特許第6190136号(P6190136)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タダノの特許一覧

<>
  • 特許6190136-作業機械の外部電源制御装置 図000002
  • 特許6190136-作業機械の外部電源制御装置 図000003
  • 特許6190136-作業機械の外部電源制御装置 図000004
  • 特許6190136-作業機械の外部電源制御装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190136
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】作業機械の外部電源制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/12 20060101AFI20170821BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170821BHJP
   B60L 9/30 20060101ALI20170821BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B66C13/12 D
   B60L11/18 C
   B60L9/30
   B60L1/00 L
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-71086(P2013-71086)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-193763(P2014-193763A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2016年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫨林 幹夫
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−232724(JP,A)
【文献】 特開2011−160502(JP,A)
【文献】 特開2012−1889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/12 − 13/14
E02F 9/00
B66F 9/24
B60L 11/00 − 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業を行う作業装置と、作業装置を駆動させる電動機と、を備え、外部電源の電力によって電動機を駆動可能な作業機械において、外部電源から供給される電力を制御する作業機械の外部電源制御装置であって、
外部電源の電力を送電するケーブルが接続される複数の外部電源接続部と、
複数の外部電源接続部から電動機に供給される電力を制御する電力制御手段と、
複数の外部電源接続部から電動機に供給可能な最大電流値を設定する最大電流値設定手段と、を備え
電力制御手段は、
最大電流値設定手段による電動機に供給可能な最大電流値の設定を条件として、電動機の駆動を許可し、
電動機の駆動を許可した場合に、複数の外部電源接続部から電動機に供給される最大電流値が最大電流値設定手段によって設定された最大電流値以下となるように制御する
ことを特徴とする作業機械の外部電源制御装置。
【請求項2】
電力制御手段は、複数の外部電源接続部からの電力を合成して電動機に供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業機械の外部電源制御装置。
【請求項3】
外部電源接続部は、外部電源の電力による電動機の駆動の際に使用される安全装置と一体に構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の作業機械の外部電源制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源の電力によって駆動可能な作業装置を備えた作業機械の外部電源制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の作業機械としては、走行体と、走行体に設けられ、所定の作業を行う作業装置と、外部電源の電力によって駆動可能であり、作業装置を駆動させるための電動機と、走行体に設けられ、外部電源の電力を供給する電源ケーブルを接続する複数の外部電源接続部と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記作業機械は、例えば、走行体の後方に障害物がある場合に走行体の側面に位置する外部電源接続部に電源ケーブルを接続するように、作業場所の状況に応じて複数の外部電源接続部から1つの外部電源接続部を選択して電源ケーブルを接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−008009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、建設工事の現場に設置されている外部電源は、電力を取り出すための電力取り出し部を複数有しており、それぞれの電力取り出し部から電力を取り出すことによって同時に複数の電動機器を駆動させることが可能である。各電力取り出し部は、取り出し可能な最大の電力が設定されている。このため、最大の電力以上の電力を必要とする電動機器を接続した場合には、負荷が大きくなると安全装置が作動して電力の供給が停止され、電動機器の駆動の継続が困難となる。
【0006】
本発明の目的とするところは、安全装置が作動することによる電力の供給の停止を生じさせることなく、必要とする電力によって作業装置を駆動させることのできる作業機械の外部電源制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、所定の作業を行う作業装置と、作業装置を駆動させる電動機と、を備え、外部電源の電力によって電動機を駆動可能な作業機械において、外部電源から供給される電力を制御する作業機械の外部電源制御装置であって、外部電源の電力を送電するケーブルが接続される複数の外部電源接続部と、複数の外部電源接続部から電動機に供給される電力を制御する電力制御手段と、複数の外部電源接続部から電動機に供給可能な最大電流値を設定する最大電流値設定手段と、を備え、電力制御手段は、最大電流値設定手段による電動機に供給可能な最大電流値の設定を条件として、電動機の駆動を許可し、電動機の駆動を許可した場合に、複数の外部電源接続部から電動機に供給される最大電流値が最大電流値設定手段によって設定された最大電流値以下となるように制御する。
【0008】
これにより、複数の電力取り出し部から供給される電力によって電動機が駆動可能となるとともに、複数の電力取り出し部から電動機に供給される電力が制御されることから、所定以上の電力の供給が制限されるとともに、供給可能な最大限の電力によって電動機の駆動が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所定以上の電力の供給を制限することができるとともに、供給可能な最大限の電力によって電動機を駆動させることができるので、作業装置の作業効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態を示す移動式クレーンの側面図である。
図2】油圧供給装置、動力装置および制御系を示す概略図である。
図3】外部電源接続ユニットを示す図である。
図4】モータジェネレータ駆動制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図4は、本発明の一実施形態を示すものである。なお、以下の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0012】
本発明の外部電源制御装置を備えた作業機械としての移動式クレーン1は、図1に示すように、走行する車両10と、クレーン装置20と、を備えている。
【0013】
車両10は、車輪11を有し、エンジン、または、エンジンおよび後述するモータジェネレータを動力源として走行する。また、車両10の前側および後側の左右両側には、クレーン作業時に車両10の転倒を防止するとともに、車両10を安定的に支持するためのアウトリガ12が設けられている。アウトリガ12は、幅方向外側に移動可能であるとともに、油圧式のジャッキシリンダによって下方に伸長可能である。アウトリガ12は、下端を接地させることにより車両10を地面に対して安定的に支持する。
【0014】
クレーン装置20は、車両10の前後方向略中央部に水平面上を旋回可能に設けられた旋回台21と、旋回台21に対して起伏可能に設けられるとともに、伸縮可能に設けられたブーム22と、ブーム22の先端側から垂下されるワイヤロープ23と、ワイヤロープ23の巻き込みまたは繰り出しを行うためのウインチ24と、旋回台21の前側に設けられ、車両10の走行およびクレーン装置20による作業に関する操作を行うためのキャビン25と、を備えている。
【0015】
各ジャッキシリンダ、旋回台21を旋回させるための旋回モータ、ブーム22を起伏させるための起伏シリンダ、ブーム22を伸縮させるための伸縮シリンダおよびウインチ24を回転させるためのウインチモータ等のアクチュエータ60は、作動油によって作動する。図2に示すように、各アクチュエータ60を作動させる作動油は、油圧供給装置30によって供給される。
【0016】
油圧供給装置30は、図2に示すように、油圧を生じさせるための油圧ポンプ31と、油圧ポンプ31から吐出された作動油を各アクチュエータ60に供給するための作動油回路32と、を備えている。
【0017】
油圧ポンプ31は、図2に示すように、車両10に設けられ、車両10を走行させる動力を発生させると共に動力を車輪11に伝達するための動力装置40から取出された動力によって駆動する。油圧ポンプ31は、例えば、斜板式のアキシャルプランジャ油圧ポンプであり、斜板の角度を変更可能な可変容量型の油圧ポンプである。
【0018】
作動油回路32には、クレーン装置20に設けられたアクチュエータ60(起伏シリンダ、伸縮シリンダ、ウインチモータ)がロータリージョイント33を介して接続されている。また、作動油回路32には、複数のコントロールバルブ(図示せず)が設けられ、各コントロールバルブによって各アクチュエータ60に流入する作動油の流量および流通方向が制御される。各コントロールバルブは、キャビン25内の操作レバーや操作ペダル等の後述する操作入力部51によって操作され、操作入力部51の操作量に応じて作動油の流量の調整が可能である。各コントロールバルブは、ソレノイド等の切換手段を有し、後述するコントローラ50からの信号によって操作が可能である。
【0019】
動力装置40は、動力を発生させるための動力源ユニット41と、動力源ユニット41から出力される動力を、トルクを転換して車輪11側に伝達するためのトルクコンバータ42と、トルクコンバータ42から出力される動力の回転速度およびトルクを変更するためのトランスミッション43と、トランスミッション43から出力される動力を車輪11に伝達するプロペラシャフト44と、プロペラシャフト44に設けられた電気式のリターダ45と、を備えている。
【0020】
動力源ユニット41は、主に車両走行用の動力源であるエンジン41aと、供給された電力によって電動モータとして機能するとともに、エンジン41aの動力によって、または走行中の減速時等に発電機として機能するモータジェネレータ41bと、モータジェネレータ41bで発電された電力を蓄えるとともに、モータジェネレータ41bを電動モータとして機能させる場合に電力を供給可能なバッテリ41cと、バッテリ41cの出力を制御したりモータジェネレータ41bの動作を制御したりするためのモータジェネレータ駆動制御部41dと、エンジン41aの出力軸とモータジェネレータ41bの入出力軸との連結および連結の解除を切換可能なクラッチ41eと、を備えている。
【0021】
モータジェネレータ41bは、エンジン41aとトルクコンバータ42との間に設けられている。エンジン41aの動力は、クラッチ41eによってエンジン41aの出力軸とモータジェネレータ41bの入出力軸とを連結することにより、モータジェネレータ41bの入出力軸を介してトルクコンバータ42に伝達される。モータジェネレータ41bは、クレーン作業を行う場所に設置されている外部電源の電力またはバッテリ41cの電力によって電動モータとして駆動可能である。外部電源は、例えば3相交流200Vや3相交流400V等の電源が用いられる。
【0022】
モータジェネレータ駆動制御部41dは、インバータ、昇圧コンバータ、モータ制御部、ジェネレータ制御部等を有している。モータジェネレータ駆動制御部41dは、バッテリ41cの出力を制御してモータジェネレータ41bに電力を供給したり、後述するコントローラ50からの信号に応じてモータジェネレータ41bの機能を発電機または電動モータに切換えたりする。モータジェネレータ駆動制御部41dは、モータジェネレータ41bを電動モータとして機能させる場合に、電源をバッテリ41cまたは外部電源に切換えることが可能である。外部電源の電力は、外部電源接続ユニット70を介してモータジェネレータ駆動制御部41dに供給される。外部電源接続ユニット70は、車両10の前面、後面および左右両側面の4カ所に設けられている。
【0023】
外部電源接続ユニット70は、図3に示すように、外部電源からの電力を送電する電源ケーブル41fを接続するための外部電源接続部71と、外部電源接続部71から供給される電力量を計測するための電力量計72と、緊急時にクレーン装置20の駆動を停止するための安全装置としての緊急停止スイッチ73と、安全装置としての漏電遮断器74と、を有している。外部電源接続ユニット70は、移動式クレーン1の組み付け時に一部品として組み付けられる。
【0024】
各外部電源接続部71は、複数の入力電力を合成するための電力合成回路(図示せず)を介してモータジェネレータ駆動制御部41dに接続されている。このため、モータジェネレータ駆動制御部41dには、1つの外部電源接続部71から供給可能な電力よりも大きな電力を供給可能である。
【0025】
トルクコンバータ42の出力側には、トランスミッション43に伝達される動力を取出し可能なPTO(パワーテイクオフ)機構46が設けられ、PTO機構46を介して油圧ポンプ31が連結可能である。PTO機構46は、油圧ポンプ31に対するエンジン41aの出力軸およびトルクコンバータ42の入出力軸との連結と連結の解除の切換えが可能である。
【0026】
また、移動式クレーン1は、車両10の走行時やクレーン装置20による作業時における油圧供給装置30および動力装置40の制御を行うためのコントローラ50を有している。
【0027】
コントローラ50は、CPU、ROM、RAM等を有している。コントローラ50は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0028】
コントローラ50には、各アクチュエータ60に対応するコントロールバルブ(図示せず)と、油圧ポンプ31と、動力源ユニット41と、操作レバーやアクセルペダル等の車両10およびクレーン装置20の操作を行うための操作入力部51と、車両10の走行およびクレーン装置20の駆動等の各種設定を行うための設定入力部52と、キャビン25内に設けられ、作業者による設定や運転状態を表示するための液晶パネル等からなる表示装置53と、外部電源接続ユニット70と、が接続されている。ここで、車両10とクレーン装置20との間で信号を伝達するための信号線は、ロータリージョイント33に備えられたスリップリングを介して接続されている。
【0029】
コントローラ50には、各外部電源接続ユニット70の外部電源接続部71に供給される電圧に関する信号が入力される。また、コントローラ50には、各外部電源接続部71から供給される電力量に関する信号が入力され、電力量のデータをHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のデータ記憶装置に記録する。さらに、コントローラ50は、表示装置53の表示を制御するための信号を出力する。
【0030】
以上のように構成された作業機械としての移動式クレーン1において、クレーン装置20による作業を行う場合には、エンジン41aの動力、バッテリ41cの電力および外部電源の電力のいずれかによって、油圧ポンプ31を駆動させることが可能である。このため、クレーン装置20は、エンジン41aの動力によって油圧ポンプ31を駆動させるためのエンジン作業モード、バッテリ41cの電力によって油圧ポンプ31を駆動させるためのバッテリ作業モード、または、外部電源の電力によって油圧ポンプ31を駆動させるための外部電源作業モードによって駆動される。作業者は、エンジン作業モード、バッテリ作業モードおよび外部電源作業モードのいずれかを、作業の開始前に設定入力部52を操作して設定する。
【0031】
エンジン作業モードでは、トランスミッション43をニュートラルの状態とし、クラッチ41eによってエンジン41aとモータジェネレータ41bとを連結した状態で、PTO機構46によって油圧ポンプ31に対してエンジン41aの出力軸とモータジェネレータ41bの入出力軸を連結した状態とする。
【0032】
エンジン作業モードにおいて、エンジン41aの回転数は、作業者の操作入力部51に対するアクセル操作によって調整され、使用者の操作入力部51に対するアクセル操作がない状態では作業アイドリング回転数で駆動される。また、エンジン作業モード時における作業の合間の待機状態では、作業アイドリング回転数で駆動するエンジン41aの動力によってモータジェネレータ41bを駆動させ、発電された電力をモータジェネレータ駆動制御部41dを介してバッテリ41cに充電する。さらに、エンジン作業モード時において、バッテリ41cは、外部電源の電力によっても充電が可能である。
【0033】
バッテリ作業モードおよび外部電源作業モードでは、トランスミッション43をニュートラルの状態とし、クラッチ41eをエンジン41aとモータジェネレータ41bとの連結を解除した状態とする。また、バッテリ作業モードおよび外部電源作業モードでは、PTO機構46を油圧ポンプ31に対してモータジェネレータ41bの入出力軸を連結した状態とする。
【0034】
外部電源作業モードでは、クレーン作業を行う場所に設置された外部電源の分電盤に設けられた電力取り出し部と、外部電源接続部71と、を電源ケーブル41fで接続する。このとき、分電盤に複数の電力取り出し部がある場合には、複数の電源ケーブル41fで電力取り出し部と外部電源接続部71とを接続する。また、外部電源作業モードでは、クレーン作業を可能とする条件として、外部電源が供給可能な最大電流値である供給可能最大電流値を作業者が設定入力部52を用いて設定する。外部電源作業モードにおいて、コントローラ50は、電流が作業者の設定した最大電流値を超えない範囲でモータジェネレータ41bを駆動させる。また、外部電源作業モード時における作業の合間の待機状態では、外部電源の電力によってバッテリ41cを充電可能である。
【0035】
外部電源作業モードにおいて、コントローラ50は、図4に示すように、モータジェネレータ駆動制御処理を行う。
【0036】
(ステップS1)
ステップS1においてCPUは、外部電源作業モードが設定されているか否かを判定する。外部電源作業モードが設定されていると判定した場合にはステップS2に処理を移し、外部電源作業モードが設定されてないと判定した場合にはモータジェネレータ駆動制御処理を終了する。
【0037】
(ステップS2)
ステップS1において外部電源作業モードが設定されていると判定した場合に、ステップS2においてCPUは、モータジェネレータ41bの供給可能最大電流値が設定されているか否かを判定する。供給可能最大電流値が設定されていると判定した場合にはステップS3に処理を移し、供給可能最大電流値が設定されていないと判定した場合にはステップS5に処理を移す。
【0038】
(ステップS3)
ステップS2において供給可能最大電流値が設定されていると判定した場合に、ステップS3においてCPUは、モータジェネレータ41bが駆動しているか否かを判定する。モータジェネレータ41bが駆動していると判定した場合にはステップS4に処理を移し、モータジェネレータ41bが駆動していないと判定した場合にはモータジェネレータ駆動制御処理を終了する。
【0039】
(ステップS4)
ステップS3においてモータジェネレータ41bが駆動していると判定した場合に、ステップS4においてCPUは、電流が供給可能最大電流値を超えないようにモータジェネレータ41bの出力を制限する出力制限制御を行い、モータジェネレータ駆動制御処理を終了する。
【0040】
具体的には、クレーン作業時において、クレーン装置20に作用する負荷が大きくなるとモータジェネレータ41bの回転数が低下して流れる電流が大きくなる。出力制限制御は、このときの電流が供給可能最大電流を超えることがないように、モータジェネレータ41bに供給する電力の電圧および電流を調整し、モータジェネレータ41bの出力を制限する。
【0041】
(ステップS5)
ステップS2において供給可能最大電流値が設定されていないと判定した場合に、ステップS5においてCPUは、モータジェネレータ41bの駆動を規制してクレーン装置20の駆動を制限し、ステップS6に処理を移す。
【0042】
具体的には、供給可能最大電流値が設定されていない場合に、操作入力部51の操作を行ってもモータジェネレータ41bを駆動させない。
【0043】
(ステップS6)
ステップS6においてCPUは、クレーン装置20の駆動が制限されている旨を表示装置53に表示し、モータジェネレータ駆動制御処理を終了する。
【0044】
このように、本実施形態の作業機械の外部電源制御装置によれば、複数の外部電源接続部71が車両10に設けられ、複数の外部電源接続部71から供給される電力を制御してモータジェネレータ41bを駆動させている。
これにより、所定以上の電力の供給を制限することができるとともに、供給可能な最大限の電力によってモータジェネレータ41bを駆動させることができるので、クレーン装置20の作業効率を向上させることが可能となる。
【0045】
また、複数の外部電源接続部71から供給される電力を合成してモータジェネレータ41bに供給している。
これにより、1つの外部電源接続部71から供給可能な最大の電力よりも大きな電力でモータジェネレータ41bを駆動させることが可能となるので、外部電源の電力取り出し部から取り出し可能な電力が小さい場合でも、必要な電力でモータジェネレータ41bを駆動させることが可能となるので、クレーン作業の作業効率を向上させることが可能となる。
【0046】
また、複数の外部電源接続部71からモータジェネレータ41bに供給される電力を所定の電力以下となるようにモータジェネレータ41bを制御している。
これにより、外部電源から取り出し可能な電力に制限がある場合に、制限された範囲内の電力でモータジェネレータ41bを駆動可能となるので、外部電源の安全装置が作動することによる駆動中のクレーン装置20の停止を防止することが可能となり、安全性および作業効率の向上を図ることができる。また、所定以上の電力が外部電源から供給されることによる車両10やクレーン装置20の他の電動機器の損傷を防止することが可能となる。
【0047】
また、外部電源接続部71は、外部電源の電力によってモータジェネレータ41bを駆動する際に使用される緊急停止スイッチ73および漏電遮断器74と一体に形成されている。
これにより、移動式クレーン1の組み付け時に、外部電源接続部71と緊急停止スイッチ73および漏電遮断器74を一部品として組み付け作業を行うことができるので、組み付け作業の作業効率を向上させることが可能となる。
【0048】
なお、前記実施形態では、外部電源の電力によって駆動可能なクレーン装置20を備えた移動式クレーン1を作業機械として示したがこれに限られるものではない。外部電源の電力によって駆動可能な作業装置を備えたものであれば、例えば、高所作業車や掘削機等の作業機械に本発明を適用可能である。
【0049】
また、前記実施形態では、クレーン装置20がエンジン41aおよびモータジェネレータ41bの一方または両方の動力によって駆動するものを示したがこれに限られるものではない。例えば、クレーン装置20は、外部電源の電力で駆動可能な電動モータの動力でのみ駆動するものでもよい。
【0050】
また、前記実施形態では、作業者が供給可能最大電流値を設定するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、外部電源が、供給可能最大電流値に関する信号を送信する機能を有している場合には、作業者による供給可能最大電流値の設定を行うことなく、外部電源から送信された信号に基づいて供給可能最大電流値を設定するようにしてもよい。この場合には、作業者が供給可能最大電流値を設定する必要がないため、作業効率を向上させることが可能となる。
【0051】
また、前記実施形態では、外部電源接続ユニット70を車両10の前面、後面および左右両側面に設けたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、車両10の側面に複数の外部電源接続ユニット70を配置するようにしてもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、車両10に4つの外部電源接続部71を設けたものを示したが、少なくとも2つ以上であればよい。
【0053】
また、前記実施形態では、外部電源接続部71を車両10に設けたものを示したが、クレーン装置20に設けてもよい。
【0054】
また、前記実施形態では、1つの外部電源接続ユニット70に対して1つの外部電源接続部71を設けたものを示したが、1つの外部電源接続ユニット70に複数の外部電源接続部71を設けてもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、外部電源接続ユニット70として外部電源接続部71、電力量計72、緊急停止スイッチ73、漏電遮断器74を一体に設けたものを示したが、これに限られるものではない。外部電源接続ユニット70は、外部電源接続部71と、少なくとも緊急停止スイッチおよび漏電遮断器74等の安全装置が一体に構成されていればよい。
【符号の説明】
【0056】
1…移動式クレーン、10…車両、20…クレーン装置、30…油圧供給装置、31…油圧ポンプ、40…動力装置、41…動力源ユニット、41b…モータジェネレータ、41d…モータジェネレータ駆動制御部、41f…電源ケーブル、50…コントローラ、51…操作入力部、52…設定入力部、60…アクチュエータ、70…外部電源接続ユニット、71…外部電源接続部、73…緊急停止スイッチ、74…漏電遮断器。
図1
図2
図3
図4