(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記あらかじめ設定された時間は、前記不均衡インバータが備える第1および第2のトランジスタのドライブ能力に応じて決定されるものである請求項2に記載のデータ受信装置。
前記あらかじめ設定された時間は、前記不均衡インバータが備える第1および第2のトランジスタのドライブ能力および前記負荷容量の容量値に応じて決定されるものである請求項4に記載のデータ受信装置。
前記パルス幅延長回路は、さらに、前記不均衡インバータの出力信号を反転出力するシュミットトリガインバータを備える請求項2〜5のいずれか1項に記載のデータ受信装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の
図1に示されているスケルチ検出回路は、高速のデータ通信には向いているが、LVDS用のデータ受信装置で扱う数十MHzオーダー以下の帯域では、面積を増大させることなく実現することが難しい。
その理由は、同文献の
図4,5に示されているパルス幅延長回路において、約1周期分のパルス幅を延長させるためには、例えば、20MHzの帯域であるとすると、通常のインバータが1000段以上に必要になるからである。
【0007】
また、同文献の
図7に示されているスケルチ検出回路では、正常振幅/小振幅の検出の感度が鈍く(何回か同じ正常振幅/小振幅の判定が続いて初めて、正常動作扱い/フェイルセーフ動作扱いが決定する回路構成)、正常振幅への鋭い感度(1回でも正常振幅と判定されれば、正常動作の扱いをする)が要求されるLVDS用のデータ受信回路へは向かない。例えば、INV21の段数を数100段構成にすれば可能性はなくはないが、面積を大きくすることなく実現するのは難しい。
【0008】
さらに、ダイオードや抵抗部も冗長であり、このダイオードの使い方では低電圧仕様の場合に出力電圧上限に制約が生じる。
また、いずれもヒステリシスアンプをコンパレータとして採用しているが、低電圧対応が難しく低消費電力化が難しい、かつプロセスばらつきの影響を受けやすい(差動入力信号の正常振幅/小振幅の判定の閾値の範囲であるグレーゾーンを広げることとなる)、小面積化が難しい、などの課題が挙げられる。
【0009】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解消し、所定の規格に適合した差動入力信号を受信するデータ受信装置において、規格外の小振幅の差動入力信号が入力された場合に、誤動作を防止することができるデータ受信装置およびフェイルセーフ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、所定の規格に適合した差動入力信号のシリアルデータを受信し、シングルエンド出力信号のシリアルデータに変換して出力する受信回路と、
前記差動入力信号が規格外の小振幅であるか否かを検出し、その検出結果を表すフェイルセーフ検出信号を出力するフェイルセーフ回路とを備え、
前記受信回路は、
前記差動入力信号のシリアルデータを受信し、前記シングルエンド出力信号のシリアルデータに変換して出力する入力アンプ部と、
前記シリアルデータを処理する論理信号処理回路と、
前記フェイルセーフ検出信号に応じて、前記差動入力信号が規格外の小振幅であることが検出された場合に、前記入力アンプ部と、前記論理信号処理回路を停止状態にする受信停止制御回路とを備え、
前記フェイルセーフ回路は、
前記差動入力信号からDC成分を除去し、各々対応する高電圧入力信号および低電圧入力信号を出力するハイパスフィルタと、
前記高電圧入力信号の電圧レベルと前記低電圧入力信号の電圧レベルとの大小関係を比較し、その比較結果を表す比較結果信号を出力するコンパレータと、
前記高電圧入力信号の電圧レベルが前記低電圧入力信号の電圧レベルよりも低い状態であることを表す前記比較結果信号の電圧レベルのパルス幅を、あらかじめ設定された時間だけ延長し、前記フェイルセーフ検出信号として出力するパルス幅延長回路とを備えることを特徴とするデータ受信装置を提供するものである。
【0011】
ここで、前記パルス幅延長回路は、
前記比較結果信号を反転出力する不均衡インバータを備え、
前記不均衡インバータは、前記比較結果信号を、前記高電圧入力信号の電圧レベルが前記低電圧入力信号の電圧レベルよりも高い状態であることを表す第1の電圧レベルから、前記高電圧入力信号の電圧レベルが前記低電圧入力信号の電圧レベルよりも低い状態であることを表す第2の電圧レベルにドライブする第1のトランジスタと、前記第2の電圧レベルから前記第1の電圧レベルにドライブする第2のトランジスタとを備え、
前記第1のトランジスタのドライブ能力は、前記第2のトランジスタのドライブ能力よりも高いものであることが好ましい。
【0012】
また、前記あらかじめ設定された時間は、前記不均衡インバータが備える第1および第2のトランジスタのドライブ能力に応じて決定されるものであることが好ましい。
【0013】
また、前記パルス幅延長回路は、さらに、前記不均衡インバータの出力信号に接続された負荷容量を備えることが好ましい。
【0014】
また、前記あらかじめ設定された時間は、前記不均衡インバータが備える第1および第2のトランジスタのドライブ能力および前記負荷容量の容量値に応じて決定されるものであることが好ましい。
【0015】
また、前記パルス幅延長回路は、さらに、前記不均衡インバータの出力信号を反転出力するシュミットトリガインバータを備えることが好ましい。
【0016】
また、前記差動入力信号は、LVDSの規格に適合した差動入力信号であることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、上記のいずれかに記載のデータ受信装置で使用されるフェイルセーフ回路を提供する。
【発明の効果】
【0018】
フェイルセーフ回路は、LVDSのデータ受信装置向けの20MHz〜160MHzの入力周波数帯域の差動入力信号を扱うことができ、かつ正常振幅の差動入力信号に対しては正常動作扱いの判定の感度を鋭く、LVDSの規格外の小振幅の差動入力信号に対してはフェイルセーフ動作扱いの判定の感度を鈍く応答させることができる。
【0019】
また、フェイルセーフ回路は、簡易な構成で実現することができるため、低電圧動作が可能で低消費電力化することができ、かつ、小面積で実現することができる。また、フェイルセーフ回路は、プロセスばらつきの影響を受けにくく、差動入力信号の正常振幅/小振幅の閾値の範囲であるグレーゾーンを抑えることができる。
【0020】
さらに、ハイパスフィルタを構成するACカップリング容量および抵抗素子の定数を変えることにより、差動入力信号の周波数帯域を自在に変えることができる。また、パルス幅延長回路の定数を調整することにより、正常動作/フェイルセーフ動作の扱いの判定の感度を自在に設定することができる。そのため、フェイルセーフ回路を、LVDS用のデータ受信装置の仕様を超える範囲にも応用できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のデータ受信装置およびフェイルセーフ回路を詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明のデータ受信装置の構成を表す一実施形態のブロック図である。同図に示すデータ受信装置10は、図示していないデータ送信装置から送信されてくる、LVDSの規格に適合した差動入力信号INP,INNのシリアルデータを受信し、シングルエンド出力信号のシリアルデータに変換して、このシリアルデータを処理する論理信号処理回路12へ供給するものであり、受信回路14と、フェイルセーフ回路16とを備えている。
【0024】
受信回路14は、差動入力信号INP,INNのシリアルデータを受信し、シングルエンド出力信号のシリアルデータに変換して、後段の回路へ供給するものであり、入力アンプ部18と、論理信号処理回路12と、受信停止制御回路20とを備えている。
【0025】
入力アンプ部18は、差動入力信号INP,INNのシリアルデータを受信し、シングルエンド出力信号のシリアルデータを出力するものであり、差動増幅器(AMP)によって構成されている。
【0026】
論理信号処理回路12は、入力アンプ部18から出力されるシリアルデータを処理し、後段の回路へ出力するものである。
【0027】
受信停止制御回路20は、フェイルセーフ回路16から入力されるフェイルセーフ検出信号FAIL_SAFEに応じて、差動入力信号INP,INNがLVDSの規格外の小振幅である、つまり、差動入力信号INP,INNにフェイルが発生していることが検出された場合に、受信停止信号を出力し、受信回路14の入力アンプ部18と論理信号処理回路12をパワーダウンさせて停止状態にするものである。
【0028】
続いて、フェイルセーフ回路16は、差動入力信号INP,INNがLVDSの規格外の小振幅であるか否か、つまり、差動入力信号INP,INNにフェイルが発生しているか否かを検出し、その検出結果を表すフェイルセーフ検出信号FAIL_SAFEを出力するものであり、ハイパスフィルタ(HPF)22と、コンパレータ(CMP)24と、パルス幅延長回路26とを備え、本実施形態の場合、さらに、
図2に示すように、NOR回路28を備えている。
【0029】
ハイパスフィルタ22は、差動入力信号INP,INNからDC成分を除去し、各々対応する残ったAC成分について、一方を高電圧の新しいコモンモード電圧に重畳させた信号(以後、高電圧入力信号P)として、およびもう一方を低電圧の新しいコモンモード電圧に重畳させた信号(以後、低電圧入力信号N)として出力するものであり、
図2に示すように、各々対応するフィルタ30およびフィルタ32を備えている。
【0030】
フィルタ30は、ACカップリング容量34と、2つの抵抗素子36,38とを備えている。ACカップリング容量34は、差動入力信号INPと、高電圧入力信号Pとの間にAC結合されている。抵抗素子36は、電源VDDと、高電圧入力信号Pとの間に接続され、抵抗素子38は、高電圧入力信号Pと、グランドGNDとの間に接続されている。
【0031】
フィルタ30では、ACカップリング容量34により、差動入力信号INPのDC成分が除去され、抵抗素子36,38により、DC成分が除去された後のAC成分に所望の新たな高電圧のコモンモード電圧VCPを重畳させた、高電圧入力信号Pが発生される。
【0032】
フィルタ32も同様であり、ACカップリング容量34により、差動入力信号INNのDC成分が除去され、抵抗素子36,38により、DC成分が除去された後のAC成分に所望の新たな低電圧のコモンモード電圧VCNを重畳させた、低電圧入力信号Nが発生される。
【0033】
図3(A)に示すように、差動入力信号INP,INNがLVDSの規格外の小振幅ではない場合、つまり、高電圧入力信号Pおよび低電圧入力信号Nが正常振幅の場合、高電圧入力信号Pが低電圧レベル、かつ、低電圧入力信号Nが高電圧レベルのとき、高電圧入力信号Pの低電圧レベルの方が低電圧入力信号Nの高電圧レベルよりも低くなる。
一方、同図(B)に示すように、差動入力信号INP,INNがLVDSの規格外の小振幅の場合、つまり、高電圧入力信号Pおよび低電圧入力信号Nが、正常振幅よりも小振幅の場合、高電圧入力信号Pおよび低電圧入力信号Nの電圧レベルに関係なく、高電圧入力信号Pの電圧レベルの方が低電圧入力信号Nの電圧レベルよりも高くなる。
【0034】
コンパレータ24は、高電圧入力信号Pの電圧レベルと低電圧入力信号Nの電圧レベルとの大小関係を比較し、その比較結果を表す比較結果信号を出力するものであり、同じく
図2に示すように、2つのPMOS(P型MOSトランジスタ)40,42と、抵抗素子44と、2つのNMOS(N型MOSトランジスタ)46,48と、2つのNMOS50,52と、2つのインバータ54,56とを備えている。
【0035】
PMOS40、NMOS46,50は、電源VDDとグランドGNDとの間に直列に接続され、同様に、PMOS42、NMOS48,52は、電源VDDとグランドGNDとの間に直列に接続されている。PMOS40,42のゲートは、PMOS40のドレインとNMOS46のドレインとの間のノードAに接続されて、カレントミラー回路が構成され、NMOS46,48のゲートは、抵抗素子44を介して電源VDDに接続されている。NMOS50,52のゲートには、それぞれ、高電圧入力信号Pおよび低電圧入力信号Nが入力されている。PMOS42のドレインとNMOS48のドレインとの間のノードBから、直列に接続されたインバータ54,56を介して比較結果信号が出力される。
【0036】
コンパレータ24では、高電圧入力信号Pの電圧レベルが低電圧入力信号Nの電圧レベルよりも高い場合、NMOS52よりもNMOS50の方が強くオンして、ノードAの電圧レベルの方がノードBの電圧レベルよりも低くなり、比較結果信号として、H(ハイレベル)が出力される。
一方、高電圧入力信号Pの電圧レベルが低電圧入力信号Nの電圧レベルよりも低い場合、NMOS50よりもNMOS52の方が強くオンし、ノードBの電圧レベルの方がノードAの電圧レベルよりも低くなり、比較結果信号として、L(ローレベル)が出力される。
【0037】
パルス幅延長回路26は、高電圧入力信号Pの電圧レベルが低電圧入力信号Nの電圧レベルよりも低い状態であることを表す比較結果信号の電圧レベルのパルス幅を、あらかじめ設定された時間だけ延長し、フェイルセーフ検出信号FAIL_SAFEとして出力するものであり、同じく
図2に示すように、不均衡インバータ58と、負荷容量60と、シュミットトリガインバータ62と、インバータ64とを備えている。
【0038】
不均衡インバータ58は、比較結果信号を反転出力するものであり、
図4に示すように、PMOS66と、NMOS68とを備えている。
【0039】
PMOS66は、比較結果信号を、高電圧入力信号Pの電圧レベルが低電圧入力信号Nの電圧レベルよりも高い状態であることを表す第1の電圧レベルから、高電圧入力信号Pの電圧レベルが低電圧入力信号Nの電圧レベルよりも低い状態であることを表す第2の電圧レベルにドライブするものである。
NMOS68は、第2の電圧レベルから第1の電圧レベルにドライブするものである。
また、PMOS66のドライブ能力は、NMOS68のドライブ能力よりも高いものである。ドライブ能力は、例えば、PMOS66およびNMOS68のトランジスタサイズを変更することにより調整することができる。
PMOS66およびNMOS68は、電源VDDとグランドGNDとの間に直列に接続され、そのゲートは、不均衡インバータ58の入力端子INに接続され、そのドレインは、不均衡インバータ58の出力端子OUTに接続されている。
【0040】
PMOS66のドライブ能力がNMOS68のドライブ能力よりも高いため、不均衡インバータ58の入力信号がHからLに変化すると、その出力信号は素早くLからHに立ち上がり、かつ、入力信号がLからHに変化すると、その出力信号は緩やかにHからLに立ち下がる。
そのため、不均衡インバータ58の出力信号がHとなる期間は延長され、Lとなる期間は短縮される。
【0041】
負荷容量60は、不均衡インバータ58の出力信号に接続される容量であり、
図4に詳細を示すように、NMOS70によって構成されている。
【0042】
NMOS70のソース、ドレインおよび基板はグランドGNDに接続され、そのゲートは、不均衡インバータ58の出力信号に接続され、MOSキャパシタが構成されている。MOSキャパシタの容量値は、例えば、NMOS70のトランジスタサイズを変更することにより調整することができる。
【0043】
不均衡インバータ58の出力信号に負荷容量60を接続することにより、不均衡インバータ58の出力信号をなまらせることができる。その結果、Hとなる期間はさらに延長され、Lとなる期間はさらに短縮される。
【0044】
シュミットトリガインバータ62は、不均衡インバータ58の出力信号を反転出力するものであり、
図5に示すように、3つのPMOS72,74,76と、3つのNMOS78,80,82とを備えている。
【0045】
PMOS72,74およびNMOS78,80は、電源VDDとグランドGNDとの間に直列に接続されている。PMOS72,74およびNMOS78,80のゲートは、シュミットトリガインバータ62の入力端子INに接続され、PMOS74およびNMOS78のドレインは、シュミットトリガインバータ62の出力端子OUTに接続されている。
PMOS76は、PMOS72のドレインと、グランドGNDとの間に接続され、そのゲートは、シュミットトリガインバータ62の出力端子OUTに接続されている。
NMOS82は、NMOS80のドレインと、電源VDDとの間に接続され、そのゲートは、シュミットトリガインバータ62の出力端子OUTに接続されている。
【0046】
シュミットトリガインバータ62では、
図8に示すように、入力端子INから入力される入力信号がLからHに変化する場合、PMOS76はオフ状態であり、PMOS72,74は、入力信号の電圧レベルVINがしきい値になった時にオフ状態となる。また、NMOS80は、入力信号の電圧レベルVINがしきい値になった時にオン状態となる。一方、NMOS78は、オン状態であるNMOS82の作用により、NMOS78のソースとNMOS80のドレインとの間のノードCの電圧レベルがグランドGNDよりも上昇するため、入力信号の電圧レベルVINがしきい値よりも高いVHになった時にオン状態となる。NMOS78がオン状態になると、出力端子OUTから出力される出力信号がHからLに変化して、PMOS76がオン状態、NMOS82がオフ状態となる。
【0047】
一方、入力信号がHからLに変化する場合、同様に、オン状態であるPMOS76の作用により、入力信号の電圧レベルVINがしきい値よりも低いVLになった時に、出力信号がLからHに変化して、PMOS76がオフ状態、NMOS82がオン状態となる。
【0048】
つまり、入力信号の電圧レベルがVLからVHまで変化する間、および、VHからVLまで変化する間は、出力信号が変化しない不感帯となる。これにより、例えば、ノイズ等の影響による入力信号の変化によって出力信号が頻繁に変化することを防止することができるとともに、入力信号が波形整形される。
【0049】
比較結果信号のパルス幅は、正常動作時に、高電圧入力信号Pの低電圧レベルが低電圧入力信号Nの高電圧レベルよりも高くなる場合に、両者の電圧レベルの差が小さくなると狭くなり、両者の電圧レベルの差が大きくなると広くなる。
フェイルセーフ回路16では、パルス幅延長回路26により、比較結果信号のパルス幅が延長されるため、正常動作時の、比較結果信号のパルス幅が狭い場合であっても、比較結果信号を確実に捉えてパルス幅を延長することができる。
【0050】
NOR回路28には、パルス幅延長回路26の出力信号、および、フェイルセーフ機能停止制御信号PWDが入力され、NOR回路28からは、フェイルセーフ検出信号FAIL_SAFEが出力されている。
フェイルセーフ機能停止制御信号PWDは、フェイルセーフ回路16を強制的にパワーダウンさせて停止状態とするための信号であり、通常、Lである。
従って、フェイルセーフ機能停止制御信号PWDがLの場合、NOR回路28により、パルス幅延長回路26の出力信号は反転され、フェイルセーフ検出信号FAIL_SAFEとして出力される(即ち、フェイルセール機能が働く)。
フェイルセーフ機能停止制御信号PWDがHになると、NOR回路28の出力信号、つまり、フェイルセーフ検出信号FAIL_SAFEは強制的にLとなり、差動入力信号INP,INNがLVDSの規格外の小振幅ではないことを表すのと同じ状態となる(即ち、フェイルセーフ機能が停止する)。
【0051】
次に、データ受信装置10の動作を説明する。
【0052】
差動入力信号INP,INNが正常振幅の場合、比較結果信号は、高電圧入力信号Pが高電圧レベル、かつ、低電圧入力信号Nが低電圧レベルのときにHとなり、高電圧入力信号Pが低電圧レベル、かつ、低電圧入力信号Nが高電圧レベルのときにLとなる。
この場合、不均衡インバータ58の出力信号は、
図6に示すように、比較結果信号がLになると、ドライブ能力が高いPMOS66によりドライブされて素早くLからHに立ち上がり、続いて、比較結果信号がHになると、ドライブ能力が低いNMOS68によりドライブされて緩やかにHからLに立ち下がることを繰り返す。
このように、比較結果信号がL,Hの変化を繰り返す場合、不均衡インバータ58の出力信号はH出力を維持する。従って、シュミットトリガインバータ62の出力信号はL、インバータ64の出力信号はH、フェイルセーフ検出信号FAIL_SAFEはLとなり、受信回路14は、正常動作する。
【0053】
差動入力信号INP,INNがLVDSの規格外の小振幅である場合、比較結果信号は、常にHになる。
この場合、不均衡インバータ58の出力信号は、
図7に示すように、比較結果信号がHになると、ドライブ能力が低いNMOS68によりドライブされて緩やかにHからLに立ち下がる。
このように、比較結果信号がHの出力を繰り返す場合、不均衡インバータ58の出力信号は、あらかじめ設定された時間の間はH出力が維持されるが、その後、Lとなる。従って、シュミットトリガインバータ62の出力信号はH、インバータ64の出力信号はL、フェイルセーフ機能停止制御信号PWDがLであるとすると、フェイルセーフ検出信号FAIL_SAFEはHとなってフェイルセーフ動作となり、受信回路14の入力アンプ部18と論理信号処理回路12は、受信停止制御回路20から出力される受信停止信号によって停止状態とされる。
このように、受信回路14を停止状態にして、LVDSの規格外の差動入力信号INP,INNが受信回路14に入力されないようにすることにより、受信回路14ひいては後段の回路が誤動作することを防止することができる。
【0054】
フェイルセーフ回路16では、差動入力信号INP,INNがLVDSの規格外の小振幅の場合であっても、例えば、1サイクルだけフェイルが発生しただけではフェイルセーフ動作とはならず、あらかじめ設定された時間に対応する数サイクルの期間フェイルが発生した場合にフェイルセーフ動作と判定される。そのため、正常動作なのかフェイルセーフ動作なのかを確実に判定することができる。
【0055】
なお、あらかじめ設定された時間は、不均衡インバータ58が備えるPMOS66およびNMOS68のドライブ能力に加え、さらに、負荷容量60の容量値に応じて適宜決定(変更)することができる。
例えば、PMOS66のドライブ能力を高くするに従って、
図6に示すc、b、aの順序で、不均衡インバータ58の出力信号の立ち上がりを素早く変化させることができ、不均衡インバータ58の出力信号が、LからHに変化するまでに要するシリアルデータのクロック周期の数を適宜変更することができる。
一方、NMOS68のドライブ能力を低くするに従って、
図7に示すa、b、cの順序で、不均衡インバータ58の出力信号の立ち下がりを緩やかに変化させることができ、不均衡インバータ58の出力信号がHからLに変化するまでに要するシリアルデータのクロック周期の数を適宜変更することができる。
また、負荷容量60の容量値を大きくするに従って、不均衡インバータ58の出力信号の立ち上がりおよび立ち下がりをさらに緩やかに変化させることができる。
【0056】
フェイルセーフ回路16は、LVDSのデータ受信装置向けの20MHz〜160MHzの入力周波数帯域の差動入力信号INP,INNを扱うことができ、かつ正常振幅の差動入力信号INP,INNに対しては正常動作扱いの判定の感度を鋭く、LVDSの規格外の小振幅の差動入力信号INP,INNに対してはフェイルセーフ動作扱いの判定の感度を鈍く応答させることができる。
【0057】
また、フェイルセーフ回路16を構成するハイパスフィルタ22、コンパレータ24およびパルス幅延長回路26は簡易な構成で実現することができるため、低電圧動作が可能で低消費電力化することができ、かつ、小面積で実現することができる。また、フェイルセーフ回路16は、プロセスばらつきの影響を受けにくく、差動入力信号INP,INNの正常振幅/小振幅の閾値の範囲であるグレーゾーンを抑えることができる。
【0058】
さらに、ハイパスフィルタ22を構成するACカップリング容量34および抵抗素子36,38の定数を変えることにより、差動入力信号INP,INNの周波数帯域を自在に変えることができる。また、前述のように、パルス幅延長回路26の定数を調整することにより、正常動作/フェイルセーフ動作の扱いの判定の感度を自在に設定することができる。そのため、フェイルセーフ回路16を、LVDS用のデータ受信装置の仕様を超える範囲にも応用できる。
【0059】
なお、受信回路14を構成する入力アンプ部18および論理信号処理回路12および受信停止制御回路20、ならびに、フェイルセーフ回路16を構成するハイパスフィルタ22、コンパレータ24およびパルス幅延長回路26の具体的な構成は何ら限定されず、同様の機能を実現することができる各種構成のものを利用することができる。
また、検出結果信号、パルス幅延長回路26の出力信号、フェイルセーフ検出信号FAIL_SAFE等の信号極性は何ら限定されず、各信号の極性に合わせて各回路の構成を変更することができる。
さらに、負荷容量60、シュミットトリガインバータ62およびNOR回路28は、フェイルセーフ回路16に必須の構成要素ではなく、必要に応じて適宜設けることができる。
【0060】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。