(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コネクタ端子に沿って前記回転軸方向に延びる壁部を、前記端子支持部の内径側に設けると共に、前記壁部を、前記回転軸方向から見て前記コイル端子よりも径方向外側に位置させて、前記本体カバーと前記ステータとを組み付ける際に、前記コイル端子を通過させる隙間を、前記コネクタカバーの内側における前記壁部の内径側に形成したことを特徴とする請求項3から4の何れか一項に記載のモータ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、本発明を、冷蔵庫の冷媒の流路を開閉する弁装置のバルブ駆動装置(ギアユニット)に適用した場合を例に挙げて、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付して示すと共に重複した説明を省略する。
以下の説明では、
図1に示したバルブ駆動装置1のロータ30の回転軸の軸線Xを基準として、軸線Xの軸方向におけるロータ30側を上方、流体導出管3、4側を下方として、バルブ駆動装置の各構成要素の位置関係を適宜説明する。
【0012】
図1は、実施形態にかかるバルブ駆動装置1の断面図である。
図2は、
図1におけるX1−X1断面図である。
図3は、バルブ駆動装置1のモータM側の分解斜視図である。
なお、
図3では、ステータアッセンブリ40における樹脂で形成された部分をハッチングして示している。
【0013】
図1から
図3に示すように、本発明の実施形態にかかるバルブ駆動装置1は、外部装置である冷蔵庫(図示せず)との間に流体(ここでは、冷媒)が循環可能な流路を構成し、冷蔵庫から流体導入管2を介して流体室S内へ導入された流体を、流体導出管3、4を介して冷蔵庫へ導出する弁装置である。
このバルブ駆動装置1では、モータMにより弁部70を駆動して、流体室S内に導入された流体を、流体導出管3、4から冷蔵庫側に導出するようになっており、このバルブ駆動装置1のモータMとして、一対のステータ組50A、50B(A相のコイルとB相のコイル)がロータ30の回転軸の軸線X方向に並べて配置されたクローポール型ステッピングモータが採用されている。
【0014】
バルブ駆動装置1では、底板部10の上面(ロータ30側の面)に固定した有底円筒形状の隔壁20により、底板部10と隔壁20の間に流体室Sが形成されている。
バルブ駆動装置1において隔壁20は、底部20aを底板部10とは反対側の上方(ロータ30側の方)に向けて設けられている。隔壁20は、底部20aから離れる方向で2段に拡径した外形を有しており、底部20a側の小径部201と、底板部10側の大径部202と、を備えて構成される。
底板部10の外周縁には、大径部202の先端202aが外嵌する段部11が、全周に亘って設けられており、隔壁20は、大径部202の先端202aを段部11に嵌合させて、底板部10に固定されている。
また、バルブ駆動装置1は、モータMのロータ30を上側、流体室Sを下側に向けた配置(
図1参照)で使用されるようになっている。
【0015】
小径部201の内側には、モータMのロータ30が、軸部材21に外挿された状態で設けられている。
バルブ駆動装置1において軸部材21は、ロータ30における回転軸の軸線Xに沿って設けられており、この軸部材21の一端21aは、底部20aの凹部20bで支持されており、他端21bは、底板部10の孔部10aでロウ付けされており、軸部材21は、回り止めされた状態で設けられている。
軸部材21においてロータ30は、回転可能に支持されており、モータMの駆動時に、軸線X周りに回転するようになっている。
【0016】
ロータ30は、軸部材21に外挿される軸受部31aを有する基部31と、軸線X周りの周方向でN相とS相とが交互に配置された磁石32と、を備えて構成される。
磁石32は、ロータ30を樹脂成形する際に、インサート成型によりロータ30と一体に形成されており、基部31において磁石32は、軸線X周りの周方向で全周に亘って設けられている。
【0017】
基部31の底板部10側の下部には、ロータ30の回転を後記する弁部70に伝達する伝達軸33が、軸受部31aと基部31の間に挿入されて固定されている。伝達軸33は、ロータ30と同様に、軸部材21に回転可能に支持されており、ロータ30と一体に軸線X周りに回転するようになっている。
【0018】
伝達軸33は、軸線Xに沿って底板部10側の下方に延びており、その先端部33aを、底板部10の上面10bに当接させている。
実施の形態においてロータ30は、軸部材21の一端21a側に外挿したスプリングSpにより、底板部10側の下方に付勢されており、このスプリングSpの付勢力により、伝達軸33の先端部33aが、底板部10の上面10bに常時当接させられて、ロータ30の軸線Xの軸方向の位置決めがされている。
【0019】
伝達軸33における先端部33aの上側(ロータ30側)は、当該先端部33aよりも径が大きい大径部33bとなっており、この大径部33bの外周には、後記するギヤ71の外周に設けた歯部71gに噛合する歯部33cが設けられている(
図2参照)。
【0020】
図2に示すように、ロータ30を収容する隔壁20の小径部201は、ロータ30の磁石32を所定間隔で囲む筒状に形成されており、この小径部201の外周には、ステータアッセンブリ40が外挿されて取り付けられている。
実施の形態では、小径部201と大径部202を接続する円板部203が、軸線Xに直交して設けられており、この円板部203により、小径部201に外挿したステータアッセンブリ40の位置決めがされて、ロータ30(磁石32)の径方向外側に、2つのステータ組50A、50Bが配置されるようになっている。
なお、ロータ30の磁石32は、隔壁20を介して後述のステータアッセンブリ40からの磁力によって駆動されるため、隔壁20は非磁性体で構成される。また流体室Sの圧力に耐えられるよう、隔壁20は金属で構成される。このため、隔壁20は非磁性金属であるステンレスで構成される。
【0021】
図2に示すように、ステータアッセンブリ40は、軸線Xの軸方向に重ねて配置された2つのステータ組50A、50Bを備えており、このステータアッセンブリ40には、ステータ組50A、50Bの外周を囲む外ステータコア59が外挿して取り付けられている。
外ステータコア59は、後記する内ステータコア51、52と同様に、磁性体の板体をプレス加工することで形成されており、ステータ組50A、50Bに外挿して取り付けた際に、外ステータコア59と内ステータコア51、52とが互いに接触した状態で設けられて、外ステータコア59と内ステータコア51、52とで磁路が構成されるようになっている。
【0022】
ステータ組50A、50Bの各々は、軸方向に間隔をあけて配置された一対の内ステータコア51、52の間に、ボビン53の外周に巻き付けられた駆動コイル54を配置した基本構成を有している。
ステータアッセンブリ40においてボビン53は、その内部にステータ組50A、50Bの内ステータコア51、52がインサート成形により埋め込まれた樹脂成形体(絶縁体)であり、後記する端子保持部55と一体に形成されている。
【0023】
図4の(a)は、
図1における要部を拡大した断面図であり、(b)は、(a)における領域Aの拡大図である。
図4に示すように、内ステータコア51、52は、軸線Xに直交する向きで配置されたリング状のフランジ部510、520と、フランジ部510、520の内周から軸線X方向に起立形成された複数の極歯511、521とを備えており、フランジ部510、520の内径側において極歯511、521は、軸線X周りの周方向に等間隔で設けられている。
ステータ組50A、50Bの一対の内ステータコア51、52は、一方の内ステータコア51の極歯511と、他方の内ステータコア52の極歯521とが、軸線X周りの周方向で交互に並んで配置されるように、互いの極歯511、521を対向させる向きで配置されている。
【0024】
極歯511、521の径方向外側には、外周にコイルが巻き付けられたボビン53の円筒状の基部530が位置しており、軸線Xの軸方向におけるこの基部530の両端には、径方向外側に延びる鍔部531、532が、軸線X周りの周方向で全周に亘って設けられている。
【0025】
図2に示すように、ステータアッセンブリ40において、ステータ組50Aの内ステータコア51と、ステータ組50Bの内ステータコア52は、軸線Xの軸方向で、フランジ部510、520(
図4参照)同士を接触させた状態で設けられている。
そして、これらフランジ部510、520が隙間なく接合された状態で、樹脂内に保持されている。
【0026】
内ステータコア51、52が埋め込まれたステータアッセンブリ40では、ボビン53の基部530の内径側に極歯511、521が露出しており、フランジ部510、520の駆動コイル54側の面が、鍔部531、532を構成する樹脂で覆われている。
【0027】
そして、ステータアッセンブリ40では、ステータ組50Bのフランジ部510の内径側の上面を覆う樹脂材料により、リング状の取付部57(
図2、
図3参照)が形成されており、この取付部57には、後記する上カバー部材90の嵌合壁91cが内嵌して取り付けられるようになっている。
また、ステータ組50Aのフランジ部520の内径側の下面を覆う樹脂材料により、リング状の当接部58(
図2参照)が形成されている。この当接部58は、ステータアッセンブリ40が隔壁20の小径部201外挿された際に、小径部201と大径部202との境界の円板部203に軸線X方向から当接するようになっており、ステータアッセンブリ40の軸方向の位置決めが、円板部203に当接させた当接部58により行われるようになっている。
【0028】
図4に示すように、各ステータコアのフランジ部510、520では、その外周部の一部に軸線X側に窪んだ切欠き部510b、520bが形成されており、各フランジ部510、520の切欠き部510b、520bは、軸線Xの軸方向から見て重なる位置に設けられている。実施の形態では、この切欠き部510b、520bの部分を利用して、端子保持部55が設けられている。
【0029】
ステータ組50Bの端子保持部55Bは、フランジ部510、520の切欠き部510b、520bに跨って設けられている。
この端子保持部55Bは、フランジ部510、520の両側に位置するボビン53の鍔部532、531と一体に形成されており、軸線Xの軸方向に所定の厚みを有している。
【0030】
ステータ組50Aの端子保持部55Aは、内ステータコア52のフランジ部520の切欠き部520bに設けられている。
この端子保持部55Aは、ステータ組50Aのボビン53の鍔部532と一体に形成されており、軸線Xの軸方向に所定の厚みを有している。
【0031】
ステータ組50Aの端子保持部55Aと、ステータ組50Bの端子保持部55Bは、軸線X方向に間隔をあけて設けられている。
ステータ組50A、50Bの端子保持部55A、55Bには、複数のコイル端子56が圧入されて支持されており、複数のコイル端子56は、ステータアッセンブリ40から径方向外側に突出して設けられていると共に、コイル端子56の基端は、切欠き部510b、520b内に位置している。
【0032】
そのため、ステータアッセンブリ40に外挿して取り付けられる外ステータコア59では、ステータ組50A、50Bの外周を囲む周壁部592に、コイル端子56との干渉を避けるための切欠き部593(
図3参照)が設けられていると共に、後記する上カバー部材90の周壁部92にも、コイル端子56との干渉を避けるための開口部92aが設けられている(
図1参照)。
【0033】
なお、外ステータコア59は、
図3に示すように、有底円筒形状を有しており、底部591の中央部に、隔壁20の底部20a側を挿通可能とする開口591aが設けられている。そして、底部591の全周に亘って設けられた周壁部592は、ステータ組50A、50Bのフランジ部510、520を全周に亘って取り囲む円筒形状を成している。
【0034】
図4に示すように、コイル端子56は、直線状に延びる棒形状を成す導電性のピンであり、上カバー部材90に設けた開口部92aを貫通して、その先端側を、コネクタカバー部93(収容部95)内に位置させている。
【0035】
実施の形態では、端子保持部55Aで保持されたコイル端子56の端子保持部55A側には、ステータ組50Aの駆動コイル54(A相のコイル)から引き出された巻き線の端部(図示せず)が絡げられ、端子保持部55Bで保持されたコイル端子56の端子保持部55B側には、ステータ組50Bの駆動コイル54(B相のコイル)から引き出された巻き線の端部(図示せず)が絡げられている。
そして、これら端子保持部55A、55Bで支持されたコイル端子56の各々は、ポリイミド樹脂から構成される可撓性を有する共通の基板60(以下、基板60とも表記する)を介して、それぞれ対応するコネクタ端子61に接続されている。なお、コイル端子56の各々は、基板60における駆動コイル54とは反対側の面で、基板60に設けられた配線のうちの対応する配線に、半田付けにより接続されている。
【0036】
図1から
図3に示すように、上カバー部材90は、モータMのステータアッセンブリ40と外ステータコア59を収容する部材であり、ステータアッセンブリ40の上面を覆うカバー部91と、外ステータコア59の外周を囲む周壁部92と、を有しており、周壁部92には、コネクタカバー部93が一体に形成されている。
なお、この上カバー部材90は、ポリカーボネートとABS樹脂の混合樹脂を樹脂成型することで形成される。
【0037】
図5は、上カバー部材90のコネクタカバー部93を説明する図であり、(a)は、コネクタカバー部93のコネクタ部94と収容部95とを右斜め上方から見た斜視図であり、(b)は、コネクタ部94と収容部95とを斜め下方から見た斜視図であり、(c)は、収容部95を径方向から見た図である。
図6は、コネクタカバー部93を説明する図であり、(a)は、軸線X方向の上側から見た図であって、(b)は、斜視図であり、(c)は、コネクタカバー部93の端子支持部940に対する断熱部材946の取り付けを説明する図である。
図7は、コネクタ部94を説明する図であり、(a)は、軸線X方向の下側から見た図、(b)は、軸線X方向の斜め下側から見た斜視図である。
【0038】
図5に示すように、上カバー部材90の周壁部92は、軸線Xの軸方向から見て環状を成しており、バルブ駆動装置1において周壁部92は、外ステータコア59の外周を囲むように設けられている。
周壁部92の下端92b(
図3参照)は、上カバー部材90とコネクタカバー部93の内側に配置されるコイル端子56や駆動コイル54よりも、軸線X方向における下側(流体導出管3、4側)に位置しており、周壁部92に掛かった水が、コイル端子56や駆動コイル54などの導電部に及ぶことが好適に防止されるようになっている。
【0039】
周壁部92では、径方向から見て、前記したコイル端子56と干渉する領域が切り欠かれており、この切り欠かれた領域が、ステータアッセンブリ40から径方向に延びるコイル端子56が通過する開口部92aとなっている。
周壁部92において開口部92aは、当該周壁部92の下端からカバー部91の近傍までの高さ範囲に形成されており(
図5の(b)参照)、この開口部92aの上辺92a1は、カバー部91から下側(流体導出管3、4側)にオフセットした位置を、カバー部91に対して平行に延びている。
周壁部92の周方向における開口部92aの両側辺92a2、92a2は、軸線Xに沿って直線状に延びており、開口部92aは、径方向から見て略矩形形状を有している(
図5の(c)参照)。
【0040】
開口部92aでは、上辺92a1の両側部に、径方向外側に突出して突出部921が設けられている。この突出部921には、前記した基板60が径方向外側から当接しており(
図1参照)、基板60の径方向の位置決めが、この突出部921により行われるようになっている。
【0041】
上カバー部材90の周壁部92では、軸線Xを挟んで、開口部92aの反対側の位置に、後記する下カバー部材80の係合腕84が係合する被係合部922が設けられている。
上カバー部材90は、コネクタカバー部93のコネクタ部94および収容部95と一体に形成されている。
【0042】
図3に示すように、上カバー部材90の周壁部92では、開口部92aの径方向外側に、この開口部92aを覆うコネクタカバー部93が設けられている。
コネクタカバー部93は、周壁部92の径方向外側から下方(流体導出管3、4の方)に延出しており、開口部92aよりも下側(流体導出管3、4側)に位置するコネクタ部94と、このコネクタ部94に設けられたコネクタ端子61と前記したコイル端子56とを接続する基板60を収容する収容部95と、収容部95の開口930を封止するキャップ96とを有している。
【0043】
図4に示すように、コネクタ部94では、前記した大径部202の径方向外側となる位置に、端子支持部940が設けられており、この端子支持部940では、前記したコネクタ端子61が、軸線X周りの周方向に間隔をあけて複数設けられている(
図3参照)。
コネクタ端子61の各々は、端子支持部940を厚み方向(軸線X方向)に貫通して設けられており、径方向から見てコネクタ端子61の各々は、前記したコイル端子56よりも下方に位置すると共に、コイル端子56に対して略直交する向きで設けられている。
【0044】
コネクタ端子61の各々は、基板60を介して、対応するコイル端子56と接続されており、コネクタ端子61の各々は、基板60における端子支持部940とは反対側の面で、基板60に設けられた配線のうちの対応する配線に、端子孔610の周囲を取り囲むように形成されたランド部601Aに半田付けにより接続されている。
ここで、コネクタ端子61の各々は、基板60の一側部に設けた円形の端子孔601に挿通された状態で、対応する配線に半田付けにより接続されている。
コネクタ端子61と基板60との接続部(半田付け部)は、コイル端子56と基板60との接続部(半田付け部)から軸線X方向に所定高さhの距離で下方(端子支持部940の方)にオフセットした位置に設けられている。そして、コイル端子56とコネクタ端子61とを接続する基板60は、湾曲部60cを境にして、その一端部60a側を軸線Xに沿う方向に、他端部60b側を軸線Xの直交方向に沿う方向に向けており、基板60の側面からみて略L字形状となるように湾曲している(
図4の(a)参照)。
【0045】
そのため、基板60におけるコネクタ端子61との接続部(他端部60b)側には、基板60を元の形状に戻そうとする方向の復元力が作用しており、基板60の他端部60b側は、この復元力により、端子支持部940の上面(基板60の支持面940b)に押しつけられている。
実施の形態では、この支持面940bは、軸線Xに対して直交する平坦面となっており、この支持面940bと基板60との間に、絶縁性の断熱部材946が設けられている(
図4の(b)参照)。
この断熱部材946は、基板60をコネクタ端子61に半田付けする際に、端子支持部940が熱により軟化して支持しているコネクタ端子61が傾くことを抑制する部材である。
【0046】
断熱部材946は、長方形形状を成す板状の部材であり(
図6の(c)参照)、ガラスエポキシから構成される。
断熱部材946は、基板60の厚みWbよりも厚い厚みWaを有しており(
図4の(b)参照)、当該断熱部材946を厚み方向に貫通する貫通孔946aが、断熱部材946の長手方向に間隔を開けて複数設けられている。
【0047】
実施の形態では、端子支持部940から突出するコネクタ端子61が、断熱部材946の貫通孔946aを貫通して上方に延びており、断熱部材946は、貫通孔946aを貫通させたコネクタ端子61により、端子支持部940の上面(コイル端子56側の面)の所定位置に配置されている。
ここで、断熱部材946は、端子支持部940の径方向の幅Wdよりも小さい幅Wcに形成されており、内径側の側面946bを、端子支持部940の内径側の傾斜面940aから径方向外側に所定距離Weだけ離間した位置に配置している。
【0048】
図8の(a)は、断熱部材946および端子支持部材940を斜め上から見た分解斜視図であり、(b)は、断熱部材946の貫通孔946aの内径d1が基板60の端子孔601の内径d2よりも小さい場合の基板60と、断熱部材946と、端子支持部材940の一部を径方向外側から見た断面図であり、(c)は、断熱部材946の貫通孔946aの内径d1が基板60の端子孔601の内径d2よりも大きい場合の基板60と、断熱部材946と、端子支持部材940の一部を径方向外側から見た断面図である。
なお、
図8の(b)、(c)では、コネクタ端子61の図示を省略している。
【0049】
図8の(a)に示すように、断熱部材946の貫通孔946aの内径d1は、コネクタ端子61の直径D1よりも大きく、直径D1の2倍よりも小さくなるように形成されている(D1<d1<2×D1)。このため、断熱部材946は、貫通孔946aにコネクタ端子61が挿通されることにより位置決めされる。
【0050】
さらに、
図8の(b)に示すように、断熱部材946の貫通孔946aの内径d1は、基板60の端子孔601の周囲に形成されるランド601Aの外径d2よりも小さく形成されていることが好適である。このようにすると、基板60をコネクタ端子61に半田付けする際、半田付けによる断熱部材946方向への押しつけ力により、基板60が変形して断熱部材946の貫通孔946aに入り込み、端子支持部材940に接触する虞(
図8の(c)の点線参照)を防止できる。
したがって、このような構成にすると、半田付けの熱が、基板60を介して端子支持部材940に直接伝わるのを防止し、熱により端子支持部材940が軟化してコネクタ端子61が傾くのを好適に防止できる。
【0051】
断熱部材946を貫通して上方(ロータ30側の面)に延びるコネクタ端子61は、基板60の他端部60b側を貫通しており、コネクタ端子61の先端側は、基板60における端子支持部940とは反対側の面に半田付けされている。
実施の形態では、基板60と端子支持部940との間に端子支持部940よりも溶融温度の高いガラスエポキシから構成される断熱部材946を介在させることにより、半田付けの際に発生する約350℃の熱が、ポリカーボネートとABS樹脂の混合樹脂製の端子支持部940に伝わることを防止して、端子支持部940が半田付けの熱で溶けることを防いでいる。
【0052】
端子支持部940が熱により溶けると、当該端子支持部940で支持されたコネクタ端子61が傾く虞があり、かかる場合、相手側コネクタ(図示せず)とコネクタ端子61との接続に支障が生ずる虞があるからである。
ここで、この断熱部材946の厚みWaを、基板60の厚みWbよりも厚くしたのは、半田付けの際の熱が、端子支持部940側に伝わらないようにするためであり、断熱部材946を絶縁性の材料で構成したのは、隣接するコネクタ端子61同士が、断熱部材946を介して短絡しないようにするためである。
【0053】
図7の(b)に示すように、端子支持部940は、端子支持部940から下方(流体導出管3、4の方)に突出したコネクタ端子61の外周を囲む周壁部941を有しており、この周壁部941は、端子支持部940の長手方向における両側に設けられた側壁部942、942と、端子支持部940の径方向外側の側縁に沿って設けられた外壁部943と、径方向内側の側縁に沿って設けられた内壁部944とから構成される。
【0054】
内壁部944の内径側(
図7の(b)における右斜め上方側)は、端子支持部940との2つの接続梁945、945を残して切り欠かれている。この切欠き944aは、基板60の幅L2(
図2参照)よりも大きい幅L3(
図5の(a)参照)を有している。
図7に示すように、この切欠き部944aの幅方向における中央には、相手側コネクタの係合突起(図示せず)を係止させる係止部944bが設けられている。
接続梁945、945は、軸線X側(内径側)から見て略矩形形状を有しており、コネクタ部94に対する相手側コネクタの着脱方向に沿って設けられている。
この接続梁945、945は、相手側コネクタが抜かれるときに係止部944bにかかる力に対して内壁部944を補強するために、内壁部944と端子支持部940の内径側の側縁を接続して設けられており、相手側コネクタが抜かれるときに係止部944b(内壁部944)に作用する力を端子支持部940側に伝達する(逃がす)ことで、内壁部944と側壁部942との接続部に応力が集中して、接続部から破断することを防止している。
実施の形態のコネクタ部94では、接続梁945、945を設けたことで、側壁部942、942を離して配置しても十分な強度が確保できるようになっており、これにより、切欠き部944aの幅L3(
図5の(b)参照)を、基板60の幅L2(
図3参照)よりも大きくことができるようになっている。
【0055】
接続梁945における端子支持部940との接続部には、端子支持部940の基板60の支持面940b側(
図4における上側)に向かうにつれて接続梁945の厚みが薄くなる傾斜面945aが設けられている。
さらに、端子支持部940の切欠き部944a内に露出する側面にも、傾斜面945aと同方向に傾斜する傾斜面940aが設けられている。
そのため、
図4に示すように、接続梁945と、後記する取付部85の補強壁82との間の隙間W1と、端子支持部940と、補強壁82との間の隙間W2が、上カバー部材90の上方側に向かうにつれて広くなっている。
【0056】
実施の形態では、コイル端子56に基板60が半田付けされたステータアッセンブリ40(
図3参照)に、外ステータコア59と上カバー部材90とを、順番に組み付けるようになっており、コネクタカバー部93では、端子支持部940の内径側に、コイル端子56および基板60との干渉を避けるための隙間Saが確保されている(
図4参照)。
【0057】
ここで、上カバー部材90を組み付けた直後では、基板60の他端部60bは、図中点線で示す位置にあるので、この状態から他端部60b側を径方向外側に湾曲させて(図中矢印参照)、他端部60bに設けた端子穴601(
図3参照)を端子支持部940の上面(支持面940b)から上方(キャップ96の方)に突出するコネクタ端子61に係合させる必要がある。
なお、基板60の他端部60bに設けられる端子孔601の内径d3は、断熱部材946の貫通孔946aの内径d1と同じであり、端子支持部940に支持されるコネクタ端子61の直径D1よりも大きく、直径D1の2倍の直径よりも小さくなるように形成されているのが好適である。(
図8参照)。
【0058】
しかし、端子支持部940の内径側に、後記する取付部85の補強壁82が位置しているので、この補強壁82との間の隙間が小さいと、基板60の他端部60b側を湾曲させる際に基板60の全体を大きく湾曲させる必要があり、この際に基板60の曲げ半径が小さくなってしまう。
そのため、基板60の長手方向の長さL1(
図3参照)を長くして、基板60の長さL1に余裕を持たせる必要が生じることになる。
実施の形態では、内壁部944の端子支持部940側を切り欠いて、端子支持部940の内径側を、切欠き部944a内に露出させており、端子支持部940の内径側の隙間Saを広げている。
さらに、接続梁945と端子支持部940の各々に、傾斜面945a、940aを設けてこの補強壁82との間の隙間を広くすると共に、端子支持部940の支持面940bにおいて、これら傾斜面945a、940aに近接してコネクタ端子61を位置させている。
【0059】
そのため、切欠き部944aを設けていない場合に比べて、基板60の長手方向の長さL1を短くすることができると共に、基板60を湾曲させる際の基板60の曲げ半径を大きくできるようになっている。
そして、傾斜面940a、945aを設けていることにより、これら傾斜面940a、945aの分だけ隙間が広がるので、傾斜面940a、945aを、基板60を湾曲させる際のガイドとして機能させつつ、基板60を湾曲させる際の基板60の曲げ半径の拡大に貢献させている。
【0060】
そして、内壁部944に切欠き部944aを設けることで、基板60の長さL1を短くできるので、基板60の他端部60b側を、一端部60a側に対して略90度折り曲げた状態において、基板60における湾曲部60cを、金属製の補強壁82から離れた位置に配置させることができるようになっている。
【0061】
ここで、前記したように、断熱部材946の内径側の側面946bを、端子支持部940の内径側の傾斜面940aから径方向外側に所定距離Weだけ離間した位置に配置している。そのため、基板60の他端部60b側を径方向外側に湾曲させた際に(
図4の(a)、矢印参照)、他端部60bが断熱部材946に引っ掛からないようになっている。これは、基板60の他端部60bが断熱部材946に引っ掛かると、断熱部材946が基板60により跳ね上げられて、コネクタ端子61から外れてしまう可能性があるからである。
【0062】
図5に示すように、コネクタカバー部93の収容部95は、コネクタ部94の上側に隣接して設けられており、周壁部92の開口部92aの上辺92a1に沿って設けられた上壁部951と、開口部92aの側辺92a2に沿って設けられた側壁部952、952とを有している。
これら上壁部951および側壁部952、952は、周壁部92の外周面から径方向外側に突出しており、軸線Xの径方向から見て、周壁部92に設けた開口部92aの上側と両側を囲むように設けられている。
【0063】
側壁部952、952は、開口部92aの側辺92a2の全長に亘って設けられており、その上端部は、上壁部951の長手方向における両端部に接続されている。
図6の(b)に示すように、側壁部952の下端部側は、下側(流体導出管3、4側)に向かうに連れて周壁部92から離れる方向に膨出しており、この膨出した部分(膨出部952c)の下端に、前記した端子支持部940が一体に連結されている。
【0064】
そのため、端子支持部940を有するコネクタ部94が、側壁部952、952により、周壁部92の外周から径方向外側に離間した位置で保持されると共に、側壁部952、952における下端側の膨出部952cが、端子支持部940の支持強度を確保するリブとして機能するようになっている。
そして、この端子支持部940が設けられた部分を、軸線Xの径方向から見ると、端子支持部940と、上壁部951と、側壁部952、952により、周壁部92の開口部92aを囲む周壁(囲繞壁)が形成されている。
【0065】
さらに、軸線X周りの周方向における側壁部952の外側面には、側壁部952の外周部953から内側にオフセットした位置に段部954が形成されており、側壁部952における段部954よりも外周部953側は、後記するキャップ96の嵌合壁部98が嵌合する内側嵌合壁部955となっている。
【0066】
側壁部952の下端に連結された端子支持部940は、その上面(支持面940b)を軸線Xに対して直交させた向きで配置されており、この端子支持部940の支持面940bは、コネクタ部94の外壁部943の上端943aよりも、所定高さh2だけ、カバー部91側の上方(キャップ96の方)に位置している(
図6参照)。
【0067】
そのため、コネクタカバー部93の開口930を軸線Xの径方向外側から見ると、端子支持部940は、開口930内に突出しており、端子支持部940の外径側の側縁940cが、径方向外側から視認可能となっている。
さらに、前記したように端子支持部940は、周壁部92から径方向外側に離れた位置に配置されており、端子支持部940の上面(支持面940b)は、開口930の上方側(キャップ96の方)からも視認可能となっている。
【0068】
前記したように実施の形態では、断熱部材946は、貫通孔946aを貫通させたコネクタ端子61により、端子支持部940の上面(支持面940b)の所定位置に配置されるようになっている。
ここで、端子支持部940の径方向外側と上側には、端子支持部940へのアクセスを阻害する壁などが存在しないので、端子支持部940への断熱部材946の取り付けが容易に行えるようになっている。
具体的には、端子支持部940の側縁940cから、周壁部92の開口部92aの上辺92a1に沿って設けられた上壁部951の位置まで径方向外側に上カバー部材90が形成されていないため、断熱部材946を端子支持部材940に取り付ける際に邪魔になる部材がなく、断熱部材946を端子支持部940に容易に取り付けられる。
【0069】
なお、端子支持部940の側縁940cは、前記したコネクタ部94の外径側の外壁部943よりも径方向内側に位置しており、後記するキャップ96の当接部974が当接する当接面となっている。
【0070】
次に、モータMにより駆動される弁部70を説明する。
図9は、バルブ駆動装置1における下カバー部材80、弁部70、台部材86およびモータMの部分の分解斜視図である。
【0071】
バルブ駆動装置1の弁部70は、モータMにより後述する断面棒状の軸部材73における中心軸方向の軸線X2(
図9参照)周りに回転駆動される部材であって、ギヤ71と、弁体72と、を備える。
ギヤ71は、モータMの伝達軸33の外周に設けられた歯部33cと歯合する外歯車である。
【0072】
弁体72は、略円板形状を呈する部材であり、弁体72の中心には、円形の孔部72aが形成されていると共に、弁体72の底面には、切欠72dが形成されている。弁体72の底面のうち、切欠72dが形成されていない部位は、流体導出管3、4の開口3a、4a(
図9参照)を閉塞可能に構成されている。
【0073】
接続部材15は、底板部10に設けられた貫通穴10cに、モータMとは反対側の下方(流体導出管3、4の方)から嵌入して設けられている。
接続部材15の中央部には、軸方向の断面形状がほぼ円形となる棒状部材である軸部材73を支持するための穴部15aが、流体室S側に開口して形成されており、接続部材15において、この穴部15aの径方向外側の位置には、流体導出管3の開口3aと、流体導出管4の開口4aが位置している(
図9参照)。
流体導出管3、4は、それぞれ接続部材15を軸線X方向に貫通して設けられており、底板部10の上方(ロータ30の方)に形成される流体室Sに連通している。
【0074】
底板部10では、中央の孔部10aを挟んで貫通穴10cとは反対側の位置に、貫通穴10dが設けられており、この貫通穴10dには、流体導入管2が嵌入されている。この状態で、流体導入管2の開口2aは流体室S内に開口しており、流体導入管2を流体室Sに連通させている。
【0075】
図9に示すように、底板部10の上面10b(
図1参照)には、台部材86が載置されており、この台部材86は、台部87と、台部87の周縁部から下方側(流体導出管3、4側)に延びる複数の脚部88(88a、88b)と、を備えて構成される。
台部87では、前記した伝達軸33を挿通させる穴部87aがその中央部に形成されており、この穴部87aの径方向外側には、支持孔89aを備える腕部89が、軸線Xまわりの周方向に沿って設けられている。
【0076】
実施の形態では、底板部10に隔壁20を固定した際に、隔壁20の円板部203が台部87に当接して、脚部88aを底板部10に当接させる位置まで、底板部10側の下方(流体導出管3、4の方)に押し込むようになっている。
この際、脚部88bは脚部88aよりも径方向外側に突出して設けられているので、台部材86は、脚部88bを隔壁20の大径部202の内周に押し当てた状態で、隔壁20内で保持されるようになっている。
【0077】
また、腕部89は、台部87とは独立に軸方向に変形可能となっており、台部材86が底板部10側の下方(流体導出管3、4の方)に押し込まれた際に、弁体72を底板部10側の下方(流体導出管3、4の方)に付勢するようになっている。また、腕部89の支持孔89aは、弁部70の軸部材73に外嵌して位置決めされている。そのため、弁部70の弁体72は、腕部89により底板部10の上面(ロータ30側の面)に常時当接させられて、軸方向の位置決めがされている。
【0078】
図2に示すように、底板部10の上面(ロータ30側の面)に固定された隔壁20の大径部202には、下カバー部材80が外挿して固定されている。
下カバー部材80は、板状の基部81の中央に、隔壁20の大径部202が挿入される開口81aが設けられており、開口81aの内周縁には、軸線X方向の上側に向けて起立形成された当接片81bが、軸線X周りの周方向で複数設けられている。
当接片81bの各々は、開口81aから軸線X側に膨出して設けられており、軸線Xの径方向外側に弾性変形可能とされている。
そのため、下カバー部材80を隔壁20の大径部202に外挿して取り付ける際に、大径部202が当接片81bを径方向外側に押し広げながら、基部81の開口81a内に挿入されて、下カバー部材80が隔壁20に固定されるようになっている。
【0079】
図9に示すように、基部81の幅方向における一側には、軸線X方向の下側(流体導出管3、4側)に向けて折り曲げて形成された取付部85が設けられている。取付部85は、バルブ駆動装置1を外部構造物である冷蔵庫へ取り付けるために設けられており、基部81の長手方向の全長に亘って設けられている。取付部85には、ネジ等が挿通される穴部85aが形成されている。この穴部85aは、前記した流体導入管2と流体導出管3との干渉を避けるために、取付部85を正面から見た
図1において、軸線Xの径方向で、これら流体導入管2と流体導出管3よりも径方向外側に位置している。
【0080】
図9に示すように、基部81の長手方向における両側には、軸線X方向の上側に向けて折り曲げて形成された補強壁82、83が設けられている。補強壁82、83は、それぞれ基部81の幅方向の全長に亘って設けられており、補強壁の上端82a、83aには、上カバー部材90(
図3参照)が載置されるようになっている。
実施の形態では、
図1および
図3に示すように、一方側の補強壁82の上方(カバー部材90の方)にコイル端子56が位置するようになっており、他方側の補強壁83に、下カバー部材80と上カバー部材90とを係合状態で保持するための係合腕84が設けられている。
【0081】
補強壁82において係合腕84は、幅方向の略中央部から、基部81から離れる方向(上方)に延出して設けられており、係合腕84の上端側には、軸線X側に膨出して係合部84aが設けられている。
係合部84aは、上カバー部材90をモータMの外ステータコア59に外挿して取り付けた際に、上カバー部材90の被係合部922に係合するようになっており、これにより、上カバー部材90の下カバー部材80からの脱落が防止されている。
【0082】
実施の形態の下カバー部材80では、補強壁82、83が、軸線Xの軸方向で取付部85の折り曲げ方向(下方向)とは反対の方向(上方向)に折り曲げられて、下カバー部材80の基部81の曲げ剛性が高められている。
これは、下カバー部材80を隔壁20の大径部202に外挿(圧入)して取り付ける際に、大径部202が当接片81bを径方向外側に押し広げながら、基部81の開口81a内に挿入されて、下カバー部材80が隔壁20に固定されるようになっているため、この際の応力で、基部81が大きく変形しないようにするためである。
ここで、実施の形態の下カバー部材80では、長手方向の両側の補強壁82、83が、それぞれ同じ上方向に折り曲げられているため、曲げ加工により、補強壁82、83と取付部85を形成する際の加工が、補強壁82、83が軸線Xの軸方向で異なる方向(上下方向)に曲げられる場合よりも容易に行えるようになっている。
【0083】
以上の通り、実施の形態では、
(1)ロータ30を囲むステータアッセンブリ40(ステータ)から延びるコイル端子56が、樹脂製の端子支持部940で支持されたコネクタ端子61に、可撓性を有する板状の基板60(配線部材)を介して接続され、
コネクタ端子61と基板60との接続部(他端部60b)では、端子支持部940から突出するコネクタ端子61が、端子支持部940に接触させた基板60を貫通して、基板60における端子支持部940とは反対側の面に、半田付けにより接続されたモータにおいて、端子支持部940と基板60との間に、絶縁性の断熱部材946を設けた構成とした。
【0084】
このように構成すると、端子支持部940と基板60との間に絶縁性の断熱部材946が設けられているので、コネクタ端子61と基板60とを接続する際の半田付けの熱の影響が、端子支持部940に及ぶことを抑えることができる。
これにより、端子支持部940が半田付けの熱で熔解して破損することや、端子支持部940の熔解によりコネクタ端子61が傾いて、コネクタ端子61と図示しない相手側部材との接続ができなくなることを防止できる。
【0085】
(2)ステータアッセンブリ40の外周を囲む周壁部92(周壁)を有する樹脂製の上カバー部材90(本体カバー)は、周壁部92の径方向外側に位置する樹脂製のコネクタカバー部93(コネクタカバー)と一体に形成されており、端子支持部940は、コネクタカバー部93と一体に形成されている構成とした。
【0086】
半田付けの熱の影響で端子支持部940が熔解しないようにするために、端子支持部940を耐熱性の材料で構成する場合、端子支持部940が、上カバー部材90やコネクタカバー部93と一体に形成されていると、これらもまた耐熱性の材料で構成する必要がある。
上記のように構成すると、端子支持部940を耐熱性の材料で構成する必要が無いので、本来耐熱性が必要とされない上カバー部材90やコネクタカバー部93を、耐熱性を有する樹脂で形成する必要が無い。よって、樹脂の材質の自由度が向上すると共に、耐熱性を持たせるために必要となる作成コストの上昇も生じない。
【0087】
(3)周壁部92には、カバー部91の内側とコネクタカバー部93の内側とを連通させる開口部92aが設けられており、開口部92aを通ってステータアッセンブリ40の径方向外側に延びるコイル端子56は、コネクタカバー部93の内側で、ロータ30の回転軸方向(軸線X方向)に延びるコネクタ端子61に、基板60を介して接続されており、
コネクタカバー部63は、基板60を径方向外側から視認可能とする開口930を有しており、径方向外側から見て開口930内には、端子支持部940が回転軸方向から突出しており、端子支持部940の径方向外側の側縁940c(側面)が視認可能となっている構成とした。
【0088】
このように構成すると、基板60を接触させる端子支持部940の支持面940bが、コネクタカバー部93の開口930内に突出しており、支持面940bへの断熱部材946の取り付けを容易に行うことができる。
また、断熱部材946を別途設ける場合、作業コストの増加が見込まれるが、断熱部材946の取り付けを容易に行えるので、作業コストの増加を抑えることができる。
【0089】
(4)コネクタカバー部93には、開口930を塞ぐキャップ960が着脱自在に設けられており、コネクタカバー部63において開口630は、周壁部92に設けた開口部92aの径方向外側で開口しており、周壁部92とコネクタカバー部63とキャップ960とにより、コイル端子56とコネクタ端子61と基板60の径方向外側が覆われている構成とした。
【0090】
このように構成すると、基板60とコイル端子56およびコネクタ端子61との接続部が、開口630内で視認可能であるので、基板60とコイル端子56およびコネクタ端子61との半田付けによる接続作業を容易に行うことができる。
【0091】
(5)コネクタ端子61に沿って回転軸方向に延びる内壁部944(壁部)を、端子支持部940の内径側に設けると共に、内壁部944を、回転軸方向から見てコイル端子56よりも径方向外側に位置させて、上カバー部材90とステータアッセンブリ40とを組み付ける際に、コイル端子56を通過させる隙間を、コネクタカバー部93の内側における内壁部944の内径側に形成した構成とした。
【0092】
このように構成すると、内壁部944の内径側に隙間を設けて、ステータアッセンブリ40の軸方向から見て、コイル端子56と内壁部944とが重ならないようにしたので、上カバー部材90とステータアッセンブリ40とを組み付ける際にステータアッセンブリ40から径方向外側に延びるコイル端子56が、内壁部944と干渉しない。よって、上カバー部材90とステータアッセンブリ40とを組み付けを確実に行うことができる。
【0093】
(6)コネクタカバー部6内においてコイル端子56とコネクタ端子61は、湾曲させた基板60を介して接続されており、内壁部944の内径側の隙間を、長手方向の一端側がコイル端子56に接続された基板60を通過可能に形成し、
内壁部944に切欠き部944aを設けて、この切欠き部944a内に端子支持部940の内径側の側縁(傾斜面940a)を露出させた構成とした。
【0094】
このように構成すると、上カバー部材90とステータアッセンブリ40とを組み付けたのち、コイル端子56に接続された基板60を径方向外側に湾曲させて、当該基板60の他端部60b側をコネクタ端子61に接続させることになる。
この際に、内壁部944に切欠き部944aを設けて端子支持部940の内径側に側縁を露出させることで、コネクタカバー部93の内側であって端子支持部940の内径側の空間的な余裕が多くなるので、基板60を湾曲させる際に、基板60のコネクタ端子61との接続作業が容易に行えるようになる。
【0095】
(7)断熱部材946の径方向の幅Wcは、端子支持部940の径方向の幅Wdよりも狭くなっており、断熱部材946の内径側の側面446bは、端子支持部940の内径側の側縁よりも、所定距離We径方向外側に位置している構成とした。
【0096】
上カバー部材90とステータアッセンブリ40とを組み付けたのち、基板60の他端部60b側を径方向外側に湾曲させて、他端部60bに設けた端子穴601(
図3参照)を端子支持部940の上面(支持面940b)から上方(コイル端子56の方)に突出するコネクタ端子61に係合させる際に、基板60の他端部60bが断熱部材946に引っ掛かって、支持面940bに支持させた断熱部材946が外れてしまう恐れがある。
上記のように構成すると、基板60の他端部60bが、断熱部材946に引っかかることを好適に防止できるので、支持面940bに支持させた断熱部材946が外れてしまう恐れがない。
【0097】
(8)基板60とコネクタ端子61との接続部と、基板60とコイル端子56との接続部は、ロータ30の回転軸方向(軸線Xの軸方向)でオフセットした位置に設けられている構成とした。
【0098】
このように構成すると、基板60を通す空間を広く取ることができるので、基板60とコイル端子56やコネクタ端子61との接合が容易に行えるようになる。
【0099】
(9)断熱部材946には、断熱部材946の厚み方向に貫通し、コネクタ端子61を挿通する貫通孔946aが形成され、基板60(配線部材)の一側側には、基板60の厚み方向に貫通し、コネクタ端子61を挿通する端子孔601が形成され、断熱部材946に形成された貫通孔946aを取り囲むランド部の外径d2は、基板60に形成された端子孔601のランド部601Aの直径d2よりも小さい(d1<d2)構成とした。
【0100】
このように構成すると、コネクタ端子61と基板60の端子孔601とを半田付けする際、図示しない半田コテにより、端子孔601の周囲を囲むランド部601Aが断熱部材946方向に押し付けられても、ランド部601Aが断熱部材946の貫通孔946aの内側に入り込まないので、基板60が端子支持部940と接触するのを防止でき、半田付けの熱が端子支持部940に直接伝わるのを好適に防止できる。
【0101】
(10)断熱部材946の融解温度は、樹脂製の端子支持部940の融解温度よりも高い構成とした。
【0102】
このように構成すると、コネクタ端子61と基板60の端子孔601とを半田付けする際、半田付けの熱で断熱部材946が溶けるのを防止できる。具体的には、半田付けの熱で断熱部材946が溶けて厚みが薄くなり、半田付けの熱源と端子支持部940の距離が近づくことにより、端子支持部940が溶けるのを好適に防止できる。
【0103】
(11)ステータアッセンブリ40は、ボビン53と、ボビン53の外周に巻かれる駆動コイル54と、をさらに備えて構成され、駆動コイル54から引き出された巻き線の端部は、ボビン53に設けられた端子保持部55Aに支持されるコイル端子56において、基板60とコイル端子56が半田付けされる位置よりも径方向内側の位置で半田付けされる(絡げられる)構成とした。
【0104】
このように構成すると、駆動コイル54から引き出された巻き線の端部が絡げられる位置は、基板60がコイル端子56に半田付けされる位置よりも径方向の内側になるため、基板60は端子保持部55Aから必ず一定距だけ離離れた位置でコイル端子56に半田付けされる。
【0105】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本発明のバルブ駆動装置は冷蔵庫の冷媒以外の流体に流路に対しても適用可能であり、弁体72によって開弁/閉弁するための構造も適宜変更可能である。