特許第6190644号(P6190644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6190644-車両用バッテリパックおよび車両 図000002
  • 特許6190644-車両用バッテリパックおよび車両 図000003
  • 特許6190644-車両用バッテリパックおよび車両 図000004
  • 特許6190644-車両用バッテリパックおよび車両 図000005
  • 特許6190644-車両用バッテリパックおよび車両 図000006
  • 特許6190644-車両用バッテリパックおよび車両 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190644
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】車両用バッテリパックおよび車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/613 20140101AFI20170821BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20170821BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20170821BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20170821BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20170821BHJP
   H01M 10/6566 20140101ALI20170821BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20170821BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20170821BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20170821BHJP
   B60K 6/28 20071001ALI20170821BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/647
   H01M10/6556
   H01M10/6563
   H01M10/6566
   H01M2/10 S
   H01M2/10 E
   H01M2/10 K
   B60K1/04 Z
   B60K6/48
   B60K6/28
   B60K11/06
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-143197(P2013-143197)
(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2015-18619(P2015-18619A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成毛 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】稲越 賢司
(72)【発明者】
【氏名】本吉 拓弥
【審査官】 高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−185778(JP,A)
【文献】 特開2009−012570(JP,A)
【文献】 特開2004−273237(JP,A)
【文献】 特開2007−234370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K1/00−8/00,
B60K11/00−11/08,
H01M2/10,
H01M10/52−10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを収容し、吸気口および排気口を有するハウジングと、
回転することにより前記複数の電池セルを冷却するブロワファンと、
を有し、
前記ハウジングは、円板形状の上面部、円板形状の下面部および円筒形状の側面部による中空の箱形状を有し、
前記吸気口は、円板形状の前記上面部の中央に形成され、
前記排気口は、円板形状の前記下面部の中央に形成され、
中空の箱形状の前記ハウジングの内部に、前記複数の電池セル互いに離間して円周状に配列されるとともに記ブロワファンがその中央に載置される中敷き部が、前記下面部から離して設けられ、
前記中敷き部の全体若しくは外周部がメッシュ構造を有し、
前記ブロワファンの上方に前記吸気口が形成され、
前記複数の電池セルが円周状に配列される前記中敷き部の外周と、前記円筒形状の側面部の内面との間には、それらの全周にわたって隙間が形成され、
前記ブロワファンは、前記中敷き部の中央において、半径方向外向きの空気流を発生する、
車両用バッテリパック。
【請求項2】
前記中敷き部は、全体がメッシュ構造に形成されている、
請求項1記載の車両用バッテリパック。
【請求項3】
前記ハウジングは、
前記側面部が円筒形状に形成され、車両のスペアタイヤの積載スペース内または前記積載スペースに搭載されたスペアタイヤ内に設置できる、
請求項2記載の車両用バッテリパック。
【請求項4】
前記複数の電池セルの各々は、薄板形状の外形を有し、
前記複数の電池セルは、前記ブロワファンの回転の半径方向に沿って延在する向きで、前記ブロワファンの周囲に立てて配列される、
請求項2または3記載の車両用バッテリパック。
【請求項5】
複数の電池セルを有する車両であって、
前記複数の電池セルを収容し、吸気口および排気口を有するハウジングと、
回転することにより前記複数の電池セルを冷却するブロワファンと、
を有し、
前記ハウジングは、円板形状の上面部、円板形状の下面部および円筒形状の側面部による中空の箱形状を有し、
前記吸気口は、円板形状の前記上面部の中央に形成され、
前記排気口は、円板形状の前記下面部の中央に形成され、
中空の箱形状の前記ハウジングの内部に、前記複数の電池セル互いに離間して円周状に配列されるとともに記ブロワファンがその中央に載置される中敷き部が、前記下面部から離して設けられ、
前記中敷き部の全体若しくは外周部がメッシュ構造を有し、
前記ブロワファンの上方に前記吸気口が形成され、
前記複数の電池セルが円周状に配列される前記中敷き部の外周と、前記円筒形状の側面部の内面との間には、それらの全周にわたって隙間が形成れ、
前記ブロワファンは、前記中敷き部の中央において、半径方向外向きの空気流を発生する、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バッテリパックおよび車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車などの車両では、ハイブリット化または電動化の研究が盛んである。
車両をハイブリット化または電動化する場合、車両には複数の電池セルを搭載する必要がある。複数の電池セルをバッテリパック化するなどして、車両における複数の電池セルの積載方法および積載場所を工夫する必要がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−346924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池セルは、使用中の化学反応により発熱する。電池セルは冷却する必要がある。
車両に搭載する複数の電池セルを冷却するためには、たとえば特許文献1にあるように、車両用バッテリパックとラジエタとをダクトで接続し、冷媒を循環させる必要がある。また、複数の電池セルの一部が加熱しないように、複数の電池セルの間に冷却管を通し、複数の電池セルを均一に冷却する必要がある。
その結果、冷却機構を含めた車両用バッテリパックの全体の構造は、複雑化する。また、重量も嵩む。車両の重量増加は、たとえば航続距離、燃費に影響を与える。
【0005】
このように車両に搭載するバッテリパックには、複数の電池セルを、簡易な構成で効率よく冷却することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用バッテリパックは、複数の電池セルと、前記複数の電池セルを収容し、吸気口および排気口を有するハウジングと、回転することにより前記複数の電池セルを冷却するブロワファンと、を有し、前記ハウジングは、円板形状の上面部、円板形状の下面部および円筒形状の側面部による中空の箱形状を有し、前記吸気口は、円板形状の前記上面部の中央に形成され、前記排気口は、円板形状の前記下面部の中央に形成され、中空の箱形状の前記ハウジングの内部に、前記複数の電池セル互いに離間して円周状に配列されるとともに記ブロワファンがその中央に載置される中敷き部が、前記下面部から離して設けられ、前記中敷き部の全体若しくは外周部がメッシュ構造を有し、前記ブロワファンの上方に前記吸気口が形成され、前記複数の電池セルが円周状に配列される前記中敷き部の外周と、前記円筒形状の側面部の内面との間には、それらの全周にわたって隙間が形成され、前記ブロワファンは、前記中敷き部の中央において、半径方向外向きの空気流を発生する。
【0007】
好適には、前記中敷き部は、全体がメッシュ構造に形成されている、とよい。
【0008】
好適には、前記ハウジングは、前記側面部が円筒形状に形成され、車両のスペアタイヤの積載スペース内または前記積載スペースに搭載されたスペアタイヤ内に設置できる、とよい。
【0009】
好適には、前記複数の電池セルの各々は、薄板形状の外形を有し、前記複数の電池セルは、前記ブロワファンの回転の半径方向に沿って延在する向きで、前記ブロワファンの周囲に立てて配列される、とよい。
【0010】
本発明に係る車両は、複数の電池セルを有する車両であって、前記複数の電池セルを収容し、吸気口および排気口を有するハウジングと、回転することにより前記複数の電池セルを冷却するブロワファンと、を有し、前記ハウジングは、円板形状の上面部、円板形状の下面部および円筒形状の側面部による中空の箱形状を有し、前記吸気口は、円板形状の前記上面部の中央に形成され、前記排気口は、円板形状の前記下面部の中央に形成され、中空の箱形状の前記ハウジングの内部に、前記複数の電池セル互いに離間して円周状に配列されるとともに記ブロワファンがその中央に載置される中敷き部が、前記下面部から離して設けられ、前記中敷き部の全体若しくは外周部がメッシュ構造を有し、前記ブロワファンの上方に前記吸気口が形成され、前記複数の電池セルが円周状に配列される前記中敷き部の外周と、前記円筒形状の側面部の内面との間には、それらの全周にわたって隙間が形成され、前記ブロワファンは、前記中敷き部の中央において、半径方向外向きの空気流を発生する。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、複数の電池セルが互いに離間して円周状に配列され、ブロワファンが円周状に配列された複数の電池セルの中央に配置される。ブロワファンが回転することにより、複数の電池セルの間に空気を流すことができる。複数の電池セルは、均一に冷却され得る。
しかも、ブロワファンは、複数の電池セルを配置するハウジング内に配置できる。ブロワファン専用のハウジングが不要である。ブロワファンは、ハウジング内において、ファンカバーなどを設けることなく、むき出しのまま配置できる。冷却機構を含めた車両用バッテリパックの構造は簡易である。
また、ブロワファンの回転による冷却風は、ダクトなどを経由することになく直接に、複数の電池セルの間に流れる。ダクトなどを用いて、別体のブロワファンから複数の電池セルまで冷却風を送る必要がない。ダクトによる圧力損失が無い。複数の電池セルを効率よく効果的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係る乗用自動車を示す模式的な説明図である。
図2図2は、図1のバッテリパックを示す模式的な部分斜視図である。
図3図3は、図2の電池セルの模式的な正面図である。
図4図4は、図2のブロワファンの模式的な正面図である。
図5図5は、複数の電池セルおよびブロワファンの配置の説明図である。
図6図6は、図2のバッテリパックの気流の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る乗用自動車1を示す模式的な説明図である。乗用自動車1は、車両の一種である。
図1の乗用自動車1は、車体2を有する。車体2の前後にはタイヤ3が配置される。車体2の内部である乗車空間4には、運転手または同乗者が着座するシート5が前後二列で配置される。後列のシート5の後には、ラッゲージスペース6が設けられる。ラッゲージスペース6の床フレーム7には、スペアタイヤを収容可能な凹部8が形成される。この凹部8は、車両のスペアタイヤの積載スペースとして利用可能である。
【0015】
図1の乗用自動車1は、ハイブリット式の駆動機構を有する。
ハイブリット式の駆動機構は、エンジン11、モータ内蔵トランスミッション12、フロントセンタデフ13、フロント車軸14、ドライブシャフト15、リアセンタデフ16、リア車軸17、ECU(Engine Control Unit)18、バッテリパック19、インバータ20、を有する。
【0016】
エンジン11は、複数のピストンが左右方向に移動する水平対向エンジンである。エンジン11は、ガソリンと空気との混合気を燃焼することにより、駆動力を発揮する。駆動力は、図示外の出力軸から出力される。
【0017】
モータ内蔵トランスミッション12は、エンジン11とドライブシャフト15との間に配置される。エンジン11とモータ内蔵トランスミッション12との間に、図示外のクラッチ機構を設けてよい。
モータ内蔵トランスミッション12は、エンジン11の出力軸とクラッチ機構と介して連結される入力軸と、一対の無段変速プーリを介して入力軸に従って回転する減速軸と、減速軸の回転に従って回転するフロント出力軸と、ドライブシャフト15に連結されて減速軸の回転に従って回転するリア出力軸と、減速軸を回転子に用いるモータ21と、を有する。
【0018】
そして、フロント出力軸は、フロントセンタデフ13に接続される。フロントセンタデフ13には、フロント車軸14が接続される。フロント車軸14の両端に一対の前側のタイヤ3が取り付けられる。
また、リア出力軸は、ドライブシャフト15に接続される。ドライブシャフト15は、リアセンタデフ16に接続される。リアセンタデフ16には、リア車軸17が接続される。リア車軸17の両端に一対の後側のタイヤ3が取り付けられる。
【0019】
ECU18は、エンジン11およびモータ21の動作を制御する制御部である。ECU18は、マイクロコンピュータ、メモリなどを有するコンピュータ装置の一例である。
ECU18は、乗車空間4に設置される図示外のアクセルペダル、ブレーキペダルの操作に応じて、エンジン11の回転数およびモータ21の回転または停止を制御する。
エンジン11が動作し、またはモータ21が動作することにより、モータ内蔵トランスミッション12の減速軸が回転する。減速軸の回転にしたがってフロント出力軸およびフロント車軸14が回転し、一対の前側のタイヤ3が回転駆動される。また、減速軸の回転にしたがってリア出力軸、ドライブシャフト15およびリア車軸17が回転し、一対の後側のタイヤ3が回転駆動される。図1の乗用自動車1は、4輪駆動車である。
【0020】
バッテリパック19は、電力を蓄積して供給する直流電源である。バッテリパック19は、スペアタイヤと略同じサイズの円柱形状に形成され、スペアタイヤを収容可能な凹部8に設置される。
なお、バッテリパック19は、スペアタイヤの内径より一回り小さい円柱形状に形成されてよい。この場合、バッテリパック19は、スペアタイヤを収容可能な凹部8に、スペアタイヤとともに設置できる。
【0021】
インバータ20は、バッテリパック19とモータ内蔵トランスミッション12のモータ21とを接続する。インバータ20には、ECU18が接続される。インバータ20は、ECU18からの制御信号に基づいて、バッテリパック19の蓄電電力を、モータ内蔵トランスミッション12のモータ21へ供給する。インバータ20は、バッテリパック19の直流電圧を、スイッチング動作によりたとえばパルス幅変調し、モータ21へ出力する。モータ21は、単位時間当たりにパルスにより与えられる電力に応じた回転数で減速軸を回転駆動する。
【0022】
エンジン11が動作している状態でモータ21が減速軸を回転駆動することにより、減速軸は、エンジン11による駆動力による回転数より高い回転数で回転する。モータ21は、パワーアシストとして機能する。なお、モータ21は、エンジン11が停止している状態で、減速軸を回転駆動してよい。この場合、乗用自動車1は、バッテリパック19の蓄電電力のみで動作する。電気自動車として機能する。
【0023】
図2は、図1のバッテリパック19を示す模式的な部分斜視図である。
バッテリパック19は、電力を蓄積して供給する直流電源である。
図2のバッテリパック19は、複数の電池セル31、ブロワファン32、ハウジング33、を有する。
【0024】
図3は、図2の電池セル31の模式的な正面図である。
電池セル31は、電力を蓄電する蓄電池である。電池セル31は、矩形の薄板形状の外形を有する。電池セル31は、たとえば、ラミネートフィルムからなる包装袋内に電池要素が電解液と共に収容されたフィルム外装電池である。また、電池セル31は、複数のフィルム外装電池を積層したものでもよい。
図3の電池セル31は、矩形薄板形状のセル本体41、プラス側の電極片42、マイナス側の電極片43、を有する。電池セル31のプラス側の電極片42とマイナス側の電極片43とが、矩形薄板形状のセル本体41の一辺から突出している。一対の電極片42,43がセル本体41の一辺に並んで突出する電池セル31を用いることにより、後述するようにブロワファン32の周囲に電池セル31を立てて並べた場合に、たとえば複数の電池セル31の電極を外向きに揃えることができる。複数の電池セル31の結線が、回転駆動されるブロワファン32の周囲に配置されないようにできる。
この他にもたとえば、電池セル31は、プラス側の電極片42と、マイナス側の電極片43とが、矩形薄板形状のセル本体41の反対側の辺から逆向きに突出してよい。
【0025】
図4は、図2のブロワファン32の模式的な正面図である。
ブロワファン32は、回転することにより空気の流れを生成する。ブロワファン32は、この空気の流れで、複数の電池セル31を冷却する。ブロワファン32は、たとえば所謂シロッコファンまたはターボファンと呼ばれるファンでよい。
図4のブロワファン32は、円板部51に複数の羽部52が立設されたものである。図4では、羽部52は、紙面に垂直な方向に立設されている。複数の羽部52についての立設方向の他端は、たとえば図示外のリング状の板により互いに連結されてよい。
図4に示すように、複数の羽部52は、円板部51の半径方向に対して傾いて立設される。図4の場合、ブロワファン32の円板部51がたとえば図示外のファン用モータにより反時計回りに回転駆動されることにより、半径方向外向きの空気流を発生する。ブロワファン32は、その全周において外向きの空気流を発生できる。ファン用モータは、複数の電池セル31の電力で動作してよい。
なお、図4のブロワファン32は、時計回りに回転駆動してよい。この場合、ブロワファン32は、その全周において内向きの空気流を発生できる。また、ブロワファン32の回転の半径方向に対する羽部52の傾きを逆にすることにより、時計回りの回転において外向きの空気流を発生できる。
【0026】
ハウジング33は、複数の電池セル31とブロワファン32とを収容する容器である。
図2のハウジング33は、上面部61、下面部62、側面部63、および中敷板64を有する。ハウジング33は、たとえば金属または樹脂を成型して形成される。
側面部63は、タイヤ3の外周と略同サイズの円筒形状を有する。
上面部61は、円筒形状の側面部63と同径の円板形状を有する。上面部61は、円筒形状の側面部63の一方側に設けられる。円板形状の上面部61の中央には、吸気口65が形成される。図2では、吸気口65には、短い吸気ノズル66が接続される。
下面部62は、円筒形状の側面部63と同径の円板形状を有する。下面部62は、円筒形状の側面部63の他方側に設けられる。円板形状の下面部62の中央には、排気口67が形成される。図2では、排気口67には、短い排気ノズル68が接続される。
これら側面部63、上面部61および下面部62により、ハウジング33は、円柱形状の外形に形成される。円柱形状のハウジング33は、中空である。
中敷板64は、円筒形状の側面部63より一回り小さい円板形状を有する。中敷板64は、中空のハウジング33の内部に配置される。中敷板64は、前記下面部62から離して設けられる。中敷板64の外周と、円筒形状の側面部63の内面との間には、それらの全周にわたって隙間が形成される。
【0027】
図5は、複数の電池セル31およびブロワファン32の配置の説明図である。
図5に示すように、複数の電池セル31およびブロワファン32は、円板形状の中敷板64に載置される。
複数の電池セル31は、円板形状の中敷板64上で、互いに離間して円周方向に配列される。複数の電池セル31は、円周状に配列される。
電池セル31は、円板形状の中敷板64上に立設される。
【0028】
ブロワファン32は、円板形状の中敷板64上で円周状に配列された複数の電池セル31の中央に配置される。ブロワファン32の外周に沿って、複数の電池セル31は円周状に配列される。
【0029】
これにより、複数の薄板形状の電池セル31は、ブロワファン32の周囲に立てて、円周状に配列される。複数の電池セル31は、ブロワファン32の回転の半径方向に沿って延在する向きで、ブロワファン32の周囲に立てて配列される。また、複数の電池セル31の間には、空気が流動可能な隙間が形成される。
【0030】
図6は、図2のバッテリパック19の気流の説明図である。
図2のバッテリパック19では、図6に示すように、ブロワファン32の上方に吸気口65が形成される。中敷板64と側面部63との間に、隙間が形成される。下面部62に排気口67が形成される。
乗用自動車1が動作する場合、ブロワファン32は、たとえばECU18からの制御信号などに基づいて、回転する。
ブロワファン32は、吸気ノズル66および吸気口65から外気を吸い込み、ブロワファン32の周囲へ吸い込んだ外気を送出する。外気は、ブロワファン32の周囲に配列された複数の電池セル31の間を通過し、円筒形状の側面部63に当たる。この際、外気は、複数の電池セル31を冷却する。その後、複数の電池セル31により暖められた外気は、下方へ移動し、中敷板64の下側を流、排気口67および排気ノズル68を通じて、ハウシング外へ排出される。
【0031】
以上のように、本実施形態では、複数の電池セル31が互いに離間して円周状に配列され、ブロワファン32が円周状に配列された複数の電池セル31の中央に配置される。ブロワファン32が回転することにより、複数の電池セル31の間に空気を流すことができる。複数の電池セル31は、均一に冷却される。
しかも、本実施形態では、ブロワファン32は、複数の電池セル31を配置するハウジング33内に配置される。ブロワファン32専用のハウジング33が不要である。ブロワファン32は、ファンカバーなどを設けることなく、ハウジング33内にむき出しのまま配置できる。冷却機構を含めた車両用バッテリパックの構造は簡易である。
また、本実施形態では、ブロワファン32の回転による冷却風は、ダクトなどを経由することになく直接に、複数の電池セル31の間に流れる。冷却風をブロワファン32から複数の電池セル31まで送るダクトが不要である。ダクトによる圧力損失が無い。複数の電池セル31を効率よく効果的に冷却できる。
その結果、本実施形態のバッテリパック19は、その冷却機構を含めた全体構造が簡易であり、軽量である。バッテリパック19が軽量化されることにより、乗用自動車1の航続距離を伸ばし、燃費を向上できる。
【0032】
また、本実施形態では、ハウジング33の上面部61からハウジング33に入った外気は、ブロワファン32により上面部61と中敷板64との間を流れ、中敷板64と下面部62との間を流れ、その後、下面部62の排気口67から排気される。
しかも、ブロワファン32は、ハウジング33内に複数の電池セル31を配置するための中敷板64に載置される。ブロワファン32専用の構造部材が不要である。バッテリパック19の構造は極めて簡易である。ブロワファン32などの冷却機構を含めたバッテリパック19の全体の部品点数および総重量を削減できる。
【0033】
また、本実施形態では、ハウジング33がタイヤ3と同サイズの円柱形状の外形に形成される。また、複数の電池セル31は、空冷により均一且つ効果的に冷却できる。
よって、本実施形態のバッテリパック19は、車両のスペアタイヤの積載スペース(凹部8)に収容できる。バッテリパック19を車両に配置するために、旧来の車両のフレーム構造を変更する必要が無い。また、スペアタイヤの積載スペースを、スペアタイヤと兼用できる。
特に、ハウジング33の上面部61から吸気し、下面部62から排気するため、バッテリパック19内の熱で暖められた空気が、スペアタイヤの積載スペースから乗車空間4へ入り難くなる。スペアタイヤの積載スペースに、車両用のバッテリパック19を配置しても、乗車環境に影響を与え難くできる。
【0034】
また、本実施形態では、ブロワファン32の周囲に、複数の電池セル31を薄板形状とし、かつ、立てて配列する。よって、ブロワファン32の周囲に、複数の電池セル31を密に配列できる。多くの電池セル31を、ブロワファン32で冷却できる。
これに対し、仮にたとえば電池セル31が円柱形状などの外形を有する場合、各電池セル31には厚さまたは幅がある。この場合、電池セル31の厚さまたは幅により、ブロワファン32の周囲に配列できる電池セル31の個数が制限される。ブロワファン32で均一に冷却できる電池セル31の個数は少ない。
【0035】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0036】
たとえば上記実施形態のバッテリパック19では、複数の電池セル31は、ブロワファン32の周囲に1巻(一列)で配列されている。
この他にもたとえば、複数の電池セル31は、ブロワファン32の周囲において半径方向に複数個ずつ並べた複数巻(複数列)で配列されてよい。この場合、半径方向に並ぶ複数の電池セル31は、半径方向に一列に並べてもよいが、均一な冷却効率を考慮した場合、若干円周方向にずらして配列するとよい。
また、複数の電池セル31は、上下方向において複数段で重ねて配列されてよい。
【0037】
上記実施形態では、各電池セル31は、ブロワファン32の回転の半径方向に延在する向きで配置される。
この他にもたとえば、電池セル31は、該半径方向に対して若干斜めとなる向きで配置されてよい。
【0038】
上記実施形態では、複数の電池セル31とブロワファン32とは、共通の中敷板64の上に配置される。
この他にもたとえば、複数の電池セル31とブロワファン32とは、別々の中敷板64の上に配置されてよい。また、ブロワファン32は、上面部61に配置されてよい。また、複数の電池セル31は、下面部62に配置されてよい。そして、たとえば複数の電池セル31を下面部62に配置する場合、排気口67は、側面部63に形成されてよい。
【0039】
上記実施形態において、中敷板64は、一枚板である。そして、中敷板64の外周と側面部63との間に空気を通すための隙間が形成されている。
この他にもたとえば、中敷板64の外周部をメッシュ構造とし、このメッシュ構造に空気を通すようにしてよい。また、中敷板64の全体がメッシュ構造でもよい。
【0040】
上記実施形態において、バッテリバックのハウジング33は、円柱形状の外形に形成されている。
この他にもたとえば、ハウジング33は、六角柱などの多角形形状の外形に形成されてよい。ハウジング33は、立方体形状の外形に形成されてよい。
【0041】
上記実施形態では、吸気口65に吸気ノズル66が取り付けられ、排気口67に排気ノズル68が取り付けられている。
この他にもたとえば、車両のスペアタイヤの積載スペースとしての凹部8が狭い場合、吸気ノズル66および排気ノズル68は無くてもよい。
【0042】
上記実施形態は、本発明のバッテリパック19を、ハッチバック式の乗用自動車1に適用した例である。
この他にもたとえば、本発明のバッテリパック19は、たとえばバン、セダン、2ボックス、トラック、バスなどの車両に適用してよい。これらの車両でも、スペアタイヤの設置スペースを有する。このスペアタイヤの設置スペースなどに、本発明のバッテリパック19は配置できる。
【符号の説明】
【0043】
1 乗用自動車(車両)、8 凹部(車両のスペアタイヤの積載スペース)、19 バッテリパック(車両用バッテリパック)、31 電池セル、32 ブロワファン、33 ハウジング、61 上面部、62 下面部、63 側面部、64 中敷板、65 吸気口、67 排気口
図1
図2
図3
図4
図5
図6