(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したように、従来の注文に付される条件は、「期間」または「価格」のいずれか一方であるため、投資家が適宜な時間幅で区切った「期間」における「価格」帯で金融商品の価格の推移を予測した場合に、その予測した価格推移の達成を条件に、新規に注文を出すことや、注文内容を変更することはできない。例えば、投資家は、価格の推移を予測するとき、一目均衡表の雲を参考することがあるが、この雲を参考にして決めた「期間」および「価格」からなる条件を付して、注文を出したり、注文内容を変更することはできない。このため、投資家は、価格の推移を自身で見守り、想定する推移を達成したか否かを自身で判断し、注文を出し、あるいは注文内容を変更する必要があった。
【0006】
本発明の目的は、投資家による相場の監視負担の軽減を図ることができる注文システムおよびプログラムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、投資家による金融商品の売買注文の受付および市場システムへの発注処理を実行するコンピュータにより構成された注文システムであって、
端末装置からネットワークを介して送信されてくる投資家の注文データ、並びに、注文を市場システムへ発注するための条件、または予約条件を満たすまでは市場システムへ発注されない状態に置かれる予約注文を有効にするための条件として、投資家により指定された指定期間および指定価格の組合せで定まる発火条件を受け付ける処理を実行する注文受付手段と、
この注文受付手段により受け付けた注文データおよび発火条件を関連付けて記憶する注文データ記憶手段と、
時価データ提供システムから取得した金融商品の時価データを用いて、注文データ記憶手段に記憶された指定価格以上若しくは超過の状態が連続して指定期間保持されたか否か、または指定価格以下若しくは未満の状態が連続して指定期間保持されたか否かを判定することにより、発火条件が成立したか否かを判定する発火条件成否判定処理を実行するか、またはこの発火条件成否判定処理に加え、発火条件が成立したと判定した場合に、予約注文を有効にし、注文データ記憶手段に記憶された予約条件が成立したか否かを判定する予約条件成否判定処理を実行する条件成否判定手段と、
この条件成否判定手段により発火条件が成立したと判定した場合に、注文について、または条件成否判定手段により発火条件および予約条件が成立したと判定した場合に、予約注文について、注文データ記憶手段に記憶された注文データを用いて、市場システムへの発注処理を実行する発注手段と
を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、本発明における「発火条件」は、「指定期間」および「指定価格」の組合せで定まる条件とし、それ以外の従来の条件付き注文に付されているような条件(「指定期間」または「指定価格」のいずれか一方についての条件)は、本発明では「予約条件」という。従って、従来タイプの「予約条件」を付した予約注文に「発火条件」が付された場合は、「発火条件」が成立してその予約注文が有効になり、さらにその予約注文の「予約条件」が成立して市場へ発注されるので、市場への発注条件が多重に課されていることになり、この場合は、「発火条件」を、「予約条件」を有効するための条件として捉えてもよい。なお、市場への発注条件が多重ではなく1つの場合でも、その1つの条件が、「指定期間」および「指定価格」の組合せで定まる条件である場合には、本発明においては、その条件を「予約条件」ではなく、「発火条件」というものとする。
【0009】
このような本発明の注文システムにおいては、注文受付手段により、投資家により指定された「指定期間」および「指定価格」の組合せで定まる発火条件の入力を受け付け、条件成否判定手段により、この発火条件が成立したか否かを監視するので、発火条件が成立した際に注文(注文内容の変更を含む。)を市場へ自動的に発注し、または発火条件が成立した際に予約注文の予約条件を自動的に切り替え、あるいは、発火条件が成立し、さらに予約条件が成立した際に予約注文(注文内容の変更を含む。)を市場へ自動的に発注することが可能となる。
【0010】
従って、投資家は、価格推移を自身で見守らなくても、自分の想定した推移の達成を条件とする注文を出したり、注文内容を変更したり、予約注文を出したり、予約注文の予約条件を変更することを自動で行うことが可能となる。このため、投資家による相場の監視負担の軽減が図られる。
【0011】
そして、「指定期間」および「指定価格」の組合せで定まる発火条件の成否判定を行うので、従来の価格だけを監視する判定の場合に比べ、一時的な価格の変動ではなく、投資家が指定した長さの期間での価格推移判定を行うことが可能となる。
【0012】
また、投資家は、価格の推移を予測するとき、一目均衡表の雲を参考にする等、各種の投資指標を用いることがあり、このような投資家による高度な予測、あるいは高度な情報を用いた予測は、「期間」および「価格」を組み合わせた予測となることがある。このため、本発明では、投資家は、そのような予測を直接に活かした発火条件を指定可能となるので、自身の予測を適切に反映させた注文を出し、または注文内容を変更し、あるいは自身の予測を適切に反映させた予約注文を出し、または予約注文の予約条件を変更することが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
【0013】
<売買の目標価格を指値とする指値注文、および譲歩価格で約定させるための切替用の注文を受け付ける構成:後述する
図2〜
図7参照>
【0014】
また、前述した注文システムにおいて、
注文受付手段は、
売買の目標価格を指値とする指値注文の注文データを受け付けるとともに、指値注文の約定に代えて目標価格よりも譲歩した価格で約定させるための切替用の注文の注文データを受け付け、さらに、切替用の注文についての発火条件として、切替用の注文が売り注文の場合には、目標価格よりも低い指定価格を受け付け、切替用の注文が買い注文の場合には、目標価格よりも高い指定価格を受け付ける処理を実行する構成とされ、
注文データ記憶手段は、
指値注文の注文データ、切替用の注文の注文データ、および切替用の注文についての発火条件を関連付けて記憶する構成とされ、
条件成否判定手段は、
切替用の注文が売り注文の場合には、指定価格以上若しくは超過の状態が連続して指定期間保持されたか否かを、切替用の注文が買い注文の場合には、指定価格以下若しくは未満の状態が連続して指定期間保持されたか否かを判定することにより、切替用の注文についての発火条件が成立したか否かを判定する処理を実行する構成とされ、
発注手段は、
市場システムへの指値注文の発注処理を実行するとともに、
条件成否判定手段により切替用の注文についての発火条件が成立したと判定した場合には、注文データ記憶手段に記憶された切替用の注文の注文データを用いて、市場システムへの切替用の注文の発注処理を実行し、かつ、市場システムに対して指値注文を取り消す処理を実行するか、または、注文データ記憶手段に記憶された切替用の注文の注文データを用いて、市場システムへ切替用の注文の内容で指値注文の訂正処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0015】
ここで、「切替用の注文」は、「売買の目標価格を指値とする指値注文」と同時期に受け付けてもよく、後から受け付けてもよい。また、「切替用の注文についての発火条件」は、「切替用の注文の注文データ」と同時期に受け付けてもよく、後から受け付けてもよい。
【0016】
このように売買の目標価格を指値とする指値注文、および譲歩価格で約定させるための切替用の注文を受け付ける構成とした場合には、目標価格の指値注文が、ある程度の時間が経っても約定しないときに、切替用の注文に切り替え、目標価格よりも譲歩した価格で約定させることが可能となり、約定率を高めることが可能となる。
【0017】
なお、ここでは、目標価格の指値注文および譲歩価格で約定させるための切替用の注文の双方を受け付けることが前提とされているが、発火条件を付された切替用の注文だけを単独で受け付ける場合も、本発明に含まれ、その場合の注文を期間・価格指定注文という。
【0018】
<買い注文の約定後に同一銘柄の売り注文を発注するか、または売り注文の約定後に同一銘柄の買い注文を発注する連続注文を受け付ける構成:後述する
図8〜
図13参照>
【0019】
さらに、前述した注文システムにおいて、
注文受付手段は、
買い注文の約定後に同一銘柄の売り注文を発注するか、または売り注文の約定後に同一銘柄の買い注文を発注する連続注文の注文データを受け付けるとともに、先行注文についての発火条件を受け付ける処理を実行する構成とされ、
注文データ記憶手段は、
先行注文の注文データ、後続注文の注文データ、および先行注文についての発火条件を関連付けて記憶する構成とされ、
条件成否判定手段は、
先行注文が買い注文の場合には、指定価格以上若しくは超過の状態が連続して指定期間保持されたか否かを、先行注文が売り注文の場合には、指定価格以下若しくは未満の状態が連続して指定期間保持されたか否かを判定することにより、先行注文についての発火条件が成立したか否かを判定する処理を実行する構成とされ、
発注手段は、
条件成否判定手段により先行注文についての発火条件が成立したと判定した場合には、注文データ記憶手段に記憶された先行注文の注文データを用いて、市場システムへの発注処理を実行するとともに、先行注文の約定後に、注文データ記憶手段に記憶された後続注文の注文データを用いて、市場システムへの発注処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0020】
このように買い注文の約定後に同一銘柄の売り注文を発注するか、または売り注文の約定後に同一銘柄の買い注文を発注する連続注文を受け付ける構成とした場合には、指定した発火条件を満たしたときに、投資家の予測した通りに、価格が上昇または下落すれば、後続注文を約定させ、所望の利益を得ることが可能となる。この際、投資家は、発火条件を満たせば、価格が上昇または下落すると予想しているので、例えば、支持線や抵抗線を想定し、発火条件を指定すること等が可能となる。
【0021】
なお、ここでは、先行注文および後続注文の双方を受け付けることが前提とされているが、発火条件を付された先行注文だけを単独で受け付ける場合も、本発明に含まれ、その場合の注文を期間・価格指定注文という。
【0022】
<売買の目標価格を指値とする指値注文、当初の損益確定用の予約注文、および予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文を受け付ける構成:後述する
図14〜
図18参照>
【0023】
また、前述した注文システムにおいて、
注文受付手段は、
売買の目標価格を指値とする指値注文の注文データを受け付けるとともに、当初の損益確定用の予約注文の注文データおよび予約条件を構成する予約条件価格が当初の損益確定用の予約注文とは異なる予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文の注文データを受け付け、さらに、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件を受け付ける処理を実行する構成とされ、
注文データ記憶手段は、
指値注文の注文データ、当初の損益確定用の予約注文の注文データ、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文の注文データ、および予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件を関連付けて記憶する構成とされ、
条件成否判定手段は、
予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文が売り注文の場合には、指定価格以上若しくは超過の状態が連続して指定期間保持されたか否かを、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文が買い注文の場合には、指定価格以下若しくは未満の状態が連続して指定期間保持されたか否かを判定することにより、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件が成立したか否かを判定するとともに、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件が成立したと判定した場合に、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文を有効にし、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての予約条件が成立したか否かを判定する処理を実行する構成とされ、
発注手段は、
市場システムへの指値注文の発注処理を実行するとともに、
条件成否判定手段により予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件および予約条件が成立したと判定した場合には、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文について、注文データ記憶手段に記憶された注文データを用いて、市場システムへの発注処理を実行し、かつ、市場システムに対して指値注文を取り消す処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0024】
ここで、「当初の損益確定用の予約注文」は、「売買の目標価格を指値とする指値注文」と同時期に受け付けてもよく、後から受け付けてもよい。また、「予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文」は、「当初の損益確定用の予約注文」と同時期に受け付けてもよく、後から受け付けてもよい。さらに、「予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件」は、「予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文の注文データ」と同時期に受け付けてもよく、後から受け付けてもよい。
【0025】
また、「売買の目標価格を指値とする指値注文」は、買い注文の約定後に同一銘柄の売り注文を発注する連続注文における後続注文(売り注文)、または売り注文の約定後に同一銘柄の買い注文を発注する連続注文における後続注文(買い注文)であってもよい。
【0026】
このように売買の目標価格を指値とする指値注文、当初の損益確定用の予約注文、および予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文を受け付ける構成とした場合には、発火条件が満たされたときには、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文が有効になり、損益確定用の予約条件価格を目標価格に近づけることが可能になるので、利益を確保することが可能となる。すなわち、売買の目標価格を指値とする指値注文の注文受付時点(目標価格の指値注文は、連続注文における後続注文でもよいので、その場合には、連続注文における先行注文の約定時点となる。)では、損失が出る方向に価格が動いたことを想定し、損失拡大を防ぐロスカットのための予約条件価格(予約条件)を設定することしかできないが、本発明における発火条件の設定により、予約条件価格を、利益が出る方向にシフトすることが可能となる。
【0027】
また、発火条件を構成する指定期間を適宜な長さに設定することにより、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文がすぐには有効にならないようにすることが可能となる。このため、仮に指定期間を極めて短く設定したとすると、発火条件がすぐに成立して予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文がすぐに有効になり、その後の瞬間的な価格の反転でその予約注文の予約条件がすぐに成立し、すぐにその予約注文が市場へ発注されて損益が確定してしまい、利益の追求が不十分に終わるという事態が生じ得るが、指定期間を適宜な長さに設定することにより、そのような事態を回避することが可能となる。すなわち、目標価格に到達する可能性があるときは、そこに到達するまでに待つべき時間が必要であるが、指定期間を適宜な長さに設定することにより、そのための時間を確保することが可能となる。
【0028】
なお、ここでは、目標価格の指値注文、当初の損益確定用の予約注文、および予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文を受け付けることが前提とされているが、発火条件を付された予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文だけを単独で受け付ける場合も、本発明に含まれ、その場合の注文を期間・価格指定注文という。
【0029】
<予約条件価格の段階的なシフトを実現する構成:後述する
図16参照>
【0030】
そして、上述したように、売買の目標価格を指値とする指値注文、当初の損益確定用の予約注文、および予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文を受け付ける構成とした場合において、
注文受付手段は、
予約条件価格の段階的なシフトを実現するための異なる予約条件価格を有する複数の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文の注文データを受け付け、さらに、これらの複数の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文の各々についての発火条件を受け付ける処理を実行する構成とされ、
注文データ記憶手段は、
複数の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文の各々についての発火条件を関連付けて記憶する構成とされ、
条件成否判定手段は、
複数の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文の各々についての発火条件が成立したか否かを判定する処理を並行してまたは段階的に順番に実行する構成とされていることが望ましい。
【0031】
ここで、「複数の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文の各々についての発火条件が成立したか否かを判定する処理」を「並行して」実行する場合とは、異なる発火条件の成否を同時に判定する場合であり、「段階的に順番に」実行する場合とは、先ず、目標価格から遠い予約条件価格(予約条件)を有する予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件の成否判定を実行し、その発火条件が成立し、その予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文が有効になったら、次に、それよりも目標価格に近い予約条件価格(予約条件)を有する予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件の成否判定を実行する場合である。
【0032】
このように予約条件価格の段階的なシフトを実現する構成とした場合には、損益確定用の予約条件価格を目標価格に、より近づけることが可能になるので、より利益を確保することが可能となる。
【0033】
<<発火条件を入力指定する際の参考情報を提供する構成>>
【0034】
以上のように、本発明では、「指定期間」および「指定価格」の組合せで定まる発火条件を受け付けることにより様々な作用・効果が得られるが、以下のように、発火条件を入力指定する際の参考情報を提供する構成を採用した場合には、より適切な「指定期間」および「指定価格」の設定を行うことが可能となり、その作用・効果がより顕著に得られるようになる。
【0035】
<売買の目標価格を指値とする指値注文、および譲歩価格で約定させるための切替用の注文を受け付ける構成において、発火条件を入力指定する際の参考情報を提供する場合:後述する
図5、
図6参照>
【0036】
また、前述した売買の目標価格を指値とする指値注文、および譲歩価格で約定させるための切替用の注文を受け付ける構成において、
時価データ提供システムから取得した金融商品の過去から現在までの価格データを、銘柄識別情報と関連付けて記憶する価格履歴記憶手段を備え、
注文受付手段は、
売りの指値注文の注文データを受け付けた場合には、価格履歴記憶手段に記憶された注文銘柄の価格データを用いて、過去において切替用の注文を約定させたい譲歩価格から目標価格まで価格が上昇した時間区画、または切替用の注文を約定させたい譲歩価格を移動平均で過去の各時点に換算した値から目標価格を移動平均で過去の各時点に換算した値まで価格が上昇した時間区画を抽出し、抽出した時間区画の時間幅および/または複数の時間幅の平均値を、切替用の注文についての発火条件を入力指定する際の参考情報として端末装置に画面表示し、
買いの指値注文の注文データを受け付けた場合には、価格履歴記憶手段に記憶された注文銘柄の価格データを用いて、過去において切替用の注文を約定させたい譲歩価格から目標価格まで価格が下落した時間区画、または切替用の注文を約定させたい譲歩価格を移動平均で過去の各時点に換算した値から目標価格を移動平均で過去の各時点に換算した値まで価格が下落した時間区画を抽出し、抽出した時間区画の時間幅および/または複数の時間幅の平均値を、切替用の注文についての発火条件を入力指定する際の参考情報として端末装置に画面表示する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0037】
<買い注文の約定後に同一銘柄の売り注文を発注するか、または売り注文の約定後に同一銘柄の買い注文を発注する連続注文を受け付ける構成において、発火条件を入力指定する際の参考情報を提供する場合:後述する
図11、
図12参照>
【0038】
さらに、前述した買い注文の約定後に同一銘柄の売り注文を発注するか、または売り注文の約定後に同一銘柄の買い注文を発注する連続注文を受け付ける構成において、
時価データ提供システムから取得した金融商品の過去から現在までの価格データを、銘柄識別情報と関連付けて記憶する価格履歴記憶手段を備え、
注文受付手段は、
買い注文の約定後に同一銘柄の売り注文を発注する連続注文の注文データを受け付けた場合には、価格履歴記憶手段に記憶された注文銘柄の価格データを用いて、過去において先行の買い注文の指値から後続の売り注文の指値まで価格が上昇した時間区画、または先行の買い注文の指値を移動平均で過去の各時点に換算した値から後続の売り注文の指値を移動平均で過去の各時点に換算した値まで価格が上昇した時間区画を抽出し、抽出した時間区画の開始時点から予め定められた複数の各時間分だけ過去に遡った時点までの最低価格またはこの最低価格を移動平均で現時点に換算した価格を、先行の買い注文についての発火条件を入力指定する際の参考情報として端末装置に画面表示し、
売り注文の約定後に同一銘柄の買い注文を発注する連続注文の注文データを受け付けた場合には、価格履歴記憶手段に記憶された注文銘柄の価格データを用いて、過去において先行の売り注文の指値から後続の買い注文の指値まで価格が下落した時間区画、または先行の売り注文の指値を移動平均で過去の各時点に換算した値から後続の買い注文の指値を移動平均で過去の各時点に換算した値まで価格が下落した時間区画を抽出し、抽出した時間区画の開始時点から予め定められた複数の各時間分だけ過去に遡った時点までの各直前区画の最高価格またはこの最高価格を移動平均で現時点に換算した価格を、先行の売り注文についての発火条件を入力指定する際の参考情報として端末装置に画面表示する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0039】
<売買の目標価格を指値とする指値注文、当初の損益確定用の予約注文、および予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文を受け付ける構成において、発火条件を入力指定する際の参考情報を提供する場合:後述する
図17参照>
【0040】
そして、前述した売買の目標価格を指値とする指値注文、当初の損益確定用の予約注文、および予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文を受け付ける構成において、
時価データ提供システムから取得した金融商品の過去から現在までの価格データを、銘柄識別情報と関連付けて記憶する価格履歴記憶手段を備え、
注文受付手段は、
売りの指値注文および売りの予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文の注文データを受け付けた場合には、価格履歴記憶手段に記憶された注文銘柄の価格データを用いて、過去において予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての予約条件価格から指値注文の指値まで価格が上昇した時間区画、または予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての予約条件価格を移動平均で過去の各時点に換算した値から指値注文の指値を移動平均で過去の各時点に換算した値まで価格が上昇した時間区画を抽出し、抽出した時間区画の時間幅および/または複数の時間幅の平均値を、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件を入力指定する際の参考情報として端末装置に画面表示し、
買いの指値注文および買いの予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文の注文データを受け付けた場合には、価格履歴記憶手段に記憶された注文銘柄の価格データを用いて、過去において予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての予約条件価格から指値注文の指値まで価格が下落した時間区画、または予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての予約条件価格を移動平均で過去の各時点に換算した値から指値注文の指値を移動平均で過去の各時点に換算した値まで価格が下落した時間区画を抽出し、抽出した時間区画の時間幅および/または複数の時間幅の平均値を、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件を入力指定する際の参考情報として端末装置に画面表示する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0041】
<<指定期間および第1および第2の指定価格の組合せで定まる発火条件を受け付ける構成>>
【0042】
また、本発明は、投資家による金融商品の売買注文の受付および市場システムへの発注処理を実行するコンピュータにより構成された注文システムであって、
端末装置からネットワークを介して送信されてくる投資家の注文データ、並びに、注文を前記市場システムへ発注するための条件、または予約条件を満たすまでは市場システムへ発注されない状態に置かれる予約注文を有効にするための条件として、投資家により指定された指定期間および第1および第2の指定価格の組合せで定まる発火条件を受け付ける処理を実行する注文受付手段と、
この注文受付手段により受け付けた注文データおよび発火条件を関連付けて記憶する注文データ記憶手段と、
時価データ提供システムから取得した金融商品の時価データを用いて、注文データ記憶手段に記憶された第1の指定価格と第2の指定価格との間の状態が連続して指定期間保持されたか否かを判定することにより、発火条件が成立したか否かを判定する発火条件成否判定処理を実行するか、またはこの発火条件成否判定処理に加え、発火条件が成立したと判定した場合に、予約注文を有効にし、注文データ記憶手段に記憶された予約条件が成立したか否かを判定する予約条件成否判定処理を実行する条件成否判定手段と、
この条件成否判定手段により発火条件が成立したと判定した場合に、注文について、または条件成否判定手段により発火条件および予約条件が成立したと判定した場合に、予約注文について、注文データ記憶手段に記憶された注文データを用いて、市場システムへの発注処理を実行する発注手段と
を備えたことを特徴とするものである。
【0043】
ここで、「第1の指定価格と第2の指定価格との間の状態」における第1、第2のそれぞれの指定価格の境界付近の判定は、以上または超過のいずれでもよく、また、以下または未満のいずれでもよい。
【0044】
このような本発明の注文システムにおいては、発火条件が、「第1の指定価格」と「第2の指定価格」との間の状態が連続して「指定期間」保持されるという条件になるので、指定期間中の上限価格または下限価格のうちの一方のみを指定価格とする場合と同様な作用・効果が得られることに加え、指定価格が上限価格および下限価格の2つになることで、一方のみを指定価格とする場合と比べ、条件を増やした分だけ、意味を持たせた注文管理(市場への発注制御)を行うことが可能となる。例えば、第1の指定価格を、支持線や抵抗線を意識して設定し、第2の指定価格を、発火条件を構成する指定期間のカウントの開始時期の調整に用いること等が可能となる。
【0045】
<<プログラム>>
【0046】
さらに、本発明のプログラムは、以上に述べた注文システムとして、コンピュータを機能させるためのものである。
【0047】
なお、上記のプログラムまたはその一部は、例えば、光磁気ディスク(MO)、コンパクトディスク(CD)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、ハードディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュディスク等の記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能であるとともに、例えば、LAN、MAN、WAN、インターネット、イントラネット、エクストラネット等の有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に載せて搬送することも可能である。さらに、上記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。
【発明の効果】
【0048】
以上に述べたように本発明によれば、注文受付手段により、投資家により指定された「指定期間」および「指定価格」の組合せで定まる発火条件の入力を受け付け、条件成否判定手段により、この発火条件が成立したか否かを監視するので、発火条件が成立した際に注文(注文内容の変更を含む。)を市場へ自動的に発注し、または発火条件が成立した際に予約注文の予約条件を自動的に切り替え、あるいは、発火条件が成立し、さらに予約条件が成立した際に予約注文(注文内容の変更を含む。)を市場へ自動的に発注することができるため、投資家は、価格推移を自身で見守らなくても、自分の想定した推移の達成を条件とする注文を出したり、注文内容を変更したり、予約注文を出したり、予約注文の予約条件を変更することを自動で行うことができ、投資家による相場の監視負担の軽減を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1には、本実施形態の注文システム20を含む金融商品売買システム10の全体構成が示されている。
図2〜
図7には、注文システム20でトライサポート注文を受け付ける場合の発火条件の説明、注文データ記憶手段41のレコード構成および数値例、注文画面100の一例、発火条件を入力指定する際の参考情報の提供処理の説明、注文受付から発注までの処理のフローチャートが示されている。また、
図8〜
図13には、注文システム20で連続注文を受け付ける場合の発火条件の説明、注文データ記憶手段41のレコード構成および数値例、注文画面200の一例、発火条件を入力指定する際の参考情報の提供処理の説明、注文受付から発注までの処理のフローチャートが示されている。さらに、
図14〜
図18には、注文システム20で通常の指値注文および損益確定用の予約注文を受け付ける場合の発火条件の説明、注文データ記憶手段41のレコード構成および数値例、注文画面300の一例、注文受付から発注までの処理のフローチャートが示されている。
【0051】
<<注文システム20を含む金融商品売買システム10の全体構成>>
【0052】
図1において、金融商品売買システム10は、投資家が株式等の金融商品を市場で売買するためのシステムであり、投資家による金融商品の売買注文の受付および市場への発注に関する各種処理を実行するとともに各種処理に必要なデータを記憶する注文システム20と、この注文システム20とネットワーク1で接続される投資家またはその入力代行者(例えば、証券会社等の金融機関の営業員やオペレータ等)の操作する少なくとも1台(通常は多数であり、複数台である。)の端末装置50と、注文システム20と通信回線2で接続されて金融商品の売買市場を形成する市場システム60と、注文システム20と通信回線3で接続されて金融商品の時価データを提供する時価データ提供システム70とを備えている。
【0053】
ここで、ネットワーク1は、主としてインターネットであるが、イントラネットやLAN等の内部ネットワークや、インターネットと内部ネットワークとの組合せ等でもよく、有線であるか無線であるか、さらには有線および無線の混在型であるかは問わない。また、通信回線2,3は、専用線でもよく、ネットワーク1でもよい。
【0054】
注文システム20は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、金融商品の売買注文の受付および市場への発注に関する各種処理を実行する処理手段30と、この処理手段30に接続されて各種処理に必要なデータを記憶する記憶手段40とを備えて構成されている。
【0055】
処理手段30は、注文受付手段31と、条件成否判定手段32と、発注手段33と、約定手段34とを含んで構成されている。
【0057】
注文受付手段31は、端末装置50からの投資家またはその入力代行者による送信要求に応じ、注文画面100,200,300(
図5、
図11、
図17参照)の表示用データを、ネットワーク1を介して端末装置50へ送信し、端末装置50からネットワーク1を介して送信されてくる投資家の各種注文(予約注文およびそれに付される予約条件を含む。)の注文データおよび発火条件(投資家により指定された「指定期間」および「指定価格」の組合せで定まる条件)の入力を受け付け、受け付けた各種注文の注文データおよび発火条件を、注文データ記憶手段41(
図4、
図10、
図16参照)に記憶させる処理を実行するものである。
【0058】
より具体的には、注文受付手段31は、例えば、
図4、
図5に示すように、トライサポート注文を受け付ける場合は、売買の目標価格を指値とする指値注文(トライ注文)については、注文データとして、注文識別情報(但し、注文識別情報はシステムで自動付与される。)、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、目標価格である指値)を受け付ける。また、注文受付手段31は、譲歩価格で約定させるための切替用の注文(サポート注文)については、注文データとして、注文識別情報(但し、注文識別情報はシステムで自動付与される。)、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、原則として、成行を示す情報であるが、譲歩価格(発火条件の指定価格と同価格)またはそれよりも目標価格に近い価格を指値としてもよい。)を受け付けるとともに、発火条件として、指定期間および指定価格(指定価格以上若しくは超過なのか、または指定価格以下若しくは未満なのかの指定情報を含む。)を受け付ける。なお、切替用の注文(サポート注文)は、トライ注文の訂正を行うための注文であってもよく、その場合には、サポート注文の注文識別情報は、トライ注文の注文識別情報と同じになる。
【0059】
また、注文受付手段31は、例えば、
図10、
図11に示すように、連続注文を受け付ける場合は、先行注文については、注文データとして、注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、指値)を受け付けるとともに、発火条件として、指定期間および指定価格(指定価格以上若しくは超過なのか、または指定価格以下若しくは未満なのかの指定情報を含む。)を受け付ける。また、注文受付手段31は、後続注文については、注文データとして、注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、指値)を受け付ける。
【0060】
さらに、注文受付手段31は、例えば、
図16、
図17に示すように、目標価格の指値注文および損益確定用の予約注文を受け付ける場合は、売買の目標価格を指値とする指値注文については、注文データとして、注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、目標価格の指値)を受け付ける。また、注文受付手段31は、当初の損益確定用の予約注文については、注文データとして、注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、予約条件価格に若干の金額を加算また減算した指値であるが、成行を示す情報でもよい。)、予約条件(予約条件価格、並びに、予約条件価格以上若しくは超過なのか、または予約条件価格以下若しくは未満なのかの指定情報)を受け付ける。さらに、注文受付手段31は、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文については、注文データとして、注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、予約条件価格に若干の金額を加算また減算した指値であるが、成行を示す情報でもよい。)、予約条件(予約条件価格、並びに、予約条件価格以上若しくは超過なのか、または予約条件価格以下若しくは未満なのかの指定情報)を受け付けるとともに、発火条件として、指定期間および指定価格(指定価格以上若しくは超過なのか、または指定価格以下若しくは未満なのかの指定情報を含む。)を受け付ける。
【0061】
また、注文受付手段31は、価格履歴記憶手段43に記憶された過去から現在までの注文銘柄の価格データ(時価データ提供システム70から取得した時価データを蓄積記憶したもの)を用いて、発火条件を入力指定する際の参考情報を、端末装置50の画面上に表示する処理を実行する。この入力支援処理についての詳細は、後述する。
【0063】
条件成否判定手段32は、時価データ提供システム70から通信回線3を介してリアルタイムまたは略リアルタイムで取得した金融商品の時価データを用いて、注文データ記憶手段41(
図4、
図10、
図16)に記憶された「指定価格」以上若しくは超過の状態が連続して「指定期間」保持されたか否か、または「指定価格」以下若しくは未満の状態が連続して「指定期間」保持されたか否かを判定することにより、発火条件が成立したか否かを判定する発火条件成否判定処理を実行するとともに、発火条件が成立したと判定した場合に、予約注文を有効にし、注文データ記憶手段41(
図16)に記憶された予約条件が成立したか否かを判定する予約条件成否判定処理を実行するものである。
【0064】
なお、条件成否判定手段32は、発火条件は付されておらず、予約条件だけが付されている場合の予約注文の予約条件(従来タイプの条件付き注文の条件)が成立したか否かを判定する予約条件成否判定処理も実行する。
【0065】
より具体的には、条件成否判定手段32は、例えば、注文受付手段31によりトライサポート注文を受け付けた場合は、切替用の注文(サポート注文)についての発火条件が成立したか否かを判定する。すなわち、切替用の注文(サポート注文)が売り注文の場合(
図2参照)には、「指定価格」以上若しくは超過の状態が連続して「指定期間」保持されたか否かを判定する。一方、切替用の注文(サポート注文)が買い注文の場合(
図3参照)には、「指定価格」以下若しくは未満の状態が連続して「指定期間」保持されたか否かを判定する。
【0066】
また、条件成否判定手段32は、例えば、注文受付手段31により連続注文を受け付けた場合は、先行注文についての発火条件が成立したか否かを判定する。すなわち、先行注文が買い注文の場合(
図8参照)には、「指定価格」以上若しくは超過の状態が連続して「指定期間」保持されたか否かを判定する。一方、先行注文が売り注文の場合(
図9参照)には、「指定価格」以下若しくは未満の状態が連続して「指定期間」保持されたか否かを判定する。
【0067】
さらに、条件成否判定手段32は、例えば、注文受付手段31により目標価格の指値注文および損益確定用の予約注文を受け付けた場合は、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件が成立したか否かを判定する。すなわち、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文が売り注文の場合(
図14参照)には、「指定価格」以上若しくは超過の状態が連続して「指定期間」保持されたか否かを判定する。一方、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文が買い注文の場合(
図15参照)には、「指定価格」以下若しくは未満の状態が連続して「指定期間」保持されたか否かを判定する。また、条件成否判定手段32は、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件が成立したと判定した場合(
図14、
図15参照)に、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文を有効にし、その有効にした予約注文についての予約条件が成立したか否かを判定する。なお、条件成否判定手段32は、発火条件の成立により、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文を「無効(発火条件監視中を意味する。)」から「有効(予約条件監視中を意味する。)」に更新したときは、当初の損益確定用の予約注文を「有効(予約条件監視中を意味する。)」から「シフト済(切り替えられて取消相当を意味する。)」に更新するステータス管理を行う。
【0068】
この際、条件成否判定手段32は、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文が複数ある場合(1段目、2段目)には、先ず、目標価格から遠い予約条件価格(予約条件)を有する予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目)についての発火条件の成否判定を実行し、その発火条件が成立し、その予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目)が有効になったら(予約条件成否判定処理が開始されたら)、次に、それよりも目標価格に近い予約条件価格(予約条件)を有する予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(2段目)についての発火条件の成否判定を実行してもよく、あるいは、複数の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文の各々についての発火条件が成立したか否かを判定する処理を、同時並行的に実行してもよい。
【0069】
例えば、5分間480円以上という発火条件(
図14参照)を有する予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目)と、2分間530円以上という発火条件(
図14では図示省略)を有する予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(2段目)とが設定されている場合に、先ず、5分間480円以上という発火条件の成否を判定し、それが成立して予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目)が有効状態になったら、2分間530円以上という発火条件の成否の判定処理を開始してもよく、あるいは、双方の発火条件の成否の判定処理を並行して実行してもよい。前者の場合のステータス管理は、例えば、最初は、予約注文(1段目)が「無効(発火条件監視中を意味する。)」、予約注文(2段目)が「注文受付(発火条件監視スタンバイ中を意味する。)」であり、予約注文(1段目)についての発火条件が成立したときに、予約注文(1段目)が「有効(予約条件監視中を意味する。)」、予約注文(2段目)が「無効(発火条件監視中を意味する。)」となり、その後、予約注文(2段目)についての発火条件が成立したときに、予約注文(1段目)が「シフト済(切り替えられて取消相当を意味する。)」、予約注文(2段目)が「有効(予約条件監視中を意味する。)」となるようにすればよい。また、後者の場合のステータス管理は、例えば、最初から、予約注文(1段目)も予約注文(2段目)も「無効(発火条件監視中を意味する。)」であり、予約注文(1段目)についての発火条件が成立したときに、予約注文(1段目)が「有効(予約条件監視中を意味する。)」に変わり、予約注文(2段目)が「無効(発火条件監視中を意味する。)」のままとなり、その後、予約注文(2段目)についての発火条件が成立したときに、予約注文(1段目)が「シフト済(切り替えられて取消相当を意味する。)」、予約注文(2段目)が「有効(予約条件監視中を意味する。)」となるようにすればよく、さらに、予約注文(1段目)についての発火条件よりも予約注文(2段目)についての発火条件のほうが先に成立する場合もあるが、その場合にも、予約注文(1段目)が「シフト済(切り替えられて取消相当を意味する。)」、予約注文(2段目)が「有効(予約条件監視中を意味する。)」となるようにすればよい。
【0071】
発注手段33は、発火条件もその他の条件(予約条件)も付されていない注文については、注文受付後すぐに、注文データ記憶手段41(
図4、
図10、
図16参照)に記憶された注文データを用いて、発注データ(注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄の銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別および指値注文の場合の指値を含む。)を作成し、作成した発注データを、通信回線2を介して市場システム60へ送信する発注処理を実行するものである。
【0072】
また、発注手段33は、条件成否判定手段32により発火条件や予約注文が成立したと判定した場合に、それ以外の条件が付されていない注文について、注文データ記憶手段41(
図4、
図10、
図16参照)に記憶された注文データを用いて、発注データを作成し、作成した発注データを、通信回線2を介して市場システム60へ送信する発注処理を実行する。
【0073】
さらに、発注手段33は、条件成否判定手段32により発火条件が成立し、かつ、予約条件も成立したと判定した場合に、その予約注文について、注文データ記憶手段41(
図16参照)に記憶された注文データを用いて、発注データを作成し、作成した発注データを、通信回線2を介して市場システム60へ送信する発注処理を実行する。
【0075】
約定手段34は、市場システム60から通信回線2を介して送信されてくる約定データ(注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄の銘柄識別情報、約定数量、売買区分、約定単価を含む。)を受信し、受信した約定データを約定データ記憶手段42に記憶させるとともに、注文データ記憶手段41(
図4、
図10、
図16参照)に記憶されたステータスを「約定済」に更新する処理を実行するものである。
【0077】
記憶手段40は、注文データ記憶手段41と、約定データ記憶手段42と、価格履歴記憶手段43とを含んで構成されている。
【0078】
注文データ記憶手段41は、
図4、
図10、
図16に示すように、注文受付手段31により受け付けた各種注文(予約注文およびそれに付される予約条件を含む。)の注文データおよび注文に発火条件が付されている場合にはその発火条件を関連付けて記憶するものであり、データの保存形態については、本実施形態では、一例として、複数のテーブルを備えたデータベースとなっている。なお、注文データ記憶手段41は、複数のデータベースとしてもよい。
【0079】
より具体的には、注文データ記憶手段41は、例えば、
図4に示すように、注文受付手段31によりトライサポート注文を受け付けた場合のテーブルを備え、売買の目標価格を指値とする指値注文(トライ注文)の注文データとして、注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、目標価格である指値)を記憶し、さらに、これらに関連付けて、組み合わせになったサポート注文の注文識別情報(注文同士の紐付け情報)、およびステータス(注文受付、発注済、約定済、取消等の別)を記憶する。また、注文データ記憶手段41は、譲歩価格で約定させるための切替用の注文(サポート注文)の注文データとして、注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、原則として、成行を示す情報であるが、譲歩価格(発火条件の指定価格と同価格)またはそれよりも目標価格に近い価格を指値としてもよい。)を記憶するとともに、切替用の注文(サポート注文)についての発火条件として、指定期間および指定価格(指定価格以上若しくは超過なのか、または指定価格以下若しくは未満なのかの指定情報を含む。)を記憶し、さらに、これらに関連付けて、組み合わせになったトライ注文の注文識別情報(注文同士の紐付け情報)、発火条件の判定開始時刻(一旦、指定価格の条件から外れたときはクリアされ、新たな時刻が記憶される。)、およびステータス(注文受付、発火条件監視中、発注済、約定済等の別)を記憶する。なお、切替用の注文(サポート注文)は、トライ注文の訂正を行うための注文であってもよく、その場合には、サポート注文の注文識別情報は、トライ注文の注文識別情報と同じになるので、注文同士の紐付け情報のカラムには、組合せになった注文の注文識別情報ではなく、トライ注文であるかサポート注文であるかを区別するための別の情報を格納するようにしてもよく、あるいはサポート注文とトライ注文とを同じレコードに格納してもよい。
【0080】
また、注文データ記憶手段41は、例えば、
図10に示すように、注文受付手段31により連続注文を受け付けた場合のテーブルを備え、先行注文の注文データとして、注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、指値)を記憶するとともに、発火条件として、指定期間および指定価格(指定価格以上若しくは超過なのか、または指定価格以下若しくは未満なのかの指定情報を含む。)を記憶し、さらに、これらに関連付けて、組み合わせになった後続注文の注文識別情報(注文同士の紐付け情報)、発火条件の判定開始時刻(一旦、指定価格の条件から外れたときはクリアされ、新たな時刻が記憶される。)、およびステータス(注文受付、発火条件監視中、発注済、約定済等の別)を記憶する。また、注文データ記憶手段41は、後続注文の注文データとして、注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、指値)を記憶し、さらに、これらに関連付けて、組み合わせになった先行注文の注文識別情報(注文同士の紐付け情報)、およびステータス(注文受付(先行注文約定待)、発注済、約定済等の別)を記憶する。
【0081】
さらに、注文データ記憶手段41は、例えば、
図16に示すように、注文受付手段31により目標価格の指値注文および損益確定用の予約注文を受け付けた場合のテーブルを備え、売買の目標価格を指値とする指値注文の注文データとして、注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、目標価格の指値)を記憶し、さらに、これらに関連付けて、組み合わせになった注文同士の紐付け情報、およびステータス(注文受付、発注済、約定済、取消等の別)を記憶する。また、注文データ記憶手段41は、当初の損益確定用の予約注文の注文データとして、注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、予約条件価格に若干の金額を加算また減算した指値であるが、成行を示す情報でもよい。)、予約条件(予約条件価格、並びに、予約条件価格以上若しくは超過なのか、または予約条件価格以下若しくは未満なのかの指定情報)を記憶し、さらに、これらに関連付けて、組み合わせになった注文同士の紐付け情報、およびステータス(注文受付、有効(予約条件監視中)、発注済、約定済、シフト済(切り替えられて取消相当)等の別)を記憶する。さらに、注文データ記憶手段41は、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文の注文データとして、注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄についての銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別(この場合は、予約条件価格に若干の金額を加算また減算した指値であるが、成行を示す情報でもよい。)、予約条件(予約条件価格、並びに、予約条件価格以上若しくは超過なのか、または予約条件価格以下若しくは未満なのかの指定情報)を記憶するとともに、発火条件として、指定期間および指定価格(指定価格以上若しくは超過なのか、または指定価格以下若しくは未満なのかの指定情報を含む。)を記憶し、さらに、これらに関連付けて、組み合わせになった注文同士の紐付け情報、発火条件の判定開始時刻(一旦、指定価格の条件から外れたときはクリアされ、新たな時刻が記憶される。)、およびステータス(注文受付、無効(発火条件監視中)、有効(予約条件監視中)、発注済、約定済、シフト済(切り替えられて取消相当)等の別)を記憶する。
【0082】
約定データ記憶手段42は、約定データ(注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄の銘柄識別情報、約定数量、売買区分、約定単価を含む。)を記憶するものであり、データの保存形態については、本実施形態では、注文データ記憶手段41の場合と同様に、データベースであるが、注文データ記憶手段41と同じデータベースの異なるテーブルとしてもよく、別のデータベースとしてもよい。
【0083】
価格履歴記憶手段43は、時価データ提供システム70から繰り返し取得した株式等の金融商品の時価データを蓄積記憶することにより、金融商品の過去から現在までの価格データを、銘柄識別情報と関連付けて記憶するものであり、データの保存形態については、本実施形態では、注文データ記憶手段41の場合と同様に、データベースであるが、注文データ記憶手段41と同じデータベースの異なるテーブルとしてもよく、別のデータベースとしてもよい。
【0084】
以上において、注文システム20の処理手段30に含まれる各手段31〜34は、注文システム20を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラムにより実現される。
【0085】
また、注文システム20は、1台のコンピュータあるいは1つのCPUにより実現されるものに限定されず、複数台のコンピュータや複数のCPUで分散処理を行うことにより実現されるものであってもよい。
【0086】
さらに、注文システム20に設けられた記憶手段40は、例えばハードディスクやソリッドステートドライブ等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、DVD等のその他の記録媒体を採用してもよい。
【0087】
端末装置50は、コンピュータにより構成され、例えば液晶ディスプレイ等の表示手段と、例えばマウスやキーボード等の入力手段とを備えている。また、端末装置50は、携帯電話機(PHSも含む。)やタブレット端末等の携帯機器であってもよい。
【0088】
市場システム60は、コンピュータにより構成され、証券取引所等に設けられた株式等の有価証券を含む各種の金融商品の売買システムである。なお、新興市場が形成された場合には、新興市場の売買システムも含まれる。
【0089】
時価データ提供システム70は、コンピュータにより構成され、株式等の金融商品の各銘柄の時価データを提供するシステムであり、リアルタイムまたは略リアルタイムで時価データと銘柄識別情報(銘柄コード)とを関連付けて注文システム20へ送信する処理を繰り返すものである。具体的には、一次情報源である市場システム60自体、市場システム60から時価データを取得した二次情報源である情報ベンダーのシステム、あるいは市場システム60や情報ベンダーのシステムから時価データを取得した証券会社等の金融機関の内部の他のシステム等である。
【0090】
<<注文システム20による処理の流れ>>
【0091】
このような本実施形態においては、以下のようにして注文システム20により、各種注文の受付および市場への発注処理が行われる。
【0092】
<トライサポート注文=売買の目標価格を指値とする指値注文(トライ注文)、および譲歩価格で約定させるための切替用の注文(サポート注文):
図2〜
図7参照>
【0093】
図7において、注文受付手段31により、端末装置50からの投資家またはその入力代行者による送信要求に応じ、注文画面100(
図5参照)の表示用データを、ネットワーク1を介して端末装置50へ送信する(ステップS1)。すると、端末装置50の画面上には、
図5に示すようなトライサポート注文の注文画面100が表示される。なお、
図5の注文画面100は、買付の場合の画面例であるが、売付の場合も同様であり、「以下(または未満)」という記載が、「以上(または超過)」に反転し、「価格が下落した」という記載が、「価格が上昇した」に反転するだけである。また、このように売付と買付とを別の注文画面にせずに、1つにまとめた注文画面とし、「以上(または超過)」、「以下(または未満)」を選択するようにしてもよい。
【0094】
トライサポート注文は、売買の目標価格を指値とする指値注文(トライ注文)を市場へ発注するとともに、譲歩価格で約定させるための切替用の注文(サポート注文)を設定しておき、目標価格の指値注文(トライ注文)が、ある程度の時間が経っても約定しないときに、切替用の注文(サポート注文)に切り替え、目標価格よりも譲歩した価格で約定させるという、約定率を高めるための注文方法である。サポート注文は、原則として、成行注文であるが、指値注文としてもよく、また、トライ注文についての指値を変更する訂正注文や、指値を成行に変更する訂正注文としてもよい。
【0095】
図5の注文画面100には、注文銘柄の入力部101と、注文数量の入力部102と、トライ注文の指値(目標価格)の入力部110と、サポート注文についての発火条件を構成する指定価格(譲歩価格)の入力部120と、指定期間の入力部121と、各入力部101,102,110,120,121への入力データを注文システム20へ送信するための「送信」ボタン130とが設けられている。なお、サポート注文を、成行注文ではなく指値注文とする場合や、トライ注文についての指値を変更する訂正注文とする場合については、そのサポート注文の指値を自動的に譲歩価格(発火条件の指定価格と同価格)とする際には、その指値の入力部を別途に設ける必要はないが、その指値を例えば譲歩価格(発火条件の指定価格と同価格)よりも目標価格に近い価格に設定すること等を許容する際には、その指値の入力部(不図示)を別途に設ける必要がある。
【0096】
また、
図5の注文画面100(買付の場合)の下部には、サポート注文についての発火条件を入力指定する際の参考情報の表示部140が設けられている。この参考情報の表示部140には、注文銘柄について、過去において譲歩価格(または譲歩価格を移動平均で過去の各時点に換算した値)から目標価格(または目標価格を移動平均で過去の各時点に換算した値)まで価格が下落した区画の時間幅ΔTを表示することができる。なお、売付の場合には、譲歩価格(または譲歩価格を移動平均で過去の各時点に換算した値)から目標価格(または目標価格を移動平均で過去の各時点に換算した値)まで価格が上昇した区画の時間幅ΔTを表示することができる。
【0097】
従って、注文受付手段31により過去の価格データ(価格履歴記憶手段43に記憶された過去から現在に至るまでの注文銘柄の価格データ)の中から該当する区画を抽出する処理を実行する際の方法について、投資家が選択可能となっており、参考情報の表示部140には、移動平均による換算を行わずにそのままの価格での抽出処理のみを行うことを選択するための選択部141と、移動平均による換算を行った抽出処理のみを行うことを選択するための選択部142と、上記の2つの方法での抽出結果を混在させることを選択するための選択部143とが設けられている。また、その下側には、参考情報の表示処理を実行するための「参考情報表示実行」ボタン144と、抽出結果を表示する抽出結果表示部145とが設けられている。
【0098】
投資家が、入力部101に注文銘柄を入力し、入力部102に注文数量を入力し、トライ注文の指値の入力部110に目標価格を入力し、入力部120に指定価格(譲歩価格)を入力するとともに、選択部141〜143のいずれかにチェックを入れ、この状態で「参考情報表示実行」ボタン144をクリックすると、注文銘柄の銘柄識別情報(銘柄コード)、目標価格、指定価格(譲歩価格)、および抽出処理方法についての選択情報が、端末装置50からネットワーク1を介して注文システム20へ送信される。なお、注文数量は、参考情報表示処理には使用されないため、ここでは送信されない。
【0099】
注文システム20では、注文受付手段31により、端末装置50から送信されてくる注文銘柄の銘柄識別情報、目標価格、指定価格(譲歩価格)、および抽出処理方法についての選択情報を受信すると、選択された抽出処理方法に従って、該当する区画の抽出処理を実行する。例えば、
図5に示すように、注文銘柄=B社株、目標価格=800円、指定価格(譲歩価格)=900円の場合(
図3、および
図4の買いの場合の数値例も対応している。)には、注文受付手段31は、B社株の銘柄識別情報(銘柄コード)に関連付けられて価格履歴記憶手段43に記憶されている過去から現在に至るまでの価格データを用いて、
図6に示すように、過去において900円(または900円相当)から800円(または800円相当)まで価格が下落した区画の抽出処理を実行する。ここで、900円相当、800円相当というのは、現在の900円、800円という値を、移動平均で過去の各時点に換算した値であることを意味する。
【0100】
注文受付手段31は、移動平均を用いた換算値での抽出処理を行う場合は、現在の移動平均=μ1円とし、過去の各時点の移動平均=μ2円とすると、(900−μ1+μ2)円から(800−μ1+μ2)円まで価格が下落している区画を抽出する処理を実行する。従って、
図6に示すように、過去から現在に至るまでに移動平均が徐々に下がってきている場合や、徐々に上がってきている場合でも、900円相当(譲歩価格相当)から800円相当(目標価格相当)まで価格が下落している区画を抽出することが可能となる。また、投資家が混在表示の選択部143にチェックを入れたときには、900円から800円まで価格が下落している区画を抽出する処理と、(900−μ1+μ2)円から(800−μ1+μ2)円まで価格が下落している区画を抽出する処理とが並行して実行される。
【0101】
その後、注文受付手段31は、該当する区画が複数個抽出された場合には、それらの複数の区画の時間幅ΔTの平均値を算出し、抽出した各区画の時間幅ΔTおよび算出したそれらの平均値を、ネットワーク1を介して端末装置50へ送信する(
図7のステップS1)。すると、端末装置50では、
図5の注文画面100(買付の場合)の下部に設けられた参考情報の表示部140の抽出結果表示部145に、抽出した各区画の時間幅ΔTおよびそれらの平均値が表示される。
【0102】
図5の注文画面100(買付の場合)の例では、抽出結果表示部145において、抽出した各区画の時間幅ΔTの平均値=29分間となっているので、投資家は、この平均値や時間幅ΔTのばらつき等を参考にし、例えば、指定期間=30分間と決定し、決定した指定期間を入力部121に入力する。この状態で投資家が「送信」ボタン130をクリックすると、トライサポート注文の注文データおよび発火条件として、注文銘柄=B社株の銘柄識別情報(銘柄コード)、注文数量=3,000株、売買区分=買、トライ注文の指値(目標価格)=800円以下、サポート注文についての発火条件を構成する指定価格(譲歩価格)=900円以下、指定期間=30分間が、投資家識別情報(顧客の口座番号等)とともに、端末装置50からネットワーク1を介して注文システム20へ送信される。なお、投資家識別情報は、それ以前に送信されていてもよい。
【0103】
それから、注文システム20では、注文受付手段31により、端末装置50から送信されてくる投資家のトライサポート注文の注文データおよび発火条件を受信すると、受信したトライ注文およびサポート注文の各々に対し、注文識別情報(注文番号)を自動付与し、トライ注文の注文データ、並びに、サポート注文の注文データおよび発火条件を、注文識別情報と関連付けて注文データ記憶手段41(
図4参照)に記憶させる(
図7のステップS1)。なお、サポート注文を、トライ注文についての指値を変更する訂正注文や、指値を成行に変更する訂正注文としてもよく、その場合には、サポート注文の注文識別情報は、トライ注文の注文識別情報と同じになる。
【0104】
なお、売付の場合には、
図2、および
図4の売りの場合の数値例に示すように、注文銘柄=A社株、目標価格=700円、指定価格(譲歩価格)=600円の場合には、注文受付手段31は、過去において600円(または600円相当)から700円(または700円相当)まで価格が上昇した区画の抽出処理を実行する。600円相当から700円相当までというのは、(600−μ1+μ2)円から(700−μ1+μ2)円まで価格が上昇している区画を抽出する処理である。
【0105】
そして、注文システム20では、注文受付手段31により、端末装置50から送信されてくる投資家のトライサポート注文の注文データおよび発火条件として、例えば、投資家識別情報(投資家の口座番号等)、注文銘柄=A社株の銘柄識別情報(銘柄コード)、注文数量=5,000株、売買区分=売、トライ注文の指値(目標価格)=700円以上、サポート注文についての発火条件を構成する指定価格(譲歩価格)=600円以上、指定期間=30分間を受信し、受信したトライ注文およびサポート注文の各々に対し、注文識別情報(注文番号)を自動付与し、トライ注文の注文データ、並びに、サポート注文の注文データおよび発火条件を、注文識別情報と関連付けて注文データ記憶手段41(
図4参照)に記憶させる(
図7のステップS1)。
【0106】
続いて、発注手段33により、注文データ記憶手段41(
図4参照)に記憶されたトライ注文の注文データを用いて、トライ注文の発注データ(注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄の銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別および指値注文の場合の指値を含む。)を作成し、作成した発注データを、通信回線2を介して市場システム60へ送信する(
図7のステップS2)。
【0107】
なお、このトライ注文が約定した場合には、市場システム60から通信回線2を介して約定データ(注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄の銘柄識別情報、約定数量、売買区分、約定単価を含む。)が送信されてくるので、約定手段34によりこれを受信し、受信した約定データを約定データ記憶手段42に記憶させるとともに、注文データ記憶手段41(
図4参照)に記憶されたトライ注文のステータスを「約定済」に更新する。
【0108】
それから、条件成否判定手段32により、注文データ記憶手段41(
図4参照)に記憶されたトライ注文のステータスを参照し、トライ注文が約定したか否か(ステータスが「約定済」であるか否か)を判断し(
図7のステップS3)、約定している場合には、トライサポート注文の一連の処理を終了する。一方、約定していない場合には、さらに、条件成否判定手段32により、切替用の注文(サポート注文)についての発火条件が成立したか否かを判定する(
図7のステップS4)。
【0109】
すなわち、条件成否判定手段32により、切替用の注文(サポート注文)が売り注文の場合(
図2参照)には、「指定価格」以上若しくは超過の状態が連続して「指定期間」保持されたか否かを判定する。
図2の例では、30分間600円以上という発火条件となっている(
図4の売りの場合の例を参照)。一方、切替用の注文(サポート注文)が買い注文の場合(
図3参照)には、「指定価格」以下若しくは未満の状態が連続して「指定期間」保持されたか否かを判定する。
図3の例では、30分間900円以下という発火条件となっている(
図4の買いの場合の例を参照)。
【0110】
この際、条件成否判定手段32は、時価データ提供システム70から通信回線3を介して取得した注文銘柄の時価データ(現在の価格データ)と、注文データ記憶手段41(
図4参照)に記憶された発火条件の指定価格(譲歩価格)とを比較し、時価データが、指定価格による価格条件を満たしていたら(「指定価格」以上若しくは超過の状態、または「指定価格」以下若しくは未満の状態になっていたら)、最初にそのように判定した時刻を、注文データ記憶手段41(
図4参照)の「発火条件の判定開始時刻」に記憶させる。そして、条件成否判定手段32は、ステップS3でトライ注文が約定したと判断しない限り、時価データと指定価格との比較判定処理を繰り返し、この比較判定処理の都度に、現在の時刻(判定時の時刻)と注文データ記憶手段41(
図4参照)に記憶された「発火条件の判定開始時刻」との差分の時間から、注文データ記憶手段41(
図4参照)に記憶された「指定期間」が経過したか否かを判定する時間経過判定処理を実行する。
【0111】
また、条件成否判定手段32は、時価データと指定価格との比較判定処理の結果、時価データが、指定価格による価格条件を満たしていなかったら(「指定価格」以上若しくは超過の状態、または「指定価格」以下若しくは未満の状態になっていなかったら)、注文データ記憶手段41(
図4参照)の「発火条件の判定開始時刻」をクリアする(NULL等にする)。そして、条件成否判定手段32は、次に時価データが指定価格による価格条件を満たしている(「指定価格」以上若しくは超過の状態、または「指定価格」以下若しくは未満の状態になっている)という判定を行った際に、そのように判定した時刻を、注文データ記憶手段41(
図4参照)の「発火条件の判定開始時刻」に記憶させる。従って、この場合には、条件成否判定手段32は、新たな「発火条件の判定開始時刻」を基準とし、「指定期間」が経過したか否かを判定する時間経過判定処理を実行する。
【0112】
図7のステップS4において、条件成否判定手段32により、切替用の注文(サポート注文)についての発火条件が成立したと判定した場合には、発注手段33により、注文データ記憶手段41(
図4参照)に記憶されたサポート注文(原則として、成行注文であるが、指値注文としてもよい。)の注文データを用いて、サポート注文の発注データを作成し、作成した発注データを、通信回線2を介して市場システム60へ送信するとともに、注文データ記憶手段41に記憶されたトライ注文の注文データを用いて、トライ注文の取消データを作成し、作成した取消データを、通信回線2を介して市場システム60へ送信することにより、トライ注文の取消処理を実行し(
図7のステップS5)、トライサポート注文の一連の処理を終了する。なお、発火条件が成立したと判定した場合に、発注手段33により、サポート注文の内容で、トライ注文についての指値を変更する注文の訂正や、指値を成行に変更する注文の訂正を行ってもよく、この場合には、トライ注文の取消処理を行う必要はない。
【0113】
<連続注文=買い注文(先行注文)およびその約定後に発注する同一銘柄の売り注文(後続注文)、または、売り注文(先行注文)およびその約定後に発注する同一銘柄の買い注文(後続注文):
図8〜
図13参照>
【0114】
図13において、注文受付手段31により、端末装置50からの投資家またはその入力代行者による送信要求に応じ、注文画面200(
図11参照)の表示用データを、ネットワーク1を介して端末装置50へ送信する(ステップS21)。すると、端末装置50の画面上には、
図11に示すような連続注文の注文画面200が表示される。なお、
図11の注文画面200は、買い注文の約定後に売り注文を発注する場合の画面例であるが、売り注文の約定後に買い注文を発注する場合も同様であり、「以下(または未満)」や「以上(または超過)」という記載が互いに反転し、「価格が上昇した」という記載が、「価格が下落した」に反転するだけである。また、このように買付後売付と売付後買付とを別の注文画面にせずに、1つにまとめた注文画面とし、「以上(または超過)」、「以下(または未満)」を選択するようにしてもよい。
【0115】
連続注文は、買付価格と売付価格との差額により利益を得るための注文であり、例えば、ある価格を下回らなければ、それ以降、価格は上昇傾向になり、その価格を突き抜けて下方に行った場合には、価格は下落傾向になるという予測をしたときに、その価格を下回らないことを確認して買い注文を発注し、その後、価格が上昇したところで売り注文を発注するという注文方法である。また、売買を逆転させて考えると、例えば、ある価格を上回らなければ、それ以降、価格は下落傾向になり、その価格を突き抜けて上方に行った場合には、価格は上昇傾向になるという予測をしたときに、その価格を上回らないことを確認して売り注文(空売り、信用売り)を発注し、その後、価格が下落したところで買い注文(買い戻し)を発注するという注文方法である。
【0116】
図11の注文画面200には、注文銘柄の入力部201と、注文数量の入力部202と、先行注文の指値の入力部210と、先行注文についての発火条件を構成する指定価格の入力部211と、指定期間の入力部212と、後続注文の指値の入力部220と、各入力部201,202,210,211,212,220への入力データを注文システム20へ送信するための「送信」ボタン230とが設けられている。
【0117】
また、
図11の注文画面200(買い注文の約定後に売り注文を発注する場合)の下部には、先行注文についての発火条件を入力指定する際の参考情報の表示部240が設けられている。この参考情報の表示部240には、注文銘柄について、過去において先行注文の指値(または先行注文の指値を移動平均で過去の各時点に換算した値)から後続注文の指値(または後続注文の指値を移動平均で過去の各時点に換算した値)まで価格が上昇した区画の開始時点t1から時間Tだけ過去に遡った時点t2までの直前区画における最低価格(期間最低価格)および直前区画のうち時点t2近傍の部分区画における最低価格(時点最低価格)を表示することができる。なお、売り注文の約定後に買い注文を発注する場合も同様であり、上記の「上昇」が「下落」に変わるだけである。
【0118】
従って、注文受付手段31により過去の価格データ(価格履歴記憶手段43に記憶された過去から現在に至るまでの注文銘柄の価格データ)の中から該当する区画を抽出する処理を実行する際の方法について、投資家が選択可能となっており、参考情報の表示部240には、移動平均による換算を行わずにそのままの価格での抽出処理のみを行うことを選択するための選択部241と、移動平均による換算を行った抽出処理のみを行うことを選択するための選択部242と、上記の2つの方法での抽出結果を混在させることを選択するための選択部243とが設けられている。また、その下側には、参考情報の表示処理を実行するための「参考情報表示実行」ボタン244と、抽出結果を表示する抽出結果表示部245とが設けられている。
【0119】
投資家が、入力部201に注文銘柄を入力し、入力部202に注文数量を入力し、入力部210に先行注文の指値を入力し、入力部220に後続注文の指値を入力するとともに、選択部241〜243のいずれかにチェックを入れ、この状態で「参考情報表示実行」ボタン244をクリックすると、注文銘柄の銘柄識別情報(銘柄コード)、先行注文の指値、後続注文の指値、および抽出処理方法についての選択情報が、端末装置50からネットワーク1を介して注文システム20へ送信される。なお、注文数量は、参考情報表示処理には使用されないため、ここでは送信されない。
【0120】
注文システム20では、注文受付手段31により、端末装置50から送信されてくる注文銘柄の銘柄識別情報、先行注文の指値、後続注文の指値、および抽出処理方法についての選択情報を受信すると、選択された抽出処理方法に従って、該当する区画の抽出処理を実行する。例えば、
図11に示すように、注文銘柄=A社株、先行注文の指値=830円、後続注文の指値=880円の場合(
図8、および
図10の買付後売付の場合の数値例も対応している。)には、注文受付手段31は、A社株の銘柄識別情報(銘柄コード)に関連付けられて価格履歴記憶手段43に記憶されている過去から現在に至るまでの価格データを用いて、
図12に示すように、過去において830円(または830円相当)から880円(または880円相当)まで価格が上昇した区画の抽出処理を実行する。ここで、830円相当、880円相当というのは、現在の830円、880円という値を、移動平均で過去の各時点に換算した値であることを意味する。
【0121】
注文受付手段31は、移動平均を用いた換算値での抽出処理を行う場合は、現在の移動平均=μ1円とし、過去の各時点の移動平均=μ2円とすると、(830−μ1+μ2)円から(880−μ1+μ2)円まで価格が上昇している区画を抽出する処理を実行する。従って、過去から現在に至るまでに移動平均が徐々に下がってきている場合や、徐々に上がってきている場合でも、830円相当(先行注文の指値相当)から880円相当(後続注文の指値相当)まで価格が上昇している区画を抽出することが可能となる。また、投資家が混在表示の選択部243にチェックを入れたときには、830円から880円まで価格が上昇している区画を抽出する処理と、(830−μ1+μ2)円から(880−μ1+μ2)円まで価格が上昇している区画を抽出する処理とが並行して実行される。
【0122】
その後、注文受付手段31は、
図12に示すように、該当する区画が抽出された場合には、抽出した区画の開始時点t1から時間Tだけ過去に遡った時点t2までの直前区画における最低価格(期間最低価格)P1および直前区画のうち時点t2近傍の部分区画における最低価格(時点最低価格)P2を求める。この際、注文受付手段31は、該当する区画を抽出する処理において、移動平均による換算値を用いた場合には、抽出した区画の直前区画における最低価格P1,P2の値は、現在とは異なる価格レベルの値となっているので、これを現在の価格レベルの値に換算する。すなわち、現在の移動平均=μ1円、過去の各時点(最低価格P1,P2の発生時点)の移動平均=μ2円とすると、期間最低価格P1は、(P1−μ2+μ1)円とし、時点最低価格P2は、(P2−μ2+μ1)円とする。従って、投資家は、現在の価格レベルに換算表示された最低価格P1,P2を参照することができるようになる。
【0123】
また、
図11の例では、T=1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、6分間、7分間、8分間、9分間、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間となっている。従って、この例の場合は、時間Tの長さの設定数は、全部で14個であり、時間長の刻みは、短い時間長の場合は1分刻みであり、長い時間長の場合は5分刻みであり、最大の時間長は30分間である。但し、時間Tの長さの設定数、時間長の刻み、最大の時間長は、これに限定されるものではなく、任意である。
【0124】
なお、
図12に示すように、T=5分間の場合の直前区画(「t1」〜「t1よりも5分前の時点」)における部分区画は、「t1よりも4分前の時点」〜「t1よりも5分前の時点」であり、この部分区画の時間長は1分間であるが、例えば、T=25分間の場合の直前区画(「t1」〜「t1よりも25分前の時点」)における部分区画は、「t1よりも20分前の時点」〜「t1よりも25分前の時点」であり、この部分区画の時間長は5分間である。従って、部分区画の時間長は、Tの時間長の刻みに従っている。
【0125】
そして、注文受付手段31は、求めた複数の時間Tの各直前区画についての最低価格(期間最低価格)P1およびその部分区画の最低価格(時点最低価格)P2を、ネットワーク1を介して端末装置50へ送信する(
図13のステップS21)。すると、端末装置50では、
図11の注文画面200の下部に設けられた参考情報の表示部240の抽出結果表示部245に、複数の時間Tの各直前区画についての最低価格(期間最低価格)P1およびその部分区画の最低価格(時点最低価格)P2が表示される。
【0126】
図11の注文画面200(買付後売付の場合)の例では、該当する区画が2つ抽出され、抽出結果表示部245に、抽出された2つの区画の各直前区画における期間最低価格P1および時点最低価格P2が表示されている。投資家は、この表示結果を見て、例えば、810円を下回らない期間が暫く続いているので、指定価格を810円にしようと判断したとする。また、投資家は、例えば、双方の過去データで、810円を下回らない期間が15分間は続いているので、指定期間を15分間にしようと判断したとする。この際、投資家は、「15分間810円以上」という発火条件を入力指定するために、指定価格の入力部211に810円を入力し、指定期間の入力部212に15分間を入力する。そして、この状態で投資家が「送信」ボタン230をクリックすると、連続注文の注文データおよび発火条件として、注文銘柄=A社株の銘柄識別情報(銘柄コード)、注文数量=5,000株、先行注文の売買区分=買、後続注文の売買区分=売、先行注文の指値=830円以下、後続注文の指値=880円以上、先行注文についての発火条件を構成する指定価格=810円以上、指定期間=15分間が、投資家識別情報(顧客の口座番号等)とともに、端末装置50からネットワーク1を介して注文システム20へ送信される。なお、投資家識別情報は、それ以前に送信されていてもよい。
【0127】
それから、注文システム20では、注文受付手段31により、端末装置50から送信されてくる投資家の連続注文の注文データおよび発火条件を受信すると、受信した先行注文および後続注文の各々に対し、注文識別情報(注文番号)を自動付与し、先行注文の注文データおよび発火条件、並びに、後続注文の注文データを、注文識別情報と関連付けて注文データ記憶手段41(
図10参照)に記憶させる(
図13のステップS21)。
【0128】
なお、売り注文の約定後に買い注文を発注する場合には、
図9、および
図10の売付後買付の場合の数値例に示すように、注文銘柄=B社株、先行注文の指値=670円、後続注文の指値=620円の場合には、注文受付手段31は、過去において670円(または670円相当)から620円(または620円相当)まで価格が下落した区画の抽出処理を実行する。670円相当から620円相当までというのは、(670−μ1+μ2)円から(620−μ1+μ2)円まで価格が下落している区画を抽出する処理である。
【0129】
そして、注文システム20では、注文受付手段31により、端末装置50から送信されてくる投資家の連続注文の注文データおよび発火条件として、例えば、投資家識別情報(投資家の口座番号等)、注文銘柄=B社株の銘柄識別情報(銘柄コード)、注文数量=3,000株、先行注文の売買区分=売、後続注文の売買区分=買、先行注文の指値=670円以上、後続注文の指値=620円以下、先行注文についての発火条件を構成する指定価格=690円以下、指定期間=15分間を受信し、受信した先行注文および後続注文の各々に対し、注文識別情報(注文番号)を自動付与し、先行注文の注文データおよび発火条件、並びに、後続注文の注文データを、注文識別情報と関連付けて注文データ記憶手段41(
図10参照)に記憶させる(
図13のステップS21)。
【0130】
続いて、条件成否判定手段32により、注文データ記憶手段41(
図10参照)に記憶された発火条件を構成する指定期間および指定価格を参照し、先行注文についての発火条件が成立したか否かを判定する(
図13のステップS22)。
【0131】
すなわち、条件成否判定手段32により、買い注文の約定後に売り注文を発注する場合(
図8参照)には、「指定価格」以上若しくは超過の状態が連続して「指定期間」保持されたか否かを判定する。
図8の例では、15分間810円以上という発火条件となっている(
図10の買付後売付の場合の例を参照)。一方、売り注文の約定後に買い注文を発注する場合(
図9参照)には、「指定価格」以下若しくは未満の状態が連続して「指定期間」保持されたか否かを判定する。
図9の例では、15分間690円以下という発火条件となっている(
図10の売付後買付の場合の例を参照)。
【0132】
この際、条件成否判定手段32は、時価データ提供システム70から通信回線3を介して取得した注文銘柄の時価データ(現在の価格データ)と、注文データ記憶手段41(
図10参照)に記憶された発火条件の指定価格とを比較し、時価データが、指定価格による価格条件を満たしていたら(「指定価格」以上若しくは超過の状態、または「指定価格」以下若しくは未満の状態になっていたら)、最初にそのように判定した時刻を、注文データ記憶手段41(
図10参照)の「発火条件の判定開始時刻」に記憶させる。そして、条件成否判定手段32は、時価データと指定価格との比較判定処理を繰り返し、この比較判定処理の都度に、現在の時刻(判定時の時刻)と注文データ記憶手段41(
図10参照)に記憶された「発火条件の判定開始時刻」との差分の時間から、注文データ記憶手段41(
図10参照)に記憶された「指定期間」が経過したか否かを判定する時間経過判定処理を実行する。
【0133】
また、条件成否判定手段32は、時価データと指定価格との比較判定処理の結果、時価データが、指定価格による価格条件を満たしていなかったら(「指定価格」以上若しくは超過の状態、または「指定価格」以下若しくは未満の状態になっていなかったら)、注文データ記憶手段41(
図10参照)の「発火条件の判定開始時刻」をクリアする(NULL等にする)。そして、条件成否判定手段32は、次に時価データが指定価格による価格条件を満たしている(「指定価格」以上若しくは超過の状態、または「指定価格」以下若しくは未満の状態になっている)という判定を行った際に、そのように判定した時刻を、注文データ記憶手段41(
図10参照)の「発火条件の判定開始時刻」に記憶させる。従って、この場合には、条件成否判定手段32は、新たな「発火条件の判定開始時刻」を基準とし、「指定期間」が経過したか否かを判定する時間経過判定処理を実行する。
【0134】
図13のステップS22において、条件成否判定手段32により、先行注文についての発火条件が成立したと判定した場合には、発注手段33により、注文データ記憶手段41(
図10参照)に記憶された先行注文の注文データを用いて、先行注文の発注データを作成し、作成した発注データを、通信回線2を介して市場システム60へ送信するとともに、注文データ記憶手段41(
図10参照)に記憶された先行注文のステータスを「発火条件監視中」から「発注済」に更新する(
図13のステップS23)。
【0135】
その後、先行注文が約定した場合には、市場システム60から通信回線2を介して約定データ(注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄の銘柄識別情報、約定数量、売買区分、約定単価を含む。)が送信されてくるので、約定手段34によりこれを受信し、受信した約定データを約定データ記憶手段42に記憶させるとともに、注文データ記憶手段41(
図10参照)に記憶された先行注文のステータスを「約定済」に更新する(
図13のステップS24)。
【0136】
そして、注文データ記憶手段41(
図10参照)に記憶された先行注文のステータスが「約定済」になったら、発注手段33により、注文データ記憶手段41に記憶された後続注文の注文データを用いて、後続注文の発注データを作成し、作成した発注データを、通信回線2を介して市場システム60へ送信するとともに、注文データ記憶手段41に記憶された後続注文のステータスを「注文受付(先行注文約定待)」から「発注済」に更新する(
図13のステップS24)。
【0137】
その後、後続注文が約定した場合には、市場システム60から通信回線2を介して約定データ(注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄の銘柄識別情報、約定数量、売買区分、約定単価を含む。)が送信されてくるので、約定手段34によりこれを受信し、受信した約定データを約定データ記憶手段42に記憶させるとともに、注文データ記憶手段41(
図10参照)に記憶された後続注文のステータスを「約定済」に更新し、連続注文の一連の処理を終了する(
図13のステップS25)。
【0138】
<目標価格の指値注文および損益確定用の予約注文:
図14〜18参照>
【0139】
図18において、注文受付手段31により、端末装置50からの投資家またはその入力代行者による送信要求に応じ、注文画面300(
図17参照)の表示用データを、ネットワーク1を介して端末装置50へ送信する(ステップS31)。すると、端末装置50の画面上には、
図17に示すような通常の指値注文および損益確定用の予約注文の注文画面300が表示される。なお、
図17の注文画面300は、売付の場合の画面例であるが、買付の場合も同様であり、「以下(または未満)」や「以上(または超過)」という記載が互いに反転し、「価格が上昇した」という記載が、「価格が下落した」に反転するだけである。また、このように売付と買付とを別の注文画面にせずに、1つにまとめた注文画面とし、「以上(または超過)」、「以下(または未満)」を選択するようにしてもよい。
【0140】
通常の指値注文および損益確定用の予約注文の組み合わせは、売買の目標価格を指値とする指値注文を市場へ発注するとともに、価格が予想若しくは期待とは逆の方向に動いたときに損益を確定させる(損失が増えるのを防止するか、または利益を確定させる)ための損益確定用の予約注文を設定しておき、その予約注文に付された予約条件(予約条件価格で定まる条件)の成否を監視し、予約条件が成立したときに損益確定用の予約注文を発注するとともに、目標価格の指値注文を取り消すという注文方法である。
【0141】
図17の注文画面300には、注文銘柄の入力部301と、注文数量の入力部302と、通常の指値注文の指値(目標価格)の入力部310と、当初の損益確定用の予約注文についての予約条件となる予約条件価格の入力部320と、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目)についての予約条件となる予約条件価格の入力部330と、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目)についての発火条件を構成する指定価格(予約条件価格と同価格)の表示部331および指定期間の入力部332と、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(2段目)についての予約条件となる予約条件価格の入力部340と、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(2段目)についての発火条件を構成する指定価格(予約条件価格と同価格)の表示部341および指定期間の入力部342と、各入力部301,302,310,320,330,332,340,342への入力データおよび各表示部331,341への表示データを注文システム20へ送信するための「送信」ボタン350とが設けられている。
【0142】
なお、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(2段目)は、設定しなくてもよく、あるいは設定できる構成となっていなくてもよく、また、3段目以上の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文を設定できる構成としてもよい。
【0143】
また、
図17の注文画面300(売付の場合)の下部には、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件を入力指定する際の参考情報の表示部360が設けられている。この参考情報の表示部360には、注文銘柄について、過去において予約条件価格(または予約条件価格を移動平均で過去の各時点に換算した値)から目標価格(または目標価格を移動平均で過去の各時点に換算した値)まで価格が上昇した区画の時間幅ΔTを表示することができる。なお、買付の場合には、予約条件価格(または予約条件価格を移動平均で過去の各時点に換算した値)から目標価格(または目標価格を移動平均で過去の各時点に換算した値)まで価格が下落した区画の時間幅ΔTを表示することができる。
【0144】
従って、注文受付手段31により過去の価格データ(価格履歴記憶手段43に記憶された過去から現在に至るまでの注文銘柄の価格データ)の中から該当する区画を抽出する処理を実行する際の方法について、投資家が選択可能となっており、参考情報の表示部360には、移動平均による換算を行わずにそのままの価格での抽出処理のみを行うことを選択するための選択部361と、移動平均による換算を行った抽出処理のみを行うことを選択するための選択部362と、上記の2つの方法での抽出結果を混在させることを選択するための選択部363とが設けられている。また、その下側には、参考情報の表示処理を実行するための「参考情報表示実行」ボタン364と、抽出結果を表示する抽出結果表示部365とが設けられている。
【0145】
投資家が、入力部301に注文銘柄を入力し、入力部302に注文数量を入力し、入力部310に通常の指値注文の指値(目標価格)を入力し、入力部320に当初の損益確定用の予約注文についての予約条件価格を入力し、入力部330に予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目)についての予約条件価格を入力し(従って、表示部331に予約条件価格と同価格の指定価格が自動表示される。)、入力部340に予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(2段目)についての予約条件価格を入力するとともに(従って、表示部341に予約条件価格と同価格の指定価格が自動表示される。)、選択部361〜363のいずれかにチェックを入れ、この状態で「参考情報表示実行」ボタン364をクリックすると、注文銘柄の銘柄識別情報(銘柄コード)、通常の指値注文の指値(目標価格)、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目、2段目)についての各予約条件価格、および抽出処理方法についての選択情報が、端末装置50からネットワーク1を介して注文システム20へ送信される。なお、注文数量、当初の損益確定用の予約注文についての予約条件価格は、参考情報表示処理には使用されないため、ここでは送信されない。
【0146】
注文システム20では、注文受付手段31により、端末装置50から送信されてくる注文銘柄の銘柄識別情報、通常の指値注文の指値(目標価格)、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目、2段目)についての各予約条件価格、および抽出処理方法についての選択情報を受信すると、選択された抽出処理方法に従って、該当する区画の抽出処理を実行する。例えば、
図17に示すように、注文銘柄=A社株、通常の指値注文の指値(目標価格)=580円、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目)についての予約条件価格=480円、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(2段目)についての予約条件価格=530円の場合(
図14、および
図16の売りの場合の数値例も対応している。但し、
図14では、2段目の図示は省略されている。)には、注文受付手段31は、A社株の銘柄識別情報(銘柄コード)に関連付けられて価格履歴記憶手段43に記憶されている過去から現在に至るまでの価格データを用いて、過去において480円(または480円相当)から580円(または580円相当)まで価格が上昇した区画の抽出処理を実行するとともに、過去において530円(または530円相当)から580円(または580円相当)まで価格が上昇した区画の抽出処理を実行する。ここで、480円相当、530円相当、580円相当というのは、現在の480円、530円、580円という値を、移動平均で過去の各時点に換算した値であることを意味する。
【0147】
注文受付手段31は、移動平均を用いた換算値での抽出処理を行う場合は、現在の移動平均=μ1円とし、過去の各時点の移動平均=μ2円とすると、(480−μ1+μ2)円から(580−μ1+μ2)円まで価格が上昇している区画を抽出する処理を実行するとともに、(530−μ1+μ2)円から(580−μ1+μ2)円まで価格が上昇している区画を抽出する処理を実行する。従って、過去から現在に至るまでに移動平均が徐々に下がってきている場合や、徐々に上がってきている場合でも、480円相当(1段目の予約条件価格相当)から580円相当(目標価格相当)まで価格が上昇している区画や、530円相当(2段目の予約条件価格相当)から580円相当(目標価格相当)まで価格が上昇している区画を抽出することが可能となる。また、投資家が混在表示の選択部363にチェックを入れたときには、480円から580円まで価格が上昇している区画を抽出する処理と、(480−μ1+μ2)円から(580−μ1+μ2)円まで価格が上昇している区画を抽出する処理とが並行して実行されるとともに、530円から580円まで価格が上昇している区画を抽出する処理と、(530−μ1+μ2)円から(580−μ1+μ2)円まで価格が上昇している区画を抽出する処理とが並行して実行される。
【0148】
その後、注文受付手段31は、該当する区画が複数個抽出された場合には、それらの複数の区画の時間幅ΔTの平均値を算出し(2段目も設定している場合には、1段目、2段目のそれぞれの平均値を算出する。)、抽出した各区画の時間幅ΔTおよび算出したそれらの平均値を、ネットワーク1を介して端末装置50へ送信する(
図18のステップS31)。すると、端末装置50では、
図17の注文画面300(売付の場合)の下部に設けられた参考情報の表示部360の抽出結果表示部365に、抽出した各区画の時間幅ΔTおよびそれらの平均値(2段目も設定している場合には、1段目、2段目のそれぞれについて、抽出した各区画の時間幅ΔTおよびそれらの平均値)が表示される。
【0149】
図17の注文画面300(売付の場合)の例では、抽出結果表示部365において、シフトの1段目については、抽出した各区画の時間幅ΔTの平均値=4分間となっているので、投資家は、この平均値や時間幅ΔTのばらつき等を参考にし、例えば、4分間よりも少し長めに、指定期間=5分間と決定し、決定した指定期間を入力部332に入力する。また、シフトの2段目については、抽出した各区画の時間幅ΔTの平均値=2分間となっているので、投資家は、この平均値や時間幅ΔTのばらつき等を参考にし、例えば、指定期間=2分間と決定し、決定した指定期間を入力部342に入力する。この状態で投資家が「送信」ボタン350をクリックすると、通常の指値注文および損益確定用の予約注文を組み合わせた注文の注文データおよび発火条件として、注文銘柄=A社株の銘柄識別情報(銘柄コード)、注文数量=5,000株、売買区分=売、通常の指値注文の指値(目標価格)=580円以上、当初の損益確定用の予約注文についての予約条件価格=400円以下、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目)についての予約条件価格=480円以下、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(2段目)についての予約条件価格=530円以下、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目)についての発火条件を構成する指定価格(予約条件価格と同価格)=480円以上、および指定期間=5分間、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(2段目)についての発火条件を構成する指定価格(予約条件価格と同価格)=530円以上、および指定期間=2分間が、投資家識別情報(顧客の口座番号等)とともに、端末装置50からネットワーク1を介して注文システム20へ送信される。なお、投資家識別情報は、それ以前に送信されていてもよい。
【0150】
上記の
図17の売付の例では、投資家の注文の意図は、次のようになる。A社株、5,000株を、現在の価格が例えば450円のときに(
図14参照)、580円以上で売って儲けたいと考えるとともに、400円以下になったら売るという当初の予約条件価格(ロスカット用の価格)を設定しておく。そして、価格が上昇してきて5分間480円以上という発火条件を満たしたら、480円以下になったら売るという予約条件価格(利益確定用の価格)にシフトさせ(1段目のシフト)、さらに、価格が上昇してきて2分間530円以上という発火条件を満たしたら(但し、
図14では2段目の図示は省略)、530円以下になったら売るという予約条件価格(利益確定用の価格)にシフトさせる(2段目のシフト)。なお、2段目の設定は省略してもよい。
【0151】
それから、注文システム20では、注文受付手段31により、端末装置50から送信されてくる投資家の通常の指値注文および損益確定用の予約注文を組み合わせた注文の注文データおよび発火条件を受信すると、受信した通常の指値注文および複数の損益確定用の予約注文の各々に対し、注文識別情報(注文番号)を自動付与し、通常の指値注文の注文データ、当初の損益確定用の予約注文の注文データ(予約条件を含む。)、並びに、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目、2段目)の注文データ(予約条件を含む。)および発火条件を、注文識別情報と関連付けて注文データ記憶手段41(
図16参照)に記憶させる(
図18のステップS31)。
【0152】
なお、買付の場合には、
図15(但し、シフトの2段目の図示は省略されている。)、および
図16の買いの場合の数値例に示すように、注文銘柄=B社株、通常の指値注文の指値(目標価格)=720円、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目)についての予約条件価格=820円、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(2段目)についての予約条件価格=770円の場合には、注文受付手段31は、過去において820円(または820円相当)から720円(または720円相当)まで価格が下落した区画の抽出処理を実行するとともに、過去において770円(または770円相当)から720円(または720円相当)まで価格が下落した区画の抽出処理を実行する。820円相当から720円相当までというのは、(820−μ1+μ2)円から(720−μ1+μ2)円まで価格が下落している区画を抽出する処理であり、770円相当から720円相当までというのは、(770−μ1+μ2)円から(720−μ1+μ2)円まで価格が下落している区画を抽出する処理である。
【0153】
そして、注文システム20では、注文受付手段31により、端末装置50から送信されてくる投資家の通常の指値注文および損益確定用の予約注文を組み合わせた注文の注文データおよび発火条件として、例えば、投資家識別情報(投資家の口座番号等)、注文銘柄=B社株の銘柄識別情報(銘柄コード)、注文数量=3,000株、売買区分=買、通常の指値注文の指値(目標価格)=720円以下、当初の損益確定用の予約注文についての予約条件価格=900円以上、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目)についての予約条件価格=820円以上、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(2段目)についての予約条件価格=770円以上、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目)についての発火条件を構成する指定価格(予約条件価格と同価格)=820円以下、および指定期間=5分間、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(2段目)についての発火条件を構成する指定価格(予約条件価格と同価格)=770円以下、および指定期間=2分間を受信し、受信した通常の指値注文および複数の損益確定用の予約注文の各々に対し、注文識別情報(注文番号)を自動付与し、通常の指値注文の注文データ、当初の損益確定用の予約注文の注文データ(予約条件を含む。)、並びに、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目、2段目)の注文データ(予約条件を含む。)および発火条件を、注文識別情報と関連付けて注文データ記憶手段41(
図16参照)に記憶させる(
図18のステップS31)。
【0154】
この買付の例では、投資家の注文の意図は、次のようになる。B社株、3,000株を、現在の価格が例えば850円のときに(
図15参照)、720円以下で買って(買い戻して)儲けたいと考えるとともに、900円以上になったら買うという当初の予約条件価格(ロスカット用の価格)を設定しておく。そして、価格が下落してきて5分間820円以下という発火条件を満たしたら、820円以上になったら買うという予約条件価格(利益確定用の価格)にシフトさせ(1段目のシフト)、さらに、価格が下落してきて2分間770円以下という発火条件を満たしたら(但し、
図15では2段目の図示は省略)、770円以上になったら買うという予約条件価格(利益確定用の価格)にシフトさせる(2段目のシフト)。なお、2段目の設定は省略してもよい。
【0155】
続いて、発注手段33により、注文データ記憶手段41(
図16参照)に記憶された通常の指値注文の注文データを用いて、目標価格の通常の指値注文の発注データ(注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄の銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別および指値注文の場合の指値を含む。)を作成し、作成した発注データを、通信回線2を介して市場システム60へ送信する(
図18のステップS32)。
【0156】
なお、この通常の指値注文が約定した場合には、市場システム60から通信回線2を介して約定データ(注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄の銘柄識別情報、約定数量、売買区分、約定単価を含む。)が送信されてくるので、約定手段34によりこれを受信し、受信した約定データを約定データ記憶手段42に記憶させるとともに、注文データ記憶手段41(
図16参照)に記憶された通常の指値注文のステータスを「約定済」に更新する。
【0157】
それから、条件成否判定手段32により、注文データ記憶手段41(
図16参照)に記憶された通常の指値注文のステータスを参照し、目標価格の通常の指値注文が約定したか否か(ステータスが「約定済」であるか否か)を判断し(
図18のステップS33)、約定している場合には、通常の指値注文および損益確定用の予約注文を組み合わせた注文の一連の処理を終了する。一方、約定していない場合には、さらに、条件成否判定手段32により、有効状態の損益確定用の予約注文についての予約条件(予約条件価格により定まる条件であり、いわゆる逆指値の条件)が成立したか否かを判定する(
図18のステップS34)。すなわち、条件成否判定手段32により、時価データ提供システム70から通信回線3を介して取得した注文銘柄の時価データ(現在の価格データ)と、注文データ記憶手段41(
図16参照)に記憶された予約条件価格とを比較し、時価データが予約条件を満たしているか否かを判定する。
【0158】
そして、
図18のステップS34で、有効状態の損益確定用の予約注文についての予約条件が成立したと判定した場合には、その有効状態の損益確定用の予約注文を市場へ発注する(
図18のステップS35)。すなわち、発注手段33により、注文データ記憶手段41(
図16参照)に記憶された有効状態の損益確定用の予約注文の注文データを用いて、その予約注文の発注データ(注文識別情報、投資家識別情報、注文銘柄の銘柄識別情報、注文数量、売買区分、指値・成行の別および指値注文の場合の指値を含む。)を作成し、作成した発注データを、通信回線2を介して市場システム60へ送信する。また、発注手段33により、既に市場に発注している目標価格の通常の指値注文を取り消す処理を実行し(
図18のステップS35)、通常の指値注文および損益確定用の予約注文を組み合わせた注文の一連の処理を終了する。
【0159】
例えば、
図18のステップS34で、当初の損益確定用の予約注文が有効状態であり、その予約注文についての予約条件が成立したと判定した場合には、
図18のステップS35で、当初の損益確定用の予約注文を市場へ発注する。また、後述するステップS38の処理を経て、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目、2段目)が有効状態になり、
図18のステップS34で、その有効状態になった予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目、2段目)についての予約条件が成立したと判定した場合には、
図18のステップS35で、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目、2段目)を市場へ発注する。
【0160】
一方、
図18のステップS34で、有効状態の損益確定用の予約注文についての予約条件が成立しないと判定した場合には、条件成否判定手段32により、発火条件を有する無効状態の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文があるか否かを判断し(
図18のステップS36)、発火条件を有する無効状態の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文がない場合には、前述したステップS33の処理に戻る。一方、発火条件を有する無効状態の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文がある場合には、条件成否判定手段32により、その無効状態の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発注条件が成立したか否かを判定する(
図18のステップS37)。すなわち、条件成否判定手段32により、無効状態の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文が売り注文の場合(
図14参照)には、「指定価格」以上若しくは超過の状態が連続して「指定期間」保持されたか否かを判定する。
図14の例では、1段目については、5分間480円以上という発火条件となっている(
図16の売りの場合の例を参照)。一方、無効状態の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文が買い注文の場合(
図15参照)には、「指定価格」以下若しくは未満の状態が連続して「指定期間」保持されたか否かを判定する。
図15の例では、5分間820円以下という発火条件となっている(
図16の買いの場合の例を参照)。
【0161】
この際、条件成否判定手段32は、時価データ提供システム70から通信回線3を介して取得した注文銘柄の時価データ(現在の価格データ)と、注文データ記憶手段41(
図16参照)に記憶された発火条件の指定価格とを比較し、時価データが、指定価格による価格条件を満たしていたら(「指定価格」以上若しくは超過の状態、または「指定価格」以下若しくは未満の状態になっていたら)、最初にそのように判定した時刻を、注文データ記憶手段41(
図16参照)の「発火条件の判定開始時刻」に記憶させる。そして、条件成否判定手段32は、ステップS33〜S37のループで、時価データと指定価格との比較判定処理を繰り返し、この比較判定処理の都度に、現在の時刻(判定時の時刻)と注文データ記憶手段41(
図16参照)に記憶された「発火条件の判定開始時刻」との差分の時間から、注文データ記憶手段41(
図16参照)に記憶された「指定期間」が経過したか否かを判定する時間経過判定処理を実行する。
【0162】
また、条件成否判定手段32は、時価データと指定価格との比較判定処理の結果、時価データが、指定価格による価格条件を満たしていなかったら(「指定価格」以上若しくは超過の状態、または「指定価格」以下若しくは未満の状態になっていなかったら)、注文データ記憶手段41(
図16参照)の「発火条件の判定開始時刻」をクリアする(NULL等にする)。そして、条件成否判定手段32は、次に時価データが指定価格による価格条件を満たしている(「指定価格」以上若しくは超過の状態、または「指定価格」以下若しくは未満の状態になっている)という判定を行った際に、そのように判定した時刻を、注文データ記憶手段41(
図16参照)の「発火条件の判定開始時刻」に記憶させる。従って、この場合には、条件成否判定手段32は、新たな「発火条件の判定開始時刻」を基準とし、「指定期間」が経過したか否かを判定する時間経過判定処理を実行する。
【0163】
図18のステップS37において、条件成否判定手段32により、無効状態の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文についての発火条件が成立したと判定した場合には、条件成否判定手段32により、注文データ記憶手段41(
図16参照)に記憶された予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文のステータスを、無効状態から有効状態に更新する(
図18のステップS38)。これにより、損益確定用の予約注文が切り替えられ、予約条件価格のシフト(目標価格に近づく方向へのシフト)が実現される。そして、前述したステップS33の処理に戻る。
【0165】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、注文システム20では、注文受付手段31により、投資家により指定された「指定期間」および「指定価格」の組合せで定まる発火条件の入力を受け付け、条件成否判定手段32により、この発火条件が成立したか否かを監視するので、発火条件が成立した際に注文(注文内容の変更を含む。)を市場へ自動的に発注することができ、または発火条件が成立した際に予約注文の予約条件を自動的に切り替えることができ、あるいは、発火条件が成立し、さらに予約条件が成立した際に予約注文(注文内容の変更を含む。)を市場へ自動的に発注することができる。
【0166】
従って、投資家は、価格推移を自身で見守らなくても、自分の想定した推移の達成を条件とする注文を出したり、注文内容を変更したり、予約注文を出したり、予約注文の予約条件を変更することを自動で行うことができる。このため、投資家による相場の監視負担の軽減を図ることができる。
【0167】
そして、条件成否判定手段32は、「指定期間」および「指定価格」の組合せで定まる発火条件の成否判定を行うので、従来の価格だけを監視する判定の場合に比べ、一時的な価格の変動ではなく、投資家が指定した長さの期間での価格推移判定を行うことができる。
【0168】
また、投資家は、価格の推移を予測するとき、一目均衡表の雲を参考にする等、各種の投資指標を用いることがあり、このような投資家による高度な予測、あるいは高度な情報を用いた予測は、「期間」および「価格」を組み合わせた予測となることがある。注文システム20では、投資家は、このような予測を直接に活かした発火条件を指定することができるので、自身の予測を適切に反映させた注文を出し、または注文内容を変更することができ、あるいは自身の予測を適切に反映させた予約注文を出し、または予約注文の予約条件を変更することができる。
【0169】
さらに、注文システム20では、トライサポート注文、すなわち、売買の目標価格を指値とする指値注文(トライ注文)、および譲歩価格で約定させるための切替用の注文(サポート注文)を受け付けることができるので(
図2〜
図7参照)、目標価格の指値注文が、ある程度の時間が経っても約定しないときに、切替用の注文に切り替え、目標価格よりも譲歩した価格で約定させることができ、約定率を高めることができる。この際、注文システム20では、「指定期間」および「指定価格」の組合せで定まる発火条件により、注文の切替タイミングをコントロールすることができるので、投資家の予測を適切に反映させた注文切替制御を実現することができる。
【0170】
そして、注文システム20では、連続注文、すなわち、買い注文およびその約定後に発注する同一銘柄の売り注文、または売り注文およびその約定後に発注する同一銘柄の買い注文を受け付けることができるので(
図8〜
図13参照)、指定した発火条件を満たしたときに、投資家の予測した通りに、価格が上昇または下落すれば、後続注文を約定させ、所望の利益を得ることができる。この際、投資家は、発火条件を満たせば、価格が上昇または下落すると予想しているので、例えば、支持線や抵抗線を想定し、発火条件を指定すること等ができる。
【0171】
また、注文システム20では、売買の目標価格を指値とする通常の指値注文、当初の損益確定用の予約注文、および予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文を組み合わせた注文を受け付けることができるので(
図14〜
図18参照)、発火条件が満たされたときには、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文を有効にし、損益確定用の予約条件価格を目標価格に近づけることができるため、利益を確保することができる。すなわち、目標価格の通常の指値注文の注文受付時点(目標価格の通常の指値注文は、連続注文における後続注文でもよいので、その場合には、連続注文における先行注文の約定時点となる。)では、損失が出る方向に価格が動いたことを想定し、損失拡大を防ぐロスカットのための予約条件価格(予約条件)を設定することしかできないが、注文システム20では、発火条件の設定により、予約条件価格を、利益が出る方向にシフトすることができる。
【0172】
さらに、注文システム20では、発火条件を構成する指定期間を適宜な長さに設定することにより、予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文がすぐには有効にならないようにすることができる。このため、仮に指定期間を極めて短く設定したとすると、発火条件がすぐに成立して予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文がすぐに有効になり、その後の瞬間的な価格の反転でその予約注文の予約条件がすぐに成立し、すぐにその予約注文が市場へ発注されて損益が確定してしまい、利益の追求が不十分に終わるという事態が生じ得るが、指定期間を適宜な長さに設定することにより、そのような事態を回避することができる。すなわち、目標価格に到達する可能性があるときは、そこに到達するまでに待つべき時間が必要であるが、指定期間を適宜な長さに設定することにより、そのための時間を確保することができる。
【0173】
そして、注文システム20では、複数の予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文(1段目、2段目)を受け付けることができるので(
図16、
図17参照)、予約条件価格の段階的なシフトを実現することができる。このため、損益確定用の予約条件価格を、目標価格に、より一層近づけることができるので、より一層の利益を確保することができる。
【0174】
また、注文受付手段31は、発火条件を入力指定する際の参考情報を提供することができるので(
図5、
図11、
図17参照)、投資家は、より適切な「指定期間」および「指定価格」の設定を行うことができ、より一層の利益追求を行うことができる。
【0176】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0177】
例えば、前記実施形態の注文システム20では、発火条件は、「指定価格」以上若しくは超過の状態が連続して「指定期間」保持されるという条件、または、「指定価格」以下若しくは未満の状態が連続して「指定期間」保持されるという条件であったが、本発明における発火条件は、「第1の指定価格」と「第2の指定価格」との間の状態が連続して「指定期間」保持されるという条件としてもよい。
【0178】
このような発火条件とした場合でも、前記実施形態の場合と同様な効果を得ることができるうえ、指定価格が上限価格および下限価格の2つになるので、上限価格または下限価格のうちの一方のみを指定価格とする場合と比べ、条件を増やした分だけ、意味を持たせた注文管理(市場への発注制御)を行うことができる。例えば、第1の指定価格を、支持線や抵抗線を意識して設定し、第2の指定価格を、発火条件を構成する指定期間のカウントの開始時期の調整に用いること等ができる。より具体的には、例えば、前記実施形態の場合には、5分間500円以上という発火条件を時価800円の時点で入力設定すると、現在800円であり、既に500円以上を満たしているので、5分間という指定期間のカウントがすぐに開始されるが、仮に、5分間500円〜600円の間の価格という発火条件を設定すれば、価格が800円から600円に下落するまでは、5分間のカウントは開始されないことになる。
【0179】
また、前記実施形態の注文システム20では、
図2〜
図7に示すように、トライサポート注文として、売買の目標価格を指値とする指値注文(トライ注文)、および譲歩価格で約定させるための切替用の注文(サポート注文)を受け付ける構成とされていたが、本発明は、発火条件を付された切替用の注文(サポート注文)に相当する期間・価格指定注文だけを単独で受け付ける構成としてもよい。
【0180】
さらに、前記実施形態の注文システム20では、
図8〜
図13に示すように、連続注文として、先行注文およびその約定後に発注される同一銘柄の後続注文の双方を受け付ける構成とされていたが、本発明は、発火条件を付された先行注文に相当する期間・価格指定注文だけを単独で受け付ける構成としてもよい。
【0181】
そして、前記実施形態の注文システム20では、
図14〜
図18に示すように、売買の目標価格を指値とする通常の指値注文、当初の損益確定用の予約注文、および予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文を受け付ける構成とされていたが、本発明は、発火条件を付された予約条件価格シフト用の損益確定用の予約注文に相当する期間・価格指定注文だけを単独で受け付ける構成としてもよい。
【解決手段】指定期間および指定価格の組合せで定まる発火条件を注文とともに受け付ける注文受付手段31と、指定価格以上・超過の状態が連続して指定期間保持されるか、または指定価格以下・未満の状態が連続して指定期間保持されるという発火条件の成否を判定する発火条件成否判定処理を実行するか、またはこの処理に加え、発火条件の成立で予約注文を有効にし、さらに予約条件の成否を判定する予約条件成否判定処理を実行する条件成否判定手段32と、発火条件やそれに加えて予約条件が成立したと判定した場合に注文や予約注文を市場へ発注する発注手段33とを設け、注文システム20を構成した。