特許第6190306号(P6190306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190306
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】冷却塔
(51)【国際特許分類】
   F28F 25/02 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   F28F25/02
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-73236(P2014-73236)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-194320(P2015-194320A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2016年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】信田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】江崎 裕介
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−115980(JP,A)
【文献】 実開昭61−192198(JP,U)
【文献】 特開平10−160389(JP,A)
【文献】 特開2010−230261(JP,A)
【文献】 特開平10−141871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 25/02
F28C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水供給装置と、
前記温水供給装置から供給される温水を貯留するための貯留空間を有する貯留部を有し、前記貯留部の底部において平面視で第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に間隔をあけて分布する複数の散水孔が形成された温水槽と、
前記温水槽の貯留部の下方に配置され、前記複数の散水孔から流下した水を外気と熱交換させて冷却する熱交換ユニットと、を備え、
前記温水槽は、前記底部から上方に突出して且つ少なくとも一部が前記貯留空間の高さよりも低い複数の水位調部を有し、
前記水位調節部は、平面視で閉じた内部空間を形成するための壁部を有し、
前記複数の散水孔は、平面視で前記水位調節部の内側に位置する第1散水孔と、平面視で前記複数の水位調節部の外側に位置する第2散水孔とを含み、
前記貯留部は、前記底部の前記第2方向における全長に渡って、前記第2方向に前記第2散水孔のみが並び、前記温水供給装置からの温水が供給される第1領域を有し、
前記貯留部は、前記第1方向における前記第1領域の両側に前記第1散水孔及び前記第2散水孔が前記第2方向に混在して並ぶ第2領域を有する、冷却塔。
【請求項2】
前記第2領域において、前記第1散水孔及び前記第2散水孔は、それぞれ、前記第1方向において略均一に分布している、請求項に記載の冷却塔。
【請求項3】
前記水位調節部の内側に、複数の前記第1散水孔が位置する、請求項1又は2に記載の冷却塔。
【請求項4】
前記第2領域は、前記第1領域から前記第1方向に複数の前記第2散水孔のみが並ぶ第3領域を有し、
前記第2領域には、前記第3領域に隣接して前記第1方向に延在し、その内側に前記第1方向に複数の前記第1散水孔が並ぶ前記水位調部が設けられている、請求項乃至のいずれかに記載の冷却塔。
【請求項5】
前記第2領域は、前記第1領域から前記第1方向に複数の前記第2散水孔のみが並ぶ第3領域を有し、
前記第2領域には、前記第3領域に沿って前記第1方向に点在する複数の前記水位調部が設けられている、請求項乃至のいずれかに記載の冷却塔。
【請求項6】
前記第2領域において、前記水位調節部と前記第2散水孔とが、前記第1方向及び前記第2方向の双方向において、交互に配列されている、請求項乃至のいずれかに記載の冷却塔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場設備、空調設備等の冷却水が利用される設備から排出される温水を冷却する冷却塔に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、冷却塔は、工場設備、ビル等の空調設備等から排出される温水を冷却して循環使用するために使用される。冷却塔は、内部をある方向に流れる温水に外部から流入した外気を接触させることにより、温水と外気との間で熱交換させ、温水を冷却するものである。
【0003】
冷却塔は、内部の散水槽に溜めた温水を充填材に散水することによって、外気と接触させ、気化熱によって充填材を流下する温水を冷却している。そのため、散水槽の底部には多数の散水孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2008−249188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、冬期等に冷却塔を使用する時は、冷却水が利用される設備側での冷却要求が低くなるために、温水供給管から散水槽に供給する温水の量が低減されることがある。しかし、温水供給管から散水槽に供給される温水の量が減ると、散水槽における温水の水位が低下し、散水槽全体に温水が行きわたりにくくなる。特に温水供給管から離れるほど、すなわち、散水槽の端部に近づくほど温水が供給されにくくなる。
【0006】
その結果、散水孔を介して散水される温水が、充填材に対して不均一に流下する。特に散水槽の長手方向において、充填剤には温水が供給される部分と温水が供給されない部分ができる。充填剤において、温水が供給される部分に比べて温水が供給されない部分の方が、外気は通過しやすいため、散水槽の端部に対応する部分ほど外気が多く流入されやすくなる。そのため、温水が充填材に対して不均一に流下すると、温水と外気との熱交換が効果的に行われずに、冷却塔の冷却効率が低下するという課題がある。
【0007】
そこで本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、散水槽に貯留された温水の水位が低水位のときも、充填材に対して不均一に温水が流下することを抑制して、冷却効率の低下を抑制することができる冷却塔を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る冷却塔は、温水供給装置と、前記温水供給装置から供給される温水を貯留するための貯留空間を有する貯留部を有し、前記貯留部の底部において平面視で第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に間隔をあけて分布する複数の散水孔が形成された温水槽と、前記温水槽の貯留部の下方に配置され、前記複数の散水孔から流下した水を外気と熱交換させて冷却する熱交換ユニットと、を備え、前記温水槽は、前記底部から上方に突出して且つ少なくとも一部が前記貯留空間の高さよりも低い複数の水位調部を有し、前記水位調節部は、平面視で閉じた内部空間を形成するための壁部を有し、前記複数の散水孔は、平面視で前記水位調節部の内側に位置する第1散水孔と、平面視で前記複数の水位調節部の外側に位置する第2散水孔とを含み、前記貯留部は、前記底部の前記第2方向における全長に渡って、前記第2方向に向けて前記第2散水孔のみが並び、前記温水供給装置からの温水が供給される第1領域を有する。
【0009】
前記構成によれば、貯留空間に貯留された温水の水位が水位調節部よりも上側である場合には、温水は第1散水孔と第2散水孔との両方から熱交換ユニットへと流下する。他方、貯留空間に貯留された温水の水位が水位調節部よりも下側である場合には、温水供給装置からの温水は水位調節部で囲まれた第1散水孔に導かれず、温水は第2散水孔からのみ熱交換ユニットへと流下するため、温水供給装置からの温水供給量が減少していっても温水の水位低下が抑制される。
【0010】
更に、貯留空間の一部には、第2方向に第2散水孔のみが並んでいて、そこに温水供給装置からの温水が供給されるので、貯留空間に貯留された温水の水位が水位調節部よりも下側である場合に、当該温水が、まず、水位調節部に阻害されずに第2方向に流通し、そこから第1方向に水位調節部の間を流通する。よって、貯留部に貯留された温水が低水位のときも第2散水孔の全体に温水が行きわたりやすく、熱交換ユニットに対して不均一に温水が流下することを抑制することができる。その結果、冷却塔の冷却効率の低下を抑制することができる。
【0011】
前記形態において、前記貯留部は前記第1方向における前記第1領域の両側に前記第1散水孔及び前記第2散水孔が存在する第2領域を有していてもよい。
【0012】
前記構成によれば、第1散水孔及び第2散水孔が存在する第2領域の第1方向における長さが短くなるので、低水位時において第2散水孔の全体に温水が行きわたりやすくなる。
【0013】
前記形態において、前記第2領域において、前記第1散水孔及び前記第2散水孔は、それぞれ、前記第1方向において略均一に分布していてもよい。
【0014】
前記構成によれば、温水供給装置からの温水供給量が低下したときに、第1方向において、熱交換ユニットに対して不均一に温水が流下することを抑制することができる。
【0015】
前記形態において、前記水位調節部の内側に、複数の前記第1散水孔が位置していてもよい。
【0016】
前記構成によれば、水位調節部の数が低減されるため、水位調節部の作製が容易になる。
【0017】
前記形態において、前記第2領域は、前記第1領域から前記第1方向に複数の前記第2散水孔のみが並ぶ第3領域を有し、前記第2領域には、前記第3領域に隣接して前記第1方向に延在し、その内側に前記第1方向に複数の前記第1散水孔が並ぶ前記水位調節部が設けられてもよい。
【0018】
前記構成によれば、温水供給装置からの温水供給量が低下したときに、第1方向に延在している水位調節部によって、第1領域の温水が、第1方向に第2散水孔のみが並ぶ第3領域を通るように導かれて温水槽の第1方向における全体に温水が行きわたりやすくなる。
【0019】
前記形態において、前記第2領域は、前記第1領域から前記第1方向に複数の前記第2散水孔のみが並ぶ第3領域を有し、前記第2領域には、前記第3領域に沿って前記第1方向に点在する複数の前記水位調部が設けられていてもよい。
【0020】
前記構成によれば、第3領域に沿って第1方向に点在した複数の水位調節部によって、第1領域の温水が、第1方向に第2散水孔のみが並ぶ第3領域に導かれて温水槽の第1方向における全体に温水が行きわたりやすくなる。
【0021】
前記形態において、前記水位調節部と前記第2散水孔とが、前記第1方向及び前記第2方向の双方向において、交互に配列されていてもよい。
【0022】
前記構成によれば、第1領域の温水が、第2領域において、規則正しく配置された水位調節部を縫って、第1方向及び第2方向の双方向に配置された第2散水孔の全体に行きわたりやすくなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、温水供給装置からの温水供給量が減少しても、温水槽における温水の水位低下を抑制することができる。また、温水槽全体に温水を行きわたりやすくすることができる。したがって、熱交換ユニットに対する不均一な温水の流下を抑制することができるため、冷却効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る冷却塔の構成例を示す断面図である。
図2図2(a)は、図1の温水槽の平面図である。図2(b)は、図1の温水槽の斜視断面図である。
図3図3は、図1の温水槽における、温水の水位と温水供給装置からの温水供給量の関係を示すグラフである。
図4図4は、本発明の第2実施形態に係る冷却塔の温水槽の平面図である。
図5図5(a)は、本発明の第3実施形態に係る冷却塔の温水槽の平面図である。図5(b)は、本発明の第3実施形態に係る冷却塔の温水槽の斜視断面図である。
図6図6は、本発明の第4実施形態に係る冷却塔の温水槽の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、同一の又は対応する要素には全ての図を通じて同一の符号を付して重複する詳細説明を省略する。
【0026】
(第1実施形態)
[構成]
<全体構成>
図1は、本発明に係る冷却塔1の構成例を示す断面図である。図1において、便宜上、紙面手前側を冷却塔の正面側、紙面奥側を冷却塔の背面側、図の左側を冷却塔の左側、図の右側を冷却塔の右側と呼び、紙面厚み方向を前後方向と呼ぶ。
【0027】
図1に示すように、冷却塔1は、温水供給装置2と、温水槽3と、熱交換ユニット4と、通風空間5と、冷却ファン6と、ルーバー7と、冷水槽8と、エリミネータ9と、を含む。
【0028】
冷却塔1は、冷水槽8を備えている。冷水槽8は、冷却塔1が設置される設置面上に設置され、後述するように熱交換ユニット4から流下する冷水(冷却された温水)を貯留する。冷水槽8の上には外気流路101が形成されている。外気流路101は、たとえば、略直方体状に形成されている。外気流路101は、左右両側と上側に開口しており、正面側と背面側には外気の流入を遮断する外装が設けられている。また、外気流路101の底面は開放されている。外気流路101は、冷却塔1の外部から内部にかけて外気が通過する経路である。外気流路101の左右両側部に、一対の熱交換ユニット4が設置される。
【0029】
熱交換ユニット4は、たとえば、ポリ塩化ビニル製の板材で構成される充填材を多数配列して構成される。充填材は、左右方向及び上下方向に延在し且つ前後方向に間隔を有するようにして配列される。熱交換ユニット4は、後述する温水槽3から充填材を伝って流下する温水を外気流路101の左右両側の開口から流入する外気と接触させ、熱交換する。
外気流路101において、一対の熱交換ユニット4の間に通風空間5が設けられる。通風空間5は、温水との熱交換を終えた外気が通流する空間である。各熱交換ユニット4の外気流入面にルーバー7が設置される。ルーバー7は、冷却塔1内へ吸入される外気の整流を行う。各熱交換ユニット4の外気流出面にエリミネータ9が設置される。エリミネータ9は、たとえば、板状のシートで構成される。エリミネータ9は、熱交換ユニット4から通風空間5に向かって流出する外気と接触し、水滴を分離する。
【0030】
一対の熱交換ユニット4の上に、一対の温水槽3が設置される。各温水槽3は、たとえば、平面視で前後方向に長辺を有する略直方体状に形成される。温水槽3は、後述する温水供給装置2から供給された温水を貯留するともに、熱交換ユニット4へ温水を散水する。温水槽3の上には、温水供給装置2が設置され、温水槽3に温水を供給する。通風空間5の上方に、冷却ファン6が設けられる。冷却ファン6は、ルーバー7から通風空間5に向かう外気の流れを生み出す。
【0031】
<温水槽の構成>
図2(a)は、図1の温水槽3の平面図である。図2(a)に示すように、温水槽3は、貯留部30と、複数の散水孔31と、複数の水位調節部32と、を有する。貯留部30は、温水槽3の本体である水槽で構成され、内部空間が温水供給装置2から供給される温水を貯留するための貯留空間を構成している。貯留部30は、平面視で前後方向(第1方向)に長い長方形状の底壁である底部301と、底部301の長辺の端部から上方に突出して前後方向(第1方向)に延びる一対の側壁部302と、底部301の短辺の端部から上方に突出して左右方向(第1方向に直交する第2方向)に延びる一対の側壁部303とを有する。即ち、貯留部30は、平面視で、熱交換ユニット4における外気の通流方向に向けて短く、当該通流方向に直交する方向に長く形成されている。以下では、温水槽3における方向を、便宜上、第1方向及び第2方向で表す。貯留部30は、たとえば、木製、金属製、または樹脂(例えば、FRP:繊維強化プラスチック)製である。貯留部30の底部301に、複数の散水孔31が形成されている。複数の散水孔31は、底部301において平面視で第1方向および第2方向に等しい間隔をあけて分布して配置される。複数の散水孔31の孔径は同一である。複数の散水孔31を介して、貯留部30に貯留された温水は熱交換ユニット4上に散水される。
【0032】
図2(b)は、図1の温水槽3の斜視断面図である。図2(b)に示すように、水位調節部32は、貯留部30の底部301から上方に突出して且つ少なくとも一部が貯留部30の貯留空間の高さよりも低い。水位調節部32は、底部301のうち隣り合う散水孔31の間の部分から上方に突出し、且つ平面視で閉じた内部空間320を形成するための壁部321を有する。水位調節部32は、温水槽30に第1方向に延在するように複数設けられている。壁部321は、第1方向に延びる一対の長辺壁部321aと、一対の長辺壁部321aの第1方向の端部同士を接続するように第2方向に延びる短辺壁部321bとを含む。本実施形態では、一対の長辺壁部321aの第1方向における一端部同士が短辺壁部321bにより接続され、一対の長辺壁部321aの他端部同士が貯留部30の側壁部303により接続されている。
【0033】
即ち、水位調節部32は、一対の長辺壁部321a、短辺壁部321b及び側壁部303により構成されている。それら壁部321a,321b,303により平面視で矩形状に囲まれた内部空間320が形成され、その内部空間320が上側で貯留空間に連通している。水位調節部32は、一対の長辺壁部321a及び短辺壁部321bが同一高さで且つ貯留部30の側壁部302,303よりも低い。具体的には、長辺壁部321a及び短辺壁部321bの高さは、側壁部302,303の高さの5%以上35%以下、好ましくは10%以上25%以下である。ここでは、壁部321は、貯留部30と別体で構成され、底部301に固定されている。具体的には、壁部321は、略L字型の断面を有する板状部材であり、底部301にリベット400によって固定されている。
【0034】
複数の散水孔31のうち、水位調部32の内側に位置する散水孔311を第1散水孔と呼び、水位調部32の外側に位置する散水孔312を第2散水孔と呼ぶ。即ち、第1散水孔311は、平面視で水位調節部32により囲まれた領域に位置し、平面視で内部空間320と重なるように位置している。第2散水孔312は、平面視において水位調節部32に囲まれておらず、平面視で内部空間320と重ならないように位置している。貯留部30は、平面視で第1方向の一部において底部301の第2方向における全長に渡って、第1領域100を有する。
【0035】
第1領域100は、底部301の少なくとも第2方向の全体にわたって第2散水孔312のみが並ぶ領域を意味する。ここでは、第1領域100の散水孔31は第1方向にも複数(図2(a)では12列)並んでいる。なお、第1領域100における散水孔31の第1方向に配置される数は特に限定されないが、2列以上、更には3列以上であることが好ましい。2列以上、更には3列以上とすることで供給された温水を第2方向に移動しやすくすることができる。第1領域100の数及び第1方向における位置は任意である。ここでは、第1領域100は、1つであり、底部301の第1方向における端部以外の位置に形成されている。なお、第1領域100を2つ、もしくは3つ設けてもよい。また、第1領域100は温水供給口21の位置に合わせて配置するようにすることが好ましい。すなわち、温水供給口21から供給された温水が水位調節部32に邪魔されることなく第2方向に拡散するようにすることが好ましい。
【0036】
第1領域100と対向して、温水供給装置2の温水供給口21が配置されている。これにより、温水供給装置2から第1領域100に温水が供給される。なお、温水供給装置2から第1領域100に温水を供給する態様は、任意であり、これには限定されない。例えば、温水供給口21は本実施形態では1箇所としているがこれに限定されず、2箇所もしくは3箇所設けてもよい。更に、温水供給口21の位置も特に限定されず、側壁302側もしくはこれに対向する側壁側に設けてもよい。第1領域100を温水供給口21の位置に合わせて設けるため、供給される温水が水位調節部32によって阻害されることなく第2方向に拡散される。
【0037】
更に、貯留部30は、平面視で第1方向における第1領域100の両側に第1散水孔311及び第2散水孔312が存在する第2領域200を有する。言い換えると、第2領域200は、底部301の少なくとも第2方向の全体にわたって第2散水孔312のみが並ぶことがなく、第1散水孔311と第2散水孔312とが混在する領域を意味する。第2領域200において、第1散水孔311及び第2散水孔312は、それぞれ、平面視で第1方向において略均一に分布している。ここでは、第2領域200で散水孔31が第1方向に並ぶ数は、第1領域100で散水孔31が第1方向に並ぶ数よりも多い。
【0038】
第2領域200は、第1領域100から第1方向に複数の第2散水孔312のみが並ぶ第3領域300を有する。水位調節部32は、第3領域300に対して第2方向に隣接して第1方向に延在する。ここでは、2列の水位調節部32と3列の第3領域300とが第2方向において交互に配列される。即ち、第3領域300は、平面視において、2列の水位調節部32とで挟まれた領域と、貯留部30の側壁部302と水位調節部32とで挟まれた領域と、を含んでいる。また、水位調節部32の内側には、第1方向に等間隔で複数並ぶ第1散水孔311の列が第2方向に複数列(図2(a)では2列)配置される。本実施形態では、1つの水位調節部32の内側では、第1散水孔311の第2方向に並ぶ数よりも、第1散水孔311の第1方向に並ぶ数が多い。
【0039】
[動作]
以上のように構成された冷却塔1の動作を、図1図2(a)、図2(b)を参照して説明する。
【0040】
まず、一般的な動作を説明する。
【0041】
工場やビル等の冷却塔の外部設備より送られてくる温水は、温水供給装置2から温水槽3に供給される。供給された温水は、温水槽3の底部に設置された複数の散水孔31を通じて熱交換ユニット4に散水される。なお、温水は、温水槽3の底部に設けられた散水ノズルを通じて熱交換ユニット4に散水されるようにしてもよい。
【0042】
一方、冷却ファン6が駆動されることにより、平面視で左右方向からルーバー7を介して熱交換ユニット4に外気が吸入される。吸入された外気は熱交換ユニット4の内部を流下する温水と接触して熱交換する。熱交換ユニット4から流出した外気は、エリミネータ9と接触して、水滴が除去される。水滴が除去された外気は冷却ファン6により、通風空間5において上側方向に向きを変え、外部に排気される。一方、熱交換によって、温水は冷却されて冷水となる。冷水は熱交換ユニット4の内部を流下して、冷水槽8に貯留される。
【0043】
次に、本実施形態において特徴的な温水槽3の動作を説明する。
【0044】
まず、温水供給口21から貯留部30の第1領域100に温水が供給される。温水は、貯留部30の貯留空間に貯留される。散水孔31から散水される温水の流量は、散水孔31の数が変化しなければ、貯留部30の貯留空間に貯留された温水の水位が増加するにつれて増加する。従って、貯留される温水の水位は、温水供給口21から供給される温水の流量と散水孔31から散水される温水の流量とが均衡するように定まる。貯留部30の貯留空間に貯留された温水の水位が水位調節部32の壁部321よりも上側である場合には、水位調節部32の内部空間320にも温水が供給されるため、温水は第1散水孔311と第2散水孔312との両方から熱交換ユニット4へ流下する。
【0045】
他方、貯留部30の貯留空間に貯留された温水の水位が水位調節部32の壁部321よりも下側である場合には、第1領域100に供給された温水は、水位調節部32に遮られて第1散水孔311には供給されないため、その温水は第2散水孔312からのみ熱交換ユニット4へと流下する。この際、第1領域100に供給された温水は、第1領域100において水位調節部32に阻害されずに平面視で第2方向に流通して、第2方向に間隔をあけた複数の第3領域300に均等に分配され、その温水は平面視で貯留部30の長手方向の端部に向かって第3領域300の各々を第1方向に流れる。そのようにして、貯留部30に形成された全ての第2散水孔312に行きわたった温水が、全ての第2散水孔312を通じて、熱交換ユニット4に散水される。
【0046】
図3は、図1の温水槽3における、温水の水位と温水供給装置2からの温水供給量との関係を示すグラフである。図3のグラフにおいて、縦軸が温水の水位を示し、横軸が温水供給装置2からの温水供給量を示す。図3において太線で示す直線は、温水槽3の貯留部30から熱交換ユニット4に対する適切な散水に必要な水位Aである(以下、最低水位Aと呼ぶ)。図3において一点鎖線で示す曲線は、水位調節部32が設けられていない場合における水位の変化を示し、実線で示す曲線は、水位調節部32が設けられている場合における水位の変化を示す。
【0047】
温水槽3に水位調節部32が設けられていない場合に、温水供給装置2から供給される温水の量が低下していくと、図3において示す温水供給量Yにて、最低水位Aに達してしまう。一方、本実施形態に係る冷却塔1の温水槽3に水位調節部32が設けられた場合、貯留部30の貯留空間に貯留された温水の水位が水位調節部32の壁部321よりも下側となると、温水は第2散水孔312のみから熱交換ユニット4へ流下する。これにより、温水槽3から熱交換ユニット4へ流下する温水の流量が急減する。すると、温水の水位は低下から上昇に転じる。そして、温水の水位が水位調節部32の壁部321よりも上側となると、第2散水孔312のみならず第1散水孔311からも温水が散水されるため、温水槽3から流下する温水の流量が急増する。すると、温水の水位は上昇から低下に転じる。その結果、水位調節部32の壁部321の高さ近辺の水位Bにおいて、温水槽3から流下する温水の流量が、この微小な急減と微小な急増との作用により温水槽3へ供給される温水の流量と均衡し、当該水位Bが維持される。そして、温水槽3へ供給される温水の流量が第2散水孔312のみから流下する温水の流量を下回ると、温水の水位は、再度、低下を開始し、やがて、最低水位Aを下回る。
【0048】
このように、冷却塔1の温水槽3に水位調節部32が設けられた場合、温水供給装置2から供給される温水の量が低下していくと、貯留部30の温水の水位は、下がり続けるのではなく、一旦、最低水位Aよりも少し高い水位Bにて、水位が維持される。その後、温水供給量Yよりも小さい値の温水供給量Xにて、最低水位Aに達する。
【0049】
[効果]
以上のように構成され且つ動作する冷却塔1は、以下の効果を奏する。
【0050】
貯留部30の貯留空間に貯留された温水の水位が水位調節部32の壁部321よりも下側である場合には、温水は第2散水孔312からのみ熱交換ユニット4へと流下する。この構成によって、温水供給口21からの温水供給量が減少していっても水位の低下を抑制できる。
【0051】
更に、第2散水孔312のみが並ぶ第1領域100に温水が供給されることによって、貯留部30に貯留された温水が低水位のときも、第2散水孔312の全体に温水が行きわたりやすく、熱交換ユニット4に対して不均一に温水が流下するのを抑制することができる。そのため、外気が偏って熱交換ユニット4に流入することも抑制できる。その結果、冷却塔1の冷却効率の低下を抑制することができる。
【0052】
貯留部30は、第1領域100の両側に第2領域200を有することよって、第2領域200の第1方向における長さが短くなるので、低水位時において第2散水孔312の全体に温水が行きわたりやすくなる。
【0053】
第2領域200において、第1散水孔311及び第2散水孔312は、それぞれ、第1方向において略均一に分布している。この構成によって、温水供給装置2からの温水供給量が低下したときにも、第1方向において、熱交換ユニット4に対して不均一に温水が流下することを抑制できる。
【0054】
複数の第1散水孔311が水位調節部32の内側に位置する。この構成によって、水位調節部32の数が低減されるため、水位調節部32の作製が容易になる。
【0055】
温水供給装置2からの温水供給量が低下したときに、第1方向に延在している水位調節部32によって、第1領域100の温水が、第3領域300に導かれて温水槽3の第1方向における全体に温水が行きわたりやすくなる。よって、熱交換ユニット4に対して不均一に温水が流下することを更に抑制できる。
【0056】
複数の第3領域300と水位調節部32とが第2方向に交互に配列される。この構成によって、熱交換ユニット4に流下される温水が第2方向に広く分散され、熱交換ユニット4を流下する温水の第2方向における偏りが抑制される。よって、熱交換ユニット4における外気と温水との熱交換効率を良好に保つことができる。
【0057】
温水供給口21は、第1領域100に対向して配置される。この構成によって、温水供給口21から流出する温水の勢いにより、温水の第1領域100を介した第2方向への流通が促進される。このため、温水が貯留部3の貯留空間の全体へより分散しやすくなる。
【0058】
したがって、本実施形態に係る冷却塔1は、冬期等のように、冷却水が利用される設備側の冷却要求が低くなり、少ない温水供給量で使用される場合にも安定した冷却効率を保つことができる。
【0059】
なお、低水位において、温水を第1方向全体へ行き渡らせられない従来技術の場合、温水供給口付近では温水が熱交換ユニットに散水されるものの、第1方向の端部では温水が熱交換ユニットに散水されないこととなる。そのため、熱交換ユニットの長手方向(第1方向)で見た場合の中央付近には水膜が形成された領域が形成されるが端部側では水膜が形成されない領域が出来る。そうすると、熱交換ユニットにおいて、外気は水膜が形成されている中央付近よりも、より通過しやすい水膜の形成されていない端部側から多く吸引されることとなり、熱交換効率が低下する。
【0060】
これに対して、本実施形態では長手方向に十分に水を行き渡らせるため、長手方向で見た場合に温水が供給されない部分を極力なくすことができ、熱交換ユニット4に外気が偏って流入することも抑制できる。
【0061】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る冷却塔の温水槽3Aは、第1実施形態に係る冷却塔1の温水槽3の一部を変形したものである。以下では、第2実施形態に係る冷却塔の温水槽3Aにおいて第1実施形態と異なる点について、主に説明する。
【0062】
図4は、本発明の第2実施形態に係る冷却塔の温水槽3Aの平面図である。図4に示すように、水位調節部32は、温水槽3Aに第1方向に延在するように複数設置される。水位調節部32Aの内側には、第1方向に等間隔で複数並ぶ第1散水孔311Aの列が第2方向に1列配置される。第2実施形態では、3列の水位調部32Aと4列の第3領域300とが第2方向において交互に配置される。これ以外の点は第1実施形態と同様である。
【0063】
このような第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。更に、第2実施形態では、水位調節部32Aの内側には、複数並ぶ第1散水孔311の列が第2方向に1列配置されており、第3領域300では複数並ぶ第2散水孔312の列が第2方向に1列配置されている。水位調節部32Aと第3領域300は、互いに散水孔31が第2方向に1列配置され、第2方向において交互に配置されている。よって、第2実施形態では、第1実施形態と比べて、第2方向における第3領域300の配置がより均一になるので、低水位時に熱交換ユニット4に対して不均一に温水が流下することをより抑制できる。
【0064】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る冷却塔の温水槽3Bは、第1実施形態に係る冷却塔1の温水槽3の一部を変形したものである。以下では、第3実施形態に係る冷却塔の温水槽3Bにおいて、第1実施形態と異なる点について、主に説明する。
【0065】
図5(a)は、本発明の第3実施形態に係る冷却塔の温水槽3Bの平面図である。図5(a)に示すように、水位調節部32Bは、第3領域300に沿って、第1方向に等間隔に点在して複数設けられている。ここでは、第1方向に等間隔で複数並ぶ水位調節部32Bの列と第3領域300とが第2方向において交互に複数配置される。
【0066】
図5(b)は、温水槽3Bの斜視断面図である。図5(b)に示すように、水位調節部32Bは、底部301のうち隣り合う散水孔31の間から上方に突出し、且つ平面視で閉じた内部空間320Bを形成する壁部321Bを有する。水位調節部32Bの上部には、内部空間320Bと連通する開口が形成されているため、内部空間320Bは、上側で貯留部30の貯留空間に連通している。ここでは、壁部321Bは、貯留部30と一体で構成されてもよいし、貯留部30と別体で構成されて、底部301に固定されてもよい。具体的には、壁部321Bは、略円筒状である。第1散水孔311は、平面視で水位調節部32Bにより囲まれた領域に位置し、平面視で内部空間320Bと重なるように位置している。第2散水孔312は、平面視において水位調節部32Bに囲まれておらず、平面視で内部空間320Bと重ならないように位置している。これ以外の点は第1実施形態と同様である。
【0067】
なお、水位調節部32Bは1つの散水孔のみを取り囲むように設置しているが、これに限定されず、複数の第1散水孔311(例えば4つ)を1つの水位調節部32Bで囲むようにしても良い。
【0068】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る冷却塔の温水槽3Cは、第1実施形態に係る冷却塔の温水槽3の一部を変形したものである。以下では、第4実施形態に係る冷却塔の温水槽3Cにおいて、第1実施形態と異なる点について、主に説明する。
【0069】
図6は、本発明の第4実施形態に係る冷却塔の温水槽3Cの平面図である。図6に示すように、第2領域200において、水位調節部32Cと第2散水孔312とが、第1方向及び第2方向の双方向において、交互に配置されている。なお、水位調節部32Cの形状は、第3実施形態における水位調節部32Bの形状と同一である。これ以外の点は第1実施形態と同様である。
【0070】
(その他の実施形態)
水位調節部32の形状は上述の実施形態に記載された形状に限られない。例えば、水位調節部32は、略楕円形状や、略三角形状、略菱形状のいずれであってもよい。
【0071】
また、複数の散水孔31は、必ずしも貯留部30の底部に略均一に分布して配置されるものでなくてもよい。
【0072】
なお、上述の実施形態(第1乃至第4実施形態及びその他の実施形態)において、水位調部は、側面から上面に渡って延在する壁部を有していて、当該上面の壁部に貯留部30の貯留空間に連通する連通孔が形成された構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る冷却塔は、少ない温水供給量で使用されても冷却効率の低下を抑制できる優れた効果を有し、この効果の意義を発揮できる冷却塔に広く適用すると有用である。
【符号の説明】
【0074】
1 冷却塔
2 温水供給装置
3、3A、3B、3C 温水槽
30 貯留部
301 底部
302 側壁部
303 側壁部
31 散水孔
311 第1散水孔
312 第2散水孔
32、32A、32B、32C 水位調節部
320 内部空間
321 壁部
321a 長辺壁部
321b 短辺壁部
4 熱交換ユニット
5 通風空間
6 冷却ファン
7 ルーバー
8 冷水槽
9 エリミネータ
100 第1領域
200 第2領域
300 第3領域
400 リベット
図1
図2
図3
図4
図5
図6