特許第6190310号(P6190310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190310
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】ハイブリッド式作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   E02F9/20 Z
【請求項の数】2
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-77011(P2014-77011)
(22)【出願日】2014年4月3日
(65)【公開番号】特開2015-197032(P2015-197032A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】特許業務法人広和特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100079441
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 和彦
(72)【発明者】
【氏名】東 祐司
(72)【発明者】
【氏名】小島 貢
(72)【発明者】
【氏名】太田 泰典
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−216189(JP,A)
【文献】 特開2010−196408(JP,A)
【文献】 特開2004−169465(JP,A)
【文献】 特開2010−230061(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0000290(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/151263(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00−9/28
E02F 3/42−3/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体にブームシリンダにより俯仰動可能に設けられた作業装置とからなり、
前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、前記上部旋回体を旋回させる旋回油圧モータおよび前記ブームシリンダを含む油圧アクチュエータと、前記旋回フレームに搭載された原動機によって駆動され前記上部旋回体および前記作業装置に搭載された油圧アクチュエータに向けて圧油を吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへの圧油の給排を制御する方向制御弁と、前記旋回フレームに設けられ前記油圧アクチュエータに供給される作動油を蓄える作動油タンクと、前記旋回フレームに設けられ電力を蓄電する蓄電装置と、該蓄電装置からの電力によって回転し前記原動機による前記油圧ポンプの駆動をアシストするアシスト電動モータと、前記油圧アクチュエータから前記作動油タンクに戻る戻り油によって回転する回生油圧モータと、該回生油圧モータにより駆動され前記蓄電装置に蓄えられる電力を発生する回生電動モータと、前記回生油圧モータに対する前記油圧アクチュエータからの戻り油の供給を制御する油圧回生弁とを備えてなるハイブリッド式作業機械において、
前記回生油圧モータは、前記旋回油圧モータからの戻り油により回転駆動されるものであり、
前記油圧回生弁は、前記旋回油圧モータと前記方向制御弁との間に位置して前記旋回油圧モータからの戻り油を前記回生油圧モータに供給する旋回回生弁であり、
前記旋回回生弁は、前記旋回油圧モータのモータハウジングに直接取付けられる構成としたことを特徴とするハイブリッド式作業機械。
【請求項2】
前記油圧回生弁には、前記旋回油圧モータからの戻り油を前記回生油圧モータに供給する動作を停止する回生停止手段を取付ける構成としてなる請求項1に記載のハイブリッド式作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル、ホイール式油圧ショベル等の作業機械に関し、特に、動力源としてエンジンと電動機(電動モータ)とを併用したハイブリッド式作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、作業機械の代表例である油圧ショベルは、走行用、作業用の動力源としてエンジンを備え、このエンジンによって油圧ポンプを駆動し、油圧ポンプから吐出した圧油によって油圧モータ、油圧シリンダ等の油圧アクチュエータを作動させることにより、土砂の掘削作業等を行うものである。この場合、油圧ポンプと各油圧アクチュエータとの間には複数の方向制御弁(コントロールバルブ)が設けられ、各方向制御弁は、オペレータが操作レバー等を操作するのに応じて、油圧ポンプから吐出した圧油を所望の油圧アクチュエータに供給する。
【0003】
ところで、油圧ショベルを用いた土砂の掘削作業は、常にエンジンの最大出力を必要とする作業ばかりではなく、例えばエンジンの最大出力の8割程度の出力で賄える作業も多い。このため、エンジンを小型化すると共に、この小型化したエンジンをアシストするアシスト電動モータと、アシスト電動モータ等に供給される電力を蓄えるバッテリ等の蓄電装置とを備えたハイブリッド式油圧ショベルが提案されている。
【0004】
このハイブリッド式油圧ショベルは、エンジンの出力トルクが油圧ポンプの駆動トルクよりも大きいときには、余剰のトルクによってアシスト電動モータを発電機として駆動し、アシスト電動モータからの発電電力を蓄電装置に蓄える。一方、エンジンの出力トルクが油圧ポンプの駆動トルクよりも小さいときには、蓄電装置からの電力によってアシスト電動モータを電動機として駆動し、エンジンが油圧ポンプを駆動するのをアシスト電動モータによって助勢(アシスト)する。
【0005】
さらに、掘削作業時に作業装置の油圧アクチュエータから作動油タンクへと戻る戻り油によって回転駆動される回生油圧モータと、この回生油圧モータによって駆動される回生電動モータとからなる油圧回生ユニットを備えたハイブリッド式作業機械が提案されている。
【0006】
このハイブリッド式作業機械は、油圧アクチュエータからの戻り油によって回生油圧モータが回転し、この回生油圧モータの回転によって回生電動モータを発電機として駆動することにより、回生電動モータからの発電電力を蓄電装置に蓄えることができる(特許文献1参照)。
【0007】
そして、油圧回生ユニットを備えたハイブリッド式作業機械は、通常、油圧アクチュエータと回生油圧モータとの間に油圧回生弁が設けられ、この油圧回生弁によって、回生油圧モータに対する油圧アクチュエータからの戻り油の供給を制御する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−169465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述したような従来のハイブリッド式作業機械においては、一般に、油圧回生弁が方向制御弁に一体的に設けられ、油圧アクチュエータからの戻り油は、方向制御弁を経由して回生油圧モータに供給される構成となっている。
【0010】
このため、油圧アクチュエータと油圧回生弁との間を接続する油圧管路が長くなり、油圧アクチュエータからの戻り油を油圧回生弁を介して回生油圧モータに導く油路が長大化してしまう。この結果、長大化した油路を通じて戻り油が回生油圧モータに供給される間の圧力損失が増大し、戻り油によるエネルギ回収効率が低下してしまうという問題がある。また、戻り油が流れる油路を構成する油圧ホース等が長くなり、製造コストの上昇、メンテナンス性の低下を招くという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、油圧アクチュエータと油圧回生弁との間を接続する油圧管路を短くし、戻り油によるエネルギ回収効率を高めることができるようにしたハイブリッド式作業機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するため本発明は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体にブームシリンダにより俯仰動可能に設けられた作業装置とからなり、前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、前記上部旋回体を旋回させる旋回油圧モータおよび前記ブームシリンダを含む油圧アクチュエータと、前記旋回フレームに搭載された原動機によって駆動され前記上部旋回体および前記作業装置に搭載された油圧アクチュエータに向けて圧油を吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへの圧油の給排を制御する方向制御弁と、前記旋回フレームに設けられ前記油圧アクチュエータに供給される作動油を蓄える作動油タンクと、前記旋回フレームに設けられ電力を蓄電する蓄電装置と、該蓄電装置からの電力によって回転し前記原動機による前記油圧ポンプの駆動をアシストするアシスト電動モータと、前記油圧アクチュエータから前記作動油タンクに戻る戻り油によって回転する回生油圧モータと、該回生油圧モータにより駆動され前記蓄電装置に蓄えられる電力を発生する回生電動モータと、前記回生油圧モータに対する前記油圧アクチュエータからの戻り油の供給を制御する油圧回生弁とを備えてなるハイブリッド式作業機械に適用される。
【0013】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記回生油圧モータは、前記旋回油圧モータからの戻り油により回転駆動されるものであり、前記油圧回生弁は、前記旋回油圧モータと前記方向制御弁との間に位置して前記旋回油圧モータからの戻り油を前記回生油圧モータに供給する旋回回生弁であり、前記旋回回生弁は、前記旋回油圧モータのモータハウジングに直接取付けられることにある。
【0016】
請求項の発明は、前記油圧回生弁には、前記旋回油圧モータからの戻り油を前記回生油圧モータに供給する動作を停止する回生停止手段を取付ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、旋回油圧モータ旋回回生弁との間を接続する油圧管路を短くすることができるので、例えば旋回回生弁が方向制御弁の近傍に配置される場合に比較して、旋回油圧モータからの戻り油を回生油圧モータへと導く油路を、方向制御弁の配設位置に関わらず可及的に短くすることができる。これにより、戻り油が油路を通じて回生油圧モータに供給される間の圧力損失を抑えることができ、戻り油によるエネルギ回収効率を高めることができる。
【0018】
また、旋回油圧モータ旋回回生弁との間を接続する油圧管路を短くすることができるので、製造コストの低減にも寄与することができる。さらに、旋回油圧モータの周囲に形成された空間を、旋回回生弁に対するメンテナンスの作業空間に利用することができるので、メンテナンス作業の作業性を高めることができる。
【0019】
しかも、旋回油圧モータからの戻り油を旋回回生弁に直接導くことができるので、旋回油圧モータと旋回回生弁との間を接続する油圧管路を不要とすることができる。この結果、旋回油圧モータからの戻り油を回生油圧モータへと導く油路を可及的に短くし、この油路を戻り油が流れるときの圧力損失を抑えることができるので、旋回油圧モータからの戻り油によるエネルギ回収効率を高めることができる。
【0020】
また、旋回油圧モータと旋回回生弁との間を接続する油圧管路を不要とした分、コストを低減することができる。さらに、旋回油圧モータの周囲に形成された空間を利用して旋回回生弁に対するメンテナンス作業を行うことができるので、メンテナンス性を高めることができる。
【0023】
請求項の発明によれば、例えば回生油圧モータ、回生電動モータ等が故障した場合に、回生油圧モータに対する戻り油の供給を回生停止手段によって迅速に停止することができる。これにより、回生油圧モータ、回生電動モータ等の故障に対するメンテナンス作業を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態によるハイブリッド式作業機械としての油圧ショベルを示す正面図である。
図2】作業装置を取外した上部旋回体を上方からみた平面図である。
図3】旋回フレーム上に第1の実施の形態による回生ユニット、エンジン、油圧ポンプ、作動油タンク等を搭載した状態を示す平面図である。
図4】旋回フレームに設けられた方向制御弁、旋回モータ、旋回回生弁、ブーム回生弁等を示す要部拡大の斜視図である。
図5】第1の実施の形態による回生油圧モータ、回生電動モータ、油圧ポンプ等を含む油圧回路図である。
図6】旋回フレーム上に第2の実施の形態による回生ユニット、エンジン、油圧ポンプ、作動油タンク等を搭載した状態を示す平面図である。
図7】第2の実施の形態による回生油圧モータ、回生電動モータ、回生アシストポンプ、油圧ポンプ等を含む油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1ないし図5は本発明の第1の実施の形態を示している。
【0026】
図中、1はハイブリッド式作業機械としての油圧ショベルを示し、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回輪3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置5とにより構成されている。
【0027】
作業装置5は、後述する旋回フレーム6に俯仰動可能に取付けられたブーム5Aと、該ブーム5Aの先端側に回動可能に取付けられたアーム(図示せず)と、該アームの先端側に回動可能に取付けられたバケット(図示せず)と、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ5B、アームシリンダ、バケットシリンダ(いずれも図示せず)とにより構成され、土砂の掘削作業等を行うものである。
【0028】
6は上部旋回体4のベースとなる旋回フレームで、該旋回フレーム6は、図3および図4に示すように、左,右方向の中央部に位置して前,後方向に延びた底板6Aと、該底板6A上に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左縦板6B及び右縦板6Cと、左縦板6Bから左側方に張出して設けられた複数の左張出しビーム6Dと、右縦板6Cから右側方に張出して設けられた複数の右張出しビーム6Eと、各左張出しビーム6Dの先端側に固着され前,後方向に延びた左サイドフレーム6Fと、各右張出しビーム6Eの先端側に固着され前,後方向に延びた右サイドフレーム6Gとにより大略構成されている。
【0029】
ここで、底板6Aは厚肉な鋼板等を用いて前,後方向に延びる平板状に形成され、底板6Aの上面側には、左,右の縦板6B,6C間に位置して後述のコントロールバルブ18、旋回モータ19、ブーム回生弁61等が設けられている。
【0030】
一方、左,右の縦板6B,6Cの前部側は上方に隆起した山形状をなし、前板6Hによって左,右方向で連結されている。山形状をなす左,右の縦板6B,6Cの頂部付近には、作業装置5を構成するブーム5Aのフート部が取付けられるブーム取付部6B1,6C1が設けられている。また、左,右の縦板6B,6Cのうちブーム取付部6B1,6C1よりも前側でかつ下側には、ブームシリンダ5Bが取付けられるシリンダ取付部6B2,6C2が設けられている。
【0031】
旋回フレーム6の前部左側には、運転室を画成するキャブ7が設けられている。旋回フレーム6の後端側には、作業装置5との重量バランスをとるカウンタウエイト8が設けられている。
【0032】
9はカウンタウエイト8の前側に位置して旋回フレーム6の後部側に配設された原動機としてのエンジンを示している。エンジン9は、クランク軸(図示せず)の軸線が左,右方向に延びる横置き状態で、旋回フレーム6上に配置されている。エンジン9の右側には、後述の油圧ポンプ14とアシスト電動モータ15とが取付けられ、これら油圧ポンプ14とアシスト電動モータ15とは、エンジン9によって駆動されるものである。
【0033】
10はエンジン9の左側に位置して旋回フレーム6上に搭載された熱交換装置で、該熱交換装置10は、エンジン冷却水を冷却するラジエータ11、および作動油を冷却するオイルクーラ12等からなる1つのユニットとして形成されている。そして、熱交換装置10は、エンジン9に取付けられた冷却ファン9Aによる冷却風がラジエータ11、オイルクーラ12に供給されることにより、エンジン冷却水、作動油等を冷却するものである。
【0034】
13は熱交換装置10の前側に位置して旋回フレーム6上に搭載された蓄電装置を示し、該蓄電装置13は、後述するアシスト電動モータ15に供給するアシスト用の電力を蓄電するものである。この蓄電装置13は、例えばリチウムイオン電池により構成され、アシスト電動モータ15との間で電力の充電・放電を行うものである。
【0035】
14はアシスト電動モータ15を挟んでエンジン9の右側に取付けられた油圧ポンプを示している。この油圧ポンプ14は、エンジン9によって駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。
【0036】
15は油圧ポンプ14と共にエンジン9の出力側に取付けられたアシスト電動モータを示している。このアシスト電動モータ15は、エンジン9と油圧ポンプ14との間に配置され、アシスト電動モータ15のモータ軸は、エンジン9の出力軸と油圧ポンプ14の入力軸とに連結されている。ここで、図5に示すように、アシスト電動モータ15は、インバータ16に電気的に接続され、該インバータ16は蓄電装置13に電気的に接続されている。
【0037】
アシスト電動モータ15は、エンジン9によって駆動されることにより発電するもので、アシスト電動モータ15が発電した交流電力は、インバータ16により直流電力に変換された状態で蓄電装置13に蓄えられる。一方、アシスト電動モータ15は、蓄電装置13からの電力によって駆動されることにより、エンジン9よる油圧ポンプ14の駆動を助勢(アシスト)するものである。
【0038】
ここで、インバータ16は、複数のスイッチング素子を用いて構成され、スイッチング素子のオン/オフを制御することにより、アシスト電動モータ15の発電時には、アシスト電動モータ15からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置13に供給する。一方、アシスト電動モータ15によって油圧ポンプ14の駆動をアシストするときには、インバータ16は、蓄電装置13の直流電力から三相交流電力を生成し、この三相交流電力をアシスト電動モータ15に供給する。
【0039】
17はエンジン9の前側を左,右方向に延びた状態で旋回フレーム6に立設された仕切り部材を示している。仕切り部材17は、エンジン9とアシスト電動モータ15の前側に配置された中間仕切り板17Aと、熱交換装置10と蓄電装置13との間に位置して熱交換装置10の前側に配置された左仕切り板17Bと、油圧ポンプ14の前側に配置された右仕切り板17Cとにより構成されている。
【0040】
中間仕切り板17Aは、エンジン9から発生する熱、騒音がエンジン9の前側から外部に漏れるのを防止している。左仕切り板17Bは、熱交換装置10から発生する熱が蓄電装置13に伝わるのを抑え、右仕切り板17Cは、油圧ポンプ14から発生する熱が後述の作動油タンク20に伝わるのを抑えるものである。
【0041】
18は仕切り部材17の前側に配置されたコントロールバルブを示している。コントロールバルブ18は、中間仕切り板17Aを挟んでエンジン9とは反対側(前側)に配置され、左縦板6Bと右縦板6Cとの間で旋回フレーム6の底板6A上に設けられている。コントロールバルブ18は、後述する旋回用方向制御弁36、ブーム用方向制御弁57を含む多数の方向制御弁の集合体からなり、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向を制御するものである。
【0042】
19はコントロールバルブ18の前側に配置された旋回モータを示し、該旋回モータ19は、左,右の縦板6B,6C間に位置して旋回フレーム6の底板6A上に設けられている。旋回モータ19は油圧モータにより構成され、油圧ポンプ14からの圧油が供給されることにより、下部走行体2上で上部旋回体4を旋回させるものである。ここで、旋回モータ19には、後述する旋回回生弁40が一体的に取付けられている。
【0043】
20は仕切り部材17を挟んで油圧ポンプ14の前側に配置された作動油タンクを示し、該作動油タンク20は、油圧ショベル1に搭載された油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜するものである。ここで、作動油タンク20は、全体として直方体状をなす製缶構造体として形成され、旋回フレーム6の右縦板6Cと右サイドフレーム6Gとの間に配置されている。
【0044】
また、図3に示すように、作動油タンク20の後面20Aと右仕切り板17Cとの間には、後述する回生ユニット25を収容するための回生ユニット収容空間21が形成されている。一方、作動油タンク20の前側には、エンジン9に供給される燃料を貯溜する燃料タンク22が設けられている。
【0045】
次に、本実施の形態に用いられる回生油圧モータ23および回生電動モータ24について説明する。
【0046】
23は油圧ポンプ14から前側に離間した位置で作動油タンク20の近傍に隣接して設けられた回生油圧モータを示している。この回生油圧モータ23は、モータ軸(図示せず)が左,右方向に延びる横置き状態で旋回フレーム6の右張出しビーム6E上に取付けられている。ここで、回生油圧モータ23は、旋回モータ19またはブームシリンダ5Bからの戻り油によって回転するものである。
【0047】
24は回生油圧モータ23と共に油圧ポンプ14から前側に離間した位置で作動油タンク20の近傍に隣接して設けられた回生電動モータを示している。この回生電動モータ24は、モータ軸(図示せず)が左,右方向に延びる横置き状態で、旋回フレーム6の右張出しビーム6E上に取付けられている。
【0048】
ここで、回生電動モータ24のモータ軸は、動力伝達機構(図示せず)を介して回生油圧モータ23のモータ軸に接続されている。これにより、回生油圧モータ23と回生電動モータ24とは、エンジン9から分離した回生ユニット25を構成し、これら回生油圧モータ23と回生電動モータ24とは、油圧ポンプ14と作動油タンク20との間、さらに詳しくは、油圧ポンプ14の前側に設けられた仕切り部材17の右仕切り板17Cと作動油タンク20との間に形成された回生ユニット収容空間21内に、左,右方向に並べて収容されている。
【0049】
一方、図5に示すように、回生電動モータ24はインバータ26に電気的に接続され、該インバータ26は蓄電装置13に電気的に接続されている。回生電動モータ24は、回生油圧モータ23によって駆動されることにより発電するもので、回生電動モータ24が発電した交流電力は、インバータ26により直流電力に変換されて蓄電装置13に蓄えられる。
【0050】
27はカウンタウエイト8の前側に位置して旋回フレーム6上に設けられた建屋カバーを示している。建屋カバー27は、その内部にエンジン9、蓄電装置13、油圧ポンプ14、アシスト電動モータ15、回生油圧モータ23、回生電動モータ24等の搭載機器を収容するもので、後述する左側面カバー28と、上面カバー29と、エンジンカバー30と、右側面ドア31とにより構成されている。
【0051】
28は建屋カバー27の左側面を構成する左側面カバーを示し、該左側面カバー28は、カウンタウエイト8の左端部とキャブ7との間に設けられている。この左側面カバー28は、左サイドフレーム6Fから上方に立上り、左サイドフレーム6Fに沿って前,後方向に延びている。左側面カバー28は、熱交換装置10、蓄電装置13等を左側方から開,閉可能に覆っている。
【0052】
29は建屋カバー27の上面を構成する上面カバーを示している。上面カバー29は、左側面カバー28の上端部と、後述する右側面ドア31の上端部との間を左,右方向に延び、エンジン9、熱交換装置10等の搭載機器を上方から覆っている。上面カバー29の中央部には、作業用の開口部(図示せず)が形成され、この開口部はエンジンカバー30によって開,閉可能に覆われている。
【0053】
31は建屋カバー27の右側面を構成する右側面ドアを示し、該右側面ドア31は、カウンタウエイト8の右端部と燃料タンク22との間に設けられている。右側面ドア31は、油圧ポンプ14、回生油圧モータ23、回生電動モータ24等を右側方から開,閉可能に覆っている。
【0054】
次に、本実施の形態による回生油圧モータ23、回生電動モータ24等を含む油圧回路について図5を参照して説明する。
【0055】
上部旋回体4に設けられた油圧ポンプ14は、作動油タンク20と共に油圧源を構成し、作動油タンク20内の作動油を高圧の圧油としてデリベリ管路14Aに吐出する。油圧ポンプ14からデリベリ管路14Aに吐出した圧油は、コントロールバルブ18を構成する後述の旋回用方向制御弁36、ブーム用方向制御弁57等を介して旋回モータ19、ブームシリンダ5B等に供給される。
【0056】
コントロールバルブ18内には、デリベリ管路14Aと戻し管路32A(作動油タンク20)との間を接続するセンタバイパス管路32が設けられ、該センタバイパス管路32には、後述の旋回用方向制御弁36、ブーム用方向制御弁57がパラレル接続で設けられている。旋回用方向制御弁36の上流側には、センタバイパス管路32から分岐する分岐管路33Aが設けられ、該分岐管路33Aは旋回用方向制御弁36の高圧側ポートに接続されている。また、ブーム用方向制御弁57の上流側には他の分岐管路33Bが設けられ、該分岐管路33Bはブーム用方向制御弁57の高圧側ポートに接続されている。さらに、旋回用方向制御弁36と戻し管路32Aとの間には、旋回モータ19からの戻り油を作動油タンク20に環流させるタンク管路34Aが設けられ、ブーム用方向制御弁57と戻し管路32Aとの間には、ブームシリンダ5Bからの戻り油を作動油タンク20に環流させるタンク管路34Bが設けられている。
【0057】
旋回モータ19と旋回用方向制御弁36との間には、旋回モータ19に対して圧油を給排する一対の主管路35A,35Bが接続され、各主管路35A,35Bは、旋回用方向制御弁36の切換位置に応じて分岐管路33Aまたはタンク管路34Aに接続される。
【0058】
36はセンタバイパス管路32に接続された旋回用方向制御弁で、該旋回用方向制御弁36は、コントロールバルブ18を構成する多数の方向制御弁の1つである。この旋回用方向制御弁36は、パイロット部36A,36Bを有する6ポート3位置の方向制御弁からなり、キャブ7内に配置された油圧パイロット弁の操作レバー(図示せず)に対する操作に応じてパイロット部36A,36Bにパイロット管路36A1,36B1を通じてパイロット圧が供給されることにより、旋回モータ19に対する圧油の給排を停止する中立位置(A)と、旋回モータ19に対して圧油を給排する切換位置(B),(C)とに切換えられる。
【0059】
37A,37Bは主管路35A,35Bの途中に接続されたメイクアップ用の一対のチェック弁を示している。各チェック弁37A,37Bは、旋回モータ19が慣性回転を行うことにより主管路35Aまたは35B内が負圧になると、タンク管路38を通じて主管路35A,35B内に作動油タンク20内の作動油を補給する。
【0060】
39A,39Bは主管路35A,35Bの途中に接続された一対のリリーフ弁を示している。各リリーフ弁39A,39Bは、旋回モータ19が慣性回転を行うことにより一方の主管路35A(35B)内に過剰圧が発生するとこの過剰圧をリリーフし、油圧機器を保護する機能を有している。
【0061】
40は旋回モータ19と旋回用方向制御弁36との間に位置して主管路35A,35Bの途中に設けられた油圧回生弁としての旋回回生弁を示し、該旋回回生弁40は、旋回モータ19が慣性回転を行うときに、旋回モータ19のポンプ作用によって吐出される圧油(旋回モータ19からの戻り油)を回生油圧モータ23に供給するものである。旋回回生弁40は、後述の各チェック弁42A,42B、旋回回生メイン切換弁45、旋回回生パイロット弁49、電磁パイロット弁51を含んで構成されている。
【0062】
ここで、図4に示すように、旋回回生弁40は、コントロールバルブ18を構成する各方向制御弁とは別部材からなる略直方体のブロック状に形成され、旋回モータ19の外殻をなすモータハウジング19Aに取付けられている。これにより、旋回モータ19と旋回回生弁40との間を油圧ホース等を介して接続することなく、旋回モータ19からの戻り油を旋回回生弁40に直接導くことができる構成となっている。
【0063】
41は主管路35Aと主管路35Bとに接続された接続管路を示し、該接続管路41の途中には、主管路35A,35Bから接続管路41に向かう圧油の流れを許し、逆向きの流れを阻止する一対のチェック弁42A,42Bが接続されている。各チェック弁42A,42B間に位置する接続管路41の途中には、旋回回生管路43の一端側が接続部43Aにおいて接続され、旋回回生管路43の他端側は、後述するブーム回生管路70に接続されている。旋回回生管路43の途中には、回生油圧モータ23に向かう圧油の流れを許し、逆向きの流れを阻止するチェック弁44が接続されている。
【0064】
45は旋回回生管路43の途中に設けられた旋回回生メイン切換弁を示し、該旋回回生メイン切換弁45は、接続管路41と旋回回生管路43との接続部43Aと、チェック弁44との間に接続されている。ここで、旋回回生メイン切換弁45は、2ポート2位置の切換弁からなり、常時は遮断位置(A)を保持して旋回回生管路43を遮断し、パイロット部45Aにパイロット圧が供給されることにより連通位置(B)に切換えられ、旋回回生管路43を連通させる。旋回回生メイン切換弁45のパイロット部45Aと旋回回生管路43との間は、パイロット管路46を介して接続され、パイロット管路46の途中には一方向絞り弁47が設けられている。
【0065】
48は接続管路41と旋回回生管路43との間を接続するバイパス管路を示し、該バイパス管路48の一端側は、接続部48Aにおいて接続管路41に接続され、バイパス管路48の他端側は、チェック弁44と旋回回生メイン切換弁45との間で旋回回生管路43に接続されている。
【0066】
49はバイパス管路48の途中に接続された旋回回生パイロット弁を示している。この旋回回生パイロット弁49は2ポート2位置の切換弁からなり、常時は遮断位置(A)を保持してバイパス管路48を遮断する。一方、旋回回生パイロット弁49は、パイロット部49Aにパイロット圧が供給されることにより連通位置(B)に切換えられ、絞り49Bを介してバイパス管路48を連通させる。
【0067】
バイパス管路48と旋回回生パイロット弁49のパイロット部49Aとの間はパイロット管路50を介して接続され、該パイロット管路50の途中には3ポート2位置の電磁パイロット弁51が接続されている。この電磁パイロット弁51は、常時は遮断位置(A)を保持することにより、パイロット管路50を遮断すると共に旋回回生パイロット弁49のパイロット部49Aを作動油タンク20に接続する。また、電磁パイロット弁51のパイロット部51Aには、回生弁用パイロット管路52が接続され、電磁パイロット弁51は、コントローラ(図示せず)からの制御信号に応じて回生弁用パイロット管路52を通じてパイロット圧が供給されることにより、連通位置(B)に切換えられ、パイロット管路50を連通させる。
【0068】
旋回用方向制御弁36のパイロット部36A,36Bに供給されるパイロット圧の圧力は、圧力センサ53A,53Bによって検出され、主管路35A,35B内の圧力は、圧力センサ54A,54Bによって検出される。コントローラ(図示せず)は、これら圧力センサ53A,53B,54A,54B、後述する圧力センサ79からの検出信号に基づいて、旋回回生弁40の電磁パイロット弁51を制御する。
【0069】
55は旋回回生弁40に取付けられた回生停止手段としての三方弁を示し、この三方弁55は、回生弁用パイロット管路52の途中に設けられている。三方弁55は、3ポート2位置の電磁弁からなり、常時は連通位置(A)を保持することにより回生弁用パイロット管路52を連通させる。一方、三方弁55は、コントローラ(図示せず)からの制御信号がソレノイド部55Aに供給されることにより、回生弁用パイロット管路52を遮断する遮断位置(B)に切換えられる。
【0070】
従って、例えば回生ユニット25が故障した場合において、三方弁55が回生弁用パイロット管路52を遮断することにより、電磁パイロット弁51のパイロット部51Aに対するパイロット圧の供給が遮断され、旋回回生弁40の動作を停止させることができる構成となっている。
【0071】
一方、作業装置5を構成するブームシリンダ5Bと後述するブーム用方向制御弁57との間には、ブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1、ロッド側油室5B2に対して圧油を給排する一対の主管路56A,56Bが接続されている。各主管路56A,56Bは、ブーム用方向制御弁57の切換位置に応じて分岐管路33Bまたはタンク管路34Bに接続される。
【0072】
57は旋回用方向制御弁36よりも下流側でセンタバイパス管路32に接続されたブーム用方向制御弁を示し、該ブーム用方向制御弁57も、コントロールバルブ18を構成する多数の方向制御弁の1つである。このブーム用方向制御弁57は、パイロット部57A,57Bを有する6ポート3位置の方向制御弁からなり、キャブ7内に配置された油圧パイロット弁の操作レバー(図示せず)に対する操作に応じてパイロット部57A,57Bに後述のパイロット管路76,77を通じてパイロット圧が供給されることにより、ブームシリンダ5Bに対する圧油の給排を停止する中立位置(A)と、ブームシリンダ5Bに対して圧油を給排する切換位置(B),(C)とに切換えられる。
【0073】
58A,58Bは主管路56A,56Bと戻し管路32Aとの間にそれぞれ設けられたメイクアップ用の一対のチェック弁を示している。各チェック弁58A,58Bは、主管路56Aまたは56B内が負圧になると、戻し管路32Aを通じて主管路56A,56B内に作動油タンク20内の作動油を補給するものである。
【0074】
59A,59Bは主管路56A,56Bと戻し管路32Aとの間にそれぞれ設けられた一対のリリーフ弁を示し、各リリーフ弁59A,59Bは、主管路56A,56B内に過剰圧が発生したときにこの過剰圧をリリーフし、油圧機器を保護する機能を有している。
【0075】
60は主管路56Aの途中に設けられたパイロット操作式のチェック弁を示している。このチェック弁60は、後述のチェック弁用パイロット管路76Bに接続され、このチェック弁用パイロット管路76Bを通じてパイロット圧が供給されないときには、ブームシリンダ5Bからブーム用方向制御弁57に向かう圧油の流れを阻止し、チェック弁用パイロット管路76Bを通じてパイロット圧が供給されたときには、ブームシリンダ5Bからブーム用方向制御弁57に向かう圧油の流れを許すものである。
【0076】
61は主管路56A,56Bの途中に設けられた油圧回生弁としてのブーム回生弁を示している。ブーム回生弁61は、ブームシリンダ5Bを縮小させてブーム5Aを下向きに回動させたときに、ブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1から排出される圧油(ブームシリンダ5Bからの戻り油)を回生油圧モータ23に供給するものである。このブーム回生弁61は、後述の管路切換弁62、制御弁戻し弁63、連通弁66、残圧調整弁69、回生切換弁72を含んで構成されている。
【0077】
ここで、図4に示すように、ブーム回生弁61は、コントロールバルブ18を構成する各方向制御弁とは別部材からなる略直方体のブロック状に形成され、旋回モータ19よりも前側に位置して旋回フレーム6の底板6A上に設けられている。この場合、ブーム回生弁61は、旋回フレーム6を構成する左,右の縦板6B,6C間に位置し、かつ前後方向においては、旋回モータ19と左,右の縦板6B,6Cのシリンダ取付部6B2,6C2との間に配置されている。これにより、ブームシリンダ5Bとブーム回生弁61との間を接続する油圧管路を可及的に短くすることができる構成となっている。
【0078】
62は主管路56Bの途中に設けられた管路切換弁を示している。この管路切換弁62は、パイロット部62Aを有する3ポート2位置の切換弁からなり、主管路56Bと戻し管路32Aとに接続されている。管路切換弁62のパイロット部62Aは、後述の切換弁用パイロット管路76Gに接続されている。そして、管路切換弁62は、常時は主管路56Bを連通させる連通位置(A)を保持し、切換弁用パイロット管路76Gを通じてパイロット部62Aにパイロット圧が供給されることにより切換位置(B)に切換り、主管路56Bを戻し管路32Aに接続するものである。
【0079】
63は主管路56Aの途中に設けられた制御弁戻し弁を示し、該制御弁戻し弁63は、パイロット部63Aを有する3ポート2位置の切換弁からなっている。この制御弁戻し弁63は、主管路56Aの途中に接続されると共に、一端側が主管路56Bに接続された接続管路64の他端側に接続されている。制御弁戻し弁63のパイロット部63Aは、後述の戻し弁用パイロット管路76Cに接続されている。そして、制御弁戻し弁63は、常時は連通位置(A)を保持し、主管路56Aを連通させると共に、主管路56Aを流通する圧油の一部をチェック弁63Bを介して接続管路64へと導く。また、制御弁戻し弁63は、戻し弁用パイロット管路76Cを通じてパイロット部63Aにパイロット圧が供給されることにより絞り位置(B)に切換えられ、絞り63Cを介して主管路56Aを連通させる。
【0080】
65は主管路56A,56B間を接続して設けられた連通管路を示し、66は連通管路65の途中に設けられた連通弁を示している。連通弁66は、パイロット部66Aを有する2ポート2位置の切換弁からなり、連通弁66のパイロット部66Aは、後述の連通弁用パイロット管路76Dに接続されている。そして、連通弁66は、常時は連通管路65を遮断する遮断位置(A)を保持し、連通弁用パイロット管路76Dを通じてパイロット部66Aにパイロット圧が供給されることにより連通位置(B)に切換り、連通管路65を連通させるものである。また、連通管路65の途中には、連通弁66から主管路56Bに向かう圧油の流れを許し、逆向きの流れを阻止するチェック弁67が設けられている。
【0081】
68は一端側が主管路56Bに接続されたタンク管路を示し、該タンク管路68の他端側は戻し管路32Aに接続されている。タンク管路68の途中には、残圧調整弁69が接続されている。残圧調整弁69は、パイロット部69Aを有する2ポート2位置の切換弁からなり、残圧調整弁69のパイロット部69Aは、後述の調整弁用パイロット管路76Eに接続されている。そして、残圧調整弁69は、常時はタンク管路68を遮断する遮断位置(A)を保持し、調整弁用パイロット管路76Eを通じてパイロット部69Aにパイロット圧が供給されることにより連通位置(B)に切換えられ、タンク管路68を連通させるものである。
【0082】
70は一端側が制御弁戻し弁63とブームシリンダ5Bとの間で主管路56Aに接続されたブーム回生管路を示し、該ブーム回生管路70の他端側は回生油圧モータ23に接続されている。回生油圧モータ23と作動油タンク20との間はタンク管路71を介して接続されている。ブーム回生管路70の途中には、回生切換弁72が接続されている。回生切換弁72は、パイロット部72Aを有する2ポート2位置の切換弁からなり、回生切換弁72のパイロット部72Aは、後述の回生弁用パイロット管路76Fに接続されている。そして、回生切換弁72は、常時はブーム回生管路70を遮断する遮断位置(A)を保持し、回生弁用パイロット管路76Fを通じてパイロット部72Aにパイロット圧が供給されることにより連通位置(B)に切換えられ、絞り72Bを介してブーム回生管路70を連通させるものである。
【0083】
また、ブーム回生管路70の途中には、回生切換弁72から回生油圧モータ23に向かう圧油の流れを許し、逆向きの流れを阻止するチェック弁73が設けられている。さらに、制御弁戻し弁63をバイパスして主管路56Aとブーム回生管路70との間を接続するバイパス管路74が設けられている。バイパス管路74の途中には、主管路56Aからブーム回生管路70に向かう圧油の流れを許し、逆向きの流れを阻止するチェック弁75が設けられている。
【0084】
76,77はブーム用方向制御弁57のパイロット部57A,57Bにパイロット圧を供給するパイロット管路を示している。これらパイロット管路76,77は、キャブ7内に配置された油圧パイロット弁の操作レバー(図示せず)に対する操作に応じて、ブーム用方向制御弁57のパイロット部57A,57Bにパイロット圧を供給するものである。
【0085】
ここで、パイロット管路76は、ブーム用方向制御弁57のパイロット部57Aに接続される方向制御弁用パイロット管路76Aと、チェック弁60に接続されるチェック弁用パイロット管路76Bと、制御弁戻し弁63のパイロット部63Aに接続される戻し弁用パイロット管路76Cと、連通弁66のパイロット部66Aに接続される連通弁用パイロット管路76Dと、残圧調整弁69のパイロット部69Aに接続される調整弁用パイロット管路76Eと、回生切換弁72のパイロット部72Aに接続される回生弁用パイロット管路76Fと、管路切換弁62のパイロット部62Aに接続される切換弁用パイロット管路76Gとに分岐している。従って、ブーム用方向制御弁57のパイロット部57Aに方向制御弁用パイロット管路76Aを通じてパイロット圧が供給されたときには、チェック弁60、および制御弁戻し弁63,連通弁66,残圧調整弁69,回生切換弁72,管路切換弁62のパイロット部63A,66A,69A,72A,62Aに対し、コントローラからの制御信号に応じてパイロット圧が供給される構成となっている。
【0086】
ブーム用方向制御弁57のパイロット部57Aに供給されるパイロット圧の圧力は、圧力センサ76Hによって検出され、主管路56A,56B内の圧力は、圧力センサ78A,78Bによって検出され、回生油圧モータ23の流入側の圧力は圧力センサ79によって検出される。コントローラ(図示せず)は、これら圧力センサ76H,78A,78B,79からの検出信号に基づいて、ブーム回生弁61の管路切換弁62、制御弁戻し弁63、連通弁66、残圧調整弁69、回生切換弁72を制御する。
【0087】
80はブーム回生弁61に取付けられた回生停止手段としての三方弁を示し、該三方弁80は、3ポート2位置の電磁弁が用いられている。この三方弁80は、流入側がパイロット管路76に接続され、流出側が作動油タンク20と、戻し弁用パイロット管路76C、連通弁用パイロット管路76D、調整弁用パイロット管路76E、回生弁用パイロット管路76F、切換弁用パイロット管路76Gにそれぞれ接続されている。
【0088】
ここで、三方弁80は、常時は連通位置(A)に保持されることにより、パイロット管路76を、戻し弁用パイロット管路76C、連通弁用パイロット管路76D、調整弁用パイロット管路76E、回生弁用パイロット管路76F、切換弁用パイロット管路76Gに接続する。一方、三方弁80は、コントローラ(図示せず)からの制御信号がソレノイド部80Aに供給されることにより遮断位置(B)に切換えられ、パイロット管路76を作動油タンク20に接続する。この結果、戻し弁用パイロット管路76C、連通弁用パイロット管路76D、調整弁用パイロット管路76E、回生弁用パイロット管路76F、切換弁用パイロット管路76Gがタンク圧と同圧となり、パイロット圧の供給が断たれることにより、制御弁戻し弁63、連通弁66、残圧調整弁69、回生切換弁72、管路切換弁62は、それぞれ位置(A)に保持される。
【0089】
従って、例えば回生ユニット25が故障した場合において、三方弁80が遮断位置(B)に切換えられることにより、制御弁戻し弁63のパイロット部63A、連通弁66のパイロット部66A、残圧調整弁69のパイロット部69A、回生切換弁72のパイロット部72A、管路切換弁62のパイロット部62Aに対するパイロット圧の供給が遮断され、ブーム回生弁61の動作を停止させることができる構成となっている。
【0090】
本実施の形態によるハイブリッド式の油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、油圧ショベル1のエンジン9を作動させると、エンジン9によって油圧ポンプ14とアシスト電動モータ15が駆動される。油圧ポンプ14は、作動油タンク20内の作動油を吸込んで加圧し、各種の油圧アクチュエータに向けて吐出する。これにより、油圧ショベル1は、下部走行体2による走行動作、上部旋回体4の旋回動作、作業装置5による掘削作業等を行う。
【0091】
この場合、エンジン9の出力トルクが油圧ポンプ14の駆動トルクよりも大きいときには、余剰トルクによってアシスト電動モータ15が発電機として駆動される。これにより、アシスト電動モータ15は交流電力を発生し、この交流電力はインバータ16により直流電力に変換され、蓄電装置13に蓄えられる。
【0092】
一方、エンジン9の出力トルクが油圧ポンプ14の駆動トルクよりも小さいときには、アシスト電動モータ15は、蓄電装置13からの電力によって電動機として駆動される。これにより、エンジン9が油圧ポンプ14を駆動するのをアシスト電動モータ15によって助勢(アシスト)することができる。
【0093】
ここで、本実施の形態による油圧ショベル1は、上部旋回体4が下部走行体2上で慣性回転するときに、旋回モータ19から作動油タンク20に戻る戻り油を利用して回生油圧モータ23を駆動する旋回回生動作と、作業装置5のブーム5Aが下向きに回動するときに、ブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1から作動油タンク20に戻る戻り油を利用して回生油圧モータ23を駆動するブーム回生動作とを行うようになっている。
【0094】
そこで、上部旋回体4の慣性回転時に、旋回モータ19からの戻り油を利用して回生油圧モータ23を駆動する旋回回生動作について説明する。
【0095】
まず、上部旋回体4が下部走行体2上で旋回動作を行う状態において、旋回用方向制御弁36が切換位置(B)または(C)から中立位置(A)に切換えられると、上部旋回体4が下部走行体2上で慣性回転を行う。これにより、旋回モータ19は慣性回転によるポンプ作用を行い、主管路35A,35Bの一方に圧油を吐出する。この圧油はチェック弁42Aまたはチェック弁42Bを通じて接続管路41内に流入する。
【0096】
このとき、電磁パイロット弁51のパイロット部51Aに対し、コントローラ(図示せず)からの制御信号に応じてパイロット圧が供給され、電磁パイロット弁51は連通位置(B)に切換えられる。これにより、接続管路41内に流入した圧油は、パイロット管路50を通じて旋回回生パイロット弁49のパイロット部49Aに供給される。従って、旋回回生パイロット弁49が連通位置(B)に切換り、接続管路41内の圧油は、旋回回生パイロット弁49の絞り49Bを通過し、バイパス管路48、パイロット管路46を通じて旋回回生メイン切換弁45のパイロット部45Aに供給される。
【0097】
これにより、旋回回生メイン切換弁45が連通位置(B)に切換えられ、接続管路41内に流入した圧油は、旋回回生管路43、ブーム回生管路70等を通じて回生油圧モータ23に供給される。この結果、旋回モータ19からの戻り油を利用して回生油圧モータ23を回転させることができ、この回生油圧モータ23によって回生電動モータ24を駆動することができる。回生電動モータ24によって発電された交流電力は、インバータ26により直流電力に変換され、蓄電装置13に蓄えられる。
【0098】
ここで、例えば回生ユニット25が故障した場合には、旋回モータ19からの戻り油が回生油圧モータ23に供給されるのを停止する必要がある。この場合には、三方弁55のソレノイド部55Aに対し、コントローラからの制御信号が出力され、三方弁55は遮断位置(B)に切換えられる。このため、回生弁用パイロット管路52が遮断され、電磁パイロット弁51(パイロット部51A)に対するパイロット圧の供給が遮断される。この結果、旋回回生弁40の動作を停止させることができ、旋回モータ19からの戻り油が、故障した回生ユニット25に供給されるのを回避することができる。
【0099】
次に、作業装置5のブーム5Aを上向きに回動させるときのブームシリンダ5Bの作動について説明する。
【0100】
ブーム5Aを上向きに回動させるためにブームシリンダ5Bを伸長させる場合には、キャブ7内に配置された操作レバー(図示せず)の操作に応じて、ブーム用方向制御弁57のパイロット部57Bにパイロット圧が供給され、ブーム用方向制御弁57は切換位置(C)に切換えられる。
【0101】
これにより、油圧ポンプ14からの圧油は、ブーム用方向制御弁57、主管路56A、バイパス管路74等を通じてブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1に供給される。一方、ブームシリンダ5Bのロッド側油室5B2内の圧油は、主管路56B、管路切換弁62、ブーム用方向制御弁57、戻し管路32A等を通じて作動油タンク20に環流する。この結果、ブームシリンダ5Bは伸長し、ブーム5Aは上向きに回動動作を行う。
【0102】
次に、ブーム5Aを下向きに回動させるときのブームシリンダ5Bの作動について説明する。
【0103】
ブーム5Aを下向きに回動させるためにブームシリンダ5Bを縮小させる場合には、キャブ7内に配置された操作レバーの操作に応じて、ブーム用方向制御弁57のパイロット部57Aにパイロット圧が供給され、ブーム用方向制御弁57は切換位置(B)に切換えられる。このとき、チェック弁用パイロット管路76Bを通じてチェック弁60にパイロット圧が供給されることにより、パイロット操作式のチェック弁60が開弁する。一方、管路切換弁62のパイロット部62Aに対し、コントローラ(図示せず)からの制御信号に応じてパイロット圧が供給され、管路切換弁62は切換位置(B)に切換えられる。
【0104】
これにより、油圧ポンプ14から吐出した圧油は、ブームシリンダ5Bに供給されることなく、ブーム用方向制御弁57、管路切換弁62、戻し管路32Aを通じて作動油タンク20に排出される。
【0105】
この状態において、ブームシリンダ5Bが自重によって縮小すると、ボトム側油室5B1内の圧油が主管路56Aに排出され、この圧油は、主管路56Aから制御弁戻し弁63を通過した後、ブームシリンダ5Bのロッド側油室5B2に向かう流れと、作動油タンク20に向かう流れに分かれる。
【0106】
即ち、制御弁戻し弁63のチェック弁63Bを通過した圧油は、接続管路64を介して主管路56Bに導かれ、該主管路56Bを通じてブームシリンダ5Bのロッド側油室5B2に流入する。一方、制御弁戻し弁63を通って主管路56Aに導かれた圧油は、チェック弁60、ブーム用方向制御弁57、タンク管路34B、戻し管路32A等を通じて作動油タンク20に排出される。この結果、ブームシリンダ5Bは縮小し、ブームシリンダ5B(ボトム側油室5B1)からの戻り油は、回生油圧モータ23に供給されることなく作動油タンク20に環流する。
【0107】
次に、ブーム5Aが下向きに回動するときに、ブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1からの戻り油を利用して回生油圧モータ23を駆動するブーム回生動作について説明する。
【0108】
ブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1からの戻り油を利用してブーム回生動作を行う場合には、キャブ7内に配置された操作レバーの操作に応じて、ブーム用方向制御弁57のパイロット部57Aにパイロット圧が供給され、ブーム用方向制御弁57は切換位置(B)に切換えられる。このとき、チェック弁用パイロット管路76Bを通じてチェック弁60にパイロット圧が供給されることにより、パイロット操作式のチェック弁60が開弁する。一方、管路切換弁62のパイロット部62Aに対し、コントローラ(図示せず)からの制御信号に応じてパイロット圧が供給され、管路切換弁62は切換位置(B)に切換えられる。
【0109】
これにより、油圧ポンプ14から吐出した圧油は、ブームシリンダ5Bに供給されることなく、ブーム用方向制御弁57、管路切換弁62、戻し管路32Aを通じて作動油タンク20に排出される。
【0110】
一方、制御弁戻し弁63、連通弁66、回生切換弁72のパイロット部63A,66A,72Aに対し、それぞれコントローラ(図示せず)からの制御信号に応じてパイロット圧が供給される。これにより、制御弁戻し弁63は絞り位置(B)に切換えられ、連通弁66は連通位置(B)に切換えられ、回生切換弁72は連通位置(B)に切換えられる。
【0111】
この状態において、ブームシリンダ5Bが自重によって縮小すると、ボトム側油室5B1内の圧油が主管路56Aに排出され、この圧油は、連通管路65を通じてブームシリンダ5Bのロッド側油室5B2に向かう流れと、ブーム回生管路70を通じて回生油圧モータ23に向かう流れに分かれる。
【0112】
即ち、主管路56Aから連通管路65に導かれた圧油は、連通弁66、主管路56Bを通じてブームシリンダ5Bのロッド側油室5B2に流入し、ボトム側油室5B1の圧力が増大する。一方、主管路56Aからブーム回生管路70に導かれた圧油は、回生切換弁72、ブーム回生管路70を通じて回生油圧モータ23に供給される。この結果、ブームシリンダ5Bは縮小し、同時にブームシリンダ5Bからの戻り油を利用して回生油圧モータ23を回転させ、この回生油圧モータ23によって回生電動モータ24を駆動することができる。そして、回生電動モータ24によって発電された交流電力は、インバータ26により直流電力に変換され、蓄電装置13に蓄えられる。
【0113】
ここで、例えば回生ユニット25が故障した場合には、ブームシリンダ5Bからの戻り油が回生油圧モータ23に供給されるのを停止する必要がある。この場合には、三方弁80のソレノイド部80Aに対し、コントローラからの制御信号が出力され、三方弁80は遮断位置(B)に切換えられる。このため、パイロット管路76が作動油タンク20に接続され、戻し弁用パイロット管路76C、連通弁用パイロット管路76D、調整弁用パイロット管路76E、回生弁用パイロット管路76F、切換弁用パイロット管路76Gがタンク圧と同圧となる。これにより、制御弁戻し弁63のパイロット部63A、連通弁66のパイロット部66A、残圧調整弁69のパイロット部69A、回生切換弁72のパイロット部72A、管路切換弁62のパイロット部62Aに対するパイロット圧の供給が遮断される。この結果、ブーム回生弁61の動作を停止させることができ、ブームシリンダ5Bからの戻り油が、故障した回生ユニット25に供給されるのを回避することができる。
【0114】
なお、主管路56Aからブーム回生管路70に導かれる圧油の一部は、制御弁戻し弁63、主管路56A、チェック弁60、ブーム用方向制御弁57、タンク管路34B、戻し管路32Aを通じて作動油タンク20に排出される。また、上述したブーム回生動作が終了した後には、残圧調整弁69のパイロット部69Aに対し、コントローラ(図示せず)からの制御信号に応じてパイロット圧が供給される。これにより、残圧調整弁69が連通位置(B)に切換えられ、ブームシリンダ5Bのロッド側油室5B2内の残圧(こもり圧)を、タンク管路68、戻し管路32Aを通じて作動油タンク20に排出することができる。
【0115】
このようにして、本実施の形態による油圧ショベル1は、上部旋回体4が下部走行体2上で慣性回転するときには、旋回モータ19から作動油タンク20に戻る戻り油を利用して回生油圧モータ23を駆動する旋回回生動作を行うことができる。一方、作業装置5のブーム5Aが下向きに回動するときには、ブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1から作動油タンク20に戻る戻り油を利用して回生油圧モータ23を駆動するブーム回生動作を行うことができる。なお、ブーム回生動作によって得られる回生エネルギは、旋回回生動作によって得られる回生エネルギよりも大きいため、ブーム回生動作は旋回回生動作に優先して行なわれる構成となっている。
【0116】
ここで、本実施の形態によれば、旋回回生弁40を、旋回モータ19のモータハウジング19Aに直接取付けることにより、旋回モータ19からの戻り油を、油圧ホース等を用いることなく旋回回生弁40に直接導く構成としている。従って、旋回モータ19と旋回回生弁40との間を接続する油圧管路を不要にでき、旋回モータ19からの戻り油を回生油圧モータ23へと導く油路を可及的に短くすることができる。この結果、旋回モータ19からの戻り油が油路を流れるときの圧力損失を抑えることができ、旋回モータ19からの戻り油によるエネルギ回収効率を高めることができる。
【0117】
また、旋回モータ19と旋回回生弁40との間を接続する油圧管路を不要とした分、コストを低減することができる。さらに、旋回モータ19の周囲に形成された空間を利用して旋回回生弁40に対するメンテナンス作業を行うことができるので、メンテナンス性を高めることができる。
【0118】
一方、ブーム回生弁61を、旋回フレーム6を構成する左,右の縦板6B,6C間に位置し、かつ前後方向においては、旋回モータ19と左,右の縦板6B,6Cのシリンダ取付部6B2,6C2との間に配置する構成としている。これにより、ブームシリンダ5Bとブーム回生弁61との間を接続する油圧管路を短くすることができ、ブームシリンダ5Bからブーム回生弁61を介して回生油圧モータ23へと流れる戻り油の油路を、コントロールバルブ18の配設位置に関わらず可及的に短くすることができる。この結果、ブームシリンダ5Bからの戻り油が油路を流れるときの圧力損失を抑えることができ、ブームシリンダ5Bからの戻り油によるエネルギ回収効率を高めることができる。
【0119】
また、ブームシリンダ5Bとブーム回生弁61との間を接続する油圧管路を可及的に短くすることにより、コストを低減することができる。さらに、旋回フレーム6の左,右の縦板6B,6C間に形成された空間を利用してブーム回生弁61に対するメンテナンス作業を行うことができるので、メンテナンス性を高めることができる。
【0120】
さらに、本実施の形態によれば、旋回回生弁40を構成する電磁パイロット弁51のパイロット部51Aに接続された回生弁用パイロット管路52の途中に、三方弁55を設ける構成としている。従って、回生ユニット25が故障した場合には、三方弁55によって回生弁用パイロット管路52を遮断することにより、旋回回生弁40の動作を迅速に停止させることができ、旋回モータ19からの戻り油が、故障した回生ユニット25に供給されるのを回避することができる。
【0121】
一方、パイロット管路76の途中には、流入側がパイロット管路76に接続され、流出側が作動油タンク20と、戻し弁用パイロット管路76C、連通弁用パイロット管路76D、調整弁用パイロット管路76E、回生弁用パイロット管路76F、切換弁用パイロット管路76Gに接続される三方弁80を設ける構成としている。従って、回生ユニット25が故障した場合には、三方弁80によって制御弁戻し弁63のパイロット部63A、連通弁66のパイロット部66A、残圧調整弁69のパイロット部69A、回生切換弁72のパイロット部72A、管路切換弁62のパイロット部62Aに対するパイロット圧の供給を遮断することにより、ブーム回生弁61の動作を迅速に停止させることができ、ブームシリンダ5Bからの戻り油が、故障した回生ユニット25に供給されるのを回避することができる。
【0122】
次に、図6および図7は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、旋回モータまたはブームシリンダからの戻り油により駆動される回生アシストポンプを、回生ユニットに追加して設けたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0123】
図において、81は本実施の形態に適用される回生ユニットを示し、この回生ユニット81は、第1の実施の形態による回生ユニット25を構成する回生油圧モータ23、回生電動モータ24に加え、後述する回生油圧ポンプ82を追加したものである。
【0124】
82は回生ユニット81を構成する回生油圧ポンプを示している。この回生油圧ポンプ82は、可変容量型の油圧ポンプからなり、回生油圧モータ23によって駆動されることにより圧油を吐出し、この圧油を油圧ポンプ14から吐出した圧油に合流させるものである。
【0125】
ここで、図6に示すように、回生油圧ポンプ82は、回生油圧モータ23、回生電動モータ24と共に、油圧ポンプ14から前側に離間した位置で作動油タンク20の近傍に隣合う状態で設けられている。また、回生油圧ポンプ82のポンプ軸は、動力伝達機構(図示せず)を介して回生油圧モータ23のモータ軸に接続されている。これにより、回生油圧モータ23と、回生電動モータ24と、回生油圧ポンプ82とは、エンジン9から分離した回生ユニット81を構成し、これら回生油圧モータ23、回生電動モータ24、回生油圧ポンプ82は、油圧ポンプ14と作動油タンク20との間、さらに詳しくは、油圧ポンプ14の前側に設けられた仕切り部材17の右仕切り板17Cと作動油タンク20との間に形成された回生ユニット収容空間21内に、左,右方向に並べて収容されている。
【0126】
一方、図7に示すように、回生油圧ポンプ82の吐出側は、合流管路83を介してデリベリ管路14Aに接続され、回生油圧ポンプ82と作動油タンク20との間は吸込管路84を介して接続されている。合流管路83の途中には合流弁85が接続されている。合流弁85は、パイロット部85Aを有する2ポート2位置の切換弁からなり、常時は遮断位置(A)を保持して合流管路83を遮断し、パイロット部85Aにパイロット信号が供給されることにより連通位置(B)に切換えられ、絞り85Bを介して合流管路83を連通させる。なお、合流管路83の途中には、デリベリ管路14Aと合流弁85との間に位置してチェック弁86が設けられている。チェック弁86は、回生油圧ポンプ82からデリベリ管路14Aに向かう圧油の流れを許し、逆向きの流れを阻止するものである。
【0127】
本実施の形態による油圧ショベルは、上述の如き回生油圧ポンプ82が追加された回生ユニット81を備えるもので、第1の実施の形態と同様に、上部旋回体4の慣性回転時に旋回モータ19から排出された圧油、あるいはブームシリンダ5Bの縮小時にボトム側油室5B1から排出された圧油が、旋回回生管路43、ブーム回生管路70等を通じて回生油圧モータ23に供給されることにより、回生油圧モータ23が回転する。これにより、回生油圧モータ23によって回生電動モータ24と回生油圧ポンプ82が駆動され、回生電動モータ24は、蓄電装置13に蓄えられる電力を発電し、回生油圧ポンプ82は、作動油タンク20内の作動油を圧油として吐出する。
【0128】
このとき、コントローラ(図示せず)は、回生油圧ポンプ82から吐出した圧油を、油圧ポンプ14から吐出する圧油に合流させるか否かを判断し、合流させる場合には、合流弁85に対してパイロット信号を出力する。これにより、合流弁85が連通位置(B)に切換えられ、回生油圧ポンプ82から吐出した圧油を、デリベリ管路14Aにおいて油圧ポンプ14から吐出する圧油に合流させることができる。この結果、回生油圧ポンプ82のポンプ流量分だけ油圧ポンプ14のポンプ流量を低減し、油圧ポンプ14を駆動するための動力を低減することができる。
【0129】
一方、回生油圧ポンプ82から吐出した圧油を、油圧ポンプ14から吐出する圧油に合流させない場合には、コントローラは、合流弁85を遮断位置(A)に切換えると共に、回生油圧ポンプ82の吐出容量を零に設定する。
【0130】
かくして、本実施の形態においては、回生油圧モータ23と回生電動モータ24に、回生油圧ポンプ82を追加することにより、上部旋回体4の慣性回転時に旋回モータ19から戻る戻り油、あるいはブームシリンダ5Bの縮小時にボトム側油室5B1から戻る戻り油を利用して回生電動モータ24を駆動するだけでなく、回生油圧ポンプ82を駆動することができる。この結果、蓄電装置13に電力を蓄えることに加え、回生油圧ポンプ82から吐出した圧油を、油圧ポンプ14から吐出する圧油に合流させることにより、油圧ポンプ14のポンプ流量を低減することができ、油圧ポンプ14を駆動するための動力を低減することができる。
【0131】
なお、上述した実施の形態では、コントロールバルブ18を、旋回フレーム6の左,右の縦板6B,6C間に位置して底板6A上に設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば旋回フレーム6の右縦板6Cよりも右側で、かつ燃料タンク22よりも前側にコントロールバルブを設ける構成としてもよい。
【0132】
また、上述した実施の形態では、ブーム5A、アーム、バケット等(いずれも図示せず)からなる掘削作業用の作業装置5を例示した。しかし、本発明はこれに限らず、ブームの先端にアームを備えず、例えばテレスコピック式のブームのみを備え、このブームの先端側にバケット、グラップル等が設けられた作業装置を備える構成としてもよい。
【0133】
さらに、上述した実施の形態では、ハイブリッド式作業機械として油圧ショベル1を例示したが、本発明はこれに限らず、例えばホイール式油圧ショベル等の他のハイブリッド式作業機械にも適用することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
4 上部旋回体
5 作業装置
5B ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)
6 旋回フレーム
6A 底板
6B 左縦板
6C 右縦板
6B1,6C1 ブーム取付部
6B2,6C2 シリンダ取付部
9 エンジン(原動機)
13 蓄電装置
14 油圧ポンプ
15 アシスト電動モータ
19 旋回モータ(油圧アクチュエータ)
20 作動油タンク
23 回生油圧モータ
24 回生電動モータ
36 旋回用方向制御弁
40 旋回回生弁(油圧回生弁)
55,80 三方弁(回生停止手段)
57 ブーム用方向制御弁
61 ブーム回生弁(油圧回生弁)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7