(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190696
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】発泡性皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20170821BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20170821BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20170821BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20170821BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/19
A61K8/36
A61K8/73
A61Q19/00
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-228052(P2013-228052)
(22)【出願日】2013年11月1日
(62)【分割の表示】特願2013-200590(P2013-200590)の分割
【原出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-67609(P2015-67609A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 隆行
(72)【発明者】
【氏名】奥村 英晴
(72)【発明者】
【氏名】井阪 小枝子
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【審査官】
駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−229933(JP,A)
【文献】
特開2009−062319(JP,A)
【文献】
特開2013−253056(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/004745(WO,A1)
【文献】
特表2002−522369(JP,A)
【文献】
特開2005−297007(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101849894(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
DWPI(Thomson Innovation)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性物質、前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質及び炭酸ガスの経皮吸収促進剤を含有することを特徴とする顆粒状、細粒状又は粉末状の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤であって、炭酸ガスの経皮吸収促進剤がスクワランであることを特徴とする前記炭酸ガス発泡性皮膚外用剤(但し、酸性物質と炭酸ガス発生物質が別の剤であり、使用時に混合する皮膚外用剤及び入浴剤を除く)。
【請求項2】
酸性物質、前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質、増粘剤及び炭酸ガスの経皮吸収促進剤を含有することを特徴とする顆粒状、細粒状又は粉末状の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤であって、炭酸ガスの経皮吸収促進剤がスクワランであることを特徴とする前記炭酸ガス発泡性皮膚外用剤(但し、酸性物質と炭酸ガス発生物質が別の剤であり、使用時に混合する皮膚外用剤及び入浴剤を除く)。
【請求項3】
スクワランの含有量が0.01〜5.0重量%であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた発泡性を有し炭酸ガスの皮膚への透過性を高めたことを特徴とする発泡性皮膚外用剤に関し、さらに詳しくは、酸性物質、前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質を含有する固形状、顆粒状又は粉末状の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤において、スクワランを炭酸ガスの皮膚吸収促進剤として配合することを特徴とする炭酸ガス発泡性皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
古来より炭酸ガスには様々な効果があることが古くから知られており、温泉療法などに広く利用されている。炭酸ガスの効果には、例えば、血流増加、保湿効果、抗炎症作用などがあり、疲労回復、痔疾、褥瘡、抹消動脈閉塞性疾患、高血圧などの病気に対する臨床効果が認められている(特許文献1参照)。
【0003】
このような効果を期待して、炭酸ガスを利用する種々の発泡性皮膚外用剤が提案されており、例えば、水溶性酸を含む粒状物(第一剤)と炭酸塩、水及び増粘剤を含む粘性組成物(第二剤)とを含む発泡性皮膚外用剤(特許文献2参照)や炭酸塩と有機酸と発熱物質と泡安定剤とを含有する発泡性パック化粧料(特許文献3参照)などが知られている。
【0004】
しかしながら、前記発泡性皮膚外用剤においては、炭酸ガスの肌への物理刺激や発泡力、発泡持続性、液垂れ、伸展性、弾力性、粘り気、柔軟性といった剤型に基づく特性についての検討はなされているものの、炭酸ガスを肌へ浸透させる経皮吸収効果に関する検討は全くなされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−200512号公報
【特許文献2】特開2013−014532号公報
【特許文献3】特開平8−268828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明においては、優れた炭酸ガスの経皮吸収促進作用を有する経皮吸収促進剤を見出し、固形状、顆粒状、細粒状又は粉末状の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤に配合することにより、炭酸ガスの皮膚や粘膜への吸収効果を高めた炭酸ガス発泡性皮膚外用剤を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、酸性物質、前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質及び増粘剤を含有する固形状、顆粒状又は粉末状の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤において、炭酸ガスの経皮吸収促進作用に優れた経皮吸収促進剤を見出すために、種々の物質について炭酸ガスの経皮吸収作用に関する検討を行った。その結果、スクワランに優れた炭酸ガスの経皮吸収促進作用を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、酸性物質、前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質及び炭酸ガスの経皮吸収促進剤を含有することを特徴とする固形状、顆粒状、細粒状又は粉末状の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤であって、炭酸ガスの経皮吸収促進剤がスクワランであることを特徴とする前記炭酸ガス発泡性皮膚外用剤に関する。また、本願発明は、酸性物質、前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質、増粘剤及び炭酸ガスの経皮吸収促進剤を含有することを特徴とする固形状、顆粒状、細粒状又は粉末状の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤であって、炭酸ガスの経皮吸収促進剤がスクワランであることを特徴とする炭酸ガス発泡性皮膚外用剤に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れた発泡性を有し炭酸ガスの皮膚への透過性を高めたことを特徴とする発泡性皮膚外用剤を提供することができる。特に、酸性物質、前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質及び炭酸ガスの経皮吸収促進剤を含有する固形状、顆粒状、細粒状又は粉末状の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤において、スクワランを炭酸ガスの皮膚吸収促進剤として配合することにより、炭酸ガスの皮膚への透過性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、酸性物質、前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質及び炭酸ガスの経皮吸収促進剤を含有することを特徴とする固形状、顆粒状、細粒状又は粉末状の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤であって、炭酸ガスの経皮吸収促進剤がスクワランであることを特徴とする前記炭酸ガス発泡性皮膚外用剤に関する。
【0010】
本発明に係る炭酸ガス発泡性皮膚外用剤は、酸性物質、前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質及び炭酸ガスの経皮吸収促進剤を含有する一剤型の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤であり、使用時に水等の水溶性成分に溶解して使用するものである。本発明に係る炭酸ガス発泡性皮膚外用剤を水等の水溶性成分に溶解させることにより、酸性物質と炭酸ガス発生物質とが反応して炭酸ガスが発生し、これを皮膚(粘膜、頭皮及び頭髪も含む)に塗布した場合には、炭酸ガスの経皮吸収促進剤の経皮吸収促進作用により、十分な量の炭酸ガスを皮膚内部に浸透させることができ、経皮吸収促進剤を含有しない炭酸ガス発泡性皮膚外用剤に比して優れた炭酸ガスの効果を得ることができる。
【0011】
本発明に係る炭酸ガス発泡性皮膚外用剤は、固形状、顆粒状、細粒状又は粉末状であることに特徴を有し、これらの形状とすることにより経皮吸収促進剤としてスクワランを安定に配合することができ、水等の水溶性成分へ溶解性に優れ、保存安定性や携帯性にも優れる。また、保存安定性の観点から実質的に水を含まないことが好ましい。
【0012】
本発明に係る炭酸ガス発泡性皮膚外用剤は、原料をそのまま配合する場合には粉末状であるが、一般的なマトリックス基剤を用いて造粒することにより、顆粒状あるいは細粒状とすることができる。上記粉末あるいは顆粒の製造方法は、本実施例に限定されることはなく、乾式破砕造粒法や湿式破砕造粒法、流動層造粒法、高速攪拌造粒法、押し出し造粒法等の常法に従い製造できる。また、本発明に係る炭酸ガス発泡性皮膚外用剤は、一般的な賦形剤を用いて圧縮成型等を行うことにより固形状とすることもできる。
【0013】
本発明に用いられる酸性物質としては、有機酸、無機酸のいずれでもよく、これらの1種又は2種以上が用いられる。また、使用する酸性物質は、溶解性の観点から固形状、顆粒状、細粒状、粉末状であることが好ましい。
【0014】
有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の直鎖脂肪酸又はその塩類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸又はその塩類、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸又はその塩類、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、サリチル酸、没食子酸、トロパ酸、アスコルビン酸、グルコン酸等のオキシ酸又はその塩類等が挙げられ、無機酸としては、リン酸、亜硫酸等の無機酸又はその塩類が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なかでも、安全性や溶解性の観点から、クエン酸又はその塩類、アスコルビン酸又はその塩類、リンゴ酸又はその塩類、コハク酸又はその塩類が好ましく、クエン酸又はその塩類がより好ましい。
【0015】
本発明に用いられる炭酸ガス発生物質としては、様々なものが特に限定されることなく使用できる。また、使用する炭酸ガス発生物質は、溶解性の観点から固形状、顆粒状、細粒状、粉末状であることが好ましい。
【0016】
前記炭酸ガス発生物質として、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム等の炭酸塩、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム等の炭酸水素塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらのうち、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムが好ましく使用でき、程よい発泡力を実現することができる点で炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
【0017】
本発明において、前記酸性物質と前記炭酸ガス発生物質は原料をそのまま配合してもよいが、これらが物理的に互いに接触しないように配合され、共存することが保存安定性の点で好ましい。その共存化手段は特に限定されること無く、広く適用が可能である。
【0018】
前記酸性物質と前記炭酸ガス発生物質が互いに物理的に接触しないように配合する場合、例えば、前記酸性物質と前記炭酸ガス発生物質とのいずれか一方又は両方に、これを包むコート層を設けてもよいし、前記酸性物質と前記炭酸ガス発生物質とのいずれか一方又は両方をカプセル化してもよい。また、前記酸性物質と前記炭酸ガス発生物質の間に、これらが直接接しないように前記酸性物質及び前記炭酸ガス発生物質を含有しない層を挟み、圧縮成形してもよい。
【0019】
以下に、前記酸性物質と前記炭酸ガス発生物質の同一剤内への共存化手段について具体的に述べるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
[コート層形成]
コート層形成方法としては、例えば、酸性物質又は炭酸ガス発生物質の少なくとも一方においてコート層を形成させる方法を使用しても良い。コート層を設けることにより、同一剤内に前記酸性物質、前記炭酸ガス発生物質及びその他成分と共に共存させても、その製造時や保管時に予期せぬ炭酸ガス発生の恐れがないので、安定性、耐久性の点から好ましい。
【0021】
上記コート層を構成するに好ましい被覆剤としては、前記酸性物質又は前記炭酸ガス発生物質と反応性が低いものであれば特に限定することなく使用することができる。例えば、油脂、脂肪酸、脂肪酸塩、アセチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体、アクリル酸エチル−メタクリル酸共重合体、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、可溶性デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、小麦デンプン、糖類(例えば白糖、乳糖等)、クエン酸塩等が挙げられる。
【0022】
酸性物質と炭酸ガス発生物質に対する被覆剤の使用量は、酸性物質又は炭酸ガス発生物質に対して、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。
【0023】
コート層の被覆法は、粒子の被覆に通常用いられるものであれば、いずれの方法で行ってもよい。例えば、噴霧造粒や転動造粒等により、造粒と同時に被覆してもよく、粉末又は造粒物に油脂コーティング、造粒コーティング、輸送層法、パンコーティング、転動コーティング、流動コーティング又はドライコーティング等の方法を用いて被覆してもよい。コーティングの際、過度な熱や、物理的な力が加わったりすると、前記酸性物質又は前記炭酸ガス発生物質が破壊されると共に、生成した被膜が壊れ、前記酸性物質又は前記炭酸ガス発生物質の表面全体に上記脂質粉状体を均一にコーティングすることが難しくなるばかりか、表面に前記酸性物質又は前記炭酸ガス発生物質が漏出し吸湿による固化、あるいは配合時に他成分へ及ぼす悪影響の原因ともなるので、コーティング条件はコート層及びコーティング対象が破壊されない程度のものとする必要がある。
【0024】
上記第一層及び第二層に含まれる前記酸性物質及び前記炭酸ガス発生物質は、そのまま使用してもよいし、それ以外に賦形剤、増粘剤等を混合して使用してもよい。第一層、第二層及び第三層に用いられる賦形剤、増粘剤等としては、上記顆粒剤の説明において記載したものを特に限定無く使用することができる。
【0025】
前記酸性物質及び炭酸ガス発生物質は、炭酸ガス発泡性皮膚外用剤中に重量比で1:0.1〜1:40の割合で含有されることが皮膚への刺激性の点から好ましく、1:0.5〜1:20の割合で含有されることがより好ましく、1:1〜1:10の割合で含有されることが更に好ましい。上記範囲を超えてしまうと発泡性皮膚外用剤として使用する際のpHが強酸性や強塩基性になるため、皮膚への刺激が強くなることが懸念されるため、ピーリング効果などを要しない場合には、上記の範囲とするのが好ましい。
【0026】
本発明に用いられる増粘剤としては、化粧品、医薬品、医薬部外品等で使用できる水溶性成分であれば特に限定されるものでなく、合成高分子、半合成高分子、天然高分子、粘土鉱物等が使用できる。
【0027】
合成高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリレーツ/アクリル酸アルキルクロスポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド/ポリアクリルアミドコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、プルロニックをはじめとする親水性合成高分子が挙げられる。
【0028】
半合成高分子としては、セルロース誘導体としては例えば、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スルホン化セルロース誘導体などが挙げられる。その他の半合成高分子として、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸エチレングリコールエステル、デキストリン脂肪酸エステル、ゼラチン脂肪酸エステル、ゼラチン脂肪酸アミドなどが挙げられる。
【0029】
天然高分子としては、多糖類及びその誘導体、例えば、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、セルロース類、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、マンナン、カードラン、アルギン酸又はその塩類、アラビアゴム、ペクチン、クインシード、デンプン、アルゲコロイド、コンドロイチン硫酸又はその塩類、キト酸及びその誘導体などが挙げられる。その他の天然高分子としては、核酸又はその塩類、リボ核酸又はその塩類、アルブミン、ゼラチン、シルクフィブロインなどが挙げられる。
【0030】
粘土鉱物としては、ラポナイト、ベントナイト、スメクタイトカオリナイト、モンモリロナイト等が挙げられる。
【0031】
上記増粘剤のなかでも、水等の水溶性成分にダマを生じず均一に溶解でき、且つ、溶け残りに起因する肌のざらつき感を緩和することができる増粘剤を用いることが好ましい。
【0032】
このような増粘剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、セルロース類、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、マンナン、カードラン、アルギン酸又はその塩類、アルブミン等を挙げる事ができ、カルボキシメチルセルロースセルロース又はその塩類、ヒドロキシプロピルセルロース、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、デンプン、アルブミンを用いることが好ましい。これらの増粘剤は単独でも使用することができるが、2種類以上を使用することが安定性の点で好ましい。
【0033】
前記増粘剤は、炭酸ガス発泡性皮膚外用剤中に0.1〜50重量%で含有されることが好ましく、3〜30重量%であることがより好ましい。上記含有量が少ないと使用時に垂れ落ちを生じやすくなる場合や溶解時にざらつき感を生じやすくなる場合もある。一方、増粘剤の含有量が上記範囲を超えると、溶解できない増粘剤のダマの発生が認められる場合や洗い流しが悪くなる場合もある。
【0034】
化粧品、医薬品、医薬部外品に使用される一般的な液状油剤としては、オリーブ油、アボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、月見草油、ホホバ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、茶実油、コメヌカ油、小麦胚芽油、胚芽油、落花生油、ヒマワリ油、アーモンド油、トウモロコシ油、タートル油、ミンク油、パーシック油、サザンカ油、アマニ油、エノ油、カヤ油、日本キリ油、メドゥフォーム油、スクワレン、スクワラン、植物性スクワラン、ホホバアルコール、流動パラフィン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、イソステアリン酸イソセチル、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、オクタン酸セチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリル、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸2−ヘキシルデシル、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、リンゴ酸ジイソステアリル、イソプロピルミリステート、2−オクチルドデシルオレエート、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキシルパルミテート、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、ドデシルオレエート、オレイン酸オレイル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、コハク酸2−エチルヘキシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、セバチン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジメチコン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリグリセリン、オレイン酸、トール油脂肪酸、イソステアリン酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状ポリシロキサン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸へキシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、コハク酸ジオクチル、フッ素変性油、トリオクタノイン、ジピバリン酸トリプロピレングリコール等の25℃で液状のものが知られており、経皮吸収促進作用の点から、ホホバ油などの植物油、スクワランなどの天然炭化水素油、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、2−エチルヘキサン酸セチル及びトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなどの合成エステル油、メチルポリシロキサンなどのシリコーンオイルを使用するのが好ましく、スクワラを使用するのが特に好ましい。前記経皮吸収促進剤は、炭酸ガス発泡性皮膚外用剤中に0.001〜10重量%で含有されることが好ましく、0.01〜5重量%であることが特に好ましい。
【0035】
前記成分に加え、本発明に係る炭酸ガス発泡性皮膚外用剤には用途や目的に応じ、各種有効成分、pH調整剤、油脂、香料、着色剤、酸化防止剤、防菌防かび剤、アルコール、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、無機塩、滑沢剤、溶剤など通常皮膚外用剤に使用される成分を配合することができる。
【0036】
以下、本発明に係る炭酸ガス発泡性皮膚外用剤に含有される、酸性物質、炭酸ガス発生物質、増粘剤以外の成分の代表的なものについて更に説明する。
【0037】
本発明に使用される有効成分としては、特に限定されることなく、化粧品、医薬品、医薬部外品等に用いられる薬剤や植物抽出物等を目的に応じ使用することができる。代表的なものとして、例えば、グリチルリチン酸又はその誘導体、胎盤抽出物等の美白剤、甘草等の植物成分等が挙げられる。なお、植物成分としては、その全草、葉(葉身、葉柄等)、果実(成熟、未熟等)、種子、花(花弁、子房等)、茎、根茎、根、塊根等を乾燥若しくは粉末化して用いることもできるが、水、エタノール、多価アルコールなどの溶媒を用いて常法により抽出したエキスを用いるのが一般的である。
【0038】
本発明の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤を保存する方法に特に制限はないが、化粧品、医薬品、医薬部外品等を保存する方法を用いることができ、水分を遮断し接触しない状態で保存されているのが良い。容器の具体例としては、密閉性、内容物の保存安定性、製造コスト等の点で、内面をポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミスティック、アルミバッグ等の保存容器、チャック付きスタンドパウチ、内面をポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミフィルム等で蓋をヒートシールしたポリエチレンテレフタレート製の保存容器等が好ましい。
【0039】
本発明に係る炭酸ガス発泡性皮膚外用剤は、発生する炭酸ガスの経皮吸収性に優れるものであり、炭酸ガスを皮膚に吸収させることにより血流増加、保湿作用、抗炎症作用などを発揮し、保湿、肌の張りの改善、皮膚のくすみ改善、そばかす改善、肌の引き締め、痩身、発毛、創傷治癒、肌荒れの改善、ピーリングなどを目的とする化粧料や医薬品、医薬部外品として使用することができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
<炭酸ガス発泡性皮膚外用剤の調製>
表1に示す組成に従い、本発明の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤を調製した。
【表1】
【0042】
<経皮吸収促進効果の確認試験>
前記組成によって調製した炭酸ガス発泡性皮膚外用剤を用いて、各種経皮吸収促進剤の炭酸ガスの経皮吸収促進効果について確認試験を行った。前記組成によって調製した炭酸ガス発泡性皮膚外用剤1gと水3gを容器中にて混合し、パネラーの上腕(4cm×4cm)に全量塗布した。塗布10分後に流水で水洗した。塗布前と塗布後の肌の色差(a値)をCR−400色差計(コニカミノルタ社製)にて測定した。経皮吸収促進剤を配合していない比較例1の塗布前後の色差(a値:赤み)の変化率を1とした場合の変化率を表2に示す。
【表2】
【0043】
表2の結果より、本発明に係る経皮吸収促進剤は炭酸ガスの肌への吸収を促進する効果に優れていることが分かった。
【0044】
上記検討から明らかなように、本発明によれば優れた発泡性を有し炭酸ガスの皮膚への透過性を高めたことを特徴とする発泡性皮膚外用剤を提供することができる。特に、酸性物質、前記酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質及び炭酸ガスの経皮吸収促進剤を含有することを特徴とする固形状、顆粒状、細粒状又は粉末状の炭酸ガス発泡性皮膚外用剤において、経皮吸収促進剤としてスクワランを配合したことにより、炭酸ガスの肌への吸収を促進する効果に優れる発泡性皮膚外用剤を提供することができる。