特許第6190143号(P6190143)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190143
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】物品管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20170821BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20170821BHJP
【FI】
   G06Q30/06 340
   G06Q50/10
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-84017(P2013-84017)
(22)【出願日】2013年4月12日
(65)【公開番号】特開2014-206860(P2014-206860A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】505076197
【氏名又は名称】株式会社ウインローダー
(74)【代理人】
【識別番号】100205084
【弁理士】
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100100402
【弁理士】
【氏名又は名称】名越 秀夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134588
【弁理士】
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼嶋 民仁
(72)【発明者】
【氏名】國元 孝臣
【審査官】 関 博文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−289547(JP,A)
【文献】 特開2002−015156(JP,A)
【文献】 特開2002−253853(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0257071(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持する物品を管理する物品管理システムであって,
前記物品管理システムは,
仮想空間において前記ユーザに割り当てられた領域で前記ユーザが利用する物品アイテムを登録するアイテム情報登録処理部と,
前記物品アイテムに関する情報を記憶するアイテム情報記憶部と,
前記アイテム情報記憶部に記憶した前記物品アイテムに関する情報を用いて,前記仮想空間における処理を実行する仮想空間処理部と,
前記物品アイテムに対応づけた物品に対する処理を実行する物品処理部と,を有しており,
前記アイテム情報登録処理部は,
前記物品アイテムに実社会の物品を対応づける場合に,前記物品に関する情報の登録も受け付け,前記アイテム情報記憶部において,前記物品アイテムに前記物品に関する情報を対応づけて記憶させ,
前記物品処理部は,
前記ユーザが利用するユーザ端末から,前記物品アイテムに対応づけた物品を売ることを示す情報の登録を受け付けると,
前記アイテム情報記憶部に記憶する物品アイテムに対応づけた物品に関する情報として,売ることを示す情報を記憶し,前記物品に関する情報として非公開で設定されている場合には,公開を示す情報に変更して記憶することで,前記物品がほかのユーザの検索処理において優先表示または検索対象とする,
ことを特徴とする物品管理システム。
【請求項2】
ユーザが所持する物品を管理する物品管理システムであって,
前記物品管理システムは,
仮想空間において前記ユーザに割り当てられた領域で前記ユーザが利用する物品アイテムを登録するアイテム情報登録処理部と,
前記物品アイテムに関する情報を記憶するアイテム情報記憶部と,
前記アイテム情報記憶部に記憶した前記物品アイテムに関する情報を用いて,前記仮想空間における処理を実行する仮想空間処理部と,
前記物品アイテムに対応づけた物品に対する処理を実行する物品処理部と,を有しており,
前記アイテム情報登録処理部は,
前記物品アイテムに実社会の物品を対応づける場合に,前記物品に関する情報の登録も受け付け,前記アイテム情報記憶部において,前記物品アイテムに前記物品に関する情報を対応づけて記憶させ,
前記物品処理部は,
前記ユーザが利用するユーザ端末から,そのユーザが購入したい物品の検索条件を受け付け,
前記検索条件に該当する物品があるかを前記アイテム情報記憶部から検索し,
前記該当した検索結果のうち,前記物品に関する情報として公開が設定されている物品を優先表示する,
ことを特徴とする物品管理システム。
【請求項3】
ユーザが所持する物品を管理する物品管理システムであって,
前記物品管理システムは,
仮想空間において前記ユーザに割り当てられた領域で前記ユーザが利用する物品アイテムを登録するアイテム情報登録処理部と,
前記物品アイテムに関する情報を記憶するアイテム情報記憶部と,
前記アイテム情報記憶部に記憶した前記物品アイテムに関する情報を用いて,前記仮想空間における処理を実行する仮想空間処理部と,
前記物品アイテムに対応づけた物品に対する処理を実行する物品処理部と,を有しており,
前記アイテム情報登録処理部は,
前記物品アイテムに実社会の物品を対応づける場合に,前記物品に関する情報の登録も受け付け,前記アイテム情報記憶部において,前記物品アイテムに前記物品に関する情報を対応づけて記憶させ,
前記物品処理部は,
前記ユーザが利用するユーザ端末から,そのユーザが購入したい物品の検索条件を受け付け,
前記検索条件に該当する物品があるかを,前記アイテム情報記憶部において前記物品に関する情報として公開が設定されているものから検索する,
ことを特徴とする物品管理システム。
【請求項4】
前記仮想空間処理部は,
前記仮想空間において,前記検索条件に該当した物品を所持するユーザの領域に,前記検索を行ったユーザを具現化したアバターを表示させ,各ユーザ間で前記アバターを介してメッセージの送受信を行わせることで,売買交渉を行わせる,
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の物品管理システム。
【請求項5】
ユーザが所持する物品を管理する物品管理システムであって,
前記物品管理システムは,
仮想空間において前記ユーザに割り当てられた領域で前記ユーザが利用する物品アイテムを登録するアイテム情報登録処理部と,
前記物品アイテムに関する情報を記憶するアイテム情報記憶部と,
前記アイテム情報記憶部に記憶した前記物品アイテムに関する情報を用いて,前記仮想空間における処理を実行する仮想空間処理部と,
前記物品アイテムに対応づけた物品に対する処理を実行する物品処理部と,を有しており,
前記アイテム情報登録処理部は,
前記物品アイテムに実社会の物品を対応づける場合に,前記物品に関する情報の登録も受け付け,前記アイテム情報記憶部において,前記物品アイテムに前記物品に関する情報を対応づけて記憶させ,
前記物品処理部は,
前記物品を売るユーザのユーザ端末から回収依頼の指示を受け付けることで,売り主となるユーザのユーザ識別情報と,買い主となるユーザのユーザ識別情報とに基づいて,各ユーザの属性情報を,ユーザ属性情報を記憶する所定の記憶領域から抽出し,
前記物品管理システムを管理する会社が利用する会社端末に,前記抽出した各ユーザ属性情報を送ることで,前記売り主となるユーザから前記買い主となるユーザに対して,前記回収依頼の対象となった物品の配送を行わせ,
前記アイテム情報記憶部において,前記売り主となったユーザの前記物品に対応づけられた物品アイテムの情報を削除する,
ことを特徴とする物品管理システム。
【請求項6】
ユーザが所持する物品を管理する物品管理システムであって,
前記物品管理システムは,
仮想空間において前記ユーザに割り当てられた領域で前記ユーザが利用する物品アイテムを登録するアイテム情報登録処理部と,
前記物品アイテムに関する情報を記憶するアイテム情報記憶部と,
前記アイテム情報記憶部に記憶した前記物品アイテムに関する情報を用いて,前記仮想空間における処理を実行する仮想空間処理部と,
前記物品アイテムに対応づけた物品に対する処理を実行する物品処理部と,を有しており,
前記アイテム情報登録処理部は,
前記物品アイテムに実社会の物品を対応づける場合に,前記物品に関する情報の登録も受け付け,前記アイテム情報記憶部において,前記物品アイテムに前記物品に関する情報を対応づけて記憶させ,
前記物品処理部は,
前記ユーザが利用するユーザ端末から,貸倉庫に預ける物品の選択を受け付け,
前記アイテム情報記憶部に記憶する物品アイテムに対応づけた物品に関する情報として,預けることを示す情報を記憶し,
前記ユーザのユーザ識別情報に基づいて,そのユーザの属性情報を,ユーザ属性情報を記憶する所定の記憶領域から抽出し,
前記物品管理システムを管理する会社が利用する会社端末に,前記抽出した各ユーザ属性情報を送ることで,回収依頼の対象となった物品を前記貸倉庫まで配送を行わせ,
前記アイテム情報記憶部において,前記配送した物品の所在場所の情報を貸倉庫に変更し,かつ前記物品が対応する物品アイテムを非表示に変更する,
ことを特徴とする物品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ユーザが所持する物品を管理する物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,インターネットでは,mixi,Facebook,LinkedInなどのSNSサイトに代表されるように,ユーザが積極的に情報の発信を行うことが通常となっている。そのため,従来は情報発信に抑制的であったユーザも,SNSサイトにおいてさまざまな書き込みを行ったり,画像の投稿を行っている。
【0003】
そしてたとえば下記非特許文献1に示すように,自らが居住する部屋を撮影し,その画像をウェブサイトに投稿することで,居住する部屋をほかの人に紹介するサービスがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】株式会社ネクスト,”お部屋写真投稿「ヘヤペタ」,[online],インターネット<URL:http://rent.homes.co.jp/heyapeta/>
【非特許文献2】ヤフー株式会社,”Yahoo!オークション”,[online],インターネット<URL:http://auctions.yahoo.co.jp/>
【非特許文献3】楽天株式会社,”楽天オークション”,[online],インターネット<URL:http://auction.rakuten.co.jp/>
【非特許文献4】Amazon.com International Sales, Inc.,”Amazon.co.jp”,[online],インターネット<URL:http://www.amazon.co.jp/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記非特許文献1に記載のウェブサイトでは自分の部屋の画像を投稿することができる。そのため,他人に自らが居住する部屋を紹介することはできるが,それ以外のことを行えるものではない。
【0006】
一方,近年,仮想空間において,アバターと呼ばれる自らの分身となるキャラクターを介して,ほかのユーザとコミュニケーションを取り,交流を深めるSNSがある。
【0007】
このようなサービスでは,仮想空間において,アバターによって自己が具現化されているので,単なるSNSよりも,より親近感を覚え,コミュニケーションが活発になりやすい利点がある。そして,このようなサービスでは,自分が持っている仮想的なアイテムをほかのユーザに知らせ,あるいはほかのユーザと当該アイテムを交換する,といったことも行われている。しかし,それはあくまでも仮想空間だけにおけるアイテムであって,実社会と結びついたものではない。
【0008】
このように,現在では,インターネットにおいて自分が居住する部屋の画像を紹介する,あるいは仮想空間における仮想的なアイテムを紹介する,といったシステムはあるものの,実社会と仮想空間とが結びついたシステムは存在しない。
【0009】
すなわち,自分が居住する部屋において実際に所持している物品の管理を行ったり,その物品を直接,売買するなどを行うことができない。また物品の売買を行うには,非特許文献2乃至非特許文献4に示すようなオークションサイトやショッピングサイトがあるが,これらのウェブサイトでは,ユーザが販売したい物品の情報を自主的に登録する必要がある。そのため,ユーザは,販売のために,改めて画像の登録等を行う必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明者は,ユーザが実社会で所持する物品を仮想空間のアイテムに結びつけることによって,実社会と仮想空間との関連性を持たせることができる物品管理システムを発明した。また,かかるシステムによって,ユーザがその物品を売りたい,買いたいという場合にも,改めて画像の登録等の処理を行うことなく,物品の売買を行うことができる。
【0011】
第1の発明は,ユーザが所持する物品を管理する物品管理システムであって,前記物品管理システムは,仮想空間において前記ユーザに割り当てられた領域で前記ユーザが利用する物品アイテムを登録するアイテム情報登録処理部と,前記物品アイテムに関する情報を記憶するアイテム情報記憶部と,前記アイテム情報記憶部に記憶した前記物品アイテムに関する情報を用いて,前記仮想空間における処理を実行する仮想空間処理部と,前記物品アイテムに対応づけた物品に対する処理を実行する物品処理部と,を有しており,前記アイテム情報登録処理部は,前記物品アイテムに実社会の物品を対応づける場合に,前記物品に関する情報の登録も受け付け,前記アイテム情報記憶部において,前記物品アイテムに前記物品に関する情報を対応づけて記憶させ,前記物品処理部は,前記ユーザが利用するユーザ端末から,前記物品アイテムに対応づけた物品を売ることを示す情報の登録を受け付けると,前記アイテム情報記憶部に記憶する物品アイテムに対応づけた物品に関する情報として,売ることを示す情報を記憶し,前記物品に関する情報として非公開で設定されている場合には,公開を示す情報に変更して記憶することで,前記物品がほかのユーザの検索処理において優先表示または検索対象とする,物品管理システムである。
【0012】
本発明によって,ユーザが実社会で所持する物品を仮想空間との関連性を持たせ,その管理を行うことができる。これによって,ユーザが所持する物品を,物品アイテムとしてほかのユーザに対して紹介することができる。また物品に関する情報として,実社会における物品の収納場所の情報も登録すれば,仮にユーザがその物品の収納場所を失念したとしても把握することができる。
【0014】
ユーザが所持する物品を売りたい場合には,本発明のように構成することで,それを行うことができる。そして物品に関する情報として公開での設定に変更することで,当該物品を検索条件としたほかのユーザからの優先表示または検索対象となる。
【0015】
第2の発明は,ユーザが所持する物品を管理する物品管理システムであって,前記物品管理システムは,仮想空間において前記ユーザに割り当てられた領域で前記ユーザが利用する物品アイテムを登録するアイテム情報登録処理部と,前記物品アイテムに関する情報を記憶するアイテム情報記憶部と,前記アイテム情報記憶部に記憶した前記物品アイテムに関する情報を用いて,前記仮想空間における処理を実行する仮想空間処理部と,前記物品アイテムに対応づけた物品に対する処理を実行する物品処理部と,を有しており,前記アイテム情報登録処理部は,前記物品アイテムに実社会の物品を対応づける場合に,前記物品に関する情報の登録も受け付け,前記アイテム情報記憶部において,前記物品アイテムに前記物品に関する情報を対応づけて記憶させ,前記物品処理部は,前記ユーザが利用するユーザ端末から,そのユーザが購入したい物品の検索条件を受け付け,前記検索条件に該当する物品があるかを前記アイテム情報記憶部から検索し,前記該当した検索結果のうち,前記物品に関する情報として公開が設定されている物品を優先表示する,物品管理システムである。
【0016】
第3の発明は,ユーザが所持する物品を管理する物品管理システムであって,前記物品管理システムは,仮想空間において前記ユーザに割り当てられた領域で前記ユーザが利用する物品アイテムを登録するアイテム情報登録処理部と,前記物品アイテムに関する情報を記憶するアイテム情報記憶部と,前記アイテム情報記憶部に記憶した前記物品アイテムに関する情報を用いて,前記仮想空間における処理を実行する仮想空間処理部と,前記物品アイテムに対応づけた物品に対する処理を実行する物品処理部と,を有しており,前記アイテム情報登録処理部は,前記物品アイテムに実社会の物品を対応づける場合に,前記物品に関する情報の登録も受け付け,前記アイテム情報記憶部において,前記物品アイテムに前記物品に関する情報を対応づけて記憶させ,前記物品処理部は,前記ユーザが利用するユーザ端末から,そのユーザが購入したい物品の検索条件を受け付け,前記検索条件に該当する物品があるかを,前記アイテム情報記憶部において前記物品に関する情報として公開が設定されているものから検索する,物品管理システムである。
【0017】
本発明によって,ユーザが実社会で所持する物品を仮想空間との関連性を持たせ,その管理を行うことができる。これによって,ユーザが所持する物品を,物品アイテムとしてほかのユーザに対して紹介することができる。また物品に関する情報として,実社会における物品の収納場所の情報も登録すれば,仮にユーザがその物品の収納場所を失念したとしても把握することができる。
ほかのユーザが所持する物品を買いたい場合には,これらの発明のように構成することで,それを行える。そして検索結果の表示の際には公開となっている物品を優先的に表示するほか,それのみを検索対象としてもよい。
【0018】
上述の発明において,前記仮想空間処理部は,前記仮想空間において,前記検索条件に該当した物品を所持するユーザの領域に,前記検索を行ったユーザを具現化したアバターを表示させ,各ユーザ間で前記アバターを介してメッセージの送受信を行わせることで,売買交渉を行わせる,物品管理システムのように構成することができる。
【0019】
従来のインターネット上での売買システムは,一般的には売り主と買い主との間で,単にメッセージがやりとりされるに過ぎなかった。しかし本発明のように自己を具現化したアバターを介してやりとりをすることで,お互いに親近感が湧き,従来よりも円滑にコミュニケーションを行うことができる。そのため,トラブルの発生の抑止にも繋がると考えられる。
【0020】
第5の発明は,ユーザが所持する物品を管理する物品管理システムであって,前記物品管理システムは,仮想空間において前記ユーザに割り当てられた領域で前記ユーザが利用する物品アイテムを登録するアイテム情報登録処理部と,前記物品アイテムに関する情報を記憶するアイテム情報記憶部と,前記アイテム情報記憶部に記憶した前記物品アイテムに関する情報を用いて,前記仮想空間における処理を実行する仮想空間処理部と,前記物品アイテムに対応づけた物品に対する処理を実行する物品処理部と,を有しており,前記アイテム情報登録処理部は,前記物品アイテムに実社会の物品を対応づける場合に,前記物品に関する情報の登録も受け付け,前記アイテム情報記憶部において,前記物品アイテムに前記物品に関する情報を対応づけて記憶させ,前記物品処理部は,前記物品を売るユーザのユーザ端末から回収依頼の指示を受け付けることで,売り主となるユーザのユーザ識別情報と,買い主となるユーザのユーザ識別情報とに基づいて,各ユーザの属性情報を,ユーザ属性情報を記憶する所定の記憶領域から抽出し,前記物品管理システムを管理する会社が利用する会社端末に,前記抽出した各ユーザ属性情報を送ることで,前記売り主となるユーザから前記買い主となるユーザに対して,前記回収依頼の対象となった物品の配送を行わせ,前記アイテム情報記憶部において,前記売り主となったユーザの前記物品に対応づけられた物品アイテムの情報を削除する,物品管理システムである。
【0021】
本発明によって,ユーザが実社会で所持する物品を仮想空間との関連性を持たせ,その管理を行うことができる。これによって,ユーザが所持する物品を,物品アイテムとしてほかのユーザに対して紹介することができる。また物品に関する情報として,実社会における物品の収納場所の情報も登録すれば,仮にユーザがその物品の収納場所を失念したとしても把握することができる。
また,本発明のように構成することで,売買が成立した物品について,売り主から買い主に対しての配送作業を,円滑に行うことができる。すなわち,売り主が所定の操作を行うだけで,売り主の元から当該物品を回収し,それを買い主の元に配送することができる。さらに,アイテム情報記憶部において,売り主が売った物品が対応する物品アイテムを削除することで,当該物品アイテムが仮想空間で表示されなくなり,実社会と仮想空間との関連性も維持することができる。
【0022】
第6の発明は,ユーザが所持する物品を管理する物品管理システムであって,前記物品管理システムは,仮想空間において前記ユーザに割り当てられた領域で前記ユーザが利用する物品アイテムを登録するアイテム情報登録処理部と,前記物品アイテムに関する情報を記憶するアイテム情報記憶部と,前記アイテム情報記憶部に記憶した前記物品アイテムに関する情報を用いて,前記仮想空間における処理を実行する仮想空間処理部と,前記物品アイテムに対応づけた物品に対する処理を実行する物品処理部と,を有しており,前記アイテム情報登録処理部は,前記物品アイテムに実社会の物品を対応づける場合に,前記物品に関する情報の登録も受け付け,前記アイテム情報記憶部において,前記物品アイテムに前記物品に関する情報を対応づけて記憶させ,前記物品処理部は,前記ユーザが利用するユーザ端末から,貸倉庫に預ける物品の選択を受け付け,前記アイテム情報記憶部に記憶する物品アイテムに対応づけた物品に関する情報として,預けることを示す情報を記憶し,前記ユーザのユーザ識別情報に基づいて,そのユーザの属性情報を,ユーザ属性情報を記憶する所定の記憶領域から抽出し,前記物品管理システムを管理する会社が利用する会社端末に,前記抽出した各ユーザ属性情報を送ることで,回収依頼の対象となった物品を前記貸倉庫まで配送を行わせ,前記アイテム情報記憶部において,前記配送した物品の所在場所の情報を貸倉庫に変更し,かつ前記物品が対応する物品アイテムを非表示に変更する,物品管理システムである。
【0023】
本発明によって,ユーザが実社会で所持する物品を仮想空間との関連性を持たせ,その管理を行うことができる。これによって,ユーザが所持する物品を,物品アイテムとしてほかのユーザに対して紹介することができる。また物品に関する情報として,実社会における物品の収納場所の情報も登録すれば,仮にユーザがその物品の収納場所を失念したとしても把握することができる。
また,本発明のように構成することで,ユーザが所持する物品を貸倉庫に預けることが容易に行える。これによって,ユーザの負担を軽減することができる。また,アイテム情報記憶部において,ユーザが預けた物品が対応する物品アイテムを非表示とすることで,当該物品アイテムが仮想空間で表示されなくなり,実社会と仮想空間との関連性も維持することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によって,実際にユーザが所有している物品を仮想空間においてアイテムとして仮想的に表示し,実社会と仮想空間との関連性を持たせることで,自己の部屋にある物品の管理を行うことができ,また,ユーザの自己を具現化したアバターを介して,ほかのユーザとコミュニケーションを行うことも可能となる。
【0025】
そして,ほかのユーザが興味を持った場合には,ユーザが所持する物品を売買することも可能となる。また,アバターを介してコミュニケーションを行いながら売買を行うことができるので,従来の単なるテキストベースでのコミュニケーションよりも,お互いに親近感を得られ,物の売買のトラブルの抑止に役立つ。
【0026】
また,ユーザにとっては物品を仮想空間においてアイテムとして仮想化することで,その物品を売買,預けるまたは預けた物品を持ってくるなどをしたい場合,そのアイテムを選択すれば,実社会においてその物を売買し,預け,または預けた物品を持ってくることが可能となる。そのため,コンピュータの操作に不慣れなユーザであっても,ゲーム感覚で直感的に操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の物品管理システムの概念を示す概念図である。
図2】本発明の物品管理システムのハードウェア構成の一例を模式的に示す概念図である。
図3】本発明の物品管理システムにおける初期設定の処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の物品管理システムにおける物品を売る処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の物品管理システムにおける物品を買う処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の物品管理システムにおける物品を預ける処理を示すフローチャートである。
図7】居住アイテムの一例を示す図である。
図8】アイテム情報記憶部の一例を示す図である。
図9】アイテム情報記憶部の別の一例を示す図である。
図10】居住アイテムに物品アイテムを配置した一例を示す図である。
図11】初期設定を行った状態の居住アイテムの一例を示す図である。
図12】ユーザ画面の一例を示す図である。
図13】アイテム情報記憶部の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の物品管理システム1のシステム構成の概念図を図1に示す。
【0029】
本発明の物品管理システム1は,ユーザに対して仮想空間における当該ユーザの家や事務所などのアイテム(以下,「居住アイテム」という)や,当該居住アイテム内に配置する,当該ユーザが所有する物品のアイテム(以下,「物品アイテム」という)を提供することでSNSサイトを提供する。また,当該物品アイテムに対応する実社会の物品の情報をサーバやコンピュータ(以下,「管理サーバ2」という)で管理する。
【0030】
また物品管理システム1は,ユーザが利用するユーザ端末3(コンピュータのほか,携帯電話,PHS,タブレット型コンピュータなどの可搬型通信端末を含む)と,インターネットなどのネットワークを介してデータの送受信が可能である。また物品管理システム1は,このシステムを管理する会社が利用するコンピュータ端末(会社端末4)と,インターネットなどのネットワークを介してデータの送受信が可能である。会社端末4では,物品管理システム1を利用するユーザのユーザ属性情報(たとえば氏名,住所,性別,年齢,電話番号や電子メールアドレスなどの連絡先などの各種の属性情報)を記憶している。このユーザ属性情報は,後述するように,ユーザに対して付与されるユーザ識別情報と対応づけている。なおユーザ属性情報は管理サーバ2で管理されていても良い。
【0031】
物品管理システム1は,プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と,情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置71と,演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置74とを有している。コンピュータ上で実現する各機能(各手段)は,その処理を実行する手段(プログラムやモジュールなど)が演算装置70に読み込まれることでその処理が実行される。各機能は,記憶装置71に記憶した情報をその処理において利用する場合には,該当する情報を当該記憶装置71から読み出し,読み出した情報を適宜,演算装置70における処理に用いる。当該コンピュータには,キーボードやマウスやテンキーなどの入力装置73を有していても良い。図2に物品管理システム1で用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示す。コンピュータには,さらに,ディスプレイ(画面)などの表示装置72を備えていることが好ましい。またコンピュータは,複数台に,その機能が分散配置されていても良い。
【0032】
本発明における各手段は,その機能が論理的に区別されているのみであって,物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。
【0033】
物品管理システム1は,アイテム情報登録処理部20とアイテム情報記憶部21と仮想空間処理部22と仮想空間情報記憶部23と物品処理部24とを有する。
【0034】
アイテム情報登録処理部20は,ユーザが仮想空間において利用する居住アイテムやその居住アイテム内に設置する物品アイテムを登録する処理を行う。
【0035】
まずユーザは,ユーザが利用したい居住アイテムを複数の候補の中から選択する。たとえば図7に示すような居住アイテムを選択する。図7の居住アイテムは,当該ユーザを具現化したアバターが生活するための空間である家を示すアイテムである。また,ユーザが法人の場合には,家のアイテムのほかに,会社や事務所を示す居住アイテムを選択しても良い。
【0036】
そしてユーザは,居住アイテムに配置する物品アイテムを選択する。選択する物品としては,日常的に家や事務所に存在する物品,たとえば家具や家電製品などのほか,各種インテリアを仮想化したアイテムがある。そして選択した物品アイテムを居住アイテム内に配置していく。この際に,実際に当該ユーザが実社会で所持している物品に対応する物品アイテムについては,その物品に関する情報も登録する。ここで登録する物品の情報としては,たとえば物品の画像,型式,大きさ,色,実社会における当該物品の収納場所などの各種情報を登録する。
【0037】
アイテム情報記憶部21は,物品情報登録処理部で登録処理が行われたアイテムについて記憶する。たとえばユーザ毎に,利用しているアイテムの識別情報,当該アイテムの居住アイテムにおける配置場所を示す情報(たとえば仮想空間における座標情報),当該アイテムに対応づけられた実社会の物品の情報,フラグの情報などがある。図8にアイテム情報記憶部21の一例を示す。図8のアイテム情報記憶部21では,ユーザ「11111」が利用しているアイテムの情報の一部を示している。たとえばユーザが利用しているアイテムの識別情報,アイテムの名称,アイテムに対応づけた実社会における物品を売,買,預けるなどを示すフラグ,当該アイテムに対応づけた実社会の物品の情報(たとえば画像ファイルの所在場所を示す情報,型式,大きさ,色,収納場所)などの情報が記憶されている。
【0038】
このように,実社会の物品の情報が対応づけて記憶されていることで,その物品アイテムを選択すれば,その物品をどこに仕舞ったかをユーザは確認することができる。そのため,ユーザが物品をどこに仕舞ったかを失念した場合,物品アイテムから収納場所を確認することができる。
【0039】
仮想空間処理部22は,アイテム情報記憶部21に記憶したアイテム情報と,後述する仮想空間情報記憶部23に記憶したアイテムの情報に基づいて,アバターを用いたSNSのプログラムを実行する。このSNSとしては公知のSNSと同様の処理を実行すればよい。
【0040】
仮想空間情報記憶部23は,SNSの各種処理に必要な情報,たとえば居住アイテムや物品アイテムなど,SNSを実行するために必要な各種の制御プログラムやアイテムなどの画像情報を記憶する。たとえば居住アイテムや各物品アイテムの画像情報などを識別情報に対応づけて記憶している。
【0041】
物品処理部24は,ユーザが物品アイテムに対応づけた実社会の物品に対する処理を行う。たとえば,ユーザが物品アイテムに対応づけた物品を売りたいと考えた場合の処理,またはユーザがほかのユーザが所持している物品を買いたいと考えた場合の処理を実行する。また,物品処理部24は,物品の売買処理または物品を預ける処理において,当該物品を回収するための処理を実行する。
【0042】
次に本発明の処理を実行するための処理プロセスの一例を図3乃至図6のフローチャートを用いて説明する。図3は初期設定処理,図4は物品を売る場合の処理,図5は物品を買う場合の処理,図6は物品を貸倉庫に預ける場合の処理である。
【0043】
ユーザが本発明の物品管理システム1を利用する場合には,ユーザはユーザ端末3で所定の操作を行うことによりユーザ登録の処理を行う。ユーザ登録処理としては,当該ユーザの属性情報(氏名,住所,性別,年齢,電話番号や電子メールアドレスなどの連絡先などの各種の属性情報)を登録する。ここで登録したユーザ属性情報は,会社端末4など,所定の記憶領域に記憶される。なお,記憶の際には,ユーザを識別可能なユーザ識別情報を付与し,そのユーザ識別情報に対応づけて記憶させると良い。また,ユーザ属性情報は,会社端末4以外で記憶しても良く,たとえば管理サーバ2で記憶しても良い。
【0044】
以上のようにしてユーザ登録処理を行うと,次に,SNSの仮想空間における,当該ユーザを具現化したアバターを設定するとともに,当該アバターの活動の拠点となる空間を設定するための初期設定処理を行う必要がある。初期設定処理を行う場合を図3のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
ユーザは仮想空間で利用する自らを具現化したキャラクターであるアバターをまず設定する。アバターの設定は公知の方法と同じように,年齢,性別,顔のパーツの特徴,服装などを適宜選択することで設定する。
【0046】
そして次にSNSにおける当該アバターが利用する仮想空間の設定,すなわち当該ユーザのアバターの拠点となる居住アイテムおよび居住アイテム内に配置する物品アイテムを設定する(S100,S110)。
【0047】
まずユーザはユーザ端末3で所定の操作を行うことで,あらかじめ物品管理システム1の仮想空間情報記憶部23に記憶されている居住アイテムの中からユーザが希望する居住アイテムの選択を受け付け,それを当該ユーザの居住アイテムとして設定する。ここで設定した情報は,ユーザ識別情報に対応づけてアイテム情報記憶部21に記憶させる。
【0048】
つぎに,当該ユーザの居住アイテム内に配置する物品アイテムを,ユーザ端末3からの操作を受け付けることで設定する。物品アイテムとしては,たとえば家具や家電,植物,インテリアなどさまざまなものがある。ユーザとしては実社会とは何ら関係のない物品アイテムを設定しても良いが,実社会との関連性を持たせるため,実際にユーザが所持している物品に対応する物品アイテムを選択すると,物品管理システム1における利便性が高められる。
【0049】
ユーザが実社会で所持している物品に対応する物品アイテムを選択する場合,物品アイテムを選択する際に,あわせて当該選択した物品アイテムに対応づけて,実社会における当該物品の情報の入力も受け付ける。この場合に受け付ける情報としては,たとえば型式,大きさ,色,実社会における当該物品の収納場所などの情報のほか,当該物品を撮影した画像ファイルを受け付けても良い。
【0050】
たとえば物品アイテムとして,液晶テレビ(アイテム識別情報「CCCCC」,アイテム名称「液晶テレビ」)を選択した場合,その型式として「○○社製 36L−400XT」,大きさとして「幅1029mm×高さ704mm×奥行き334mm」,色として「黒」,収納場所として「リビング」といった情報と,当該液晶テレビを撮像した画像ファイル「TV1.jpg」を受け付ける。
【0051】
このようにして受け付けた物品アイテムを,ユーザはユーザ端末3で所定の操作を行うことにより,居住アイテム内の所望の場所に配置する。この配置により,当該居住アイテム内における当該物品アイテムの配置場所の座標情報が特定される。このようにして設定した物品アイテムの情報は,アイテム情報登録処理部20で受け付け,アイテム情報記憶部21に記憶される。
【0052】
以上のような処理を複数回行うことで,ユーザは居住アイテム,物品アイテムを適宜,設定する。この状態の物品管理システム1の一例を図9に示す。
【0053】
また,各物品アイテムのうち,その物品アイテムに対応づけられた実社会の物品の情報を公開するか否かを示す「公開」,「非公開」の設定を受け付ける(S120)。これによって,居住アイテム内に配置した物品アイテムに対応づけた実社会における物品の情報をほかのユーザに公開したくない場合には,「非公開」に設定すれば,ほかのユーザには物品アイテムのみが表示され,物品アイテムに対応する実社会の物品の情報は表示されない。
【0054】
また物品アイテムをほかの物品アイテムの中に配置することもできる。この場合,アイテム情報記憶部21における配置場所としては「非表示」のように設定すればよい。
【0055】
以上のような処理を行うことで,初期設定処理を行える。このようにして初期設定された居住アイテムの一例を図10に示す。また図11(a),(b)に,初期設定を行った居住アイテムの別の表示例を示す。図11(a),(b)では居住アイテムのうち,一つの部屋の表示例である。
【0056】
またユーザが初期設定を行うことで,図12に示すようなユーザ画面が設定される。これはユーザが利用する画面であって,たとえば,ユーザ画面において日記(ブログ)を登録する(図12のA),ユーザが登録した物品アイテムのうち,物品アイテムに対応づけた実社会の物品の情報を表示する(図12のB),レコメンドなどの各種お知らせ(図12のC)などの各種の情報が表示される。図12のAに表示するブログについては,公知のブログを実行するモジュールを組み込めばよい。また,図12のBには,アイテム情報記憶部21に記憶する当該ユーザが配置した物品アイテムに,実社会の物品が対応づけられている場合の物品の画像情報と,その物品を選択可能にするためのチェックボックスなどが表示される。このチェックボックスをユーザが選択することで,その物品に対するユーザの操作を受け付ける。たとえば,「物品を売る」,「物品を預ける(回収依頼をする)」といった操作がある。
【0057】
以上のような設定後,仮想空間処理部22での処理によって,ユーザは通常のSNSと同様に,ほかのユーザと交流を行うことができる。すなわち当該ユーザのアバターでほかのユーザのところに行く,あるいはほかのユーザを自分のところ(自分の居住アイテム)に招待する,など,あらかじめ設定されている仮想空間処理部22で設定されているさまざまな処理を行うことができる。これは公知のアバターを用いたSNSと同様の処理で実行できる。
【0058】
つぎに,当該ユーザが物品を売りたい場合の処理を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0059】
ユーザが仮想空間の居住アイテムに配置している物品アイテムを売りたい場合には,図12に示すようなユーザ画面において,たとえば図12のBの箇所に表示している物品の画像付近にあるチェックボックスを選択し,所定の操作(たとえばプルダウンメニューを表示し,そこから選択するなど)を行うことで,選択した物品に対して「売る」を選択する(S200)。選択された物品(物品の対応する物品アイテムの識別情報)および当該物品に対する処理の情報をユーザ端末3から管理サーバ2に送り,それを管理サーバ2の物品処理部24で受け付ける。またこの際に,ユーザ識別情報も併せて受け付ける。
【0060】
そしてつぎに,当該ユーザ端末3から当該物品を売る場合の価格の設定の情報の入力を受け付ける(S210)。物品処理部24は,選択された物品の対応するアイテム識別情報,ユーザ識別情報などに基づいて,アイテム情報記憶部21に当該物品について「売」のフラグを記憶する(S220)。この際に,入力を受け付けた価格の情報も対応づけて記憶させる。
【0061】
また,当該物品が「非公開」として設定されている場合には(S230),それを「公開」に変更する(S240)。
【0062】
上述の処理を具体例を用いて説明する。たとえばユーザが図12のBに表示している物品アイテムに対応づけた物品のうち,「液晶テレビ」を売りたい場合には,そのチェックボックスを選択し,選択した物品「液晶テレビ」に対して「売る」を選択することで,物品アイテムの識別情報「CCCCC」と「売る」の情報とユーザ識別情報「11111」がユーザ端末3から管理サーバ2に送られ,それを管理サーバ2の物品処理部24で受け付ける。また当該液晶テレビを売りたい価格,たとえば「5000円」がユーザ端末3で入力されると,それを管理サーバ2の物品処理部24で受け付ける。
【0063】
物品処理部24は,ユーザ端末3から受け付けた,ユーザ識別情報「11111」および物品アイテム識別情報「CCCCC」に基づいて,フラグとして「売」を記憶し,また価格として「5000円」の情報をアイテム情報記憶部21に記憶させる。なお,図9においては物品「液晶テレビ」は「公開」に設定されているので,変更をせずとも良い。
【0064】
この状態のアイテム情報記憶部21の一例が図13である。
【0065】
以上のようにアイテム情報記憶部21を変更すると,当該物品アイテムに対応づけられた物品が売られている物品として管理され,後述する物品を買う処理を行ったユーザの検索処理で優先的に表示されることとなる。なお,優先的に表示するほか,検索対象から除外をすることとしても良い。
【0066】
またそれ以外にも,たとえばSNSを利用し,ユーザ識別情報「11111」の居住アイテムを,ほかのユーザのアバターが訪れ,その居住アイテム内に配置されている物品アイテム「液晶テレビ」の属性を閲覧する処理を見た場合に,仮想空間処理部22は,アイテム情報記憶部21に記憶している当該物品アイテム「液晶テレビ」に対応づけられた情報を表示する。その結果,当該ほかのユーザに当該物品アイテム「液晶テレビ」が売られていることや価格も表示されるので,その場で気に入れば,仮想空間処理部22におけるSNSのアバター同士のチャットなどにより,価格交渉を行うこともできる。
【0067】
つぎに,当該ユーザがほかのユーザから物品を買いたい場合の処理を図5のフローチャートを用いて説明する。
【0068】
ユーザが,ほかのユーザから自らが所望する物品を買いたい場合には,図12に示すようなユーザ画面において,たとえば図12のCの箇所に表示している「買いたい物検索」の欄に,検索条件を入力する。たとえばユーザが液晶テレビを買いたい場合には,入力欄に「液晶テレビ」を入力する。そのほかにも,メーカー,型式,色,大きさなどさまざまな検索条件の入力ができる。
【0069】
検索条件の入力を受け付けた物品処理部24は(S300),当該検索条件に該当する物品があるかをアイテム情報記憶部21を検索する。この場合,たとえば「液晶テレビ」に該当する情報が含まれている物品アイテムおよび/または物品の情報を検索し,抽出する(S310)。なお,「非公開」となっている物品アイテムおよび/または物品の情報は検索から除外する。このようにして検索した検索結果を,物品処理部24はユーザ端末3に表示をさせる。
【0070】
ユーザ端末3に検索結果を表示をさせる前に,検索結果のうち,フラグが「売」になっている情報を,フラグが「売」ではない情報よりも優先的に上位に表示する(S320)。また,最上位の一件の物品の画像情報や属性情報を図12のCのように表示しても良い。
【0071】
なお,以上の検索はユーザが検索条件を入力し,それに基づいて検索をする場合であったが,あらかじめ欲しい物リストとして登録をしておき,その欲しい物リストにおける検索条件を任意のタイミングで物品処理部24が検索をし,それに基づく検索結果を図12のCのように表示しても良い。
【0072】
さらに当該ユーザのアイテム情報記憶部21に記憶する実社会の物品の情報を特定し,当該物品と同一の物品を所持しているほかのユーザが所持している物品を,物品処理部24がアイテム情報記憶部21から検索をし,それに基づく検索結果を図12のCのように表示しても良い。
【0073】
以上のような検索結果から,ユーザが当該物品を購入したい場合には,たとえば当該検索結果の画像を選択するなどにより,当該物品の所持者に対するコンタクトを受け付ける(S330)。たとえばこのコンタクトとしては,物品処理部24が,電子メールによるメッセージの入力を受け付けそれを相手方のユーザに対して通知をする,あるいは検索結果の画像を選択することで仮想空間処理部22におけるSNSが起動し,当該検索結果の画像に対応づけられた相手のユーザの識別情報に基づき,SNSの自らのアバターが,当該相手方の居住アイテムまで訪れ,そこでチャットにより,直接メッセージを送受信するなどの方法がある。
【0074】
このようにしてコンタクトを取った結果,条件が一致しなかった場合には(S340),次の検索結果により別の人にコンタクトをする場合には(S350),上記と同様の処理を実行する。一方,断念する場合には売買不成立としてそのまま処理を終了する(S360)。
【0075】
一方,コンタクトを取った結果,条件が一致した場合には(S340),売買が成立するので(S370),売った側(相手のユーザ)がそのユーザ端末3で所定の操作を行うことで,管理サーバ2に対して回収依頼の指示を行う。たとえば,仮想空間処理部22のSNSにおいて物品アイテムを選択し,売れたことおよび回収依頼を行う選択をすることで,それらの情報を受け付けた物品処理部24は,管理サーバ2を管理する会社の会社端末4に通知を行う(S380)。この通知では,当該相手方のユーザのユーザ識別情報と,売れた物品が対応付けられた物品アイテムの識別情報と,当該ユーザ(買ったユーザ)のユーザ識別情報などが送られる。このユーザ識別情報に基づいて,管理する会社で管理しているユーザの属性情報(たとえば氏名,住所,電話番号,電子メールアドレスなどの情報)を特定し,トラックなどで回収を行う。すなわち,売ったユーザのユーザ宅を訪れて売れた物品を回収し(S390),買ったユーザのユーザ宅へ配送を行う(S400)。
【0076】
そして配送完了後,配送が終了したことを会社端末4から登録すると,当該相手方のユーザのユーザ識別情報に基づいて,そのユーザの物品アイテムをアイテム情報記憶部21から削除する。そして当該ユーザ(買ったユーザ)が次にログインしたときに,新たに物品アイテムを登録することを,アイテム情報登録処理部20が買ったユーザのユーザ端末3に通知をして促す。この場合,上述で削除した物品アイテムおよびそれに対応づけられた実社会の物品の情報(たとえば画像情報,型式,大きさ,色など)を一時的に記憶しておき,買ったユーザが,居住アイテム内に当該物品アイテムを配置すれば,一時記憶した実社会の物品の情報もそのまま買ったユーザの物品アイテムに対応づけて実社会の物品の情報として記憶しても良い。
【0077】
以上のような処理を実行することで,物品を買うことができる。また売ったユーザが登録した実社会の物品の情報の一部または全部や物品アイテムについて,買ったユーザにも引き継ぐことで,実社会とSNSとを連動させるとともに,買ったユーザの入力の負担も軽減させる。
【0078】
つぎに,当該ユーザが保管している物品を貸倉庫などに預ける場合を図6のフローチャートを用いて説明する。なお,本発明において貸倉庫とは,物品を保管するために賃貸するスペースであり,レンタルスペース,トランクスペースなど各種のサービスが含まれる。
【0079】
ユーザが仮想空間の居住アイテムに配置している物品アイテムに対応する実社会の物品を,貸倉庫に預けたい場合には,図12に示すようなユーザ画面において,たとえば図12のBの箇所に表示している物品の画像付近にあるチェックボックスを選択し,所定の操作(たとえばプルダウンメニューを表示し,そこから選択するなど)を行うことで,選択した物品に対して「預ける」を選択する(S500)。選択された物品(物品の対応する物品アイテムの識別情報)および当該物品に対する処理の情報をユーザ端末3から管理サーバ2に送り,それを管理サーバ2の物品処理部24で受け付ける。またこの際に,ユーザ識別情報も併せて受け付ける。
【0080】
つぎに物品処理部24は,選択された物品の対応するアイテム識別情報,ユーザ識別情報などに基づいて,アイテム情報記憶部21に当該物品について「預ける」のフラグを記憶する(S510)。
【0081】
そして物品処理部24は,ユーザ識別情報,アイテム識別情報と物品の回収依頼があったことを会社端末4に通知する(S520)。会社端末4では,このユーザ識別情報に基づいて,管理する会社で管理しているユーザの属性情報(たとえば氏名,住所,電話番号,電子メールアドレスなどの情報)を特定し,トラックなどで回収を行う。そして回収後,当該ユーザに対して割り当てられた貸倉庫の場所に収納する。
【0082】
そして作業完了後,貸倉庫への預け入れが終了したことを管理会社のコンピュータから登録すると,当該ユーザのユーザ識別情報に基づいて,そのユーザの物品アイテムの収納場所の情報を「貸倉庫」に変更する(S530)。また,配置場所も非表示とする。これによって,当該ユーザの居住アイテムから当該物品アイテムの表示がなくなり,実社会と同様に,物品アイテムの表示を連動させることができる。
【0083】
以上のような処理を実行することで,物品を預けることができる。
【0084】
一方,預けた物品を回収する場合には逆の処理を行えばよい。すなわち図12に示すようなユーザ画面において,たとえば図12のBの箇所に表示している物品の画像付近にあるチェックボックスを選択し,所定の操作(たとえばプルダウンメニューを表示し,そこから選択するなど)を行うことで,選択した物品に対して「持ってくる」を選択する。選択された物品(物品の対応する物品アイテムの識別情報)および当該物品に対する処理の情報をユーザ端末3から管理サーバ2に送り,それを管理サーバ2の物品処理部24で受け付ける。またこの際に,ユーザ識別情報も併せて受け付ける。
【0085】
つぎに物品処理部24は,選択された物品の対応するアイテム識別情報,ユーザ識別情報などに基づいて,アイテム情報記憶部21に当該物品について「預ける」のフラグを削除する。
【0086】
そして物品処理部24は,ユーザ識別情報,アイテム識別情報と物品の回収依頼があったことを会社端末4に通知する。会社端末4では,このユーザ識別情報に基づいて,管理する会社で管理しているユーザ識別情報に基づいて,ユーザの属性情報(たとえば氏名,住所,電話番号,電子メールアドレスなどの情報)を特定し,トラックなどで貸倉庫に行き当該物品を取り出してくる。そして,当該ユーザの自宅まで配送する。
【0087】
そして作業完了後,自宅への配送が終了したことを管理会社のコンピュータから登録すると,当該ユーザのユーザ識別情報に基づいて,そのユーザの物品アイテムの収納場所の情報の入力をユーザ端末3において促し,その入力を受け付ける。受け付けた情報に基づいて,収納場所を,「貸倉庫」から入力を受け付けた情報に変更する。また,上記の入力と併せて,物品アイテムの配置場所の入力も受け付け,受け付けた場所の座標情報を配置場所として記憶させる。これによって,当該ユーザの居住アイテムで当該物品アイテムの表示を再度行え,実社会と同様に,物品アイテムの表示を連動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明によって,実際にユーザが所有している物品を仮想空間においてアイテムとして仮想的に表示し,実社会と仮想空間との関連性を持たせることで,自己の部屋にある物品の管理を行うことができ,また,ユーザの自己を具現化したアバターを介して,ほかのユーザとコミュニケーションを行うことも可能となる。
【0089】
そして,ほかのユーザが興味を持った場合には,ユーザが所持する物品を売買することも可能となる。また,アバターを介してコミュニケーションを行いながら売買を行うことができるので,従来の単なるテキストベースでのコミュニケーションよりも,お互いに親近感を得られ,物の売買のトラブルの抑止に役立つ。
【0090】
また,ユーザにとっては物品を仮想空間においてアイテムとして仮想化することで,その物品を売買,預けるまたは預けた物品を持ってくるなどをしたい場合,そのアイテムを選択すれば,実社会においてその物を売買し,預け,または預けた物品を持ってくることが可能となる。そのため,コンピュータの操作に不慣れなユーザであっても,ゲーム感覚で直感的に操作を行うことができる。
【符号の説明】
【0091】
1:物品管理システム
2:管理サーバ
3:ユーザ端末
4:会社端末
20:アイテム情報登録処理部
21:アイテム情報記憶部
22:仮想空間処理部
23:仮想空間情報記憶部
24:物品処理部
70:演算装置
71:記憶装置
72:表示装置
73:入力装置
74:通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13