特許第6190312号(P6190312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190312
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】貝表面の硬質付着物の除去装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/54 20170101AFI20170821BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   A01K61/54
   B08B1/04
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-84207(P2014-84207)
(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公開番号】特開2015-202089(P2015-202089A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年11月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】300021002
【氏名又は名称】株式会社森機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000316
【氏名又は名称】特許業務法人ピー・エス・ディ
(72)【発明者】
【氏名】森 光典
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 実開平6−7463(JP,U)
【文献】 特開2006−43644(JP,A)
【文献】 特開2000−60349(JP,A)
【文献】 特開平9−308406(JP,A)
【文献】 特開平8−154523(JP,A)
【文献】 実開平1−11669(JP,U)
【文献】 特開平7−107877(JP,A)
【文献】 特開平8−317742(JP,A)
【文献】 実開平7−28346(JP,U)
【文献】 米国特許第5400745(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/00 − 63/06
B08B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貝表面に生成された硬質付着物を除去する装置であって、
長辺が前記貝の送り方向と平行になる複数の矩形状開口部を有する処理テーブルと
前記処理テーブルの直下に該処理テーブルと平行に、前記矩形状開口部の長辺と直交する方向に該長辺の中央から一定の間隔を開けて配された、伝動機構を介し駆動装置によって同期回転するように作動する2つの回転軸と
前記2つの回転軸に複数の前記矩形状開口部の各々に対応する位置に拡張して架け渡されて楕円形に形成される、外周面に底辺部を埋設固定し外周面から直立部を起立固定した爪が等間隔に設けられており、前記処理テーブルの前記矩形状開口部の短辺に対応する幅に成形された、断面が矩形又は台形形状の弾性無端ベルトからなる複数の円形回転部材と
を含み、
前記処理テーブルに設けられた複数の前記矩形状開口部の各々に対応する位置に配備された2つの回転軸に拡張して楕円形に架け渡された前記円形回転部材の各々が前記貝の送り方向に楕円軌道を描いて回転するときに、前記円形回転部材の外周面に等間隔に設けられた前記爪の隣り合う爪が少なくとも前記矩形状開口部の各々から共に露出して通過ように配備され、そのことにより、前記隣り合う爪の各々が前記貝の貝表面の凹凸形状に沿って擦りながら貝表面の硬質付着物を除去するようにしたことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記爪はL字形の金属製または合成樹脂製の剛性爪からなり、前記円形回転部材の各々の外周面に等間隔に埋設固定された底辺部と外周面から垂直方向に又は回転する方向と逆に傾けて起立固定された先端を有する直立部とを含むことを特徴とする請求項1に記載された装置。
【請求項3】
前記爪は、前記円形回転部材の直径Rの1/2.5〜1/4の等間隔になるようにしたこと特徴とする請求項1または2のいずれかに記載された装置。
【請求項4】
前記円形回転部材は、前記貝の貝表面の硬質付着物を除去できない程には軟らか過ぎず、前記爪の底辺部の直立部との接点部位から折れる程には硬すぎないJIS規格に準拠するA55〜A65の範囲のゴム硬度を有し、前記処理テーブルの前記矩形状開口部の各々から共に露出して通過する前記隣り合う爪の各々の直立部を構成する先端が、前記処理テーブルに押し付けられた前記貝の貝表面の凹凸に沿って擦りながら前記円形回転部材の楕円軌道を変形させて貝表面の硬質付着物を除去するように作動し、該硬質付着物の除去後に前記円形回転部材が楕円軌道に復する弾性強度を有する弾性無端ベルトからなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された装置。
【請求項5】
前記隣り合う爪が前記貝の貝表面の凹凸に沿って擦りながら前記円形回転部材の楕円軌道を変形させて貝表面の硬質付着物を除去するように作動するときに、前記円形回転部材の楕円軌道の変形にともない前記隣り合う爪の各々にかかる圧力をより吸収し易くするように、前記円形回転部材の外周面の前記隣り合う爪の間に、外周面から厚みの1/3〜1/4の深さを有する凹状または半円形状のくぼみを幅方向に設けるようにしたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載された装置。
【請求項6】
前記処理テーブルの高さを上下方向に調整するようにしたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記矩形状開口部の各々に対応する前記円形回転部材の各々が前記貝の送り方向に楕円軌道を描きながら前記円形回転部材の各々の外周面に設けられた前記爪が前記処理テーブルの対応する前記矩形状開口部の各々から露出して通過するときに、前記処理テーブルの上側から前記矩形状開口部の各々を覆い前記処理テーブルに送り込まれた前記貝の貝表面の反対面を押し付けながら前記貝を搬送する、前記処理テーブルと平行に配備された前記円形回転部材の回転動作による速度を下回る速度で作動させる上側搬送ベルトと、該上側搬送ベルトと挟持して前記貝の貝表面を前記処理テーブルに押し付けながら前記貝を搬送する、前記処理テーブルに設けられた遊動コロと、を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載された装置。
【請求項8】
貝の貝表面に生成された硬質付着物を除去する装置に設けられた矩形状開口部を有する処理テーブルの直下の前記矩形状開口部の長手方向の対応する位置で、前記処理テーブルと平行に同期回転する2軸間に拡張して楕円形に架け渡される、外周面に底辺部が埋設固定され直立部が前記外周面から起立固定された等間隔に設けられた爪を有する、断面が矩形又は台形形状の弾性無端ベルトからなる円形回転部材であって、
前記円形回転部材が楕円軌道を描くように回転するときに、前記処理テーブルの前記矩形状開口部から少なくとも露出して通過する前記爪の隣り合う爪の各々の直立部を構成する先端が共に、前記処理テーブルに押し付けられた前記貝の貝表面の凹凸に沿って擦りながら貝表面の硬質付着物を除去するように作動することを特徴とする円形回転部材。
【請求項9】
前記爪はL字形の金属製または合成樹脂製の剛性爪からなり、外周面に埋設固定された底辺部と外周面から垂直方向に又は回転する方向と逆に傾けて起立固定された先端を有する直立部とを含むことを特徴とする請求項8に記載された円形回転部材。
【請求項10】
前記爪は、前記円形回転部材の直径Rの1/2.5〜1/4の等間隔になるようにしたこと特徴とする請求項8または9のいずれかに記載された円形回転部材。
【請求項11】
前記貝の貝表面に生成された硬質付着物を除去できない程には軟らか過ぎず、外周面に設けられた前記爪の底辺部の直立部との接点部位から折れる程には硬すぎないJIS規格に準拠するA55〜A65の範囲のゴム硬度を有しており、楕円軌道を描きながら前記処理テーブルの前記矩形状開口部から共に露出して通過する前記隣り合う爪の直立部を構成する先端が、前記処理テーブルに押し付けられた前記貝の貝表面の凹凸に沿って擦りながら楕円軌道を変形させて貝表面の硬質付着物を除去するように作動し、硬質付着物の除去後に楕円軌道に復する弾性強度を有することを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載された円形回転部材。
【請求項12】
楕円軌道を描きながら前記処理テーブルの前記矩形状開口部から共に露出して通過する前記隣り合う爪の直立部を構成する先端が、前記処理テーブルに押し付けられた前記貝の貝表面の凹凸に沿って擦りながら楕円軌道を変形させて貝表面の硬質付着物を除去するように作動するときに、楕円軌道の変形にともない前記隣り合う爪の各々にかかる圧力をより吸収し易くするように、外周面の前記隣り合う爪の間に、外周面から厚みの1/3〜1/4の深さを有する凹状のくぼみを幅方向に設けるようにしたことを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載された円形回転部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貝表面に生成された硬質付着物を除去する装置に関する。より具体的には、貝表面の凹凸に柔軟に対応することができるように外周面に爪付きの弾性無端ベルトからなる円形回転部材を準備し、該円形回転部材が楕円軌道を描くように回転され、そのことにより、円形回転部材の外周面の爪が貝表面の凹凸に沿って擦りながら貝表面の硬質付着物を除去する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
牡蠣貝は他の貝類と異なり、貝の姿形が千差万別であり、同じ物は二つとないことはよく知られている。牡蠣貝は、生育中に環境に合わせて細長くにも、丸くにも、平たくにもなる。牡蠣貝はまた、表面がツルツルであったり、凸凹があったりするなど、どのようにでも育つ特徴を有する。そのため、牡蠣貝の表面に付着したフジツボ、稚牡蠣、カンザシゴカイ等の硬質付着物を除去する作業は、小刀や貝掃除用のハンドクリーナを用いた手作業に頼らざるを得ないのが現状である。
【0003】
その一方で、貝表面に生成された付着物の除去装置は、以下に見るように種々提案されている。しかしながら、提案の多くは、ホタテ等のような育ちによる大小はあるものの、貝の外形が通常は凸状であって複雑な凹凸のない貝表面を有する貝類を対象とする装置である。
【0004】
特許文献1は、移送手段の移送ベルト上に養殖貝を順次載置し、養殖貝が移送ベルトと移送ベルトに対向する押えベルトとにより挟持されて移送される間に移送経路に連続的に配置された回転研削手段によって、外形が弧状の一対からなる養殖貝の付着物を除去する装置を提案している。
【0005】
特許文献2は、円鈑の回転による遠心力を利用して凹凸面付無端チェンの先端を拡張し、その先端の凸部を真珠母貝に付着している例えばフジツボに衝突或いは挟着して容易に貝表面から生成された付着物を除去する装置を提案している。
【0006】
特許文献3は、貝表面を清掃する装置に用いる掻取体という爪部を有する回転体に関するものであり、その一実施形態として実施形態5に示されるように、外周面に掻取体という爪部を有する弾性帯状ベルトで成形された楕円形回転体を作動させて貝表面を清掃する装置を提案している。
【0007】
特許文献4は、無端周回装置に装備される貝表面の付着物を除去する円形回転体の構造に関する提案をしている。これは動力により回転する円形回転体の外周縁に支持ピンとストッパーピンとにより構成された複数のカッタ片を円形回転体の外周縁の内側から外側に起立させて付着物を除去するように動作させるものである。
【0008】
特許文献1〜4に記載の発明は、凹部のない貝表面に付着した硬質付着物を除去するのに適した装置または付着物除去具であるのに対し、特許文献5は、貝表面の凹所内の付着物、塵、泥、海草類を効率的に掻き出せる清掃装置を提案している。これは、大径と小径という直径が異なる二軸に架け渡された対向する一対の無端ベルトまたは無端連鎖の幅方向に、弾性的に当接するブラシを先端に設けた切削刃が等間隔に配置された装置であり、駆動される一対の無端ベルトまたは無端連鎖の挟持動作により、移送される貝両面の付着物を除去するようにした装置に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−107877号公報
【特許文献2】特開平8−317742号公報
【特許文献3】特開2006−43644号公報
【特許文献4】実開平7−28346号公報
【特許文献5】実開平6−7463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
貝付養殖牡蠣の広域需要に伴い、処理作業場においては貝表面に生成された付着物を大量に処理しなければならない。これまで、千差万別の形状を有する牡蠣貝の貝表面に生成された硬質付着物を短時間に効率よく削ぎ落とすことができるようにした付着物除去装置は実用化されておらず、現実は、作業者が片手で牡蠣貝を押え、もう一方の手で刃物を操作しながら牡蠣貝の貝表面を研磨する手作業に頼るしかなかった。今求められているのは、千差万別の形状を有する牡蠣貝の貝表面の付着物を小刀や貝掃除用のハンドクリーナの片手作業によらずに、例えば処理テーブルに牡蠣貝を押えながら搬入すると、貝表面を自動的に研磨することができる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、端的には貝表面に生成された硬質付着物を除去することを目的とする貝表面の複雑な凹凸にも変形自在に追随する除去手段を含む装置に関する。
【0012】
本発明は、第1の態様において、長辺が貝の送り方向と平行になる複数の矩形状開口部を有する処理テーブルと、処理テーブルの直下に該処理テーブルと平行に、矩形状開口部の長辺と直交する方向に該長辺の中央から一定の間隔を開けて配された、伝動機構を介し駆動装置によって同期回転するように作動する2つの回転軸と、2つの回転軸に複数の矩形状開口部の各々に対応する位置に拡張して架け渡されて楕円形に形成される、外周面に底辺部を埋設固定し外周面から直立部を起立固定した爪が等間隔に設けられており、処理テーブルの矩形状開口部の短辺に対応する幅に成形された、断面が矩形又は台形形状の弾性無端ベルトからなる複数の円形回転部材と、を含む、貝表面に生成された硬質付着物を除去する装置を提供する。本装置は、処理テーブルに設けられた複数の矩形状開口部の各々に対応する位置に配備された2つの回転軸に拡張して楕円形に架け渡された円形回転部材の各々が貝の送り方向に楕円軌道を描いて回転するときに、円形回転部材の外周面に等間隔に設けられた爪の隣り合う爪が少なくとも矩形状開口部の各々から共に露出して通過ように配備され、そのことにより、隣り合う爪の各々が貝の貝表面の凹凸形状に沿って擦りながら貝表面の硬質付着物を除去する。
【0013】
爪は、L字形の金属製または合成樹脂製の剛性爪からなり、円形回転部材の各々の外周面に等間隔に埋設固定された底辺部と、外周面から垂直方向に又は回転する方向と逆に傾けて起立固定された先端を有する直立部とを含むことが好ましい。
【0014】
爪は、円形回転部材の直径Rの1/2.5〜1/4の等間隔になるようにすることが好ましい。
【0015】
円形回転部材は、貝表面の硬質付着物を除去できない程には軟らか過ぎず、爪の底辺部の直立部との接点部位から折れる程には硬すぎないJIS規格に準拠するA55〜A65の範囲のゴム硬度を有し、処理テーブルの矩形状開口部の各々から共に露出して通過する隣り合う爪の各々の直立部を構成する先端が、処理テーブルに押し付けられた貝の貝表面の凹凸に沿って擦りながら円形回転部材の楕円軌道を変形させて貝表面の硬質付着物を除去するように作動し、硬質付着物の除去後に円形回転部材が楕円軌道に復する弾性強度を有する弾性無端ベルトからなることが好ましい。
【0016】
本装置においては、隣り合う爪が貝表面の凹凸に沿って擦りながら円形回転部材の楕円軌道を変形させて貝表面の硬質付着物を除去するように作動するときに、円形回転部材の楕円軌道の変形にともない隣り合う爪の各々にかかる圧力をより吸収し易くするように、円形回転部材の外周面の隣り合う爪の間に、外周面から厚みの1/3〜1/4の深さを有する凹状または半円形状のくぼみを幅方向に設けるようにすることが好ましい。
【0017】
処理テーブルは、高さが上下方向に調整できるようにすることが好ましい。
【0018】
本装置は、矩形状開口部の各々に対応する円形回転部材の各々が貝の送り方向に楕円軌道を描きながら円形回転部材の各々の外周面に設けられた爪が処理テーブルの対応する矩形状開口部の各々から露出して通過するときに、処理テーブルの上側から矩形状開口部の各々を覆い処理テーブルに送り込まれた貝の貝表面の反対面を押し付けながら貝を搬送する、処理テーブルと平行に配備された円形回転部材の回転動作による速度を下回る速度で作動させる上側搬送ベルトと、上側搬送ベルトと挟持して貝表面を処理テーブルに押し付けながら貝を搬送する、処理テーブルに設けられた遊動コロと、を含むことが好ましい。
【0019】
本発明は、第2の実施態様において、貝表面に生成された硬質付着物を除去する装置に設けられた矩形状開口部を有する処理テーブルの直下の矩形状開口部の長手方向の対応する位置で、処理テーブルと平行に同期回転する2軸間に拡張して楕円形に架け渡される、外周面に底辺部が埋設固定され直立部が外周面から起立固定された等間隔に設けられた爪を有する、断面が矩形又は台形形状の弾性無端ベルトからなる円形回転部材を提供する。円形回転部材が楕円軌道を描くように回転するときに、処理テーブルの矩形状開口部から少なくとも露出して通過する爪の隣り合う爪の各々の直立部を構成する先端が共に、処理テーブルに押し付けられた貝の貝表面の凹凸に沿って擦りながら貝表面の硬質付着物を除去するように作動する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)は、処理テーブルと該処理テーブルの矩形状開口部の直下に配された伝動機構を介した駆動装置によって同期回転する2軸に楕円形に架け渡された外周面に爪を等間隔に設けた円形回転部材とを含む貝表面に生成された硬質付着物を除去する装置の斜視図である。(b)は、処理テーブルに送り込まれた貝の貝表面の反対面を処理テーブルに押し付けながら処理テーブルに設けた遊動コロと、該誘導コロと協働して貝を挟持しながら搬送する上側搬送ベルトとを含む貝表面に生成された硬質付着物を除去する他の装置の斜視図である。
図2】(a)は、処理テーブルの矩形状開口部から露出して通過する外周面に爪を等間隔に配した円形回転部材の使用状態を表す模式図である。(b)は、円形回転部材の外周面に等間隔に配した隣り合う貝の間に幅方向に凹状又は半円形状のくぼみを設けるようにした他の円形回転部材の使用状態を表す模式図である。(c)は、円形回転部材の外周面に等間隔に配した隣り合う貝の間に幅方向に凹状または半円形状のくぼみを設けるようにした他の円形回転部材と、該円形回転部材と協働する誘導コロを設けた処理テーブルと、該処理テーブルの上側に配備された上側搬送ベルトとを含む、もう一つの円形回転部材の使用状態を表す模式図である。
図3】(a)は、外周面に等間隔に埋設固定された底辺部と外周面から垂直方向にまたは回転する方向と逆に傾けて起立固定された先端を有する直立部とが設けられた円形回転部材の平面図、および、円形回転部材を構成する弾性無端ベルトの外周面に等間隔に設けられたL字形の爪を表す一部断面図である。(b)は、外周面の隣り合う爪の間に幅方向に凹状または半円形状のくぼみを設けた他の円形回転部材の平面図、および、円形回転部材を構成する弾性無端ベルトの外周面に等間隔に設けられた隣り合うL字形爪の間に設けられた凹状または半円形状のくぼみを表す一部断面図である。
図4】(a)は、L字形爪の直立部を構成する先端が、処理テーブルに押し付けられた貝表面の凹凸に沿って擦りながら楕円軌道を変形させて貝表面に生成された硬質付着物11を除去するように作動するときに受ける圧力をL字形爪の傾斜と弾性無端ベルトの弾性変形とによって吸収する状態を表す模式図である。(b)は、外周面の隣り合うL字形爪の間に幅方向に凹状または半円形状のくぼみを設けた他の円形回転部材において、爪の直立部を構成する先端が受ける圧力をL字形爪の傾斜と弾性無端ベルトの弾性変形とによって吸収する状態を表す模式図である。
図5】作業者が牡蠣貝を処理テーブルに押し付け、貝表面に生成された硬質付着物を除去している状態を描いた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の態様は、図2(a)〜(c)の模式図に示されるように、貝10の貝表面に生成された硬質付着物11を除去する装置100に関する。具体的には、図1(a)に示されるように、装置100は処理テーブル110を備える。処理テーブル110は、長辺が貝10の送り方向と平行になる複数の矩形状開口部120を有する。ここでは、符号121から124で示されるように、処理テーブル110に4個の矩形状開口部120が設けられている。
【0022】
装置100はさらに、処理テーブル110の直下に該処理テーブル110と平行に、矩形状開口部120の長辺と直交する方向に延びるように、該長辺の中央から長辺方向に一定の間隔を開けて、2つの回転軸130、130が配備される。2つの回転軸130,130は、伝動機構210を介した駆動装置200によって同期回転するように構成される。
【0023】
駆動装置200によって同期回転する2つの回転軸130、130には、処理テーブル110の4個の矩形状開口部120の各々121〜124に対応する位置に、断面が矩形又は台形形状の弾性無端ベルト140(図2)からなる4個の円形回転部材150の各々151〜154が拡張して架け渡される。そのことにより、4個の円形回転部材150は楕円形を形成する。
【0024】
ここでは、楕円形に形成された4個の円形回転部材150の各々151〜154は、図3(a)に示されるように、外周面160に底辺部174を埋設固定し外周面160から直立部176を起立固定した爪170が等間隔に設けられており、処理テーブル110の矩形状開口部120の短辺に対応する幅に成形された、断面が矩形又は台形形状の弾性無端ベルト140から構成される。そのことにより、円形回転部材150の外周面160に等間隔に設けられた爪170の隣り合う爪170,170が共に、処理テーブル110の4個の矩形状開口部120の各々121〜124から露出するように配置される。
【0025】
処理テーブル110は、後述されるように矩形状開口部120から露出して通過する爪170の高さを微調整することができるように、高さ調整部250を処理テーブル110の縁部分に適宜設けることが好ましい。
【0026】
処理テーブル110に設けられた4個の矩形状開口部120の各々121〜124に対応する位置に2つの回転軸130,130に拡張して楕円形に架け渡された4個の円形回転部材150の各々151〜154が、貝10の送り方向に楕円軌道を描いて回転するときに、円形回転部材150の各々151〜154の外周面160に等間隔に設けられた隣り合う爪170、170が、処理テーブル110の矩形状開口部120の各々121〜124から共に露出して通過するように処理テーブル110の高さを調整することができる。
【0027】
このことにより、処理テーブル110の矩形状開口部120から共に露出した隣り合う爪170,170は、貝10の貝表面の凹凸形状に沿って擦りながら貝表面に生成された硬質付着物11を除去するように作動することができる。
【0028】
爪170は、L字形の金属製又は合成樹脂製の剛性爪からなり、弾性無端ベルト140からなる円形回転部材150の各々151〜154の外周面160に、円形回転部材150の直径Rの1/2.5〜1/4の等間隔になるように埋設固定された底辺部174と外周面160から垂直方向にまたは回転する方向と逆に傾けて起立固定された先端178を有する直立部176とから構成されることが好ましい。
【0029】
弾性無端ベルト140からなる円形回転部材150の各々151〜154は、貝10の貝表面に生成された硬質付着物11を除去できない程には軟らか過ぎず、円形回転部材150の各々151〜154の外周面160に埋設固定された爪170の底辺部174の直立部176の接点部位から折れる程には硬すぎないJIS規格に準拠するA55〜A65の範囲のゴム硬度を有し、処理テーブル110の矩形状開口部120の各々121〜124から共に露出して通過する隣り合う爪170,170の直立部176を構成する先端178が、処理テーブル110に押し付けられた貝10の貝表面の凹凸に沿って擦りながら円形回転部材150の楕円軌道を変形させて貝表面に生成された硬質付着物11を除去するように作動し、硬質付着物11の除去後に円形回転部材150が楕円軌道に復する弾性強度を有するものであることが好ましい。
【0030】
図3(b)に示される円形回転部材150は、外周面160に等間隔に設けられた爪170の隣り合う爪170,170が貝10の貝表面の凹凸に沿って擦りながら円形回転部材150の楕円軌道を変形させて貝表面に生成された硬質付着物11を除去するように作動するときに、円形回転部材150の楕円軌道の変形にともない隣り合う爪170,170の各々にかかる圧力をより吸収し易くするように、円形回転部材150の外周面160の隣り合う爪170,170の間に、外周面から厚みの1/3〜1/4の深さを有する凹状または半円形のくぼみ180を幅方向に設けたものである。
【0031】
図1(b)を参照すると、装置100はまた、図2(c)に示されるように、処理テーブル110の矩形状開口部120の各々121〜124に対応する円形回転部材150の各々151〜154が貝10の送り方向に楕円軌道を描き、円形回転部材150の各々151〜154の外周面に設けられた爪170が処理テーブル110の対応する矩形状開口部120の各々121〜124から露出して通過するときに、処理テーブル110の上側から矩形状開口部120の各々121〜124を覆い処理テーブル110に送り込まれた貝10の貝表面の反対面を処理テーブル110に押し付けながら貝10を搬送する、上側搬送ベルト300と、上側搬送ベルト300と挟持して貝10の貝表面を処理テーブル110に押し付けながら貝10をより搬送しやすくする、処理テーブル110に設けた遊動コロ310とを配備するようにしてもよい。
【0032】
上側搬送ベルト300は、処理テーブル110と並行に配備された円形回転部材150の回転動作による速度を下回る速度になるように駆動装置200と関連付けて作動させるようにすることもできる。
【0033】
本発明の第2の態様は、図3(a)または(b)に示されるように、貝10の貝表面に生成された硬質付着物11を除去する装置100に設けられた矩形状開口部120を有する処理テーブル110の直下の矩形状開口部120の長手方向の対応する位置で、処理テーブル110と平行に同期回転する2軸130,130に拡張して楕円形に架け渡される、外周面160に底辺部174が埋設固定され直立部176が外周面160から起立固定された等間隔に設けられた爪170を有する、断面が矩形又は台形形状の弾性無端ベルト140からなる円形回転部材150に関する。
【0034】
図2(a)〜(c)に示されるように、円形回転部材150は、それが楕円軌道を描くように回転するときに、処理テーブル110の矩形状開口部120から露出して通過する爪170の少なくとも隣り合う爪170,170の直立部176を構成する先端178が共に、処理テーブル110に押し付けられた貝10の貝表面の凹凸に沿って擦りながら貝表面に生成された硬質付着物11を除去するように作動する。
【0035】
円形回転部材150の爪170は、L字形の金属製または合成樹脂製の剛性爪からなり、図3(a)に示されるように、円形回転部材150を構成する弾性無端ベルト140の外周面160に等間隔に埋設固定された底辺部174と外周面160から垂直方向に又は回転する方向と逆に傾けて起立固定された先端178を有する直立部176とを含むことができる。
【0036】
図3(b)に示されるように、円形回転部材150はまた、楕円軌道を描きながら処理テーブル110の矩形状開口部120から共に露出して通過する隣り合う爪170,170の直立部176を構成する先端178が共に、処理テーブル110に押し付けられた貝10の貝表面の凹凸に沿って擦りながら楕円軌道を変形させて貝表面に生成された硬質付着物を除去するように作動するときに、楕円軌道の変形にともない隣り合う爪170,170の各々にかかる圧力をより吸収し易くするように、外周面160の隣り合う爪170,170の間に、外周面160から厚みの1/3〜1/4の深さを有する凹状のくぼみ180を幅方向に設けるようにすることもできる。
【0037】
爪170は、図3(a)または(b)のいずれの場合も、等間隔で設けられることが好ましく、その間隔は、円形回転部材150の外径により、円形回転部材150の直径Rの1/2.5〜1/4になるようにすることが好ましい。
【0038】
本発明の第2の態様である円形回転部材150は、図3(a)または(b)のいずれでもよい。いずれも、図4(a)または(b)に示されるように、処理テーブル110に押し付けられた貝10の貝表面の凹凸に沿って隣り合う爪170,170が擦りながら楕円軌道を変形させて貝表面に生成された硬質付着物を除去するように作動するときに、爪170を弾性無端ベルト140の外周面に底辺部174を埋設固定したことにより、楕円軌道の変形にともない隣り合う爪170,170の各々にかかる圧力をL字形爪170の傾斜と弾性無端ベルト140の変形とによって吸収することができる。
【0039】
楕円軌道の変形にともない隣り合う爪170,170の各々にかかる圧力を吸収しやすくする観点からすると、図3(b)に示される円形回転部材150は、図3(a)に比してより効果的であることが明らかである。
【0040】
そのため、円形回転部材150を構成する弾性無端ベルト140は、貝10の貝表面に生成された硬質付着物11を除去できない程には軟らか過ぎず、弾性無端ベルト140の外周面160に埋設固定された爪170の底辺部174の直立部との接点部位から折れる程には硬すぎないJIS規格に準拠するA55〜A65の範囲のゴム硬度を有しており、楕円軌道を描きながら処理テーブル110の矩形状開口部120のから共に露出して通過する隣り合う爪172の直立部176を構成する先端178が、処理テーブル110に押し付けられた貝表面の凹凸に沿って擦りながら楕円軌道を変形させて貝表面に生成された硬質付着物11を除去するように作動し、硬質付着物11の除去後に楕円軌道に復する弾性強度を有するものであることが好ましい。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の一実施例の貝表面の硬質付着物を除去する装置、および、該装置に用いる外周面に等間隔に爪を設けた円形回転部材について、図1図5を参照しながら説明する。
【0042】
対象となる処理される牡蠣貝の大きさや形状は様々であり、通常、横幅が5〜10cm程度、縦長さが10〜25cm程度、厚みが3〜6cm程度の凹凸のある二枚貝である。したがって、処理テーブル110は、これを処理できる大きさがあれば十分であり、例えば、長辺が300〜400mm、短辺が200〜250mm程度の矩形状の鋼板から作成することができる。
【0043】
処理テーブル110には、長辺が貝10の送り方向と平行になるように打ち抜かれた短辺が17〜20mm程度で長辺が190〜220mm程度の矩形状開口部120が設けられる。図1(a)または(b)のいずれからも明らかなように、4個の矩形状開口部121〜124は、いずれも例えば5〜10mm程度の間隔を開けて打ち抜かれている。
【0044】
処理テーブル110が載置される架台400は、図1(a)または(b)に示されるように、金属製または合成樹脂製の底板、側板、上板等で、縦600mm、横400mm、高さ250mm程度のコンパクトな箱型に成形することができる。箱型架台400の横方向に処理テーブル110の長辺を合せて載置される処理テーブル110に対応する箱型架台400の上面は縁部分(図示せず)を除いて開放されており、該縁部分に処理テーブル110の縁部分(図示せず)を固着手段で固定することができる。
【0045】
箱型架台400の底部中央の縦方向に、伝動機構210を介した駆動装置200によって同期回転する2つの軸130、130が、処理テーブル110の直下に、これに平行となるように、矩形状開口部120の長辺と直交する方向に該長辺の中央から一定の間隔を開けて配備される。配備された駆動装置200、伝動機構210、2つの軸130、130、これらのプーリ131,131に楕円形に架け渡された円形回転部材150のそれぞれを箱型架台400に収め、全体を金属製または合成樹脂製の板等で覆うようにすることができる。
【0046】
装置100は、図5から明らかなように、処理テーブル110を作業者が作業しやすい高さに位置させるため、作業テーブル500を準備し、これに載置固定するようにことが好ましい。また箱型架台400の側板には、駆動装置200の電源につながるスイッチ部(図示せず)が装備されることになる。
【0047】
箱型架台400に載置された処理テーブル110には、高さの調整部250を縁部分に適宜設けることができ、また貝表面に生成された硬質付着物11が除去された貝10を処理しやすくするストッパー部270、円形回転部材150の周辺に付着した除去された硬質付着物11を清掃する噴水装置260を縁部分に配備することもできる。
【0048】
伝動機構210を介した駆動装置200によって同期回転する2つの回転軸130、130には、それぞれのプーリ131,131に処理テーブル110の4個の矩形状開口部120の各々121〜124に対応する位置に、図3(a)または(b)に示される厚みが20〜25mm程度で外径が190〜220mm程度の、断面が矩形又は台形形状の弾性無端ベルト140からなる4個の円形回転部材150の各々151〜154が拡張して楕円形に架け渡される。そのことにより、4個の円形回転部材151〜154は、5〜10mm程度の間隔を開けて長径が220〜250mm程度の楕円形に形成される。
【0049】
楕円形に形成される、厚みが20〜25mm程度で外径が190〜220mm程度の円形回転部材150の各々151〜154は、図3(a)または(b)に示されるように、外周面160に底辺部174を埋設固定し外周面160から直立部176を起立固定した爪170が、円形回転部材150の直径Rの1/2.5〜1/4の等間隔に設けられており、処理テーブル110の矩形状開口部120の短辺に対応する幅に成形された、断面が矩形又は台形形状の弾性無端ベルト140から構成される。そのことにより、円形回転部材150の外周面160に等間隔に設けられた爪170の隣り合う爪170,170が共に、処理テーブル110の4個の矩形状開口部120の各々121〜124から露出するように配置される。等間隔に設けられた爪数は少なくとも10個以上、すなわち円形回転部材150の直径Rの1/2.5〜1/4の等間隔に設けられることがより好ましい。
【0050】
円形回転部材150を構成する弾性無端ベルト140の弾性特性は、本装置100の性能を決める重要な要素の一つになる。柔軟性が低すぎると貝表面の凸部に当る爪170への圧力を高め弾性無端ベルト140を沈み込ませ、柔軟性が高すぎると低圧力になり擦る力や楕円形への復帰力を弱めることになる。
【0051】
そのため、弾性無端ベルト140の弾性特性は、貝10の貝表面に生成された硬質付着物11を除去できない程には軟らか過ぎず、弾性無端ベルト140の外周面160に埋設固定された爪170の底辺部174の直立部との接点部位から折れる程には硬すぎないゴム硬度を有し、楕円軌道を描きながら処理テーブル110の矩形状開口部120のから共に露出して通過する隣り合う爪170,170の直立部176を構成する先端178が、処理テーブル110に押し付けられた貝表面の凹凸に沿って擦りながら楕円軌道を変形させて貝表面に生成された硬質付着物11を除去するように作動し、硬質付着物11の除去後に楕円軌道に復する弾性強度を有するものが好ましい。
【0052】
具体的には、弾性無端ベルト140としては、JIS規格に準拠する例えばデユロメータ形式のAタイプのA55〜A65の範囲にある厚みが20mmで外径が195mmの無端ゴムベルトを用い、弾性無端ベルト140に等間隔に設けられる爪170は、図3(a)または(b)に示す底辺部174が埋設固定された爪を表す一部断面図からも明らかように、金属製又は合成樹脂製のL字形剛性爪170を構成する底辺部174が弾性無端ベルト140の外周面160に埋設固定され、先端178を有する直立部176が外周面160から垂直方向にまたは回転する方向と逆に傾けて起立固定されていることが好ましい。
【0053】
図3(a)または(b)に示される弾性無端ベルト140からなる円形回転部材150は、それぞれに対応する円筒形状の鋳型を用い、該鋳型にL字形剛性爪170を等間隔に配した状態で溶融ゴムを流し込み、A55〜A65の範囲の弾性特性を有するゴムベルトに固めることによって成形することができる。
【0054】
装置100に装備される円形回転部材150としては、図3(a)または(b)に示された円形回転部材150のいずれでもよい。両者の違いは、処理テーブル110に押し付けられた貝10の貝表面の凹凸に沿って隣り合う爪170,170が擦りながら楕円軌道を変形させて貝表面に生成された硬質付着物を除去するように作動するときに、楕円軌道の変形にともない隣り合う爪170,170の各々にかかる圧力をL字形爪170の傾斜と弾性無端ベルト140の変形とによって吸収する度合にある。より吸収しやすいのは、厚みが20mmで外径が195mmの無端ゴムベルトを用いた場合、隣り合う爪170,170の間に5〜7mm程度の深さの凹部または半円形状のくぼみ180が設けられた図3(b)に示される円形回転部材150であることは明らかである。
【0055】
図1(b)に示される装置100もまた、図1(a)の箱型架台400と同様のサイズで組み立てることができる。図1(b)から明らかなように、処理テーブル110の上側から矩形状開口部120の各々121〜124を覆い処理テーブル110に送り込まれた貝10の貝表面の反対面を処理テーブル110に押し付けながら貝10を搬送する上側搬送ベルト300が装備される。
【0056】
上側搬送ベルト300は、図2(c)に示されるように、処理テーブル110と並行に配備された円形回転部材150の回転動作による速度を下回る速度になるように作動させ、それらの速度差によって爪が貝表面を擦るように動作させることができる。具体的には、別の伝動機構(図示せず)を介して駆動装置200に連結した2つの軸340,340に、それぞれのプーリ341,341に架け渡された処理テーブル110を覆う大きさを有するベルト350で構成することができる。処理テーブル110には、上側搬送ベルト300と挟持して貝10の貝表面を処理テーブル110に押し付けながら貝10をより搬送しやすくする遊動コロ310とを配備することができる。
【0057】
図1(b)に示される装置100による場合、作業者は、図2(c)に示されるように、搬入口320から貝10を4個の矩形状開口部121〜124の上を通るように搬入し、搬出口330で一方の貝表面の硬質付着物11を除去された貝10を受け取り、さらに他方の貝表面を4個の矩形状開口部121〜124の上を通るように搬入口320から再搬入し、他方の貝表面に生成された硬質付着物11を除去することによって作業を終了する。
【0058】
本発明は、好ましい実施形態に関連して記載されたが、当業者であれば、特許請求の範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ、均等物がそれについての要素に代替され得ることが理解されるであろう。したがって、本発明は、本発明を実施するために考慮された最良の実施形態として開示された、例えば、実施例に示された装置および円形回転部材等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に属する全ての実施形態を含むものであることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
100:装置
110:処理テーブル
120:矩形状開口部
121〜124:矩形状開口部
130:楕円形に架け渡される円形回転部材の2つの回転軸
140:弾性無端ベルト
150:円形回転部材
151〜154:円形回転部材
160:円形回転部材(弾性無端ベルト)の外周面
170:爪
174:L字形剛性爪の底辺部
176:L字形剛性爪の直立部
178:直立部の先端
180:外周面の爪の間に配する幅方向凹部または半円形くぼみ
200:駆動装置
210:伝動機構
250:高さ調整部
260:噴水装置
270:ストッパー
300:上側搬送ベルト
310:誘導コロ
320:搬入口
330:搬出口
340:上側搬送ベルトの回転軸
400:箱型架台
500:作業テーブル
図1
図2
図3
図4
図5