(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(A)成分が、(A−2)ポリカプロラクトンジオール及び/又はポリカプロラクトントリオールを含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体。
前記上塗層が、(D)フッ素樹脂、及び(E)テトラアルコキシシラン化合物を含有する上塗材によって形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0014】
本発明の積層体は、可塑剤含有材料の表面に、特定の中塗層及び上塗層を有するものである。このうち可塑剤含有材料は、樹脂及び可塑剤を必須成分として含む材料である。可塑剤含有材料の具体例としては、例えば、塗膜防水材やシート防水材等の防水材、シーリング材等が挙げられる。本発明は、とりわけ塗膜防水材、シート防水材等の防水材に好ましく適用できるものである。
【0015】
塗膜防水材は、弾性の高い樹脂を主成分とし、必要に応じて充てん材等を配合した組成物であり、厚さがおよそ1〜5mm程度となるようにローラーや刷毛、スプレーガン等を用いて施工し、成膜・硬化させて、弾性や防水性等をもつシームレスな層を形成するものである。塗膜防水材としては、例えばウレタンゴム系、アクリルゴム系、クロロプレンゴム系、ゴムアスファルト系、シリコーンゴム系や、ポリマーセメント系等が挙げられる。
【0016】
シート防水材は、塩化ビニル樹脂等の石油由来の素材を主成分とする厚さがおよそ1mm〜2mm程度のシートを、必要な面積に裁断し、接着剤や金属器具で下地に固定し、シート同士を貼り合わせるものである。シート防水材としては、例えば塩ビシート、ポリエチレンシート等が挙げられる。
【0017】
シーリング材は、基材の継ぎ目部分等に施工され、継ぎ目部分の接合と防水性を確保するものである。シーリング材としては、例えばシリコーン系シーリング材、変性シリコーン系シーリング材、ポリサルファイド系シーリング材、変性ポリサルファイド系シーリング材、アクリルウレタン系シーリング材、ポリウレタン系シーリング材、SBR系シーリング材、ブチルゴム系シーリング材等が挙げられる。これらは一成分形、二成分形のいずれであってもよい。
【0018】
このような材料に含まれる可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、ペンタエリスリトールエステル等のアルコールエステル類、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、塩素化パラフィン等が挙げられる。可塑剤含有材料における可塑剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上50重量%以下である。
【0019】
本発明における中塗層は、(A)ポリオール化合物、(B)イソシアネート含有量が5重量%以上20重量%以下であるポリイソシアネート化合物、及び(C)テトラアルコキシシラン化合物を含有する中塗材によって形成される。
【0020】
(A)ポリオール化合物(以下、「(A)成分」ともいう)としては、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等が挙げられ、その他、フェノールレジンポリオール、エポキシポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリエステル−ポリエーテルポリオール、ウレア分散ポリオール、カーボネートポリオール等を使用することも可能である。(A)成分としては、これらの1種または2種以上が使用できるが、この中でもアクリルポリオールを含むことが望ましい。
【0021】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グルコース、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールに、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等を付加して得られるポリオール等が挙げられる。
【0022】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等の多価カルボン酸との縮合重合体等が挙げられる。
【0023】
アクリルポリオールとしては、水酸基含有アクリルモノマー及び必要に応じその他のモノマーを重合したものが使用できる。このうち水酸基含有アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0024】
また、アクリルポリオールを構成するその他のモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等のカルボキシル基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド含有モノマー;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられ、必要に応じこれらの1種または2種以上が使用できる。
【0025】
(A)成分の水酸基価は、好ましくは10KOHmg/g以上200KOHmg/g以下、より好ましくは20KOHmg/g以上100KOHmg/g以下である。なお、水酸基価は、試料1gに含まれる水酸基と等モルの水酸化カリウムのmg数によって表される値であり、JIS K 1557−1:2007 プラスチック−ポリウレタン原料ポリオール試験方法−第1部:水酸基価の求め方に基づいて測定した値である。(A)成分の水酸基価とは、全ての(A)成分の混合物で測定した値である。
【0026】
本発明では、(A)成分として、(A−1)アミノ基及び/またはカルボキシル基を有するポリオール化合物(以下、「(A−1)成分」ともいう)を含有することが好ましい。このような(A−1)成分を1種以上含有することで、本発明の効果をいっそう高めることができる。
(A−1)としては、アミノ基を有するポリオール、カルボキシル基を有するポリオール、アミノ基及びカルボキシル基を有するポリオール等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。例えば、(A−1)成分として、アミノ基を有するポリオール化合物及びカルボキシル基を有するポリオール化合物を含む態様等も好適である。
【0027】
(A−1)成分としては、例えばアミノ基含有モノマー及び/またはカルボキシル基含有モノマーを共重合したものが使用できる。本発明における(A−1)成分としては、特にアミノ基及び/またはカルボキシル基を有するアクリルポリオールが好適である。このようなアクリルポリオールとしては、上記その他のモノマーのうち、アミノ基含有モノマー及び/またはカルボキシル基含有モノマーを用いたもの、即ち、少なくとも水酸基含有アクリルモノマー、並びにアミノ基含有モノマー及び/またはカルボキシル基含有モノマーを共重合したものが使用できる。
【0028】
(A−1)成分におけるアミノ基含有モノマーの比率は、(A−1)成分の構成成分中、好ましくは0.1重量%以上40重量%以下、より好ましくは0.5重量%以上30重量%以下である。
【0029】
(A−1)成分におけるカルボキシル基含有モノマーとしては、特に(メタ)アクリル酸が好適である。カルボキシル基含有モノマーの比率は、(A−1)成分の構成成分中、好ましくは0.1重量%以上40重量%以下、より好ましくは0.5重量%以上20重量%以下である。
【0030】
また、本発明では、(A)成分として、(A−2)ポリカプロラクトンジオール及び/又はポリカプロラクトントリオール(以下、「(A−2)成分」ともいう)を含有することが好ましい。このような(A−2)成分を含有することで、ひび割れ防止効果をいっそう高めることができる。
【0031】
このような(A−2)成分の含有量は、固形分換算で(A)成分中に好ましくは1重量%以上20重量%以下、より好ましくは2重量%以上15重量%以下である。このような範囲であれば、被膜の柔軟性や外観等の面から好ましい。
【0032】
(A)成分のアミン価は、好ましくは0.01KOHmg/g以上20KOHmg/g以下、より好ましくは0.1KOHmg/g以上10KOHmg/g以下である。
なお、アミン価は過塩素酸で滴定して求める試料1g中の水酸化カリウムのミリグラム(mg)数で表したアミンと同定した塩基の量であり、JIS K 1557−7:2011 プラスチック−ポリウレタン原料ポリオール試験方法−第7部:塩基性度の求め方(窒素含有量及び全アミン価表示)に基づいて測定した値である。(A)成分のアミン価とは、全ての(A)成分の混合物で測定した値である。
【0033】
(A)成分の酸価は、好ましくは0.1KOHmg/g以上10KOHmg/g以下、より好ましくは1KOHmg/g以上8KOHmg/g以下である。なお、酸価は試料1g中に存在する酸成分を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 5601−2−1:1999 塗料成分試験方法「酸価(滴定法)」に基づいて測定した値である。(A)成分の酸価とは、全ての(A)成分の混合物で測定した値である。
【0034】
(B)ポリイソシアネート化合物(以下、「(B)成分」ともいう)は、1分子中に2以上のイソシアネート基を有し、前記(A)成分と反応して、中塗層を形成する主成分となるものである。(B)成分としては、(A)成分と常温で架橋しうるものが好適である。なお、ここでいう常温とは、概ね−10℃以上50℃以下、好ましくは5℃以上40℃以下を示す。
【0035】
(B)成分としては、例えばトルエンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(pure−MDI)、ポリメリックMDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI、水添MDI等のイソシアネートモノマーをアルファネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン化)、3量化(イソシアヌレート化)、アダクト化、カルボジイミド化反応等により誘導体化したもの、及びそれらの混合物が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。
【0036】
本発明では、(B)成分として、イソシアネート基含有量が5重量%以上20重量%以下のものを使用する。このような(B)成分を用いることで、優れた耐候性、ひび割れ追従性ともに、可塑剤移行による汚染の抑制効果が得られる。イソシアネート基含有量が5重量%未満のときは、本発明の効果が十分に得られない。逆に、イソシアネート基含有量が20重量%より大きい場合は、被膜が固くなりすぎるため、可塑剤含有材料に追従することが難しくなり、ひび割れ発生等のおそれがある。
【0037】
なお、本発明において、イソシアネート基含有量とは、ポリイソシアネート化合物の固形分中に含まれるイソシアネート基の含有量(重量%)と定義され、イソシアネート基を過剰のアミンで中和した後、塩酸による逆滴定によって求められる値である。
【0038】
(B)成分の混合比率は、(A)成分の水酸基に対するNCO/OH比率を考慮して設定すればよい。(A)成分の水酸基と(B)成分のイソシアネート基のNCO/OH比率は、好ましくは0.6以上1.4以下、より好ましくは0.8以上1.2以下である。このような比率であれば、本発明の効果をいっそう高めることができる。
【0039】
中塗層の(C)テトラアルコキシシラン化合物(以下、「(C)成分」ともいう)は、可塑剤移行防止に寄与するものである。(C)成分としては、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシシランの縮合物、及びこれらの変性物等が使用できる。テトラアルコキシシランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、モノエトキシトリメトキシシラン、モノブトキシトリメトキシシラン、モノペントキシトリメトキシシラン、モノヘトキシトリメトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメトキシジブトキシシラン等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。(C)成分の平均縮合度は、好ましくは1〜100、より好ましくは4〜20程度である。
【0040】
(C)成分としては、(C−1)炭素数が1以上2以下のアルコキシル基と、炭素数が3以上12以下のアルコキシル基を含有するアルコキシシランの縮合物(以下「(C−1)成分」という。)を使用することが望ましい。特に、(C−1)成分としては、その化合物全体のアルコキシル基のうち、5重量%以上50重量%以下が炭素数3以上12以下のアルコキシル基となるようにしたものが好適である。
【0041】
炭素数3以上12以下のアルコキシル基としては、例えば、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等の直鎖アルコキシル基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、1−エチルペンチルオキシ基、2,3−ジメチルブトキシ基、1,5−ジメチルヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、t−オクチルオキシ基等の分岐アルコキシル基等が挙げられる。
【0042】
このような(C−1)成分は、公知の方法により製造することができる。(C−1)成分の製造方法としては、例えば、炭素数1以上2以下のアルコキシル基を有するテトラアルコキシシラン縮合物を、炭素数3以上12以下のアルコールでエステル交換反応により変性する方法等が挙げられる。
【0043】
(C)成分の混合比率は、(A)成分の樹脂固形分100重量部に対して、SiO
2換算で好ましくは通常0.1重量部以上50重量部以下、より好ましくは1重量部以上30重量部以下である。(C)成分がこのような範囲であれば、優れた汚染抑制効果等が得られる。
【0044】
なお、本発明におけるSiO
2換算とは、アルコキシシラン等のSi−O結合をもつ化合物を、完全に加水分解した後に、900℃で焼成した際にシリカ(SiO
2)となって残る重量分にて表したものである。一般に、アルコキシシランは水と反応して加水分解反応が起こりシラノールとなり、さらにシラノール同士やシラノールとアルコキシにより縮合反応を起こす性質を持っている。この反応を究極まで行うと、シリカ(SiO
2)となる。これらの反応は、
RO(Si(OR)
2O)
nR+(n+1)H
2O→nSiO
2+(2n+2)ROH (Rはアルキル基を示す。nは整数。)
という反応式で表される。本発明におけるSiO
2換算は、この反応式をもとに残るシリカ成分の量を換算したものである。
【0045】
本発明の中塗層は、(A)成分を含む主剤と、(B)成分、(C)成分を含む硬化剤からなる中塗材を用いることによって形成することが好ましい。このような形態であれば、本発明の効果を安定して得ることができる。主剤、硬化剤を製造する際には、それぞれの構成成分を常法により均一に混合すればよい。
【0046】
本発明の中塗材は、上述の成分に加え、顔料を含むこともできる。顔料としては、一般的な着色顔料、体質顔料等が使用できる。
このような顔料の混合比率は、(A)成分の樹脂固形分100重量部に対し、好ましくは0.1重量部以上200重量部以下、より好ましくは5重量部以上150重量部以下である。
【0047】
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。また、アルミニウム顔料、パール顔料等を使用することもできる。
体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、含水微粉珪酸、タルク、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ粉、水酸化アルミニウム等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0048】
中塗材には、本発明の効果を著しく損なわない範囲内であれば、各種添加剤成分を混合することができる。このような成分としては、例えば、造膜助剤、凍結防止剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、増粘剤、レベリング剤、湿潤剤、pH調整剤、吸着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等が挙げられる。
【0049】
本発明の上塗層は、(D)フッ素樹脂(以下、「(D)成分」ともいう)を含有する上塗材によって形成される。上塗層にフッ素樹脂を用いることで、優れた耐候性、耐久性、耐薬品性等が得られる。
【0050】
本発明における(D)成分としては、樹脂骨格中にフッ素原子を含む各種樹脂が使用できる。この中でも(D)成分としては、フルオロオレフィン共重合体が好ましい。フルオロオレフィン共重合体は、フルオロオレフィンと、これと共重合可能な他の共重合性モノマーとの共重合体である。フルオロオレフィン共重合体を構成するフルオロオレフィンとしては、例えばテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル等の炭素数2または3のフルオロオレフィン等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0051】
フルオロオレフィンと共重合可能な他の共重合性モノマーとしては、例えばビニルエーテル、アリルエーテル、カルボン酸ビニルエステル、カルボン酸アリルエステル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、(メタ)アクリル酸エステル、その他各種官能基を有するモノマー等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0052】
このうち、ビニルエーテルとしては、例えばシクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル;ノニルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル等が挙げられる。アリルエーテルとしては、例えばエチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテルが挙げられる。カルボン酸ビニルエステルまたはカルボン酸アリルエステルとしては、例えば酢酸、酪酸、ピバリン酸、安息香酸、プロピオン酸等のカルボン酸のビニルエステルまたはアリルエステル等が挙げられる。
【0053】
官能基を有するモノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル、ヒドロキシアルキルクロトン酸ビニル等の水酸基含有モノマー;クロトン酸、ウンデセン酸等のカルボキシル基含有モノマー;トリエトキシビニルシラン等の加水分解性シリル基含有モノマー;グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;アミノプロピルビニルエーテル、アミノプロピルビニルエーテル等のアミノ基を有するモノマー;等が挙げられる。
【0054】
(D)成分としては、後述の硬化剤と反応して架橋結合を形成できる官能基を有するフッ素樹脂が好ましい。官能基の種類は、硬化剤との組み合わせにより適宜選択できる。このような官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、加水分解性シリル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基等が挙げられる。官能基の導入方法としては、特に限定されるものではなく、例えば官能基を有するモノマーを共重合させる方法、または重合後の反応によって官能基を導入する方法等が挙げられる。
【0055】
重合後の反応によって官能基を導入する方法としては、例えばカルボン酸ビニルエステルを共重合した重合体をケン化することにより水酸基を導入する方法、水酸基を有する重合体に多価カルボン酸またはその無水物を反応させてカルボキシ基を導入する方法、水酸基を有する重合体にイソシアネートアルキルアルコキシシランを反応させて加水分解性シリル基を導入する方法、水酸基を有する重合体に多価イソシアネート化合物を反応させてイソシアネート基を導入する方法等が挙げられる。
【0056】
フッ素樹脂の数平均分子量は、好ましくは2000以上100000以下が好ましく、より好ましくは6000以上30000以下である。
【0057】
(D)成分のフッ素含有量は、好ましくは15%重量以上40%重量以下である。
なお、(D)成分中のフッ素含有量は、JIS K5658:2002に基づいて測定された数値である。
【0058】
上塗材としては、(D)成分に加え、(F)前記(D)成分と反応して架橋結合を形成できる官能基を有する硬化剤成分(以下、(F)成分ともいう)を含むことが好ましい。
【0059】
(F)成分としては、(D)成分と常温で架橋可能なものが好適である。常温で(D)成分と架橋反応するものとしては、例えばポリイソシアネート化合物、多塩基酸等が挙げられる。
【0060】
ポリイソシアネート化合物としては、例えばエチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族多価イソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン等の脂環族多価イソシアネート化合物、およびm−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート等の無黄変性芳香族イソシアネート化合物等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。多塩基酸としては、例えば長鎖脂肪族ジカルボン酸類、芳香族多価カルボン酸類やその酸無水物等が挙げられる。
【0061】
本発明では、(D)成分が(D−1)水酸基含有フッ素樹脂(以下、「(D−1)成分」ともいう)であり、(F)成分が(F−1)ポリイソシアネート化合物(以下、「(F−1)成分」ともいう)であることが望ましい。このような(D−1)成分と(F−1)成分を用いれば、耐候性、耐ひび割れ性等の効果をいっそう高めることができる。
【0062】
(D−1)成分としては、特に水酸基含有フルオロオレフィン共重合体が好適である。(D−1)成分の水酸基価は、好ましくは10KOHmg/g以上200KOHmg/g以下、より好ましくは20KOHmg/g以上100KOHmg/g以下である。
【0063】
(F−1)成分としては、イソシアネート基含有量が5重量%以上(より好ましくは9重量%以上40重量%以下、さらに好ましくは12重量%以上35重量%以下)であるものが好適である。
【0064】
本発明では、(F)成分のイソシアネート基含有量が、(B)成分のイソシアネート基含有量よりも大きいことが好ましい。このような組成とすることで、十分な耐ひび割れ性を確保しながらも、上塗層の緻密な架橋被膜によって可塑剤による汚染を十分に抑制することができ、本発明の効果をいっそう高めることができる。
【0065】
(D−1)成分の水酸基と(F−1)成分のイソシアネート基のNCO/OH比率は、好ましくは0.3以上2.0以下、より好ましくは0.6以上1.5以下である。このような比率であれば、本発明の効果をいっそう高めることができる。
【0066】
本発明の上塗材は、本発明の効果を著しく損なわない範囲内であれば、(D)成分や(F)成分以外の樹脂成分を含有してもよい。(D)成分や(F)成分以外の樹脂成分としては、例えばアルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン変性ポリエステル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
これらは、(D)成分と(F)成分の架橋反応を阻害しない程度であれば、例えば水酸基等、(F)成分と架橋反応可能な官能基を含んでもよい。
【0067】
本発明の上塗材は、(E)テトラアルコキシシラン化合物(以下、(E)成分とする。)を含有することが好ましい。(E)成分は、積層体の表面を親水化し、耐汚染性を高める役割を担うものである。このような(E)成分の作用により、可塑剤移行防止による耐汚染性をさらに一段と高めることができ、優れた耐汚染性を得ることができる。
【0068】
(E)成分は、中塗層で用いた(C)成分と同様のものを用いることができる。特に、表面親水性の早期発現の点等により、テトラアルコキシシランの縮合度4以上20以下の縮合物であって、該縮合物中のアルキル基が炭素数1以上2以下と炭素数3以上10以下のものが混在し、その混在比率が炭素数3以上10以下のアルキル基が該縮合物中の全アルキル基の5重量%以上50重量%以下の化合物である、テトラアルコキシシラン低縮合物を好適に使用することができる。
【0069】
(E)成分の混合比率は、(D)成分の樹脂固形分100重量部に対して、SiO
2換算で通常0.1重量部以上50重量部以下、好ましくは1重量部以上30重量部以下である。(E)成分がこのような範囲であれば、被膜表面に親水性が付与され、優れた耐汚染性を得ることができる。
【0070】
本発明の上塗材としては、(D)成分を含む主剤と、(E)成分、(F)成分を含む硬化剤からなるものが好適である。このような形態であれば、本発明の効果を安定して得ることができる。主剤、硬化剤を製造する際には、それぞれの構成成分を常法により均一に混合すればよい。
【0071】
本発明の上塗材は、各種顔料を含むこともできる。顔料としては、一般的な着色顔料、体質顔料等が使用でき、例えば中塗層と同様のものが使用できる。
さらに、本発明では、上塗材の顔料として赤外線反射性粉体を含むことが好適である。このような赤外線反射性粉体を含有すれば、優れた汚染抑制効果が得られる。その詳細は定かではないが、太陽光があたって温度が上昇するほど、可塑剤が移行しやすくなるところを、赤外線反射性粉体によって温度上昇が抑制されることに起因するものと考えられる。
【0072】
赤外線反射粉体としては、例えば、アルミニウムフレーク、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、炭酸カルシウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化インジウム、アルミナ、鉄−クロム複合酸化物、マンガン−ビスマス複合酸化物、マンガン−イットリウム複合酸化物、黒色酸化鉄、鉄−マンガン複合酸化物、鉄−銅−マンガン複合酸化物、鉄−クロム−コバルト複合酸化物、銅−クロム複合酸化物、銅−マンガン−クロム複合酸化物等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0073】
上塗材における顔料の混合比率は、(D)成分の樹脂固形分100重量部に対し、好ましくは0.1重量部以上200重量部以下、より好ましくは5重量部以上150重量部以下である。
【0074】
上塗材には、本発明の効果を著しく損なわない範囲内であれば、各種添加剤成分を混合することができる。このような成分としては、例えば、造膜助剤、凍結防止剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、増粘剤、レベリング剤、湿潤剤、pH調整剤、吸着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等が挙げられる。
【0075】
本発明の積層体は、例えばコンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、磁器タイル、金属、ガラス、プラスチック等の各種基材の表面仕上げに使用することができ、主に建築物、土木構築物等の躯体の保護に使用できる。
【0076】
本発明の積層体は、基材に直接施工することもできるし、表面処理材によって基材を予め表面処理を施した後に施工することもできる。表面処理を行う場合、フィラー、シーラー、サーフェーサー等の表面処理材のいずれか1種または2種以上を使用することができる。
【0077】
フィラーとは、セメント等の無機質粉体を主成分とし、基材にひび割れや穴がある場合には、その部分を埋めることで補修・調整し、さらに必要に応じて基材の一部または全面に塗り付けることで、基材を平坦化するものである。フィラーは樹脂成分を含有するものであってもよい。
シーラーとは、例えばエポキシ樹脂等の樹脂を主成分とし、基材の一部または全面に塗り付けることで基材に極性をもたせることにより、基材と可塑剤含有材料との密着性を高めることを可能にするものである。
サーフェーサーとは、フィラーとシーラーの機能を兼ね備えたものであり、基材の一部または全面に塗り付けることにより、基材の平坦化と密着性の向上を図ることができるものである。
【0078】
表面処理材の施工方法としては、特に限定されるものではなく、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等を適宜採用することができる。乾燥は、常温下で行うことが好ましい。表面処理材の塗付け量は、シーラーの場合、好ましくは0.01kg/m
2以上1.0kg/m
2以下、より好ましくは0.05kg/m
2以上0.5kg/m
2以下であり、サーフェーサー、フィラーの場合は、好ましくは0.1kg/m
2以上10.0kg/m
2以下、より好ましくは0.3kg/m
2以上5.0kg/m
2以下である。
【0079】
本発明の積層体は、基材あるいは上記表面処理を施した基材の上に、可塑剤含有材料、中塗層、上塗層を順に積層することで得られる。
【0080】
可塑剤含有材料が塗膜防水材の場合の施工方法は、特に限定されるものではなく、コテ、へら、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等を適宜採用することができる。塗膜防水材の乾燥は、常温下(−10℃以上50℃以下)で行うことが好ましい。塗膜防水材の塗付け量は、好ましくは1.0kg/m
2以上10.0kg/m
2以下、より好ましくは2.0kg/m
2以上6.0kg/m
2以下である。このような塗付け量であれば、防水性能が十分に確保できる。
可塑剤含有材料がシート防水材の場合は、接着剤等を用いてシート防水材を基材に貼り合わせればよい。
【0081】
中塗材の施工方法は、特に限定されるものではなく、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等を適宜採用すればよい。乾燥は、常温下で行うことが好ましい。中塗材の塗付け量は、好ましくは0.05kg/m
2以上1.0kg/m
2以下、より好ましくは0.1kg/m
2以上0.5kg/m
2以下である。このような塗付け量であれば、本発明の効果をいっそう高めることができる。
なお、中塗層には、フッ素樹脂を含有しないことが好ましい。中塗層にフッ素樹脂を含有しないことで、経済的な仕上げが可能となり、また、中塗層を施工した後、上塗層の施工まで長期間が経過した場合でも、ケレン等の処理を必要とすることなく、中塗層に上塗層を積層することができる。
【0082】
上塗材の施工方法は、特に限定されるものではなく、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等を適宜すればよい。乾燥は、常温下で行うことが好ましい。上塗材の塗付け量は、好ましくは0.05kg/m
2以上1.0kg/m
2以下、より好ましくは0.1kg/m
2以上0.5kg/m
2以下である。このような塗付け量であれば、本発明の効果をいっそう高めることができる。
【実施例】
【0083】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0084】
<中塗材>
中塗材としては、表1に示した原料を使用した。
中塗材で用いる主剤は、表2の配合とした。
中塗材で用いる硬化剤については、表1に示すポリイソシアネート化合物1とテトラアルコキシシラン化合物を、重量比6:1となるように配合したものを硬化剤1とした。
ポリイソシアネート化合物2とテトラアルコキシシラン化合物を、重量比6:1となるように配合したものを硬化剤2とした。
ポリイソシアネート化合物3とテトラアルコキシシラン化合物を、重量比6:1となるように配合したものを硬化剤3とした。
ポリイソシアネート化合物4とテトラアルコキシシラン化合物を、重量比6:1となるように配合したものを硬化剤4とした。
ポリイソシアネート化合物5とテトラアルコキシシラン化合物を、重量比6:1となるように配合したものを硬化剤5とした。
ポリイソシアネート化合物1のみ用いたものを硬化剤6とした。
中塗材1〜16における主剤と硬化剤の組み合わせを表3に示す。
なお、主剤と硬化剤は、NCO/OHが当量比で1.0となるように混合し、混合は塗装の直前に行った。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
<上塗材>
上塗材としては、表4に示した原料を使用した。
上塗材で用いる主剤は、表5の配合とした。
上塗材で用いる硬化剤については、表4に示すポリイソシアネート化合物6のみ用いたものを硬化剤Aとした。
ポリイソシアネート化合物6とテトラアルコキシシラン化合物を、重量比6:1となるように配合したものを硬化剤Bとした。
ポリイソシアネート化合物7とテトラアルコキシシラン化合物を、重量比6:1となるように配合したものを硬化剤Cとした。
ポリイソシアネート化合物8とテトラアルコキシシラン化合物を、重量比6:1となるように配合したものを硬化剤Dとした。
上塗材1〜6における主剤と硬化剤の組み合わせを表6に示す。
なお、主剤と硬化剤は、NCO/OHが当量比で1.0となるように混合し、混合は塗装の直前に行った。
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
(実施例1〜19、比較例1〜3)
基材として、スレート板に、ローラーにてエポキシ樹脂系シーラーを0.1kg/m
2塗付け、気温23℃・相対湿度50%RH(以下、「標準状態」という)で5時間乾燥したものを用意した。
この基材に対し、ウレタンゴム系塗膜防水材(可塑剤を10重量%含有)を、コテを用いて3.0kg/m
2塗付け、標準状態で24時間乾燥した。
次に、スプレーガンを用いて中塗材を0.3kg/m
2塗付け、標準状態で5時間乾燥して中塗層を形成した。
さらに、スプレーガンを用いて上塗材を0.4kg/m
2塗付け、標準状態で24時間乾燥して上塗層を形成した。
以上の方法により、試験体を作製した。
各実施例、比較例に使用した中塗材、上塗材は、表7のとおりである。
【0093】
<試験1>
試験体を大阪府で南向きに水平面に対して30度の角度で設置し、1年間及び2年間暴露した後の耐汚染性を評価した。評価は5段階評価とし、優:5>4>3>2>1:劣とした。
【0094】
<試験2>
試験体を、温度23℃の水に18時間浸した後、−20℃で3時間冷却し、50℃で3時間加温するというサイクルを1サイクルとし、10サイクル、20サイクル、30サイクル繰り返した後、被膜表面のひび割れの有無、表面状態を確認した。評価は、ひび割れが全くみられないものを◎、著しいひび割れが発生したものを×として、4段階(優:◎>○>△>×:劣)で評価した。
【0095】
試験1、2の結果を表7に示す。
本結果の通り、比較例1、3に対し、実施例1〜19では、良好な耐汚染性が得られている。このことから、本発明の実施例は、可塑剤の移行防止効果により、耐汚染性が向上していることがわかる。また、比較例2に対し、実施例1〜19は、良好な耐ひび割れ性が得られている。このことから、本発明の積層体は、ひび割れ防止効果と汚染抑制効果を両立していることがわかる。
【0096】
【表7】