(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の実施の形態では特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0025】
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0026】
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
【0027】
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0028】
また、以下の実施の形態において、構成要素等について、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲等についても同様である。
【0029】
以下、本発明の実施の形態(以降、実施形態ともいう)を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0030】
なお、以下の実施形態では、部品の一例として電子部品を取り上げ、かつ上記電子部品を実装する被実装部材の一例として基板(プリント基板、配線基板)を取り上げ、したがって、部品を基板に実装する部品実装装置を取り上げて説明する。
【0031】
また、各実施形態(各図面)において、X軸およびY軸のそれぞれの方向は、水平方向と平行な方向であり、XY軸系という場合は、水平方向に平行な平面におけるX軸系とY軸系とを表している。さらに、水平方向のθ回転系という場合は、水平方向に平行な平面における回転系を表している。なお、X軸とY軸の関係は、お互いが入れ替わってもよい。
【0032】
また、各実施形態(各図面)において、Z軸の方向は、垂直方向であり、Z軸系という場合は、垂直方向に平行な平面におけるX軸系を表している。
【0033】
<実施形態1>
図1は本発明の実施形態1の部品実装装置の構造の一例を示す平面図、
図2は
図1に示すA−A線に沿って切断した構造を示す断面図、
図3は
図1に示す部品実装装置の部品実装部の構造の一例を示す側面図である。
【0034】
図1に示す本実施形態1の部品実装装置の構成について説明する。上記部品実装装置の本体100は、
図3に示す部品320を供給する部品供給部112と、本体100に接続され、かつY軸方向に移動可能なビーム部110と、ビーム部110に搭載され、かつビーム部上をX軸方向に移動可能な部品実装部111とを有している。
【0035】
なお、X軸およびY軸は、水平方向に沿った平面上の直交座標系を形成するものである。
【0036】
また、部品実装部111には、
図3に示すように、部品(電子部品)320を保持し、かつ保持された部品320をその実装対象部材である
図1に示す基板(プリント基板、配線基板)101に搭載するノズル(保持部)300が設けられている。ノズル300は、例えば、真空吸着によって部品320を吸着保持する。
【0037】
すなわち、部品実装部111には、Z軸方向に昇降自在なノズル300が設けられており、さらにノズル300は、その先端部300aの先端面300bに部品320を吸着保持する機能を有している。なお、Z軸は、垂直方向の座標軸であり、部品実装装置では、ノズル300が昇降動作を行う方向である。ここでは、Z軸の一方の方向である第1方向を上方とし、Z軸における第1方向と反対の方向である第2方向を下方としている。
【0038】
また、
図2に示すように、本体100には、通過する部品実装部111を真下から撮像する本体カメラ113と、基板101をX軸方向に搬送する基板搬送部114とが設けられている。基板搬送部114は、部品実装部111が部品320を搭載可能な場所に対応させて基板101を位置決めする。
【0039】
これにより、部品供給部112に設けられたノズル300によって、部品320を吸着保持して部品供給部112から取り出し、ノズル300によって部品320を吸着保持した状態で基板搬送部114に載置された基板101の所定箇所上に部品320を搬送する。そして、ノズル300を下降させて基板101の上記所定箇所に部品320を実装する。この時、部品実装部111の移動は、
図1に示すように、ビーム部110がY軸方向に移動すること、およびビーム部110上に搭載された部品実装部111がX軸方向に移動することで行われる。
【0040】
なお、上記所定箇所とは、基板101における部品320を搭載すべき端子のことである。
【0041】
また、部品実装部111が移動する際、本体カメラ113の上を通過させることで、移動中の部品実装部111をその下方から本体カメラ113によって撮像する。これにより、移動中の部品実装部111を認識することができ、移動時の部品実装部111自身の位置を補正することができる。
【0042】
また、
図2に示すように、本体100は、その内部に部品320の実装動作を制御する制御部(処理部)200が設けられている。
【0043】
そして、本体100において、ビーム部110と部品実装部111は、基板101と、部品供給部112と、本体カメラ113とよりも高い位置(上方の位置)に配置され、Z軸上で干渉しない位置に配置されている。
【0044】
したがって、部品実装部111は、部品実装装置のX軸とY軸からなる作業平面上(直交座標系が形成された平面上)において任意の位置に移動することができる。そして、所定箇所に移動した部品実装部111は、この部品実装部111に設けられた、部品320を保持したノズル300をZ軸方向に上下動(昇降)させることで、基板101に部品320を実装する。
【0045】
なお、
図1および
図2に示すように、部品実装装置には、本体100のY軸方向において、基板搬送部114の左右両側に、部品供給部112と、ビーム部110と、部品実装部111と、本体カメラ113とがそれぞれ1つずつ設けられている。したがって、基板搬送部114の左右両側から交互に基板101に対して部品実装処理を行うことができ、その結果、上記部品実装処理を効率良く行うことができる。
【0046】
次に、
図3に示す部品実装部111の構成について説明する。
【0047】
部品実装装置の部品実装部111は、
図3に示すように、Z軸方向に沿って昇降が可能なように設けられたノズル300と、ノズル300を部品実装部111の中心軸まわりに回転させるノズル回転機構301とを有している。さらに、部品実装部111には、本体カメラ113によって部品実装部111の位置を下方から認識するための基準マーク302が形成されている。なお、ノズル300は、真空吸着等によって部品320を保持するものである。
【0048】
また、部品実装部111には、ノズル300の先端部300aに対して水平方向に沿った方向に配置され、ノズル300により保持された部品320を撮像する第1のカメラ(第1の撮像部)310が設けられている。さらに、第1のカメラ310よりノズル300の基端部300cの方向である上方(第1方向)340に配置され、ノズル300により保持された部品320に対して光軸311aを傾けて部品320を撮像する第2のカメラ(第2の撮像部)311が設けられている。
【0049】
詳細には、第1のカメラ310は、その光軸310aの中心がノズル300の先端部300aの先端面300b付近を通り、ノズル300を横から撮像するものである。したがって、第1のカメラ310は、ノズル300の先端部300aの先端面300bに対して水平方向に設けられていることが好ましい。
【0050】
第1のカメラ310は、ノズル300の先端面300bに対して水平方向の位置に設けられていることにより、ノズル300に保持された部品320を真横から撮像することができ、Z軸方向のずれ量の補正を行わなくて済む。その結果、位置ずれの補正を容易に行うことができる。
【0051】
また、第2のカメラ311は、第1のカメラ310よりも上方340の位置に配置され、光軸311aの中心が、ノズル300の先端部300aの先端面300b付近を通るように設けられている。つまり、ノズル300によって保持された部品320を、第1のカメラ310より上方340の位置(斜め上)から光軸311aが傾くように撮像する。言い換えると、第2のカメラ311は、ノズル300によって保持された部品320をその斜め上方340から俯瞰で撮像するものである。
【0052】
なお、第2のカメラ311の水平面内の基準線360に対する光軸311aの角度を第2のカメラ取付角度330とする。
【0053】
ここで、本実施形態1の部品実装装置では、部品実装部111のノズル300は、1つの部品実装部111に対して複数搭載されていてもよく、さらに、中心軸まわりに回転する構成としてもよい。
【0054】
次に、部品実装装置の
図2に示す制御部(処理部)200について説明する。
【0055】
制御部200では、第1のカメラ310および第2のカメラ311が撮像した画像を用いて、ノズル300により保持された部品320の、水平面上のXY軸系(直交座標系)の位置ずれと、上記水平面上の回転系の位置ずれとを認識する処理を行う。
【0056】
すなわち、ノズル300により保持された部品320を第2のカメラ311によって斜め上方340から俯瞰(あおり)で撮像することで、部品320のXY軸系の位置ずれだけでなく、水平面上の回転系の位置ずれも認識することができる。
【0057】
したがって、本実施形態1の部品実装装置は、制御部200の認識結果に基づいて、ノズル300により保持された部品320のXY軸系と回転系の位置を制御部200によって補正してから部品320を基板101に実装するものである。つまり、部品320を基板101に搭載する直前に部品320のXY軸系と回転系の位置を制御部200によって認識・位置補正し、その後、基板101に部品320を搭載する。
【0058】
次に、部品実装装置における制御系について説明する。
【0059】
図4は
図1に示す部品実装装置の制御系の構造の一例を示す構成図である。
【0060】
部品実装装置の制御部200は、部品実装装置の生産動作を制御するシーケンス処理部410と、カメラによって撮像した画像の処理を行う画像処理部411と、各駆動部の制御処理を行う制御処理部412と、から構成されている。
【0061】
ここで、画像処理部411は、部品実装部111に搭載される全てのカメラと接続されている。本実施形態1では、画像処理部411は、第1のカメラ310と、第2のカメラ311とに接続されている。そして、後述の方法により、部品実装部111のノズル300に対する部品320のXY軸系の平面上の位置のずれ量や、部品320のZ軸まわりの回転角度を算出し、出力する。
【0062】
さらに、画像処理部411は、本体100に搭載される全ての本体カメラ113とも接続されており、部品実装部111のXY軸系の平面上の位置のずれ量を算出し、出力する。
【0063】
一方、制御処理部412は、XY駆動部400と、Zθ(Z軸方向と回転)駆動部401と、シーケンス処理部410と、画像処理部411とに接続されている。そして、部品実装装置の動作における部品実装部111のXY方向の位置決め制御と、ノズル300のZθ方向の位置決め制御とを行う。
【0064】
なお、XY駆動部400は、部品実装部111を移動させるために、ビーム部110をY軸方向に駆動させ、かつ部品実装部111をX軸方向に駆動させるものである。さらに、Zθ駆動部401は、部品実装部111に搭載され、かつノズル300をZ軸方向もしくは部品実装部111の中心軸まわりの回転方向(θ方向)に駆動させるものである。
【0065】
また、制御処理部412には、画像処理部411から出力される部品実装部111のノズル300に対する部品320のXY軸系の平面上の位置のずれ量と、部品実装部111のXY軸系の平面上の位置のずれ量とが入力される。そして、後述の方法により、制御処理部412は、部品実装部111を駆動させ、部品320の実装位置の補正を行う。
【0066】
次に、
図1〜
図5を用いて部品実装装置における実装処理の手順について説明する。
【0067】
図5は
図1に示す部品実装装置における実装動作の1サイクルの一例を示すフロー図である。なお、
図5において、向かって左側の破線内は、部品実装部111の動作を示し、向かって右側の破線内は、部品実装装置に搭載される全てのカメラ(本体カメラ113、第1のカメラ310および第2のカメラ311等)の認識動作を示している。
【0068】
まず、部品実装装置は、部品実装部111を部品供給部112の所定位置に移動させ(S500)、部品供給部112から供給される部品320を、ノズル300を用いて吸着保持する(S501)。
【0069】
この時、第1のカメラ310は、ノズル300によって部品320を保持した後、ノズル300と部品320とを水平方向から撮像し、撮像画像を画像処理部411に転送する。そして、画像処理部411によって認識処理を実施する(S502)。
【0070】
その後、部品実装部111は、1つのノズル300が搭載されている、もしくは、複数のノズル300が搭載されていて、かつ、保持すべき部品320をすべて保持した場合(S503→Yes)、本体カメラ113の真上に移動する(S504)。
【0071】
一方、部品実装部111は、複数のノズル300が搭載されていて、保持すべき部品320をすべて保持していない場合(S503→No)、保持していないノズル300に対して部品保持の動作を繰り返す。
【0072】
S503の動作によって、部品実装部111が本体カメラ113の真上に移動した際に、本体カメラ113は、下方から部品実装部111を撮像し、撮像画像を画像処理部411に転送する。そして、部品実装部111の位置を認識する(S505)。
【0073】
すなわち、部品320を搬送している時にも、部品実装部111の位置を認識することができ、これにより、部品実装部111の位置ずれを補正することができる。その結果、部品320を基板101に搭載する際の位置合わせの精度を高めることができる。
【0074】
次に、部品実装部111は、基板101に移動する(S506)。この時、第1のカメラ310と第2のカメラ311は、部品実装部111における(ノズル300によって保持された)全ての部品320とノズル300とを撮像し、その撮像画像を画像処理部411に転送する。そして、画像処理部411によって認識処理を実施する(S507)。
【0075】
部品実装部111は、S507の認識結果を基に、1つのノズル300と、部品320とに対して、それぞれXY軸系および回転系の平面上での位置補正を行う(S508)。そして、そのノズル300をZ軸方向に駆動させる(下降させる)ことで、ノズル300によって保持された部品320を基板101の所定箇所に搭載する(S509)。
【0076】
部品実装部111は、全ての部品320を基板101に実装した場合(S510→Yes)、1サイクル分の部品実装の動作を終了する。そうでない場合(S510→No)、部品実装部111の他のノズル300に保持されている部品320を基板101に実装するために、他のノズル300と部品320とに対する部品実装部111のXY軸系の平面上の位置補正(S508)を行う動作に戻る。そして、S508以降の所定の動作を繰り返す。
【0077】
以上のように、本部品実装装置では、ノズル300により保持された部品320のXY軸系と回転系の平面上での位置補正は、部品320を搬送して基板101の所定箇所上でノズル300を停止させた後、部品320を基板101に搭載する前に行う。
【0078】
これにより、一番目に搭載する部品320においても、位置ずれを補正してから基板101に搭載することができる。
【0079】
なお、上記S503、S504の処理は、部品実装部111の位置決め動作の再現性が高い場合には、毎サイクルごとに処理する必要はなく、位置決め動作の再現性が部品実装装置の目標とする実装精度よりも大幅に高い場合には、この処理を省いてもよい。
【0080】
次に、本実施形態1の部品実装装置に設けられた本体カメラ113による認識処理について説明する。
【0081】
図6は
図1に示す部品実装装置の本体カメラの撮像画像の一例を示す画像図である。
【0082】
図6に示す本体カメラ画像600は、部品320を保持した部品実装部111を下方から本体カメラ113によって撮像した際に得られる画像である。
【0083】
本体カメラ画像600には、部品実装部111と、ノズル300と、部品320と、基準マーク302の下面とが撮像される。
【0084】
本体カメラ画像600を用いた認識処理では、画像処理によって基準マーク302の中心座標である基準座標610を算出する。
【0085】
部品実装装置は、本体カメラ画像600により、基準座標610と、本体カメラ画像600を撮像したタイミングでXY駆動部400が取得した部品実装部111のX軸方向のエンコーダ等による位置情報と、ビーム部110のY軸方向のエンコーダ等による位置情報と、を比較する。そして、上記比較結果に基づいて、部品実装部111のXY軸系の平面上の位置のずれ量である部品実装部誤差を算出する。その結果、移動時の部品実装部111の位置ずれを導き出すことができる。
【0086】
次に、本実施形態1の部品実装装置による認識方法と位置補正について詳しく説明する。
図7は
図1に示す部品実装装置において部品が水平に保持された場合の各カメラの撮像画像の一例を示す画像図であり、(a)は第1のカメラ、(b)は第2のカメラである。また、
図8は
図1に示す部品実装装置において部品が斜めに保持された場合の各カメラの撮像画像の一例を示す画像図であり、(a)は第1のカメラ、(b)は第2のカメラである。つまり、
図7と
図8では、部品320の保持姿勢が異なっている。
【0087】
また、
図7および
図8は、ノズル300の先端面300bより部品320の上面717が大きい場合の保持状態を示すものであり、この場合には、第2のカメラ311が第1のカメラ310より上方に設けられていることが好ましい。すなわち、第2のカメラ311によって斜め上方から部品320を撮像することで、部品320の上面717を撮像し易く、その結果、部品中心座標721の認識精度を高めることができる。
【0088】
まず、
図7(a)と
図8(a)において、第1のカメラ310は、部品320を真横(水平方向)から撮像しており、部品320を保持した部品実装部111のノズル300の先端部300aと、部品320とを撮像した画像が第1のカメラ画像700である。
【0089】
一方、
図7(b)と
図8(b)において、第2のカメラ311は、部品320を斜め上方から俯瞰(あおり)で撮像しており、部品320を保持した部品実装部111のノズル300の先端部300aと、部品320とを撮像した画像が第2のカメラ画像701である。
【0090】
ここで、便宜上、画像の垂直方向(Z軸方向)の座標を高さと表現し、画像における上端の位置が最も高く、画像の下端の位置が最も低いものとする。
【0091】
また、部品320において、ノズル300と接する面を上面717と呼び、その反対側の面を下面718とする。
【0092】
さらに、画像中において、部品320の上面717の辺(稜またはエッジともいう)のうち、辺を構成する全画素の平均高さが最も大きい辺を第1辺713とし、下面718の辺のうち、辺を構成する全画素の平均高さが最も小さい辺を第2辺714とする。
【0093】
この時、部品実装装置では、
図7(a)と
図8(a)に示す第1のカメラ画像700より、部品高さ710と、部品厚み711と、第1の部品角度712とを認識する。
【0094】
ここで、部品高さ710は、ノズル300の先端部300a(先端面300b)からノズル300によって保持された部品320の最下点Pまでの距離である。また、
図8(a)に示すように、部品厚み711は、上面717の第1辺713と
図7(a)の下面718の第2辺714との距離である。すなわち、部品厚み711は、ノズル300により保持された部品320の上面717側の辺のうちの平均高さが最も大きい第1辺713から、部品320の下面718側の辺のうちの平均高さが最も小さい第2辺714までの距離である。
【0095】
さらに、第1の部品角度712は、部品320の最下点を通る水平面の基準線716と、部品320の下面718の第2辺714とが成す角の角度である。
【0096】
また、部品実装装置は、
図7(b)と
図8(b)に示す第2のカメラ画像701より、ノズル中心座標720と、部品中心座標721と、第2の部品角度722とを認識する。なお、ノズル中心座標720は、ノズル300の先端面300bの中心の座標である。また、部品中心座標721は、ノズル300によって保持された部品320の上面717の対角線719の交点である。さらに、第2の部品角度722は、ノズル300によって保持された部品320の最下点Qを通る水平面の基準線716と、下面718の第2辺714とが成す角の角度である。
【0097】
そして、部品実装装置は、認識された画像中でのノズル中心座標720と、部品中心座標721と、第2のカメラ画像701の撮像倍率と、第2のカメラ取付角度330とから幾何学演算を行う。これによって、XY軸系に変換したノズル中心座標720と部品中心座標721とを算出する。
【0098】
また、部品実装装置は、認識された画像中での第1の部品角度712と、第2の部品角度722と、
図3に示す第2のカメラ取付角度330とから幾何学演算を行い、これにより、XY軸系におけるZ軸まわり(回転系)の部品320の回転角度を算出する。
【0099】
部品実装装置は、算出されたXY軸系のノズル中心座標720と、部品中心座標721とから求められるノズル300に対する部品320のX軸方向およびY軸方向の位置の差分と、Z軸まわりの部品320の回転角度と基板101の部品320の搭載角度との差分とを求める。そして、XY軸系の差分およびZ軸まわりの差分を打ち消すように、部品実装部111をX軸およびY軸方向に駆動させ、さらに部品実装部111のノズル300を回転させることで、部品搭載時の位置ずれを補正する。
【0100】
この時、部品実装装置は、部品実装部111による誤差も打ち消すように、部品実装部111のX軸およびY軸方向の駆動量と、部品実装部111のノズル300の回転量とを調整し、部品搭載時の位置ずれを補正することも可能である。
【0101】
すなわち、部品実装装置は、第1のカメラ画像700と第2のカメラ画像701を用いて、画像中におけるノズル中心座標720と、部品中心座標721と、第2の部品角度722とを算出し、さらにこれらをXY軸系およびその回転系に変換して部品搭載時の位置ずれを補正する。
【0102】
なお、部品実装装置は、第1のカメラ画像700から認識された部品高さ710の値が、設定された一定値以上である場合、保持姿勢の異常として基板101に搭載せずに部品320を廃棄し、部品実装をリトライしてもよい。
【0103】
また、部品実装装置は、第1のカメラ画像700から認識された部品厚み711の値が、設定された一定値以上である場合、保持姿勢の異常として基板101に搭載せずに部品320を廃棄し、部品実装をリトライしてもよい。
【0104】
さらに、部品実装装置は、第1のカメラ画像700から認識された部品厚み711と、第1の部品角度712とを基に、部品搭載時のノズル300のZ軸方向の移動距離量を補正してもよい。
【0105】
なお、本実施形態1の部品実装装置における最良の構成は、部品実装部111およびノズル300のそれぞれがXY軸系の水平面に対して垂直に取り付けられ、さらに第1のカメラ310がXY軸系の水平面に対して平行に取り付けられる構成である。
【0106】
ただし、ノズル300の取り付けは、XY軸系の水平面に対して厳密に垂直でなくてもよく、また第1のカメラ310の取り付けは、XY軸系の水平面に対して厳密に平行でなくてもよい。
【0107】
その場合において、最良の構成と同等の認識精度を実現するために、前述のノズル300の取付角度の誤差と第1のカメラ310の取付角度の誤差とを加味して、XY軸系におけるノズル中心座標720と、部品中心座標721と、部品回転角度とを算出してもよい。
【0108】
本実施形態1の部品実装装置によれば、第1のカメラ310と第2のカメラ311とを設けた簡素な光学系の構成において、ノズル300により保持される部品320の位置と姿勢を高精度に認識することができる。
【0109】
その際、第2のカメラ311により斜め上方から部品320を撮像して認識を行うことで、ノズル300とノズル300により保持された部品320との相対位置のずれを算出することができる。これにより、ノズル300により保持された部品320の位置と姿勢を高精度に認識することができる。
【0110】
したがって、認識されたXY軸系や回転系の位置ずれを基に、基板101への部品320の搭載位置をリアルタイムに補正することができ、その結果、生産性を損なわずに部品実装装置の実装精度を向上させることができる。例えば、上記実装精度を数十μmオーダーに高めることができる。
【0111】
したがって、部品実装の精度を高精度にすることができるため、高密度な部品実装にも対応することができる。
【0112】
なお、部品320の搬送系では、例えば、部品実装部111を下方からのカメラで認識して位置補正しても、基板101の所定箇所に搬送するまでに部品320の位置ずれは再び発生することが多い。
【0113】
しかしながら、本実施形態1の部品実装装置では、部品320を基板101に搭載する直前に部品320の位置認識を行い、そして、位置補正を行ってから部品320を搭載するため、最初(1回目)に搭載する部品320の位置補正も行うことができる。
【0114】
<実施形態2>
本実施形態2では、部品実装装置の部品実装部111において、第2のカメラ311が第1のカメラ310より下方(第2方向)350に設けられている場合を説明する。
【0115】
図9は本発明の実施形態2の部品実装装置の部品実装部の構造の一例を示す側面図、
図10は
図9に示す部品実装部の第1のカメラと第2のカメラによる認識処理と位置補正の一例を示す図であり、(a)は第1のカメラ、(b)は第1のカメラの画像図である。
【0116】
本実施形態2の部品実装装置の部品実装部111は、実施形態1の部品実装部111と同様に、ノズル300と、ノズル回転機構301と、基準マーク302と、第1のカメラ310と、第2のカメラ311とを有している。なお、本実施形態2の部品実装部111では、第2のカメラ311が、ノズル300により保持された部品320を下方350の位置から光軸311aを傾けて撮像するように設けられている。
【0117】
すなわち、第2のカメラ311は、第1のカメラ310より下方350に設けられ、これにより、ノズル300により保持された部品320を、斜め下方からの俯瞰であるあおりで撮像する。その際、第2のカメラ311の光軸311aの中心はノズル300の先端部300aの先端面300b付近を通る。なお、第1のカメラ310は、実施形態1と同様に部品320を真横から撮像するように設けられている。
【0118】
なお、第2のカメラ311の、水平面の基準線360に対する光軸311aの角度を第2のカメラ取付角度330とする。
【0119】
また、ノズル300は、第1実施形態と同様に1つの部品実装部111に対して複数搭載されていてもよい。
【0120】
さらに、ノズル300は、中心軸まわりに回転する構成としてもよい。
【0121】
次に、
図10を用いて本実施形態2の部品実装装置の第1のカメラ310と第2のカメラ311による認識の詳細について説明する。
【0122】
なお、
図10は、ノズル300の先端面300bより部品320の上面717が小さい場合の保持状態を示すものであり、この場合には、第2のカメラ311が第1のカメラ310より下方に設けられていることが好ましい。すなわち、第2のカメラ311によって斜め下方から部品320を撮像することで、部品320の下面718を撮像し易く、その結果、部品中心座標721の認識精度を高めることができる。
【0123】
本実施形態2の部品実装装置は、第1実施形態と同様に、
図10(a)に示す第1のカメラ画像700より、部品高さ710と、部品厚み711と、第1の部品角度712とを認識する。
【0124】
また、第1のカメラ310より下方350に設けられた第2のカメラ311は、部品320を保持した部品実装部111のノズル300と、部品320とを斜め下方350から撮像し、これによって得られた画像が
図10(b)に示す第2のカメラ画像900である。
【0125】
なお、部品実装装置は、第2のカメラ画像900より、ノズル中心座標720と、部品中心座標721と、第2の部品角度722とを認識する。ここで、
図10(b)に示す第2の部品角度722は、ノズル300によって保持された部品320の最下点Qを通る水平面の基準線716と、下面718の第3辺715とが成す角の角度である。
【0126】
部品実装装置は、第1実施形態と同様に、認識されたノズル中心座標720と、部品中心座標721と、第2のカメラ画像900の撮像倍率と、第2のカメラ取付角度330とから幾何学演算を行う。これにより、XY軸系におけるノズル中心座標720と部品中心座標721とを算出する。
【0127】
また、部品実装装置は、認識された第1の部品角度712と、第2の部品角度722と、第2のカメラ取付角度330とから幾何学演算を行う。これにより、装置のXY軸系のZ軸まわり(回転系)の部品回転角度を算出する。
【0128】
部品実装装置は、第1実施形態と同様に、算出されたXY軸系のノズル中心座標720と、部品中心座標721とからノズル300に対する部品320のX軸方向およびY軸方向の位置の差分を算出する。さらに、Z軸まわりの部品回転角度と基板101の部品の搭載角度との差分を算出し、これらの差分を打ち消すように、部品実装部111をXY軸系に駆動させる。そして、部品実装部111のノズル300を回転させることで、部品搭載時の位置ずれを補正する。
【0129】
なお、本実施形態2のように、ノズル300の先端面300bより部品320の上面717が小さい場合、第2のカメラ311によって斜め下方から部品320を撮像することで、ノズル300によって保持された部品320の部品中心座標721の認識精度を高めることができる。
【0130】
本実施形態2の部品実装装置によって得られるその他の効果については、実施形態1のものと同様であるため、その重複説明は省略する。
【0131】
<実施形態3>
図11は本発明の実施形態3の部品実装装置の部品実装部の構造の一例を示す側面図である。
【0132】
本実施形態3の部品実装装置は、その部品実装部111において、第1のカメラ310の上方340に第2のカメラ311が設けられ、さらに第1のカメラ310の下方350に第3の撮像部である第3のカメラ800が設けられた構造のものである。
【0133】
すなわち、
図11に示す部品実装部111は、ノズル300と、ノズル回転機構301と、基準マーク302と、第1のカメラ310と、第2のカメラ311と、第3のカメラ800とを有している。
【0134】
ここで、
図11に示す第2のカメラ311は、ノズル300により保持された部品320を上方(第1方向)340の位置から光軸311aを傾けて撮像するものである。すなわち、実施形態1の第2のカメラ311と同様のものであり、ノズル300により保持された部品320を斜め上方340から撮像するものである。
【0135】
一方、第3のカメラ800は、実施形態2の第2のカメラ311と同様に、第1のカメラ310より下方350に設けられ、これにより、ノズル300により保持された部品320を、斜め下方350から俯瞰であるあおりで撮像するものである。
【0136】
なお、ノズル300は、第1実施形態と同様に1つの部品実装部111に対して複数搭載されていてもよい。
【0137】
さらに、ノズル300は、中心軸まわりに回転する構成としてもよい。
【0138】
この時、本実施形態3の最良の構成は、第1のカメラ310と、第2のカメラ311と、第3のカメラ800とを用いた認識処理を、ノズル300と、部品320の大きさの関係に合わせて切り替え可能な構成である。
【0139】
詳細には、ノズル300によって保持された部品320の位置ずれの認識を、第1のカメラ310および第2のカメラ311のそれぞれの撮像画像を用いて行うか、または第1のカメラ310および第3のカメラ800のそれぞれの撮像画像を用いて実行するかを、ノズル300の先端面300bと部品320との大きさの関係に応じて切り替える。
【0140】
すなわち、
図7および
図8に示すノズル300の先端面300bが、部品320の上面717よりも小さく、第2のカメラ画像701で、ノズル300と部品320との接触部分において、お互いの位置関係を撮像可能な場合、部品実装装置は、第1のカメラ画像700と第2のカメラ画像701とにより、実施形態1と同様の方法で認識処理を行う。そして、その結果を用いて部品実装部111の部品搭載時の位置ずれを補正する。
【0141】
一方、
図10に示すノズル300の先端面300bが、部品320の上面717よりも大きく、第2のカメラ画像701で、ノズル300と部品320との接触部分において、お互いの位置関係を撮像できない場合、部品実装装置は、第1のカメラ画像700と第2のカメラ画像900とにより、実施形態2と同様の方法で認識処理を行う。そして、その結果を用いて部品実装部111の部品搭載時の位置ずれを補正する。
【0142】
本実施形態3の部品実装装置によっても実施形態1の効果と同様の効果を得ることができるため、その重複説明は省略する。
【0143】
<実施形態4>
図12は本発明の実施形態4の部品実装装置の部品実装部の構造の一例を示す側面図である。
【0144】
本実施形態4の部品実装装置の部品実装部111は、ノズル300と、ノズル回転機構301と、基準マーク302と、第1のカメラ310とを有している。さらに、第1のカメラ310を上下方向(Z軸方向)に駆動させることが可能なカメラ駆動機構1100を備えている。
【0145】
図12に示す部品実装部111は、カメラ駆動機構1100によって、第1のカメラ310を、その光軸310aの中心がノズル300の先端面300b付近を通り、かつノズル300および部品320を横から撮像する水平状態から、上方340または下方350に移動させることが可能な構造になっている。
【0146】
これにより、ノズル300によって保持された部品320を、水平方向からの撮像に加えて、さらに光軸311a,800aの中心がノズル300の先端付近を通るように、俯瞰(あおり)で撮像することもでき、これらを切り替えて撮像することが可能である。
【0147】
なお、ノズル300は、実施形態1と同様に1つの部品実装部111に対して複数搭載されていてもよい。
【0148】
さらに、ノズル300は、中心軸まわりに回転する構成としてもよい。
【0149】
本実施形態4の部品実装装置は、部品実装部111の第1のカメラ310を、カメラ駆動機構1100を用いて上下に駆動させることによって、実施形態3の第2のカメラ311と第3のカメラ800とによる撮像および認識を実施することができる。
【0150】
したがって、本実施形態4の最良の構成は、第1のカメラ310を駆動させることで、他の実施形態と同様の第1のカメラ310と、第2のカメラ311と、第3のカメラ800とを用いた認識処理を実施することができる。
【0151】
さらに、本実施形態4の部品実装装置は、第1のカメラ310を駆動させることで、実施形態3と同様に、ノズル300と部品320の大きさの関係に合わせて、認識処理に用いる撮像画像を切り替え可能な構成である。
【0152】
図13は
図12に示す部品実装装置のカメラ駆動機構の構成の一例を示す部分斜視図である。
【0153】
図13に示すカメラ駆動機構1100は、第1のカメラ310と接続され、かつ第1のカメラ310を上下に駆動させるためのリンク機構1200が設けられている。さらに、カメラ駆動機構1100には、リンク機構1200と接続され、かつリンク機構1200により駆動される第1のカメラ310を、水平面に対して所定の角度に止めるために、部品実装部111に設けたストッパー部1203(
図12参照)に押し当てるための押し当て部材1201が設けられている。
【0154】
また、カメラ駆動機構1100には、リンク機構1200と接続され、かつリンク機構1200を回転駆動させる駆動軸1202が設けられている。
【0155】
本構成のカメラ駆動機構1100は、駆動軸1202を制御することにより、第1のカメラ310で、実施形態3における第2のカメラ311と第3のカメラ800の画像撮像を実現することができる。
【0156】
また、
図13に示すカメラ駆動機構1100を、
図12に示す部品実装部111に適用することも可能である。例えば、
図12の部品実装部111に形成されたスリット1204に
図13の押し当て部材1201をはめ込み、このスリット1204を案内としてスリット1204内で押し当て部材1201が往復移動するように駆動させることで、第1のカメラ310を上下動させることができる。その際、押し当て部材1201をストッパー部1203に押し当てることで第1のカメラ310を位置決めすることができる。
【0157】
本実施形態4の部品実装装置によっても実施形態1の効果と同様の効果を得ることができるため、その重複説明は省略する。
【0158】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0159】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0160】
また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。なお、図面に記載した各部材や相対的なサイズは、本発明を分かりやすく説明するため簡素化・理想化しており、実装上はより複雑な形状となる。
【0161】
なお、部品実装部111に設けられた複数のノズル300は、一列に並んで設けられていてもよい。また、複数のノズル300の先端面300bの大きさは、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
【0162】
さらに、部品320の位置を認識する処理部と、部品320の位置を補正する処理部とは、1つの制御部に設けられていてもよいし、または、異なった別々の制御部に設けられていてもよい。
【0163】
また、上記実施形態では、部品が電子部品、被実装部材が基板の場合を説明したが、上記部品は電子部品以外の部品であってもよく、また上記被実装部材も基板以外の被実装部材であってもよい。例えば、マウント装置等を用いて、電子部品以外の部品を、基板以外の被実装部材に搭載(マウント)する場合等に、本発明を適用することも可能である。