(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190689
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】能動ピクセルを有する容量式画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/369 20110101AFI20170821BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
H04N5/369
G06F3/041 422
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-217037(P2013-217037)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-93774(P2014-93774A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2016年10月17日
(31)【優先権主張番号】13/667,112
(32)【優先日】2012年11月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502096543
【氏名又は名称】パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ジェンピン・ルー
【審査官】
松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−177601(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/055809(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/369
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の能動ピクセルを含むセンサアレイであって、前記センサアレイ内の各能動ピクセルが、
ソースフォロワトランジスタを含む3トランジスタ(3T)センサと、
検知接点で寄生コンデンサと直列に接続する検知ダイオードであって、前記ソースフォロワトランジスタ増幅器のゲートが前記検知接点に接続する、検知ダイオードと、を含むセンサアレイと、
前記センサアレイを覆う絶縁体層であって、前記絶縁体層が、前記絶縁体層に近接する対象の部分に応じて、下部の能動ピクセルの前記検知接点に可変静電容量を供給し、前記可変静電容量を用いて、前記対象の画像を検知する、絶縁体層と、を含む容量式画像センサ。
【請求項2】
前記ソースフォロワトランジスタが、少なくとも前記寄生コンデンサおよび前記絶縁体層に関するチャージポンプとして設定される、請求項1に記載の容量式画像センサ。
【請求項3】
前記ソースフォロワトランジスタが、前記3Tセンサのデータ線にかけられた第1の電圧レベルに応じて、少なくとも前記寄生コンデンサおよび前記絶縁体層を帯電させ、前記データ線にかけられている第2の電圧レベルに応じて、検知された電圧が前記ソースフォロワトランジスタにより増幅され、前記検知された電圧に応じて前記データ線を流れる電流が、前記絶縁体層での前記可変静電容量と比例する、請求項1〜2のいずれか1項に記載の容量式画像センサ。
【請求項4】
前記ソースフォロワトランジスタが、1)前記寄生コンデンサの静電容量値(Cp)、および2)前記絶縁体層により供給される前記変数静電容量(Cf)の最大値と、同じ桁の大きさのゲート静電容量(CM1)を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容量式画像センサ。
【請求項5】
CM1、Cp、およびCfの最大値は約10fFである、請求項4に記載の容量式画像センサ。
【請求項6】
前記3Tセンサのデータ線にかけられた第1の電圧レベルに応じて、前記検知接点が帯電電圧で帯電し、前記帯電電圧は、前記ゲート静電容量、前記寄生コンデンサ、および前記絶縁体層に帯電し、前記データ線にかけられている第2の電圧レベルに応じて、前記検知接点が、前記ソースフォロワトランジスタにより増幅された、検知された電圧で帯電し、前記検知された電圧に応じて前記データ線を流れる電流は、前記絶縁体層での前記可変静電容量に比例する、請求項4に記載の容量式画像センサ。
【請求項7】
前記絶縁体層は、ポリマー層を含み、前記センサは、前記絶縁体層と前記下部の能動ピクセルの前記検知接点とを接続する複数の導電性のパッドをさらに含む、請求項1に記載の容量式タッチパターンセンサ。
【請求項8】
前記3Tセンサが、前記検知ダイオードと並列のリセットトランジスタと、前記ソースフォロワトランジスタと直列のイネーブリングトランジスタと、データ線と、をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の容量式タッチパターンセンサ。
【請求項9】
センサアレイ内の能動ピクセルの3トランジスタ(3T)センサのデータ線に第1の電圧レベルをかけるステップであって、前記3Tセンサは、前記データ線に接続する出力を有するソースフォロワトランジスタを含み、前記ソースフォロワトランジスタのゲートは検知接点と接続し、検知ダイオードは、前記検知接点で寄生コンデンサに直列に接続する、ステップと、
前記データ線に第2の電圧レベルをかけるステップと、
かけられている前記第2の電圧レベルに応じて前記データ線を流れる電流を決定するステップと、
前記電流に基づいて、前記能動ピクセルを覆う絶縁体層の可変静電容量を決定するステップと、
前記可変静電容量に基づいて、前記絶縁体層での近接パターンを決定するステップと、を含む方法。
【請求項10】
少なくとも、前記第1の電圧レベルおよび第2の電圧レベルをかける前記ステップのとき、および前記データ線を流れる前記電流を決定する前記ステップのときに、前記ソースフォロワトランジスタと直列のイネーブリングトランジスタを起動させるステップをさらに含む請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチ/近接パターンセンサに関し、また、このようなセンサに関する方法、装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載する例は、容量式タッチパターンセンサに関する。一実施形態では、装置は、複数の能動ピクセルを有するセンサアレイを含む。センサアレイ内の各能動ピクセルは、ソースフォロワトランジスタを有する3トランジスタ(3T)センサと、検知接点で寄生コンデンサと直列に接続する検知ダイオードとを含む。ソースフォロワトランジスタ増幅器のゲートは検知接点に接続する。この装置は、センサアレイを覆う絶縁体層を含む。この絶縁体層により、絶縁体層に近接する対象の部分に応じて、下部の能動ピクセルの検知接点に可変静電容量が供給される。この可変静電容量を用いて対象の画像を検知する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
もう1つの実施形態では、方法には、センサアレイ内の能動ピクセルの3トランジスタ(3T)センサのデータ線に第1の電圧レベルをかけるステップが含まれる。3Tセンサは、データ線に接続するソースフォロワトランジスタを含む。ソースフォロワトランジスタは、検知接点に接続するゲートを有する。検知ダイオードは、この検知接点で寄生コンデンサと直列に接続する。データ線に第2の電圧レベルが掛けられ、データ線を流れる電流は、かけられている第2の電圧レベルに応じて決定される。能動ピクセルを覆う絶縁体層の可変静電容量は、この電流に基づいて決定される。絶縁体層での近接パターンは、この可変静電容量に基づいて決定される。
【0004】
種々の実施形態のこれらの、およびその他の特性および様態は、以下の詳細な議論および添付図面を参照して理解することができる。
【0005】
下記の議論は、次の図面を参照して行われ、これらの図面では、同じ参照符号を用いて複数の図面で同様の/同じ構成部品を識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、例示の実施形態による容量式タッチパターンセンサの断面図である。
【
図2】
図2は、例示の実施形態によるセンサアレイの詳細を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、例示の実施形態による能動ピクセルの回路を示す概略図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すピクセル構成のSPICEシミュレーションの結果を示すグラフである。
【
図5】
図5は、
図3に示すピクセル構成のSPICEシミュレーションの結果を示すグラフである。
【
図6】
図6は、例示の実施形態による容量式タッチパターンセンサから得られたサンプルの指紋画像である。
【
図7】
図7は、例示の実施形態による容量式検知装置の能動ピクセルの、信号対ノイズを計測したヒストグラムである。
【
図8】
図8は、例示の実施形態による手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、例示の実施形態による手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、指紋センサなどのタッチ/近接パターンセンサに関する。一般に、指紋(および、例えば、手および足の同様のパターン)は、容易に利用可能な人それぞれに一意の生体インジケータである。結果として、コンピュータで走査された手/指紋画像を、認証などの目的で使用可能である。例えば、走査センサは、平坦な面を含み得、この平坦な面に対して指(または、全ての走査される対象)を置く。センサはこの接触に応答して、走査される対象の質感/輪郭の画像を生成する。パターン認識ソフトウェアが、走査された画像の寸法情報と記憶された寸法情報と照合し、この寸法情報の照合結果に基づいて、身元を確認することができる。
【0008】
光学センサを用いる方法など、指紋画像を取得することが可能な複数の方法が存在するが、下記に記載する実施形態では、容量式検知方式を使用する。一般に、検知面に接触する対象は、接触するどこの面の局所的な電気容量にも作用する。容量式タッチ入力検知方式は、接触する位置(例えば、タッチスクリーン、タッチパッド)の大まかな目安を決定するために広く使用されているが、本明細書に記載されるセンサは、従来のタッチ入力センサよりも、はるかに高い解像度(例えば、約500dpi)を実現可能である。本明細書の実施形態は、生体接触検知方式に関して説明可能であるが、実施形態およびその変更形態は、他の装置に適用可能であることは言うまでもない。例えば、非破壊検査の撮像装置などの装置は、接触検知要素に接触する、および/または、相対的に近接する対象の部分に基づいて画像を取得可能である。
【0009】
次に、
図1を参照すると、例示の実施形態による容量式タッチパターンセンサの断面図が示される。センサアレイ102が、基板104(例えば、ガラス)の上に形成される。このセンサアレイ102は、複数の能動ピクセル100を含む。以下に、そのピクセル100の一例をさらに詳しく説明する。各ピクセル100は一般的に、検知パッド106に電気的に接続する。このパッド106は導電性で、絶縁体層108に覆われる。この絶縁体層108は、パリレンなどの保護コーティングポリマーから作ることができる。導電性の対象109が絶縁層108と接触し、パッド106の局所的な静電容量を変化させ、この作用を受けたパッド106に接続する能動ピクセル100がこれを検知する。例えば、指紋の頂上部112により頂上部112の真下のパッド106で静電容量が計測され、その静電容量は、指紋の谷部110の真下の別のパッド106とは異なる。この静電容量は接触対非接触に基づいてのみ変化し得るが、非接触部分の相対的な近接により変化する可能性もある。例えば、絶縁層108の面からの異なる距離により、指紋の谷部が異なる静電容量が発生し得る。
【0010】
次に、
図2を参照すると、例示の実施形態によるセンサアレイ102の詳細を示すブロック図が示される。センサアレイ102は、複数の個々の能動ピクセル素子100を含む。これらの素子100は、それぞれ行線204および列線206のうちの一方に関連する。一般に、画像を検知するために、各行線204を順序通りに起動することができる。行線204を起動させることにより、行線内の全ての素子100が起動される(例えば、イネーブリングトランジスタのスイッチを入れる)。次いで、各列線(例えば、データ線)206を走査して、現在起動している行内の個々の素子100を読み取る。素子100を走査する別の方法が当技術分野では知られており、実施形態は必ずしも
図2に示す方法に限定されない。
【0011】
下記に、より詳細に記載する通り、各列線206の読み込みでは、第1の期間中、第1の電圧レベルを各列線206にかけ、次いで、第2の期間中より低い第2の電圧レベルに切り替えることができる。第1の電圧レベルが現在読込まれている素子100に帯電し、第2の電圧レベルにより列線を介して電流が流れ、これにより、素子100の検知される静電容量が示される。
【0012】
次に、
図3を参照すると、例示の実施形態による能動ピクセル100の概略図が示される。この能動ピクセル100は一般に、3トランジスタセンサとして設定され、これは。時々、3Tセンサピクセルとして短縮される。この図内の3つのトランジスタM1、M2、M3は、N型、低温、ポリシリコン(Poly−Si)薄膜トランジスタ(TFT)であるが、金属酸化膜半導体、電界効果トランジスタ(MOSFET)などのその他の種類のトランジスタ装置を使用することも可能である。しかし、TFTは、MOSFETに対して、コストおよび製造の簡単さなどの利点を有し得る。トランジスタM2は、リセット信号G
n+1に応じて、リセットトランジスタとして設定される。
G
n+1が起動されると、M2が高周波数の整流/検知ダイオードD1を短絡させ、検知接点J1をD1のバイアス電圧につなげることができる。リセットトランジスタM2を、次の行のイネーブル線(G
n+1)に接続することにより、分離した一連のリセット線を使用することなしに、能動ピクセル100をリセットすることができる。別の構成では、先行する行のイネーブル線(G
n−1)、分離リセット線、近接する列線のデータ線Dnなどの別の線によりM2をリセットすることができる。
【0013】
図3で見られる通り、2つのコンデンサC
pおよびC
fは、検知接点J1で検知ダイオードD1に接続する。C
p構成部品は寄生コンデンサであり、その一端が検知接点J1の接続し、もう一端は接地される。C
f構成部品は、検知されたパッドの静電容量および絶縁層(
図1の検知パッド106および絶縁層108を参照)をモデル化したものである。C
fの実効値は、対象(例えば、指紋頂上部)が絶縁層に接触しているか否かににより、0(又は0の近く)から特定の最大値(この例では、約10fF)に変化可能である。下記により詳細に記載する通り、検知される静電容量は、M1(C
M1)のゲート静電容量の割合およびC
f、C
p、およびC
M1の合計に基づいて見出すことができる。
【0014】
M1トランジスタは、検知接点J1につながるゲートを有するソースフォロワとして設定される。イネーブル信号Gnに応じてイネーブリングトランジスタM3のスイッチがオンになると、M1の出力はデータ線Dnにつながる。トランジスタM1はまた、コンデンサC
fおよびコンデンサC
pを帯電するためのチャージポンプとしても機能する。M3が動作可能のとき、この帯電はピクセル100の操作周期の間に行われる。一実施形態では、操作周期は50〜70μsの間である。この周期の一部の期間中(帯電期間)、データ線Dnの電位の第1の電圧レベルに下げられ、この結果、ゲートの静電容量C
M1に余剰電荷が溜まり、ダイオードD1を流れる電流により安定した帯電電圧V
charge=V
diode_biasを維持する。
【0015】
操作周期(検知期間)の後の期間でデータ線の電圧もとの電圧に戻すと、帯電期間中にM1のゲートに蓄積された電荷が、C
p、C
f、C
M1の間に再分配される。検知期間の終わりの検知接点J1での最終電圧(V
sense)は、この期間でソースフォロワM1の入力、およびM1の出力となり、Dn上に読み出される。V
chargeの電位とV
senseの電位の間の差をΔVとして表すことができ、C
M1/(C
f+C
p+C
M1)にほぼ比例する。一般的には、検知期間中にDnを流れる電流を測定することにより静電容量C
fを決定することができる。
【0016】
図3には、特定な構成部品の種類およびそれぞれの値が示されているが、構成部品の種類および変数は、図示するものとは異なってもよく、それでも、請求項に記載された発明の範囲内であることは当業者なら理解されよう。例えば、C
M1およびC
pの静電容量の値は、検知される静電容量C
fを供給する実際の構成と合せるために、図示するものから変更可能である。ある構成では、C
fは約10fF(1fFと100fFの間)であることが分かり、それに伴いC
M1およびC
pも全て同様の範囲内に収まるよう選択される。但し、C
M1の値は、TFTの設計で固有のものであり、したがって、C
M1の変更は、実際の構成/実際の寸法、および/または、使用されるトランジスタの種類を変更することにより、あるいは、電気部品(例えば、インラインコンデンサ)追加することにより実現可能である。別の変更形態では、例えば、説明したNチャネルトランジスタをPチャネルディバイスと交換し、ダイオードの方向および電圧の極性を反転させることにより、回路内にPチャネルトランジスタを用いることができる。
【0017】
次に、
図4および
図5を参照すると、
図3に示す構成のピクセル100のSPICEシミュレーションの結果のグラフが示される。
図4では、トレース402およびトレース404はそれぞれ、C
f=0およびC
f=13fFに対するM1のゲート電位を示す。期間406は、M1の操作周期を表す。期間408および期間410は、操作周期406の帯電期間および読出し期間をそれぞれ表す。電圧412および電圧414は、C
fの異なる値に比例し、検知信号、例えば、ピクセル100から出力されるデータ線の電流、に対するバイアスとして使用することができる。
図5では、トレース502、504は、C
f=0およびC
f=13fFに対してピクセル100から出力される電流をそれぞれ表す。各期間408、410もまた
図5に示され、検知期間410中の電流の差を用いて、検知された静電容量を決定する。
【0018】
読出し期間408と410の間のデータ線かけられる電位差は、データ線のリセットスイッチとして知られるスイッチによりもたらすことができる。データ線のリセットスイッチは、ピクセルアレイと同じ基板上で、各データ線の端に配置されたTFTを含む。TFTは制御線により起動され、全てのデータ線リセットTFTにより、この制御線は共有される。データ線のリセットスイッチが起動すると、このデータ線のリセットスイッチは、そのデータ線を外部電圧源と接続させ、データ線の電位をこの電圧源により規定される値に設定する。このような電位差を作用するための別の方法がいくつか存在する。例えば、現在ピクセルが起動している間に読出し電荷増幅器(
図2の読出し線206に接続する)のV
refを変化させることができる。
【0019】
上記に説明した通り、起動アレイ内の各ピクセルを走査することで、電荷と検知電圧との間の差により、各ピクセルのデータ線に電流が流れる。これらの電流を計測することで、
図6に示されるサンプルの手形の画像などの画像が組立てることができる。薄膜トランジスタ(TFT)製造技術の進歩により、この種類のアクティブ回路を用いる大型の(例えば、4本の指を1度に検知する)指紋センサを低コストで製造可能である。この種類のセンサはまた、高品質の走査画像を作成することもできる。走査品質は、少なくとも部分的には容量式センサピクセルを用いて得ることができる、高い信号対ノイズ率(SNR)による。
【0020】
次に、
図7を参照すると、例示の実施形態による、容量式検知装置の能動ピクセルに関する、計測されたSNRを示すヒストグラムが示される。曲線702は、ピクセルアレイに関する明るい領域のSNRを表し、曲線704は、同じアレイに関する暗い領域のSNR測定結果を表す。曲線702の頂点の値は183であり、曲線704の頂点の値は310である。これらの曲線の平均値/中間値は、この種類の装置に関する受け入れ可能の最少SNR標準値(例えば、SNR125)よりはるかに高い。
【0021】
本明細書に記載される能動ピクセルセンサが、これらのSNRレベルを実現できた1つの理由は、
図3を参照して上記に記載した通り、C
M1、C
f、C
pの低い静電容量の値によるものである。ゲートの静電容量C
M1は、約10fF(例えば、1fFと100fFの間)であり、C
f、および寄生コンデンサC
pの値として
図3にモデル化された絶縁体層全体に渡る平面の静電容量に匹敵する(例えば、同じ桁の大きさ)。このような低い静電容量により、回路C
f内における電荷に対して非常に感度が高くなる。これが、上記のSNRの測定で反映されると、M2により提供された信号の増幅と組み合わさり、優れた感度を提供する。
【0022】
次に、
図8を参照すると、例示の実施形態による方法のフローチャートが示される。この方法では、ステップ802で、センサアレイ内の能動ピクセルの3Tセンサのソースフォロワに直列に接続するイネーブリングトランジスタを起動させる。ステップ804で、3Tセンサのデータ線に第1の電圧レベルをかける。次いで、ステップ806で、データ線に第2の電圧をかける。ステップ808で、かけられている第2の電圧に応じてデータ線を流れる電流を決定する。ステップ810で、この電流に基づいて、能動ピクセルを覆う絶縁層の可変静電容量を決定し、ステップ812で、この可変静電容量に基づいて、絶縁体層に近接する対象の画像を決定する。
【0023】
次に、
図9を参照すると、例示の実施形態による方法のフローチャートが示される。この方法では、ループエントリブロック902で示す通り、動作ステップ904〜ステップ907の動作を繰り返す。
図2に示す通り、例えば、アレイのいくつかのまたは全ての行線と列線を走査することにより、このループは容量式タッチセンサの複数の能動ピクセルごとに行われる。
【0024】
ステップ904で、能動ピクセルごとに、能動ピクセルの3Tセンサのイネーブルトランジスタを起動させ、少なくともその後のステップ905〜ステップ907の間起動したままにすることができる。ステップ905で、能動ピクセルのデータ線に第1の電圧レベルをかける。この3Tセンサは、ソースフォロワトランジスタを有し、このソースフォロワトランジスタは、ゲートを検知接点に接続させた状態でデータ線に接続する(例えば、イネーブルトランジスタを介して)。検知ダイオードは、この検知接点で寄生コンデンサに直列に接続する。
【0025】
ステップ906で、データ線に第2の電圧をかける。ステップ907で、かけられている第2の電圧に応じてデータ線を流れる電流に基づいて、能動ピクセルを覆う絶縁体層の可変静電容量を決定する。ステップ902で、ループが終了すると、ステップ912で、複数の能動ピクセルのそれぞれから測定した可変静電容量に基づいて近接する画像を決定する。
【0026】
上記の例示の実施形態の記載は、図示と説明を目的として提示されているものであり、まさにその開示された形態が全てを網羅すること、あるいは、その形態に限定する意図はない。上記の教示を考慮すると、様々な修正形態および変更形態が可能である。開示された実施形態の任意のまたは全ての特徴は、個々に、またはあらゆる組み合わせで、適用可能であり、限定を意味するものでなく、純粋な説明だけを意味する。本発明の範囲はこの詳細な記載により限定されるものでなく、付随する請求項により決定されることを意図する。