特許第6190669号(P6190669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190669
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】注出キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/24 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   B65D47/24 110
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-179184(P2013-179184)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-48086(P2015-48086A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 明彦
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−175149(JP,U)
【文献】 実開昭62−052151(JP,U)
【文献】 特開平08−244822(JP,A)
【文献】 特開2008−189319(JP,A)
【文献】 特表平09−508881(JP,A)
【文献】 特開昭61−142149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/24
B65D 47/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容された容器体の口部に装着される装着部材と、
前記装着部材に、キャップ軸回りに回転可能に装着された操作部材と、を備え、
前記操作部材の回転に伴って注出孔が開閉させられる注出キャップであって、
前記装着部材は、キャップ軸方向に延びる基筒部を備え、
前記操作部材は、前記基筒部に回転可能に外挿または内挿された回転筒部を備え、
前記基筒部および前記回転筒部の内側には、前記注出孔が形成された注出部材が、キャップ軸方向に昇降可能に設けられ、
前記装着部材または前記操作部材には、前記注出孔を開閉可能に閉塞し、前記注出部材が、キャップ軸方向に沿った反容器体側である上側に向けて移動したときに前記注出孔を開放する栓体が設けられ、
前記注出部材には、径方向の外側に突出し、前記基筒部に形成された第1空間内および前記回転筒部に形成された第2空間内に配置された係止突起が設けられ、
前記第1空間を画成する壁面には、周方向の一方側である閉側から他方側である開側に向かうに従い漸次、上方に延び、前記係止突起を支持する案内壁と、前記案内壁における前記閉側の端部から上方に向けて延び、保管状態において前記係止突起に前記閉側から係止する第1規制壁と、が備えられ、
前記第2空間を画成する壁面には、前記保管状態において前記係止突起に前記開側から係止して前記第1規制壁との間に前記係止突起を周方向に挟持する係止壁と、前記係止突起に前記閉側から係止可能に形成され、前記保管状態において前記係止突起から前記閉側に離間する操作壁と、が備えられていることを特徴とする注出キャップ。
【請求項2】
請求項1記載の注出キャップであって、
前記第1空間を画成する壁面には、前記案内壁における前記開側の端部から上方に向けて延び、前記係止突起に前記開側から係止可能に形成されるとともに、前記保管状態において前記係止突起から前記開側に離間する第2規制壁が備えられていることを特徴とする注出キャップ。
【請求項3】
請求項2記載の注出キャップであって、
前記第2空間を画成する壁面には、周方向に延び、前記係止壁および前記操作壁それぞれの上端部を接続する接続壁が備えられ、
前記保管状態において、前記係止突起は、前記案内壁における前記閉側の端部と、前記接続壁における前記開側の端部と、にキャップ軸方向に挟持されていることを特徴とする注出キャップ。
【請求項4】
請求項3記載の注出キャップであって、
前記係止突起は、前記操作部材が前記保管状態から前記開側に回転させられることで、この係止突起が前記第2規制壁と前記操作壁とに周方向に挟持された状態で、前記案内壁における前記開側の端部と、前記接続壁における前記閉側の端部と、にキャップ軸方向に挟持されることを特徴とする注出キャップ。
【請求項5】
請求項3または4に記載の注出キャップであって、
前記接続壁は、前記閉側から前記開側に向かうに従い漸次、キャップ軸方向に沿った容器体側である下側に延びていることを特徴とする注出キャップ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の注出キャップであって、
前記操作部材は、前記注出部材を上方から覆う天壁部を備え、
前記注出部材は、キャップ軸方向に昇降することで、前記天壁部に対してキャップ軸方向に出没することを特徴とする注出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に記載された注出キャップが知られている。この注出キャップは、内容物が収容された容器体の口部に装着される装着部材と、装着部材に、キャップ軸回りに回転可能に装着された操作部材と、を備えている。操作部材は、天壁部に注出孔を有する有頂筒状に形成され、装着部材には、キャップ軸方向に沿った反容器体側である上側の端部が、注出孔を開閉可能に閉塞する栓体が設けられている。
この注出キャップでは、操作部材がキャップ軸回りに回転すると、この操作部材が上昇して注出孔が栓体から開放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3915084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の注出容器では、操作部材の不意の回転を起因として注出孔が開放されるのを抑制することについて改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、操作部材の不意の回転を起因として注出孔が開放されるのを抑制することができる注出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る注出キャップは、内容物が収容された容器体の口部に装着される装着部材と、前記装着部材に、キャップ軸回りに回転可能に装着された操作部材と、を備え、前記操作部材の回転に伴って注出孔が開閉させられる注出キャップであって、前記装着部材は、キャップ軸方向に延びる基筒部を備え、前記操作部材は、前記基筒部に回転可能に外挿または内挿された回転筒部を備え、前記基筒部および前記回転筒部の内側には、前記注出孔が形成された注出部材が、キャップ軸方向に昇降可能に設けられ、前記装着部材または前記操作部材には、前記注出孔を開閉可能に閉塞し、前記注出部材が、キャップ軸方向に沿った反容器体側である上側に向けて移動したときに前記注出孔を開放する栓体が設けられ、前記注出部材には、径方向の外側に突出し、前記基筒部に形成された第1空間内および前記回転筒部に形成された第2空間内に配置された係止突起が設けられ、前記第1空間を画成する壁面には、周方向の一方側である閉側から他方側である開側に向かうに従い漸次、上方に延び、前記係止突起を支持する案内壁と、前記案内壁における前記閉側の端部から上方に向けて延び、保管状態において前記係止突起に前記閉側から係止する第1規制壁と、が備えられ、前記第2空間を画成する壁面には、前記保管状態において前記係止突起に前記開側から係止して前記第1規制壁との間に前記係止突起を周方向に挟持する係止壁と、前記係止突起に前記閉側から係止可能に形成され、前記保管状態において前記係止突起から前記閉側に離間する操作壁と、が備えられていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、操作部材を周方向の閉側に向けて回転させようとすると、回転筒部の係止壁が、係止突起を介して装着部材の第1規制壁に係止することで、この回転が規制される。
一方、操作部材を周方向の開側に向けて回転させると、この操作部材の係止壁が係止突起から開側に離間しながら操作壁が係止突起に接近する。操作壁が係止突起に突き当たって係止すると、係止突起が操作壁によって周方向の開側に向けて押し込まれて案内壁上を開側に移動し、注出部材が操作部材と共回りする。このとき係止突起が、案内壁に沿って漸次、上昇させられることで、注出部材もキャップ軸方向に沿って上昇して注出孔が栓体から開放される。
この注出キャップによれば、注出孔を開放するため操作部材を周方向の開側に向けて回転させるときに、操作壁が係止突起に係止した後、注出部材が操作部材と共回りして上昇することで注出孔が開放される。したがって、操作壁が係止突起に係止するまでは、注出部材を操作部材と共回りさせることなく、操作部材を空回りさせることが可能になり、仮に操作部材が多少意図せず回転したとしても、注出孔が不意に開放されるのを抑制することができる。
【0008】
また、前記第1空間を画成する壁面には、前記案内壁における前記開側の端部から上方に向けて延び、前記係止突起に前記開側から係止可能に形成されるとともに、前記保管状態において前記係止突起から前記開側に離間する第2規制壁が備えられていてもよい。
【0009】
この場合、操作部材を周方向の開側に向けて回転させ、注出部材を操作部材と共回りさせると、操作壁が、係止突起を案内壁における開側の端部まで移動させ、この係止突起を介して第2規制壁に係止し、その結果、操作部材の更なる回転が規制される。
このように、操作部材を周方向の開側に向けて回転させたときに、操作壁が、係止突起を介して第2規制壁に係止することで操作部材の更なる回転を規制することができるので、操作部材を必要以上に回転させるのを抑制することが可能になり、この注出キャップの操作性を向上させることができる。
【0010】
また、前記第2空間を画成する壁面には、周方向に延び、前記係止壁および前記操作壁それぞれの上端部を接続する接続壁が備えられ、前記保管状態において、前記係止突起は、前記案内壁における前記閉側の端部と、前記接続壁における前記開側の端部と、にキャップ軸方向に挟持されていてもよい。
【0011】
この場合、係止突起が、案内壁における閉側の端部と、接続壁における開側の端部と、にキャップ軸方向に挟持されているので、係止突起が第1規制壁と係止壁とに周方向に挟持された状態で、係止突起が不用意にキャップ軸方向にがたつくのを規制して注出部材が上昇するのを抑えることが可能になり、注出孔が不意に開放されるのを抑制することができる。
【0012】
また、前記係止突起は、前記操作部材が前記保管状態から前記開側に回転させられることで、この係止突起が前記第2規制壁と前記操作壁とに周方向に挟持された状態で、前記案内壁における前記開側の端部と、前記接続壁における前記閉側の端部と、にキャップ軸方向に挟持されてもよい。
【0013】
この場合、操作部材が周方向の開側に回転させられ、係止突起が第2規制壁と操作壁とに周方向に挟持された状態で、この係止突起が、案内壁における開側の端部と、接続壁における閉側の端部と、にキャップ軸方向に挟持されるので、係止突起がキャップ軸方向にがたつくのを規制することが可能になり、注出孔の開放を確保し易くすることができる。
【0014】
また、前記接続壁は、前記閉側から前記開側に向かうに従い漸次、キャップ軸方向に沿った容器体側である下側に延びていてもよい。
【0015】
この場合、操作部材が周方向の開側に向けて回転させられ、注出孔が開放された後、再び注出孔を閉塞させるため、操作部材を周方向の閉側に向けて回転させると、操作部材の操作壁が、係止突起から閉側に向けて離間しながら、操作部材の接続壁および係止壁が順次、係止突起に周方向の開側から突き当たる。すると係止突起が、接続壁または係止壁によって周方向の閉側に向けて徐々に押し込まれて案内壁上を閉側に移動し、注出部材が操作部材と共回りする。このとき係止突起が、案内壁に沿って漸次、下降させられることで、注出部材もキャップ軸方向に沿って下降し、栓体が注出孔を閉塞する。
このように、注出孔が開放された後、再び注出孔を閉塞するため、操作部材を周方向の閉側に向けて回転させるときに、係止突起を、接続壁または係止壁によって徐々に押し込むことができるので、係止突起を案内壁上でスムーズに移動させることが可能になり、この注出キャップの操作性を一層向上させることができる。
【0016】
また、前記操作部材は、前記注出部材を上方から覆う天壁部を備え、前記注出部材は、キャップ軸方向に昇降することで、前記天壁部に対してキャップ軸方向に出没してもよい。
【0017】
この場合、注出部材が、キャップ軸方向に昇降することで、操作部材の天壁部に対してキャップ軸方向に出没するので、注出孔が閉塞されているときには、注出部材を天壁部から突出させず、注出部材が上昇して注出孔が開放されたときには、注出部材を天壁部から突出させることができる。したがって、注出部材の天壁部に対する出没を外部から視認することで、注出孔の開閉状態を判別することが可能になり、この注出キャップの利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る注出キャップによれば、操作部材の不意の回転を起因として注出孔が開放されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る注出キャップの断面図であって、操作部材の短軸方向に沿った縦断面図である。
図2図1に示す注出キャップの上面図である。
図3図1に示す注出キャップを構成する装着部材の上面図である。
図4図3に示すA−A断面矢視図である。
図5図3に示す装着部材の基筒部を周方向に展開した展開図である。
図6図1に示す注出キャップを構成する操作部材の底面図であって、操作部材の外縁を2点鎖線で示した図である。
図7図6に示すB−B断面矢視図である。
図8図6に示す操作部材の回転筒部を周方向に展開した展開図である。
図9図5に示す基筒部の展開図と図8に示す回転筒部の展開図とを重ね合わせた展開図である。
図10図9に示す展開図であって、操作部材を周方向の開側に回転させ、操作壁が係止突起に突き当たった状態を示す図である。
図11図1に示す注出キャップの使用状態を示す断面図であって、操作部材の長軸方向に沿った縦断面図である。
図12図9に示す展開図であって、注出キャップの使用状態を示す図である。
図13図9に示す展開図であって、操作部材を周方向の閉側に回転させ、接続壁が係止突起を閉側に押し込む状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る注出キャップを説明する。
図1および図2に示すように、注出キャップ10は、装着部材11と、操作部材12と、注出部材13と、栓体14と、を備えている。注出キャップ10は、内容物が収容された容器体Bから内容物を注出する。なお図示の例では、容器体Bは、弾性変形可能な偏平形状に形成されている。
【0021】
ここで装着部材11、操作部材12および注出部材13は、筒状に形成され、栓体14は棒状に形成されていて、これらの装着部材11、操作部材12、注出部材13および栓体14の各中心軸線は、共通軸上に位置し、容器体Bの軸線と同軸に配置されている。以下、この共通軸をキャップ軸Oといい、キャップ軸Oに沿った容器体B側を下側といい、反容器体側を上側といい、キャップ軸Oに直交する方向を径方向といい、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0022】
装着部材11は、容器体Bの口部B1に装着される。装着部材11は、本体筒部15と、シール筒部16と、立ち上がり筒部17と、基筒部18と、を備えている。これらの本体筒部15、シール筒部16、立ち上がり筒部17および基筒部18は、キャップ軸O方向に延び、キャップ軸Oと同軸に配置されている。
【0023】
本体筒部15は、有頂筒状に形成され、容器体Bの口部B1に径方向の外側から嵌合されている。本体筒部15の頂壁部には、容器体B内に連通する連通孔19が形成されている。連通孔19は、キャップ軸Oと同軸に配置され、本体筒部15の頂壁部をキャップ軸O方向に貫通している。
【0024】
シール筒部16は、本体筒部15の頂壁部から下方に向けて延び、容器体Bの口部B1内に液密に嵌合される。立ち上がり筒部17および基筒部18はそれぞれ、本体筒部15の頂壁部から上方に向けて延びている。立ち上がり筒部17は、連通孔19よりも大径に形成されている。基筒部18は、立ち上がり筒部17よりも大径に形成され、立ち上がり筒部17を、径方向の外側から囲繞している。基筒部18の上端部は、立ち上がり筒部17の上端部よりも上側に位置している。
【0025】
図3から図5に示すように、基筒部18には、第1空間20が形成されている。第1空間20は、基筒部18を径方向に貫通する開口部により形成され、上方に向けて開口している。第1空間20は、キャップ軸Oを間に挟んで一対形成されている。これらの第1空間20は、互いに同等の形状でかつ同等の大きさとされている。第1空間20の周方向に沿った大きさは、基筒部18のうち、周方向に隣り合う第1空間20同士の間に位置する部分の周方向に沿った大きさと同等となっている。
【0026】
図5に示すように、第1空間20のキャップ軸O方向に沿った大きさは、周方向の一方側である閉側D1から他方側である開側D2に向かうに従い漸次、小さくなっている。なお図示の例では、周方向の閉側D1は、この注出キャップ10をキャップ軸O方向に沿って上側から見て時計回り側であり、開側D2は、反時計回り側である。
【0027】
第1空間20を画成する壁面には、案内壁21と、第1規制壁22と、第2規制壁23と、が備えられている。案内壁21は、周方向の閉側D1から開側D2に向かうに従い漸次、上方に延びている。案内壁21は、上方を向いていて、第1空間20の底壁面を構成している。
【0028】
案内壁21のうち、周方向の両端部は、この注出キャップ10を径方向の外側から見た側面視において、キャップ軸Oに直交する直線状に形成されている。案内壁21のうち、周方向に沿って前記両端部の間に位置する中間部は、前記側面視において、キャップ軸Oに傾斜する直線状に形成されている。なお前記両端部には、乗り越え突起21aが各別に設けられている。乗り越え突起21aは、後述する係止突起37に周方向に係脱可能に係合する。
【0029】
第1規制壁22は、案内壁21における周方向の閉側D1の端部から上方に向けて延び、周方向の開側D2を向いている。第2規制壁23は、案内壁21における周方向の開側D2の端部から上方に向けて延び、周方向の閉側D1を向いている。これらの第1規制壁22および第2規制壁23は、キャップ軸O方向に沿って直線状に延びていて、第1空間20の側壁面を構成している。第1規制壁22および第2規制壁23それぞれにおいて、基筒部18の上端開口縁に接続される上端部には、面取り部が各別に形成されている。第1規制壁22と案内壁21とが接続される部分、および第2規制壁23と案内壁21とが接続される部分はそれぞれ、下方に向けて凸となる凹曲面状に形成されている。
【0030】
図1および図2に示すように、操作部材12は、装着部材11に、キャップ軸O回りに回転可能に装着されている。操作部材12は、外装筒部24と、垂下筒部25と、回転筒部26と、を備えている。これらの外装筒部24、垂下筒部25および回転筒部26は、キャップ軸O方向に延び、キャップ軸Oと同軸に配置されている。
【0031】
外装筒部24は、有頂筒状に形成され、装着部材11に外装されて装着部材11を径方向の外側から覆っている。外装筒部24は、楕円状に形成されていて、この注出キャップ10をキャップ軸O方向から見た平面視において、容器体Bと同等の形状でかつ同等の大きさとされている。外装筒部24の天壁部24aには、この天壁部24aをキャップ軸O方向に貫通する出没孔27が形成されている。出没孔27は、キャップ軸Oと同軸に配置されている。
【0032】
垂下筒部25および回転筒部26は、外装筒部24の天壁部24aから下方に向けて延びている。垂下筒部25の下端部は、装着部材11の本体筒部15の上方部分に、キャップ軸O回りに回転可能に嵌合されている。
回転筒部26は、基筒部18に回転可能に外挿されている。回転筒部26は、垂下筒部25よりも小径で、かつ出没孔27よりも大径に形成されている。回転筒部26は、基筒部18とキャップ軸O方向に同等の大きさに形成されている。なお図示の例では、回転筒部26の内周面と基筒部18の外周面との間には、径方向の微小隙間が設けられているが、この微小隙間がなくてもよい。
【0033】
図6から図8に示すように、回転筒部26には、第2空間28が形成されている。第2空間28は、回転筒部26を径方向に貫通する開口部により形成され、下方に向けて開口している。第2空間28は、キャップ軸Oを間に挟んで一対形成されている。これらの第2空間28は、互いに同等の形状でかつ同等の大きさとされている。第2空間28の周方向に沿った大きさは、回転筒部26のうち、周方向に隣り合う第2空間28同士の間に位置する部分の周方向に沿った大きさと同等となっている。
図8に示すように、第2空間28のキャップ軸O方向に沿った大きさは、周方向の閉側D1から開側D2に向かうに従い漸次、小さくなっている。
【0034】
第2空間28を画成する壁面には、係止壁29と、操作壁30と、接続壁31と、が備えられている。係止壁29および操作壁30は、周方向に対向していて、第2空間28の側壁面を構成している。係止壁29は、第2空間28において周方向の開側D2に位置し周方向の閉側D1を向いている。操作壁30は、第2空間28において周方向の閉側D1に位置し周方向の開側D2を向いている。係止壁29および操作壁30は、キャップ軸O方向に沿って直線状に延びている。係止壁29および操作壁30それぞれにおいて、回転筒部26の下端開口縁に接続される下端部には、面取り部が各別に形成されている。
【0035】
接続壁31は、周方向に延び、係止壁29および操作壁30それぞれの上端部を接続している。接続壁31は、下方を向いていて、第2空間28の頂壁面を構成している。接続壁31は、周方向の閉側D1から開側D2に向かうに従い漸次、下方に延びている。接続壁31のうち、周方向の両端部は、前記側面視において、キャップ軸Oに直交する直線状に形成されている。接続壁31のうち、周方向に沿って前記両端部の間に位置する中間部は、前記側面視において、キャップ軸Oに傾斜する直線状に形成されている。接続壁31と係止壁29とが接続される部分、および接続壁31と操作壁30とが接続される部分はそれぞれ、上方に向けて凸となる凹曲面状に形成されている。
【0036】
図1に示すように、注出部材13は、装着部材11の基筒部18および操作部材12の回転筒部26の内側に、キャップ軸O方向に昇降可能に設けられている。注出部材13は、基筒部18に、キャップ軸O回りに回転可能に内挿されていて、操作部材12の天壁部24aによって上方から覆われている。注出部材13は、キャップ軸O方向に昇降することで、天壁部24aに対してキャップ軸O方向に出没する。注出部材13は、出没孔27を通して天壁部24aに対して出没する。
【0037】
注出部材13は、下筒部32と上筒部33とが段部34を介して連結された2段筒状に形成されている。下筒部32は、装着部材11の立ち上がり筒部17に径方向の外側から嵌合されている。段部34には、立ち上がり筒部17内に嵌合された摺動筒部35が設けられている。摺動筒部35は、段部34から下方に向けて延びていて、立ち上がり筒部17内に、キャップ軸O方向に摺動自在に嵌合されている。摺動筒部35内は、装着部材11の連通孔19に連通している。
【0038】
上筒部33の上端部には、径方向の外側に向けて突出するフランジ部33aが設けられている。フランジ部33aは、出没孔27よりも小径に形成されている。上筒部33内は、容器体B内に連通可能な注出孔36とされている。注出孔36は、摺動筒部35内および連通孔19およびシール筒部16内を通して容器体Bの口部B1内に連通可能とされている。
【0039】
栓体14は、注出孔36を開閉可能に閉塞する。栓体14は、装着部材11に設けられ、注出部材13が上昇したときに注出孔36を開放する。栓体14は、注出部材13内に挿通され、栓体14の上端部は、注出孔36内に嵌合されて注出孔36を閉塞している。
栓体14の下端部は、ブリッジ部14aを介して装着部材11に連結されている。ブリッジ部14aは、周方向に間隔をあけて複数設けられている。ブリッジ部14aは、キャップ軸O方向に延び、栓体14の下端部と、本体筒部15の頂壁部と、を連結している。ブリッジ部14aの下端部は、頂壁部における連通孔19の開口周縁部に連結されていて、連通孔19と摺動筒部35内とは、周方向に隣り合うブリッジ部14aの間を通して連通されている。
【0040】
ここで注出部材13には、係止突起37が設けられている。係止突起37は、注出部材13から径方向の外側に突出し、基筒部18の第1空間20内および回転筒部26の第2空間28内に配置されている。係止突起37は、下筒部32に設けられるとともにキャップ軸Oを間に挟んで一対配置され、第1空間20および第2空間28に一体に挿通されている。図9に示すように、係止突起37は、前記側面視において円形状に形成されていて、基筒部18の案内壁21により下方から支持されている。
【0041】
そして本実施形態では、第1規制壁22は、係止突起37に周方向の閉側D1から係止し、係止壁29は、係止突起37に周方向の開側D2から係止して第1規制壁22との間に係止突起37を周方向に挟持している。この係止突起37は、案内壁21における周方向の閉側D1の端部と、接続壁31における周方向の開側D2の端部と、にキャップ軸O方向に挟持されている。
【0042】
なお第2規制壁23は、係止突起37に周方向の開側D2から係止可能に形成されるとともに係止突起37から周方向の開側D2に離間している。さらに操作壁30は、係止突起37に周方向の閉側D1から係止可能に形成され、係止突起37から周方向の閉側D1に離間していて、操作壁30の上端部は、第2規制壁23の下端部よりも上側に位置している。
【0043】
この注出キャップ10は、操作部材12の回転に伴って注出孔36が開閉させられ、注出孔36を開放した後、この注出孔36から容器体B内の内容物を注出する。
この注出キャップ10では、係止突起37が、第1規制壁22と係止壁29との間に周方向に挟持された保管状態で、図1に示すように、栓体14が注出孔36を閉塞するとともに、注出部材13の上端が、操作部材12の天壁部24aの上面から突出しておらず、天壁部24aの上面よりも上方に位置せずに上面以下に位置している。この図1図9に示すような保管状態で、操作部材12を周方向の閉側D1に向けて回転させようとすると、回転筒部26の係止壁29が、係止突起37を介して装着部材11の第1規制壁22に係止することで、この回転が規制される。
【0044】
一方、この保管状態の注出キャップ10において、操作部材12を周方向の開側D2に向けて回転させると、この操作部材12の係止壁29が係止突起37から開側D2に離間しながら操作壁30が係止突起37に接近する。操作部材12が、保管状態から周方向の開側D2にキャップ軸O回りに約90度程度、回転させられると、図10に示すように、操作壁30が係止突起37に突き当たり係止する。
【0045】
すると、係止突起37が操作壁30によって周方向の開側D2に向けて押し込まれ、乗り越え突起21aを乗り越えて案内壁21上を開側D2に移動し、注出部材13が操作部材12と共回りする。このとき係止突起37が、案内壁21に沿って漸次、上昇させられることで、図11に示すように、注出部材13もキャップ軸O方向に沿って上昇し、注出部材13の上筒部33が、操作部材12の天壁部24aから出没孔27を通して突出した状態で、注出孔36が栓体14から開放される。
【0046】
なお、操作部材12が周方向の開側D2にキャップ軸O回りに約180度程度、回転させられると、操作壁30は、図12に示すように、係止突起37を案内壁21における開側D2の端部まで移動させ、この係止突起37を介して第2規制壁23に係止し、係止突起37が、第2規制壁23と操作壁30とに周方向に挟持される。その結果、操作部材12の更なる回転が規制される。なおこのように、係止突起37が、第2規制壁23と操作壁30とに周方向に挟持された使用状態の注出キャップ10では、係止突起37が、案内壁21における開側D2の端部と、接続壁31における閉側D1の端部と、にキャップ軸O方向に挟持されている。
【0047】
その後、再び注出孔36を閉塞させるため、操作部材12を周方向の閉側D1に向けて回転させると、図13に示すように、操作部材12の操作壁30が、係止突起37から閉側D1に向けて離間しながら、操作部材12の接続壁31が、係止突起37に周方向の開側D2から突き当たる。すると係止突起37が、接続壁31によって周方向の閉側D1に向けて徐々に押し込まれ、案内壁21上を閉側D1に移動し、注出部材13が操作部材12と共回りする。このとき係止突起37が、接続壁31および案内壁21の両方に沿って漸次、下降させられることで、注出部材13もキャップ軸O方向に沿って下降し、栓体14が注出孔36を閉塞する。
【0048】
なお図9に示すように、操作部材12を周方向の閉側D1に向けて回転させ続け、接続壁31に次いで係止壁29が、係止突起37に係止してこの係止突起37を周方向の閉側D1に押し込み、この係止壁29が、係止突起37を介して装着部材11の第1規制壁22に係止して、注出キャップ10が保管状態にされると、操作部材12の更なる回転が規制される。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る注出キャップ10によれば、注出孔36を開放するため操作部材12を周方向の開側D2に向けて回転させるときに、操作壁30が係止突起37に係止した後、注出部材13が操作部材12と共回りして上昇することで注出孔36が開放される。したがって、操作壁30が係止突起37に係止するまでは、注出部材13を操作部材12と共回りさせることなく、操作部材12を空回りさせることが可能になり、仮に操作部材12が多少意図せず回転したとしても、注出孔36が不意に開放されるのを抑制することができる。
【0050】
また、操作部材12を周方向の開側D2に向けて回転させたときに、操作壁30が、係止突起37を介して第2規制壁23に係止することで操作部材12の更なる回転を規制することができるので、操作部材12を必要以上に回転させるのを抑制することが可能になり、この注出キャップ10の操作性を向上させることができる。
さらに、注出孔36が開放された後、再び注出孔36を閉塞するため、操作部材12を周方向の閉側D1に向けて回転させるときに、係止突起37を、接続壁31によって徐々に押し込むことができるので、係止突起37を案内壁21上でスムーズに移動させることが可能になり、この注出キャップ10の操作性を一層向上させることができる。
【0051】
また注出部材13が、キャップ軸O方向に昇降することで、操作部材12の天壁部24aに対してキャップ軸O方向に出没するので、注出孔36が閉塞されているときには、注出部材13を天壁部24aから突出させず、注出部材13が上昇して注出孔36が開放されたときには、注出部材13を天壁部24aから突出させることができる。したがって、注出部材13の天壁部24aに対する出没を外部から視認することで、注出孔36の開閉状態を判別することが可能になり、この注出キャップ10の利便性を向上させることができる。
【0052】
また保管状態で、係止突起37が、案内壁21における閉側D1の端部と、接続壁31における開側D2の端部と、にキャップ軸O方向に挟持されているので、係止突起37が不用意にキャップ軸O方向にがたつくのを規制して注出部材13が上昇するのを抑えることが可能になり、注出孔36が不意に開放されるのを抑制することができる。
また使用状態で、係止突起37が、案内壁21における開側D2の端部と、接続壁31における閉側D1の端部と、にキャップ軸O方向に挟持されるので、係止突起37がキャップ軸O方向にがたつくのを規制することが可能になり、注出孔36の開放を確保し易くすることができる。
【0053】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0054】
前記実施形態では、注出部材13が、キャップ軸O方向に昇降することで、操作部材12の天壁部24aに対してキャップ軸O方向に出没するが、本発明はこれに限られない。例えば、注出部材が上昇したときに、注出部材が天壁部から上方に突出しなくてもよい。
【0055】
また前記実施形態では、接続壁31が、周方向の閉側D1から開側D2に向かうに従い漸次、キャップ軸O方向に沿った容器体B側である下側に延びているが、本発明はこれに限られない。例えば、接続壁が、前記側面視においてキャップ軸に直交する直線状に形成されていてもよい。この場合、操作部材を周方向の閉側に向けて回転させ注出孔を閉塞するときに、例えば、係止壁を係止突起に開側から係止させ、係止壁に係止突起を閉側に向けて押し込ませてもよい。
【0056】
また前記実施形態では、注出キャップ10の保管状態および使用状態のそれぞれで、係止突起37が、案内壁21と接続壁31とにキャップ軸O方向に挟持されるが、本発明はこれに限られない。例えば接続壁が、係止突起から上方に離間していてもよい。
【0057】
また前記実施形態では、第2空間28が、回転筒部26を径方向に貫通する開口部により形成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、第2空間が径方向の外側に向けて開口しておらず、径方向の内側に向けてのみ開口していてもよい。また例えば、第2空間を、回転筒部の内周面に設けられた凹溝部によって形成してもよい。さらに例えば、回転筒部の内周面に突条部を形成し、この突条部によって、係止壁および操作壁を構成して第2空間を画成してもよい。
【0058】
また前記実施形態では、回転筒部26が、基筒部18に外挿されているが、本発明はこれに限られない。例えば、回転筒部が、基筒部に内挿されていてもよい。
さらに前記実施形態では、栓体14が、装着部材11に設けられているが、本発明はこれに限られない。例えば、栓体が、操作部材に設けられていてもよい。
【0059】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 注出キャップ
11 装着部材
12 操作部材
13 注出部材
14 栓体
18 基筒部
20 第1空間
21 案内壁
22 第1規制壁
23 第2規制壁
24a 天壁部
26 回転筒部
28 第2空間
29 係止壁
30 操作壁
31 接続壁
36 注出孔
37 係止突起
B 容器体
B1 口部
O キャップ軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13