【課題を解決するための手段】
【0004】
当該目的は、請求項1に記載の方法、請求項2に記載のセンサデバイス、請求項13に記載のコンピュータプログラムプロダクト、請求項14に記載の記録担体、及び請求項15に記載の使用によって達成される。好適な実施形態は、従属請求項に開示される。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、本発明は、試料、例えば血液又は唾液のような生体物質を用いて行われる分析を評価する方法に関する。ここでは、「分析」との用語は、かなり一般的な意味として理解されるべきであり、測定のための試料を単に提供するという最も単純な例が含まれる。しかし、多くの場合、分析は、例えば試薬を用いた試料の培養、試料からの物質のプローブへの結合等の試料の何らかの処理を含む。当該方法は、次のステップを含む。
a)以下、感知面と呼ばれ、試料によって接触される(又は接触可能な)表面において光学測定を行うステップ。光学測定は、感知面の、以下、「均一性画像」と呼ばれる(なぜならこの画像は均一性の特徴に関して評価されるからである)少なくとも1つの画像の生成を含む。
b)当該均一性画像の少なくとも1つの関心領域における画像の均一性の指示子を決定するステップ。この指示子は、以下、「均一性指示子」と呼ばれる。画像領域の「画像均一性」とは、画像値(例えばグレースケール画像の場合はグレー値)の広がりを指し、完全に均一な画像とは、単一の画像値だけを有するモノクロ画像である。均一性指示子は、考慮される関心領域が(ある所与の定義又は閾値に従い)均一であるか否かだけを表現する2値変数又は2進値である。しかし、均一性指示子は、均一性の程度を定量化できる多値又は連続的な変数であってもよい。均一性指示子は、例えば関心領域内に生じる最小画像値と最大画像値との差に対応する。
c)当該(少なくとも1つの)均一性指示子に依存して、感知面で行われた光学測定を評価するステップ。
【0006】
なお、「均一性画像」は、通常、分析の一時的でない段階に生成される、即ち
、「均一性指示子」は、通常、一時的でない不均一性を捕捉することに留意すべきである。このコンテキストでは、フェーズ又は不均一性は、最大で数秒(例えば5秒)間、存続する場合に、「一時的である」と見なされる。一例としては、動く液体メニスカスによって引き起こされる一時的な画像の不均一性が挙げられよう。対照的に、本発明のコンテキストにおける関心の不均一性は、通常、より長い時間存続し、即ち、10秒、60秒等より長い時間存続し、又は、分析の全継続時間の間存続する。
【0007】
第2の態様によれば、本発明は、特に上記した方法に従って、試料を用いて分析を行い、評価するセンサデバイスに関する。センサデバイスは、次の構成要素を含む。
a)その中に試料が提供される(収容される)担体。当該担体は、試料によって接触可能である感知面を有する。担体は、例えば(生体)試料を用いた1回の測定に使用される使い捨てカートリッジである。
b)当該感知面において光学測定を行い、感知面の画像を生成可能な画像センサを含む光学センサユニット。多くの場合、光学センサユニットは、当該画像センサからなるが、任意選択的に、更なる構成要素(例えば光源、スペクトロメータ等)も含んでもよい。
c)光学センサユニットに結合され、専用電子ハードウェア、関連のソフトウェアを有するデジタルデータ処理ハードウェア、又はこれらの混合によって実現される評価ユニット。評価ユニットは、
‐画像センサによって生成された感知面の「均一性画像」の少なくとも1つの関心領域における画像の均一性の指示子を決定し、
‐均一性指示子に依存して、光学センサユニットによって提供される光学測定を評価する。
【0008】
上記定義された方法及びセンサデバイスは密接に関連するので、方法及びセンサデバイスのうちの一方に対し提供された定義及び説明は、他方にも同様に適用可能である。方法及びセンサデバイスは、1つ以上の「均一性指示子」が感知領域の少なくとも1つの(「均一性」)画像から決定され、分析時の光学測定の評価は、この決定結果に基づくべきであるという考えに基づいている。したがって、感知面(又はそのうちの関心領域)は、測定又は分析にも影響を及ぼす結果(例えば結合部位の不適切な結合、汚れによる汚染等)によってしばしば引き起こされる可能な(光学的)不均一性に関し明確に確認される。このような不均一性が検出される場合、行われた光学特性の有効性及び正確性を保証するために、適切な手段が取られる。このアプローチによって、最先端の技術、例えば米国特許第7,410,613B2号から知られている手順よりも相当に優れた結果が達成できる。当該米国特許では、不均一性は別々に検出されないが、平均値等に処理される。
【0009】
以下、上記のセンサデバイス及び方法の両方に関連する本発明の様々な好適な実施形態が説明される。
【0010】
第1の好適な実施形態によれば、当該方法及びセンサデバイスが参照する分析は、感知面上の少なくとも1つの結合スポットへの試料のターゲット成分の特定の結合を含む。次に、結合スポットにおけるターゲット成分の蓄積が光学的に検出され、これにより、試料におけるターゲット成分の存在及び/又は量が決定される。例えば結合スポットは結合部位によって均等にコーティングされていない、汚れによって汚染されている等で、結合スポットが均一ではない場合、このような測定の精度は損なわれる。しかし、このような状況は、結合スポット上の関心領域内に均一性指示子が決定される場合、検出される。
【0011】
当該ターゲット成分は、特に、磁力によるターゲット成分の取扱いを可能にする磁気粒子によってラベル付けされる。したがって、結合処理は加速されるか、及び/又は、非結合成分は測定の前に感知面から磁気的に洗い流される。このような分析及び適切な光学測定についての詳細は、例えば国際特許公開公報WO2008/155716A1、国際特許公開公報WO2009/125339A2、国際特許公開公報WO2009/001276A1、又は国際特許公開公報WO2008/142492A1に説明される。これらは、参照することにより本願に組み込まれる。
【0012】
感知面における光学測定は、好適には、感知面の複数の画像の生成を含むか、又は、完全に当該生成からなる。したがって、均一性画像を生成するために使用される画像センサは、光学測定又は少なくともその一部を提供するためにも使用される。特に、均一性画像は、光学測定のうちのほんの1つである。
【0013】
本発明の一実施形態では、均一性指示子は、均一性画像に作用する特徴検出手順によって決定される。特徴検出手順は、例えば感知面における気泡から発生する不均一な画像構造体を特定する。関心領域内に疑似特徴が検出される場合、対応する均一性指示子は、不均一性の存在を示す値に設定される。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、均一性指示子は、関心領域における画像値のヒストグラムから決定される。当業者には知られているように、ヒストグラムは、特定の画像値(例えば0乃至255のグレー値)が関心領域内で出現する頻度を表す。この領域が均一である場合、対応するヒストグラムは、鋭い(理想的には単一値の)ピークを有する。したがって、この種のヒストグラムからの逸脱は、画像不均一性を示す。具体的には、関心領域は、そのヒストグラムが2つ以上のピークを有する場合、不均一であると考えられる。
【0015】
本発明の更に別の実施態様では、均一性指示子は、基準データとの均一性画像の比較、特に関心領域の1つ以上の基準画像との比較から決定される。基準画像は、例えばカートリッジの画像であり、うまくいくことが知られている。更に、比較は、特に測定された均一性画像と基準画像とのヒストグラムの比較(又はより具体的には減算)を含む。
【0016】
分析の種類に依存して、均一性画像が生成されるべきタイミングは様々である。均一性画像は、特に分析の始まり、分析の終わり、又は実行中の分析の途中で生成される。当然ながら、分析の様々なタイミングにおいて複数の均一性画像を生成することも可能である。
【0017】
1つの分析について2つ以上の均一性指示子が決定される場合、光学測定の評価は、これらの比較に基づく。具体的には、分析の様々な段階において生成された均一性画像の均一性指示子(通常は、同じ関心領域について)が比較される。分析の様々な段階は、特定の歪みを出現又は消滅させる。したがって、均一性指示子における対応変化は、しばしば、どの種類の歪みが存在するのかを推測することを可能にする。
【0018】
分析の上記様々な段階は、特に、試料による感知面の湿潤が生じる前後の段階を含む。このような湿潤は、液体試料が使用される分析においてはほぼ常に生じる。これは、液体試料は、第1の段階として、測定が行われる空間に導入されなければならないからである。したがって、通常は、常に、このような湿潤の前後の段階を観察し比較する機会がある。既に上述したように、湿潤時の均一性指示子の変化によって、歪みの可能な種類の歪みについて幾らか結論付けることが可能となる。例えば、
−最初に存在した不均一性が湿潤中に消失した場合、この不均一性は、例えば結合スポット上の保護ショ糖層における割れ目による溶解性成分内の不規則性に因るものである。
−不均一性が湿潤中に出現する場合、この不均一性は、汚れ又は試料中の気泡の存在に因るものである。
−不均一性が湿潤中も変わらない場合、この不均一性は、例えば光学窓上の汚れ又はかすり傷による光路における外乱に因るものである。
【0019】
少なくとも1つの関心領域の決定された均一性指示子が、「正常」又は「許容」値の所与のターゲット範囲から逸脱する場合、これは、光学測定の評価に様々な影響を及ぼす。光学測定は例えば不合格判定される。即ち、有効値として考慮されない。具体的には、不均一性が感知面のどこかに検出された場合に、すべての光学測定が全面的に不合格判定される。或いは、均一性指示子がターゲット範囲から逸脱した対応する関心領域を参照する測定のみが不合格判定されてもよい(一方で、その他の領域の光学測定は依然として使用される)。最後に、不合格判定は、影響を受けた関心領域のサブ領域のみを対象としてもよい。この場合、十分に均一であるこの領域の一部は、分析について得られる最終測定結果に依然として貢献する。
【0020】
関心領域のサブ領域(のみ)の光学測定の不合格判定は、当該関心領域の不合格判定された部分と合格判定された部分とを区別する適切な手順を必要とする。具体的には、不合格判定された関心領域のサブ領域は、当該サブ領域の画像値の所与の画像値範囲からの逸脱によって特定される。例えば関心領域が、通常、所与の区間からのグレー値を有するべきであるが、この区間から外れた画像値を有する関心領域の部分(画素)は、評価からは外される。
【0021】
本発明による方法は、典型的に、コンピュータデバイス、例えばマイクロコントローラ又はパーソナルコンピュータを用いて実現される。したがって、本発明は更に、コンピュータデバイス上で実行された場合に、本発明による方法の何れかの方法の機能を提供するコンピュータプログラムプロダクトを含む。
【0022】
更に、本発明は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、EPROM、又はコンパクトディスク(CD−ROM)である、コンピュータプロダクトを機械可読形式に記憶し、データ担体に記憶されたプログラムがコンピュータデバイス上で実行される場合に、本発明の方法のうちの少なくとも1つの方法を実行する当該データ担体を含む。データ担体は、前段落において言及したコンピュータデバイスのプログラムを記憶するのに特に適している。
【0023】
今日では、当該ソフトウェアは、しばしば、インターネット又は企業内イントラネット上にダウンロード用に提供されている。したがって、本発明は、本発明によるコンピュータプロダクトをローカル又はワイドエリアネットワークを介して送信することも含む。
【0024】
本発明は更に、分子診断、生物試料分析、化学試料分析、食品分析、及び/又は法医学的分析のための上記センサデバイスの使用に関する。分子診断は、例えばターゲット分子に直接的又は間接的に付着する磁気ビーズ又は蛍光粒子を用いて達成される。