(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190069
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】バッテリパック温度調節装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6556 20140101AFI20170821BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20170821BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20170821BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20170821BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20170821BHJP
H01M 10/655 20140101ALI20170821BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20170821BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20170821BHJP
H01M 10/647 20140101ALN20170821BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M2/10 S
H01M10/625
H01M10/653
H01M10/655
H01M10/6568
H01M10/658
!H01M10/647
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-543365(P2016-543365)
(86)(22)【出願日】2014年9月11日
(65)【公表番号】特表2016-535423(P2016-535423A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】EP2014069432
(87)【国際公開番号】WO2015039952
(87)【国際公開日】20150326
【審査請求日】2016年5月2日
(31)【優先権主張番号】1358952
(32)【優先日】2013年9月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−クリストフ、プレボ
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン、ビロー
(72)【発明者】
【氏名】グザビエ、マルシャディエ
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン、マエ
(72)【発明者】
【氏名】レミ、トゥルノワ
【審査官】
古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0189558(US,A1)
【文献】
特開2012−181972(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0129018(US,A1)
【文献】
国際公開第2012/133707(WO,A1)
【文献】
特開2009−134938(JP,A)
【文献】
特開2012−014938(JP,A)
【文献】
特開2007−115718(JP,A)
【文献】
特開2013−161720(JP,A)
【文献】
特開2009−238389(JP,A)
【文献】
特開2006−134853(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/013315(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/104396(WO,A1)
【文献】
特表2013−539161(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0259263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/52−10/667
H02J 7/00− 7/12
H02J 7/34− 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース(3)に収容された少なくとも1つのバッテリ(5)を備える自動車用バッテリパック(1)のための温度調節装置であって、
前記バッテリ(5)と接触する少なくとも1つの熱交換器(9)と、
前記熱交換器(9)を前記バッテリ(5)に当てるために前記ケース(3)の底(14)に配置された少なくとも1つの弾性要素(15)と、を備える温度調節装置において、断熱材(13)が、前記弾性要素(15)と前記熱交換器(9)との間に挿入され、
前記弾性要素(15)が、切削されて折り曲げられた金属薄板で作られた少なくとも1つのばね部品を含み、
前記ばね部品(15)が、U字状断面を伴う長手方向矩形形状を有し、複数のテーパ状支持脚(21)を備え、前記テーパ状支持脚の頂部が、前記ばね部品(15)の幅に平行であり、補強用横材を形成していることを特徴とする、温度調節装置。
【請求項2】
前記断熱材(13)が成形プラスチック部品であることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用バッテリパック(1)のための温度調節装置。
【請求項3】
前記成形プラスチック部品(13)が、ポリプロピレン又はガラス繊維強化ポリアミド製であることを特徴とする、請求項2に記載の自動車用バッテリパック(1)のための温度調節装置。
【請求項4】
前記熱交換器(9)が管(10)を有しており、前記断熱材(13)が、前記熱交換器(9)の各管(10)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動車用バッテリパック(1)のための温度調節装置。
【請求項5】
前記断熱材(13)が、前記管(10)の、前記バッテリ(5)と接触する表面とは反対側の表面を覆っていることを特徴とする、請求項4に記載の自動車用バッテリパック(1)のための温度調節装置。
【請求項6】
前記断熱材(13)が成形プラスチック部品であり、前記成形プラスチック部品(13)が、前記成形プラスチック部品(13)を前記管(10)に取り付けるための弾性フック(19)を有することを特徴とする、請求項4又は5に記載の自動車用バッテリパック(1)のための温度調節装置。
【請求項7】
前記断熱材(13)が、前記管(10)に対する追加の空隙熱絶縁をもたらすために用いられるスペーサ(16)を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の自動車用バッテリパック(1)のための温度調節装置。
【請求項8】
前記断熱材(13)の前記スペーサ(16)が、長手方向リブ(18)を含むことを特徴とする、請求項7に記載の自動車用バッテリパック(1)のための温度調節装置。
【請求項9】
前記ばね部品(15)のU字状自由端(23)が、前記成形プラスチック部品(13)の適合する横方向溝(25)と協働するように互いに向けて折り曲げられており、それにより、前記ばね部品(15)と前記成形プラスチック部品(13)の間の機械的接続を可能にすることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の自動車用バッテリパック(1)のための温度調節装置。
【請求項10】
ケース(3)に収容された少なくとも1つのバッテリ(5)を備える自動車用バッテリパック(1)のための温度調節装置であって、
前記バッテリ(5)と接触する少なくとも1つの熱交換器(9)と、
前記熱交換器(9)を前記バッテリ(5)に当てるために前記ケース(3)の底(14)に配置された少なくとも1つの弾性要素(15)と、を備える温度調節装置において、断熱材(13)が、前記弾性要素(15)と前記熱交換器(9)との間に挿入され、
前記ばね部品(15)は、前記バッテリパック(1)の前記ケース(3)の前記底(14)に向けられた複数の弾性支持脚(21)を有する長手方向中心胴体(29)を有し、
前記ばね部品(15)の前記弾性支持脚(21)は、前記ばね部品(15)の前記中心胴体(29)の両側で千鳥状に配置されていることを特徴とする、自動車用バッテリパック(1)のための温度調節装置。
【請求項11】
前記ばね部品(15)は、前記ばね部品(15)が取り付けられる前記成形プラスチック部品(13)の相補的組立手段(32)と協働するための組立手段(30)を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の自動車用バッテリパックのための温度調節装置。
【請求項12】
ケース(3)内に配置されたバッテリ(5)を備える自動車用バッテリパック(1)であって、請求項1から11のいずれか一項に記載の温度調節装置を含む自動車用バッテリパック(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のバッテリパック用の温度調節装置に関し、より具体的にはハイブリッド自動車及び/又は電気自動車のバッテリ用の温度調節装置に関し、バッテリと熱交換器との間の良好な熱交換を確保するものである。
【背景技術】
【0002】
バッテリの温度調節は、特に電気自動車及びハイブリッド自動車の領域において、重要な点である。実際に、バッテリの温度は、自動車の信頼性、走行距離及び性能を確保し、バッテリの寿命を最適化するために、20℃から40℃に留まらなければならない。
【0003】
電気自動車及びハイブリッド自動車において、バッテリは、通常、必要容量の電圧発生器を作り出すように互いに連結された幾つかの電気エネルギー蓄積セルを備える。
【0004】
保護ケース内に配置されたこれらの電気エネルギー蓄積セルは、バッテリパックとして知られるものを形成する。バッテリの温度を調節するために、温度調節装置を用いることが知られている。温度調節装置は、保護ケースの底にバッテリと接触して置かれて熱伝達流体を流す熱交換器を含む。
【0005】
熱伝達流体は、次いで、バッテリを冷却するために、各バッテリにより放出された熱を吸収することができ、又は、必要に応じて、バッテリの温度がバッテリの適正な動作を確保するのに十分高くない場合にバッテリに熱を加え得る。
【0006】
バッテリと熱交換器との間の熱交換を向上させるために、従来技術の温度調節装置は、熱交換器内の複数の管とバッテリパックの保護ケースの底との間にばねを配置することを提案している。ばねは、熱交換器の管をバッテリパックに向けて押し、それにより、熱交換器の管と頂部に支えられた電気エネルギー蓄積セルとの間の接触を向上させる。
【0007】
しかし、文献独国実用新案第202012102969号明細書におけるバッテリパックの熱ばねは、変換器の管の全てに対する単一部品として作られており、非常にかさばり、バッテリパックを扱いにくくする。さらに、力の均一性が熱交換器の管の長さに沿って実現される。熱交換器の管が管の長さに沿って捻じれる場合、この捻じれは、ばねにより修正することができず、増加する場合さえある。さらに、ばねは、バッテリに直接連結されており、バッテリを変更することをより困難にする。
【0008】
さらに、従来技術の温度調節装置のいずれも、バッテリと熱交換器の間の熱交換に悪影響を及ぼす、バッテリパックの異なる金属要素の間の熱伝導率の問題、又は、バッテリの故障を生じさせる場合がある、これらの異なる要素の間のガルバノ効果により生じる腐食リスクの問題を扱っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国実用新案第202012102969号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来技術の欠点の1つ又は複数を緩和し、製造コストを最適化する、自動車のバッテリ用の温度調節装置を提供することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、ケースに収容された少なくとも1つのバッテリを備える自動車用バッテリパックのための温度調節装置であって、
− バッテリと接触する少なくとも1つの熱交換器と、
− 熱交換器をバッテリに当てるためにケースの底に配置された少なくとも1つの弾性要素と、を備える温度調節装置において、
断熱材が、弾性要素と熱交換器との間に挿入されていることを特徴とする、温度調節装置に関する。
【0012】
前記温度調節装置は、以下の態様のうちの1つ又は複数を個別に又は組合せて組み込んでもよい。
【0013】
本発明の別の態様によると、断熱材は、成形プラスチック部品であり、熱交換器との断熱材の組立を容易にする。
【0014】
本発明の別の態様によると、成形プラスチック部品は、ポリプロピレン又はPA66−GF30などのガラス繊維強化ポリアミド製であり、バッテリの良好な熱絶縁及び電気絶縁を保証する。
【0015】
本発明の別の態様によると、熱交換器が管を含み、断熱材は、熱交換器の各管に取り付けられ、管のそれぞれの締結具が取り外されることを可能にし、それにより、バッテリパックの各要素の組立精度に関連する接触不良のリスクを軽減する。
【0016】
本発明の別の態様によると、断熱材は、管の、バッテリと接触する表面とは反対側の表面を覆っており、管の保持を向上させ、管の熱絶縁及び電気絶縁を最適化する。
【0017】
本発明の別の態様によると、成形プラスチック部品は、管の機械的保持を向上させるために、成形プラスチック部品を管に取り付けるための弾性フックを含む。
【0018】
本発明の別の態様によると、断熱材は、管に対する追加の空隙熱絶縁をもたらすために用いられるスペーサを有する。
【0019】
本発明の別の態様によると、断熱材内のスペーサは、長手方向リブを含み、断熱材の剛性を向上させる。
【0020】
本発明の別の態様によると、弾性要素は、ばね部品の製造コストを最適化するのに役立つ、切削されて折り曲げられた金属薄板で作られた少なくとも1つのばね部品を有する。
【0021】
本発明の別の態様によると、ばね部品は、U字状断面を伴う長手方向矩形形状を有し、複数のテーパ状支持脚を備え、テーパ状支持脚の頂部は、ばね部品の幅と平行であり、補強用横材を形成し、管の長手方向及び横断方向における連続支持をもたらす。
【0022】
本発明の別の態様によると、ばね部品のU字状自由端は、成形プラスチック部品の適合する横方向溝と協働するように互いに向けて折り曲げられており、それにより、ばね部品と成形プラスチック部品の間の機械的接続を可能にする。
【0023】
本発明の別の態様によると、ばね部品は、テーパ形状の断面を有し、管の長手方向及び横断方向における連続支持を保証する。
【0024】
本発明の別の態様によると、ばね部品は、バッテリパックのケースの底に向けられた複数の弾性支持脚を有する長手方向中心胴体を有する。この切欠き構造は、ばね部品の重量を軽減するのに役立つ。
【0025】
本発明の別の態様によると、ばね部品の弾性支持脚は、ばね部品の中心胴体の両側で千鳥状に配置されている。この変形実施形態は、ばね部品を切削するときに失われる材料の量を最小化するのに役立つ。
【0026】
本発明の別の態様によると、ばね部品は、ばね部品に接続された成形プラスチック部品の相補的組立手段と協働するための組立手段を含み、それにより、接着剤を用いずに2つの部品の組立を単純化する。
【0027】
本発明の別の態様によると、成形プラスチック部品のための相補的組立手段は、2つの部品のスライド組立を可能にするための突起を含む。
【0028】
本発明の別の態様によると、成形プラスチック部品のための相補的組立手段は、2つの部品のスライド組立を可能にするための爪部を含む。
【0029】
本発明の別の態様によると、成形プラスチック部品のための相補的組立手段は、ばね部品とのクリック止めによる取付けを可能にする弾性ロッドを含む。
【0030】
最後に、本発明は、ケース内に配置されたバッテリを備える自動車用バッテリパックであって、上に定義されたような温度調節装置を含む自動車用バッテリパックに関する。
【0031】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例及び添付図面を用いて与えられる、以下の説明においてより詳細に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図3a】変形実施形態による成形プラスチック部品の斜視図である。
【
図3b】変形実施形態による成形プラスチック部品の斜視図である。
【
図4】成形プラスチック部品及びばね部品と組み立てられた管の斜視図である。
【
図5】第1の実施形態による弾性要素の斜視図である。
【
図6】
図5のばね部品と組み立てられた成形プラスチック部品の斜視図である。
【
図7】
図5のばね部品と成形プラスチック部品との組立体の詳細な斜視図である。
【
図8】第2の実施形態によるばね部品の斜視図である。
【
図9】第3の実施形態によるばね部品の斜視図である。
【
図10a】第4の実施形態によるばね部品の斜視図である。
【
図10b】第1の変形実施形態による、成形プラスチック部品をばね部品と組み立てるための手段の詳細な模式図である。
【
図10c】第1の変形実施形態による、成形プラスチック部品をばね部品と組み立てるための手段の詳細な模式図である。
【
図11a】第2の変形実施形態による、成形プラスチック部品をばね部品と組み立てるための手段の詳細な模式図である。
【
図11b】第2の変形実施形態による、成形プラスチック部品をばね部品と組み立てるための手段の詳細な模式図である。
【
図11c】第2の変形実施形態による、成形プラスチック部品をばね部品と組み立てるための手段の詳細な模式図である。
【
図12a】第3の変形実施形態による、成形プラスチック部品をばね部品と組み立てるための手段の詳細な模式図である。
【
図12b】第3の変形実施形態による、成形プラスチック部品をばね部品と組み立てるための手段の詳細な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
これらの図の全てにおいて、同一の要素は同じ参照符号を有する。
【0034】
図1は、バッテリパック1の模式的な側断面図である。バッテリパック1は、バッテリ5を収容するケース3を有し、通常、並列若しくは直列に互いに結合されて所望の容量の電圧発生器を作り出す1つ若しくは複数のエネルギー蓄積セル又は蓄電池7を備える。
【0035】
エネルギー蓄積セル7の部分は、四角い平行六面体であり得る。よって、形成されたバッテリ5は、四角い矩形の箱であり得る。
【0036】
有利には、バッテリが幾つかの蓄積セル、例えば
図1に示されるような3つの蓄積セルを有する場合、熱交換器9は、同じ数の管10を有するであろう。これらの管10は、熱伝達流体が導かれることを可能にする多岐管11により互いに接続される平たい多水路管である。
【0037】
管10の数をバッテリ5内のエネルギー蓄積セル7の数に最適化することは、熱交換器9の重量、したがってバッテリパック1の全重量を最小化するのに役立つ。
【0038】
弾性要素15は、熱交換器をバッテリに当てるためにバッテリパック1のケース3の底14に置かれる。
【0039】
断熱材13は、弾性要素15と熱交換器9との間に挿入される。
【0040】
有利には、熱交換器9が幾つかの管10を有する場合、断熱材13は各管10に設けられる。この構成は、管10のそれぞれと関連する断熱材13との間の締結具の取外しを可能にするものであり、各要素の組立精度に関連する接触不良のリスクを軽減する。
【0041】
断熱材13は、弾性要素15に支えられて弾性要素15に機械的に取り付けられ、前記弾性要素15は、ケース3の底14に支えられる。幾つかの管10を伴う構成において、弾性要素15は、管10のそれぞれに組み立てられた各断熱材13に取り付けられる。
【0042】
よって、断熱材13及び弾性要素15は、バッテリパック1の熱交換器9内の各管10のための、「ばね棒」と呼ばれる支持要素を形成する。ばね棒は、解決手段全体の重量及びコストを軽減するために各管10を個々にバッテリ5に押し付ける。
【0043】
図2は、例示的な一実施形態による断熱材13の断面図である。有利には、断熱材13は、プラスチック射出により形成された成形プラスチック部品である。
【0044】
成形プラスチック部品13は、熱伝導率の低いプラスチックで作られる。プラスチックは、例えば、ポリプロピレン又はPA66−GF30などのガラス繊維強化ポリアミドであり、平均的な熱伝導率を伴うがストレス環境における良好なクリープ抵抗を伴うプラスチックであり、前記ストレスは、熱又は酸性のいずれかである。PA66−GF30は、30%のガラス繊維で強化されたポリアミド6.6である。成形プラスチック部品13は、熱交換器9の管10を上面13aに受けるように設計された開放U字状断面を有する。
【0045】
図2に示されるように、成形プラスチック部品13は、スペーサ16を下面13bに有し、それにより、スペーサ16同士の間の隙間17において管10に対する補足的な空隙熱絶縁をもたらす。
【0046】
図3a、
図3bに示される変形実施形態によると、前記スペーサ16は、面13aに形成され、管10と接触するように設計された、長手方向リブ18を含む。
【0047】
長手方向リブ18は、成形プラスチック部品13の下面13b又は上面13aに形成されてもよい。長手方向リブ18は、
図3aに示されるように成形プラスチック部品13の表面を部分的に、又は
図3bに示されるように表面の全体を覆い得る。
【0048】
図3aによると、長手方向リブ18は、成形部品13の中央部の全長に沿って延びる。
【0049】
これらのリブ18は、端18aで開放して凝縮液の排出を可能にする。
【0050】
別の変形実施形態(不図示)によると、スペーサ16は、成形プラスチック部品13の下面13bから又は上面13aから突出する単純な突起であり得る。
【0051】
突起を上回る長手方向リブ18の利点は、成形プラスチック部品13の剛性を向上させることである。
【0052】
図4は、成形プラスチック部品13及び弾性要素15と組み立てられた管10の斜視図である。成形プラスチック部品13は、成形プラスチック部品13を管10に取り付けるための弾性フック19を有する。前記弾性フック19は、成形プラスチック部品13の長さの両端に、又は成形プラスチック部品13の長さの異なる箇所に配置され、バッテリ5のエネルギー蓄積セル7と接触する管10の表面を越えて延びないように管10のR部を挟む。
【0053】
有利には、成形プラスチック部品13は、バッテリ5と接触する表面とは反対にある管10の表面を覆い、管10の保持を向上させ、管10の熱絶縁及び電気絶縁を最適化する。
【0054】
成形プラスチック部品13の厚さは、部品の剛性及び部品の熱絶縁特性を向上させるために1〜1.5mmである。
【0055】
したがって、成形プラスチック部品13は、2つの機能を有し、第1に、熱交換器9をバッテリパック内の他の金属要素から電気的に絶縁し、それにより、これらの要素の間のガルバノ効果の結果としての腐食リスクを除去し、第2に、熱交換器9をバッテリパック内の他の要素から熱的に絶縁し、それにより、バッテリ5と前記熱交換器9の間の所望の熱交換を最適化するのに役立つ。
【0056】
図5は、第1の実施形態による弾性要素15の斜視図である。
【0057】
弾性要素15は、商業規格による厚さ0.1mm〜0.4mm、理想的には0.2mm〜0.3mmの、例えばステンレススチールの、切削され折り曲げられた金属薄板で作られたばね部品である。商業規格におけるばね部品の厚さは、熱交換器9とバッテリ5の間の接触を連続的に維持するために十分な圧縮力を可能にする、圧縮耐力内にあるばねの寿命末期の圧縮力を保証するように注意深く選択された。
【0058】
さらに、規格材料厚さの選択は、ばね部品15の製造コストを最適化するのに役立つ。
【0059】
図5に示されるように、ばね部品15は、U字状断面を伴う長手方向矩形形状を有し、ばね部品15が取り付けられる成形プラスチック部品13に伝達されるべき圧縮力を保証するために必要とされる材料を保ちながら部品の重量を軽減するように切削される。よって、ばね部品15は、ばね部品15の全長に沿って分布する複数の横材20及び支持脚21を備える。
【0060】
同一のテーパ状支持脚21は、ばね部品15の全長に沿って定間隔で分布し、補強用横材を形成する。支持脚の頂部は、ばね部品15の幅と平行である。ばね部品15の全長に沿った定間隔での支持脚21の分布は、管10の長手方向及び横断方向における連続支持をもたらす。
【0061】
ばね部品15の各支持脚21の中立軸は、バッテリ固定の全ての事例における所望の圧縮力に適合するように特に描かれる。中立軸の描写は、中立軸の公称位置にあるばねのうちの1つの部分に同化され得る。各ばねの中立軸の描写は、具体的には、バッテリパックを形成する部品全体の寸法応力に適応される。中立軸の描写は、圧縮を伴う若しくは伴わない一連の寸法及び所望の圧縮力も考慮する。所望の圧縮力は、バッテリパックの異なる組立要素の固定力を全体として超えない反力を意味する。
【0062】
図6に示されるように、有利には、ばね部品15の表面は、ばね部品15が取り付けられる成形プラスチック部品13の接触表面と同等である。この構成は、ばね部品15が取り付けられる成形プラスチック部品13の表面全体にばね部品15が均一な圧縮力を伝達することを可能にする。
図7に示されるように、ばね部品15のU字状自由端23は、成形プラスチック部品13の適合する横方向溝25と協働するように互いに向けて折り曲げられ、それにより、ばね部品15と成形プラスチック部品13との間の機械的接続を可能にする。2つの部品は、次いで、互いにクリック止めすることにより組み立てられる。この種の組立は、両面接着剤を用いる必要性を除去するものであり、組立を単純化すること、したがって部品の製造コストを軽減することに役立つ。圧着、又は接着剤を必要としない任意の同等な手段などの任意の他の種の組立方法を、それにもかかわらず用いることができる。
【0063】
さらに、互いに向けて折り曲げられるばね部品15の自由端23は、必要とされる剛性をばね部品15にもたらし、ばね部品15が取り付けられるプラスチック部品13の接触表面全体に伝達される圧縮力の均一性を促進する。
【0064】
図8に示される第2の実施形態によると、ばね部品15はテーパ状断面を有する。
【0065】
図9に示される第3の実施形態によると、ばね部品15は、複数の弾性支持脚21がバッテリパック1のケース3の底に向けられた長手方向中心胴体29を有する。
【0066】
前記支持脚21は、ばね部品15の長手方向中心胴体29の両側に互いに向かい合って、ばね部品15の全長に沿って定間隔で配置される。この切欠き構造は、ばね部品15の重量を軽減するのに役立つ。
【0067】
ばね部品15の中心胴体29は、長手方向矩形形状を有し、ばね部品15の長さに沿って定間隔で分布する矩形切欠き31の形態の幾つかの組立手段30を含み、矩形切欠き31の形状は、ばね部品15が取り付けられる成形プラスチック部品13の接触表面に設けられた組立手段32と適合する。
【0068】
図10aは、支持脚21が千鳥配置で切り出される、ばね部品15の第4の実施形態を示す。この変形実施形態は、単一管10のために設計されたばね棒のために用いられる材料のほぼ3分の1を節約し、使用される材料を最小化する。
【0069】
ばね部品15の切削は、管10と、管10が接触するバッテリ5のエネルギー蓄積セル7との間の熱交換の効率を最適化するために、ばね部品15の重量と、成形プラスチック部品13を通じて管10に伝達することが必要とされる圧縮力の均一性との間の最適なバランスを達成することを意図している。
【0070】
よって、設計されるばね部品15は、バッテリパック1の異なる要素の組立中に起きる遊び状態の全てにおいて、管10と管10が接触するバッテリ5のエネルギー蓄積セル7との間の接触を保証することを意図している。
【0071】
図10bは、成形プラスチック部品13の下面13bを示す。ばね部品が幾つかの矩形切欠き31を有する変形実施形態による、ばね部品15に設けられた組立手段30と相補する成形プラスチック部品13の組立手段32は、突起33の形態で設けられる。
【0072】
図10cに示されるように、ばね部品15は、突起33をばね部品15の切欠き31にスライドさせることにより成形プラスチック部品13と組み立てられる。
【0073】
図11a、
図11b及び
図11cは、ばね部品15との成形プラスチック部品13の組立手段の第2の変形実施形態を示す。
図11aに示されるように、ばね部品15と接触する成形プラスチック部品13の下面13bに配置された組立手段32は、ヘッド35aとベースの溝35bとを有する爪部35を含む。
【0074】
ばね部品15に設けられた相補的組立手段30は、
図11b及び
図11cに示されるように、長穴41を含む。長穴41は、2つの分離部分を含み、1つの広幅部41aは、成形プラスチック部品13の爪部35のヘッド35aの挿入を可能にし、第2の狭窄部41bは、溝35bが長穴41の狭窄部41b内にスライドされたときに爪部のベースを固定する。
【0075】
図12a、
図12bは、ばね部品15との成形プラスチック部品13の組立手段の第3の変形実施形態を示す。
図12aに示されるように、ばね部品と接触する成形プラスチック部品13の下面13bに配置された組立手段は、ばね部品15とのクリック取付けを可能にする弾性ロッド43を含む。
【0076】
ロッド43は、互いに隣接して空間により隔てられる2つの分離部分43a及び43bに長手方向に切り出される。2つの部分43a及び43bは、胴体45及び三角形状ヘッド47の形態で設けられる。
【0077】
図12bに示されるように、ばね部品15に設けられた相補的組立手段30は穴49を含む。ばね部品15は、ロッド43を穴49に挿入することにより成形プラスチック部品13と組み立てられる。ロッド43のヘッド47は、2つの部分43a及び43bを挟むことにより穴49に挿入される。穴49に挿入されると、2つの部分を解放することは、ロッドを穴に挿入できるが穴から誤って取り出せないようにそれらを分離させる。
【0078】
熱交換器9の管10とバッテリ5のエネルギー蓄積セル7との間の接触を向上させるための成形プラスチック部品13とばね部品15との併用は、熱交換器9とバッテリ5との間の良好な熱交換性能を保証するとともに、バッテリ5の他の要素からの管10の電気絶縁を確保する。
【0079】
さらに、成形プラスチック部品13及びばね部品15に対する管10のそれぞれの組立を切り離すことは、バッテリパックの全ての部品の組立精度を最適化することだけではなく、解決手段の全体としての重量及び製造コストを軽減することも可能にする。