特許第6190692号(P6190692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190692
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/02 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   B25J9/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-219102(P2013-219102)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-80828(P2015-80828A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 隆之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤原 真志
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 陽介
【審査官】 田村 耕作
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−238775(JP,A)
【文献】 特開2013−184237(JP,A)
【文献】 特開2000−298186(JP,A)
【文献】 特開平04−323115(JP,A)
【文献】 特開2008−030151(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/072199(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物が搭載される第1ハンドおよび第2ハンドと、前記第1ハンドが固定される第1ハンド支持部材と、前記第2ハンドが固定される第2ハンド支持部材と、前記第1ハンド支持部材と前記第2ハンド支持部材とが水平方向の同じ方向へ直線的に往復移動可能となるように前記第1ハンド支持部材および前記第2ハンド支持部材を保持するアームと、前記アームに対する前記第1ハンド支持部材および前記第2ハンド支持部材の移動方向と同じ方向へ直線的に往復移動可能となるように前記アームを保持するアーム支持部材と、前記アームに対して前記第1ハンド支持部材を往復移動させる第1駆動機構と、前記アームに対して前記第2ハンド支持部材を往復移動させる第2駆動機構と、前記アーム支持部材に対して前記アームを往復移動させる第3駆動機構とを備えるとともに
前記第1ハンド支持部材、前記第2ハンド支持部材および前記アームの移動方向を第1方向とし、上下方向と前記第1方向とに直交する方向を第2方向とし、前記第2方向の一方を第3方向とし、前記第2方向の他方を第4方向とすると、
前記第1方向へ前記第1ハンド支持部材を案内するための第1ガイドレールおよび第1ガイドブロックと、前記第1方向へ前記第2ハンド支持部材を案内するための第2ガイドレールおよび第2ガイドブロックとを備え、
前記第1方向から見たときに、前記第1ハンドと前記第2ハンドとは、上下方向で互いに重なるように配置されるとともに、
前記第1方向から見たときに、前記第1ハンド支持部材に対する前記第1駆動機構の駆動力が作用する第1作用位置は、前記第1駆動機構の駆動力で前記第1方向へ移動する部分の重心の下側にあり、前記第2ハンド支持部材に対する前記第2駆動機構の駆動力が作用する第2作用位置は、前記第2駆動機構の駆動力で前記第1方向へ移動する部分の重心の下側にあり、前記アームに対する前記第3駆動機構の駆動力が作用する第3作用位置は、前記第3駆動機構の駆動力で前記第1方向へ移動する部分の重心の下側にあり、
前記第1駆動機構は、オネジが形成されるとともに前記アームに回転可能に保持される第1ネジ部材と、前記第1ネジ部材のオネジに係合するメネジが形成されるとともに前記第1ハンド支持部材に固定される第1ナット部材と、前記第1ネジ部材を回転させる第1モータとを備え、
前記第2駆動機構は、オネジが形成されるとともに前記アームに回転可能に保持される第2ネジ部材と、前記第2ネジ部材のオネジに係合するメネジが形成されるとともに前記第2ハンド支持部材に固定される第2ナット部材と、前記第2ネジ部材を回転させる第2モータとを備え、
前記第1作用位置は、前記第1ネジ部材のオネジと前記第1ナット部材のメネジとの係合位置であり、
前記第2作用位置は、前記第2ネジ部材のオネジと前記第2ナット部材のメネジとの係合位置であり、
前記第1ガイドレールは、前記アームの前記第3方向側の側面に固定され、
前記第2ガイドレールは、前記アームの前記第4方向側の側面に固定され、
前記第1ネジ部材は、前記アームの前記第3方向側の側面に沿って配置され、
前記第2ネジ部材は、前記アームの前記第4方向側の側面に沿って配置され、
前記第1モータは、前記第1方向における前記アームの一端側に固定され、前記第2モータは、前記第1方向における前記アームの他端側に固定されるとともに、前記第1モータおよび前記第2モータは、前記第1方向から見たときに前記第1モータの回転中心と前記第2モータの回転中心とが一致するように配置され、
前記第1方向から見たときに、前記第1モータの回転中心および前記第2モータの回転中心が前記第3作用位置の上側にあり、かつ、前記第2方向における前記第1モータの回転中心と前記第1ネジ部材の軸心との距離と、前記第2方向における前記第2モータの回転中心と前記第2ネジ部材の軸心との距離とが等しくなっていることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記第3駆動機構は、オネジが形成されるとともに前記アームおよび前記アーム支持部材のいずか一方に回転可能に保持される第3ネジ部材と、前記第3ネジ部材のオネジに係合するメネジが形成されるとともに前記アームおよび前記アーム支持部材のいずれか他方に固定される第3ナット部材とを備え、
前記第3作用位置は、前記第3ネジ部材のオネジと前記第3ナット部材のメネジとの係合位置であることを特徴とする請求項記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記第3駆動機構は、オネジが形成されるとともに前記アームおよび前記アーム支持部材のいずか一方に回転可能に保持される第3ネジ部材と、前記第3ネジ部材のオネジに係合するメネジが形成されるとともに前記アームおよび前記アーム支持部材のいずれか他方に固定される第3ナット部材と、前記第3ネジ部材を回転させる第3モータとを備え、
前記第3モータは、前記第1方向から見たときに前記第3モータの回転中心と前記第3ネジ部材の軸心とが一致するように配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記第1方向から見たときに、前記第1ハンドは、前記第2ハンドの下側に配置され、前記アームは、前記第1ハンドの下側に配置され
前記第1ハンド支持部材は、前記アームの前記第3方向側に配置されるとともに前記第1作用位置よりも前記第3方向側で前記第1ハンドに繋がり、
前記第2ハンド支持部材は、前記アームおよび前記第1ハンドの前記第4方向側に配置されるとともに前記第2作用位置よりも前記第4方向側で前記第2ハンドに繋がっていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の搬送対象物を搬送する産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ用のガラス基板等の基板を搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、基板が搭載される上フォークおよび下フォークと、上フォークが固定される第1移動体と、下フォークが固定される第2移動体と、第1移動体および第2移動体を移動可能に保持する共通基部と、共通基部を移動可能に保持する基部とを備えている。第1移動体および第2移動体は、共通基部に対して水平方向へ直線的に往復移動可能となっている。また、第1移動体と第2移動体とは、共通基部に対して同じ方向へ往復移動可能となっている。共通基部は、基部に対して水平方向へ直線的に往復移動可能となっている。また、共通基部は、共通基部に対する第1移動体および第2移動体の移動方向と同じ方向へ基部に対して往復移動可能となっている。
【0003】
また、特許文献1に記載の産業用ロボットは、第1移動体を往復駆動するための第1駆動部と、第2移動体を往復駆動するための第2駆動部と、共通基部を往復駆動するための第3駆動部とを備えている。第1駆動部は、共通基部に固定されるモータと、共通基部に回転可能に保持されモータの動力で回転するボールネジと、第1移動体に固定されボールネジに螺合するボールナットとを備えている。第2駆動部は、共通基部に固定されるモータと、共通基部に回転可能に保持されモータの動力で回転するボールネジと、第2移動体に固定されボールネジに螺合するボールナットとを備えている。第3駆動部は、基部に固定されるモータと、基部に回転可能に保持されモータの動力で回転するボールネジと、共通基部に固定されボールネジに螺合するボールナットとを備えている。
【0004】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、基板を搬送する際に、共通基部に対して第1移動体または第2移動体が直線的に相対移動するとともに、共通基部に対する第1移動体または第2移動体の相対移動方向と同じ方向へ基部に対して共通基部が直線的に相対移動する。このときには、第1移動体、第2移動体および共通基部は、リニアガイドによって案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−238775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、基板を搬送する産業用ロボットが設置される基板製造システムの生産効率を高めるため、産業用ロボットの動作の高速化が求められている。特許文献1に記載の産業用ロボットでは、ボールネジとボールナットとを用いて第1移動体、第2移動体および共通基部を駆動するため、移動時の第1移動体、第2移動体および共通基部には、ボールネジを中心とするモーメントが生じる。そのため、この産業用ロボットでは、第1移動体、第2移動体および共通基部の移動速度が速くなると、第1移動体、第2移動体および共通基部に大きな振動が生じるおそれがある。第1移動体、第2移動体および共通基部に大きな振動が生じると、基板が搭載される上フォークや下フォークの動作が不安定になり、基板の搬送精度が低下するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、動作速度を速くしても、搬送対象物の搬送精度の低下を抑制することが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が搭載される第1ハンドおよび第2ハンドと、第1ハンドが固定される第1ハンド支持部材と、第2ハンドが固定される第2ハンド支持部材と、第1ハンド支持部材と第2ハンド支持部材とが水平方向の同じ方向へ直線的に往復移動可能となるように第1ハンド支持部材および第2ハンド支持部材を保持するアームと、アームに対する第1ハンド支持部材および第2ハンド支持部材の移動方向と同じ方向へ直線的に往復移動可能となるようにアームを保持するアーム支持部材と、アームに対して第1ハンド支持部材を往復移動させる第1駆動機構と、アームに対して第2ハンド支持部材を往復移動させる第2駆動機構と、アーム支持部材に対してアームを往復移動させる第3駆動機構とを備えるとともに、第1ハンド支持部材、第2ハンド支持部材およびアームの移動方向を第1方向とし、上下方向と第1方向とに直交する方向を第2方向とし、第2方向の一方を第3方向とし、第2方向の他方を第4方向とすると、第1方向へ第1ハンド支持部材を案内するための第1ガイドレールおよび第1ガイドブロックと、第1方向へ第2ハンド支持部材を案内するための第2ガイドレールおよび第2ガイドブロックとを備え、第1方向から見たときに、第1ハンドと第2ハンドとは、上下方向で互いに重なるように配置されるとともに、第1方向から見たときに、第1ハンド支持部材に対する第1駆動機構の駆動力が作用する第1作用位置は、第1駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の重心の下側にあり、第2ハンド支持部材に対する第2駆動機構の駆動力が作用する第2作用位置は、第2駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の重心の下側にあり、アームに対する第3駆動機構の駆動力が作用する第3作用位置は、第3駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の重心の下側にあり、第1駆動機構は、オネジが形成されるとともにアームに回転可能に保持される第1ネジ部材と、第1ネジ部材のオネジに係合するメネジが形成されるとともに第1ハンド支持部材に固定される第1ナット部材と、第1ネジ部材を回転させる第1モータとを備え、第2駆動機構は、オネジが形成されるとともにアームに回転可能に保持される第2ネジ部材と、第2ネジ部材のオネジに係合するメネジが形成されるとともに第2ハンド支持部材に固定される第2ナット部材と、第2ネジ部材を回転させる第2モータとを備え、第1作用位置は、第1ネジ部材のオネジと第1ナット部材のメネジとの係合位置であり、第2作用位置は、第2ネジ部材のオネジと第2ナット部材のメネジとの係合位置であり、第1ガイドレールは、アームの第3方向側の側面に固定され、第2ガイドレールは、アームの第4方向側の側面に固定され、第1ネジ部材は、アームの第3方向側の側面に沿って配置され、第2ネジ部材は、アームの第4方向側の側面に沿って配置され、第1モータは、第1方向におけるアームの一端側に固定され、第2モータは、第1方向におけるアームの他端側に固定されるとともに、第1モータおよび第2モータは、第1方向から見たときに第1モータの回転中心と第2モータの回転中心とが一致するように配置され、第1方向から見たときに、第1モータの回転中心および第2モータの回転中心が第3作用位置の上側にあり、かつ、第2方向における第1モータの回転中心と第1ネジ部材の軸心との距離と、第2方向における第2モータの回転中心と第2ネジ部材の軸心との距離とが等しくなっていることを特徴とする。
【0009】
本発明の産業用ロボットでは、第1ハンド支持部材、第2ハンド支持部材およびアームの移動方向である第1方向から見たときに、第1ハンド支持部材を往復移動させる第1駆動機構の駆動力が第1ハンド支持部材に対して作用する第1作用位置は、第1駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の重心の下側にあり、第2ハンド支持部材を往復移動させる第2駆動機構の駆動力が第2ハンド支持部材に対して作用する第2作用位置は、第2駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の重心の下側にあり、アームを往復移動させる第3駆動機構の駆動力がアームに対して作用する第3作用位置は、第3駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の重心の下側にある。そのため、本発明では、第1ハンドを含む、第1駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の、第1方向から見たときの第1作用位置を中心とするモーメントの発生、第2ハンドを含む、第2駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の、第1方向から見たときの第2作用位置を中心とするモーメントの発生、および、第1ハンドおよび第2ハンドを含む、第3駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の、第1方向から見たときの第3作用位置を中心とするモーメントの発生を抑制することが可能になる。したがって、本発明では、産業用ロボットの動作速度を速くしても、搬送対象物が搭載される第1ハンドおよび第2ハンドの振動を抑制して、搬送対象物の搬送精度の低下を抑制することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、第1ガイドレールは、アームの第3方向側の側面に固定され、第2ガイドレールは、アームの第4方向側の側面に固定され、第1ネジ部材は、アームの第3方向側の側面に沿って配置され、第2ネジ部材は、アームの第4方向側の側面に沿って配置されている。そのため、第2方向における第1ネジ部材と第2ネジ部材との距離を近づけることが可能になる。また、本発明では、第1モータは、第1方向におけるアームの一端側に固定され、第2モータは、第1方向におけるアームの他端側に固定されるとともに、第1モータおよび第2モータは、第1方向から見たときに第1モータの回転中心と第2モータの回転中心とが一致するように配置され、第1方向から見たときに、第1モータの回転中心および第2モータの回転中心が第3作用位置の上側にあり、かつ、第2方向における第1モータの回転中心と第1ネジ部材の軸心との距離と、第2方向における第2モータの回転中心と第2ネジ部材の軸心との距離とが等しくなっている。そのため、第2方向において、第3駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の重心と第3作用位置とを一致させやすくなる。
【0011】
発明において、たとえば、第3駆動機構は、オネジが形成されるとともにアームおよびアーム支持部材のいずか一方に回転可能に保持される第3ネジ部材と、第3ネジ部材のオネジに係合するメネジが形成されるとともにアームおよびアーム支持部材のいずれか他方に固定される第3ナット部材とを備え、第3作用位置は、第3ネジ部材のオネジと第3ナット部材のメネジとの係合位置である。
【0014】
本発明において、たとえば、第3駆動機構は、オネジが形成されるとともにアームおよびアーム支持部材のいずか一方に回転可能に保持される第3ネジ部材と、第3ネジ部材のオネジに係合するメネジが形成されるとともにアームおよびアーム支持部材のいずれか他方に固定される第3ナット部材と、第3ネジ部材を回転させる第3モータとを備え、第3モータは、第1方向から見たときに第3モータの回転中心と第3ネジ部材の軸心とが一致するように配置されている。
【0015】
本発明において、第1方向から見たときに、第1ハンドは、第2ハンドの下側に配置され、アームは、第1ハンドの下側に配置され、第1ハンド支持部材は、アームの第3方向側に配置されるとともに第1作用位置よりも第3方向側で第1ハンドに繋がり、第2ハンド支持部材は、アームおよび第1ハンドの第4方向側に配置されるとともに第2作用位置よりも第4方向側で第2ハンドに繋がっていることが好ましい。すなわち、第1ハンドは、第1ハンド支持部材に片持ち支持され、第2ハンドは、第2ハンド支持部材に片持ち支持されていることが好ましい。このように構成すると、第1ハンドが第1ハンド支持部材に両持ち支持され、第2ハンドが第2ハンド支持部材に両持ち支持されている場合と比較して、第1ハンド支持部材および第2ハンド支持部材を軽量化することが可能になる。
【0016】
なお、第1ハンドが第1ハンド支持部材に片持ち支持され、第2ハンドが第2ハンド支持部材に片持ち支持される場合には、第1ハンドが第1ハンド支持部材に両持ち支持され、第2ハンドが第2ハンド支持部材に両持ち支持される場合と比較して、第1駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の、第1方向から見たときの第1作用位置を中心とするモーメント、および、第2駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の、第1方向から見たときの第2作用位置を中心とするモーメントが発生しやすくなるが、本発明では、上述のように、これらのモーメントの発生を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の産業用ロボットでは、その動作速度を速くしても、搬送対象物の搬送精度の低下を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの平面図である。
図2図1のE−E方向から産業用ロボットを示す図である。
図3図1のH−H方向から産業用ロボットの要部を示す図である。
図4図1に示すアームの内部構造およびその周辺部分の構造を上面から説明するための図である。
図5図4のJ−J方向からアームの内部構造およびその周辺部分の構造を説明するための図である。
図6図5のK−K方向からアームの周辺部分の構造を説明するための図である。
図7図5のL−L方向から第1ハンド支持部材および第2ハンド支持部材等の構造を説明するための図である。
図8図2に示す第1ハンド、第2ハンドおよびアームの概略動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。図2は、図1
のE−E方向から産業用ロボット1を示す図である。図3は、図1のH−H方向から産業
用ロボット1の要部を示す図である。なお、以下の説明では、互いに直交する3方向のそ
れぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方
向を上下方向とする。本形態では、Z方向と鉛直方向とが一致するように産業用ロボット
1が配置されている。また、以下の説明では、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左
」側、Y1方向側を「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側、Z1方向側を「上」側、
Z2方向側を「下」側とする。
【0021】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である液晶ディスプレイ用のガラス基板2(以下、「基板2」とする。)を搬送するためのロボットである。ロボット1は、基板2が搭載される第1ハンドとしてのハンド3と、基板2が搭載される第2ハンドとしてのハンド4と、ハンド3が固定される第1ハンド支持部材としてのハンド支持部材5と、ハンド4が固定される第2ハンド支持部材としてのハンド支持部材6と、ハンド支持部材5、6を保持するアーム7と、アーム7を支持する本体部8と、本体部8を水平方向(具体的には、左右方向)に移動可能に支持するベース部材9とを備えている。
【0022】
本体部8は、アーム7を保持するアーム支持部材11と、アーム支持部材11が固定されるとともに上下動可能な昇降部材12と、昇降部材12を上下方向に移動可能に支持する柱状部材13と、本体部8の下端部分を構成するとともにベース部材9に対して水平移動可能な基台14と、柱状部材13の下端が固定されるとともに基台14に対して旋回可能な旋回部材15とを備えている。
【0023】
アーム7は、アーム支持部材11の先端側に保持されている。アーム支持部材11の基端側は、昇降部材12に固定されている。昇降部材12は、図示を省略する昇降機構の動力によって、上下方向を長手方向とする柱状に形成される柱状部材13に対してアーム7等と一緒に上下動する。基台14は、図示を省略する移動機構の動力によって、ベース部材9に対して左右方向へ移動する。すなわち、本体部8は、この移動機構の動力によって、ベース部材9に対して左右方向へ移動する。また、旋回部材15は、図示を省略する旋回機構の動力によって、基台14に対して旋回する。
【0024】
ハンド支持部材5およびハンド支持部材6は、図1等の前後方向へ直線的に往復移動可能となるようにアーム7に保持されている。すなわち、アーム7は、ハンド支持部材5とハンド支持部材6とが水平方向の同じ方向へ直線的に往復移動可能となるように、ハンド支持部材5、6を保持している。ロボット1は、アーム7に対してハンド支持部材5を往復移動させる第1駆動機構21と、アーム7に対してハンド支持部材6を往復移動させる第2駆動機構22とを備えている(図4参照)。
【0025】
アーム7は、図1等の前後方向へ直線的に往復移動可能となるように、アーム支持部材11に保持されている。すなわち、アーム7に対するハンド支持部材5、6の移動方向と同じ方向へ直線的に往復移動可能となるように、アーム支持部材11は、アーム7を保持している。ロボット1は、アーム支持部材11に対してアーム7を往復移動させる第3駆動機構23を備えている(図5図6参照)。
【0026】
なお、本形態の前後方向(Y方向)は、ハンド支持部材5、6およびアーム7の移動方向となる第1方向である。また、左右方向(X方向)は、第1方向である前後方向と上下方向とに直交する第2方向であり、X2方向は、第2方向の一方となる第3方向であり、X1方向は、第2方向の他方となる第4方向である。
【0027】
(ハンド、ハンド支持部材、アームおよび駆動機構の構成)
図4は、図1に示すアーム7の内部構造およびその周辺部分の構造を上面から説明するための図である。図5は、図4のJ−J方向からアーム7の内部構造およびその周辺部分の構造を説明するための図である。図6は、図5のK−K方向からアーム7の周辺部分の構造を説明するための図である。図7は、図5のL−L方向からハンド支持部材5、6等の構造を説明するための図である。
【0028】
ハンド3、4は、基板2が搭載される2本のフォーク部25と、フォーク部25の基端が固定されるハンド基部26とを備えている。ハンド3とハンド4とは、前後方向から見たときに、上下方向で互いに重なるように配置されている。本形態では、前後方向から見たときに、ハンド3は、ハンド4の下側に配置されている。
【0029】
アーム7は、ハンド3の下側に配置されている。このアーム7は、前後方向に細長い略直方体状に形成されている。具体的には、アーム7は、前後方向と左右方向とから構成されるXY平面に平行な上面および下面と、前後方向と上下方向とから構成されるYZ平面に平行な左右の側面と、上下方向と左右方向とから構成されるZX平面に平行な前後の側面とを有する略直方体状に形成されている。また、アーム7は、中空状に形成されている。左右方向におけるアーム7の幅は、左右方向におけるハンド3、4の幅よりも狭くなっている。
【0030】
図7に示すように、アーム7の左側面には、ハンド支持部材5を前後方向へ案内するための2本のガイドレール27が固定されている。アーム7の右側面には、ハンド支持部材6を前後方向へ案内するための2本のガイドレール28が固定されている。アーム7の下面には、アーム7を前後方向へ案内するための2本のガイドレール29が固定されている。2本のガイドレール27は、上下方向に所定の間隔をあけた状態でアーム7の左側面に固定され、2本のガイドレール28は、上下方向に所定の間隔をあけた状態でアーム7の右側面に固定されている。ガイドレール27の固定位置とガイドレール28の固定位置とは、上下方向において略一致している。2本のガイドレール29は、左右方向に所定の間隔をあけた状態でアーム7の下面に固定されている。本形態のガイドレール27は、第1ガイドレールであり、ガイドレール28は、第2ガイドレールであり、ガイドレール29は、第3ガイドレールである。
【0031】
ハンド支持部材5は、図7に示すように、前後方向から見たときの形状が略L形状となるブロック状に形成されている。このハンド支持部材5は、ハンド3が固定されるハンド固定部5aと、ガイドレール27に係合する2個のガイドブロック30が固定されるブロック固定部5bとを備えている。ハンド固定部5aおよびブロック固定部5bは、アーム7の左側に配置されている。すなわち、ハンド支持部材5は、アーム7の左側に配置されている。本形態のガイドブロック30は、第1ガイドブロックである。
【0032】
2個のガイドブロック30は、上下方向に所定の間隔をあけた状態でブロック固定部5bの右端側に固定されている。ハンド固定部5aの下端側は、ブロック固定部5bの左端に繋がっている。ハンド固定部5aの上端面は、ブロック固定部5bの上端よりも上側に配置されている。ハンド固定部5aの上端面には、ハンド3のハンド基部26の下面が固定されている。すなわち、ハンド支持部材5は、ハンド3の下側に配置されている。本形態では、ハンド固定部5aは、左右方向におけるハンド3の中心よりも左側でハンド3のハンド基部26の下面に繋がっている。
【0033】
ハンド支持部材6は、図7に示すように、前後方向から見たときの形状が略L形状となるブロック状に形成されている。このハンド支持部材6は、ハンド4が固定されるハンド固定部6aと、ガイドレール28に係合する2個のガイドブロック31が固定されるブロック固定部6bとを備えている。2個のガイドブロック31は、上下方向に所定の間隔をあけた状態でブロック固定部6bの左端側に固定されている。本形態のガイドブロック31は、第2ガイドブロックである。
【0034】
ハンド固定部6aの下端側は、ブロック固定部6bの右端に繋がっている。ハンド固定部6aは、ハンド3に搭載される基板2との干渉を防止するために、ブロック固定部6bの右端から右斜め上側に向かって伸びた後、上側に向かって伸びるように形成されている。ハンド固定部6aの上端面は、ブロック固定部6bの上端よりも上側に配置されている。ハンド固定部6aの上端側には、ハンド4のハンド基部26が固定されている。本形態では、ハンド固定部6aは、ハンド4のハンド基部26の右端に繋がっている。
【0035】
ハンド固定部6aの下端側およびブロック固定部6bは、アーム7の右側に配置されている。また、ハンド固定部6aの上端側は、ハンド3の右側に配置されている。すなわち、ハンド支持部材6は、アーム7およびハンド3の右側に配置されている。また、ハンド固定部6aの下端側およびブロック固定部6bは、ハンド3の下側に配置されている。
【0036】
アーム支持部材11は、図7に示すように、ガイドレール29に係合する2個のガイドブロック32が固定されるブロック固定部材33を備えている。ブロック固定部材33は、アーム支持部材11の先端側の上面に固定されている。2個のガイドブロック32は、左右方向に所定の間隔をあけた状態でブロック固定部材33の上端側に固定されている。本形態のガイドブロック32は、第3ガイドブロックである。
【0037】
第1駆動機構21は、ハンド3の下側に配置されている。この第1駆動機構21は、図4に示すように、外周面にオネジが形成される第1ネジ部材としてのネジ部材36と、ネジ部材36のオネジに係合するメネジが内周面に形成される第1ナット部材としてのナット部材37と、ネジ部材36を回転させる第1モータとしてのモータ38と、モータ38の動力をネジ部材36に伝達する動力伝達機構39とを備えている。
【0038】
ネジ部材36は、たとえば、ボールネジである。ネジ部材36は、前後方向を軸方向として、アーム7の左側に配置されている。すなわち、ネジ部材36は、アーム7の左側面に沿って配置されている。ネジ部材36の前後の両端側は、アーム7の左側面に固定される軸受によって回転可能に保持されている。すなわち、ネジ部材36は、軸受を介してアーム7に回転可能に保持されている。ナット部材37は、ハンド支持部材5のブロック固定部5bに固定されている。図7に示すように、ネジ部材36およびナット部材37は、上下方向において2個のガイドレール27および2個のガイドブロック30の間に配置されている。また、ネジ部材36およびナット部材37の軸中心は、ガイドレール27とガイドブロック30との係合部分よりも左側に配置されている。
【0039】
モータ38は、アーム7の内部の前端側に配置されており、アーム7の内部の前端側に固定されている。また、モータ38は、出力軸が前側に突出するようにアーム7の前端側に固定されている。本形態では、前後方向から見たときに、アーム7の中心とモータ38の回転中心とが略一致している。動力伝達機構39は、モータ38の出力軸の先端側に固定されるプーリと、ネジ部材36の前端側に固定されるプーリと、プーリ間に架け渡されるベルトとを備えている。
【0040】
第2駆動機構22は、ハンド3の下側に配置されている。この第2駆動機構22は、図4に示すように、外周面にオネジが形成される第2ネジ部材としてのネジ部材41と、ネジ部材41のオネジに係合するメネジが内周面に形成される第2ナット部材としてのナット部材42と、ネジ部材41を回転させる第2モータとしてのモータ43と、モータ43の動力をネジ部材41に伝達する動力伝達機構44とを備えている。
【0041】
ネジ部材41は、たとえば、ボールネジである。ネジ部材41は、前後方向を軸方向として、アーム7の右側に配置されている。すなわち、ネジ部材41は、アーム7の右側面に沿って配置されている。ネジ部材41の前後の両端側は、アーム7の右側面に固定される軸受によって回転可能に保持されている。すなわち、ネジ部材41は、軸受を介してアーム7に回転可能に保持されている。ナット部材42は、ハンド支持部材6のブロック固定部6bに固定されている。図7に示すように、ネジ部材41およびナット部材42は、上下方向において2個のガイドレール28および2個のガイドブロック31の間に配置されている。また、ネジ部材41およびナット部材42の軸中心は、ガイドレール28とガイドブロック31との係合部分よりも右側に配置されている。
【0042】
モータ43は、アーム7の内部の後端側に配置されており、アーム7の内部の後端側に固定されている。また、モータ43は、出力軸が後ろ側に突出するようにアーム7の後端側に固定されている。本形態では、前後方向から見たときに、アーム7の中心とモータ43の回転中心とが略一致している。また、本形態では、前後方向から見たときにモータ38の回転中心とモータ43の回転中心とが一致している。動力伝達機構44は、モータ43の出力軸の後端側に固定されるプーリと、ネジ部材41の後端側に固定されるプーリと、プーリ間に架け渡されるベルトとを備えている。
【0043】
図7に示すように、本形態では、モータ38、43の回転中心とネジ部材36の軸心との左右方向の距離D1と、モータ38、43の回転中心とネジ部材41の軸心との左右方向の距離D2とが等しくなっている。
【0044】
第3駆動機構23は、アーム7の下側に配置されている。この第3駆動機構23は、外周面にオネジが形成される第3ネジ部材としてのネジ部材46と、ネジ部材46のオネジに係合するメネジが内周面に形成される第3ナット部材としてのナット部材47と、ネジ部材46を回転させる第3モータとしてのモータ48とを備えている。
【0045】
ネジ部材46は、たとえば、ボールネジである。ネジ部材46は、前後方向を軸方向として、アーム7の下側に配置されている。すなわち、ネジ部材46は、アーム7の下面に沿って配置されている。ネジ部材46の前後の両端側は、アーム7の下面に固定される軸受によって回転可能に保持されている。すなわち、ネジ部材46は、軸受を介してアーム7に回転可能に保持されている。ナット部材47は、ブロック固定部材33に固定されている。すなわち、ナット部材47は、ブロック固定部材33を介してアーム支持部材11に固定されている。図7に示すように、ネジ部材46およびナット部材47は、左右方向において2個のガイドレール29および2個のガイドブロック32の間に配置されている。
【0046】
モータ48は、アーム7の下面の後端側に固定されている。また、モータ48は、出力軸が前側に突出するようにアーム7の下面に固定されている。モータ48の出力軸の前端側とネジ部材46の後端側とは、カップリング49を介して連結されており、前後方向から見たときに、モータ48の回転中心とネジ部材46の軸心とが一致している。また、前後方向から見たときに、モータ48の回転中心およびネジ部材46の軸心と、モータ38、43の回転中心(すなわち、アーム7の中心)とは、左右方向において一致している。すなわち、前後方向から見たときに、モータ38、43の回転中心は、モータ48の回転中心およびネジ部材46の軸心を通過する上下方向に平行な線CL1上に配置されており、モータ48の回転中心およびネジ部材46の軸心の上側にある。
【0047】
本形態では、ネジ部材36のオネジとナット部材37のメネジとが係合する係合位置は、ハンド支持部材5に対する第1駆動機構21の駆動力が作用する第1作用位置F1となっている。また、ネジ部材41のオネジとナット部材42のメネジとが係合する係合位置は、ハンド支持部材6に対する第2駆動機構22の駆動力が作用する第2作用位置F2となっている。また、ネジ部材46のオネジとナット部材47のメネジとが係合する係合位置は、アーム7に対する第3駆動機構23の駆動力が作用する第3作用位置F3となっている。
【0048】
また、本形態では、図7に示すように、前後方向から見たときに、第1作用位置F1は、第1駆動機構21の駆動力で前後方向へ移動する部分の重心G1の下側にあり、第2作用位置F2は、第2駆動機構22の駆動力で前後方向へ移動する部分の重心G2の下側にある。すなわち、前後方向から見たときに、第1作用位置F1と重心G1とが上下方向で重なり、第2作用位置F2と重心G2とが上下方向で重なっており、左右方向において、第1作用位置F1と重心G1とが略一致し、第2作用位置F2と重心G2とが略一致している。具体的には、前後方向から見たときに、重心G1は、ネジ部材36の軸心を通過する上下方向に平行な線CL2上にあり、重心G2は、ネジ部材41の軸心を通過する上下方向に平行な線CL3上にある。
【0049】
本形態では、第1駆動機構21の駆動力で前後方向へ移動する部分は、ハンド3、ハンド支持部材5、ガイドブロック30およびナット部材37であり、重心G1は、ハンド3、ハンド支持部材5、ガイドブロック30およびナット部材37の重心である。また、第2駆動機構22の駆動力で前後方向へ移動する部分は、ハンド4、ハンド支持部材6、ガイドブロック31およびナット部材42であり、重心G2は、ハンド4、ハンド支持部材6、ガイドブロック31およびナット部材42の重心である。
【0050】
また、上述のように、本形態では、前後方向から見たときに、モータ48の回転中心およびネジ部材46の軸心と、モータ38、43の回転中心(すなわち、アーム7の中心)とが左右方向において一致し、かつ、モータ38、43の回転中心とネジ部材36の軸心との距離D1と、モータ38、43の回転中心とネジ部材41の軸心との距離D2とが等しくなっており、第3作用位置F3は、第3駆動機構23の駆動力で前後方向へ移動する部分の重心G3の下側にある。すなわち、前後方向から見たときに、第3作用位置F3と重心G3とが上下方向で重なっており、左右方向において、第3作用位置F3と重心G3とが略一致している。具体的には、前後方向から見たときに、重心G3は、ネジ部材46の軸心を通過する上下方向に平行な線CL1上にある。また、モータ38、43の回転中心は、第3作用位置F3の上側にある。
【0051】
本形態では、第3駆動機構23の駆動力で前後方向へ移動する部分は、ハンド3、4、ハンド支持部材5、6、アーム7、第1駆動機構21、第2駆動機構22、ガイドレール27〜29、ガイドブロック30、31、ネジ部材46、カップリング49およびネジ部材36、41、46を支持する軸受等であり、重心G3は、ハンド3、4、ハンド支持部材5、6、アーム7、第1駆動機構21、第2駆動機構22、ガイドレール27〜29、ガイドブロック30、31、ネジ部材46、カップリング49およびネジ部材36、41、46を支持する軸受等の重心である。
【0052】
上述のように、ハンド支持部材5のハンド固定部5aの下端側は、ブロック固定部5bの左端に繋がっている。すなわち、ハンド支持部材5は、第1作用位置F1よりも左側でハンド3に繋がっている。また、上述のように、ハンド支持部材6のハンド固定部6aの下端側は、ブロック固定部6bの右端に繋がっている。すなわち、ハンド支持部材6は、第2作用位置F2よりも右側でハンド4に繋がっている。
【0053】
(ハンドおよびアームの概略動作)
図8は、図2に示すハンド3、4およびアーム7の概略動作を説明するための図である。
【0054】
以上のように構成されたロボット1では、基板2が収容される基板収容部(図示省略)へ基板2を搬入する前、または、基板収容部から基板2を搬出する前には、たとえば、図8(A)に示すように、アーム7は、アーム支持部材11に対して前側へ相対移動し、ハンド3、ハンド支持部材5、ハンド4およびハンド支持部材6は、アーム7に対して前側へ相対移動している。
【0055】
ハンド3、4に搭載された基板2を基板収容部へ搬入する際、または、基板収容部に収容された基板2をハンド3、4によって搬出する際には、モータ48が起動して、図8(B)、(C)に示すように、アーム7がアーム支持部材11に対して後ろ側へ移動する。アーム7がアーム支持部材11に対して後ろ側へ移動すると、ハンド3、4もアーム7と一緒にアーム支持部材11に対して後ろ側へ移動する。
【0056】
また、ハンド4に搭載された基板2を基板収容部へ搬入する際、または、基板収容部に収容された基板2をハンド4によって搬出する際には、モータ48と一緒にモータ43が起動して、図8(B)に示すように、ハンド4およびハンド支持部材6が後ろ側へ移動する。同様に、ハンド3に搭載された基板2を基板収容部へ搬入する際、または、基板収容部に収容された基板2をハンド3によって搬出する際には、モータ48と一緒にモータ38が起動して、図8(C)に示すように、ハンド3およびハンド支持部材5が後ろ側へ移動する。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、前後方向から見たときに、ハンド支持部材5に対する第1駆動機構21の駆動力が作用する第1作用位置F1は、第1駆動機構21の駆動力で前後方向へ移動する部分の重心G1の下側にあり、ハンド支持部材6に対する第2駆動機構22の駆動力が作用する第2作用位置F2は、第2駆動機構22の駆動力で前後方向へ移動する部分の重心G2の下側にあり、アーム7に対する第3駆動機構23の駆動力が作用する第3作用位置F3は、第3駆動機構23の駆動力で前後方向へ移動する部分の重心G3の下側にある。そのため、本形態では、ハンド3等を含む、第1駆動機構21の駆動力で前後方向へ移動する部分の、前後方向から見たときの第1作用位置F1を中心とするモーメントの発生、ハンド4等を含む、第2駆動機構22の駆動力で前後方向へ移動する部分の、前後方向から見たときの第2作用位置F2を中心とするモーメントの発生、および、ハンド3、4等を含む、第3駆動機構23の駆動力で前後方向へ移動する部分の、前後方向から見たときの第3作用位置F3を中心とするモーメントの発生を抑制することが可能になる。したがって、本形態では、ハンド3、4およびアーム7の移動速度を速くしても(すなわち、ロボット1の動作速度を速くしても)、基板2が搭載されるハンド3、4の振動を抑制して、基板2の搬送精度の低下を抑制することが可能になる。
【0058】
本形態では、ハンド支持部材5は、アーム7よりも左側に配置され、アーム7よりも左側でハンド3に繋がっている。また、ハンド支持部材6は、アーム7よりも右側に配置され、アーム7よりも右側でハンド4に繋がっている。すなわち、本形態では、ハンド3は、ハンド支持部材5に片持ち支持され、ハンド4は、ハンド支持部材6に片持ち支持されている。そのため、ハンド3がハンド支持部材5に両持ち支持され、ハンド4がハンド支持部材6に両持ち支持されている場合と比較して、ハンド支持部材5、6を軽量化することが可能になる。
【0059】
なお、ハンド3がハンド支持部材5に片持ち支持され、ハンド4がハンド支持部材6に片持ち支持される場合には、ハンド3がハンド支持部材5に両持ち支持され、ハンド4がハンド支持部材6に両持ち支持される場合と比較して、第1駆動機構21の駆動力で前後方向へ移動する部分の、前後方向から見たときの第1作用位置F1を中心とするモーメント、および、第2駆動機構22の駆動力で前後方向へ移動する部分の、前後方向から見たときの第2作用位置F2を中心とするモーメントが発生しやすくなるが、本形態では、上述のように、これらのモーメントの発生を抑制することが可能になる。
【0060】
本形態では、モータ38は、アーム7の内部の前端側に固定され、モータ43は、アーム7の内部の後端側に固定されるとともに、モータ38およびモータ43は、前後方向から見たときにモータ38の回転中心とモータ43の回転中心とが一致するように配置されている。また、本形態では、前後方向から見たときに、モータ38、43の回転中心が第3作用位置F3の上側にある。さらに、本形態では、モータ38、43の回転中心とネジ部材36の軸心との距離D1と、モータ38、43の回転中心とネジ部材41の軸心との距離D2とが等しくなっている。そのため、本形態では、左右方向において、第3駆動機構23の駆動力で前後方向へ移動する部分の重心G3と第3作用位置F3とを一致させやすくなる。
【0061】
本形態では、ガイドレール27はアーム7の左側面に固定され、ガイドレール28はアーム7の右側面に固定されている。また、本形態では、ネジ部材36はアーム7の左側面に沿って配置され、ネジ部材41はアーム7の右側面に沿って配置されている。そのため、本形態では、左右方向におけるネジ部材36とネジ部材41との距離を近づけることが可能になる。すなわち、本形態では、左右方向における第1作用位置F1と第2作用位置F2との距離を近づけることが可能になり、そのため、左右方向における重心G1と重心G2との距離を近づけることが可能になる。したがって、本形態では、左右方向において、重心G1と重心G2と重心G3とを近接させることが可能になり、その結果、第3駆動機構23によって移動するハンド3、4およびアーム7等の動作を安定させることが可能になる。
【0062】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0063】
上述した形態では、アーム7の左側面に、2本のガイドレール27が上下方向に所定の間隔をあけた状態で固定され、アーム7の右側面に、2本のガイドレール28が上下方向に所定の間隔をあけた状態で固定されている。この他にもたとえば、アーム7の上面および/または下面に、2本のガイドレール27、28が左右方向に所定の間隔をあけた状態で固定されるようにアーム7が形成されても良い。
【0064】
上述した形態では、ネジ部材46は、軸受を介してアーム7に回転可能に保持され、ナット部材47は、ブロック固定部材33に固定されている。この他にもたとえば、ネジ部材46が、軸受を介してブロック固定部材33に回転可能に保持され、ナット部材47がアーム7に固定されても良い。この場合には、モータ48は、ブロック固定部材33に固定される。また、上述した形態では、カップリング49を介してネジ部材46とモータ48とが連結されているが、プーリおよびベルトを介してネジ部材46とモータ48とが連結されても良い。
【0065】
上述した形態では、ロボット1によって搬送される搬送対象物は液晶ディスプレイ用のガラス基板2であるが、ロボット1によって搬送される搬送対象物は、ガラス基板2以外の半導体ウエハ等であっても良い。
【符号の説明】
【0066】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 基板(ガラス基板、搬送対象物)
3 ハンド(第1ハンド)
4 ハンド(第2ハンド)
5 ハンド支持部材(第1ハンド支持部材)
6 ハンド支持部材(第2ハンド支持部材)
7 アーム
11 アーム支持部材
21 第1駆動機構
22 第2駆動機構
23 第3駆動機構
27 ガイドレール(第1ガイドレール)
28 ガイドレール(第2ガイドレール)
30 ガイドブロック(第1ガイドブロック)
31 ガイドブロック(第2ガイドブロック)
36 ネジ部材(第1ネジ部材)
37 ナット部材(第1ナット部材)
38 モータ(第1モータ)
41 ネジ部材(第2ネジ部材)
42 ナット部材(第2ナット部材)
43 モータ(第2モータ)
46 ネジ部材(第3ネジ部材)
47 ナット部材(第3ナット部材)
48 モータ(第3モータ)
D1 第2方向における第1モータの回転中心と第1ネジ部材の軸心との距離
D2 第2方向における第2モータの回転中心と第2ネジ部材の軸心との距離
F1 第1作用位置
F2 第2作用位置
F3 第3作用位置
G1 第1駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の重心
G2 第2駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の重心
G3 第3駆動機構の駆動力で第1方向へ移動する部分の重心
X 第2方向
X1 第4方向
X2 第3方向
Y 第1方向
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8