(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1次成形部材は、一方の端面に前記第2バスバーの外周及び内周の少なくとも一方が当接する前記段部を有し、他方の端面に前記第3バスバーの外周及び内周の少なくとも一方が当接する前記段部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のバスバーユニットの製造方法。
前記段部は、前記バスバーの外周または内周から突出する部位に係合する切欠部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のバスバーユニットの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、3相交流モータを構成するステータ100を示す構成図である。
【0013】
ハウジング101に保持された円環状のステータコア102には、図示しないティースが内周側に突出するように多数形成されている。各ティースには、銅線が巻装されてコイル111〜114、121〜124、131〜134が形成されている。
【0014】
本実施形態では、全部で12個のコイルであってU相コイル111〜114、V相コイル121〜124、W相コイル131〜134が、ステータ100の周方向に沿って環状に配設される。
【0015】
第1U相コイル111及びこれに隣接する第2U相コイル112が、第3U相コイル113及びこれに隣接する第4U相コイル114と対向配置される。さらに、第1V相コイル121及びこれに隣接する第2V相コイル122が、第3V相コイル123及びこれに隣接する第4V相コイル124と対向配置される。さらに、第1W相コイル131及びこれに隣接する第2W相コイル132が、第3W相コイル133及びこれに隣接する第4W相コイル134と対向配置される。
【0016】
図2のバスバーユニット1は、図示しない電源から供給される電流を、外部端子としての、U相端子19、V相端子29、W相端子39をそれぞれ介して、U相コイル111〜114、V相コイル121〜124、W相コイル131〜134に供給する。各相コイル111〜114、121〜124、131〜134は、各相コイル111〜114、121〜124、131〜134の巻線端末117をそれぞれ介してバスバーユニット1と接続されている。さらに、各相の隣接するコイル同士はその巻線端末116が結線されている。
【0017】
第1U相コイル111及び第4U相コイル114の一端は、バスバー10を介してU相端子19に接続される。第1U相コイル111及び第4U相コイル114の他端は、第2U相コイル112及び第3U相コイル113の一端に接続される。第2U相コイル112及び第3U相コイル113の他端は、中性点用バスバー40を介して中性点に接続される。
【0018】
第1U相コイル111と第2U相コイル112は、互いに直列に接続される。第3U相コイル113と第4U相コイル114は、互いに直列に接続される。そして、第1U相コイル111及び第2U相コイル112と、第3U相コイル113及び第4U相コイル114は、U相端子19と中性点との間で互いに並列に接続される。つまり、U相のコイル111〜114は、2直列2並列に接続されている。
【0019】
同様に、第1V相コイル121及び第4V相コイル124の一端は、バスバー20を介してV相端子29に接続される。第1V相コイル121及び第4V相コイル124の他端は、第2V相コイル122及び第3V相コイル123の一端に接続される。第2V相コイル122及び第3V相コイル123の他端は、中性点用バスバー40を介して中性点に接続される。
【0020】
同様に、第1W相コイル131及び第4W相コイル134の一端は、バスバー30を介してW相端子39に接続される。第1W相コイル131及び第4W相コイル134の他端は、第2W相コイル132及び第3W相コイル133の一端に接続される。第2W相コイル132及び第3W相コイル133の他端は、中性点用バスバー40を介して中性点に接続される。
【0021】
バスバーユニット1のU相端子19、V相端子29、W相端子39は、図示しない電源に接続される外部配線に接続されており、この外部配線から電力が供給される。一方、中性点に接続される各コイル112、113、122、123、132、133は、中性点用バスバー40を介して同一電位に集結している。
【0022】
図2は、バスバーユニット1を示す斜視図である。
【0023】
軸Oは、バスバーユニット1及びステータ100の中心線である。以下の説明において、「軸方向」は軸Oが延在する方向、「径方向」は軸Oを中心とする放射方向、「周方向」は軸O回りの方向を意味する。
【0024】
バスバーユニット1は、ステータ100と軸Oについて同心状にステータ100の軸方向端部に設けられる。ステータ100は
図2におけるバスバーユニット1の下側に配置される。バスバーユニット1は、各相に対応するバスバー10、20、30と、中性点を電気的に接続する中性点用のバスバー40と、これら全てのバスバー10、20、30、40を収容するとともに各バスバー10、20、30、40間を電気的に絶縁して所定位置に保持する絶縁性樹脂体50と、から構成される。
【0025】
各バスバー10、20、30、40と絶縁性樹脂体50とは、例えばインサート成形によって一体成形される。絶縁性樹脂体50は、その外周から突出する複数のアーム53がステータ100の外周にある係合部(図示省略)に係合することにより、ステータ100に固定される。
【0026】
図3は、第1〜第4バスバー20、40、30、10を示す斜視図である。
【0027】
バスバーユニット1は、U相コイル111、114に接続される第4バスバー10と、V相コイル121、124に接続される第1バスバー20と、W相コイル131、134に接続される第3バスバー30と、U相コイル112、113、V相コイル122、123、及びW相コイル132、133に接続される中性点用の第2バスバー40と、を備える。
【0028】
第1〜第4バスバー20、40、30、10はそれぞれ、板厚方向が軸方向に一致するように周方向に沿って延設される本体部21、41、31、11と、この本体部21、41、31、11の外周から径方向外側に突出する複数の突出部23、43、33、13と、これらの突出部23、43、33、13から折り曲げられ軸方向及び径方向に延設される延設部24、44、34、14と、これらの延設部24、44、34、14の延設方向先端に設けられ各相コイル111〜114、121〜124、131〜134の巻線端末117に接続される接続部28、48、38、18と、を有する。
【0029】
第1〜第4バスバー20、40、30、10は、平板状の導電素材から所定の形状に打ち抜かれた後に、延設部24、44、34、14が突出部23、43、33、13から折り曲げられ、接続部28、48、38、18が延設部24、44、34、14から折り曲げられて形成される。
【0030】
延設部24、44、34、14の打ち抜き幅は突出部23、43、33、13の打ち抜き幅と同等以上に設定され、導電素材の断面積が十分に確保される。
【0031】
本体部21、41、31、11は、板厚方向が軸方向に一致するように周方向に沿って延設される円弧状に形成される。つまり、本体部21、41、31、11の軸方向の厚みは導電素材の板厚であり、径方向の幅は導電素材の打ち抜き幅となる。
【0032】
U相に対応する第4バスバー10は、本体部11から絶縁性樹脂体50の外部まで軸方向に延設され外部配線に接続されるU相端子19を備える。V相に対応する第1バスバー20は、同様にV相端子29を備える。W相に対応する第3バスバー30は、同様にW相端子39を備える。バスバーユニット1は、図示しない電源から供給される電流を、外部端子としての、U相端子19、V相端子29、W相端子39をそれぞれ介して、各相コイル111〜114、121〜124、131〜134に配分する。
【0033】
図4は第2バスバー40の正面図であり、
図5は第2バスバー40の側面図である。
【0034】
第2バスバー40の本体部41は、円環形状の一部が欠けた円弧状であり、第3U
相コイル113に近接する位置から第3V相コイル123に近接する位置にわたって延びる。本体部41の円環形状から欠けた部位には、U相端子19、V相端子29、W相端子39が配置される。なお、これに限らず、本体部41は完全な円環形状に形成してもよい。
【0035】
本体部41の中程には、2つの位置決め部41Cが本体部41を貫通する孔として形成される。後述するインサート成形時に、各位置決め部41Cに第2金型300の支持部材(ピン)311、312を挿入させることによって、第2金型300に対する第2バスバー40の位置決めが行われる(
図20A参照)。
【0036】
本体部41の中程には、2つの位置決め部41Cのまわりに円弧状に延びる延長部41Jがそれぞれ形成される。これにより、本体部41において、延長部41Jを含む部位の打ち抜き幅が他の部位の打ち抜き幅と同等以上に設定され、導電素材の断面積が十分に確保される。
【0037】
第2バスバー40の延設部44は、突出部43からクランク形に延びる帯状に形成され、突出部43に対してステータ100に近づく方向に折り曲げられる。延設部44は、軸方向(ステータ100に近づく方向)に延びる第1軸方向延設部45と、この第1軸方向延設部45から径方向に延びる径方向延設部46と、第1軸方向延設部45が延設される反対側の径方向延設部46の端から第1軸方向延設部45と平行方向(ステータ100から離れる方向)に延設される第2軸方向延設部47と、を有する。
【0038】
延設部44の折り曲げ加工時に、治具(図示省略)に挟持された延設部44が、別の治具(図示省略)に挟持された突出部43に対して直角に折り曲げられる。
【0039】
本体部41では、延設部44に沿って延びる部位の外周41Aがこれに隣接する部位の外周部41Bより小さい外径を有し、延設部44が本体部41の外周41Aに対して間隙を持っている。これにより、折り曲げ加工時に、延設部44を挟持する治具が本体部41に干渉することが回避される。
【0040】
第2軸方向延設部47は、第1軸方向延設部45に対して軸方向に延びる長さが同等に設定される。これにより、接続部48が本体部41に対して軸方向について同じ位置に配置される。
【0041】
6つの接続部48は、第2バスバー40の周方向に所定の間隔をもって配置される。接続部48は、第2軸方向延設部47の径方向先端から突出した部位であり、この部位がフック状に折り曲げられる。
【0042】
図6は第1バスバー20の正面図であり、
図7は第1バスバー20の側面図である。
【0043】
第1バスバー20の本体部21は、半円弧状であり、第1V相コイル121に近接する位置から第4W相コイル134に近接する位置にわたって延びる。
【0044】
本体部21の中程には、2つの位置決め部21Cが本体部21を貫通する孔として形成される。後述するインサート成形時に、各位置決め部21Cに第1金型200の支持部材(ピン)211、212を挿入させることによって、第1金型200に対する第1バスバー20の位置決めが行われる(
図13A参照)。
【0045】
本体部21の中程には、2つの位置決め部21Cのまわりに円弧状に延びる延長部21Jがそれぞれ形成される。これにより、本体部21において、延長部21Jを含む部位の打ち抜き幅が他の部位の打ち抜き幅と同等以上に設定され、導電素材の断面積が十分に確保される。
【0046】
第1バスバー20の延設部24は、突出部23からクランク形に延びる帯状に形成され、軸方向(ステータ100から離れる方向)に延びる第1軸方向延設部25と、この第1軸方向延設部25から径方向に延びる径方向延設部26と、を有する。
【0047】
第1バスバー20は、延設部24に沿って延びる本体部21の外周21Aがこれに隣接する外周部21Bより小さい外径を有し、延設部44が本体部21の外周21Aに対して間隙を持っている。これにより、折り曲げ加工時に、延設部44を挟持する治具が本体部21に干渉することが回避される。
【0048】
延設部24は、突出部23に対してステータ100から離れる方向に折り曲げられることにより、接続部28が本体部21に対して軸方向についてステータ100から離れる方向にオフセットされる。第1軸方向延設部25の寸法が適宜設定されることにより、接続部28は第2バスバー40の接続部48に対して軸方向について同じ位置に配置される。径方向延設部26の寸法が適宜設定されることにより、接続部28は第2バスバー40の接続部48に対して径方向について同じ位置に配置される。
【0049】
2つの接続部28は、第1バスバー20の両端に配置される。接続部28は、径方向延設部26の径方向先端から突出した部位であり、この部位がフック状に折り曲げられる。
【0050】
図8は第4バスバー10の正面図であり、
図9は第4バスバー10の側面図である。
【0051】
第4バスバー10の本体部11は、半円弧状であり、第4U相コイル114に近接する位置から第1U相コイル111に近接する位置にわたって延びる。
【0052】
第4バスバー10の延設部14は、突出部13からクランク形に延びる帯状に形成され、軸方向(ステータ100から離れる方向)に延びる第1軸方向延設部15と、この第1軸方向延設部15から径方向に延びる径方向延設部16と、を有する。
【0053】
延設部14は、突出部13に対してステータ100から離れる方向に折り曲げられることにより、接続部18が本体部11に対して軸方向についてステータ100から離れる方向にオフセットされる。第1軸方向延設部15の寸法が適宜設定されることにより、接続部18は第2バスバー40の接続部48に対して軸方向について同じ位置に配置される。径方向延設部16の寸法が適宜設定されることにより、接続部18は第2バスバー40の接続部48に対して径方向について同じ位置に配置される。
【0054】
2つの接続部18は、本体部11の両端に配置される。接続部18は、径方向延設部16の径方向先端から突出した部位であり、この部位がフック状に折り曲げられる。
【0055】
図10は第3バスバー30の正面図であり、
図11は第3バスバー30の側面図である。
【0056】
第3バスバー30の本体部31は、一部が欠けた円弧状であり、第4U相コイル114に近接する位置から第4W相コイル134に近接する位置にわたって延びる。
【0057】
本体部31の中程には屈曲本体部31Dが形成される。この屈曲本体部31Dは、径方向に延びる線に沿って折れ曲がる2つの屈曲部31E、31Fを有し、その断面がクランク形に屈曲する。
【0058】
本体部31には、屈曲本体部31Dから周方向(
図10にて反時計回り方向)に延びる円弧状の第1本体部31Gと、屈曲本体部31Dから周方向(
図10にて時計回り方向)に延びる円弧状の第2本体部31Hと、が形成される。
【0059】
第1本体部31Gは、後述する第1積層位置にて第4バスバー10と周方向に並んで配置される(
図12参照)。第1本体部31Gの先端に1つの接続部38が配置される。
【0060】
第2本体部31Hは、後述する第2積層位置にて第1バスバー20と周方向に並んで配置される(
図12参照)。第2本体部31Hの中程から1つの接続部38が配置され、第2本体部31Hの先端にW相端子39が配置される。
【0061】
2つの延設部34は、突出部33からクランク形に延びる帯状に形成され、軸方向(ステータ100から離れる方向)に延びる第1軸方向延設部35と、この第1軸方向延設部35から径方向に延びる径方向延設部36と、を有する。
【0062】
第2本体部31Hは、延設部34に沿って延びる部位の外周31Aがこれに隣接する部位の外周部31Bより小さい外径を有し、延設部34が本体部31の外周31Aに対して間隙を持っている。これにより、折り曲げ加工時に、延設部
34を挟持する治具が本体部
31に干渉することが回避される。
【0063】
延設部34は、突出部33に対してステータ100から離れる方向に折り曲げられることにより、接続部38が本体部31に対してステータ100から離れる方向に軸方向についてオフセットされる。
【0064】
第1本体部31Gに設けられる第1軸方向延設部35の軸方向の寸法H1は、第2本体部31Hに設けられる第1軸方向延設部35の寸法H2より小さく設定される。両者の寸法差(H2−H1)は、第1積層位置と第2積層位置が軸方向に離間する長さに等しくなるように設定される。これにより、第1本体部31Gに設けられる接続部38と、第2本体部31Hに設けられる接続部38とは軸方向について同じ位置に配置される。そして、各接続部38は、第2バスバー40の接続部48に対して軸方向について同じ位置に配置される。
【0065】
接続部38は、径方向延設部36の径方向先端から突出した部位であり、この部位がフック状に折り曲げられる。
【0066】
径方向延設部36の寸法が適宜設定されることにより、各接続部38は第2バスバー40の接続部48に対して径方向について同じ位置に配置される。
【0067】
なお、接続部28、48、38、18は、上述したようにフック状に折り曲げられる形状に限らず、他の形状としてもよい。
【0068】
図12は第1〜第4バスバー20、40、30、10を各積層位置に組み付けた状態を示し、絶縁性樹脂体50を省略した斜視図である。
【0069】
バスバーユニット1には、ステータ100に対して軸方向に離間した第1積層位置、第2積層位置、第3積層位置が順に設けられる。ステータ100に対して最も近い第1積層位置には、第4バスバー10の本体部11が配置される。ステータ100に対して次に近い第2積層位置には、第1バスバー20の本体部21が配置される。第3バスバー30の本体部31は、第1積層位置と第2積層位置にわたって配置される。ステータ100に対して最も遠い第3積層位置には、第2バスバー40の本体部41が配置される。
【0070】
第3バスバー30では、クランク状に屈曲する屈曲本体部31Dが第1積層位置と第2積層位置にわたって配置される。
【0071】
屈曲本体部31Dから円弧状に延びる第1本体部31Gは、第1積層位置にて第4バスバー10の本体部11と周方向に並んで配置される。第1本体部31Gは、第4バスバー10の本体部11と周方向に離間しているので、両者は絶縁状態に保持される。
【0072】
第1本体部31Gの一部は、第1バスバー20の本体部21と重なり合うように配置される。第1本体部31Gは、第1バスバー20の本体部21と軸方向に離間しているので、両者は絶縁状態に保持される。
【0073】
屈曲本体部31Dから円弧状に延びる第2本体部31Hは、第2積層位置にて第1バスバー20の本体部21と周方向に並んで配置される。第2本体部31Hは、第1バスバー20の本体部21と周方向に離間しているので、両者は絶縁状態に保持される。
【0074】
第2本体部31Hの一部は、第4バスバー10の本体部11と重なり合うように配置される。第2本体部31Hは、第4バスバー10の本体部11と軸方向に離間しているので、両者は絶縁状態に保持される。
【0075】
こうして第3バスバー30の本体部31は、その第1本体部31Gが第4バスバー10と本体部11と共に第1積層位置に配置されるとともに、その第2本体部31Hが第1バスバー20の本体部21と共に第2積層位置に配置される。これにより、バスバーユニット1は、第3バスバー30の本体部31が配置される積層位置を独立して設けられるものに比べて、軸方向寸法を小さくすることができる。
【0076】
次に、バスバーユニット1をインサート成形する工程について説明する。バスバーユニット1は、以下の各工程を行うことによって製造される。
・第1バスバー20を第1金型200内に配設する1次セット工程(
図13A参照)。
・第1金型200内に絶縁性樹脂材を注入して1次成形部材60(
図14〜
図16参照)をインサート成形する1次成形工程(
図13B参照)。
・第4バスバー10及び第3バスバー30と第2バスバー40との間に1次成形部材60を挟むように積層したものを第2金型300内に配設する2次セット工程(
図20A参照)。
・第2金型300内に絶縁性樹脂材を注入してバスバーユニット1(2次成形部材)をインサート成形する2次成形工程(
図20B参照)。
【0077】
図13Aは、1次セット工程を説明するための模式図である。第1金型200は、鉛直方向について下方に配置される第1下型201と、上方に配置される第1上型202と、を備える。第1下型201内には、2本の支持部材211、212が上方に突出するように設けられる。この2本の支持部材211、212は、円柱状のピンである。なお、支持部材211、212は、断面が円形のピンに限らず、断面が非円形のピンを用いてもよい。
【0078】
1次セット工程では、第1下型201内に第1バスバー20がセットされるときに、2本の支持部材211、212が第1バスバー20の位置決め部21Cに挿入されることにより、第1金型200に対する第1バスバー20の位置決めが行われる。
【0079】
このように第1下型201に第1バスバー20がセットされた後、第1上型202が第1下型201に対して閉じられる。
【0080】
図13Bは、1次成形工程を説明するための模式図である。1次成形工程では、第1上型202に設けられた注入孔213から加圧された絶縁性樹脂材を注入する。このときに、第1バスバー20は、位置決め部21Cに挿入された2本の支持部材211、212によって支持されているので、絶縁性樹脂材の注入圧によって変形したり、位置ズレしたりすることが防止される。
【0081】
第1金型200内に注入された絶縁性樹脂材が硬化した1次絶縁樹脂体51が第1バスバー20と一体化することによって1次成形部材60が形成される。その後、1次成形部材60が第1金型200から取り外される。1次成形部材60は、第1バスバー20と1次絶縁樹脂体51とからなる。
【0082】
図14は、1次成形部材60を単品の状態で正面方向から見た斜視図である。
図15〜
図16は、1次成形部材60に第2バスバー40、第3バスバー30、第4バスバー10が組み付けられた状態を示すものである。
図15は1次成形部材60を正面方向から見た斜視図であり、
図16は正面図である。
【0083】
図14に示すように、1次成形部材60の1次絶縁樹脂体51は、円盤状をしている。1次成形部材60の正面側に、第2バスバー40の本体部41が当接する環状の第1当接面51Aと、この第1当接面51Aの外周に沿って突出する外リブ51Dと、第1当接面51Aの内周に沿って突出する内リブ51Fと、を有する。
【0084】
図15及び
図16に示すように、第1当接面51Aは、第2バスバー40の本体部41に沿った環状の平面として形成される。
【0085】
外リブ51Dは、その内周に第1段部51Bを有する。この第1段部51Bが第2バスバー40の本体部41の外周に当接する。段部51Bは、第4バスバー40の延長部41Jが係合する切欠部51Xと、突出部43が係合する切欠部51Yを有する。これにより、第2バスバー40は1次成形部材60に対して周方向の位置決めが行われる。
【0086】
内リブ51Fは、その外周に第2段部51Cを有する。この第2段部51Cが第2バスバー40の本体部41の内周に当接する。
【0087】
図17は、1次成形部材60を単品の状態で背面方向から見た斜視図である。
図18及び
図20は、1次成形部材60に第2バスバー40、第3バスバー30、第4バスバー10が組み付けられた状態を示すものである。
図18は1次成形部材60を背面方向から見た斜視図であり、
図19は背面図である。
【0088】
図17に示すように、1次成形部材60の背面側には、第4バスバー10の本体部11及び第3バスバー30の第1本体部31Gが当接する第2当接面51Kと、第3バスバー30の第2本体部31Hが当接する第3当接面51Lと、を有する。第2当接面51Kと第3当接面51Lは、軸方向に段差をもち、両者の間には、軸方向の段部51I、段部51Jが形成される。
【0089】
図18及び
図19に示すように、第2当接面51Kは、第4バスバー10の本体部11及び第3バスバー30の第1本体部31Gに沿った円弧状の平面として形成される。
【0090】
1次成形部材60は、この第2当接面51Kの外周に沿って突出する外リブ51Sと、第2当接面51Kの内周に沿って突出する内リブ51Tと、を有する。
【0091】
外リブ51Sは、その内周に第3段部51Mを有する。この第3段部51Mが第4バスバー10の本体部11の外周及び第3バスバー30の第1本体部31Gの外周に当接する。第3段部51Mは、突出部13、33及び延設部24、44等が係合する部位が切り欠かれている。
【0092】
内リブ51Tは、その外周に第4段部51Nを有する。この第4段部51Nが第4バスバー10の本体部11の内周及び第3バスバー30の第1本体部31Gの内周に当接する。
【0093】
第3当接面51Lは、第3バスバー30の第2本体部31Hに沿った円弧状の平面として形成される。
【0094】
1次成形部材60の背面側には、この第3当接面51Lの外周に沿って突出する外リブ51Wと、第3当接面51Lの内周に沿って突出する内リブ51Zと、を有する。
【0095】
外リブ51Wは、その内周に第5段部51Uを有する。この第5段部51Uが第3バスバー30の第2本体部31Hの外周に当接する。第5段部51Uは、突出部33及び延設部14、44等が係合する部位が切り欠かれている。
【0096】
内リブ51Zは、その外周に第6段部51Vを有する。この第6段部51Vが第3バスバー30の第2本体部31Hの内周に当接する。
【0097】
第3段部51Mと第5段部51Uとは、
図19に示すように同一円周上に延びるが、軸方向の段差をもつ。同様に、第4段部51Nと第6段部51Vとは、同一円周上に延びるが、軸方向の段差をもつ。
【0098】
図20Aは、2次セット工程を説明するための模式図である。第2金型300は、鉛直方向について下方に配置される第2下型301と、上方に配置される第2上型302と、を備える。第2下型301内には、2本の支持部材311、312が上方に突出するように設けられる。この支持部材311、312は、円柱状のピンである。なお、支持部材311、312は、断面が円形のピンに限らず、断面が非円形のピンを用いてもよい。
【0099】
第2セット工程では、第2下型301内に第2バスバー40がセットされるときに、2本の支持部材311、312が第2バスバー40の位置決め部41Cに挿入されることにより、第2金型300に対する第2バスバー40の位置決めが行われる。
【0100】
第2セット工程では、こうして第2バスバー40を所定位置にセットした状態で、第2バスバー40の上に1次成形部材60を載せ、1次成形部材60の上に第3バスバー30及び第4バスバー10を載せる。第3バスバー30は、第1本体部31Gが1次成形部材60の第2当接面51Kに当接して第4バスバー10と周方向に並ぶととともに、第2本体部31Hが1次成形部材60の第3当接面51Lに当接して1次成形部材60内の第1バスバー20と周方向に並ぶように配置される。第3バスバー30の第2本体部31Hの先端と第4バスバー10の本体部11とは、軸方向について離間した状態で重なるように配置される。
【0101】
このようにして第2下型301に第2バスバー40、1次成形部材60、第3バスバー30、第4バスバー10を順に積層した後、第2上型302が第2下型301に対して閉じられる。
【0102】
図20Bは、2次成形工程を説明するための模式図である。第2成形工程では、第2上型302に設けられた注入孔313から加圧された絶縁性樹脂材を注入する。
【0103】
第2成形工程において、第2バスバー40は、位置決め部41Cに嵌合された2本の支持部材311、312によって第2金型300に対して配置されるとともに、本体部41の外周及び内周が第1段部51B及び第2段部51Cに当接して配置され、本体部41の外周が第1段部51Bに当接して配置されている。これにより、絶縁性樹脂材の注入圧によって第2バスバー40が変形したり、位置ズレしたりすることが防止される。
【0104】
なお、絶縁樹脂材の注入圧によって第2バスバー40が付勢される方向が限定される場合には、第1段部51B及び第2段部51Cの一方を廃止してもよい。
【0105】
第3バスバー30は、第1本体部31Gの外周及び内周が1次成形部材60の第3段部51M及び第4段部51Nに当接するとともに、第2本体部31Hの外周及び内周が1次成形部材60の第5段部51U及び第6段部51Vに当接する。これにより、第3バスバー30は、絶縁性樹脂材の注入圧によって変形することが防止される。
【0106】
第4バスバー10は、本体部11の外周及び内周が1次成形部材60の第3段部51M及び第4段部51Nに当接することにより、絶縁性樹脂材の注入圧によって変形することが防止される。
【0107】
なお、絶縁樹脂材の注入圧によって第3バスバー30及び第4バスバー10が付勢される方向が限定される場合には、第3段部51M及び第4段部51Nの一方、段部51U及び段部51Vの一方を廃止してもよい。
【0108】
第2金型300内に注入された絶縁性樹脂材が硬化することによって第2バスバー40、1次成形部材60、第3バスバー30、及び第4バスバー10と一体化した2次絶縁樹脂体52(
図2参照)が形成される。バスバーユニット1の絶縁性樹脂体50は、1次成形工程で形成される1次絶縁樹脂体51と、2次成形工程で1次絶縁樹脂体51のまわりに形成される2次絶縁樹脂体52とからなる。その後に、2次絶縁樹脂体52が第2金型300から取り外される。こうして
図2に示すバスバーユニット1が製造される。
【0109】
以上の実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0110】
本実施形態では、複数のバスバー10、20、30、40を絶縁性樹脂材を用いてインサート成形するバスバーユニット1の製造方法であって、第1バスバー20を第1金型200内に配設する1次セット工程と、第1金型200内に絶縁性樹脂材を注入して第1段部51B、第2段部51Cを有する1次成形部材60をインサート成形する1次成形工程と、1次成形部材60と残りの、第2バスバー40、第3バスバー30、第4バスバー10を第2金型300内に積層して配設する2次セット工程と、第2金型300内に絶縁性樹脂材を注入してインサート成形を実行してバスバーユニット1を形成する2次成形工程と、を行う。2次セット工程では、2次セット工程で配設された第2バスバー40を第2バスバー40の位置決め部41Cが第2金型300の支持部材311、312に嵌合するように配置するとともに、第2バスバー40の外周及び内周の少なくとも一方が1次成形部材60の第1段部51B、第2段部51Cに当接するように配置する。
【0111】
これにより、2次セット工程では、支持部材311、312と第2バスバー40の位置決め部41Cとが嵌合することにより、第2金型300に対する第2バスバー40及び1次成形部材60の位置決めが確実に行われるとともに、第2金型300内に注入される絶縁性樹脂材の圧力によって第2バスバー40の外周、内周が1次成形部材60の第1段部51B、第2段部51Cに当接することにより第2バスバー40の位置ズレが防止される。これにより、バスバーユニット1における第2バスバー40の位置精度が確保される。
【0112】
1次成形部材60は、一方の端面に第2バスバー40の外周及び内周の少なくとも一方が当接する第1段部51B、第2段部51Cを有し、他方の端面に第3バスバー30の外周及び内周の少なくとも一方が当接する第3段部51M、第4段部51N、第5段部51U、第6段部51Vを有する。
【0113】
2次成形工程では、第2金型300内に注入される絶縁性樹脂材の圧力によって軸方向にオフセットされる第1本体部31G及び第2本体部31Hの外周、内周が1次成形部材60に形成された第3段部51M、第4段部51N及び第5段部51U、第6段部51Vに当接することにより、第3バスバー30の位置ズレが防止される。これにより、バスバーユニット1における第3バスバー30の位置精度が確保される。
【0114】
2次成型工程では、第2金型300内に注入される絶縁性樹脂材の注入圧によって軸方向にオフセットされる第1本体部31G及び第2本体部31Hの外周が1次成形部材60に形成された第3段部51M、第5段部51Uに当接することにより、第3バスバー30の位置ズレが防止される。同様に、第2金型300内に注入される絶縁性樹脂材の注入圧によって軸方向にオフセットされる第1本体部31G及び第2本体部31Hの内周が1次成形部材60に形成された第4段部51N、第6段部51Vに当接することにより、第3バスバー30の位置ズレが防止される。これにより、バスバーユニット1における第3バスバー30の位置精度が確保される。
【0115】
外リブ51Dの段部51Bは第2バスバー40の外周から突出する延長部41J、突出部43に係合する切欠部51X、51Yを有することにより、第2バスバー40は1次成形部材60に対して周方向の位置決めが行われる。
【0116】
なお、これに限らず、第2バスバー40の内周から突出する部位を設け、この部位が内リブ51Tの段部51Nに形成された切欠部に係合する構成としてもよい。
【0117】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0118】
例えば、上記実施形態では、位置決め部41C、21Cは、本体部41、21を貫通する孔として形成されているが、本体部41、21の一部を切り欠く部位であったり、あるいは本体部41、21の一部を凹状に窪ませる部位であってもよい。
【0119】
さらに、上記実施形態では、各相に対応する2つのコイル同士を対向配置させ、各相のコイル111〜114、121〜124、131〜134を2直列2並列に接続しているが、3つ以上のコイル同士を対向配置させてもよい。すなわち、3つのコイル同士を対向配置させると3直列2並列となり、4つのコイル同士を対向配置させると4直列2並列となる。
【0120】
さらに、上記実施形態では、12個のコイル111〜114、121〜124、131〜134を有する3相交流モータを例示したが、コイルの個数はこれに限定されない。ステータに設けられるコイルの数が増えることに対応して、第1〜第3バスバーがそれぞれ複数設けられる構成としてもよい。
【0121】
さらに、上記実施形態では、バスバーユニット1において第1〜第4バスバー20、40、30、10を第4バスバー10、第1バスバー20、第3バスバー30、第2バスバー40の順に配設したが、その他の並び順であってもよい。
【0122】
さらに、上記実施形態では、4種類のバスバー10、20、30、40を備える場合について例示したが、モータの種類に応じて3種以下又は5種以上のバスバーを備える構成としてもよい。
【0123】
さらに、上記実施形態では、各相コイルの一端が中性点を介して接続されるスター結線のステータに対応するバスバーユニットについて例示したが、デルタ結線のステータに対応するバスバーユニットであってもよい。その場合には、バスバーユニットが中性点用バスバーを備えないものとなる。
【0124】
さらに、バスバーユニット1の製造方法は、電力によって動力を発生するモータに限らず、動力によって電力を発生するジェネレータにも利用できる。