(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コネクタ係止用開口の径を変更することで、前記プリント回路基板と前記ハウジング本体との間の隙間の大きさ(スタンドオフ値)を、所望値に変更する請求項2に記載の基板用コネクタの接続方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1の基板用コネクタの接続構造では、ハウジング110とプリント回路基板126との間の隙間(スタンドオフ値)の変更が必要となった場合には、実際にプリント回路基板126の表面126aに当接するスタンドオフ突起部130及び壁部132,134の高さを変更することが必要になる。
【0009】
この場合、同一のハウジング110で、スタンドオフ突起部130及び壁部132,134を多種の高さに変更可能にする構成は容易でない。従って、スタンドオフ突起部130及び壁部132,134が多種の高さを有する多種のハウジング110を予め用意しておく必要がある。
【0010】
従って、基板用コネクタ100とプリント回路基板126との間の隙間の多様化に備えて、隙間(スタンドオフ値)の変更に対する対応が容易ではないという問題が生じた。
【0011】
また、特許文献1の基板用コネクタの接続構造では、半田付け端子124は、プリント回路基板126の上方からスルーホール128に挿入される。そのため、例えば、リフロー方式で半田付けするために、予めスルーホール128に半田ペーストを詰めていた場合、半田付け端子124がスルーホール128に挿通される時に、半田付け端子124自体の押し出し作用で、詰めていた半田ペーストがスルーホール128から脱落してしまう。従って、半田付け端子128に半田ペーストが充分に付かない。その結果、半田ペーストを溶融させる加熱を行っても、半田の不足のために、接続不良が発生してしまう。
【0012】
このように、特許文献1の基板用コネクタの接続構造の場合は、リフロー方式での半田付けには適さず、半田付けの方法がフロー方式に限られてしまうという問題があった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決することに係り、基板用コネクタのハウジング本体とプリント回路基板との間の隙間の変更に簡単に対応することができ、また、フロー方式及びリフロー方式の何れの半田付け方式でも、半田付け端子とスルーホールとを良好に導通接続することができる基板用コネクタの接続構造及び接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) プリント回路基板への基板用コネクタの接続構造であって、
前記基板用コネクタは、
前記プリント回路基板のスルーホールに半田付けされる半田付け端子と、
該半田付け端子を前記プリント回路基板から所定長突出するように保持するハウジング本体と、
前記ハウジング本体に突設され、前記ハウジング本体を前記プリント回路基板に取り付ける際に前記プリント回路基板に当接して前記プリント回路基板と前記ハウジング本体との間に隙間を確保するスタンドオフ突起部と、
前記ハウジング本体から前記プリント回路基板の板厚方向に延出した弾性片の先端に前記板厚方向と直交する方向に突出した係止突起部を有し、前記係止突起部が、前記プリント回路基板に貫通形成され前記弾性片が挿通可能なコネクタ係止用開口の、基板裏面側の縁に係合することで前記基板用コネクタの前記プリント回路基板からの抜け落ちを規制する弾性係止片と、を備え、
前記基板用コネクタは、前記コネクタ係止用開口の前記基板裏面側の縁に前記弾性係止片が係合することで前記プリント回路基板に連結した状態にされ、
前記コネクタ係止用開口の前記基板裏面側の縁に接触する前記係止突起部の接触面は、前記コネクタ係止用開口の径が拡径されると、前記プリント回路基板が前記基板用コネクタから離間する方向に移動する傾斜面に形成され、
前記プリント回路基板は、前記接触面の基端と前記スタンドオフ突起部の先端との間の離間距離よりも板厚が小さく設定されたものを使用すると共に、前記半田付け端子の前記スルーホールからの突出長が前記コネクタ係止用開口の前記基板裏面側の縁と前記接触面との接触によって目標値となるように、前記コネクタ係止用開口の径を設定された基板用コネクタの接続構造。
【0015】
(2) プリント回路基板への基板用コネクタの接続方法であって、
前記基板用コネクタは、
前記プリント回路基板のスルーホールに半田付けされる半田付け端子と、
該半田付け端子を前記プリント回路基板から所定長突出するように保持するハウジング本体と、
前記ハウジング本体に突設され、前記ハウジング本体を前記プリント回路基板に取り付ける際に前記プリント回路基板に当接して前記プリント回路基板と前記ハウジング本体との間に隙間を確保するスタンドオフ突起部と、
前記ハウジング本体から前記プリント回路基板の板厚方向に延出した弾性片の先端に前記板厚方向と直交する方向に突出した係止突起部を有し、前記係止突起部が、前記プリント回路基板に貫通形成され前記弾性片が挿通可能なコネクタ係止用開口の、基板裏面側の縁に係合することで前記基板用コネクタの前記プリント回路基板からの抜け落ちを規制する弾性係止片と、を備え、
前記基板用コネクタは、前記コネクタ係止用開口の前記基板裏面側の縁に前記弾性係止片が係合することで前記プリント回路基板に連結した状態にされ、
前記コネクタ係止用開口の前記基板裏面側の縁に接触する前記係止突起部の接触面は、前記コネクタ係止用開口の径が拡径されると、前記プリント回路基板が前記基板用コネクタから離間する方向に移動する傾斜面に形成され、
前記プリント回路基板は、前記接触面の基端と前記スタンドオフ突起部の先端との間の離間距離よりも板厚が小さく設定されたものを使用すると共に、前記半田付け端子の前記スルーホールからの突出長が前記コネクタ係止用開口の前記基板裏面側の縁と前記接触面との接触によって目標値となるように、前記コネクタ係止用開口の径を設定された基板用コネクタの接続構造
における前記プリント回路基板と前記基板用コネクタとの連結は、前記プリント回路基板から前記基板用コネクタが吊り下がる向きで行い、
前記半田付け端子を前記スルーホールに挿通する前に前記スルーホールを半田ペーストで埋めておくリフロー方式で前記半田付け端子を前記スルーホールに半田付けして、前記基板用コネクタと前記プリント回路基板とを接続状態とする基板用コネクタの接続方法。
【0016】
(3) 前記コネクタ係止用開口の径を変更することで、前記プリント回路基板と前記ハウジング本体との間の隙間の大きさ(スタンドオフ値)を、所望値に変更する上記(2)の基板用コネクタの接続方法。
【0017】
上記(1)及び(2)の構成によれば、プリント回路基板のコネクタ係止用開口の基板裏面側の縁に接触する基板用コネクタの係止突起部の接触面は、コネクタ係止用開口の径が拡径されると、プリント回路基板が基板用コネクタから離間する方向に移動する傾斜面に形成されている。そのため、基板用コネクタのハウジング本体とプリント回路基板との間の隙間の変更は、コネクタ係止用開口の径の拡縮のみで、簡単に対応することができる。
【0018】
ハウジング本体とプリント回路基板との間の隙間の多様化に備える場合でも、高さの異なるスタンドオフ突起部を装備した多種のハウジング本体を用意する必要がない。従って、基板用コネクタのハウジング本体とプリント回路基板との間の隙間の変更に対して、簡単に対応することができる。
【0019】
上記(2)の構成によれば、プリント回路基板に基板用コネクタを組み付ける際に、基板用コネクタの半田付け端子は、下方から上方に向かってプリント回路基板のスルーホールに挿入されることになる。そのため、基板用コネクタの半田付け端子とプリント回路基板のスルーホールとをリフロー方式で半田付けする際に、スルーホールに詰めていた半田ペーストはその一部がスルーホールに挿通される半田付け端子により上方に押し出されるが、半田付け端子に付着せずに下方に脱落することはない。
【0020】
また、半田付けをフロー式で行う場合には、プリント回路基板に基板用コネクタを組み付けた後、基板用コネクタからプリント回路基板が吊り下がるように、上下反転させれば良い。
【0021】
従って、上記(2)の構成によれば、フロー方式及びリフロー方式の何れの半田付け方式でも、半田付け端子とスルーホールとを良好に導通接続することができる。
【0022】
上記(3)の構成によれば、コネクタ係止用開口の径を変更することで、前記プリント回路基板と前記ハウジング本体との間の隙間の大きさ(スタンドオフ値)を所望値に変更する。そのため、基板用コネクタのハウジング本体とプリント回路基板との間の隙間の変更に際して基板用コネクタには改造等が一切不要で、基板用コネクタのハウジング本体とプリント回路基板との間の隙間の変更に簡単に対応することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明による基板用コネクタの接続構造及び接続方法によれば、プリント回路基板のコネクタ係止用開口の基板裏面側の縁に接触する基板用コネクタの係止突起部の接触面は、コネクタ係止用開口の径が拡径されると、プリント回路基板が基板用コネクタから離間する方向に移動する傾斜面に形成されている。そのため、基板用コネクタのハウジング本体とプリント回路基板との間の隙間の変更は、コネクタ係止用開口の径の拡縮のみで、簡単に対応することができる。
【0024】
ハウジング本体とプリント回路基板との間の隙間の多様化に備える場合でも、高さの異なるスタンドオフ突起部を装備した多種のハウジング本体を用意する必要がない。従って、基板用コネクタのハウジング本体とプリント回路基板との間の隙間の変更に対して、簡単に対応することができる。
【0025】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る基板用コネクタの接続構造及び接続方法の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1〜
図8は本発明に係る基板用コネクタの接続構造及び接続方法の一実施形態を示したもので、
図1は本発明の一実施形態における基板用コネクタの斜視図、
図2は
図1に示した弾性係止片及びスタンドオフ突起部の拡大正面図、
図3(a)は板厚の薄いプリント回路基板が
図2に示した弾性係止片及びスタンドオフ突起部に係合している状態の説明図、
図3(b)は板厚の厚いプリント回路基板が
図2に示した弾性係止片及びスタンドオフ突起部に係合している状態の説明図、
図4(a)は
図1に示した基板用コネクタにプリント回路基板が吊り下げられた状態の側面図、
図4(b)は
図1に示した基板用コネクタがプリント回路基板に吊り下げられた状態の側面図、
図5(a)は基板用コネクタの半田付け端子が上方からプリント回路基板のスルーホールに挿入される状態の説明図、
図5(b)は基板用コネクタの半田付け端子が下方からプリント回路基板のスルーホールに挿入される状態の説明図、
図6はプリント回路基板のコネクタ係止用開口が標準よりも拡径されて装備されているために、プリント回路基板と基板用コネクタのハウジング本体との間の隙間が増大した状態の説明図、
図7はプリント回路基板のコネクタ係止用開口の径の増大が比較的小さい場合における、プリント回路基板と基板用コネクタのハウジング本体との間の隙間と、半田付け端子の突出長との関係の説明図、
図8はプリント回路基板のコネクタ係止用開口の径の増大が比較的大きい場合における、プリント回路基板と基板用コネクタのハウジング本体との間の隙間と、半田付け端子の突出長との関係の説明図である。
【0029】
この一実施形態において、プリント回路基板10(
図4参照)に接続する基板用コネクタ20は、
図1に示すように、複数の半田付け端子21と、1つのハウジング本体22と、1組のスタンドオフ突起部23と、1組の弾性係止片(スナップフィットと呼ばれる場合もある)24と、を備える。
【0030】
半田付け端子21は、
図7に示すプリント回路基板10上のスルーホール11に挿通されて、スルーホール11に付随する接点パターンに半田付けされる棒状の端子である。
【0031】
ハウジング本体22は、樹脂の射出成形で所定の形状に形成されるハウジングで、前記半田付け端子21を、所定の配列ピッチで保持する。また、ハウジング本体22は、複数の半田付け端子21を、プリント回路基板10に対向する底面26から所定の突出長に整列した状態に保持する。
【0032】
1組のスタンドオフ突起部23は、
図1に示すように、3本のスタンドオフ突起部23で構成されている。
【0033】
それぞれのスタンドオフ突起部23は、半田付けの際の湯回りの良好化、実装後の基板の熱疲労防止等の理由から、ハウジング本体22とプリント回路基板10の表面との間に隙間を確保する部材である。それぞれのスタンドオフ突起部23は、
図2、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、底面26からプリント回路基板10側に突出するように、ハウジング本体22に一体形成されている。また、本実施形態の場合、スタンドオフ突起部23は、弾性係止片24の根本に一体形成されている。
【0034】
それぞれのスタンドオフ突起部23は、ハウジング本体22を厚さT1及びT2のプリント回路基板10のそれぞれに取り付けた際に、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、先端23aがプリント回路基板10の表面12に当接することによって、プリント回路基板10とハウジング本体22との間に隙間S2を確保する。
【0035】
1組の弾性係止片24は、
図1に示すように、3本の弾性係止片24で構成されている。各弾性係止片24は、前述のスタンドオフ突起部23に隣接して一体成形されている。各弾性係止片24は、
図1及び
図2に示すように、ハウジング本体22からプリント回路基板10の板厚方向(
図3(a)の矢印Y1方向)に延出した弾性片241と、この弾性片241の先端に突設された係止突起部242とを備える。係止突起部242は、プリント回路基板10の板厚方向と直交する方向(
図3(a)の矢印X1方向)に突出して設けられている。
【0036】
上記の弾性係止片24は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、弾性片241がプリント回路基板10に貫通形成されたコネクタ係止用開口14を挿通する。そして、弾性係止片24は、コネクタ係止用開口14を挿通してプリント回路基板10の裏面側に突出した係止突起部242が、コネクタ係止用開口14の基板裏面側の縁14aに係合することで、リフロー方式による半田付け時に、基板用コネクタ20がプリント回路基板10から抜け落ちることを規制する。
【0037】
本実施形態の基板用コネクタの接続構造は、弾性片241が挿通可能なコネクタ係止用開口14の基板裏面側の縁14aに弾性係止片24が係合することで、基板用コネクタ20をプリント回路基板10に連結した状態にする構造である。
【0038】
但し、本実施形態の場合、係止突起部242は、コネクタ係止用開口14の基板裏面側の縁14aに接触する接触面242aを有している。そして、この接触面242aは、
図3(a)及び
図3(b)に示すコネクタ係止用開口14の径D1,D2が拡径されると、プリント回路基板10が基板用コネクタ20から離間する方向(
図3(a)及び
図3(b)の矢印Y2方向)に移動する傾斜面に形成されている。
図3(b)に示すコネクタ係止用開口14の径D2は、
図3(a)のコネクタ係止用開口14よりも拡径された場合を示している。
【0039】
ここで、
図3(a)及び
図3(b)において、弾性係止片24とコネクタ係止用開口14とによる作用を説明するために、プリント回路基板10として、板厚T1,T2が、
図2に示す接触面242aの基端242bとスタンドオフ突起部23の先端23aとの間の離間距離S1よりも大きく設定されたものを示している。
【0040】
しかし、本実施形態の場合、プリント回路基板10として、板厚T1が、
図2に示す接触面242aの基端242bとスタンドオフ突起部23の先端23aとの間の離間距離S1よりも小さく設定されたものを使用する。なお、接触面242aの基端は、接触面242a上で、スタンドオフ突起部23の先端23aに最も近い端部である。
【0041】
更に、本実施形態の場合、プリント回路基板10は、
図7に示す半田付け端子21のスルーホール11からの突出長P1が、コネクタ係止用開口14の基板裏面側の縁14aと接触面242aとの接触によって目標値となるように、コネクタ係止用開口14の径D1が設定されている。
【0042】
更に、本実施形態の場合、プリント回路基板10と基板用コネクタ20との連結は、
図4(a)に示すように基板用コネクタ20にプリント回路基板10が吊り下がる向きではなく、
図4(b)に示すように、プリント回路基板10から基板用コネクタ20が吊り下がる向きで行う。
【0043】
そして、本実施形態の基板用コネクタの接続方法では、半田付け端子21をスルーホール11に挿通する前にスルーホール11を半田ペーストで埋めておく、所謂リフロー方式で、半田付け端子21をスルーホール11に半田付けすることで、基板用コネクタ20とプリント回路基板10とを電気的に接続した状態とする。
【0044】
また、本実施形態の基板用コネクタの接続方法では、コネクタ係止用開口14の径を変更することで、プリント回路基板10とハウジング本体22との間の隙間の大きさ(スタンドオフ値)を所望値に変更する。
【0045】
例えば、当初、
図7に示すように、コネクタ係止用開口14の径をD1に設定することで、スタンドオフ値st1と、半田付け端子21のプリント回路基板10からの突出長P1とを得ていたとする。
【0046】
図7に示したコネクタ接続条件から、
図8に示すコネクタ接続条件に変更する場合について説明する。
図8のコネクタ接続条件は、スタンドオフ値がst2に増加している。また、スタンドオフ値がst2に増加した分、半田付け端子21のプリント回路基板10からの突出長は減少したP2に変更されている。そこで、スタンドオフ値がst2、半田付け端子21の突出長がP2となるように、コネクタ係止用開口14の径がD2に変更される。
【0047】
以上に説明した一実施形態の基板用コネクタの接続構造では、プリント回路基板10のコネクタ係止用開口14の基板裏面側の縁14aに接触する基板用コネクタ20の係止突起部242の接触面242aは、
図7及び
図8に示したように、コネクタ係止用開口14の径が拡径されると、プリント回路基板10が基板用コネクタ20から離間する方向に移動する傾斜面に形成されている。そのため、基板用コネクタ20のハウジング本体22とプリント回路基板10との間の隙間の変更は、コネクタ係止用開口14の径の拡縮のみで、簡単に対応することができる。
【0048】
ハウジング本体22とプリント回路基板10との間の隙間の多様化に備える場合でも、高さの異なるスタンドオフ突起部23を装備した多種のハウジング本体を用意する必要がない。従って、基板用コネクタ20のハウジング本体22とプリント回路基板10との間の隙間の変更に対して、簡単に対応することができる。
【0049】
なお、接触面242aを傾斜面としたことで、プリント回路基板10の板厚が寸法公差や加工誤差の影響で標準寸法の板厚T1よりも大きな板厚T2となる場合でも、
図3(b)に示すように、コネクタ係止用開口14の径を標準のD1よりも拡径したD2に変更することで、弾性係止片24によるプリント回路基板10の係止が可能になる。この場合、コネクタ係止用開口13の径を、弾性係止片24が
図3(b)に矢印Zで示す方向に撓み変形するような大きさに設定すれば、プリント回路基板10の板厚増大分を吸収すると共に、プリント回路基板10と基板用コネクタ20とのガタツキを防止することができる。
【0050】
接触面242aを傾斜面としたことで、寸法誤差を吸収し易くなり、プリント回路基板10に基板用コネクタ20を組み付ける際の作業性を向上させることも可能になる。
【0051】
また、基板用コネクタの半田付け端子が、上方からプリント回路基板のスルーホールに挿入される基板用コネクタの接続方法の場合は、リフロー方式で半田付けしようとすると、
図5(a)に示すように、プリント回路基板10のスルーホール11に半田付け端子21が挿通される際に、スルーホール11に詰められている半田ペースト31が半田付け端子21により下方に押し出されてしまう。その結果、半田ペースト31が半田付け端子21に付着せずにスルーホール11から脱落する不都合が発生する場合がある。
【0052】
しかし、以上に説明した一実施形態の基板用コネクタの接続方法では、プリント回路基板10に基板用コネクタ20を組み付ける際に、基板用コネクタ20の半田付け端子21は、
図5(b)に示すように、下方から上方に向かってプリント回路基板10のスルーホール11に挿入されることになる。そのため、基板用コネクタ20の半田付け端子21とプリント回路基板10のスルーホール11とをリフロー方式で半田付けする際に、
図5(b)に示すようにスルーホール11に詰めていた半田ペースト31はその一部がスルーホール11に挿通される半田付け端子21により上方に押し出されるが、半田付け端子21に付着せずに下方に脱落することはない。
【0053】
なお、一実施形態のプリント回路基板10と基板用コネクタ20の接続方法において、半田付けをフロー式で行う場合には、プリント回路基板10に基板用コネクタ20を組み付けた後、基板用コネクタ20からプリント回路基板10が吊り下がるように、上下反転させれば良い。
【0054】
従って、以上に説明した一実施形態の基板用コネクタの接続方法では、フロー方式及びリフロー方式の何れの半田付け方式でも、半田付け端子21とスルーホール11とを良好に導通接続することができる。
【0055】
また、以上に説明した一実施形態の基板用コネクタの接続方法では、コネクタ係止用開口14の径を変更することで、プリント回路基板10とハウジング本体22との間の隙間の大きさ(スタンドオフ値)を所望値に変更する。そのため、基板用コネクタ20のハウジング本体22とプリント回路基板10との間の隙間の変更に際して基板用コネクタ20には改造等が一切不要で、基板用コネクタ20のハウジング本体22とプリント回路基板10との間の隙間の変更に簡単に対応することができる。
【0056】
ここで、上述した本発明に係る基板用コネクタの接続構造及び接続方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
【0057】
[1] プリント回路基板(10)への基板用コネクタ(20)の接続構造であって、
前記基板用コネクタ(20)は、
前記プリント回路基板(10)のスルーホール(11)に半田付けされる半田付け端子(21)と、
該半田付け端子(21)を前記プリント回路基板(10)から所定長突出するように保持するハウジング本体(22)と、
前記ハウジング本体(22)に突設され、前記ハウジング本体(22)を前記プリント回路基板(10)に取り付ける際に前記プリント回路基板(10)に当接して前記プリント回路基板(10)と前記ハウジング本体(22)との間に隙間を確保するスタンドオフ突起部(23)と、
前記ハウジング本体(22)から前記プリント回路基板(10)の板厚方向に延出した弾性片(241)の先端に前記板厚方向と直交する方向に突出した係止突起部(242)を有し、前記係止突起部(242)が、前記プリント回路基板(10)に貫通形成され前記弾性片(241)が挿通可能なコネクタ係止用開口(14)の、基板裏面側の縁(14a)に係合することで前記基板用コネクタ(20)の前記プリント回路基板(10)からの抜け落ちを規制する弾性係止片(24)と、を備え、
前記基板用コネクタ(20)は、前記コネクタ係止用開口(14)の前記基板裏面側の縁(14a)に前記弾性係止片(24)が係合することで前記プリント回路基板(10)に連結した状態にされ、
前記コネクタ係止用開口(14)の前記基板裏面側の縁(14a)に接触する前記係止突起部(242)の接触面(242a)は、前記コネクタ係止用開口(14)の径が拡径されると、前記プリント回路基板(10)が前記基板用コネクタ(20)から離間する方向に移動する傾斜面に形成され、
前記プリント回路基板(10)は、前記接触面(242a)の基端と前記スタンドオフ突起部(23)の先端との間の離間距離よりも板厚が小さく設定されたものを使用すると共に、前記半田付け端子(21)の前記スルーホール(11)からの突出長が前記コネクタ係止用開口(14)の前記基板裏面側の縁(14a)と前記接触面(242a)との接触によって目標値となるように、前記コネクタ係止用開口(14)の径を設定された基板用コネクタ(20)の接続構造。
【0058】
[2] プリント回路基板(10)への基板用コネクタ(20)の接続方法であって、
前記基板用コネクタ(20)は、
前記プリント回路基板(10)のスルーホール(11)に半田付けされる半田付け端子(21)と、
該半田付け端子(21)を前記プリント回路基板(10)から所定長突出するように保持するハウジング本体(22)と、
前記ハウジング本体(22)に突設され、前記ハウジング本体(22)を前記プリント回路基板(10)に取り付ける際に前記プリント回路基板(10)に当接して前記プリント回路基板(10)と前記ハウジング本体(22)との間に隙間を確保するスタンドオフ突起部(23)と、
前記ハウジング本体(22)から前記プリント回路基板(10)の板厚方向に延出した弾性片(241)の先端に前記板厚方向と直交する方向に突出した係止突起部(242)を有し、前記係止突起部(242)が、前記プリント回路基板(10)に貫通形成され前記弾性片(241)が挿通可能なコネクタ係止用開口(14)の、基板裏面側の縁(14a)に係合することで前記基板用コネクタ(20)の前記プリント回路基板(10)からの抜け落ちを規制する弾性係止片(24)と、を備え、
前記基板用コネクタ(20)は、前記コネクタ係止用開口(14)の前記基板裏面側の縁(14a)に前記弾性係止片(24)が係合することで前記プリント回路基板(10)に連結した状態にされ、
前記コネクタ係止用開口(14)の前記基板裏面側の縁(14a)に接触する前記係止突起部(242)の接触面(242a)は、前記コネクタ係止用開口(14)の径が拡径されると、前記プリント回路基板(10)が前記基板用コネクタ(20)から離間する方向に移動する傾斜面に形成され、
前記プリント回路基板(10)は、前記接触面(242a)の基端と前記スタンドオフ突起部(23)の先端との間の離間距離よりも板厚が小さく設定されたものを使用すると共に、前記半田付け端子(21)の前記スルーホール(11)からの突出長が前記コネクタ係止用開口(14)の前記基板裏面側の縁(14a)と前記接触面(242a)との接触によって目標値となるように、前記コネクタ係止用開口(14)の径を設定された基板用コネクタ(20)の接続構造
における前記プリント回路基板(10)と前記基板用コネクタ(20)との連結は、前記プリント回路基板(10)から前記基板用コネクタ(20)が吊り下がる向きで行い、
前記半田付け端子(21)を前記スルーホール(11)に挿通する前に前記スルーホール(11)を半田ペーストで埋めておくリフロー方式で前記半田付け端子(21)を前記スルーホール(11)に半田付けして、前記基板用コネクタ(20)と前記プリント回路基板(10)とを接続状態とする基板用コネクタ(20)の接続方法。
【0059】
[3] 前記コネクタ係止用開口(14)の径を変更することで、前記プリント回路基板(10)と前記ハウジング本体(22)との間の隙間の大きさ(スタンドオフ値)を、所望値に変更する上記[2]の基板用コネクタ(20)の接続方法。
【0060】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0061】
例えば、基板用コネクタに装備するスタンドオフ突起部や弾性係止片の装備数は、上記実施形態に示した数量に限定されるものではなく、プリント回路基板や基板用コネクタの大きさ等に応じて、増減することが可能である。
【0062】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0063】
本出願は、2012年8月24日出願の日本特許出願(特願2012−185742)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。