(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190617
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】エアーコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
F04B39/00 106Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-89709(P2013-89709)
(22)【出願日】2013年4月22日
(65)【公開番号】特開2014-214617(P2014-214617A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】591181160
【氏名又は名称】尼寺空圧工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166039
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 款
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 修
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸山 直己
【審査官】
所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−226238(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/015764(WO,A1)
【文献】
特開2005−84772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
G06K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波法認証の対象となるモジュールで構成され、近距離無線通信によりユーザの情報記録媒体から情報を受信する通信モジュールと、
電波法認証の対象外の装置で構成され、前記通信モジュールを介して前記ユーザの情報記録媒体から受信した情報に基づいて、エアーコンプレッサのセキュリティ設定を変更するとともに、エアーコンプレッサの機器情報を前記ユーザの情報記録媒体に送信する機器管理装置と、を具備し、
前記通信モジュールは、前記機器管理装置の主回路基板とは異なる別体の回路基板に搭載されている、ことを特徴とするエアーコンプレッサ。
【請求項2】
前記通信モジュールは、前記機器管理装置の主回路基板に対してコネクタを介して着脱自在に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載のエアーコンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離無線通信によりユーザの情報記録媒体から情報を受信可能な通信モジュールを備えたエアーコンプレッサの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
圧縮エアーを生成する装置としてエアーコンプレッサが一般的に知られており、工事現場などでの釘打ち作業に用いられている。
【0003】
例えば特許文献1に開示されたエアーコンプレッサは、圧縮エアーを生成する圧縮装置と、その圧縮エアーを貯留するエアータンクとで構成されている。圧縮装置は、カバーに覆われた状態でエアータンクの上に載置固定されている。圧縮装置を支えるエアータンクは、一般的に2本のボンベからなり、並列状態で配置されている。
【0004】
この種のエアーコンプレッサの多くは可搬型の機器として構成されており、持ち運び用の手持ちハンドルを具備しているなど、持ち運び易さがある程度考慮された設計となっている。そして、このようなエアーコンプレッサは、その高い機能性のために、釘打ち作業などを要する工事現場や建設現場で広く一般的に用いられている。
【0005】
しかしながら、工事現場や建設現場の多くはセキュリティが緩く、関係者以外の者(例えば窃盗目的の者や不審者)でも比較的容易に出入りできる場合が多い。そのため、持ち運び易くて高価格の作業機器である可搬型のエアーコンプレッサは、窃盗者から特に目を付けられ易く、転売目的での盗難が後を絶たないといった問題があり、これまでに数多くの盗難被害が報告されている。(「持ち運び易い」「高価格」という特徴を備えているため、他の工具類や機器などに比べて盗難に遭う確率が著しく高い。)特に、昼休みなどの休憩中や夜間に現場に放置したままにすると、現場周囲のひと気が少なくなることが多いため、盗難確率が極めて高くなるといった問題がある。
【0006】
そこで上述した問題点に鑑み、エアーコンプレッサに
図3に示すような機器管理装置(セキュリティ管理装置)を具備させることが本願出願人によって提案されている。このエアーコンプレッサの機器管理装置では、MCUや無線チップなどが同じ電子回路基板(マザーボード/メインボード)に実装されており、これらのMCUと無線チップなどは、当該回路基板のプリント配線を介して電気的に接続されている。(なお、
図3に示すエアーコンプレッサは、本願の出願時において未公開である。)
【0007】
この無線通信機能を備えたエアーコンプレッサでは、機器管理装置の無線チップが、ユーザの携帯電話などに内蔵の非接触ICタグ(或いは貼り付けたNFCチップ)から鍵情報などを受信し、続いてMCUがセキュリティ認証を行って、認証に成功した場合にのみセキュリティを解除して圧縮装置の駆動を許可するようになっている。このようなセキュリティ手段をエアーコンプレッサに持たせることで、盗難抑止効果が働き、エアーコンプレッサの盗難防止につながることが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−096141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図3に示すような無線チップが実装された電子回路基板は、その回路基板に係る回路全体が「電波を発する無線設備」を構成しているといえる。そのため、このような無線チップを具備するエアーコンプレッサを使用するにあたっては、無線チップなどが実装された電子回路基板(当該回路基板に係る回路設計の全体)について、電波法認証を取得する必要がある。すなわち、このような無線チップなどが実装された回路基板を具備するエアーコンプレッサを製造販売する場合には、その製造者や販売者は、当該回路基板に係る回路設計について、電波法認証(電波法に定める技術基準に適合していることの証明)を取得する必要があるといえる。
【0010】
しかしながら、本願出願人によって提案された無線通信機能を備えたエアーコンプレッサは、新たな技術思想であるため、今後、改良のための設計変更(無線チップ等が実装された主要電子回路基板の設計変更)が繰り返されることが想定される。そのような回路設計の変更を行うと、その都度、当該回路設計の全体について電波法認証(再認証)の取得が必要となる。また、無線チップなどの無線通信機能に関わりのない設計部分(例えば回路基板の大きさ)について設計変更を行った場合でも、あらためて電波法認証の取得が必要となる。
【0011】
このような電波法認証の取得には多くの時間と手間がかかるため、「無線通信機能を備えたエアーコンプレッサ」という新たな技術を今後も更に発展させ、これをユーザに円滑に提供するために、電波法認証の取得の手間を軽減できる新たな手段が望まれていた。
【0012】
そこで、かかる問題点に鑑み、本発明の目的は、電波法認証の取得の手間を軽減又は無くすことができる、近距離無線通信機能付きのエアーコンプレッサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的は、
近距離無線通信によりユーザの情報記録媒体から情報を受信する通信モジュールと、
前記通信モジュールを介して前記ユーザの情報記録媒体から受信した情報に基づいて、エアーコンプレッサの設定を変更し、またはエアーコンプレッサに関する情報を前記ユーザの情報記録媒体に送信する機器管理装置とを具備し、
前記通信モジュールが、前記機器管理装置の主回路基板とは異なる別体の回路基板(近距離無線通信専用の回路基板)に搭載されている、
無線通信機能付きエアーコンプレッサによって達成される。
【0014】
また上記目的は、
電波法認証の対象である通信モジュールと、電波法認証の対象外である機器管理装置と、を具備し、
前記通信モジュールは、前記機器管理装置の主回路基板とは異なる別体の回路基板に搭載され、
前記機器管理装置は、前記通信モジュールを介して前記ユーザの情報記録媒体から受信した情報に基づいて、エアーコンプレッサの設定を変更し、またはエアーコンプレッサに関する情報を前記ユーザの情報記録媒体に送信するように構成されている、
無線通信機能付きエアーコンプレッサによって達成される。
【0015】
このエアーコンプレッサが具備する通信モジュールは、前記機器管理装置の主回路基板に対してコネクタと信号線を介して着脱自在に接続されていることが好ましい。
【0016】
このように本発明のエアーコンプレッサでは、無線通信を担う電子回路(電波法認証の対象)が、他の回路基板から切り離された独立した電子回路として構成され、機器内に組み込まれている。
【0017】
なお上記構成のエアーコンプレッサにおいて、「ユーザ」とは、コンプレッサの所有者や管理者に限定されず、コンプレッサを作業現場で単に利用するだけの者も含まれる。
【0018】
「情報記録媒体」とは、例えば近距離無線通信機能を備えた情報記録媒体であって、具体例としては、非接触ICカードや、ユーザの所持品に貼り付け可能なシールタイプの非接触ICタグ、スマートフォンや携帯電話などに内蔵の非接触ICチップなどが挙げられる。
【0019】
ユーザの情報記録媒体からエアーコンプレッサ側へ送信される「情報」とは、例えば、当該情報記録媒体に割り当てられた固有の識別情報などが該当し、具体例としては、固有のIDコードや鍵情報などが挙げられる。
【0020】
エアーコンプレッサ側からユーザの情報記録媒体へ送信される「エアーコンプレッサに関する情報」とは、エアーコンプレッサの機器情報であって、例えば、コンプレッサの識別情報、コンプレッサの稼働時間、コンプレッサの使用履歴、コンプレッサの情報処理履歴、コンプレッサのアラーム情報(何らかの不具合が発生した場合に、その内容や原因を知らせる情報)、コンプレッサのアラーム履歴(不具合発生の履歴)、メンテナンス情報、コンプレッサのメンテナンス履歴(修理履歴)、コンプレッサへのアクセスログ、セキュリティのON/OFF状態、セキュリティ設定の有効/無効、登録された情報記録媒体の識別情報などが挙げられる。
【0021】
「エアーコンプレッサの設定を変更」とは、例えばコンプレッサのセキュリティ設定の変更が該当し、具体例としては、コンプレッサのセキュリティを一時的に解除すること、一時的に解除されたセキュリティを再設定すること、コンプレッサのセキュリティを無効化すること、無効化されたセキュリティを有効化することなどが挙げられる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のエアーコンプレッサでは、近距離無線通信装置をなす通信モジュールが、機器管理装置の主要電子回路基板(マザーボード/メインボード)とは異なる別体の回路基板に搭載されている。このように、無線通信手段を通信モジュールで構成し、機器管理装置の主回路基板から切り離された別体の通信専用装置として構成することで、機器管理装置自体は「無線設備」を構成しなくなるので、機器管理装置について電波法認証を取得する必要がなくなる。
【0023】
したがって、機器管理装置の設計変更を行うたびに電波法認証を取得する必要がなくなるので、その分手間が省けて、低コストでの製造が可能になり、また、新たな製品をスピーディにユーザに提供できるようになる。
【0024】
また、近距離無線通信装置を、機器管理装置の主回路基板とは別体の通信モジュールで構成することで、通信モジュールの設計変更が必要なときにだけ、電波法認証を受ければ足りる。したがって、通信モジュールの設計変更を伴わない改良を行う場合には、電波法認証の取得が不要になる。
【0025】
また本発明では、通信モジュールは、機器管理装置に対してコネクタと信号線を介して着脱自在に接続されているので、機器管理装置側の設計変更を伴うことなく、通信モジュールだけを改良することが可能になる。その場合に、電波法認証を取得済みの通信モジュールを組み込むようにすれば、エアーコンプレッサのメーカや販売者は電波法認証の手間を一切省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】近距離無線通信機能を備えた本発明のエアーコンプレッサと、ユーザが所持する情報処理媒体(携帯電話に内蔵のNFCチップ)を示すブロック図である。
【
図2】
図1のエアーコンプレッサが具備する機器管理装置と無線通信モジュールの回路構成を概略的に示す図である。
【
図3】近距離無線通信機能を備えたエアーコンプレッサと、ユーザが所持する情報処理媒体(携帯電話に内蔵のNFCチップ)を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(概要)
図1に、近距離無線通信機能を備えた本発明のエアーコンプレッサと、該コンプレッサと近距離無線通信を行うNFCチップを内蔵した携帯電話を示す。
【0028】
エアーコンプレッサ(以下「コンプレッサ」と略称する。)は、圧縮エアーを生成するための機器である。このコンプレッサは、主として、圧縮エアー生成の役割を担う圧縮装置と、コンプレッサのセキュリティ制御や機器情報の管理などを担う機器管理装置と、ユーザ側のNFCチップとの間で近距離無線通信を行ってIDコードなどの識別情報を受信するNFCモジュール(通信モジュール)を具備している。
【0029】
NFCチップは、コンプレッサ側のNFCモジュールに近接させることで、該NFCモジュールとの間で近距離無線通信を自動的に実行するように構成されている。このNFCチップのメモリ領域には、固有の識別情報(例えばIDコードなど)が記録されている。この固有の識別情報は、コンプレッサ側のNFCモジュールと無線通信を行う際に読み出され、機器管理装置においてセキュリティ認証などに利用される。
【0030】
次に、コンプレッサの各部の具体的構成について説明する。
【0031】
(圧縮装置)
コンプレッサの圧縮装置は、
図1に示すように、圧縮エアー生成用のピストンを駆動するためのモータと、該モータを制御するとともに、機器管理装置側MCUとの間で制御信号等の送受信を行う制御手段であるMCUを有している。
【0032】
(機器管理装置)
コンプレッサの機器管理装置は、
図1に示すように、各種ガイダンスやセキュリティ情報などを表示する情報表示部と、I/O手段としてのスイッチやLEDと、上記各部を制御するMCUを有している。コンプレッサ側の情報表示部の具体例としては、例えば、7セグメントディスプレイ、LED、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどが挙げられる。I/O手段はスイッチやLEDに限定されず、入力用のタッチパネルや、警告音を出力するためのスピーカーなど、他のI/O手段を採用することも可能である。
【0033】
情報表示部には、数字やアルファベットなどを表示することができ、機器の状態や操作状況に応じて、各種ガイダンスやセキュリティ情報などを簡易的に表示する。例えば、誤操作や誤作動などに起因するアラームが生じた場合には、「E1」、「E2」などのエラーを示す簡易ガイダンスが表示され、機器を熟知したユーザであれば、その簡易表示の内容からアラームの事実と内容を把握することが可能になる。
【0034】
機器管理装置のMCUは、各種情報を記録するメモリを内蔵し、圧縮装置側のMCUとの間で制御信号の送受信などを行う。このMCUのメモリには、各ユーザのNFCチップの識別情報などが記録される。このようにMCUにNFCチップの識別情報を登録させることで、例えば該NFCチップをコンプレッサのセキュリティキーとして機能させることが可能になる。
【0035】
機器管理装置のMCUの主な役割としては、例えば、NFCチップと無線通信した際にセキュリティキー認証を実行し、その認証に成功した場合に限って、当該機器の電子的な施錠や解錠を許可することなどが挙げられる。
【0036】
本実施形態において、この機器管理装置に含まれるMCU、LED、スイッチ、情報表示部などは、
図2に示すように主要電子回路基板(マザーボード/メインボード)上に実装されている。この主要電子回路基板(以下「主回路基板」と略称する)には、NFCモジュールなどを接続するためのコネクタが設けられている。
【0037】
なお、
図2に示す実施形態では一例として、MCU、LED、スイッチ、情報表示部のすべてを同一回路基板上に実装しているが、LED、スイッチ、情報表示部を副回路基板に実装して、MCUが実装された主回路基板に対して、バスラインとコネクタを介して電気的に接続してもよい。
【0038】
(NFCモジュール)
コンプレッサのNFCモジュール(Near Field Communication Module/通信モジュール)は、本発明の要部の一つであって、ユーザのNFCチップと近距離無線通信を行うための無線通信手段である。このNFCモジュールは、ユーザのNFCチップとの間で近距離無線通信を行うためのアンテナと、NFCチップに対する情報の読み出しや書き込みの指示を送信するCPU等からなるコントローラを具備し、主としてユーザのNFCチップに対するリーダ/ライタとして機能するように構成されている。
【0039】
このNFCモジュールは、
図2に示すように、機器管理装置の主回路基板とは異なる別体の回路基板に搭載されている。また、このNFCモジュールは、機器管理装置の主回路基板に対してコネクタ及び信号線を介して着脱自在に接続されている。
【0040】
このように、無線通信手段をNFCモジュールで構成し、機器管理装置の主回路基板から切り離された別体の通信専用装置として構成することで、機器管理装置自体は「無線設備」を構成しなくなるので、機器管理装置について電波法認証を取得する必要がなくなる。したがって、機器管理装置の設計変更を行うたびに電波法認証を取得する必要がなくなるので、その分手間が省けて、低コストでの製造が可能になり、また、新たな製品をスピーディにユーザに提供できるようになる。
【0041】
また、近距離無線通信装置を、機器管理装置の主回路基板とは別体のNFCモジュールで構成することで、NFCモジュールの設計変更が必要なときにだけ、電波法認証を受ければ足りる。したがって、NFCモジュールの設計変更を伴わない改良を行う場合には、電波法認証の取得が不要になる。
【0042】
また本発明では、NFCモジュールは、機器管理装置に対してコネクタ及び信号線を介して着脱自在に接続されているので、機器管理装置側の設計変更を伴うことなく、NFCモジュールだけを改良することが可能になる。その場合に、電波法認証を取得済みのNFCモジュールを組み込むようにすれば、コンプレッサのメーカは電波法認証の手間を一切省くことができる。
【0043】
(ユーザのNFCチップ)
図1に示すNFCチップは、ユーザが所持可能な情報記録媒体の一例である。このNFCチップは、コンプレッサによって読み取り可能な固有の識別情報(例えばIDコード)が記録されたメモリと、コンプレッサ側のNFCモジュールと無線通信を行うためのアンテナを具備している。
【0044】
このような構成のNFCチップは、例えばユーザが所持する携帯電話やスマートフォンなどに内蔵されている。なおこの出願において「ユーザ」とは、コンプレッサの所有者や管理者に限定されず、コンプレッサを作業現場で単に利用するだけの者も含まれる。
【0045】
NFCチップに記録された識別情報は、コンプレッサ側のNFCモジュールと無線通信を行う際に読み出されて、該NFCモジュールへ送信され、機器管理装置において認証等に利用される。具体的には、コンプレッサの設定を変更する際や、コンプレッサに関する情報を受信する際に、コンプレッサ側で読み出されて認証に用いられる。認証に通過した場合にのみ、当該コンプレッサの設定変更や、当該コンプレッサに関する情報の送信(情報記録媒体への送信)が許可されるようになっている。
【0046】
コンプレッサの設定変更とは、例えばセキュリティ設定の変更が該当し、具体例としては例えば次に挙げるようなセキュリティ設定の変更が挙げられる。
・ コンプレッサのセキュリティを一時的に解除すること。
・ 一時的に解除されたセキュリティを再設定すること。
・ コンプレッサのセキュリティを無効化すること。
・ 無効化されたセキュリティを有効化すること。
【0047】
コンプレッサに関する情報とは、当該コンプレッサの状態・設定・履歴など、当該機器に関連する様々な情報(すなわち機器情報)である。具体的にはこの機器情報には、主として、個体情報、メンテナンス情報、セキュリティ情報などが含まれ、さらに、これらの情報は、それぞれ次の(1)〜(3)に挙げるような情報を含んで構成される。
【0048】
(1)個体情報
・コンプレッサの識別情報
・コンプレッサの稼働時間
・コンプレッサの使用履歴
・コンプレッサの情報処理履歴
・コンプレッサのアラーム情報(何らかの不具合が発生した場合に、その内容や原因を
知らせる情報)
・コンプレッサのアラーム履歴(不具合発生の履歴)
などを含む。
【0049】
(2)メンテナンス情報
コンプレッサのメンテナンス履歴(修理履歴)などを含む。
【0050】
(3)セキュリティ情報
・コンプレッサへのアクセスログ
・セキュリティのON/OFF状態
・セキュリティ設定の有効/無効
・登録された情報記録媒体の識別情報
などを含む。
【0051】
なお、本実施形態では、ユーザの情報記録媒体の一例として「携帯電話に内蔵のNFCチップ」を例示したが、情報記録媒体の種類はこれに限定されない。例えば、非接触ICカードや、ユーザの所持品に貼り付け可能なシールタイプの非接触ICタグなどで情報記録媒体を構成してもよい。すなわち、NFCモジュールと無線通信可能な情報記録媒体はすべて、この出願でいう「情報記録媒体」に含まれる。
【0052】
また本発明において、コンプレッサの設定変更などに用いられる識別情報は特に限定されず、例えば、NFCチップの製造時に当該タグに対して割り当てられた固有のIDコードを、セキュリティ認証用の識別情報として利用できる。或いは、セキュリティ認証用の識別情報(鍵情報)を、コンプレッサ側からNFCチップのICチップに書き込むとともに、該コンプレッサのMCUに登録し、以後この識別情報(鍵情報)をセキュリティ認証に用いることもできる。これらのIDコードや鍵情報はすべて、識別情報の具体例に含まれる。
【0053】
(機器管理装置とNFCモジュールによる処理例)
例えば、電子的に施錠された状態にある上記構成のコンプレッサを稼働させるときには、コンプレッサ側に登録済みのNFCチップを機器管理装置のNFCモジュール近傍にかざす(タッチする又は近づける)。これにより、NFCモジュールとNFCチップとの間で近距離無線通信が自動的に実行されて、該NFCチップからその識別情報が読み出され、機器管理装置に送られる。そして、機器管理装置での認証が成功すると、コンプレッサが解錠されるとともに圧縮装置の駆動が許可されて、その結果、以後は自由に圧縮装置を駆動できるようになる。