(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、内容液を外気と混合することで泡状にして吐出する吐出器としてフォーマポンプが知られており、例えば下記特許文献1で示されるように、内容液が収容された容器本体の口部に上方付勢状態で下方移動可能に立設されるステムを有するポンプと、ステムの上端に配設され、ノズル孔が形成された押下ヘッドと、を備えるフォーマポンプが知られている。
【0003】
上記ポンプには、ステムに連係する液用ピストンと、液用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダと、ステムに連係する空気用ピストンと、空気用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダと、液用シリンダからの液体と空気用シリンダからの空気とを混合する気液混合室と、空気用シリンダ内の空気を気液混合室に導く空気通路と、が備えられている。
【0004】
空気用ピストンは、内部にステムが上下動自在に挿通される挿通筒部を備えている。この挿通筒部とステムとの間が空気通路の一部とされている。また、ステムには、該ステムの径方向外側に向けて張り出して、挿通筒部の下端に該挿通筒部の下方から当接することで、空気通路内と空気用シリンダ内とを遮断する当接部が設けられている。
【0005】
上記ステムの当接部は、押下ヘッドが押下された際、挿通筒部の下端に対して下方移動する。これにより、気液混合室内と空気用シリンダ内とが空気通路を通して連通する。その結果、気液混合室内で内容液と外気とを混合、発泡させて泡状の内容液を吐出することが可能とされる。
また、泡状の内容液の吐出後、ステムの当接部は押下ヘッドの上方移動に伴って上方移動し、挿通筒部の下端に該挿通筒部の下方から当接する。これにより、空気通路を通した、気液混合室内と空気用シリンダ内との連通を再度遮断する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来のフォーマポンプにおいて、当接部が通筒部の下端に当接しなかった場合、内容液が気液混合室から空気通路内に逆流するように進入してしまうと、空気用シリンダ内にも進入する可能性があり、空気用ピストンの上下摺動性能に影響を与えて吐出性能の低下を招くおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、空気用ピストンを安定して作動させることができ、優れた吐出性能を発揮させることができるフォーマポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係るフォーマポンプは、内容液が収容された容器本体の口部に上方付勢状態で下方移動可能に立設されるステムを有するポンプと、前記ステムの上端部に配置され、ノズル孔が形成された押下ヘッドと、を備え、前記ポンプは、前記ステムに連係する液用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダと、前記ステムに連係する空気用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダと、前記液用シリンダからの内容液と前記空気用シリンダからの空気とを混合する気液混合室と、前記空気用シリンダ内の空気を前記気液混合室に導く空気通路と、を備え、前記空気用ピストンは、内部に前記ステムが上下動自在に挿通されると共に、該ステムとの間に前記空気通路の一部を形成する挿通筒部を備え、前記ステムには、該ステムの径方向外側に突出して前記挿通筒部の下端に該挿通筒部の下方から当接し、前記空気通路を通した前記気液混合室内と前記空気用シリンダ内との連通を遮断する当接部が設けられ、前記空気用ピストンは、前記ステムに対して上方移動可能に支持され、且つ付勢部材によって下方に向けて付勢されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るフォーマポンプによれば、押下ヘッドを押し下げてステムを下方移動させると、このステムに連係して空気用ピストンが空気用シリンダ内を下方に向けて移動するので、空気用シリンダの内圧が上昇する。この過程において、空気用シリンダの内圧が所定値を超えると、付勢部材による下方への付勢力に抗して空気用ピストンがステムに対して上方移動する。これに伴って、空気用ピストンの挿通筒部も上方移動するので、挿通筒部の下端がステムの当接部から離間する。これにより、気液混合室内と空気用シリンダ内とが空気通路を通して連通するので、空気用シリンダ内の空気を気液混合室内に供給することができる。
【0011】
一方、上述した過程において、ステムに連係して液用ピストンも液用シリンダ内を下方に向けて移動するので、液用シリンダ内の内容液を気液混合室に供給することができる。従って、空気及び内容液を気液混合室内で混合させることができ、その後、泡状の内容液としてノズル孔から吐出することができる。
【0012】
内容液の吐出後、押下ヘッドの押し下げを解除すると、ステムが上方付勢力によって上方移動するので、該ステムに連係した空気用ピストン及び液用ピストンも上方移動して元の状態に復帰する。この過程において、ステムの当接部が空気用ピストンにおける挿通筒部の下端に下方から当接するので、空気通路を通した気液混合室内と空気用シリンダ内との連通を遮断する。
ここで、仮にステムに作用する上方付勢力を利用して、付勢部が挿通筒部の下端に対して確実に当接しなかった場合であっても、空気用ピストンが付勢部材の復元力によって下方に付勢されるので、挿通筒部が当接部に向けて下方移動し、該挿通筒部の下端が当接部に対して上方から当接する。従って、当接部と連通筒部の下端とを確実に当接させることができ、空気通路を通した気液混合室内と空気用シリンダ内との連通を確実に遮断することができる。加えて、ステムにも上方付勢力が作用しているので、互いに当接し合う力を当接部及び挿通筒部に対して作用させることができる。従って、当接部と連通筒部の下端とをより確実に当接させることができる。
【0013】
以上のことから、内容液が気液混合室から空気通路内に逆流するように進入したとしても、この内容液が空気用シリンダ内にまで進入することを防止でき、空気用ピストンの作動性能に影響を与えてしまうことを防止できる。そのため、空気用ピストンを安定して作動させることができ、優れた吐出性能を具備するフォーマポンプとすることができる。
また、空気通路を通した気液混合室内と空気用シリンダ内との連通を確実に遮断できるので、空気用シリンダ内の気密性を向上することができ、これによっても作動信頼性を向上することができる。特に、高温の環境下で保管を行う場合には、一般的に気密性が低下する傾向にあるが、上記したように気密性を向上できるので、保管場所の制約を抑制することができる。
【0014】
(2)上記本発明に係るフォーマポンプにおいて、前記付勢部材は、前記押下ヘッドと前記空気用ピストンとの間に上下方向に挟まれていても良い。
【0015】
この場合には、付勢部材を押下ヘッドと空気用ピストンとの間に配置するだけで容易に構成できるので、構成の簡略化を図り易い。また、付勢部材を、例えば押下ヘッド又は空気用ピストンと一体に形成することも可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るフォーマポンプによれば、空気用ピストンを安定して作動させることができ、優れた吐出性能を発揮させることができると共に、空気用シリンダ内の気密性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るフォーマポンプの実施形態について図面を参照して説明する。
〔フォーマポンプの構成〕
図1及び
図2に示すように、本実施形態のフォーマポンプ1は、ステム10を有するポンプ2と、ステム10の上端部に配置された押下ヘッド3と、を備えている。
【0019】
なお、本実施形態では、ポンプ2及び押下ヘッド3が装着される容器における横断面の中央を通る軸線を容器軸Oとし、以下では容器軸Oに沿って押下ヘッド3側を上側、ポンプ2側を下側とする。また、容器軸Oに沿う方向を上下方向、容器軸Oに直交する方向を径方向、容器軸O回りに周回する方向を周方向とする。
【0020】
(ポンプ)
ポンプ2は、容器本体Aの口部A1に上方付勢状態で下方移動可能に立設された上記ステム10と、該ステム10が上下動自在に挿入される挿通孔11が形成されると共に容器本体Aの口部A1に装着される装着キャップ12と、押下ヘッド3及びステム10に連係した空気用ピストン13が内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダ14と、押下ヘッド3及びステム10に連係した液用ピストン15が内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダ16と、空気用シリンダ14からの空気と液用シリンダ16からの内容液とが合流する気液混合室R1と、空気用シリンダ14からの空気を気液混合室R1に導く空気通路5と、気液混合室R1で混合された気液混合体を発泡させると共に、所定の泡状にする発泡部材17と、を備えている。
【0021】
(ポンプの装着キャップ)
装着キャップ12は、挿通孔11が形成された天壁部20と、天壁部20の外周縁から下方に向けて延びた装着周壁部21と、天壁部20において挿通孔11の外周縁部から上方に向けて延びたガイド筒部22と、を備えている。装着周壁部21の内周面にはねじ部が形成され、該ねじ部を利用して容器本体Aの口部A1に螺着されている。
但し、装着キャップ12の構成は、この場合に限定されるものではなく、例えば装着周壁部21を容器本体Aの口部A1に対してアンダーカット嵌合させることで、装着しても構わない。
【0022】
(ポンプの液用シリンダ及び空気用シリンダ)
液用シリンダ16及び空気用シリンダ14はそれぞれ円筒状をなしており、図示の例では液用シリンダ16の上端開口部と空気用シリンダ14の下端開口部とが一体に連設されることで、液用シリンダ16及び空気用シリンダ14が一体に形成されている。
より詳細には、空気用シリンダ14は、有底筒状に形成され、その底面に筒状の液用シリンダ16が空気用シリンダ14の内部と連通した状態で連結されている。つまり、大径の空気用シリンダ14の下側に小径の液用シリンダ16が連設されている。
但し、液用シリンダ16と空気用シリンダ14とをそれぞれ別体に構成したうえで、例えば、両者を係止する等して繋げても構わない。
【0023】
また、空気用シリンダ14の上端開口部は、装着キャップ12における装着周壁部21及び天壁部20の内面にそれぞれ密着した状態で固定されている。これにより、液用シリンダ16及び空気用シリンダ14は、装着キャップ12から垂下した状態で容器本体Aの内部に配置されている。
【0024】
(押下ヘッド)
押下ヘッド3は、下方に向けて延設されて内部にステム10が嵌合された装着筒部30と、下方に向けて延設されて装着筒部30を径方向外側から囲繞する外筒部31と、を備えている。
装着筒部30の上端開口部は、先端にノズル孔32aが形成されたノズル筒部32の基端に形成された基端開口部に連通している。このノズル筒部32の基端開口部は下方に向けて開口しており、装着筒部30とノズル筒部32とは縦断面視でL字状をなすように接続されている。
【0025】
装着筒部30は、装着キャップ12におけるガイド筒部22の径方向内側に上下動自在に挿入されている。外筒部31の内径は、ガイド筒部22の外径よりも拡径しており、押下ヘッド3押し下げたときに、外筒部31の内周面とガイド筒部22の外周面とが径方向で対向する。
【0026】
なお、本実施形態では、押下ヘッド3の外筒部31の下端部と装着キャップ12の天壁部20との間に、押下ヘッド3の押し下げ操作を規制するストッパ部材4が取り付けられている(
図1参照)。このストッパ部材4は、例えば装着キャップ12のガイド筒部22に対して着脱自在に取り付けられている。
【0027】
(ポンプの発泡部材)
発泡部材17は、押下ヘッド3の装着筒部30内における上下方向の略中央領域に配設されており、気液混合室R1とノズル孔32aとの間に位置している。この発泡部材17は、筒状のケーシング40と、このケーシング40内に装着された2つの発泡エレメント41と、を備えている。
【0028】
ケーシング40は、上側が大径部40a、下側が小径部40bとされた2段円筒状に形成されている。そのうち大径部40aは装着筒部30の内側に挿入固定され、小径部40bはステム10の上端部の内側に嵌合されている。小径部40bの外周面には、その下端から上方に延びて大径部40aの底部外表面に至り、さらにその径方向外側に向けて延在して開口した複数のケーシング溝42が形成されている。
なお、ケーシング40は、装着筒部30の内周面から径方向内側に突出すると共に、周方向に間隔をあけて配置された縦リブ30bによって上方への抜け止めがなされている。
【0029】
発泡エレメント41は、それぞれ筒状体41aの一端開口端に所定の網目が形成されたメッシュ部材(網)41bが張設された構成とされ、上下に2段に重なった状態でケーシング40における大径部40aの内側に装着されている。この際、2つの発泡エレメント41のうち、ケーシング40内の下側に位置する発泡エレメント41はメッシュ部材41bが下側を向き、ケーシング40内の上側に位置する発泡エレメント41はメッシュ部材41bが上側を向くように配置されている。
【0030】
(ポンプの空気用ピストン)
空気用ピストン13は、空気用シリンダ14内に気密状態で上下摺動可能に配設され、多段筒状に形成された外筒50と、この外筒50の内側に配置された内筒(挿通筒部)51と、外筒50の上端部と内筒51の外周面とを連結し、上下方向に貫通する空気孔52が形成された天板部53と、内筒51の外周面に嵌合されて空気孔52を開閉するピストン用弁体54と、を備えている。
【0031】
内筒51は、上下に開口した筒状に形成され、その内側にはステム10が上下動可能に挿入されている。この内筒51の上端縁には、装着筒部30の下端側内周面に摺接する上側摺接部51aが内筒51の全周に亘って形成されている。外筒50の下端部には、空気用シリンダ14の内面に摺接する環状の下側摺接部50aが形成されている。
なお、上側摺接部51aの上端縁と装着筒部30の内面との間には、上下方向の隙間Sが設けられている。また、装着筒部30の下端と天板部53との間にも隙間が設けられている。
また、内筒51とステム10との間には、後述するステム溝10aが形成されている。このステム溝10aは、空気通路5の一部を形成する。
【0032】
(ポンプのステム)
ステム10は、押下ヘッド3における装着筒部30の下端開口部から下方に突出しており、その上端部は上述したように発泡部材17におけるケーシング40の小径部40bに固定されている。これにより、ステム10は発泡部材17を介して装着筒部30に固定されている。
【0033】
ところで、装着筒部30の内周面においてステム10の上端部が嵌合された部分には、上下方向に延在し、かつ下方に開口した複数の縦溝30aが形成されている。これらの縦溝30aは、ステム10の上端開口縁を径方向に跨いで、発泡部材17のケーシング40に形成された複数のケーシング溝42に連通していると共に上記隙間Sに連通している。
【0034】
ステム10の内周面において、液用ピストン15と発泡部材17との間に位置する部分には、径方向内側に向けて円環状の弁座60が突設されており、この弁座60に着座及び離反可能に球状の液吐出弁61が設けられている。そして、ステム10の内部において、発泡部材17におけるケーシング40の小径部40bの下端と、弁座60の上面との間の空間が気液混合室R1とされている。
【0035】
ステム10の外周面において、空気用ピストン13における内筒51が配設された部分には、上下方向に延在し、かつ上記隙間Sに連通する複数のステム溝10aが形成されている。そして、このステム溝10aと、装着筒部30に形成された縦溝30aと、発泡部材17のケーシング40に形成されたケーシング溝42と、前記隙間Sとによって、空気用シリンダ14と上記気液混合室R1とを連通する空気通路5が構成されている。
【0036】
また、ステム10の外周面には、複数のステム溝10aの下端が位置する部分に、径方向外側に向けて張り出して、空気用ピストン13の内筒51の下端に下方から当接するフランジ状の当接部62が形成されている。
この当接部62は、ステム10に一体に形成されており、押下ヘッド3を押下する前の待機状態では、この当接部62に空気用ピストン13における内筒51の下端が当接している。これにより、当接部62は、空気通路5を通した気液混合室R1内と空気用シリンダ14内との連通を遮断している。
【0037】
(ポンプの液用ピストン)
液用ピストン15は、その上端側がステム10の内側に液密状態で挿入固定される小径筒部15aとされ、下端側がステム10の下端開口縁から下方に突出し、且つその外周面がステム10の外周面とほぼ面一とされた大径筒部15bとされている。
【0038】
液用ピストン15及び液用シリンダ16の内部には、上端部が中空逆円錐状をなす上部弁体65aとされると共に、下端部が液用シリンダ16内の下端開口部に着座及び離反可能な下部弁体65bとされた棒状の弁部材65が設けられている。
【0039】
上部弁体65aは、液用シリンダ16内とステム10の上端部内との連通及びその遮断を切替える弁とされている。なお、液用ピストン15と液用シリンダ16の下端部内面との間には、コイルスプリング66が配設されている。
このコイルスプリング66は、液用ピストン15を、大径筒部15bの下方から上方付勢状態で下方移動可能に支持している。
【0040】
(付勢部材)
ところで、上記空気用ピストン13は、空気用シリンダ14内に上下摺動可能に配設されていることで、ステム10に対して上方移動可能とされているが、コイルスプリング(付勢部材)70によって下方に向けて付勢されている。
【0041】
このコイルスプリング70は、
図2及び
図3に示すように、空気用ピストン13の内筒51を径方向外側から囲むサイズに形成され、押下ヘッド3と空気用ピストン13との間に上下方向に挟まれるように配置されている。より具体的には、コイルスプリング70は、押下ヘッド3における装着筒部30の下端部と、空気用ピストン13における天板部53の上面との間に配置されている。
装着筒部30の下端部には、外径が該装着筒部30の他の部分よりも縮径し、且つ下方に開口した縮径部30cが形成されている。そして、上記コイルスプリング70は、上端部が縮径部30cを径方向外側から囲むように該縮径部30cに嵌合している。
【0042】
〔フォーマポンプの使用〕
次に、上述したように構成されたフォーマポンプ1を使用する場合について説明する。
はじめに、
図1及び
図2に示すように、押下ヘッド3を押下する前の待機状態では、装着キャップ12のガイド筒部22に取り付けられたストッパ部材4が、押下ヘッド3の押し下げ操作を規制している。また、コイルスプリング66によってステム10が上方に付勢され、且つコイルスプリング70によって空気用ピストン13が下方に付勢されているので、ステム10の当接部62に、空気用ピストン13における内筒51の下端が当接し、且つ押下ヘッド3における装着筒部30の内面と内筒51の上側摺接部51aの上端縁との間に隙間Sが形成されている。
【0043】
次に、ストッパ部材4をガイド筒部22から取り外し、
図3に示すように、押下ヘッド3を押し下げ操作すると、装着筒部30が下降するので、それに追従して、発泡部材17、ステム10、液用ピストン15が下方移動すると共に、コイルスプリング66及びコイルスプリング70が上下方向に圧縮変形されつつ下方に移動する。
【0044】
コイルスプリング70が圧縮変形されつつ下方に移動するので、空気用ピストン13が空気用シリンダ14内を下方移動する。この際、空気用ピストン13は、ピストン用弁体54が空気孔52を閉塞したままの状態で下方に移動する。空気用ピストン13の移動により、空気用シリンダ14内において空気用ピストン13の下方に位置する下室内の空気が圧縮されるので、空気用シリンダ14の内圧が徐々に上昇する。
【0045】
そして、この内圧が所定値を超えると、コイルスプリング70による下方への付勢力に抗して、空気用ピストン13がステム10に対して上方移動する。これに伴って、空気用ピストン13の内筒51も上方移動するので、
図4に示すように、内筒51の下端がステム10の当接部62から離間して、両者の間に隙間が形成される。
これにより、気液混合室R1内と空気用シリンダ14内とが空気通路5を通して連通するので、空気用シリンダ14内における下室内の空気を、気液混合室R1内に供給することができる。
【0046】
一方、上述した過程において、ステム10に連係して液用ピストン15も下方に移動するので、
図1に示す下部弁体65bも下方に移動する。そして、この下部弁体65bが液用シリンダ16の下端開口部に着座して閉塞すると、
図3に示すように、液用ピストン15の上端部が弁部材65の上部弁体65aから下方に離反し、液用シリンダ16とステム10内とが連通する。
そして、押下ヘッド3のさらなる押し下げ操作によって液用ピストン15が下方移動すると、液用シリンダ16内の内容液が上昇してステム10内に到達する。そして、液用シリンダ16内の液圧を、ステム10の弁座60に着座している液吐出弁61に作用させてこの液吐出弁61を弁座60から離反させることにより、液用シリンダ16内の内容液を気液混合室R1内に移送することができる。
【0047】
以上のことから、気液混合室R1内で内容液及び空気を合流させて気液混合体にすることができる。すると、この気液混合体は、小径部40bから発泡部材17の内部に流れ込んで発泡すると共に、2つの発泡エレメント41のメッシュ部材41bを通過することで、きめの細かい所定の泡状となる。この泡状となった内容液は押下ヘッド3のノズル孔32aに達する。
これにより、ノズル孔32aを通じて泡状の内容液を外部に吐出させることができる。
【0048】
吐出終了後、押下ヘッド3の押し下げを解除すると、コイルスプリング66の弾性復元力により押下ヘッド3、ステム10、このステム10に連係された空気用ピストン13及び液用ピストン15が上方付勢状態に戻ることになる。
詳細には、
図5に示すように、ステム10の上昇により、当接部62が空気用ピストン13における内筒51の下端に下方から当接するので、空気用ピストン13がステム10と共に上昇する。この際、空気用シリンダ14の内部の体積が膨張することで負圧が生じるので、ピストン用弁体54が開き、空気孔52を通じて空気用シリンダ14内に空気が引き込まれる。これにより、空気用シリンダ14の内圧が吐出前の状態に戻り、その後、ピストン用弁体54が閉じることで
図2に示す状態に復帰する。
【0049】
ところで、上述した過程において、仮にステム10に作用する上方付勢力を利用して、当接部62が内筒51の下端に対して確実に当接しなかった場合であっても、
図5に示すように、空気用ピストン13がコイルスプリング70の復元力によって下方に付勢されるので、内筒51が当接部62に向けて下方移動し、該内筒51の下端が当接部62に対して上方から当接する。従って、当接部62と内筒51の下端とを確実に当接させることができ、空気通路5を通した気液混合室R1内と空気用シリンダ14内との連通を確実に遮断することができる。
加えて、ステム10にも上方付勢力が作用しているので、互いに当接し合う力を当接部62及び内筒51に対して作用させることができる。従って、当接部62と内筒51の下端とをより確実に当接させることができる。
【0050】
以上のことから、内容液が気液混合室R1から空気通路5内に逆流するように進入したとしても、この内容液が空気用シリンダ14内にまで進入する(流れ込んでしまう)ことを防止でき、空気用ピストン13の作動性能に影響を与えてしまうことを防止できる。
そのため、空気用ピストン13を安定して作動させることができ、優れた吐出性能を具備するフォーマポンプ1とすることができる。
【0051】
また、空気通路5を通した気液混合室R1と空気用シリンダ14内との連通を確実に遮断できるので、空気用シリンダ14内の気密性を向上することができ、これによっても作動信頼性を向上することができる。
特に、高温の環境下で保管を行う場合には、樹脂のなじみ等によって一般的に気密性が低下する傾向にあるが、上述したように気密性を向上できるので、保管場所の制約を抑制することができ、使い勝手の良いフォーマポンプ1とすることができる。
【0052】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態では、付勢部材の一例として、空気用ピストン13の内筒51を囲むコイルスプリング70を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、複数のコイルスプリングを、内筒51の周りに、周方向に均等に配置しても構わない。また、コイルスプリング70に代えて、例えば板ばねやゴム等の弾性体を、付勢部材として利用しても構わない。
さらに、付勢部材の位置は、押下ヘッド3と空気用ピストン13との間に限定されるものではなく、例えば装着キャップ12における天壁部20と空気用ピストン13との間に配置しても構わない。
【0054】
また、付勢部材を押下ヘッド3と空気用ピストン13との間に配置する場合、付勢部材を押下ヘッド3又は空気用ピストン13と一体的に形成しても良い。
例えば、
図6〜
図9に示すように、空気用ピストン13に一体的に形成した樹脂製の板ばね部80を、付勢部材としても構わない。
【0055】
上記板ばね部80は、空気用ピストン13における天板部53の上面に一体的に形成されており、図示の例では周方向に等間隔をあけて4つ配置されている。これら板ばね部80は、上方に向けて突出した2つの弾性突片81が周方向に繋がった側面視M字状に形成されており、押下ヘッド3における装着筒部30の下端部の真下に位置するように形成されている。
そして、板ばね部80は、空気用ピストン13の天板部53と押下ヘッド3の装着筒部30との間で、2つの弾性突片81が上下方向に潰れるように弾性変形することで、空気用ピストン13を下方に向けて付勢する。従って、この場合であっても、同様の作用効果を奏功することができる。
【0056】
なお、板ばね部80の形状や個数は、上述した場合に限定されるものではない。さらに、上記板ばね部80を、空気用シリンダ14ではなく、押下ヘッド3における装着筒部30の下端部に一体的に形成しても構わない。