(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190372
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】抗ウイルスヌクレオチド類似体を調製する方法
(51)【国際特許分類】
C07F 9/6524 20060101AFI20170821BHJP
C07B 57/00 20060101ALN20170821BHJP
C07B 53/00 20060101ALN20170821BHJP
A61K 31/675 20060101ALN20170821BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20170821BHJP
A61P 31/12 20060101ALN20170821BHJP
【FI】
C07F9/6524
!C07B57/00 390
!C07B53/00 G
!A61K31/675
!A61P35/00
!A61P31/12
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-534535(P2014-534535)
(86)(22)【出願日】2012年10月3日
(65)【公表番号】特表2014-530809(P2014-530809A)
(43)【公表日】2014年11月20日
(86)【国際出願番号】US2012000441
(87)【国際公開番号】WO2013052094
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2015年10月1日
(31)【優先権主張番号】61/544,950
(32)【優先日】2011年10月7日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501362319
【氏名又は名称】ギリアード サイエンシス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】コルビー デニス エイ
(72)【発明者】
【氏名】マルティンス アンドリュー アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ ベンジャミン ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】スコット ロバート ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト ニコル エス
【審査官】
三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−504402(JP,A)
【文献】
特表2008−508315(JP,A)
【文献】
特表2007−515184(JP,A)
【文献】
特表2009−531441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/6524
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
9−{(R)−2−[((S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニンの選択的結晶化方法であって、
a)酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルtert−ブチルエーテル、トルエン、アセトニトリル及びこれらの混合物からなる群から選択される溶媒と、
b)9−{(R)−2−[((R,S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニンと、
c)9−{(R)−2−[((S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニンの結晶と、
を含む溶液を、1,5−ジアゾビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン;7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン;テトラメチルグアニジン;Verkade塩基;金属カーボネート;金属フェノキシド;フッ化物イオン供給源と組み合わせたPhOTMS;及びこれらの混合物からなる群から選択される塩基により、リン中心のエピマー化及び追加の結晶9−{(R)−2−[((S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニンの沈殿が起こるまで、処理することを含む方法。
【請求項2】
前記溶媒がアセトニトリルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩基が1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶液がフェノールを更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13:
(式中、Xはハロである)を調製する方法であって、化合物12:
を、少なくとも90%のジアステレオマー純度への化合物13のジアステレオマー濃縮が完了したと認められるまで、塩化チオニル(SOCl
2)、塩化オキサリル(C
2O
2Cl
2)、三塩化リン(PCl
3)、クロロトリフェニルホスホラン塩、臭化チオニル(SOBr
2)、臭化オキサリル(C
2O
2Br
2)、三臭化リン(PBr
3)及びブロモトリフェニルホスホラン塩からなる群から選択されるハロゲン化剤により、48〜96時間処理することを含む方法。
【請求項6】
化合物12を、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトニトリル、トルエン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジオキサン、スルホラン若しくはトリクロロエチレン又はこれらの混合物を含む溶媒中で前記ハロゲン化剤により処理する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
化合物12を、−20℃〜110℃の範囲の温度で前記ハロゲン化剤により処理する、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
化合物12を、トルエン中、22℃〜110℃の温度で塩化チオニルにより処理して、少なくとも90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13a:
をもたらす、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも90%ジアステレオ異性的に純粋な化合物16:
である化合物15:
を調製する方法であって、少なくとも90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13:
(式中、Xはハロである)を、
請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法により調製すること、及び
化合物13を−78℃〜25℃の温度でアミン11:
により処理して、少なくとも90%ジアステレオ異性的に純粋な化合物16である化合物15をもたらすことを含む方法。
【請求項10】
Xがクロロである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
化合物13を、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、クロロベンゼン、スルホラン、酢酸イソプロピル及びこれらの混合物からなる群から選択される溶媒中、−78℃〜25℃の温度、トリエチルアミンの存在下でアミン11により処理する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
化合物12:
を調製する方法であって、PMPA:
を、トリアルキルアミン、2−メチルイミダゾール、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,5−ジアゾビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ピリジン及びこれらの混合物からなる群から選択される塩基の存在下でトリフェニルホスファイトにより処理して、化合物12をもたらすことを含む方法。
【請求項13】
PMPAを、アセトニトリル、N−メチルピロリドン(NMP)、ジクロロエタン、ピリジン、酢酸アルキル、ジアルキルエーテル及びこれらの混合物からなる群から選択される溶媒中、トリエチルアミン及びジメチルアミノピリジンの存在下でトリフェニルホスファイトにより処理して、化合物12をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
PMPAを、アセトニトリル中、20℃〜82℃の範囲の温度でトリフェニルホスファイトにより処理する、請求項12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2011年10月7日に出願された米国仮特許出願第61/544,950号の優先権の利益を主張し、この米国仮特許出願の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
関連技術の説明
米国特許第7,390,791号及び同第7,803,788号(これらのそれぞれの内容は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)は、療法に有用であるホスホネートヌクレオチド類似体のある特定のプロドラッグを記載する。そのようなプロドラッグの一つは、9−{(R)−2−[((S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニン(化合物16)である。
【化1】
【0003】
この化合物は、Chemical Abstractによる名称のL−アラニン,N−[(S)−[[(1R)−2−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)−1−メチルエトキシ]メチル]フェノキシホスフィニル],−1−メチルエチルエステルによっても公知である。米国特許第7,390,791号及び同第7,803,788号も、この化合物のモノフマレート形態及びその調製方法(例えば、実施例4を参照すること)を開示する。
【0004】
化合物12、化合物13(式中、Xはハロである)及び化合物15:
【化2】
は、化合物16を調製するのに有用である合成中間体である。化合物15は、リン中心のジアステレオマーの混合物として描かれている。化合物15の混合物を構成する2つのジアステレオマーは、本明細書において化合物15a及び15bと示されている。異性体15aは、化合物16と構造が同一である。
【化3】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、化合物12、13、15及び16を調製する改善された方法の必要性が存在する。特に、化合物13、15及び16を高いジアステレオマー純度で調製する改善された方法の必要性が存在する。そのような改善された方法は、現在利用可能な方法よりも高い収率を提供するか、実施がより容易であるか、又は費用若しくは毒性がより少ない試薬を使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
記載されるものは、結晶化誘導動的分割(crystallization−induced dynamic resolution)を使用した9−{(R)−2−[((S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニン(化合物16)を単離する改善された方法;化合物13及び15を高いジアステレオマー純度で調製する改善された方法;並びに化合物12を調製する改善された方法である。
【0007】
したがって、一つの実施形態において、
a)適切な溶媒と、
b)適切な塩基と、
c)ジアステレオマー混合物9−{(R)−2−[((R,S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニンと、
場合により、d)9−{(R)−2−[((S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニンの1つ又は1つより多くの種晶と
を含む溶液を、9−{(R)−2−[((S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニンの選択的結晶化をもたらす条件に供することを含む方法が提供される。
【0008】
別の実施形態において、少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13を調製する方法であって、化合物12:
【化4】
のトルエン溶液を塩化チオニルで処理して、X=Clの化合物13をもたらす方法が提供される。
【0009】
別の実施形態において、少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋な化合物16である9−{(R)−2−[((R,S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニン(化合物15)を調製する方法であって、少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13:
【化5】
(式中、Xはハロである)を、アミン11:
【化6】
により、少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋な化合物16である化合物15(すなわち、異性体15a)をもたらす条件下で処理することを含む方法が提供される。
【0010】
別の実施形態において、化合物12:
【化7】
を調製する方法であって、PMPA:
【化8】
を、適切な塩基の存在下でトリフェニルホスファイトにより処理して、化合物12をもたらすことを含む方法が提供される。
【0011】
また提供されるものは、本明細書に開示される新規プロセス及び中間体である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
ラジカル、置換基及び範囲について下記に提示される特定の値は、例示のためのみであり、ラジカル及び置換基の他の規定値も規定範囲内の他の値も除外するものではない。
結晶化誘導動的分割による化合物16の調製
【0013】
一つの実施形態において、9−{(R)−2−[((R,S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニン(化合物15):
【化9】
を結晶化誘導動的分割することにより、9−{(R)−2−[((S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニン(化合物16)をもたらす方法が提供される。この方法は、
a)適切な溶媒と、
b)適切な塩基と、
c)9−{(R)−2−[((R,S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニンと、
場合により、d)9−{(R)−2−[((S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニンの1つ又は1つより多くの種晶と
を含む溶液を、9−{(R)−2−[((S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニンの選択的結晶化ももたらす条件下で、リン中心のエピマー化をもたらす条件に供することを含む。
【0014】
結晶化は、任意の適切な溶媒において実施することができる。例えば、非プロトン性有機溶媒又はその混合物において実施することができる。例えば、非プロトン性有機溶媒は、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルtert−ブチルエーテル、トルエン若しくはアセトニトリル又はこれらの混合物を含むことができる。一つの実施形態において、溶媒はアセトニトリルを含む。
【0015】
分割は、任意の適切な塩基の存在下で実施することができる。例えば、分割は、1,5−ジアゾビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)、テトラメチルグアニジン、Verkade塩基(例えば、2,8,9−トリイソプロピル−2,5,8,9−テトラアザ−1−ホスファビシクロ[3.3.3]ウンデカン及び2,8,9−トリイソブチル−2,5,8,9−テトラアザ−1−ホスファビシクロ[3.3.3]ウンデカン)、金属カーボネート(例えば、M
xCO
3)、金属フェノキシド(M
+ −OPh)及びフッ化物イオン供給源(例えば、R
4N
+ −F、TASF(トリス(ジメチルアミノ)スルホニウムジフルオロトリメチルシリケート)又はTBAT(テトラブチルアンモニウムトリフェニルジフルオロシリケート))と組み合わせたPhOTMS、並びにこれらの混合物から選択される塩基の存在下で実施することができ、式中、各Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属などの適切な金属であり、各Rは、例えば(C
1〜C
6)アルキルである。一つの特定の実施形態において、塩基はDBUである。
【0016】
分割は、任意の適切な温度、例えば約0℃〜約50℃の範囲の温度で実施することもできる。一つの特定の実施形態において、分割は、約20℃の温度で実施される。
【0017】
一つの特定の実施形態において、分割はフェノールの存在下で実施される。
【0018】
出発ジアステレオマー混合物における化合物16の百分率は、約0%〜約99%の範囲内のいずれかでありうる。本発明の一つの実施形態において、出発ジアステレオマー混合物における化合物16の百分率は、約0%〜約20%の範囲である。一つの実施形態において、出発ジアステレオマー混合物における化合物16の百分率は、約20%〜約99%の範囲である。一つの実施形態において、出発ジアステレオマー混合物における化合物16の百分率は、約50%〜約99%の範囲である。一つの実施形態において、最終化合物16は、少なくとも約90%、約95%、約97%又は約99%ジアステレオ異性的に純粋である。一つの実施形態において、最終化合物16は、1%未満の任意のジアステレオマー不純物を含有する。一つの実施形態において、最終化合物16は、任意の検出可能なジアステレオマー不純物を含まない。
高いジアステレオマー純度を有する化合物13の調製
【化10】
【0019】
少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13(式中、Xはハロである)は、化合物12を適切なハロゲン化剤で処理することによって調製することができる。例えば、化合物13は、化合物12を、例えば塩化チオニル(SOCl
2)、塩化オキサリル(C
2O
2Cl
2)、三塩化リン(PCl
3)、クロロトリフェニルホスホラン塩、臭化チオニル(SOBr
2)、臭化オキサリル(C
2O
2Br
2)、三臭化リン(PBr
3)又はブロモトリフェニルホスホラン塩などのハロゲン化剤で処理することによって調製することができる。反応は、適切な有機溶媒において適切な温度(例えば、約−20℃〜約100℃の範囲の温度)で実施することができる。適切な溶媒には、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトニトリル、トルエン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジオキサン、スルホラン及びトリクロロエチレン、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0020】
一つの実施形態において、化合物12を、トルエン中、塩化チオニルにより約22℃〜約110℃の温度で処理して、少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13a:
【化11】
をもたらす。一つの実施形態において、最終化合物13aは、少なくとも約90%、約95%、約97%又は約99%ジアステレオ異性的に純粋である。一つの実施形態において、最終化合物13aは、1%未満の任意のジアステレオマー不純物を含有する。一つの実施形態において、最終化合物13aは、任意の検出可能なジアステレオマー不純物を含まない。
高いジアステレオマー純度での化合物15の調製
【化12】
【0021】
化合物15は、少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13(式中、Xはハロである)を、本明細書において化合物16としても表されている特定の異性体15aで少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物15をもたらす条件下、アミン11により処理することによって調製することができる。例えば、化合物15は、化合物13を適切な有機溶媒において適切な温度(例えば、約−78℃〜約25℃の範囲の温度)でアミン11により処理することによって調製することができる。適切な溶媒には、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、クロロベンゼン、スルホラン及び酢酸イソプロピル、並びにこれらの混合物などの有機溶媒が含まれる。反応は、例えば、トリエチルアミン((C
2H
5)
3N)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン([(CH
3)
2CH]
2NC
2H
5)又は1,8−ビス(ジメチルアミノ)−ナフタレン(プロトンスポンジ、C
14H
18N
2)などの適切な塩基の存在下で都合良く実施することができる。反応の後、得られた材料を、例えば第一リン酸ナトリウム(NaH
2PO
4)、重炭酸カリウム(KHCO
3)、クエン酸(C
6H
8O
7)又は重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)などの適切な洗浄試薬を含有する水溶液により洗浄することができる。得られた有機溶液を、適切な乾燥剤、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム又は塩化カルシウムにより乾燥して、少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋な化合物16である化合物15をもたらすことができる。
【0022】
一つの実施形態では、少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13(式中、Xはクロロである)を、ジクロロメタン中、アミン11により、トリエチルアミンの存在下、−25℃〜25℃の温度で処理する。次に得られた反応混合物を、第一リン酸ナトリウム(NaH
2PO
4)及び重炭酸カリウム(KHCO
3)を含有する水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋な化合物16である化合物15をもたらす。一つの実施形態において、出発化合物13及び得られた化合物15は、少なくとも約95%又は97%ジアステレオ異性的に純粋である。一つの実施形態において、最終化合物15は、少なくとも約90%、約95%、約97%又は約99%ジアステレオ異性的に純粋な化合物16を含有する。一つの実施形態において、最終化合物15は、1%未満の任意のジアステレオマー不純物を含有する。
化合物12の調製
【0023】
化合物12は、例えば米国特許第7,390,791号に記載されているように調製することができるか、又は本明細書に記載されているように調製することができる。一つの実施形態において、化合物12を調製する方法であって、PMPAを適切な塩基の存在下でトリフェニルホスファイトにより処理して化合物12をもたらすことを含む方法が提供される。反応は、例えばアセトニトリル、N−メチルピロリドン(NMP)、ジクロロエタン、ピリジン、酢酸アルキル(例えば、酢酸エチル)若しくはジアルキルエーテル(例えば、ジエチルエーテル)又はこれらの混合物などの適切な溶媒において都合良く実施することができる。反応は、例えばトリアルキルアミン(例えば、トリエチルアミン)、2−メチルイミダゾール、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,5−ジアゾビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)若しくはピリジン又はこれらの混合物などの適切な塩基の存在下で都合良く実施することもできる。反応は、例えば約20℃〜約120℃(例えば、約20℃〜約82℃)の温度などの適切な温度で都合良く実施することもできる。一つの特定の実施形態において、PMPAを、アセトニトリル中、トリエチルアミン及びジメチルアミノピリジンの存在下でトリフェニルホスファイトにより約80℃で処理して、化合物12をもたらす。
【実施例】
【0024】
以下は、非限定的で例示的な実施例である。
(実施例1):ジアステレオマー混合物9−{(R)−2−[((R,S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニン(化合物15)の調製
【化13】
【0025】
a.化合物11の調製。イソプロピルL−アラニンエステル塩酸塩(化合物10)(1kg、5.97mol、1.0当量)及び重炭酸カリウム(1.45kg、14.5mol、2.43当量)を、DCM(4kg)中で、ポット温度を19℃〜25℃に維持しながら最大かき混ぜ(maximum agitation)により10〜14時間かき混ぜた。次に混合物を濾過し、DCM(2kg)で順方向にすすいだ(rinsed forward)。濾液を、4Åモレキュラーシーブのベッドにより、溶液の含水量が≦0.05%になるまで乾燥した。次に、化合物11を含有する得られた貯蔵溶液を−20℃のポット温度へと冷却し、更なる使用のために保持した。
【0026】
b.化合物13aの調製。アセトニトリル(5.5kg)中の塩化チオニル(0.72kg、6.02mol、2.19当量)の溶液に、化合物12(1kg、2.75mol、1.00当量)を10回の等量で60℃で2時間かけて加えた。次にポット温度を70℃に調整し、反応が完了したと認められるまで1〜3時間撹拌した。次にポット温度を40℃に調整し、真空を適用した。混合物を、40℃の最大ジャケット温度を維持しながら蒸留乾固した。次に乾燥残渣をジクロロメタン(30kg)に取り、ポット温度を19℃〜25℃に調整した。化合物13aを含有する得られたスラリーを、更なる使用のために保持した。
【0027】
c.化合物15の調製。イソプロピルL−アラニンエステル11(4.82当量)のストック溶液に、化合物13a(1.0当量)を含有するスラリーを、ポット温度を≦−10℃に維持しながら、−25℃で最低でも2時間かけて加えた。次に混合物を≦−10℃の温度で少なくとも30分間保持し、次にpHを水湿潤(water wet)pH試験紙の使用により検査した。pHが<4である場合、トリエチルアミンによるpH4〜7への調整を行った。次にポット温度を室温(19℃〜25℃)に調整した。別の容器において、水(16kg)中の第一リン酸ナトリウム(2.2kg、18mol、6.90当量)の溶液を調製した。第一リン酸ナトリウム溶液の半分を、ホスホンアミデート反応器に投入し、激しく撹拌した。層を沈降及び分配させた。有機層を再び第一リン酸ナトリウム溶液の残り半分で洗浄した。別の容器において、水(5.5kg)中の重炭酸カリウム(1.1kg、11mol、4.22当量)の溶液を調製した。重炭酸カリウム溶液の半分を有機相に投入し、激しく撹拌した。層を沈降及び分配させた。有機層を再び重炭酸カリウム溶液の残り半分で洗浄し、続いて最後に水(3.3kg)で洗浄した。次に有機相を保持し、蒸留して、およそ6Lの体積にした。得られた溶液を含水量について分析した。含水量が>1.0%である場合、DCMを投入することができ、およそ6Lにする蒸留を繰り返した。溶液の含水量が1.0%未満であるか約1.0%である場合、ポット温度を、DCM中の貯蔵溶液を投入する前に19℃〜25℃に調整して、ジアステレオマー混合物9−{(R)−2−[((R,S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニン(化合物15)をもたらした。
1H NMR(400MHz, CDCl
3): δ 1.20−1.33(m, 12H), 3.62−3.74(m, 1H), 3.86−4.22(m, 5H), 4.30−4.44(m, 1H), 4.83−5.10(m, 1H), 6.02(br s, 3H), 7.18−7.34(m, 5H), 7.98−8.02(m, 1H), 8.32−8.36(m, 1H);
31P NMR(162MHz, CDCl
3): δ. 21.5, 22.9.
(実施例2):9−{(R)−2−[((S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニン(化合物16)をもたらすジアステレオマー混合物9−{(R)−2−[((R,S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニン(化合物15)の結晶化誘導動的分割
【化14】
【0028】
アセトニトリル中の9−{(R)−2−[((R,S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニン(化合物15)の22重量%溶液(2.3kg溶液、0.51kgの化合物15、1.1mol、1当量)を、オーバーヘッド撹拌機、蒸留装置及び窒素入口を備えた容器に投入した。混合物を、45℃〜55℃の温度範囲で100〜300mbarにより蒸留することにより濃縮して、最終濃度の30〜35重量%にした。次に蒸留装置を取り外し、溶液を20℃に冷却した。溶液に2.0%の化合物16の種晶を入れ、20℃で1時間撹拌した。フェノール(9.9g、0.11mol、0.1当量)及びDBU(16g、0.11mol、0.1当量)を加え、混合物を更に24時間、又は溶液に残った化合物16の重量パーセントが12%未満になるまで撹拌した。次にスラリーを0℃に冷却し、0℃で更に18時間撹拌した。スラリーを濾過し、酢酸イソプロピル:アセトニトリルの1:1溶液(1.5L)により0℃で洗浄した。固体を真空オーブンにより50℃で乾燥して、0.40kgの化合物16(収率80%)を白色の固体として得た。
1H NMR(400MHz, CDCl
3): δ 1.21(m, 9H), 1.28(d, J=7.0 Hz, 3H), 3.65(dd, J= 13.1, 10.7, 1H) 4.00(m, 4H), 4.33(dd, J=14.4, 3.1 Hz, 1H), 5.00(m, 1H) 6.00(bs, 2H), 6.99(m, 2H), 7.07(m, 1H), 7.19(m, 2H), 7.97(s, 1H), 8.33(s, 1H).
31P NMR(162MHz, CDCl
3): δ. 20.8.
(実施例3):高いジアステレオマー純度での化合物13aの調製
【0029】
トルエン(60mL)中の化合物12(10.0g、27.5mmol、1.00当量)のスラリーに、塩化チオニル(3.0mL、41mmol、1.5当量)を周囲温度で加えた。スラリーを70℃に加熱し、反応及びジアステレオマー濃縮がHPLCにより完了した(標的:化合物12から化合物13aへの変換が>97.0%及び化合物13aのジアステレオマー比が>90:10)と認められるまで、48〜96時間かき混ぜた。混合物を真空蒸留により濃縮乾固し、乾燥残渣をトルエン(50mL)に取った。化合物13aを含有する得られたスラリーを、更なる使用のために周囲温度で保持した。
(実施例4):高いジアステレオマー純度での9−{(R)−2−[((R,S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニン(化合物15)の調製
【0030】
DCM(80mL)中のイソプロピルL−アラニンエステル11(4.50当量)の溶液に、トルエン(50mL)中に少なくとも90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13a(1.00当量)を含有するスラリーを、内部温度を≦−20℃に維持しながら、−25℃で最低でも45分間かけて加えた。次に混合物を≦−20℃の温度で少なくとも30分間保持し、pHを水湿潤pH試験紙の使用により検査した。pHが<4である場合、トリエチルアミンによりpH4〜7に調整した。ポット温度を室温(19℃〜25℃)に調整した。混合物を分液漏斗に移し、第一リン酸ナトリウムの10%w/v水溶液(2×50mL)、重炭酸カリウムの15%w/v水溶液(2×20mL)及び水(50mL)で連続して洗浄した。最終有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粘性の琥珀色油状物を得た。油状物をトルエン/アセトニトリル(4:1)(50mL)に溶解し、溶液に9−{(R)−2−[((R,S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニン(約1mg、99:1のジアステレオマー比)の種晶を入れ、周囲温度で2時間撹拌した。得られたスラリーを濾過し、フィルターケーキをトルエン/アセトニトリル(4:1)(15mL)で洗浄し、真空オーブンにより40℃で16時間乾燥して、生成物9−{(R)−2−[((R,S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニン(化合物15)を白色の固体(10.0g、76.4%、化合物16寄りの97.5:2.5のジアステレオマー比)として得た。
1H NMR(400MHz, CDCl
3): δ 1.20−1.33(m, 12H), 3.62−3.74(m, 1H), 3.86−4.22(m, 5H), 4.30−4.44(m, 1H), 4.83−5.10(m, 1H), 6.02(br s, 3H), 7.18−7.34(m, 5H), 7.98−8.02(m, 1H), 8.32−8.36(m, 1H);
31P NMR(162MHz, CDCl
3): δ. 21.5, 22.9.
(実施例5):化合物12の調製
【0031】
PMPA(100.0g、0.35mol、1当量)を、オーバーヘッド撹拌機、還流冷却器及び窒素入口を備えた容器に投入し、続いてアセトニトリル(800mL)を投入した。容器に、トリエチルアミン(71.0g、0.70mol、2当量)、続いてDMAP(42.6g、0.35mol、1当量)及びトリフェニルホスファイト(162.1g、0.52mol、1.5当量)を加えた。混合物を80℃に加熱し、80℃で≧48時間、又は反応が
31P NMRにより完了するまでかき混ぜた。(反応物から直接試料を取り、D
2O中に10%H
3PO
2を含有する挿入物を加える。形成された中間体はPMPA無水物であり、7〜8ppmであり、生成物は12.3〜12.6ppmである。反応は、5%未満の無水物が存在する場合に完了したと認められる)。反応混合物を蒸留して、およそ1.5容量のアセトニトリルにし、酢酸エチル(200mL)及び水(300mL)で希釈した。水層を分離し、酢酸エチル(200mL)で2回洗浄した。水層を容器に再投入し、pHを、12.1M HCl(21.0mL)の使用によりpH3に調整した。次に反応物に0.05%の化合物12の種晶を入れて、25℃で撹拌した。追加の12.1M HClを、pH2に達するまで20分間かけて加えた(7.0mL)。結晶体を周囲温度で30分間撹拌し、次に2時間かけて10℃に冷却した。10℃になると、結晶体を10℃で2.5時間撹拌した。スラリーを濾過し、pH1.5の水(200g)で洗浄した。真空オーブンで乾燥した後、102.2gの化合物12(収率81%)を白色の固体として得た。
1H NMR(400MHz, D
2O): δ 1.31(d, J= 6.1 Hz, 3H), 3.59(dd, J=14.0, 9.0 Hz, 1H), 3.85(dd, J= 14.0, 9.0 Hz, 1H), 4.1(m, 1H), 4.3(dd, J= 15.0, 9.0 Hz, 1H), 4.5(dd, J= 15.0, 2 Hz, 1H), 6.75(d, J= 7 Hz, 2H), 7.15(t, J= 7 Hz, 1H), 7.25(t, J= 7 Hz, 2H), 8.26(s, 1H), 8.35(s, 1H).
31P NMR(162MHz, D
2O): δ. 14.8.
【0032】
全ての出版物、特許及び特許文献は、まるで個別に参照として組み込まれるかのように、本明細書に参照として組み込まれる。本発明は多様な特定の好ましい実施形態及び技法を参照して記載されてきた。しかし、本発明の趣旨及び範囲内に留まりながら、多様な変更及び修正を行えることが理解されるべきである。
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕a)適切な溶媒と、
b)適切な塩基と、
c)9−{(R)−2−[((R,S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニンと
を含む溶液を、9−{(R)−2−[((S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニンの選択的結晶化をもたらす条件に供することを含む方法。
〔2〕前記溶液が、9−{(R)−2−[((S)−{[(S)−1−(イソプロポキシカルボニル)エチル]アミノ}フェノキシホスフィニル)メトキシ]プロピル}アデニンの1つ又は1つより多くの種晶を更に含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記溶媒が、非プロトン性有機溶媒を含む、前記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記溶媒が、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルtert−ブチルエーテル、トルエン若しくはアセトニトリル又はこれらの混合物を含む、前記〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の方法。
〔5〕前記溶媒がアセトニトリルを含む、前記〔4〕に記載の方法。
〔6〕前記塩基が、1,5−ジアゾビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン;7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン;テトラメチルグアニジン;Verkade塩基;金属カーボネート;金属フェノキシド;若しくはフッ化物イオン供給源と組み合わせたPhOTMS;又はこれらの混合物である、前記〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の方法。
〔7〕前記塩基が1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンである、前記〔6〕に記載の方法。
〔8〕前記溶液がフェノールを更に含む、前記〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔9〕少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13:
【化1】
(式中、Xはハロである)を調製する方法であって、化合物12:
【化2】
を、少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13をもたらす条件下で適切なハロゲン化剤により処理することを含む方法。
〔10〕前記ハロゲン化剤が、塩化チオニル(SOCl2)、塩化オキサリル(C2O2Cl2)、三塩化リン(PCl3)、クロロトリフェニルホスホラン塩、臭化チオニル(SOBr2)、臭化オキサリル(C2O2Br2)、三臭化リン(PBr3)又はブロモトリフェニルホスホラン塩である、前記〔9〕に記載の方法。
〔11〕化合物12を、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトニトリル、トルエン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジオキサン、スルホラン若しくはトリクロロエチレン又はこれらの混合物を含む溶媒中で前記ハロゲン化剤により処理する、前記〔9〕又は〔10〕に記載の方法。
〔12〕化合物12を、約−20℃〜約110℃の範囲の温度で前記ハロゲン化剤により処理する、前記〔9〕から〔11〕のいずれか一項に記載の方法。
〔13〕化合物12を、トルエン中、約22℃〜約110℃の温度で塩化チオニルにより処理して、少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13a:
【化3】
をもたらす、前記〔9〕に記載の方法。
〔14〕少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋な化合物16である化合物15:
【化4】
を調製する方法であって、少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋である化合物13:
【化5】
(式中、Xはハロである)を、少なくとも約90%ジアステレオ異性的に純粋な化合物16である化合物15をもたらす条件下で、アミン11:
【化6】
により処理することを含む方法。
〔15〕Xがクロロである、前記〔14〕に記載の方法。
〔16〕化合物13を、適切な溶媒中、−78℃〜25℃の温度、トリエチルアミンの存在下でアミン11により処理する、前記〔14〕又は〔15〕に記載の方法。
〔17〕化合物12:
【化7】
を適切なハロゲン化剤により処理して化合物13を調製することを更に含む、前記〔14〕に記載の方法。
〔18〕化合物12:
【化8】
を調製する方法であって、PMPA:
【化9】
を、適切な塩基の存在下でトリフェニルホスファイトにより処理して、化合物12をもたらすことを含む方法。
〔19〕PMPAを、適切な溶媒中、トリエチルアミン及びジメチルアミノピリジンの存在下でトリフェニルホスファイトにより処理して、化合物12をもたらす、前記〔18〕に記載の方法。
〔20〕PMPAを、アセトニトリル中、約20℃〜約82℃の範囲の温度でトリフェニルホスファイトにより処理する、前記〔18〕又は〔19〕に記載の方法。