の定格電圧の90%とは、停電時に無停電電源装置が補償すべき補償電圧に相当する。正弦波発生回路38は、生成した正弦波信号φ38をインバータ制御回路34に与える。
【0064】
インバータ制御回路34は、エコモード設定部18からエコモード設定信号φ18を受けると、変流器36および電圧検出回路35の出力信号と、正弦波発生回路38からの正弦波信号φ38とに基づいて、インバータ9における逆変換を制御する。具体的には、インバータ制御回路34は、電圧検出回路35の出力信号と正弦波発生回路38で生成された正弦波信号φ38との偏差に基づいて電流指令値を生成する。インバータ制御回路34はさらに、生成した電流指令値と変流器36の出力信号との偏差を求めると、当該偏差がなくなるように電圧指令値を生成する。インバータ制御回路34は、生成した電圧指令値に基づいてインバータ9をPWM制御する。このとき、インバータ制御回路34は、電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と、交流電源50からの三相交流電圧とが同期するようにインバータ9を制御する。
【0065】
インバータ制御回路34は、エコモードの実行中、上記のPWM制御によってインバータ9を構成する半導体スイッチング素子をオンオフするためのゲート信号を生成する。ただし、インバータ制御回路34は、生成したゲート信号をインバータ9内部のゲート駆動回路へ出力しない。そのため、インバータ9は、エコモードの実行中は運転されず、逆変換の待機状態(ゲート信号入力待ち状態)となる。このようにして、エコモードの実行中、コンバータ5は、交流電源50からの三相交流電力を直流電力に変換して蓄電池53に供給する。一方、インバータ9は待機状態となる。
【0066】
エコモードの実行中、切替制御部17は、電圧検出回路20の出力信号に基づいて、交流電源50が停電したか否かを判定する。切替制御部17は、電圧検出回路20によって検出される三相交流電圧の実効値が所定の閾値を下回ったときに交流電源50の停電を検出する。交流電源50の停電が検出された場合、切替制御部17は、コンバータ制御回路30に対して逆変換指令φ5を与える。切替制御部17はさらに、インバータ制御回路34に対して起動指令φ9を与える。
【0067】
コンバータ制御回路30は、切替制御部17から逆変換指令φ5を受けると、変流器32および電圧検出回路31の出力信号と、正弦波発生回路38からの正弦波信号φ38とに基づいて、コンバータ5における逆変換を制御する。具体的には、正弦波発生回路38は、交流電源50の停電が検出された後は、停電発生前に交流電源50から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の正弦波信号を生成する。所定振幅は、たとえば正弦波信号の実効値が交流電源50の定格電圧の90%(補償電圧)となるように設定される。コンバータ制御回路30は、電圧検出回路31の出力信号と正弦波発生回路38で生成された正弦波信号φ38との偏差に基づいて電流指令値を生成する。コンバータ制御回路30はさらに、生成した電流指令値と変流器32の出力信号との偏差を求めると、当該偏差がなくなるように電圧指令値を生成する。コンバータ制御回路30は、生成した電圧指令値に基づいてコンバータ5をPWM制御する。このとき、コンバータ制御回路30は、電圧検出回路31によって検出される三相交流電圧と、停電発生前の交流電源50からの三相交流電圧とが同期するようにコンバータ5を制御する。
【0068】
コンバータ制御回路30は、PWM制御によってコンバータ5を構成する半導体スイッチング素子をオンオフするためのゲート信号を生成し、生成したゲート信号をコンバータ5内部のゲート駆動回路へ出力する。これにより、コンバータ5は、蓄電池53に蓄えられた直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換する。ノードN1には、停電発生前に交流電源50から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の三相交流電圧が供給される。ノードN1に供給された三相交流電力は、コンタクタ16を介してコンタクタ14にまで導かれる。
【0069】
インバータ制御回路34は、切替制御部17から起動指令φ9を受けると、エコモードの実行中にPWM制御によって生成したゲート信号をインバータ9へ出力する。これにより、インバータ9は、蓄電池53に蓄えられた直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換する。インバータ9は、停電発生前に交流電源50から供給されていた三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の三相交流電圧を出力する。インバータ9から出力された三相交流電圧は、出力端子T4に供給される。
【0070】
切替制御部17は、制御信号φCをLレベルにしてコンタクタ14をオフさせる。コンタクタ14の一次側には、ノードN1を介して、停電発生前の交流電源50からの三相交流電圧に同期し、商用周波数で所定振幅の三相交流電圧が与えられる。一方、コンタクタ14の二次側には、出力端子T4を介して、停電発生前の交流電源50からの三相交流電圧に同期し、商用周波数で所定振幅の三相交流電圧が与えられる。コンタクタ14は、一次側の電圧と二次側の電圧とが等しくなることによって通電が遮断された状態となる。これにより、制御信号φCをLレベルにした後、交流の半周期ごとに訪れる電流値が零となるタイミングを待つことなく、コンタクタ14は瞬時にオフされる。したがって、コンタクタ14がターンオフする間、出力端子T4をインバータ9から出力される三相交流電圧に維持することができる。よって、エコモードでの給電からインバータ給電への切り替え時に瞬時電圧低下が発生するのを防止することができる。なお、コンバータ制御回路30は、コンタクタ14がターンオフされた後、コンバータ5から出力される交流電流が零点を迎えたタイミングでコンバータ5の運転を停止する。
【0071】
図5は、インバータ給電の実行中における電力の流れを説明するための図である。
図5を参照して、インバータ給電の実行中においては、切替制御部17からの制御信号に応答して、コンタクタ16がオンされ、コンタクタ15,14およびサイリスタスイッチ13がオフされている。インバータ9は、
図5において実線矢印で示されるように、蓄電池53の直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換する。インバータ制御回路34(
図4)は、蓄電池53の残容量が予め定められた下限値に達したときにインバータ9の運転を停止する。これにより、無停電電源装置はインバータ給電を終了する。
【0072】
本実施の形態1に係る無停電電源装置はさらに、インバータ給電の実行中、交流電源50からの三相交流電力の供給が再開された場合、すなわち復電した場合には、インバータ給電からエコモードによる給電に自動的に復帰することができる。
図6は、インバータ給電の実行中に交流電源50の復電が検出されたときの電力の流れを説明するための図である。
図6を参照して、切替制御部17(
図4)は、インバータ給電の実行中、電圧検出回路20(
図4)の出力信号に基づいて交流電源50の復電を検出する。たとえば、電圧検出回路20によって検出される三相交流電圧の実効値が所定の閾値以上となったときに、切替制御部17は交流電源50の復電を検出する。
【0073】
切替制御部17は、交流電源50の復電が検出されると、コンバータ5を起動するための起動指令を生成する。切替制御部17は、生成した起動指令をコンバータ制御回路30(
図4)へ出力する。起動指令に応答してコンバータ5が起動すると、コンバータ制御回路30は、コンバータ5における順変換を制御するためのゲート信号を生成してコンバータ5へ出力する。これにより、コンバータ5は、
図6において点線矢印で示されるように、復電後の交流電源50から供給される三相交流電力を直流電力に変換する。コンバータ5で生成された直流電力は、インバータ9および蓄電池53に供給される。
【0074】
正弦波発生回路38(
図4)は、電圧検出回路20の出力信号に基づいて、復電後の交流電源50から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の正弦波信号φ38を生成する。正弦波発生回路38は、生成した正弦波信号φ38をインバータ制御回路34(
図4)に与える。
【0075】
インバータ制御回路34は、変流器36および電圧検出回路35の出力信号と、正弦波発生回路38からの正弦波信号φ38とに基づいて、インバータ9における逆変換を制御する。このとき、インバータ制御回路34は、電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と、復電後の交流電源50からの三相交流電圧とが同期するようにインバータ9を制御する。
【0076】
ここで、停電前に交流電源50から供給されていた三相交流電圧と、復電後に交流電源50から供給される三相交流電圧との間で位相がずれている場合には、上記のように電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と、交流電源50からの三相交流電圧とが同期するようにインバータ9を制御することによって、復電後にインバータ9から出力される三相交流電圧が変動する可能性がある。このような場合、負荷52に供給される三相交流電圧が不安定となるため、負荷52の運転に影響を及ぼす虞がある。そのため、インバータ制御回路34は、交流電源50の復電後、インバータ9から出力される三相交流電圧を、交流電源50からの三相交流電圧に徐々に同期させる。具体的には、インバータ制御回路34は、制御周期間での電圧指令値の変化量を予め定められた上限値以下に制限する。この上限値は、負荷52の運転に影響を与えないよう、たとえば実験等によって適合される。
【0077】
インバータ制御回路34は、電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と、交流電源50からの三相交流電圧とが同期しているか否かを検出し、検出結果を示す同期検出信号φ34を切替制御部17に与える。電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と交流電源50からの三相交流電圧とが同期している場合、同期検出信号φ34は活性化レベルのHレベルにされる。一方、電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と交流電源50からの三相交流電圧とが同期していない場合、同期検出信号φ34は非活性化レベルのLレベルにされる。
【0078】
切替制御部17は、同期検出信号φ34がHレベルに活性化されると、制御信号φDをHレベルにしてサイリスタスイッチ13をオンさせる。次に切替制御部17は、制御信号φCをHレベルにしてコンタクタ14をオンさせる。制御信号φCをHレベルにしてから所定の応答時間の経過後にコンタクタ14が実際にオンする。次いで、切替制御部17は、制御信号φDをLレベルにしてサイリスタスイッチ13をオフさせる。
【0079】
インバータ制御回路34はさらに、インバータ9内部のゲート駆動回路へのゲート信号の出力を停止することにより、インバータ9の運転を停止する。これにより、交流電源50からコンタクタ14を介して負荷52に三相交流電力が供給される。
【0080】
このように、交流電源50が復電すると、インバータ制御回路34は、インバータ9から出力される三相交流電圧と復電後の交流電源50から供給される三相交流電圧とが同期するようにインバータ9を制御する。そして、インバータ9から出力される三相交流電圧と、交流電源50から供給される三相交流電圧とが同期したときに、切替制御部17はサイリスタスイッチ13およびコンタクタ14をオンさせることによって、インバータ給電からエコモードへの給電に切り替える。これにより、インバータ給電からエコモードへの給電へ復帰する際に、負荷52に供給される三相交流電圧が変動するのを防止することができる。
【0081】
無停電電源装置の運転モードがエコモードに復帰した後、インバータ制御回路34は引き続き、PWM制御によってインバータ9を構成する半導体スイッチング素子をオンオフするためのゲート信号を生成する。ただし、インバータ制御回路34は、生成したゲート信号をインバータ9へ出力しない。そのため、インバータ9は、エコモードの実行中は運転されず、逆変換の待機状態となる。
【0082】
以上のように、本発明の実施の形態1に係る無停電電源装置によれば、エコモードでの給電からインバータ給電への切り替え時に瞬時電圧低下が発生するのを防止することができる。
【0083】
また、インバータ給電へ移行した後に交流電源が復電した場合には、瞬時電圧低下を防止しながら、エコモードによる給電に自動的に復帰することができる。これにより、負荷への給電安定性を確保しながら、無停電電源装置の運転効率を向上させることができる。
【0084】
なお、上記の実施の形態1において、インバータ給電は「第1の動作モード」に対応し、エコモードは「第2の動作モード」に対応する。また、コンタクタ15は「第1のスイッチ」に対応し、コンタクタ16は「第2のスイッチ」に対応し、コンタクタ2は「第3のスイッチ」に対応する。サイリスタスイッチ13およびコンタクタ14は「バイパススイッチ」を構成する。
【0085】
また、上記の実施の形態1では、直流電力を蓄えるための電力貯蔵装置を蓄電池53とする構成について例示したが、たとえば
図7に示すように、電気二重層キャパシタ54などの蓄電池以外の電力貯蔵要素を適用してもよい。
【0086】
[実施の形態2]
図8は、本発明の実施の形態2に係る無停電電源装置の全体構成図である。
図9は、本発明の実施の形態2に係る無停電電源装置におけるエコモードでの給電からインバータ給電へ切り替えるための制御構成を示す機能ブロック図である。実施の形態2に係る無停電電源装置は、
図1に示した実施の形態1に係る無停電電源装置と比較して、コンタクタ16の接続が異なっている。実施の形態2に係る無停電電源装置においてインバータ給電を行なう構成は、
図1と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。また、無停電電源装置の制御構成についても、電力変換制御部19での制御構成を除いて、
図4と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
【0087】
図8を参照して、コンタクタ16の一方端子はバイパススイッチに接続される。コンタクタ16の他方端子は、入力端子T2とコンタクタ2との間に位置するノードN2に接続される。
【0088】
本実施の形態2に係る無停電電源装置において、切替制御部17は、エコモード設定部18からエコモード設定信号φ18を受けると、制御信号φB,φC,φDをHレベルにしてコンタクタ16,14およびサイリスタスイッチ13をオンさせる。これにより、交流電源50から供給される三相交流電力は、ノードN2、コンタクタ16、サイリスタスイッチ13およびコンタクタ14を介して負荷52に供給される。
【0089】
本実施の形態2によれば、エコモードの実行中は、リアクトル4を通さずに負荷52に対して三相交流電力を供給する。したがって、実施の形態1におけるエコモードでの給電と比較して、リアクトル4における電力損失の発生が抑制されるため、無停電電源装置の運転効率をさらに高めることができる。なお、エコモードの実行中においても、必要に応じてコンバータ5を運転させることにより、蓄電池53に直流電力を蓄えておくことができる。
【0090】
切替制御部17は、エコモードの実行中、電圧検出回路20の出力信号に基づいて交流電源50の停電を検出する。交流電源50の停電が検出されると、切替制御部17は、実施の形態1で説明したのと同様にコンタクタ14をオフさせることにより、エコモードでの給電からインバータ給電へと切り替える。
【0091】
具体的には、
図9を参照して、切替制御部17は、交流電源50の停電が検出されると、インバータ制御回路34へ起動指令φ9を与えるとともに、コンバータ制御回路30へ逆変換指令φ5を与える。インバータ制御回路34は、起動指令φ9を受けると、実施の形態1で説明したのと同様に、エコモードの実行中にPWM制御によって生成したゲート信号をインバータ9へ出力する。インバータ9は、停電発生前に交流電源50から供給されていた三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の三相交流電圧を出力する。所定振幅は、三相交流電圧の実効値が交流電源50の定格電圧の90%となるように設定されている。
【0092】
コンバータ制御回路30は、逆変換指令φ5を受けると、変流器32および電圧検出回路20の出力信号と、正弦波発生回路38からの正弦波信号φ38とに基づいて、コンバータ5における逆変換を制御する。具体的には、電圧検出回路20の出力信号と正弦波信号φ38との偏差がなくなるように、コンバータ5をPWM制御する。コンバータ制御回路30は、電圧検出回路20によって検出される三相交流電圧と、停電発生前の交流電源50からの三相交流電圧とが同期するようにコンバータ5を制御する。これにより、ノードN2には、停電発生前に交流電源50から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の三相交流電圧が供給される。ノードN2に供給された三相交流電圧は、コンタクタ16を介してコンタクタ14にまで導かれる。
【0093】
本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、コンタクタ14の一次側に与えられる電圧と、コンタクタ14の二次側に与えられる電圧とが等しくなる。したがって、切替制御部17が制御信号φCをLレベルにした後、コンタクタ14は瞬時にオフする。これにより、エコモードでの給電からインバータ給電への切り替え時において、出力端子T4の出力電圧が瞬間的に停止するのを防止することができる。
【0094】
ここで、本実施の形態2では、コンタクタ16の一方端子を、入力端子T2とコンタクタ2との間のノードN2に接続している。そのため、コンバータ5における逆変換によってノードN2に供給される電圧は、ノードN2からノードN2よりも上流側の事故点までの電気的距離であるインピーダンスと、ノードN2からコンバータ5の交流側端子までのインピーダンスとの比率によって決まる。たとえば、コンバータ5の交流側端子の電圧をV1とし、ノードN2から事故点までのインピーダンスをZ1とし、ノードN2からコンバータ5の交流側端子までのインピーダンスをZ2とすると、事故点の電圧が0VとなったときにノードN2に供給される電圧は、V1×Z1/(Z1+Z2)となる。したがって、交流電源50の定格電圧の90%に相当する電圧をノードN2に供給するためには、コンバータ5は、交流電源50の定格電圧の90%を(Z1+Z2)/Z1倍した電圧を出力する必要が生じる。これによれば、インピーダンスZ1とインピーダンスZ2との比率Z1/Z2が小さいほど、コンバータ5が出力すべき電圧が高くなる。
【0095】
コンバータ5が出力すべき電圧がコンバータ5の能力を超えないようにするためには、
図10に示すように、交流電源50と入力端子T2との間に変圧器61を設けることによってインピーダンスZ1を大きくすることが有効である。
図10は、本実施の形態2に係る無停電電源装置の他の構成例を示す全体構成図である。
図10を参照して、無停電電源装置と交流電源50、バイパス交流電源51および負荷52との間には、入出力盤70が設けられている。入出力盤70は、変圧器61,63と、遮断器60,62,64,65,66,67を含む。
【0096】
遮断器60および変圧器61は、交流電源50と入力端子T2との間に直列に接続される。遮断器60は、交流電源50から交流電力が正常に供給されている通常時はオンし、交流電源50からの交流電力の供給が停止された停電時はオフする。変圧器61は、交流電源50からの三相交流電圧を降圧して入力端子T2に与える。
【0097】
遮断器64および変圧器63は、バイパス交流電源51とバイパス端子T1との間に直列に接続される。遮断器64は、バイパス交流電源51から交流電力が正常に供給されている通常時はオンし、バイパス交流電源51からの交流電力の供給が停止された停電時はオフする。変圧器63は、バイパス交流電源51からの三相交流電圧を降圧してバイパス端子T1に与える。
【0098】
遮断器65および遮断器66は、出力端子T4および負荷52の間に直列に接続される。遮断器65,66は、通常時はオンし、たとえば無停電電源装置のメンテナンス時にオフする。遮断器65と遮断器66との接続点とバイパス交流電源51との間には電力線68が配設されている。遮断器67は電力線68に介挿接続される。遮断器67は、無停電電源装置の正常時はオフし、無停電電源装置の故障時はオンする。
【0099】
このような構成とすることにより、ノードN2から事故点までのインピーダンスZ1は、変圧器61、遮断器60および配線等が有するインピーダンスが加わることによって大きくなる。したがって、インピーダンスZ1とインピーダンスZ2との比率Z1/Z2が増えるため、コンバータ5が出力すべき電圧を下げることができる。よって、コンバータ5の能力の範囲内で、コンバータ5はノードN2に電圧を出力することができる。
【0100】
[実施の形態3]
上述の実施の形態1および2に係る無停電電源装置では、エコモードにおいて交流電源50からの三相交流電力を負荷52に供給する構成について説明したが、バイパス交流電源51からの三相交流電力を供給するようにしてもよい。この発明の実施の形態3では、エコモードにおいてバイパス交流電源51からの三相交流電力を供給する構成について説明する。
【0101】
図11は、本発明の実施の形態3に係る無停電電源装置の全体構成図である。実施の形態3に係る無停電電源装置は、
図1に示した実施の形態1に係る無停電電源装置において、電圧検出回路20に代えて、電圧検出回路21を設けたものである。実施の形態3に係る無停電電源装置においてインバータ給電を行なう構成は、
図1と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
【0102】
図11を参照して、コンタクタ2は、入力端子T2とコンバータ5との間の通電経路に接続される。コンタクタ2は、切替制御部17からの制御信号φEがHレベルのときにオンし、制御信号φEがLレベルのときにオフする。
【0103】
コンタクタ16は、コンタクタ2とヒューズ3との間に位置するノードN3とバイパススイッチの一方端子との間に接続される。コンタクタ16は、切替制御部17からの制御信号φBがHレベルの時にオンし、制御信号φBがLレベルのときにオフする。
【0104】
切替制御部17は、エコモード設定部18からエコモード設定信号φ18を受けると、運転モードを、交流電源50からコンバータ5およびインバータ9を介して負荷52に三相交流電力を供給する通常モードから、バイパス交流電源51からサイリスタスイッチ13およびコンタクタ14を介して負荷52に三相交流電力を供給するエコモードに切換える。
【0105】
具体的には、切替制御部17は、エコモード設定信号φ18を受けると、バイパス交流電源51と負荷52との間に電力経路が形成されるように、コンタクタ2,14,15,16およびサイリスタスイッチ13を制御する。切替制御部17は、エコモード設定信号φ18を受けると、制御信号φAをHレベルにしてコンタクタ15をオンさせる。制御信号φAをHレベルにしてから所定の応答時間の経過後にコンタクタ15が実際にオンする。
【0106】
次に切替制御部17は、制御信号φDをHレベルにしてサイリスタスイッチ13をオンさせ、制御信号φEをLレベルにしてコンタクタ2をオフさせる。制御信号φDをHレベルにするとサイリスタスイッチ13は瞬時にオンする。一方、制御信号φEをLレベルにしてから所定の応答時間の経過後にコンタクタ2はオフする。コンタクタ2がオフすると、交流電源50が無停電電源装置から切り離され、バイパス交流電源51からサイリスタスイッチ13を介して負荷52に三相交流電力が供給される。
【0107】
次に切替制御部17は、制御信号φB,φCをHレベルにしてコンタクタ16,14をそれぞれオンさせる。制御信号φB,φCをHレベルにしてから所定の応答時間の経過後にコンタクタ16,14がオンする。次いで、切替制御部17は、制御信号φDをLレベルにしてサイリスタスイッチ13をオフさせる。これにより、バイパス交流電源51からコンタクタ14を介して負荷52に三相交流電力が供給される。また、ノードN3はコンタクタ16を介してコンタクタ14の一方端子に接続される。
【0108】
電力変換制御部19は、エコモード設定部18からエコモード設定信号φ18を受けると、蓄電池53に直流電力を蓄えるためにコンバータ5を運転させる。具体的には、電力変換制御部19は、蓄電池53が所定の満充電状態になるように、蓄電池53の残容量に応じてコンバータ5における順変換を制御する。
【0109】
電力変換制御部19はさらに、エコモードの実行中、インバータ9を構成する半導体スイッチング素子をオンオフするためのゲート信号を生成する。電力変換制御部19は、バイパス交流電源51から供給される三相交流電圧と同期した三相交流電圧がインバータ9から出力されるように、ゲート信号を生成する。ただし、電力変換制御部19は、エコモードの実行中、生成したゲート信号をインバータ9内部のゲート駆動回路へ出力しない。そのため、インバータ9は、エコモードの実行中は運転されず、電力変換制御部19からゲート信号が入力されるまで待機状態(ゲート信号入力待ち状態)となる。
【0110】
電圧検出回路21は、バイパス交流電源51から供給される三相交流電圧の瞬時値を検出し、検出値を示す信号を切替制御部17に与える。切替制御部17は、エコモードの実行中、電圧検出回路21の出力信号に基づいてバイパス交流電源51の停電を検出する。たとえば、電圧検出回路21によって検出される三相交流電圧の実効値が所定の閾値を下回ったとき、切替制御部17はバイパス交流電源51の停電を検出する。切替制御部17は、バイパス交流電源51の停電が検出されると、待機状態のインバータ9を起動するための起動指令φ9を生成する。切替制御部17は、生成した起動指令φ9を電力変換制御部19へ出力する。この起動指令φ9に応答してインバータ9が起動することにより、無停電電源装置は、エコモードでの給電からインバータ給電へと切り替えられる。
【0111】
図12は、本発明の実施の形態3に係る無停電電源装置におけるエコモードでの給電からインバータ給電へ切り替えるための制御構成を示す機能ブロック図である。
図12を参照して、電力変換制御部19は、コンバータ制御回路30と、インバータ制御回路34と、電圧検出回路31,33,35と、正弦波発生回路38とを含む。
【0112】
電圧検出回路31は、ノードN3に与えられる三相交流電圧の瞬時値を検出し、検出値をコンバータ制御回路30に与える。電圧検出回路33は、電解コンデンサ8の端子間電圧を検出し、検出値をコンバータ制御回路30に与える。コンバータ制御回路30は、エコモード設定部18からエコモード設定信号φ18を受けると、変流器32および電圧検出回路33の出力信号に基づいて、所定の直流電圧が蓄電池53に供給されるようにコンバータ5における順変換を制御する。
【0113】
電圧検出回路35は、インバータ9から出力される三相交流電圧の瞬時値を検出し、検出値をインバータ制御回路34に与える。正弦波発生回路38は、電圧検出回路21の出力信号に基づいて、バイパス交流電源51から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の正弦波信号φ38を生成する。この所定振幅は、たとえば正弦波信号φ38の実効値が交流電源50の定格電圧の90%となるように設定される。正弦波発生回路38は、生成した正弦波信号φ38をインバータ制御回路34に与える。
【0114】
インバータ制御回路34は、エコモード設定部18からエコモード設定信号φ18を受けると、変流器36および電圧検出回路35の出力信号と、正弦波発生回路38からの正弦波信号φ38とに基づいて、インバータ9における逆変換を制御する。このとき、インバータ制御回路34は、電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と、バイパス交流電源51からの三相交流電圧とが同期するようにインバータ9を制御する。ただし、インバータ制御回路34は、エコモードの実行中、PWM制御によって生成したゲート信号をインバータ9内部のゲート駆動回路へ出力しない。そのため、インバータ9は、エコモードの実行中は運転されず、待機状態となる。このようにして、エコモードの実行中、コンバータ5は、バイパス交流電源51からの三相交流電力を直流電力に変換して蓄電池53に供給する。一方、インバータ9は逆変換の待機状態となる。
【0115】
エコモードの実行中、切替制御部17は、電圧検出回路21の出力信号に基づいて、バイパス交流電源51が停電したか否かを判定する。バイパス交流電源51の停電が検出された場合、切替制御部17は、コンバータ制御回路30に対して逆変換指令φ5を与える。切替制御部17はさらに、インバータ制御回路34に対して起動指令φ9を与える。
【0116】
コンバータ制御回路30は、切替制御部17から逆変換指令φ5を受けると、変流器32および電圧検出回路31の出力信号と、正弦波発生回路38からの正弦波信号φ38とに基づいて、コンバータ5における逆変換を制御する。具体的には、正弦波発生回路38は、バイパス交流電源51の停電が検出された後は、停電発生前にバイパス交流電源51から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の正弦波信号を生成する。所定振幅は、たとえば正弦波信号の実効値が交流電源50の定格電圧の90%となるように設定される。コンバータ制御回路30は、電圧検出回路31の出力信号と正弦波発生回路38で生成された正弦波信号φ38との偏差がなくなるように、コンバータ5をPWM制御する。このとき、コンバータ制御回路30は、電圧検出回路31によって検出される三相交流電圧と、停電発生前のバイパス交流電源51からの三相交流電圧とが同期するようにコンバータ5を制御する。
【0117】
コンバータ5は、蓄電池53に蓄えられた直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換する。ノードN3には、停電発生前にバイパス交流電源51から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の三相交流電圧が供給される。ノードN3に供給された三相交流電力は、コンタクタ16を介してコンタクタ14にまで導かれる。
【0118】
インバータ制御回路34は、切替制御部17から起動指令φ9を受けると、エコモードの実行中にPWM制御によって生成したゲート信号をインバータ9へ出力する。これにより、インバータ9は、蓄電池53に蓄えられた直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換する。インバータ9は、停電発生前にバイパス交流電源51から供給されていた三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の三相交流電圧を出力する。インバータ9から出力された三相交流電圧は、出力端子T4に供給される。
【0119】
切替制御部17は、制御信号φCをLレベルにしてコンタクタ14をオフさせる。コンタクタ14の一次側には、ノードN1を介して、停電発生前のバイパス交流電源51からの三相交流電圧に同期した三相交流電圧が与えられる。一方、コンタクタ14の二次側には、出力端子T4を介して、停電発生前のバイパス交流電源51からの三相交流電圧に同期した三相交流電圧が与えられる。コンタクタ14は、一次側の電圧と二次側の電圧とが等しくなることにより通電が遮断された状態となる。これにより、制御信号φCをLレベルにした後、交流の半周期ごとに訪れる電流値が零となるタイミングを待つことなく、コンタクタ14は瞬時にオフされる。したがって、コンタクタ14がターンオフする間、出力端子T4をインバータ9から出力される三相交流電圧に維持することができる。よって、エコモードでの給電からインバータ給電への切り替え時において、出力端子T4の出力電圧が瞬間的に低下するのを防止することができる。コンバータ制御回路30は、コンタクタ14がオフされた後、コンバータ5から出力される交流電流が零点を迎えたタイミングでコンバータ5の運転を停止する。
【0120】
本実施の形態3に係る無停電電源装置はさらに、インバータ給電に移行した後にバイパス交流電源51からの三相交流電力の供給が再開された場合、すなわち復電した場合には、インバータ給電からエコモードによる給電に自動的に復帰することができる。
【0121】
具体的には、インバータ給電の実行中、切替制御部17は、電圧検出回路21の出力信号に基づいてバイパス交流電源51の復電を検出する。たとえば、電圧検出回路21によって検出される三相交流電圧の実効値が所定の閾値以上となったとき、切替制御部17はバイパス交流電源51の復電を検出する。
【0122】
切替制御部17は、バイパス交流電源51の復電が検出されると、コンバータ5を起動するための起動指令を生成する。切替制御部17は、生成した起動指令をコンバータ制御回路30へ出力する。起動指令に応答してコンバータ5が起動すると、コンバータ制御回路30は、コンバータ5における順変換を制御するためのゲート信号を生成してコンバータ5へ出力する。これにより、コンバータ5は、復電後のバイパス交流電源51から供給される三相交流電力を直流電力に変換する。
【0123】
正弦波発生回路38は、電圧検出回路21の出力信号に基づいて、復電後のバイパス交流電源51から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の正弦波信号φ38を生成する。正弦波発生回路38は、生成した正弦波信号φ38をインバータ制御回路34に与える。
【0124】
インバータ制御回路34は、変流器36および電圧検出回路35の出力信号と、正弦波発生回路38からの正弦波信号φ38とに基づいて、インバータ9における逆変換を制御する。具体的には、インバータ制御回路34は、電圧検出回路35の出力信号と正弦波発生回路38で生成された正弦波信号φ38との偏差がなくなるように、インバータ9をPWM制御する。このとき、インバータ制御回路34は、電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と、バイパス交流電源51からの三相交流電圧とが同期するようにインバータ9を制御する。なお、インバータ制御回路34は、復電後、インバータ9から出力される三相交流電圧を、バイパス交流電源51からの三相交流電圧に徐々に同期させる。具体的には、インバータ制御回路34は、制御周期間での電圧指令値の変化量を予め定められた上限値以下に制限する。この上限値は、負荷52の運転に影響を与えないよう、たとえば実験等によって適合される。
【0125】
インバータ制御回路34は、電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と、バイパス交流電源51からの三相交流電圧とが同期しているか否かを検出し、検出結果を示す同期検出信号φ34を切替制御部17に与える。電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧とバイパス交流電源51からの三相交流電圧とが同期している場合、同期検出信号φ34は活性化レベルのHレベルにされる。一方、電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧とバイパス交流電源51からの三相交流電圧とが同期していない場合、同期検出信号φ34は非活性化レベルのLレベルにされる。
【0126】
切替制御部17は、同期検出信号φ34がHレベルに活性化されると、制御信号φDをHレベルにしてサイリスタスイッチ13をオンさせる。次に切替制御部17は、制御信号φCをHレベルにしてコンタクタ14をオンさせる。制御信号φCをHレベルにしてから所定の応答時間の経過後にコンタクタ14が実際にオンする。次いで、切替制御部17は、制御信号φDをLレベルにしてサイリスタスイッチ13をオフさせる。
【0127】
インバータ制御回路34はさらに、インバータ9内部のゲート駆動回路へのゲート信号の出力を停止することにより、インバータ9の運転を停止する。これにより、バイパス交流電源51からコンタクタ14を介して負荷52に三相交流電力が供給される。
【0128】
このように、バイパス交流電源51が復電すると、インバータ制御回路34は、インバータ9から出力される三相交流電圧と、復電後のバイパス交流電源51から供給される三相交流電圧とが同期するようにインバータ9を制御する。そして、インバータ9から出力される三相交流電圧と、バイパス交流電源51から供給される三相交流電圧とが同期したときに、切替制御部17はサイリスタスイッチ13およびコンタクタ14をオンすることによって、インバータ給電からエコモードへの給電に切り替える。これにより、インバータ給電からエコモードへの給電へ復帰する際に、負荷52に供給される三相交流電圧が変動するのを防止することができる。
【0129】
無停電電源装置の運転モードがエコモードに復帰した後、インバータ制御回路34は引き続き、PWM制御によってインバータ9を構成する半導体スイッチング素子をオンオフするためのゲート信号を生成する。ただし、インバータ制御回路34は、生成したゲート信号をインバータ9へ出力しない。そのため、インバータ9は、エコモードの実行中は運転されず、待機状態となる。
【0130】
ここで、本実施の形態3において、コンバータ5における逆変換によってノードN3に供給される電圧は、ノードN3から事故点までのインピーダンスと、ノードN3からコンバータ5の交流側端子までのインピーダンスとの比率によって決まる。上記の実施の形態2で説明したように、ノードN3から事故点までのインピーダンスをZ1とし、ノードN3からコンバータ5の交流側端子までのインピーダンスをZ2とすると、これらのインピーダンスの比率Z1/Z2が小さいと、コンバータ5が出力すべき電圧が高くなってしまう。
【0131】
そこで、本実施の形態3においても、
図13に示すように、バイパス交流電源51とバイパス端子T1との間に変圧器63を設けることにより、インピーダンスZ1を大きくする。
図13は、本実施の形態3に係る無停電電源装置の他の構成例を示す全体構成図である。これによれば、ノードN3から事故点までのインピーダンスZ1は、変圧器63、遮断器64および配線等が有するインピーダンスが加わることによって大きくなるため、インピーダンスZ1とインピーダンスZ2との比率Z1/Z2が増える。したがって、コンバータ5が出力すべき電圧を下げることができるため、コンバータ5の能力の範囲内で、コンバータ5はノードN2に電圧を出力することが可能となる。
【0132】
以上のように、本発明の実施の形態3に係る無停電電源装置によれば、エコモードでの給電からインバータ給電への切り替え時において、出力端子T4に出力される電圧が瞬間的に低下するのを防止することができる。
【0133】
また、インバータ給電へ移行した後にバイパス交流電源51が復電した場合には、出力端子T4に出力される電圧が瞬間的に低下するのを防止しながら、エコモードによる給電に自動的に復帰することができる。これにより、負荷52への安定した電力供給を確保しながら、無停電電源装置の運転効率を向上させることができる。
【0134】
[実施の形態4]
上述の実施の形態1および2に係る無停電電源装置では、エコモード時に交流電源50からの交流電力を負荷52に供給する構成について説明した。また実施の形態3に係る無停電電源装置では、エコモード時にバイパス交流電源51からの交流電力を負荷52に供給する構成について説明した。この発明の実施の形態4では、エコモード時に交流電源50およびバイパス交流電源51のいずれか一方を選択し、選択された交流電源から負荷52に交流電力を供給する構成について説明する。
【0135】
図14は、本発明の実施の形態4に係る無停電電源装置の全体構成図である。実施の形態4に係る無停電電源装置は、
図1に示した実施の形態1に係る無停電電源装置において、電圧検出回路20に代えて、電圧検出回路22および電源選択部23を設けたものである。実施の形態4に係る無停電電源装置においてインバータ給電を行なう構成は、
図1と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
【0136】
図14を参照して、電源選択部23は、エコモード時に交流電源50およびバイパス交流電源51のいずれか一方を選択し、選択された交流電源を示す選択信号φ23を切替制御部17および電圧検出回路22に出力する。交流電源を選択する手法は、たとえば、交流電源を選択する利用者の操作を受け付けるスイッチを筐体1に設け、電源選択部23はそのスイッチにより受け付けられた交流電源を出力してもよい。交流電源50が選択された場合、選択信号φ23はHレベルにされ、バイパス交流電源51が選択された場合、選択信号φ23はLレベルにされる。
【0137】
選択信号φ23がHレベルの場合、すなわち、交流電源50が選択された場合、電圧検出回路22は、交流電源50から供給される三相交流電圧の瞬時値を検出し、検出値を示す信号を切替制御部17に与える。一方、選択信号φ23がLレベルの場合、すなわち、バイパス交流電源51が選択された場合、電圧検出回路22は、バイパス交流電源51から供給される三相交流電圧の瞬時値を検出し、検出値を示す信号を切替制御部17に与える。
【0138】
切替制御部17は、エコモード設定部18からエコモード設定信号φ18を受け、電源選択部23から選択信号φ23を受ける。切替制御部17は、エコモード設定信号φ18を受けると、運転モードを、交流電源50からコンバータ5およびインバータ9を介して負荷52に三相交流電力を供給する通常モードから、エコモードに切替える。
【0139】
このとき、切替制御部17は、選択信号φ23がHレベルの場合には、交流電源50と負荷52との間に電力経路が形成されるように、コンタクタ14,15,16およびサイリスタスイッチ13を制御する。切替制御部17は、制御信号φB,φC,φDをHレベルにしてコンタクタ16,14およびサイリスタスイッチ13をオンさせ、制御信号φAをLレベルにしてコンタクタ15をオフさせる。
【0140】
これに対して、選択信号φ23がLレベルの場合には、切替制御部17は、バイパス交流電源51と負荷52との間に電力経路が形成されるように、コンタクタ2,14,15,16およびサイリスタスイッチ13を制御する。切替制御部17は、制御信号φA,φB,φC,φDをHレベルにしてコンタクタ15,16,14およびサイリスタスイッチ13をオンさせ、制御信号φEをLレベルにしてコンタクタ2をオフさせる。
【0141】
電力変換制御部19は、エコモード設定部18からエコモード設定信号φ18を受けると、蓄電池53に直流電力を蓄えるためにコンバータ5を運転させる。電力変換制御部19はさらに、エコモードの実行中、インバータ9を構成する半導体スイッチング素子をオンオフするためのゲート信号を生成する。電力変換制御部19は、選択信号φ23がHレベルの場合、交流電源50から供給される三相交流電圧と同期した三相交流電圧がインバータ9から出力されるように、ゲート信号を生成する。一方、電力変換制御部19は、選択信号φ23がLレベルの場合、バイパス交流電源51から供給される三相交流電圧と同期した三相交流電圧がインバータ9から出力されるように、ゲート信号を生成する。ただし、電力変換制御部19は、エコモードの実行中、生成したゲート信号をインバータ9内部のゲート駆動回路へ出力しない。そのため、インバータ9は、エコモードの実行中は運転されず、電力変換制御部19からゲート信号が入力されるまで待機状態(ゲート信号入力待ち状態)となる。
【0142】
電圧検出回路22は、選択信号φ23がHレベルの場合、交流電源50から供給される三相交流電圧の瞬時値を検出し、検出値を示す信号を切替制御部17に与える。切替制御部17は、エコモードの実行中、電圧検出回路22の出力信号に基づいて交流電源50の停電を検出する。切替制御部17は、交流電源50の停電が検出されると、起動指令φ9を生成し、生成した起動指令φ9を電力変換制御部19へ出力する。
【0143】
一方、電圧検出回路22は、選択信号φ23がLレベルの場合、バイパス交流電源51から供給される三相交流電圧の瞬時値を検出し、検出値を示す信号を切替制御部17に与える。切替制御部17は、エコモードの実行中、電圧検出回路22の出力信号に基づいてバイパス交流電源51の停電を検出する。切替制御部17は、バイパス交流電源51の停電が検出されると、起動指令φ9を生成し、生成した起動指令φ9を電力変換制御部19へ出力する。この起動指令φ9に応答してインバータ9が起動することにより、無停電電源装置は、エコモードでの給電からインバータ給電へと切り替えられる。
【0144】
図15は、本発明の実施の形態4に係る無停電電源装置におけるエコモードでの給電からインバータ給電へ切り替えるための制御構成を示す機能ブロック図である。
図15を参照して、電力変換制御部19は、コンバータ制御回路30と、インバータ制御回路34と、電圧検出回路31,33,35と、正弦波発生回路38とを含む。
【0145】
電圧検出回路31は、ノードN3に与えられる三相交流電圧の瞬時値を検出し、検出値をコンバータ制御回路30に与える。電圧検出回路33は、電解コンデンサ8の端子間電圧を検出し、検出値をコンバータ制御回路30に与える。コンバータ制御回路30は、エコモード設定部18からエコモード設定信号φ18を受けると、変流器32および電圧検出回路33の出力信号に基づいて、所定の直流電圧が蓄電池53に供給されるようにコンバータ5における順変換を制御する。
【0146】
電圧検出回路35は、インバータ9から出力される三相交流電圧の瞬時値を検出し、検出値をインバータ制御回路34に与える。正弦波発生回路38は、選択信号φ23がHレベルの場合、電圧検出回路22の出力信号に基づいて、交流電源50から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の正弦波信号φ38を生成する。所定振幅は、たとえば正弦波信号φ38の実効値が交流電源50の定格電圧の90%となるように設定される。一方、正弦波発生回路38は、選択信号φ23がLレベルの場合、電圧検出回路22の出力信号に基づいて、バイパス交流電源51から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の正弦波信号φ38を生成する。所定振幅は、たとえば正弦波信号φ38の実効値がバイパス交流電源51の定格電圧の90%となるように設定される。正弦波発生回路38は、生成した正弦波信号φ38をインバータ制御回路34に与える。
【0147】
インバータ制御回路34は、エコモード設定部18からエコモード設定信号φ18を受けると、変流器36および電圧検出回路35の出力信号と、正弦波発生回路38からの正弦波信号φ38とに基づいて、インバータ9における逆変換を制御する。このとき、インバータ制御回路34は、選択信号φ23がHレベルの場合、電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と、交流電源50からの三相交流電圧とが同期するようにインバータ9を制御する。一方、インバータ制御回路34は、選択信号φ23がLレベルの場合、電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と、バイパス交流電源51からの三相交流電圧とが同期するようにインバータ9を制御する。ただし、インバータ制御回路34は、エコモードの実行中、生成したゲート信号をインバータ9内部のゲート駆動回路へ出力しない。このようにして、エコモードの実行中、コンバータ5は、交流電源50またはバイパス交流電源51からの三相交流電力を直流電力に変換して蓄電池53に供給する。一方、インバータ9の運転は停止される。
【0148】
エコモードの実行中、切替制御部17は、選択信号φ23がHレベルの場合、電圧検出回路22の出力信号に基づいて、交流電源50が停電したか否かを判定する。一方、選択信号φ23がLレベルの場合、切替制御部17は、電圧検出回路22の出力信号に基づいて、バイパス交流電源51が停電したか否かを判定する。交流電源50またはバイパス交流電源51の停電が検出された場合、切替制御部17は、コンバータ制御回路30に対して逆変換指令φ5を与える。切替制御部17はさらに、インバータ制御回路34に対して起動指令φ9を与える。
【0149】
コンバータ制御回路30は、切替制御部17から逆変換指令φ5を受けると、変流器32および電圧検出回路31の出力信号と、正弦波発生回路38からの正弦波信号φ38とに基づいて、コンバータ5における逆変換を制御する。具体的には、正弦波発生回路38は、選択信号φ23がHレベルの場合、交流電源50の停電が検出された後は、停電発生前に交流電源50から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の正弦波信号を生成する。一方、正弦波発生回路38は、選択信号φ23がLレベルの場合、バイパス交流電源51の停電が検出された後は、停電発生前にバイパス交流電源51から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の正弦波信号を生成する。コンバータ制御回路30は、電圧検出回路31の出力信号と正弦波発生回路38で生成された正弦波信号φ38との偏差がなくなるように、コンバータ5をPWM制御する。コンバータ5は、蓄電池53に蓄えられた直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換する。ノードN3には、停電発生前に交流電源50またはバイパス交流電源51から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の三相交流電圧が供給される。ノードN3に供給された三相交流電力は、コンタクタ16を介してコンタクタ14にまで導かれる。
【0150】
インバータ制御回路34は、切替制御部17から起動指令φ9を受けると、エコモードの実行中にPWM制御によって生成したゲート信号をインバータ9へ出力する。これにより、インバータ9は、蓄電池53に蓄えられた直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換する。インバータ9は、停電発生前に交流電源50またはバイパス交流電源51から供給されていた三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の三相交流電圧を出力する。インバータ9から出力された三相交流電圧は、出力端子T4に供給される。
【0151】
切替制御部17は、制御信号φCをLレベルにしてコンタクタ14をオフさせる。コンタクタ14の一次側には、ノードN1を介して、停電発生前の交流電源50またはバイパス交流電源51からの三相交流電圧に同期した三相交流電圧が与えられる。一方、コンタクタ14の二次側には、出力端子T4を介して、停電発生前の交流電源50またはバイパス交流電源51からの三相交流電圧に同期した三相交流電圧が与えられる。コンタクタ14は、一次側の電圧と二次側の電圧とが等しくなることにより通電が遮断された状態となる。これにより、制御信号φCをLレベルにした後、交流の半周期ごとに訪れる電流値が零となるタイミングを待つことなく、コンタクタ14は瞬時にオフされる。したがって、コンタクタ14がターンオフする間、出力端子T4をインバータ9から出力される三相交流電圧に維持することができる。よって、エコモードでの給電からインバータ給電への切り替え時において、出力端子T4の出力電圧が瞬間的に低下するのを防止することができる。コンバータ制御回路30は、コンタクタ14がオフされた後、コンバータ5から出力される交流電流が零点を迎えたタイミングでコンバータ5の運転を停止する。
【0152】
本実施の形態4に係る無停電電源装置はさらに、インバータ給電の実行中、交流電源50またはバイパス交流電源51からの三相交流電力の供給が再開された場合、すなわち復電した場合には、インバータ給電からエコモードによる給電に自動的に復帰することができる。
【0153】
具体的には、インバータ給電の実行中、切替制御部17は、選択信号φ23がHレベルの場合、電圧検出回路22の出力信号に基づいて交流電源50の復電を検出する。一方、選択信号φ23がLレベルの場合、切替制御部17は、電圧検出回路22の出力信号に基づいてバイパス交流電源51の復電を検出する。
【0154】
切替制御部17は、交流電源50またはバイパス交流電源51の復電が検出されると、コンバータ5を起動するための起動指令を生成する。切替制御部17は、生成した起動指令をコンバータ制御回路30へ出力する。起動指令に応答してコンバータ5が起動すると、コンバータ制御回路30は、コンバータ5における順変換を制御するためのゲート信号を生成してコンバータ5へ出力する。これにより、コンバータ5は、復電後の交流電源50またはバイパス交流電源51から供給される三相交流電力を直流電力に変換する。
【0155】
正弦波発生回路38は、電圧検出回路22の出力信号に基づいて、復電後の交流電源50またはバイパス交流電源51から供給される三相交流電圧に同期して、商用周波数で所定振幅の正弦波信号φ38を生成する。正弦波発生回路38は、生成した正弦波信号φ38をインバータ制御回路34に与える。
【0156】
インバータ制御回路34は、変流器36および電圧検出回路35の出力信号と、正弦波発生回路38からの正弦波信号φ38とに基づいて、インバータ9における逆変換を制御する。インバータ制御回路34は、復電後、インバータ9から出力される三相交流電圧を、交流電源50またはバイパス交流電源51からの三相交流電圧に徐々に同期させる。具体的には、インバータ制御回路34は、制御周期間での電圧指令値の変化量を予め定められた上限値以下に制限する。この上限値は、負荷52の運転に影響を与えないよう、たとえば実験等によって適合される。
【0157】
インバータ制御回路34は、電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と、交流電源50またはバイパス交流電源51からの三相交流電圧とが同期しているか否かを検出し、検出結果を示す同期検出信号φ34を切替制御部17に与える。電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と交流電源50またはバイパス交流電源51からの三相交流電圧とが同期している場合、同期検出信号φ34は活性化レベルのHレベルにされる。一方、電圧検出回路35によって検出される三相交流電圧と交流電源50またはバイパス交流電源51からの三相交流電圧とが同期していない場合、同期検出信号φ34は非活性化レベルのLレベルにされる。
【0158】
切替制御部17は、同期検出信号φ34がHレベルに活性化されると、制御信号φDをHレベルにしてサイリスタスイッチ13をオンさせる。次に切替制御部17は、制御信号φCをHレベルにしてコンタクタ14をオンさせる。制御信号φCをHレベルにしてから所定の応答時間の経過後にコンタクタ14が実際にオンする。次いで、切替制御部17は、制御信号φDをLレベルにしてサイリスタスイッチ13をオフさせる。
【0159】
インバータ制御回路34はさらに、インバータ9内部のゲート駆動回路へのゲート信号の出力を停止することにより、インバータ9の運転を停止する。これにより、バイパス交流電源51からコンタクタ14を介して負荷52に三相交流電力が供給される。
【0160】
このように、交流電源50またはバイパス交流電源51が復電すると、インバータ制御回路34は、インバータ9から出力される三相交流電圧と、復電後の交流電源50またはバイパス交流電源51から供給される三相交流電圧とが同期するようにインバータ9を制御する。そして、インバータ9から出力される三相交流電圧と、交流電源50またはバイパス交流電源51から供給される三相交流電圧とが同期したときに、切替制御部17はサイリスタスイッチ13およびコンタクタ14をオンさせることによって、インバータ給電からエコモードへの給電に切り替える。これにより、インバータ給電からエコモードへの給電へ復帰する際に、負荷52に供給される三相交流電圧が変動するのを防止することができる。
【0161】
無停電電源装置の運転モードがエコモードに復帰した後、インバータ制御回路34は引き続き、PWM制御によってインバータ9を構成する半導体スイッチング素子をオンオフするためのゲート信号を生成する。ただし、インバータ制御回路34は、生成したゲート信号をインバータ9へ出力しない。そのため、インバータ9は、エコモードの実行中は運転されず、待機状態となる。
【0162】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。