(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190300
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】光伝送装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/07 20130101AFI20170821BHJP
H04L 7/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
H04B10/07
H04L7/00
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-66095(P2014-66095)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-192189(P2015-192189A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(74)【代理人】
【識別番号】100166660
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 晴人
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 昇
(72)【発明者】
【氏名】釣谷 剛宏
【審査官】
鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−231282(JP,A)
【文献】
特開平2−86236(JP,A)
【文献】
特開平11−103289(JP,A)
【文献】
特開2004−140626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00−10/90
H04J 14/00−14/08
H04L 7/00
H04J 3/00
H04L 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送装置であって、
クライアント側の伝送路を介してクライアント装置から受信されるクライアント信号から抽出した受信クロック、または前記光伝送装置の自走クロックを用いて動作可能であり、前記クライアント信号を収容したライン信号を、ライン側の光伝送路を介して対向装置に送信するための第1の光インタフェース(I/F)と、
前記クライアント装置から受信される信号を監視することで、前記伝送路に対する前記クライアント装置の通信I/Fが動作を休止することを示す第1のパケット、及び前記通信I/Fが動作を再開することを示す第2のパケットを検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記第1のパケットが検出されてから前記第2のパケットが検出されるまでの間、前記受信クロックを抽出できないことを示す警報が前記第1の光I/Fから送出されることを抑制する抑制手段と
を備えることを特徴とする光伝送装置。
【請求項2】
前記対向装置は、前記光伝送路を介して前記光伝送装置から受信される前記ライン信号から抽出した受信クロックを用いて動作可能な第2の光I/Fを備え、
前記光伝送装置は、前記検出手段によって前記第1のパケットが検出されると、前記第2の光I/Fからの前記警報の送出を抑制すべきことを、前記対向装置に通知する通知手段、を更に備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記通知手段は、更に、前記検出手段によって前記第2のパケットが検出されると、前記第2の光I/Fからの前記警報の送出の抑制を解除すべきことを、前記対向装置に通知することを特徴とする請求項2に記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記光伝送装置は、前記自走クロックを生成するクロック発生器を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光伝送装置。
【請求項5】
前記抑制手段は、
前記検出手段によって前記第1のパケットが検出された場合には、前記警報を前記第1の光I/Fから出力させないためのマスクを、前記第1の光I/Fに対して設定し、
前記検出手段によって前記第2のパケットが検出された場合には、前記第1の光I/Fに対して設定した前記マスクを解除する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光伝送装置。
【請求項6】
前記抑制手段は、前記検出手段によって前記第1のパケットが検出されてから前記第2のパケットが検出されるまでの間、前記警報が前記第1の光I/Fから出力されると、出力された当該警報を所定の通知先に通知しないように動作する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光伝送装置。
【請求項7】
前記検出手段によって前記第1のパケットが検出されると、前記第1の光I/Fの動作を、前記受信クロックを用いた動作から前記光伝送装置の自走クロックを用いた動作に切り替える切替手段
を更に備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の光伝送装置。
【請求項8】
前記切替手段は、更に、前記検出手段によって前記第2のパケットが検出されると、前記第1の光I/Fの動作を、前記自走クロックを用いた動作から前記受信クロックを用いた動作に切り替えることを特徴とする請求項7に記載の光伝送装置。
【請求項9】
前記クライアント装置の通信I/Fは、EEE(Energy Efficient Ethernet)機能によって動作を停止または再開するイーサネット(登録商標)I/Fであり、
前記光伝送装置は、前記伝送路を介して前記クライアント装置から前記クライアント信号としてイーサネット信号を受信するための、前記EEE機能に対応したイーサネットI/F、を更に備える
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の光伝送装置。
【請求項10】
前記光I/Fは、OTN(Optical Transport Network)規格に対応したインタフェースであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の光伝送装置。
【請求項11】
クライアント側の伝送路を介してクライアント装置から受信されるクライアント信号から抽出した受信クロック、または前記光伝送装置の自走クロックを用いて動作可能であり、前記クライアント信号を収容したライン信号を、ライン側の光伝送路を介して対向装置に送信するための光インタフェース(I/F)を備える光伝送装置の制御方法であって、
前記クライアント装置から受信される信号を監視することで、前記伝送路に対する前記クライアント装置の通信I/Fが動作を休止することを示す第1のパケット、及び前記通信I/Fが動作を再開することを示す第2のパケットを検出する検出工程と、
前記第1のパケットが検出されてから前記第2のパケットが検出されるまでの間、前記受信クロックを抽出できないことを示す警報が前記光I/Fから送出されることを抑制する抑制工程と
を含むことを特徴とする光伝送装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信分野において、クライアント信号を収容したライン信号を光伝送路を介して送受信可能な光伝送装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レイヤ2のネットワーク技術として、イーサネット(Ethernet)(登録商標)技術が広く普及している。近年では、増加し続けている通信トラヒックを効率的に収容するために、IEEE802.3において400GbEインタフェースの標準化に関する検討が数年後の完了を目指して進められている(非特許文献1)。400GbEインタフェースの標準化では、Energy Efficient Ethernet(EEE)技術(非特許文献2)をオプションとしてサポートすることがこれまでに決定されている。EEE技術とは、インタフェースを介して伝送されるトラヒックが存在しなくなった場合に、当該インタフェースの動作を休止し、トラヒックが再び発生した場合に、当該インタフェースの動作を再開(復旧)する技術である。これにより、伝送すべきトラヒックが存在しない状態においてインタフェースにおける無駄な消費電力を抑制することが可能になるため、そのようなインタフェースを備える装置の省電力化につながる。
【0003】
また、光通信分野において、ITU−T勧告で標準化されているOptical Transport Network(OTN)(非特許文献3)に準拠した光信号であるOTN信号には、クライアント信号の1つとしてイーサネット信号を収容することが可能である。OTN信号を送受信するためのOTNインタフェースは、動作のために必要なクロックをクライアント信号から抽出することが可能であり、クライアント信号から抽出したクロックを用いて動作することが可能である。また、OTNインタフェースは、クライアント信号から抽出したクロックだけでなく、自装置に備えられたクロック発生器によって生成される自走クロックを用いて動作することも可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“400 Gb/s Ethernet Study Group”, インターネット<URL:http://www.ieee802.org/3/400GSG/>
【非特許文献2】IEEE802.1az,“Energy Efficient Ethernet”
【非特許文献3】ITU-T Recommendation G.709,“Interfaces for the Optical Transport Network(OTN)”, 2012/2.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光伝送装置においてイーサネット信号のようなクライアント信号をOTN信号に収容して伝送する場合、以下のような課題がある。光伝送装置のOTNインタフェースは、通常、クライアント信号から抽出したクロックを用いて動作している間に、通信障害等に起因してクライアント信号を受信できなくなると、クライアント信号からクロックを抽出できなくなったことを示す警報を送出する。しかし、OTNインタフェースは、クライアント装置の通信インタフェースがEEE機能によって動作を休止することでクライアント装置からのクライアント信号の送信が途絶した場合であっても、通信障害等が発生した場合と同様に警報を送出してしまう。即ち、EEE機能によってクライアント信号が受信できなくなった場合には警報の送出は必ずしも必要でないにもかかわらず、OTNインタフェースは不必要に警報を送出してしまう。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、クライアント信号を収容したライン信号を光伝送路を介して送受信可能な光伝送装置で、クライアント信号からクロックを抽出できなくなった場合に光インタフェースから不必要に警報を送出することを防止する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば光伝送装置として実現できる。本発明の一態様の係る光伝送装置は、クライアント側の伝送路を介してクライアント装置から受信されるクライアント信号から抽出した受信クロック、または前記光伝送装置の自走クロックを用いて動作可能であり、前記クライアント信号を収容したライン信号を、ライン側の光伝送路を介して対向装置に送信するための第1の光インタフェース(I/F)と、前記クライアント装置から受信される信号を監視することで、前記クライアント装置の、前記伝送路に対する通信I/Fが動作を休止することを示す第1のパケット、及び前記通信I/Fが動作を再開することを示す第2のパケットを検出する検出手段と、前記検出手段によって前記第1のパケットが検出されてから前記第2のパケットが検出されるまでの間、前記受信クロックを抽出できないことを示す警報が前記第1の光I/Fから送出されることを抑制する抑制手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、クライアント信号を収容したライン信号を光伝送路を介して送受信可能な光伝送装置で、クライアント信号からクロックを抽出できなくなった場合に光インタフェースから不必要に警報を送出することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】光伝送装置と光伝送路とで構成される光伝送システムの概略的な構成例を示すブロック図。
【
図2A】光伝送装置における、OTN信号の送信側の概略的な構成例を示すブロック図。
【
図2B】光伝送装置における、OTN信号の受信側の概略的な構成例を示すブロック図。
【
図3】光伝送装置における、OTN信号の送信側の処理手順を示すフローチャート。
【
図4】光伝送装置における、OTN信号の受信側の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。また、以下の実施形態は例示であり、本発明を実施形態の内容に限定するものではない。
【0011】
<光伝送システムの構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係る光伝送システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
図1に示す光伝送システムは、OTN信号に対応しており、光伝送装置100,200と、光伝送装置100,200の間の、OTN信号を収容した光信号を伝送可能な光伝送路とを備える。光伝送装置100(200)は、光伝送路を介して、ライン側の対向装置である光伝送装置200(100)と接続される。また、光伝送装置100,200のそれぞれは、クライアント側の伝送路を介してクライアント装置(図示せず)と接続される。
【0012】
光伝送装置100,200は、クライアント装置との間で送受信するクライアント信号をライン信号(OTN信号)に収容し、当該OTN信号を光伝送路を介して対向装置との間で送受信可能である。本実施形態では、クライアント側の各伝送路は、イーサネット(登録商標)ネットワークで構成され、また、光伝送装置100,200のイーサネットインタフェース(I/F)と各クライアント装置のイーサネットI/Fは、EEE機能に対応している。このため、本実施形態の光伝送装置100,200は、クライアント装置との間でイーサネット信号を送受信し、光伝送路を介した対向装置との間で、イーサネット信号を収容したライン信号(OTN信号)を送受信する。
【0013】
光伝送装置100は、クライアント信号から抽出した受信クロック、または当該光伝送装置の自走クロックを用いて動作可能な光I/F(
図2AのOTN I/F124)を備える。この光I/Fは、ライン側の光伝送路を介して、対向装置である光伝送装置200との間でライン信号(OTN信号)を送受信するために用いられる。本実施形態で、光伝送装置100は、EEE機能によってクライアント信号(イーサネット信号)をクライアント装置から受信できなくなった場合に光I/Fが不必要に警報を送出することを防止するために、以下のように動作する。
【0014】
具体的には、光伝送装置100は、クライアント装置から受信される信号を監視することで、クライアント装置の、伝送路に対する通信I/F(イーサネットI/F)が動作を休止することを示す第1のパケット、及び当該通信I/Fが動作を再開することを示す第2のパケットを検出する。本実施形態では、第1及び第2のパケットとして、IEEE802.1az(非特許文献2)において規定された、イーサネットI/FでLPI(Low Power Idle)を実現するための「Sleepパケット」及び「Alertパケット」を用いる場合について一例として説明する。
【0015】
光伝送装置100は、第1のパケット(Sleepパケット)を検出することによって、EEE機能によってクライアント装置からクライアント信号を受信できなくなることを検出する。また、光伝送装置100は、第2のパケット(Alertパケット)を検出することによって、EEE機能によって受信できなくなっていたクライアント信号を再び受信できるようになることを検出する。光伝送装置100は、このような検出結果に基づいて、EEE機能によってクライアント信号が受信できない期間に光I/Fから警報が送出されることを抑制する。具体的には、光伝送装置100は、第1のパケット(Sleepパケット)を検出してから第2のパケット(Alertパケット)を検出するまでの間、クライアント信号からクロック(即ち、クライアント装置からの受信クロック)を抽出できないことを示す警報が光I/Fから送出されることを抑制する。
【0016】
以下では、
図2A〜
図4を参照して、光伝送装置100における、より具体的な構成及び動作の一例について説明する。なお、なお、光伝送装置200も光伝送装置100と同様に動作可能である。
【0017】
<光伝送装置の構成例>
図2A及び
図2Bは、それぞれ、光伝送装置100における、OTN信号の送信側及び受信側の概略的な構成例を示すブロック図である。光伝送装置100は、
図2Aに示すように、OTN信号の送信側の構成として、イーサネットI/F121、イーサネット信号処理部122、OTN信号処理部123及びOTN I/F124と、それらの動作を制御する制御部110とを備える。光伝送装置100は、クライアント信号(イーサネット信号)から受信クロックを抽出できない場合にOTN I/F124に供給すべき自走クロックを生成するクロック発生器150を更に備える。なお、クロック発生器150は、例えば、制御部110内に設けられることで、制御部110がOTN I/F124に対して自走クロックを供給してもよい。また、光伝送装置100は、OTN信号の受信側の構成として、イーサネットI/F131、イーサネット信号処理部132、OTN信号処理部133及びOTN I/F134を更に備える。
【0018】
(送信側の構成例)
イーサネットI/F121は、クライアント装置(図示せず)の通信I/Fからクライアント信号を受信する。本実施形態では、クライアント装置の通信I/Fは、EEE機能によって動作を停止または再開するイーサネットI/Fである。イーサネットI/F121は、クライアント装置のイーサネットI/Fからクライアント信号としてイーサネットを受信するための、EEE機能に対応したI/Fである。なお、イーサネットI/F121は、クライアント装置のイーサネットI/Fから、上述のSleepパケット及びAlertパケットを含む信号を受信できる。
【0019】
イーサネット信号処理部122は、イーサネットI/F121によって受信される、クライアント装置からのイーサネット信号に対して所定の信号処理を施して、OTN信号処理部123に出力する。また、イーサネット信号処理部122は、イーサネットI/F121によって受信されるイーサネット信号のデータを監視(確認)する機能を有する。イーサネット信号処理部122は、イーサネット信号を監視することで、Sleepパケット及びAlertパケットを検出しうる。
【0020】
OTN信号処理部123は、イーサネットI/F121によって受信され、イーサネット信号処理部122から出力されたイーサネット信号を、OTN信号に収容する。また、OTN信号処理部123は、イーサネット信号からクロック(受信クロック)を抽出する機能を有する。OTN信号処理部123は、イーサネット信号を収容したOTN信号をOTN I/F124に出力するとともに、イーサネット信号から抽出したクロックをOTN I/F124に提供する。
【0021】
OTN I/F124は、OTN信号処理部123からクロックが提供される場合には、当該クロックを用いて動作可能である。また、OTN I/F124は、OTN信号処理部123からクロックが提供されない場合には、クロック発生器150が生成したクロック(光伝送装置100の自走クロック)を用いて動作することも可能である。OTN I/F124は、OTN信号処理部123から出力されたOTN信号を、光伝送路を介して対向装置(光伝送装置200)に送信する。
【0022】
(受信側の構成例)
OTN I/F134は、光伝送路を介して対向装置(光伝送装置200)からOTN信号を受信して、受信した当該OTN信号をOTN信号処理部133に出力する。
【0023】
OTN信号処理部133は、OTN I/F134によって受信されたOTN信号に収容されたクライアント信号(イーサネット信号)を取り出して、当該イーサネット信号をイーサネット信号処理部132に出力する。また、OTN信号処理部133は、OTN信号からクロック(受信クロック)を抽出する機能を有する。OTN信号から抽出された受信クロックは、OTN I/F134の動作等のために用いられる。
【0024】
イーサネット信号処理部132は、OTN信号処理部133から出力されるイーサネット信号に対して所定の信号処理を施して、イーサネットI/F131に出力する。イーサネットI/F131は、クライアント装置のイーサネットI/Fにイーサネット信号を送信する。なお、イーサネットI/F131は、イーサネットI/F121と同様、EEE機能に対応したI/Fである。
【0025】
制御部110は、光伝送装置100全体の動作を制御する。本実施形態で、制御部110は、イーサネット信号処理部122によってSleepパケットが検出されてから、Alertパケットが検出されるまでの間、OTN I/F124から警報を出力させないためのマスク(クロックロス警報マスク)を、OTN I/F124に対して設定する。このクロックロス警報マスクは、クライアント信号(イーサネット信号)から受信クロックを抽出できないことを示す警報をOTN I/F124から出力させないために設定される。なお、制御部110は、
図3を用いて説明するように、光伝送路を介して対向装置(光伝送装置200)に、OTN I/F134からの警報の送出を抑制すべきことを通知してもよい。例えば、上述のようなクロックロス警報マスクをOTN I/F134に対して設定すべきことを通知してもよい。
【0026】
また、制御部110は、対向装置(光伝送装置200)からそのような通知を受信した場合、警報の送出の抑制を解除すべきことが対向装置から通知されるまでの間、OTN I/Fからの警報の送出を抑制する。例えば、制御部110はクロックロス警報マスクをOTN I/F134に対してマスクを設定する。このクロックロス警報マスクは、OTN信号から受信クロックを抽出できないことを示す警報をOTN I/F134から出力させないために設定される。
【0027】
なお、制御部110は、光伝送装置100の動作状態を示す通知(警報や障害発生通知等)を、所定の通知先に送信しうる。本実施形態では、このような通知先を、光伝送装置100の外部のネットワーク(NW)運用管理部(例えば、特定のノード)としている。このような通知先は、外部のネットワーク運用管理部ではなく、光伝送装置100内の特定の上位レイヤ(アプリケーション等)であってもよい。
【0028】
なお、光伝送装置100,200は、
図2A及び
図2Bに示す各ブロックの機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、または、ハードウェアで一部の機能を実行し、他の部分の機能を実現するためのプログラム(ソフトウェア)をコンピュータで実行してもよい。
【0029】
<光伝送装置の送信側の処理手順>
図3は、光伝送装置100における、OTN信号の送信側の処理手順を示すフローチャートである。なお、
図3に示す各ステップの処理は、制御部110によって実行される。
【0030】
光伝送装置100は、イーサネット信号及びOTN信号を送受信可能な状態に起動すると、まず、S101の処理を行う。S101で、制御部110は、クライアント装置から受信される信号から、イーサネット信号処理部122によってSleepパケットが検出されたか否かを判定する。制御部110は、Sleepパケットが検出されていないと判定する限り当該判定を繰り返し、Sleepパケットが検出されたと判定すると、処理をS102に進める。
【0031】
S102で、制御部110は、イーサネット信号(クライアント信号)が途絶状態となったとしてもOTN I/F124から警報を出力させないために、OTN I/F124に対してクロックロス警報マスクを設定する。更にS103で、制御部110は、光伝送路を介して対向装置(光伝送装置200)に、OTN I/F134に対してクロックロス警報マスクを設定すべきことを示す通知(マスク設定通知)を送信する。その後、S103で、制御部110は、OTN I/F124の動作を、イーサネット信号から抽出される受信クロックを用いた動作から、クロック発生器150によって生成される自走クロックを用いた動作に切り替える。
【0032】
次に、S105で、制御部110は、制御部110は、クライアント装置から受信される信号から、イーサネット信号処理部122によってAlertパケットが検出されたか否かを判定する。制御部110は、Alertパケットが検出されていないと判定する限り当該判定を繰り返し、Alertパケットが検出されたと判定すると、処理をS106に進める。
【0033】
S106で、制御部110は、光伝送路を介して対向装置(光伝送装置200)に、OTN I/F134に対して設定されているクロックロス警報マスクを解除すべきことを示す通知(マスク解除通知)を送信する。更にS107で、制御部110は、OTN I/F124の動作を、クロック発生器150によって生成される自走クロックを用いた動作から、イーサネット信号から抽出される受信クロックを用いた動作に再び切り替える。
【0034】
次に、S108で、制御部110は、OTN I/F124においてイーサネット信号(クライアント信号)に基づくクロックが確立されているか否かを判定する。制御部110は、イーサネット信号に基づくクロックが確立されていると判定すると、処理をS109に進め、OTN I/F124に設定したクロックロス警報マスクを解除する。一方、制御部110は、イーサネット信号に基づくクロックが確立されていないと判定すると、処理をS109に進め、クロック抽出に障害が発生したことを示す通知を、ネットワーク運用管理部に送信する。制御部110は、S109またはS110の完了後、処理をS101に戻すことで、上述の一連の処理を繰り返す。
【0035】
<光伝送装置の受信側の処理手順>
図4は、光伝送装置100における、OTN信号の受信側の処理手順を示すフローチャートである。なお、
図4に示す各ステップの処理は、制御部110によって実行される。
【0036】
光伝送装置100は、イーサネット信号及びOTN信号を送受信可能な状態に起動すると、まず、S201の処理を行う。S201で、制御部110は、対向装置(光伝送装置200)から、マスク設定通知(S103)が受信されたか否かを判定する。制御部110は、マスク設定通知が受信されたと判定した場合、処理をS203に進め、OTNI/F 134に対してクロックロス警報マスクを設定する。一方、制御部110は、マスク設定通知が受信されていないと判定した場合、処理をS202に進める。
【0037】
S202で、制御部110は、対向装置(光伝送装置200)から、マスク解除通知(S106)が受信されたか否かを判定する。制御部110は、マスク解除通知が受信されたと判定した場合、処理をS204に進め、OTNI/F 134に対して設定したクロックロス警報マスクを解除する。
【0038】
制御部110は、対向装置(光伝送装置200)からマスク設定通知またはマスク解除通知が受信されていない場合(S202で「NO」)、処理をS201に戻すことで、上述の一連の処理を繰り返す。また、制御部110は、S203またはS204の完了後も、処理をS201に戻すことで、上述の一連の処理を繰り返す。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、光伝送装置100で、EEE機能によってクライアント信号(イーサネット信号)をクライアント装置から受信できなくなった場合に光I/F(OTN I/F124)から不必要に警報を送出することを防止できる。また、光伝送装置100から対向装置(光伝送装置200)にマスク設定通知及び解除通知を送信することで、光伝送装置100だけでなく、対向装置においても光I/F(OTN I/F134)から不必要に警報を送出することを防止できる。
【0040】
なお、上述の実施形態は種々の変更が可能である。例えば、制御部110は、OTN I/F124からの警報の送出を抑制するために、上述のようにマスクを設定するのではなく、OTN I/F124から出力される警報を所定の通知先(例えば、ネットワーク運用管理部)に通知しないように動作してもよい。このような変更を行った場合にも、上述の実施形態と同様の効果を達成できる。
【符号の説明】
【0041】
100,200:光伝送装置
110:制御部
121,131:イーサネットI/F
122,132:イーサネット信号処理部
123,133:OTN信号処理部
124,134:OTN I/F
150:クロック発生器