特許第6190610号(P6190610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190610
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】充電制御装置及びミキサ車
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20170821BHJP
   B60P 3/16 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H02J7/04 L
   H02J7/04 F
   B60P3/16 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-73681(P2013-73681)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-200124(P2014-200124A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2015年11月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 慎介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚弘
【審査官】 坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−149638(JP,A)
【文献】 特開平10−210675(JP,A)
【文献】 特開平09−074611(JP,A)
【文献】 特開2002−125326(JP,A)
【文献】 特開2006−092901(JP,A)
【文献】 特開2001−169406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P3/16
H02J7/00−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機から出力される電力を二次電池に充電する充電制御装置であって、
前記発電機と前記二次電池との間に流れる電力をオンオフ制御するスイッチと、
前記二次電池の温度が前記二次電池の充電による劣化閾値よりも低いか否かを判断する判断部と、
前記判断部により前記二次電池の温度が前記劣化閾値よりも低いと判断された場合には、前記スイッチをオンオフ制御して、断続して前記二次電池を充電させる断続充電制御部と、
を備え、
前記発電機は、直流電流を出力するオルタネータであり、
前記劣化閾値は、前記オルタネータから出力される直流電流値と前記二次電池の定格容量との比から算出される充電レートの上限を示し、前記二次電池の劣化を抑えて連続充電可能な充電レートである許容充電レート前記二次電池の温度との関係に基づいて設定され、
前記断続充電制御部は、前記判断部により前記二次電池の温度が前記劣化閾値以上であると判断された場合は、前記スイッチをオンに制御して、前記二次電池を連続充電させる
ことを特徴とする充電制御装置。
【請求項2】
前記二次電池の温度と前記二次電池の劣化を抑えて連続充電可能な充電レートである許容充電レートとを関連づけたテーブルを記憶する記憶部を備え、
前記断続充電制御部は、前記二次電池の温度に応じて、前記許容充電レートを下回る充電レートで充電を行うことを特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記断続充電制御部は、前記スイッチのデューティー比を制御することにより、断続して前記二次電池を充電することを特徴とする請求項1又は2に記載の充電制御装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の充電制御装置を備えることを特徴とするミキサ車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の充電を制御する充電制御装置及び二次電池を搭載するミキサ車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンによって駆動される発電機が発電する電力を充電するバッテリ(二次電池)と、二次電池の電力によって駆動される電動機と、エンジン又は電動機の動作に基づいて駆動される油圧モータとを備え、エンジン停止時に電動機により駆動された油圧モータによってドラムを回転させるミキサ車が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−301802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、エンジンによって発電機を発電させ、この電力をバッテリに充電する。エンジンが停止しているときには、バッテリの電力を用いて電動機を駆動し、電動機の動力に基づいて油圧モータを駆動して、ドラムの回転を継続することができる。このような構成により、エンジンをアイドリングストップさせることができるので、騒音や排気の低減及び燃費効率の向上が行える。
【0005】
ところで、一般的に、バッテリ温度が低いとき(低温時)に、バッテリを連続充電すると、バッテリが劣化するという問題がある。そのため、このような低温時には、充電レートを低く抑える必要があった。
【0006】
しかしながら、発電機により供給される電流は通常一定であるため、この一定電流による充電レートが、低温時に連続充電してもバッテリの劣化を招くことがない許容充電レートよりも高い場合には、連続充電を行うとバッテリが劣化する。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、二次電池の温度が低い場合にも二次電池の劣化を抑制して充電することができる充電制御装置及びミキサ車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の充電制御装置は、発電機から出力される電力を二次電池に充電する充電制御装置であって、発電機と二次電池との間に流れる電力をオンオフ制御するスイッチと、二次電池の温度が二次電池の充電による劣化閾値よりも低いか否かを判断する判断部と、判断部により二次電池の温度が劣化閾値よりも低いと判断された場合には、スイッチをオンオフ制御して、断続して二次電池を充電させる断続充電制御部と、を備え、発電機は、直流電流を出力するオルタネータであり、劣化閾値は、オルタネータから出力される直流電流値と二次電池の定格容量との比から算出される充電レートの上限を示し、二次電池の劣化を抑えて連続充電可能な充電レートである許容充電レート二次電池の温度との関係に基づいて設定され、断続充電制御部は、判断部により二次電池の温度が劣化閾値以上であると判断された場合は、スイッチをオンに制御して、二次電池を連続充電させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、二次電池の温度が二次電池の充電による劣化防止のための劣化閾値よりも低いと判定した場合は、断続して二次電池に充電させるように構成した。これにより、二次電池の温度が劣化閾値よりも低い場合に、充電レートを下げることができるので、二次電池の劣化を抑制して充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態のミキサ車を示す概略構成図である。
図2】本発明の実施形態のバッテリを中心とした電気回路図である。
図3】本発明の実施形態のバッテリ温度と許容充電レートとの関係の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態のコントローラが実行する充電制御のフローチャートである。
図5】本発明の実施形態のパルス充電及び連続充電の充電電流の波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態のミキサ車1を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態のミキサ車1を示す概略構成図である。
【0013】
ミキサ車1は、走行用のエンジン2の出力により油圧回路10の油圧ポンプ11を駆動して、ドラム4を回転するように構成されている。
【0014】
油圧回路10は、油圧ポンプ11及び油圧モータ12を備える。エンジン2の出力は、例えばスプロケットとチェーンとからなる動力伝達機構3を介して油圧ポンプ11に伝達される。油圧ポンプ11は、エンジン2により回転されることで油圧を発生する。油圧ポンプ11が発生した油圧は油圧モータ12を回転させる。油圧モータ12の回転は、減速機5を介してドラム4に伝達され、ドラム4を回転させる。
【0015】
エンジン2の出力は動力伝達機構3を介して発電機30にも伝達される。発電機30は、エンジン2により回転されることで発電を行う。発電機30により発電された電力は、コントローラ40の制御によってバッテリ50に充電される。バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池により構成される。バッテリ50に充電された電力は、電動モータ61を駆動するときに使用される。
【0016】
油圧回路10には、切換弁63を介して補助油圧回路60が接続されている。補助油圧回路60には、電動モータ61によって駆動される補助油圧ポンプ62が備えられる。補助油圧ポンプ62は、補助油圧回路60内に油圧を発生させる。
【0017】
切換弁63には、補助油圧回路60の油圧を油圧回路10に供給しない中立位置、ドラム4を正転させる正転位置及びドラム4を逆転させる逆転位置の3つの位置が備えられている。切換弁63は、エンジン2が運転されているときは中立位置に切り換えられ、エンジン2が停止した場合は、ドラム4の制御状態に応じて、正転位置又は逆転位置に切り換えられる。
【0018】
次に、以上のように構成されたミキサ車1の動作を説明する。
【0019】
ミキサ車1は、コンクリートプラントにおいてドラム4に生コンクリートが投入され、これを現場へと運搬する。運搬中や打設現場での生コンクリートの排出時にはドラム4を回転させて、生コンクリートを撹拌又は排出する。ドラム4の回転は、前述のようにエンジン2によって回転される油圧ポンプ11の油圧により油圧モータ12を駆動することで行われる。
【0020】
ミキサ車1では、排ガスや騒音を低減させるとともに、燃費効率を向上させるために、例えば、コンクリートプラントでの生コンクリート投入や信号待ち、現場での待機時等の停車時にエンジン2を停止するアイドリングストップが行われる。アイドリングストップ中はエンジン2が停止し、油圧ポンプ11が駆動されないので、そのままではドラム4の回転が停止する。
【0021】
ドラム4の回転の停止を防ぐために、エンジン2の停止中は、補助油圧回路60の補助油圧ポンプ62によって油圧を供給して、ドラム4を回転させる。この場合、コントローラ40は、切換弁63をドラム4の制御状態に応じて正転位置又は逆転位置に切り換え、バッテリ50に充電した電力を用いて電動モータ61を駆動させる。電動モータ61の駆動により補助油圧ポンプ62が回転して補助油圧回路60に油圧が発生する。この油圧は補助油圧回路60から切換弁63を介して油圧回路10へと伝達されて、油圧モータ12を回転させる。これにより、ドラム4が正転又は逆転する。従って、エンジン2をアイドリングストップした場合であっても、ドラム4の回転を維持することができる。
【0022】
前述のように、電動モータ61を駆動するとバッテリ50の電力が消費される。そのため、ミキサ車1では、エンジン2の運転中に、エンジン2の回転により発電機30を発電させ、発電された電力をバッテリ50に充電する。
【0023】
次に、バッテリ50の充電制御について説明する。
【0024】
図2は、本発明の実施形態のバッテリ50を中心とした電気回路41の説明図である。
【0025】
電気回路41には、発電機30とバッテリ50とが第1スイッチ51を介して接続され、バッテリ50と電動モータ61とが第2スイッチ52を介して接続されている。第1スイッチ51及び第2スイッチ52は、FET等の半導体スイッチで構成される。第1スイッチ51には、逆電圧に対する保護のためのダイオード511が並列に接続されていると共に、発電機30の動作によりバッテリ50に逆電流が流れることを防ぐためのダイオード512が直列に接続されている。なお、図2において、実線は電流の流路を示し、点線は制御信号の流れを示す。
【0026】
コントローラ40は、発電機30の発電制御、バッテリ50の充電制御、電動モータ61の駆動制御、及び、第1スイッチ51、第2スイッチ52のスイッチ制御を行う。
【0027】
電気回路41において、エンジン2の駆動により発電機30を発電させてバッテリ50を充電する場合、コントローラ40は、第1スイッチ51を導通状態(ON)とし、第2スイッチ52を非導通状態(OFF)とする。これにより、発電機30とバッテリ50との回路が閉じられ、発電機30が発電した電力がバッテリ50に充電される。
【0028】
一方、バッテリ50の電力によって電動モータ61を駆動する場合、第1スイッチ51を非導通状態(OFF)とし、第2スイッチ52を導通状態(ON)とする。これにより、バッテリ50と電動モータ61との回路が閉じられ、バッテリ50の電力により電動モータ61が駆動される。
【0029】
このように、コントローラ40が第1スイッチ51及び第2スイッチ52の導通状態を切り換えることで、バッテリ50の充電と、電動モータ61の駆動とを切換えることができる。
【0030】
コントローラ40は、バッテリ50からバッテリ温度やバッテリ容量の残容量(SOC:State of Charge)等の充放電状態を取得する。バッテリ50が満充電状態でない場合等には、第1スイッチ51及び第2スイッチ52を切り換えて、発電機30が発電した電力によりバッテリ50を充電する。アイドリングストップによりエンジン2が停止された場合等には、コントローラ40は、第1スイッチ51及び第2スイッチ52を切り換えて、バッテリ50に充電された電力を用いて、電動モータ61を駆動する。
【0031】
ところで、バッテリ50は、一般的に温度に応じて充放電特性が変化することが知られている。特にバッテリ温度が低温の時は、充電レートを低く抑えて連続充電を行わないと、バッテリ50が劣化してしまう。
【0032】
図3は、本発明の実施形態のバッテリ50のバッテリ温度と許容充電レートとの関係の一例を示す説明図である。
【0033】
充電レートとは、バッテリ50に定格電流を供給して定格時間で充電する場合を1Cとし、それよりも電流値が大きい場合は、充電レートが1Cより大きくなり、電流値が小さい場合は充電レートが1Cよりも小さくなる。例えばバッテリ50の定格が40Ahである場合は、充電レートが1Cでは、40Aの電流をバッテリ50に供給することで1時間後に満充電となる。本実施形態では、一例として発電機30は直流電圧を出力するオルタネータにより構成される。この発電機30による充電電流はバッテリ50の定格電流と同じに設定されているので、発電機30からバッテリ50に連続充電を行うときの充電レートは1Cとなる。また、バッテリ50の劣化とは、バッテリ50に充電できる容量の上限が低下することを意味する。
【0034】
図3に示される実線はバッテリ50の温度に対するバッテリ50の許容充電レートを示す。許容充電レートは、そのバッテリ温度における充電レートの上限を示すものであり、そのバッテリ温度において許容充電レートを上回る充電レートで充電を行った場合には、バッテリ50が劣化することを示している。
【0035】
図3において、許容充電レートが1Cとなるバッテリ温度はT1であり、バッテリ温度がT1よりも低くなるにつれて許容充電レートも小さくなる。そのため、バッテリ温度がT1より低い場合は、バッテリ50の劣化防止のため、1C未満の充電を行う必要がある。しかしながら、発電機30は、充電レートが1Cでの充電を行うように設定されており、定格電流よりも小さな電流を出力するように構成されていない。
【0036】
ミキサ車1の通常運転時におけるエンジン2の回転数で発電機30を発電している場合、発電機30からバッテリ50に連続充電するときの充電レートは1Cよりも小さくすることができない。そのため、バッテリ温度がT1よりも低い場合には、発電機30を用いて連続充電すると許容充電レートを超えてしまう。なお、許容充電レートが1C未満となる最大のバッテリ温度T1を、バッテリ50の劣化閾値とする。
【0037】
バッテリ50の劣化を防止するために、発電機30の充電電流を制御できるように、例えばインバータ等の制御回路を備えることも考えられる。しかしながら、この場合は、コストやサイズ、重量が増加するという問題がある。
【0038】
そこで、本実施形態では、次に説明するように、バッテリ温度が劣化閾値T1よりも低い場合に、断続して充電を行うことでバッテリ50の劣化を防ぐように構成した。つまり、コントローラ40は、前述のようにバッテリ温度が劣化閾値T1よりも低い場合は、第1スイッチ51を断続的に切り換え、バッテリ50に対して、連続充電ではなくパルス充電(断続充電)を行う。
【0039】
コントローラ40は、バッテリ50の温度を取得している。コントローラ40は、図3に示すようバッテリ温度と許容充電レートを関連付けたテーブルを予め記憶している。コントローラ40は、このテーブルを記憶する記憶部を有する。コントローラ40は、このテーブルを参照して、現在のバッテリ温度に対応する許容充電レートを取得する。
【0040】
現在のバッテリ温度に対する許容充電レートが1Cよりも大きい場合、すなわち、バッテリ温度が劣化閾値T1よりも高い場合には、コントローラ40は、発電機30が発電した電流をバッテリ50に連続的に供給して、バッテリ50の連続充電を行う。
【0041】
一方、現在のバッテリ温度に対する許容充電レートが1C未満である場合、すなわち、バッテリ温度が劣化閾値T1よりも低い場合には、コントローラ40は、発電機30が発電した電流を断続的にバッテリ50に供給して、バッテリ50のパルス充電を行う。
【0042】
次に、図4を参照して充電制御の詳細について説明する。図4は、本発明の実施形態のコントローラ40が実行する充電制御のフローチャートである。
【0043】
コントローラ40は、ミキサ車1が起動されたときに、図4のフローチャートに示す充電制御処理を実行する。例えばミキサ車1のメインスイッチがONにされた場合にミキサ車1が起動したと判断し、充電制御が実行される。
【0044】
まず、コントローラ40は、ステップS10において、エンジン2が運転中であるか否かを判定する。エンジン2が運転中である場合はステップS20に移行する。一方、エンジン2が、例えばアイドリングストップにより停止されている場合はステップS100に移行する。
【0045】
ステップS20では、コントローラ40は、切換弁63を中立位置に切り換える。このとき、ドラム4はエンジン2の動力に基づいて回転している。ステップS20の処理後、ステップS30において、コントローラ40は、バッテリ50が満充電状態であるか否かを判定する。コントローラ40は、バッテリ50の残容量SOCを常時取得しており、残容量SOCに基づいて満充電状態であるか否かを判定する。なお、満充電状態とは、バッテリ50の残容量SOCが所定値以上である場合を指す。この所定値は、バッテリ50の種類等に応じて適宜設定される。
【0046】
バッテリ50が満充電状態である場合は、バッテリ50への充電は必要ないため、ステップS10に戻り、処理を繰り返す。バッテリ50が満充電状態でない場合は、バッテリ50への充電を行うため、ステップS40に移行する。ステップS40では、コントローラ40は、発電機30による発電制御を実行する。
【0047】
次に、ステップS50に移行し、コントローラ40は、バッテリ50から取得したバッテリ温度が劣化閾値T1未満であるか否かを判定する。
【0048】
バッテリ温度が劣化閾値T1未満であると判定した場合は、ステップS60に移行し、コントローラ40は、バッテリ50に対してパルス充電を行う。具体的には、第1スイッチ51をONにする期間と、第1スイッチ51をOFFにする期間をそれぞれ設定し、このON期間とOFF期間とを繰り返して第1スイッチ51をON/OFFさせる。これにより、発電機30が発電する電力を断続してバッテリ50に供給して、バッテリ50がパルス充電される。この間、第2スイッチ52はOFFに設定される。
【0049】
パルス充電とは、バッテリ50に充電レートが1Cとなる電流を供給する充電期間とバッテリ50に電流を供給しない停止期間とを、所定の断続周期毎に繰り返し行う充電である。図5(A)に示す例では、充電期間を2秒、停止期間を5秒として断続周期を7秒とした場合のパルス充電の充電電流の波形の例を示す。
【0050】
コントローラ40は、第1スイッチ51のON/OFFを制御することで、パルス充電を実行する。具体的には、第1スイッチ51を2秒間ONとして発電機30からの電流をバッテリ50に供給した後、第1スイッチ51を5秒間OFFとしてバッテリ50への充電を停止する。これを繰り返すことによりパルス充電が行われる。なお、パルス充電中は、第2スイッチ52は常にOFFに設定される。
【0051】
このように、コントローラ40が、充電期間と停止期間とを制御してパルス充電を行うことにより、断続周期に対する充電期間の比で表される充電レートで充電を行える。例えば図5(A)の例では、断続周期に対する充電期間が、2/(2+5)=0.28となる。これは、パルス充電によって0.28Cでの連続充電を行った場合と同じ充電レートである。
【0052】
このように、充電レートが1Cでの充電を行うように設定されている発電機30を用いて充電を行うときに、バッテリ温度が劣化閾値T1未満であり許容充電レートが、発電機30の充電レートを下回るような場合であっても、パルス充電を行うことにより、許容充電レート未満での充電が行える。
【0053】
なお、図3に示すように、バッテリ温度が劣化閾値T1未満である場合は、バッテリ温度が低いほど、許容充電レートが低い値となる。コントローラ40は、バッテリ温度に対応する許容充電レートに応じて充電期間と停止期間との比(すなわちデューティー比)を可変させることができるので、バッテリ温度が劣化閾値T1未満である場合に、許容充電レートが低い値となるほどデューティー比が小さくなるように、第1スイッチ51をON/OFF制御してバッテリ50への充電を制御することができる。なお、バッテリ50の温度が劣化閾値T1未満である場合は、バッテリ50の充電レートを許容充電レートと略一致させることが好ましい。これにより、バッテリ50の劣化を抑制しつつ、効率よくかつ早期にバッテリ50の充電を行うことができる。また、バッテリ50の劣化を抑制したい場合には、バッテリ50の充電レートが許容充電レートを下回るように設定することが好ましい。
【0054】
図4のステップS50において、バッテリ温度が劣化閾値T1未満でない場合は、ステップS70に移行し、コントローラ40は、バッテリ50を連続充電させる。具体的には、図2における第1スイッチ51をONに、第2スイッチ52をOFFにそれぞれ設定し、発電機30が発電する電力を連続してバッテリ50に供給して、バッテリ50が連続充電される。
【0055】
この場合は、図5(B)に示すように、発電機30から供給される電流が、充電レート1Cでバッテリ50に連続して充電される。
【0056】
これらステップS60及びS70の処理の後、コントローラ40は、再度ステップS10の処理に戻る。
【0057】
ステップS10において、コントローラ40が、エンジン2が停止されたと判定した場合は、ステップS100の処理が実行される。コントローラ40は、切換弁63をドラム4の制御状態に応じて正転位置又は逆転位置に切り換えて、補助油圧回路60の油圧が油圧回路10に供給されるように設定する。
【0058】
ステップS110において、コントローラ40は、バッテリ50の電力によって電動モータ61を駆動させる。このとき、コントローラ40は、第1スイッチ51をOFFに、第2スイッチ52をONにそれぞれ設定して、バッテリ50と電動モータ61との回路を接続して電動モータ61を駆動させる。電動モータ61の駆動により補助油圧ポンプ62が回転して補助油圧ポンプ62から吐出された作動油が切換弁63を介して油圧回路10へと供給されて、油圧モータ12を正転又は逆転させる。
【0059】
このステップS110の処理により、エンジン2が停止した状態であっても、ドラム4の回転を継続することができる。このステップS110の処理の後、ステップS10に戻り、処理を繰り返す。
【0060】
以上のように、本発明の実施形態は、電力発生源である発電機30からの電力を二次電池であるバッテリ50に充電する充電制御装置(コントローラ40)であって、コントローラ40は、バッテリ50の温度を検出し、検出された温度が、バッテリ50を充電させるときの劣化防止のための劣化閾値T1よりも低いか否かを判断する判断部として構成されると共に、判断部によりバッテリ50の温度が劣化閾値T1よりも低いと判断された場合には、断続してバッテリ50を充電させる断続充電制御部を有する。また、コントローラ40は、判断部によりバッテリ50の温度が劣化閾値T1以上であると判断された場合には、連続してバッテリ50を充電させる連続充電制御部を有する。
【0061】
このような構成により、バッテリ温度が劣化閾値T1よりも低い場合は、バッテリ50を断続的に充電することにより、充電期間と停止期間とのデューティー比で表される充電レートが、許容充電レート未満となるように充電を行うことができるので、バッテリ温度が低い場合にも、バッテリ50を劣化させないように充電を行うことができる。
【0062】
また、エンジン2によりバッテリ50を充電することで、できるだけバッテリ50の充電容量を高めながら、ドラム4の回転を停止することなくエンジン2をアイドリングストップさせることができる。これにより、騒音や排気の低減、及び、燃費効率の向上が行える。また、発電機30の電流を制御できるようなインバータ等の制御回路を備える必要がなく、コストやサイズ、重量を増加させない。
【0063】
また、バッテリ50を断続して充電を行う場合は、半導体スイッチである第1スイッチ51及び第2スイッチ52を制御することにより行われる。半導体スイッチによるON/OFF制御により電力の損失が少なく、簡易な構成により断続して充電を行うことができる。
【0064】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【0065】
上記実施形態において、バッテリ50の充電を、エンジン2に駆動されて発電を行う発電機30としたが、これに限られない。例えばプラントや待機現場、打設現場等において、商用電源等の外部の電源を電力発生源とし、外部の電源によりバッテリ50を充電してもよい。この場合にも、バッテリ温度が劣化閾値未満である場合に、前述のように断続充電を行うことができる。
【0066】
また、上記実施形態では、発電機30が供給する電流がバッテリ50の定格電流となるように設定して、充電レートが1Cで充電を行うとしたが、これに限られない。発電機30が供給する電流を1C以上に設定してもよい。この場合は、発電機30により供給される電流によって連続充電したときの充電レートが、図3に示す許容充電レートを超えないように、パルス充電制御が実行される。
【符号の説明】
【0067】
1 ミキサ車
2 エンジン
4 ドラム
10 油圧回路
11 油圧ポンプ
12 油圧モータ
30 発電機
40 コントローラ(判断部、断続充電部、記憶部)
50 バッテリ
51 第1スイッチ
52 第2スイッチ
60 補助油圧回路
61 電動モータ
62 補助油圧ポンプ
63 切換弁
図1
図2
図3
図4
図5