(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した正立等倍レンズアレイユニットの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る正立等倍レンズアレイユニットを有する画像読取部10の斜視図である。画像読取部10はイメージスキャナに用いられる。画像読取部10は、画像読取面icsに配置される被写体の画像を主走査方向に沿った直線状に読取可能である。画像読取部10を、主走査方向に垂直な副走査方向に変位させながら、直線状の画像を連続的に読取ることにより、被写体の2次元状の画像が読出される。
【0016】
次に、
図2を用いて画像読取部10の構成を説明する。
図2は、
図1において主走査方向に垂直な平面であって二点鎖線で示した部位の断面を概略的に示す図である。ただし、
図1と異なり、カバーガラス11が設けられている。なお、
図2の裏面から表面に向かう方向が主走査方向であり、左から右に向かう方向が副走査方向である。また、
図2の上から下に向かう方向を光軸方向とする。
【0017】
画像読取部10は、カバーガラス11、照明系12、正立等倍レンズアレイユニット13、撮像素子14、および位置規定部材15を含んで構成される。カバーガラス11、照明系12、正立等倍レンズアレイユニット13、および撮像素子14は、位置規定部材15によって、互いの位置および姿勢が以下に説明する状態に維持されるように固定される。
【0018】
位置規定部材15には、孔部16が形成される。孔部16は第1の室部r1と第2の室部r2とを有している。第1の室部r1は第2の室部r2より副走査方向の幅が長くなるように、形成される。
【0019】
孔部16の第1の室部r1側の端に、カバーガラス11が冠着される。第1の室部r1には、照明系12が配置される。なお、照明系12は、光軸方向から見て第2の室部r2に重ならない位置に配置される。照明系12から発する照明光がカバーガラス11の方向に出射するように照明系12は設けられる。すなわち、照明系12を構成する光源や照明光学系の姿勢や位置が定められる。
【0020】
第2の室部r2には、正立等倍レンズアレイユニット13が挿着される。また、孔部16の第2の室部r2側の端に、撮像素子14が固着される。
【0021】
なお、カバーガラス11の平面の法線、正立等倍レンズアレイユニット13に設けられる各光学系の光軸、および撮像素子14の受光面の法線は光軸方向と平行となるように、姿勢が調整される。
【0022】
上述のような構成において、照明系12から発する照明光がカバーガラス11を介して被写体に照射される。被写体による照明光に対する反射光がカバーガラス11を透過する。被写体の反射光が正立等倍レンズアレイユニット13によって撮像素子14の受光面に結像する。結像した光学像が撮像素子14によって撮像され、電気信号である画像信号が生成される。
【0023】
なお、撮像素子14はCCDラインセンサやCMOSラインセンサなどであって、1次元の画像信号を生成する。生成された1次元の画像信号は信号処理回路に送信され、所定の画像処理が施される。画像読取部10を副走査方向に変位させながら生成した複数のフレームの1次元の画像信号を生成することによって2次元状の画像信号が生成される。
【0024】
次に、正立等倍レンズアレイユニット13の詳細な構成を、
図3を用いて説明する。正立等倍レンズアレイユニット13は、第1のレンズアレイ17、第2のレンズアレイ18、および第1の遮光部19、および第2の遮光部32によって構成される。
【0025】
第1のレンズアレイ17には、透明な板状部材の対向する両側面に複数の凸面を形成することにより、複数の第1のレンズ20が設けられる。複数の第1のレンズ20は光軸が互いに平行になるように姿勢が定められる。また、第1のレンズ20の光軸に垂直な主走査方向(第1の方向)に沿って互いに密着するように、第1のレンズ20は配置される。
【0026】
第2のレンズアレイ18には、透明な板状部材の対向する両側面に複数の凸面を形成することにより、複数の第2のレンズ21(
図2参照)が設けられる。複数の第2のレンズ21は光軸が互いに平行になるように姿勢が定められる。また、第2のレンズ21の光軸に垂直な方向に沿って並ぶように、第2のレンズ21は配置される。
【0027】
第1のレンズアレイ17と第2のレンズアレイ18とは、第1の遮光部19によって連結される。各第1のレンズ20の光軸と何れかの第2のレンズ21の光軸とが重なるように、第1のレンズアレイ17と第2のレンズアレイ18との位置が合わせされる。
【0028】
第1の遮光部19には、複数の透光孔22(第1の開口)が形成される。透光孔22は各第1のレンズ20から第2のレンズ21に向けて貫通している。なお、第1の遮光部19の第1のレンズ20側の面は絞りとして機能し、透光孔22以外の面に入射する光を遮光する。
【0029】
図4に示すように、第2の遮光部32は、第1のレンズアレイ17の物体側の面において、それぞれの第1のレンズ20に対応する複数の第2の開口33を有する。第2の開口33は、主走査方向においては第1のレンズ20の第1面を形成する凸面と同じ径を有し、副走査方向においては第1のレンズ20の第1面を形成する凸面よりも短い径である。第2の遮光部32は、例えば黒色の塗料を第1のレンズアレイ17の物体側の面に塗布することにより形成される。
【0030】
第2の開口33、第1のレンズ20、透光孔22、および第2のレンズ21によって単位光学系23が構成される。
【0031】
各単位光学系23が、正立等倍光学系となるように且つ物体側に実質的にテレセントリックとなるように、第1のレンズ20および第2のレンズ21が設計され、単位光学系23が構成される。なお、実質的にテレセントリックとなるための条件については、後述する。
【0032】
本実施形態においては、前述のように、第1のレンズ20の両面および第2のレンズ21の両面が凸面になるように形成することにより、正立等倍性が単位光学系23に設けられる。
【0033】
さらに、第1のレンズ20は、以下の(1)式を満たすように、設計され、形成される。
【0035】
ただし、r
11は第1のレンズ20の第1面の曲率半径である。また、L
1は第1のレンズ20の厚さである。また、nは第1のレンズ20の屈折率である。
【0036】
さらに、単位光学系23は、以下の(2)式を満たすように設計され、形成される。
【0038】
ただし、f
1は第1のレンズ20の焦点距離、L
0は物体距離(物体面および第1のレンズ20の第1面間の距離)、L
12は第1のレンズ20および第2のレンズ21間の距離である。また、左辺の分母の単位はmmである。
【0039】
さらに、各単位光学系23は、以下の(3)式を満たすように設計され、形成される。
【0041】
ただし、θ
gは、
図5に示すように、物体面os上の一点を単位光学系23によって像面isに結像させた微小な光学像fiの重心位置cgを通る光線の単位光学系23への入射角度である。δは、
図6に示すように、単位光学系23に対して予め許容される像シフト量である。なお、像シフト量とは、物体を単位光学系23から被写界深度Δzだけ変位させることによる、像面isの任意の一点に像を結像させる物体面os上の一点の、単位光学系23の光軸から垂直な方向への変位量である。
【0042】
例えば、撮像素子14の撮影光学系として正立等倍レンズアレイユニット13を用いて像シフト量δが画素ピッチ以下である場合には、撮像された画像には異なる単位光学系23による物体上の同じ点に対応する像面isにおける結像点のズレに起因するボケは認識され得ない。したがって、許容される像シフト量δは、用いる撮像素子や受光機器などに応じて定められたり、人間により知覚し得るズレ量などに定められたりする。
【0043】
さらに、各単位光学系23は、以下の(4)式を満たすように設計され、形成される。
【0045】
なお、y
0は単位光学系23の視野半径、すなわち単位光学系23が取込み可能な光の物体面os上の範囲の半径である。なお、単位光学系23から物体面osまでの物体距離L
0は予め定められる。被写体となる原稿が載置されるガラス面と単位光学系23との距離が該定められた距離L
0となるように、イメージスキャナは形成される。また、Dは単位光学系23の直径である。
【0046】
さらに、各単位光学系23は、位置規定部材15によって定められる物体距離だけ離れた物体面に対して等倍の像を形成する像面の位置が、当該物体面の単位光学系23による結像位置よりも単位光学系23から離れるように、設計され、形成される(
図7参照)。
【0047】
次に透光孔22の形状について、詳細に説明する。
図8に示すように、同一の中心線clを有して連続する2つの円錐台の側面に沿った形状に、透光孔22の内面は形成される。また、第1のレンズ20側の透光孔22の口径が第2のレンズ21側の口径より小さくなるように、透光孔22は形成される。中心線clが第1のレンズ20および第2のレンズ21の光軸と重なるように、透光孔22の形成位置が定められる。
【0048】
さらに、透光孔22の内面には、光の反射を抑える処理や光を吸収する処理が施される。例えば、光の反射を抑制する処理として、サンドブラストなどにより表面を荒らすシボと呼ばれる処理や、表面をスクリュー状に加工することによって反射光線の進行を抑制する処理である。また、光を吸収する処理として、吸光塗料による内面の塗布などが挙げられる。
【0049】
以上のような構成の本実施形態の正立等倍レンズアレイユニットによれば、第2の遮光部32を設けるので、以下に説明するように、正立等倍レンズアレイユニット13により結像する画像において単位光学系23の配置方向、すなわち主走査方向に沿った濃淡の発生を抑制可能である。
【0050】
従来知られているように、レンズなどの光学系による像は、像面isと光軸との交点が最も明るく光軸から離れるほど暗くなる。それゆえ、結像される画像には明るさのムラが生じる。デジタルカメラの場合には、画像の領域毎に増幅率を変えることにより明るさのムラを低減化させることが可能である。
【0051】
しかし、光軸から離れた領域の光量が極端に低い場合には増幅率を大きくする必要があり、ノイズの影響も大きくなる。それゆえ、光軸上の光量に対する光量の比が、何れの位置であっても、50%程度を超えるように設計することが最低限必要であるが、より好適には80%以上に設計することである。
【0052】
本実施形態の正立等倍レンズアレイユニット13の場合には、隣接する2つの単位光学系23を透過する光束を合わせて80%程度を超える光量が得られればよい。しかし、(1)から(3)式を要件とするテレセントリック性を確保しながら、このような光量を得ることは困難である。2つの隣接する単位光学系23を投下する光束を合わせて80%以上とするには、単位光学系23のイメージサークルを大きくするなど、単位光学系23の主走査方向における周辺部の光量を増やすことが考えられる。しかし、周辺部の光量を増やすと、(2)式におけるθ
gを増加させることなので、テレセントリック性の低化を引起す。すなわち、周辺部の光量の増加とテレセントリック性の維持とはトレードオフの関係にある。そこで、主走査方向における光軸近傍の光量を相対的に低下させることにより、光軸近傍に対する周辺部の光量の比を増加させることが考えられる。そこで、本実施形態では、副走査方向に沿った幅が主走査方向に沿った幅よりも短い第2の開口33を有する第2の遮光部32で第1のレンズアレイ17を覆うことにより、光軸近傍の光束を一部遮光して入射光量が均質化する。
【0053】
さらに、本実施形態の正立等倍レンズアレイユニットにおいては、等倍の像の像面の位置と結像位置との関係に対して、第1のレンズ20側に第2の遮光部32が設けられるので、撮像される画像に生じる歪みを低減化可能である。歪みの低減化効果について以下に詳細に説明する。
【0054】
撮像素子14は、副走査方向における単位光学系23の光軸に重なるように設置されることが理想的である。しかし、撮像素子14の副走査方向の取付け位置には微小なズレが生じ得る。副走査方向において光軸からずれた位置において形成されるスポット像に対応する点光源の、副走査方向における光軸からのズレは、スポット像の重心のズレと異なっていることが一般的である。例えば、第1のレンズ20および第2のレンズ21を用いて正立等倍光学系を形成する場合においては、
図9に示すように、副走査方向において光軸からxだけずれた点光源によるスポット像の形成位置の光軸からのズレはxと異なり、より大きいことが一般的である。副走査方向における点光源およびスポット像の位置の差が大きくなる程、撮像素子14により撮像される画像の歪みが大きくなる。このような状況において、ズレの差を小さくするためには、スポット像の重心を光軸に近付けることが好ましい。
【0055】
図10に示すように、等倍の像の像面の位置が結像位置より単位光学系23から離れているとき、第1のレンズ20の第1面より物体側において、副走査方向における光軸から離れた部位の光束を遮光(b参照)すると、スポット像(si参照)の副走査方向における光軸から離れた部位は像面に到達せず、光軸よりの部位が到達する。したがって、第2の遮光部32を第1のレンズ20の第1面側に設けることにより、スポット像の重心を光軸に近付けることが出来、画像に生じる歪みを低減化可能である。
【0056】
なお、第1のレンズ20の第2面近傍には絞りとして機能する透光孔22が設けられており、主走査方向における光軸近傍の光および周辺部の光がオーバーラップして透光孔22を通過する。それゆえ、第2の遮光部32を第1のレンズ20の第2面近傍に設けたとしても、光軸近傍の光のみを選択的に遮光することは出来ない。それゆえ、第2の遮光部32を第1のレンズ20の第2面近傍に設ける意義は無い。また、第1のレンズ20および第2のレンズ21の間に中間結像位置があるため、中間結像位置では光束自体が極めて細く、物理的な遮光を第2のレンズ21の第1面近傍で実行することは困難である。それゆえ、第2の遮光部32は、第2のレンズ21の第1面近傍に設ける意義は無い。
【0057】
また、本実施形態の正立等倍レンズアレイユニットにおいては、通常のレンズを用いて形成可能であって、アレイ全体として被写界深度を拡大した正立等倍レンズアレイユニットを形成することが可能である。アレイ全体として被写界深度が拡大される効果について以下に詳細に説明する。
【0058】
図11(a)に示すように、従来の正立等倍レンズアレイユニット13’では、像面isまでの距離に対して理想の物体面osの位置に載置された物体が各単位光学系23’により像面is上に等倍の正立像として結像される。複数の単位光学系23’によって形成される像は位置ずれを生じることなく一つの全体像として写し出される。
【0059】
しかし、
図11(b)に示すように、物体面osが理想位置から変位することにより個々の単位光学系23’の像面isにおける等倍性が崩れ、物体面osにおける同じ一点の像面isにおける結像位置が互いに隣接する単位光学系23’で異なる。それゆえ、正立等倍レンズアレイユニット13’全体により写し出される像にはブレが生じる。したがって、正立等倍レンズアレイユニット13’全体としての被写界深度は浅くなる。
【0060】
一般的に、物体側の主光線の入射角度が大きくなるほど、物体面osの変位に対するレンズの倍率の変化は大きくなる。正立等倍レンズアレイユニット全体では、倍率の変化が大きくなるほど、隣接するレンズによる物体面osの同一の点の結像位置のズレが大きくなる。
【0061】
それゆえ、理想的には、主光線の入射角度がゼロであれば、物体面osの変位に対して倍率は変化しない。それゆえ、物体面osが理想位置から変位しても物体面os上の一点の別々のレンズによる結像位置がずれずに像面is上の同じ位置に結像する。すなわち、レンズアレイを構成する個々の光学系が物体側テレセントリックであれば、レンズアレイ全体としての被写界深度を深く保つことが可能である。このように、本実施形態の正立等倍レンズアレイユニット13は、レンズアレイ全体としての被写体深度を深化させることが可能である。
【0062】
なお、本実施形態では、第1のレンズ20が(1)式を満たすように形成することにより、以下に説明するように、物体側のテレセントリック性が個々の単位光学系23に備えられる。
【0063】
単位光学系23の物体側をテレセントリックにするためには、第1のレンズ20の後側焦点と絞りの位置を合致させることが求められる。第1のレンズ20の後側焦点位置は、無限遠の物体の第1のレンズ20による結像位置に実質的に等しい。また透光孔22の細径部位が、単位光学系23の絞りとして機能する。
【0064】
それゆえ、単位光学系23の物体側をテレセントリックにするためには、第1のレンズ20による無限遠結像位置と透光孔22の細径部位の位置を合致させることが必要である。
【0065】
透光孔22の細径部位は、後述するように、第1のレンズ20の第2面上または第2面近傍に配置されることが好ましい。したがって、透光孔22の細径部位を第1のレンズ20の第2面近傍に配置した場合において第1のレンズ20による無限遠結像位置を第1のレンズ20の第2面上に実質的に合致させることにより、単位光学系23に物体側テレセントリック性を設けることが出来る。
【0066】
無限遠結像位置を第1のレンズ20の第2面に合致させる条件は、以下のように定められる。第1のレンズ20の第1面の前後の幾何光学的な関係として、アッベの不変量より(5)式が成立する。
【0068】
ただし、(5)式において、s
0は物体と第1のレンズ20の第1面との間の距離とする。また、s
1は第1のレンズ20の第1面と第1のレンズ20の第1面から射出した光の結像位置との間の距離とする。
【0069】
無限遠の物体の結像位置を定めるので、s
0を無限大とすると(5)式は(6)式に変形可能である。
【0071】
(6)式が満たされる場合に、第1のレンズ20の第1面から距離s
1の位置が、第1面の曲率半径がr
1である第1のレンズ20の無限遠結像位置となる。したがって、第1のレンズ20の第2面において第1のレンズ20の無限遠の物体を結像させるには、(7)式を満たす必要がある。
【0073】
ただし、(7)式を満たさなくても、(7)式の左辺の絶対値が、実質的にゼロでとみなせる許容値以下であれば、第1のレンズ20の第2面を無限遠結像位置に実質的に合致させることが可能である。なお、(7)式の左辺は、無限遠結像位置の調整のみならず、第1のレンズ20の倍率にも影響を与える。それゆえ、許容値は、無限遠結像位置の調整および第1のレンズ20の倍率を考慮して定められる。
【0074】
(7)式の左辺の絶対値が増加するほど、無限遠結像位置が第1のレンズ20の第2の面から離間する。無限遠結像位置が離間するほど、第1のレンズ20の物体側のテレセントリック性が低下する。許容値が0.3であれば、第1のレンズ20の物体側のテレセントリック性は維持される。
【0075】
また、(7)式の左辺の絶対値が増加するほど、第1のレンズ20の倍率が増加する。本実施形態においては、第1のレンズ20は縮小光学系、すなわち倍率が1未満であることが望ましい。なぜならば、正立等倍性を有するように、第1のレンズ20と第2のレンズ21を用いて単位光学系23を構成するからである。
【0076】
第1のレンズ20の倍率が1未満である必要があることについて、さらに具体的に説明する。単位光学系23の倍率は1なので、単位光学系23を構成する第1のレンズ20と第2のレンズ21の倍率の積が1である。したがって、第1のレンズ20と第2のレンズ21の一方が縮小光学系で、他方が拡大光学系である必要がある。前述のように、第1のレンズ20は互いに密着するように主走査方向に沿って配置される(
図3参照)。したがって、第1のレンズ20を互いに密着させるためには、第1のレンズ20が縮小光学系であることが必須の条件となる。
【0077】
(7)式の左辺の絶対値が0.2未満である場合に、第1のレンズ20の倍率は1未満である。それゆえ、第1のレンズ20の倍率を考慮した許容値は0.2と求められる。
【0078】
したがって、無限遠結像位置の要請および第1のレンズ20の倍率の両者を考慮すると、(7)式の左辺の絶対値に対して用いる許容値は0.2であることが好ましい。許容値を0.2とすることにより、(1)式が得られる。
【0079】
次に、透光孔22の細径部位を、第1のレンズ20の第2面上または第2面近傍に配置されることが好ましい理由について説明する。
【0080】
第1のレンズ20と第2のレンズ21の間には、任意の単位光学系23から他の単位光学系23への迷光防止のための遮光壁と、明るさを調整するための絞りとを設ける必要がある。本実施形態においては、第1の遮光部19に形成される透光孔22の内壁が遮光壁として機能し得る。したがって、絞りは第1のレンズ20と第1の遮光部19との間、または第1の遮光部19と第2のレンズ21との間のいずれかに配置される。
【0081】
ところで、第1のレンズ20の第2面および、第2のレンズ21の第1面には、塵が付着し得る。塵が付着すると、撮像素子14に到達する被写体像の光量が減少する。塵の影響を可能な限り低減化するためには、塵が付着され得る第1のレンズ20の第2面および第2のレンズ21の第1面を通過する光束を可能な限り太くすることが望ましい。
【0082】
このような条件を満たすためには、有限距離にある被写体の光学像の結像位置と、第1のレンズ20の第2面および第2のレンズ21の第1面とを十分に離間させる必要がある。有限距離にある被写体の光学像の結像位置を両者から十分に離間するためには、透光孔22の内部において、有限距離にある被写体の光学像を結像させることが好ましい。また、透光孔22の内部において、有限距離にある被写体の光学像を結像させるには、その結像位置より第1のレンズ20側の任意の位置において、無限遠の被写体を結像させる必要がある。
【0083】
前述のように、物体側にテレセントリック性を設けるために、第1のレンズ20の焦点に、絞りを配置することが必要である。それゆえ、絞りを透光孔22の内部より第1のレンズ20側に配置する必要がある。したがって、絞りを、第1のレンズ20と第1の遮光部19との間に設ける必要がある。
【0084】
また、任意の単位光学系23から他の単位光学系23への迷光防止のために、第1のレンズ20の第2面および第2のレンズ21の第1面に入射する光束が、第1、第2のレンズ20、21のレンズの径よりも細いことが求められる。第1のレンズ20の第2面および第2のレンズ21の第1面における光束を細くするためには、第1のレンズ20の第2面と第2のレンズ21の第1面との間の距離を短くすることが必要である。
【0085】
また、遮光壁が光軸方向に沿って長くなるほど迷光防止効果が高くなる。したがって、第1のレンズ20の第2面と第2のレンズ21の第1面との間の短い距離において、遮光壁の迷光防止効果を最大化するためには、第1のレンズ20と第2のレンズ21との間の光路すべてに亘って透光孔22で覆われることが求められる。すなわち、透光孔22の一方の端部が第1のレンズ20の第2面に合致し、他方の端部が第2のレンズ21の第1面に合致させることが好ましい。すなわち、透光孔22と、第1のレンズ20および第2のレンズ21との間に空隙を設けないように配置することが好ましい。
【0086】
第1のレンズ20の第2面と透光孔22との間に空隙を設けないので、絞りを透光孔22の第1のレンズ20側の端部に密着させる必要がある。絞りを透光孔22の端部に密着させる代わりに、透光孔22の端部に細径部位を形成することにより絞りとして機能させることが可能である。それゆえ、透光孔22の細径部位を、第1のレンズ20の第2面上または第2面近傍に配置されることが好ましい。
【0087】
また、本実施形態では、(2)式を満たすので、以下に説明するように、第1のレンズ20の第2面および第2のレンズ21の第1面に付着し得る塵の影響を低減化可能である。上述のように、塵の影響を低減化するには、第1のレンズ20による結像位置を、第1のレンズ20および第2のレンズ21の間に維持することが好適である。上述のように、無限遠の物体の第1のレンズ20による結像位置は、第1のレンズ20の第2面上である。したがって、有限距離の物体の光は無限遠の物体の結像位置よりも像面側、すなわち第2面から離れた位置に結像する。それゆえ、有限距離の物体の光を第1のレンズ20によって第2のレンズ21の第1面より物体側に結像させることにより、要求される結像位置を満たすことが可能となる。
【0088】
第1のレンズ20において、(8)式が成立する。
【0090】
ただし、(8)式において、xは第1のレンズ20における物体面から前側焦点間の距離とする。x’は第1のレンズ20における後側焦点から像面間の距離とする。f
1は第1のレンズ20の焦点距離とする。
【0091】
物体面の単位光学系23側へのΔxの変位に対して像面の変位がΔx’である場合に、(8)式は(9)式に変形可能である。
【0093】
物体距離xおよびx+Δxに対する第1のレンズ20の結像位置を、第1のレンズ20の第2面および第2のレンズ21の第1面間に位置させるためには、(10)式を満たせばよい。
【0095】
(9)式を(10)式により変形すると、(11)式が得られる。
【0097】
第1のレンズ20の第1面側において、(12)式が成り立つ。
【0099】
(11)式を(12)式により変形すると、(13)式が得られる。
【0101】
(13)式において、Δxを被写界深度として2mmとすると、(2)式が得られる。
【0102】
また、本実施形態では、各単位光学系23は、(3)式を満たすように、形成される。すなわち、許容される像シフト量δおよび許容される被写界深度Δzにより算出される角度がθ
gの最大角度となるように、単位光学系23は設計される。
【0103】
この条件は、単位光学系23が物体側に実質的にテレセントリックとなる条件である。(1)式は、近軸理論に基づいて、物体側にテレセントリックになるように求められた条件である。それゆえ、単位光学系23における第1のレンズ20の第1面の曲率半径以外の要素によっては、テレセントリック性が低下することがある。そこで、単位光学系23全体に対して(3)式のような条件を満たすことにより、隣接する単位光学系23によって結像される像の結像位置のズレを、視認が難しい程度に抑えることが可能である。
【0104】
また、本実施形態によれば、0.5≦y
0/Dとなるように単位光学系23は形成される。それゆえ、物体面os上のすべての点がいずれかの単位光学系23の視野域に含まれ得るので、像の一部欠落が防止される。
【0105】
ところで、y
0/Dが大きくなるほど、単位光学系23は光軸からの距離の離れた物体面osも視野域に含むことになる。それゆえ、y
0/Dが大きくなると、物体面os上の一点を結像させる単位光学系23の数が増え、異なる単位光学系23により形成される像のズレの影響がより大きくなる。
【0106】
そこで、本実施形態では、y
0/D≦1となるように単位光学系23は形成される。それゆえ、物体面os上の一点を結像させる単位光学系23の数が2以下に限定され、像のズレの影響を低減化させることが可能である。
【0107】
また、本実施形態では、各単位光学系23は、(4)式を満たすように形成されるので、以下に説明するように、明るさのムラを抑えることが可能である。
【0108】
また、本実施形態によれば、第1のレンズ20が主走査方向に沿って互いに密着するように配置される。このような構成により、主走査方向に沿って欠落の無い画像を形成することが可能である。
【0109】
本実施形態では、前述のように、各単位光学系23は物体側に実質的にテレセントリックであるため、単位光学系23の径外に位置する点からの光の透過量は低い。それゆえ、隣接する単位光学系23間に隙間があると、隙間の延長上の物体面os上の点の像が極めて暗くなり、画像が欠落することもあり得る。しかし、上述のように、第1のレンズ20が主走査方向に沿って密着するので、このような隙間が無く、主走査方向に沿って欠落の無い画像を得ることが可能である。
【0110】
また、本実施形態では、透光孔22の第1のレンズ20側の口径が第2のレンズ21側の口径より小さいので、他の単位光学系23の第1のレンズ20からの迷光の、第2のレンズ21への入射を防止することが可能である。
【0111】
互いに密着する第1のレンズ20では、隣接する第1のレンズ20の側面などから迷光が入射することがあり得る。このような迷光の混入により、結像される画像のノイズの影響が大きくなる。しかし、本実施形態のように、透光孔22を用いて迷光の第2のレンズ21への入射を抑制することにより迷光が抑止され、画像のノイズの影響を低減化させることが可能である。
【0112】
また、本実施形態では、透光孔22の内面には光の反射を抑える処理や光を吸収する処理が施されるので、第1のレンズ20側の開口を通過し、透光孔22の内面に入射する迷光の第2のレンズ21への伝播を防ぐことが可能である。
【0113】
次に、視野半径y
0に対する単位光学系23の直径Dの比を重なり度mと定義し、重なり度mと像シフト量δとの関係を、数値を用いて以下に説明する。物体面os上の任意の一点から放射される光の入射角度をθとすると、以下の(14)、(15)式が成り立つ。
【0115】
(14)、(15)式とmとを用いて、以下の(16)式が導かれる。
【0117】
(16)式から明らかなように、重なり度mが1/2から変化するほど、像シフト量δが増加する。
図12に、m=0.65およびm=2.7である場合を例として、被写界深度Δzと像シフト量δとの関係を示す。なお、D=2.0、L0=9とする。
【0118】
像シフト量δが大きくなるほど、正立等倍レンズアレイユニット13全体としての解像度が低下し、隣接する単位光学系23により結像される同一の物体面os上の点の結像位置のズレが大きくなる。
図12に示すように、同じ被写界深度Δzにおいて、像シフト量δは、m=2.7の場合に比べて、m=0.65の場合の方が小さい。したがって、mと1/2との差が大きくなるほど、結像位置のズレが大きくなることが分かる。
【0119】
例えば、許容される像シフト量が例として用いられる撮像素子14の画素ピッチの0.05mmである場合には、m=2.7で被写界深度Δzは0.1mmである。一方で、m=0.65では被写界深度Δzは0.65mmである。このように、許容される像シフト量に基づいて定められる被写界深度Δzは、重なり度mが1/2に近い程、深いことが分かる。
【実施例】
【0120】
次に、実施例により本発明の効果を説明するが、本実施例はあくまでも本発明の効果を説明する一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0121】
表1および表2に示すレンズデータを用い、
図13に示す形状の開口を有する第2の遮光部32を第1のレンズ20の第1面近傍に設けるように、実施例1の単位光学系23を設計した。なお、表1における面番号に対応する面を、
図2に示した。
【0122】
【表1】
【0123】
ただし、表1において、
※1は、非球面であること示しており、非球面式は以下の(17)式によって与えられる。
※2は、SCHOTT AG bk7である。
※3は、日本ゼオン株式会社 ZEONEX(登録商標)E48Rである。
※4は、絞りである。
【0124】
【数18】
【0125】
(17)式において、
Zは面頂点に対する接平面からの深さ、
rは曲率半径、
hは光軸からの高さ、
kは円錐定数、
Aは4次の非球面係数、
Bは6次の非球面係数、
Cは8次の非球面係数、
Dは10次の非球面係数である。
円錐定数kおよび非球面係数A、B、C、Cを表2に示した。
【0126】
【表2】
【0127】
表3および表4に示すレンズデータを用いて、実施例2の単位光学系23を設計した。なお、表3における面番号に対応する面は、表1と同じである。
【0128】
【表3】
【0129】
ただし、表3において、
※1は、非球面であること示しており、非球面式は上述の(17)式によって与えられる。円錐定数kおよび非球面係数A、B、C、Cを表4に示した。
※2は、SCHOTT AG bk7である。
※3は、日本ゼオン株式会社 ZEONEX(登録商標)E48Rである。
※4は、絞りである。
【0130】
【表4】
【0131】
表5および表6に示すレンズデータを用いて、実施例3の単位光学系23を設計した。なお、表5における面番号に対応する面は、表1と同じである。
【0132】
【表5】
【0133】
ただし、表5において、
※1は、非球面であること示しており、非球面式は上述の(17)式によって与えられる。円錐定数kおよび非球面係数A、B、C、Cを表6に示した。
※2は、SCHOTT AG bk7である。
※3は、日本ゼオン株式会社 ZEONEX(登録商標)E48Rである。
※4は、絞りである。
【0134】
【表6】
【0135】
表1および表2に示すレンズデータを用い、半径が0.46である円形の開口を有する第2の遮光部32を第1のレンズ20の第1面近傍に設けるように、比較例の単位光学系23を設計した。
【0136】
実施例1における隣接する2つの単位光学系23の光軸における光量に対する、実施例1および比較例における主走査方向にそった各位置における光量の比を、計算した。計算結果を
図14に示した。
【0137】
図14に示すように、実施例1においては、比較例に比べて、主走査方向に沿ったて光量比の変動が小さく濃淡の繰返しが抑制されることが分かる。
【0138】
実施例1から実施例3の単位光学系23に対して(1)式を満たす第1のレンズ20を設計可能であるかを算出した。算出結果を表7に示した。
【0139】
【表7】
【0140】
表7に示すように、実施例1から実施例3のいずれにおいても、(1)式の左辺が0.2よりも小さい。このように、実施例1〜実施例3の単位光学系23において(1)式を満たす第1のレンズ20を設計可能であることが分かる。
【0141】
実施例1から実施例3の単位光学系23の視野半径y
0および単位光学系23の直径Dに基づいて、直径Dに対する視野半径y
0の比を算出した。算出結果を表8に示した。
【0142】
【表8】
【0143】
表8に示すように、0.5≦y
0/D≦1.0を満たす単位光学系23を形成できることが分かる。
【0144】
実施例1から実施例3の単位光学系23の物体距離L
0および焦点距離f
1に基づいて、(2)式左辺を算出し、第1のレンズ20および第2のレンズ21の間隔L
12と比較することにより、(2)式を満たす単位光学系23を設計可能であるかを算出した。算出結果を表9に示した。
【0145】
【表9】
【0146】
表9に示すように、(2)式を満たす単位光学系23を設計可能であることが分かる。
【0147】
実施例1から実施例3の単位光学系23の視野半径y
0および単位光学系23の直径Dに基づいて、被写界深度Δzを算出した。なお、許容できる像シフト量δは、0.05mmとした。算出結果を表10に示した。
【0148】
【表10】
【0149】
従来のセルフォック(登録商標)レンズやロッドレンズを用いた場合の被写界深度は±0.4である一方で、表10に示すように、実施例1において±1.98、実施例2において±3.33、および実施例3において±4.34と、従来に比べて被写界深度が拡大されていることが分かる。
【0150】
第1のレンズ20の厚さを固定して第1面の曲率半径r
11を変化させることにより、(1)式の左辺が0〜0.2となる第1のレンズ20を設計した。設計したレンズにおいて、無限遠結像位置の絞りからのズレがテレセントリック性に与える影響を調べた。テレセントリック性を示す指標として、
図5に示した微小な光学像fiの重心位置cgを通る光線の単位光学系23への入射角度θ
gを用いた。入射角度θ
gが大きくなるほどテレセントリック性が低下する。(1)式の左辺に対する入射角度θ
gの関係を
図15に示した。
【0151】
図15に示すように、(1)式の左辺が増加するほど入射角度θ
gが増加することが分かる。正立等倍レンズアレイユニット13として求めるテレセントリック性を得るには、入射角度θ
gが2.5°未満であることが望ましい。
図15において、(1)式の左辺が0.3未満であれば、入射角度θ
gが2.5未満となることが分かる。
【0152】
また、(1)式の左辺が0〜0.15となる第1のレンズ20を設計した。設計したレンズにおける倍率を調べ、(1)式の左辺に対する倍率の関係を
図16に示した。
【0153】
図16に示すように、(1)式の左辺が増加するほど倍率が増加することが分かる。また、(1)式の左辺が0.2未満であれば第1のレンズ20の倍率が1未満となることが分かる。
【0154】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0155】
例えば、本実施形態の正立等倍レンズアレイユニットにおいては、第2の遮光部32が第1のレンズ20側に設けられる構成であるが、等倍の像の像面の位置が結像位置より単位光学系23に近いときには、第2の遮光部32は第2のレンズ21の第2面に設けられる。等倍の像の像面の位置が結像位置より単位光学系23に近いときには、第2の遮光部32を第2のレンズ21の第2面側に設けることにより、スポット像の重心を光軸に近付けることが出来、画像に生じる歪みを低減化可能である。
【0156】
また、本実施形態の正立等倍レンズアレイユニットにおいて、第2の開口33の形状は
図4に示されているが、このような形状に限定されない。第2の開口33は、主走査方向に沿ったが幅が副走査方向に沿った幅よりも長くなるように形成されれば、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0157】
また、本実施形態の正立等倍レンズアレイユニットは、画像読取装置に用いられる画像読取部10に設けられる構成であるが、
図17に示す画像形成装置27に用いられてもよい。画像形成装置27は、例えばLEDレーザプリンタ24に用いられる。
【0158】
レーザプリンタ24は、感光ドラム25、帯電器26、画像形成装置27、現像器28、転写器29、および除電器30を含んで構成される。感光ドラム25は円筒状で軸を中心として回転する。帯電器26は、感光ドラム25の表面を帯電させる。画像形成装置27は、帯電させた感光ドラム25上に静電潜像を形成する。現像器28は、静電潜像をトナーで現像する。転写器29は、現像された画像を用紙31に転写する。除電器30は、感光ドラム25に帯電した電荷を除電する。
【0159】
画像形成装置27は、本実施形態の正立等倍レンズアレイユニット13およびLED基板32を含んで構成される。LED基板32には直線上にLEDが設けられる。各LEDの発光を制御することにより、LED基板32は1次元状の画像を形成する。正立等倍レンズアレイユニット13は、LED基板32が形成する画像を、上述の感光ドラム25に露光する。
【0160】
また、本実施形態において、透光孔22は
図8に示した形状に形成されるが、このような形状に限定されない。透光孔22の作成時に、開口の厚さが概ね0.05mm以上であるときには、
図8に示した形状の透光孔22を射出成型により形成可能である。
【0161】
しかし、開口の厚さが0.05mm未満であるときには、射出成型で形成することは困難である。0.05mm未満の開口を形成する必要があるときには、表面を黒色に色付けたSUSおよびPET材に孔を穿ち、透光孔を有する部位に接着することによって開口を形成してもよい(
図18参照)。ただし、この場合、第1のレンズアレイ17および開口の線膨張係数が異なる場合があるので、温度変化時に光軸と開口の位置にズレが生じ得る。そこで、位置ズレの影響を見込んだ設計が必要である。温度変化による光軸と開口の位置ズレを抑制するためには、第1のレンズアレイ17と、開口との線膨張係数の差が小さくなるように形成することが望ましい。例えば、第1のレンズアレイ17の第2面を、開口が形成されるように黒色に塗り付けることによって線膨張係数を一致させることが可能である。または、第1のレンズアレイ17の部材と同じ部材の透明な板に開口が形成されるように黒色に印刷することによっても線膨張係数を一致させることが可能である。