(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段には、前記障害物センサが取り得る複数の検知状態の各々と、抵抗値の設定範囲であって前記有線中継手段及び前記第2通信手段に対して共通に設定された設定範囲とが、相互に対応付けて設定されており、
前記有線中継手段と前記第2通信手段の各々は、前記接続先の抵抗値を、前記障害物センサが取り得る複数の検知状態の各々に応じて、当該検知状態に対応する前記設定範囲に含まれる抵抗値に変えることにより、前記障害物センサの検知状態を示す信号を前記制御手段に出力し、
前記制御手段は、前記接続先の抵抗値を特定し、前記障害物センサの検知状態を、当該特定した抵抗値を含む前記設定範囲に対応する障害物センサの検知状態として特定する、
請求項1に記載のシャッター障害物検知システム。
前記制御手段に設定された抵抗値の設定範囲のうち、前記有線中継手段と前記障害物センサ又は前記制御手段とを接続する信号線が断線した際の抵抗値の設定範囲と、前記第2通信手段における前記第1通信手段との通信障害に関する所定状態が発生した際の抵抗値の設定範囲とを、相互に同じ設定範囲とした、
請求項2に記載のシャッター障害物検知システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るシャッター障害物検知システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、本実施の形態の基本的概念について説明する。このシャッター障害物検知システムは、開口部を開閉するシャッターカーテンに対する障害物を検知するシステムである。シャッターカーテンを備えるシャッター装置は、特記する場合を除いて、任意の目的、設置場所、構造等を取ることができ、例えば、重量シャッター、軽量シャッター、グリルシャッター、あるいは防煙たれ壁として構成され、重量シャッターに関しては、防火シャッター、防煙シャッター、気密用シャッター、管理用シャッター、防音シャッター、あるいは、管理併用型シャッターのように複数の目的に併用されるシャッターとして構成される。また、シャッターカーテンの開閉方向も任意であり、鉛直方向や水平方向を含む。以下では、シャッター障害物検知システムを、シャッターカーテンを鉛直方向に沿って開閉させる管理併用型の防火防煙シャッター装置に適用した例について説明する。
【0018】
また、「障害物を検知する」とは、開口部を開閉するシャッターカーテンに対する障害になり得る人や物を検知することを意味し、建築基準法の防火戸に義務付けられている「危害防止」のための障害物検知を含むが、危害防止に限定されず、任意の目的や法令に基づく障害物検知を対象とすることができる。以下では、シャッター障害物検知システムを、管理併用型のシャッター装置の降下時の危害防止を目的とする危害防止システムとして構成した例について説明する。
【0019】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0020】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係るシャッター障害物検知システムについて説明する。この実施の形態1は、制御手段は、有線中継手段又は第2通信手段のいずれが接続されているのかを判定することなく、接続先の抵抗値に基づいて、接続先の状態を特定する形態である。
【0021】
(構成−シャッター装置)
次に、実施の形態1に係るシャッター障害物検知システムが適用されるシャッター装置の構成について説明する。ただし、シャッター装置は従来と同様に構成することが可能であり、特記しない構成や処理については従来と同様であるものとする。
図1は、本発明の実施の形態1に係るシャッター装置10、火災報知システム20、及びシャッター障害物検知システム30を概念的に示す正面図である。
【0022】
このシャッター装置10は、建築物に設けられた開口部1を火災発生時に全閉状態とすることで、この建築物に防火区画を形成する電動式の防火シャッター装置であり、シャッター収納部11、シャッターカーテン12、開閉機13、自動閉鎖装置14、及び手動閉鎖装置15を備えて構成されている。なお、以下の説明では、
図1のX方向を幅方向、Y方向を高さ方向(+Y方向を上方、−Y方向を下方)、X方向及びY方向に直交する方向を前後方向、と称する。
【0023】
(構成−シャッター装置−シャッター収納部)
シャッター収納部11は、シャッター装置10の各部を収容するための中空体であり、開口部1の上端近傍位置に取り付けられている。このシャッター収納部11の内部には、開閉機13と、自動閉鎖装置14と、連動中継器16と、図示しない巻き取り軸と、シャッター障害物検知システム30の後述する受信機33(又はシャッター障害物検知システム30の後述するコードリール34(
図1に想像線で示す))とが収容されている。また、巻き取り軸にてシャッターカーテン12が巻き取られた状態では、シャッターカーテン12も、シャッター障害物検知システム30の後述する送信機32と共に、シャッター収納部11の内部に収容される。シャッター収納部11の下面には、開口部幅方向全長に渡って図示しないマグサが形成されており、このマグサを介してシャッターカーテン12の出し入れが行われる。
【0024】
(構成−シャッター装置−シャッターカーテン)
シャッターカーテン12は、巻き取り軸によって巻き取り又は巻き出しされることで、開口部1を、全開状態、全閉状態、あるいはこれらの2状態の間の状態とする遮蔽手段である。このシャッターカーテン12の幅方向の両端部は、開口部1の左右内縁において上下方向に沿って設けられたガイドレール2に挿入されており、上下方向においてはガイドレール2の内部をスライド移動可能であり、かつ、前後方向においてはガイドレール2の外部に脱落しないように規制されている。このシャッターカーテン12の下端部には、水平状の座板17が設けられており、この座板17には、シャッター障害物検知システム30の後述する座板スイッチ31が取り付けられている。
【0025】
(構成−シャッター装置−開閉機)
開閉機13は、巻き取り軸を回転駆動することによって電動でシャッターカーテン12を昇降させる昇降手段であり、巻き取り軸の回転を制動する図示しないブレーキを備えている。自動閉鎖装置14は、シャッターカーテン12の自重降下を制御する手段であり、連動中継器16からの制御信号に基づいて、開閉機13のブレーキレバーを引くことによりブレーキを解除させることで、シャッターカーテン12を自重降下させ、あるいは、連動中継器16からの制御信号に基づいて、開閉機13のブレーキレバーを戻すことによりブレーキを作動させることで、シャッターカーテン12の自重降下を停止させる。
【0026】
シャッターカーテン12を電動で昇降させる場合、自動閉鎖装置14は作動せず、開閉機13は自身でブレーキを解除すると共に、巻き取り軸を所定の巻き取り方向又は繰り出し方向に駆動することにより、シャッターカーテン12を電動で上昇又は下降させて開口部1を全開状態又は全閉状態する。
一方、自動閉鎖装置14でブレーキを解除することにより、シャッターカーテン12を自重降下させて開口部1を全閉状態とし、あるいは、ブレーキを作動させて巻き取り軸の回転を制動することにより、シャッターカーテン12の自重降下を停止させる。
【0027】
(構成−シャッター装置−手動閉鎖装置)
手動閉鎖装置15は、シャッターカーテン12を操作する操作手段であり、シャッターカーテン12を電動で上昇させる上昇ボタン、電動で下降させる下降ボタン、昇降中のシャッターカーテン12を停止させる停止ボタンを備え、これら上昇ボタン、下降ボタン又は停止ボタンがユーザによって押圧された場合に、当該押圧されたボタンに応じた操作信号を連動中継器16に出力することで、開閉機13を介してシャッターカーテン12が電動で上昇及び下降し、又はシャッターカーテン12の昇降を停止する。さらに、この手動閉鎖装置15は、非常閉鎖ボタンを有しており、非常閉鎖ボタンを押圧することで、後述する火災発生時と同様、シャッターカーテン12の自重降下が開始される。また、この手動閉鎖装置15は、復旧ボタンを有しており、自重降下中に復旧ボタンがユーザによって押圧された場合に自重降下が停止される。さらにまた、図示は省略するが、手動閉鎖装置15には、異常発生を報知するための表示灯が設けられている。
【0028】
(構成−シャッター装置−連動中継器)
連動中継器16は、シャッター装置10の各部を相互に連動させる制御手段であると共に、火災報知システム20をシャッター装置10に連動させる中継手段である。この連動中継器16は、開閉機13、自動閉鎖装置14、手動閉鎖装置15、及び火災報知システム20の後述する防災盤22と、シャッター障害物検知システム30の後述する受信機33又はコードリール34(
図1、2において想像線で示す)のいずれか一方とに、電気的に接続されている。特に、連動中継器16は、自動閉鎖装置14に制御信号を出力することで、シャッターカーテン12を自重降下させ、あるいは、シャッターカーテン12の自重降下を停止させる。また、このように自動閉鎖装置14に制御信号を出力した際、連動中継器16は、この制御内容に応じた信号を受信機33に対して出力する。具体的には、連動中継器16は、「起動オン信号」又は「起動オフ信号」を出力する。「起動オン信号」とは、シャッターカーテン12を降下させた旨を示す信号である。「起動オフ信号」とは、シャッターカーテン12の降下を終了させた旨を示す信号である。
【0029】
図2は、連動中継器16の電気的構成を示すブロック図である。この連動中継器16は、2つの第1端子16a、2つの第2端子16b、2つの第3端子16c、入力部16d、出力部16e、表示部16f、記憶部16g、電源部16h、及び制御部16iを図示のように接続して構成されている。
【0030】
2つの第1端子16aは、シャッター障害物検知システム30の後述する受信機33又は後述するコードリール34からの出力の入力を受け付ける入力手段であり、例えば、受信機33又はコードリール34にそれぞれ信号線51を介して接続された端子として構成されている。この第1端子16aに対する受信機33又はコードリール34の具体的な接続については後述する。
【0031】
2つの第2端子16bは、シャッター障害物検知システム30の受信機33に対して起動オン信号を出力する出力手段であり、例えば、受信機33の2つの第2端子33bにそれぞれ信号線52を介して接続された端子として構成されている。具体的には、2つの第2端子16bの所定の一方を介して送電された電流が、信号線52を介して受信機33の2つの第2端子33bの所定の一方に入力され、この電流が受信機33の2つの第2端子33bの所定の他方から出力され、この電流が信号線52を介して連動中継器16の2つの第2端子16bの所定の他方に入力される。ここで、これら2つの第2端子16bは、図示しない接点スイッチによって開閉自在となっている。そして、この接点スイッチを閉状態に切り替えることにより、これら第2端子16bを介して受信機33に対して電流を流し、このことにより、受信機33に対して起動オン信号を出力することができる。一方、この接点スイッチを開状態に切り替えることにより、これら第2端子16bを介して受信機33に対して流していた電流を停止することで、受信機33に対して起動オフ信号を出力することができる。
【0032】
2つの第3端子16cは、シャッター障害物検知システム30の受信機33に対して電力を供給する電力手段であり、例えば、受信機33の2つの第3端子33cにそれぞれ電力線53を介して接続された端子として構成されている。具体的には、2つの第3端子16cの所定の一方を介して送電された電流が、電力線53を介して受信機33の2つの第3端子33cの所定の一方に入力され、この電流が受信機33の2つの第3端子33cの所定の他方から出力され、この電流が電力線53を介して連動中継器16の2つの第3端子16cの所定の他方に入力される。このことにより、連動中継器16から受信機33に対して電力供給を行うことが可能になる。
【0033】
入力部16dは、開閉機13、自動閉鎖装置14、手動閉鎖装置15、火災報知システム20の後述する防災盤22からの出力の入力を受け付ける入力手段であり、例えば、開閉機13(あるいは、自動閉鎖装置14、手動閉鎖装置15、又は後述する防災盤22)の出力端子に図示しない信号線を介して接続された入力端子として構成されている。
【0034】
出力部16eは、開閉機13、自動閉鎖装置14、手動閉鎖装置15、火災報知システム20の後述する防災盤22に対して各種の信号を出力する出力手段であり、例えば、開閉機13(あるいは、自動閉鎖装置14、手動閉鎖装置15、又は後述する防災盤22)の入力端子に図示しない信号線を介して接続された出力端子として構成されている。
【0035】
表示部16fは、制御部16iの制御に基づいて各種の情報を表示する出力手段であり、例えば、LEDとして構成されている。
【0036】
記憶部16gは、連動中継器16を動作させるために必要な各種のプログラムやデータを不揮発的に記憶する記憶手段であり、例えば、EEPROMとして構成されている。この記憶部16gは、接続先状態テーブル16jを備えている。
【0037】
この接続先状態テーブル16jは、後述する接続先の状態を特定する情報を格納する接続先状態格納手段である。
図3は、接続先状態テーブル16jの構成例を示す図である。
図3に示すように、接続先状態テーブル16jは、項目「抵抗値の設定範囲」、項目「接続先の状態」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「抵抗値の設定範囲」に対応する情報は、連動中継器16の接続先の抵抗値の設定範囲を特定する情報であり、例えば、当該設定範囲の上限値から下限値に至る範囲(あるいは、上限値又は下限値のいずれか一方)を示す値(具体的には、15kΩ〜60kΩ等)が該当する。また、項目「接続先の状態」に対応する情報は、連動中継器16の接続先の状態を特定する情報であり、例えば、「障害物検知状態」等が該当する。
【0038】
電源部16hは、図示しない電源線を介して図示しない交流電源等から供給された電力を連動中継器16の各部等に供給する電力供給手段である。
【0039】
制御部16iは、連動中継器16の各部を制御する制御手段であり、例えば、記憶部16gに記憶されたプログラムを実行するCPUによって構成されている。この制御部16iは、後述する定期通報処理を実行する定期通報処理手段、後述する電動降下処理及び自重降下処理を実行する降下処理手段(障害物検知処理手段)として機能し、各種の時間を計時する計時手段としての図示しない内部タイマを備える。
【0040】
(構成−シャッター装置−下限リミットスイッチ)
また、シャッター装置10のシャッター収納部11には、図示しない下限リミットスイッチが設けられている。この下限リミットスイッチは、シャッターカーテン12の下端が、床面から所定距離(数cm)だけ上方側に設定された所定位置(以下、下限位置)に対して、上方と下方のいずれの側に位置しているかを検出するためのスイッチである。この下限リミットスイッチは、例えば、シャッターカーテン12の巻き取り軸の回転量を検出するポテンショメータやカウンター式リミットスイッチを含んで構成されており、シャッターカーテン12の下端が下限位置より下方側に位置している場合に、下限リミット信号を連動中継器16に出力する。
【0041】
(構成−火災報知システム)
次に、実施の形態1に係るシャッター障害物検知システム30と連動させる火災報知システム20の構成について説明する。ただし、火災報知システム20は従来と同様に構成することが可能であり、特記しない構成及び処理については従来と同様であるものとする。この火災報知システム20は、建築物に設定された監視領域における火災発生を感知して報知するシステムであり、火災感知器21と、防災盤22を備えて構成されている。火災感知器21は、監視領域における火災発生を感知した場合に、防災盤22に火災感知信号を出力する。防災盤22は、火災感知器21から火災感知信号を受信した場合に、警報音の出力や火災表示灯の点灯を行うと共に、シャッターカーテン12を全閉して防火区画を形成して火災の延焼拡大を防止するため火災発生の旨を報知する移報信号を連動中継器16に出力する。
【0042】
(構成−シャッター障害物検知システム)
次に、実施の形態1に係るシャッター障害物検知システム30の構成について説明する。このシャッター障害物検知システム30は、上述のように、開口部1を開閉するシャッターカーテン12に対する障害物を検知するシステムである。このシャッター障害物検知システム30は、座板スイッチ31と、上記シャッター装置10の構成要素として説明した連動中継器16とを備えて構成されている。さらに、シャッター障害物検知システム30は、送信機32及び受信機33と、コードリール34とのうち、いずれか一方を備えて構成されている。なお、送信機32は、後述するように、信号の送信と受信の両方を行う通信手段であるが、実施の形態1では、説明の便宜上、「送信機」と称して説明する。また、受信機33は、後述するように、信号の送信と受信の両方を行う通信手段であるが、実施の形態1では、説明の便宜上、「受信機」と称して説明する。
【0043】
(構成−シャッター障害物検知システム−座板スイッチ)
座板スイッチ31は、シャッターカーテン12の閉鎖作動時における先端部(実施の形態1では座板17)が、障害物に接触したことを検知する障害物センサである。この座板スイッチ31は、例えば従来と同様に構成されており、2つの第1端子31aを備え、この2つの第1端子31aが信号線54を介して、送信機32の2つの第1端子32b又はコードリール34の2つの第2端子34bに接続される。この座板スイッチ31は、シャッターカーテン12の閉鎖作動時に座板17が障害物に接触してシャッターカーテン12に対して相対的に上方に持ち上げられた際の変位を機械的(マイクロスイッチ等)に検知し、この検知結果に応じた出力を送信機32又はコードリール34に対して行う。
【0044】
具体的には、
図2に示すように、座板スイッチ31に送信機32が接続される場合には、送信機32の2つの第1端子32bと座板スイッチ31の2つの端子31aとがそれぞれ信号線54を介して接続される。そして、送信機32における2つの第1端子32bの所定の一方を介して送電された電流が、信号線54を介して座板スイッチ31の2つの端子31aの所定の一方に入力される。この電流は、座板スイッチ31が障害物を検知していることによって閉状態となっている場合には、当該座板スイッチ31に流れ、座板スイッチ31の2つの第1端子31aの所定の他方から信号線54を介して送信機32における2つの第1端子32bの所定の他方に入力される。あるいは、送信機32における2つの第1端子32bの所定の一方を介して送電された電流は、座板スイッチ31が障害物を検知していないために開状態となっている場合には、電流が流れなくなる。このように、座板スイッチ31が開状態である場合と閉状態である場合とで、電流の有無が変わるため、送信機32においてこの電流変化を検知することで、座板スイッチ31が開状態である場合の出力(=障害物未検知時の出力。以下、座板スイッチオフ出力)と座板スイッチ31が閉状態である場合の出力(=障害物検知時の出力。以下、座板スイッチオン出力)とを区別することができる。
【0045】
一方、座板スイッチ31にコードリール34が接続される場合に関し、コードリール34と座板スイッチ31とを接続する2本の信号線54の相互間には終端抵抗54aが設けられている。そして、座板17が障害物に接触していない状態では、座板スイッチ31が開状態となる。この場合、連動中継器16から信号線51及びコードリール34を介して信号線54に流れた電流は、開状態の座板スイッチ31には流れず、終端抵抗54aを介してコードリール34に戻り、信号線51を介して連動中継器16に入力される。一方、座板17が障害物に接触している状態では、座板17が上方に持ち上げられることで座板スイッチ31が閉状態となる。この場合、座板スイッチ31の抵抗の方が終端抵抗54aより小さいために、連動中継器16から信号線51及びコードリール34を介して信号線54に流れた電流は、閉状態の座板スイッチ31を介してコードリール34に戻り、信号線51を介して連動中継器16に入力される。このように、座板スイッチ31が開状態である場合と閉状態である場合とで、電流が流れる経路の抵抗が異なることになるため、連動中継器16においてこの抵抗変化を検知することで、座板スイッチオフ出力と座板スイッチオン出力とを区別することができる。
【0046】
ただし、座板スイッチ31に代えて、障害物を検知するための任意の検知手段を用いることができ、例えば、超音波センサ、静電容量センサや光学センサによって、シャッターカーテン12の下端部よりも下方に障害物が存在することを検知してもよい。
【0047】
(構成−シャッター障害物検知システム−送信機)
送信機32は、障害物センサによる障害物の検知状態を示す情報を含む信号(以下、障害物検知状態信号)を無線(電波)にて送信する第1通信手段である。
図4は、送信機32の電気的構成を示すブロック図である。この送信機32は、振動センサ32a、2つの第1端子32b、表示部32c、登録スイッチ32d、第1送信部32e、第1受信部32f、アンテナ32g、記憶部32h、電源部32i、及び制御部32jを図示のように接続して構成されている。
【0048】
振動センサ32aは、シャッターカーテン12の閉鎖動作が起動されたことを、当該シャッターカーテン12の機械的動作に基づいて特定する特定手段である。この振動センサ32aは、具体的には、振動を検知する振動検知手段であって、シャッターカーテン12に固定され、シャッターカーテン12の機械的な振動を検知した場合に振動検知信号を出力する。この振動センサ32aの具体的な構成は任意であるが、例えば、圧電型加速度センサを使用することができる。ただし、シャッターカーテン12の閉鎖動作を特定する特定手段としては、振動センサ32a以外の手段を用いてもよく、例えば、シャッターカーテン12が機械的に変位したことを検知するマグネットセンサや静電容量式センサを用いたり、ガイドレール2に接するように座板17に設けられたローラの機械的な回転を検知する検知器を用いてもよい。
【0049】
2つの第1端子32bは、座板スイッチ31からの座板スイッチオン出力又は座板スイッチオフ出力の入力を受け付ける入力手段であり、例えば、座板スイッチ31の2つの第1端子31aにそれぞれ信号線54を介して接続された入力端子として構成されている。
【0050】
表示部32cは、送信機32にて信号の送信が行われていることを、送信機32の外部に報知する出力手段であり、例えば、LEDとして構成されている。
【0051】
登録スイッチ32dは、送信機32が通信を行うべき受信機33を登録するための登録操作手段であり、例えば、被押圧状態に応じた出力を行う押しボタン式スイッチとして構成されている。また、この登録スイッチ32dは、シャッター障害物検知システム30の機能の正常性をテストするためのテストスイッチとして兼用される。この登録スイッチ32dからの出力のうち、押圧されていない時の出力を「テストスイッチオフ出力」、押圧されている時の出力を「テストスイッチオン出力」と称する。
【0052】
第1送信部32eは、障害物検知状態信号を所定の第1周波数帯域の第1周波数にて送信する送信手段である。
第1受信部32fは、障害物検知状態信号以外の所定の信号を所定の第2周波数帯域の第2周波数にて受信する受信手段である。
【0053】
ここで、第1周波数帯域と第2周波数帯域について説明する。
第1周波数帯域は、障害物検知状態信号を送信可能な周波数帯域であればよいが、特に実施の形態1においては、障害物検知状態信号の連続送信が可能な周波数帯域である。「連続送信が可能な周波数帯域」とは、通信に関する法令や標準規格によって、信号を連続送信することが許容されている(送信の休止や停波が義務付けられていない)周波数帯域である。特に、実施の形態1では、シャッター装置10と共にシャッター障害物検知システム30が複数近接して配置されている場合の信号衝突を防止するため、信号送信時にキャリアセンスを行うこととしており、キャリアセンスが義務付けられている周波数帯域を使用する。このような条件に合致する第1周波数帯域としては、例えば、特定小電力無線局用の429MHz帯域(具体的には、429.2500MHzから429.7375MHzにおける12.5KHz間隔の40チャンネルの帯域)がある。
【0054】
一方、第2周波数帯域は、所定の信号を送信可能な周波数帯域であればよいが、特に実施の形態1においては、間欠送信が可能な周波数帯域を使用する。また、実施の形態1では、第2周波数帯域についてはキャリアセンスが不要な周波数帯域を使用する。このような条件に合致する第2周波数帯域としては、例えば、特定小電力無線局用の315MHz帯域(具体的には、312MHzを超え315.25MHz以下の帯域)がある。
【0055】
以下では、説明の便宜上、第1周波数帯域に含まれる周波数であって第1送信部32eが信号を送信する周波数(第1周波数)を「429MHz」、第2周波数帯域に含まれる周波数であって第1受信部32fが信号を受信する周波数(第2周波数)を「315MHz」と称する。
【0056】
アンテナ32gは、第1送信部32eから出力された障害物検知状態信号を送信し、あるいは、所定の信号を受信して第1受信部32fに入力する送受信素子である。このアンテナ32gは、1本のみ設けられており、このアンテナ32gを429MHzと315MHzの2つの周波数の信号の送受信に併用する。このため、アンテナ32gの全長は、例えば、429MHzの波長の所定の整数比であり、かつ、315MHzの波長の所定の整数比となるように、決定されている(後述する受信機33のアンテナ33hも同様)。
【0057】
記憶部32hは、送信機32を動作させるために必要な各種のプログラムやデータを不揮発的に記憶する記憶手段であり、例えば、EEPROMとして構成されている。この記憶部32hには、特に、送信機32を一意に識別するための識別情報(以下、送信機ID)が工場出荷時等の任意のタイミングにおいて記憶されている。
【0058】
電源部32iは、図示しない電池を備えて構成されており、この電池から供給される電力を送信機32の各部に供給する。すなわち、送信機32は、電池の電力にて動作する通信手段である。
【0059】
制御部32jは、送信機32の各部を制御する制御手段であり、例えば、記憶部32hに記憶されたプログラムを実行するCPUによって構成されている。この制御部32jは、後述する登録処理を実行する登録処理手段、後述する定期通報処理を実行する定期通報処理手段、後述する電動降下処理及び自重降下処理を実行する降下処理手段(障害物検知処理手段)、及び送信機32に対して電池が接続されてからの経過時間を計測する計測手段として機能し、各種の時間を計時する計時手段としての図示しない内部タイマを備える。また、制御部32jは、後述する受信機33の第2送信部33gから送信される起動オン信号が第1受信部32fによって受信された場合に、シャッターカーテン12の閉鎖動作が起動されたものと特定する特定手段である。
【0060】
(構成−シャッター障害物検知システム−受信機)
次に、
図1の受信機33の構成について説明する。受信機33は、障害物検知状態信号を無線(電波)にて受信する第2通信手段である。
図5は、受信機33の電気的構成を示すブロック図である。この受信機33は、2つの第1端子33a、2つの第2端子33b、2つの第3端子33c、表示部33d、登録スイッチ33e、第2受信部33f、第2送信部33g、アンテナ33h、記憶部33i、電源部33j、及び制御部33kを図示のように接続して構成されている。
【0061】
2つの第1端子33aは、連動中継器16に対して障害物検知状態信号を出力する出力手段であり、例えば、連動中継器16の2つの第1端子16aにそれぞれ信号線51を介して接続された端子として構成されている。
【0062】
2つの第2端子33bは、連動中継器16からの起動オン信号の出力の入力を受け付ける入力手段であり、例えば、連動中継器16の2つの第2端子16bにそれぞれ信号線52を介して接続された端子として構成されている。
【0063】
2つの第3端子33cは、連動中継器16から電力を受電する電力手段であり、例えば、連動中継器16の2つの第3端子16cにそれぞれ電力線53を介して接続された端子として構成されている。
【0064】
表示部33dは、当該受信機33にて信号の受信が行われていることを受信機33の外部に報知する出力手段であり、例えば、LEDとして構成されている。
登録スイッチ33eは、相互に通信を行うべき送信機32と受信機33の組み合わせを、これら送信機32と受信機33に登録するための登録操作手段であり、例えば、押しボタン式スイッチとして構成されている。
【0065】
第2受信部33fは、障害物検知状態信号を第1周波数帯域にて受信する受信手段である。
第2送信部33gは、所定の信号を第2周波数帯域にて送信する送信手段である。
【0066】
アンテナ33hは、第2送信部33gから出力された所定の信号を送信し、あるいは、障害物検知状態信号を受信して第2受信部33fに入力する送受信素子である。
【0067】
記憶部33iは、受信機33を動作させるために必要な各種のプログラムやデータを不揮発的に記憶する記憶手段であり、例えば、EEPROMとして構成されている。この記憶部33iには、特に、受信機33を一意に識別するための識別情報(以下、受信機ID)が工場出荷時等の任意のタイミングにおいて記憶されている。この記憶部33iは、内部抵抗テーブル33lを備えている。
【0068】
この内部抵抗テーブル33lは、受信機33の内部抵抗を特定する情報を格納する内部抵抗格納手段である。
図6は、内部抵抗テーブル33lの構成例を示す図である。
図6に示すように、内部抵抗テーブル33lは、項目「接続先の状態」と、項目「内部抵抗」、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「内部抵抗」に対応する情報は、受信機33の内部抵抗を特定する情報であり、例えば、「第1の内部抵抗(抵抗値=95Ω〜105Ω)」等が該当する。なお、項目「接続先の状態」に対応する情報は、
図3の接続先状態テーブル16jの同一項目名に対応して格納される情報と同じであるので、説明を省略する。
【0069】
図5において、電源部33jは、図示しない電源線を介して連動中継器16に接続されており、この連動中継器16から供給される電力を受信機33の各部に供給する。
【0070】
制御部33kは、受信機33の各部を制御する制御手段であり、例えば、記憶部33iに記憶されたプログラムを実行するCPUによって構成されている。この制御部33kは、後述する登録処理を実行する登録処理手段、後述する定期通報処理を実行する定期通報処理手段、後述する電動降下処理及び自重降下処理を実行する降下処理手段(障害物検知処理手段)として機能するものであり、各種の時間を計時する計時手段としての図示しない内部タイマを備える。
【0071】
(構成−シャッター障害物検知システム−コードリール)
図2において、コードリール34は、シャッターカーテン12の開閉に伴って座板17が上下動しても、信号線54の巻き出し長さが常に適切な長さに維持されるように、信号線54の巻き取り又は巻き出しを行う巻き取り手段であると共に、座板スイッチ31から出力された信号を信号線51を介して連動中継器16に中継する有線中継手段である。このコードリール34は、例えば従来と同様に構成されており、2つの第1端子34aと2つの第2端子34bを備え、2つの第1端子34aが連動中継器16の2つの第1端子16aに対して信号線51を介して接続されていると共に、2つの第2端子34bが座板スイッチ31の2つの第1端子31aに対して信号線54を介して接続されている。
【0072】
(構成−接続先の抵抗の抵抗値に基づく状態判定)
このように構成されたシャッター障害物検知システム30において、連動中継器16は、第1端子16aに接続されている接続先の抵抗値に基づいて、この接続先の状態を判定する。以下では、この詳細について説明する。
【0073】
まず、連動中継器16に対して受信機33が接続されていると共に座板スイッチ31に対して送信機32が接続されている状態(以下、受信機接続状態)における状態判定について説明する。
【0074】
この受信機接続状態では、連動中継器16の2つの第1端子16aと受信機33の2つの第1端子33aとがそれぞれ信号線51を介して接続される。そして、連動中継器16における2つの第1端子16aの所定の一方を介して送電された電流が、信号線51を介して受信機33の2つの第1端子33aの所定の一方に入力され、この電流が受信機33の内部抵抗を経て当該受信機33の2つの第1端子33aの所定の他方から出力され、この電流が信号線51を介して連動中継器16の2つの第1端子16aの所定の他方に入力される。
【0075】
また、この受信機接続状態では、送信機32の2つの第1端子32bと座板スイッチ31の2つの端子31aとがそれぞれ信号線54を介して接続される。そして、送信機32における2つの第1端子32bの所定の一方を介して送電された電流が、信号線54を介して座板スイッチ31の2つの端子31aの所定の一方に入力される。この電流は、座板スイッチ31が障害物を検知していることによって閉状態となっている場合には、当該座板スイッチ31に流れ、座板スイッチ31の2つの第1端子31aの所定の他方から信号線54を介して送信機32における2つの第1端子32bの所定の他方に入力される。あるいは、送信機32における2つの第1端子32bの所定の一方を介して送電された電流は、座板スイッチ31が障害物を検知していないために開状態となっている場合には、電流が流れなくなる。
【0076】
このような受信機接続状態において、送信機32の制御部32jは、座板スイッチ31を介して得られた電流の電流値に基づいて、座板スイッチ31の開閉状態を特定し、この特定結果に基づいて座板スイッチ31から座板スイッチオン出力と座板スイッチオフ出力のいずれが出力されているのかを特定し、この特定結果を含む送信機情報信号を生成して受信機33に送信する。また、送信機32の制御部32jは、電源部32iの電池の消耗状態を特定し、この特定結果を含む送信機情報信号を生成して受信機33に送信する。そして、受信機33は、この送信機情報信号に基づいて座板スイッチ31から座板スイッチオン出力と座板スイッチオフ出力のいずれが出力されているのかを特定し、この特定結果に応じて自己の内部抵抗を切り替える。また、受信機33は、送信機32との通信状態を監視し、通信障害があると判定した場合には、判定結果に応じて自己の内部抵抗を切り替える。連動中継器16は、2つの第1端子16aに流れる電流の電流値に基づいて、自己に接続されている信号線51及び受信機33の合成の抵抗値を特定し、この特定結果に応じて、これら信号線51及び受信機33の状態を判定する。
【0077】
すなわち、受信機接続状態において、「連動中継器16の接続先」とは、「信号線51及び受信機33」を意味し、「接続先の抵抗値」とは、「信号線51の抵抗と受信機33の抵抗との合成抵抗値」を意味する。ただし、信号線51の抵抗の抵抗値は比較的小さいため、実際には無視することができる。また、「接続先の状態」として、受信機接続状態では、座板スイッチ31によって障害物が検知されていない状態(以下、障害物未検知状態)、座板スイッチ31によって障害物が検知されている状態(以下、障害物検知状態)、送信機32と受信機33の相互間に通信障害が発生している状態(以下、通信障害状態)、送信機32の電池の残量が所定残量以下に消耗している状態(以下、電池消耗状態)を想定している。なお、これら障害物未検知状態、障害物検知状態、通信障害状態、電池消耗状態において、受信機33から連動中継器16に対して出力される信号を、それぞれ、座板スイッチオフ信号、座板スイッチオン信号、通信障害信号、電池消耗信号と称する。
【0078】
次に、連動中継器16に対してコードリール34が接続されている状態(以下、コードリール接続状態)の具体的な接続構成について説明する。
【0079】
このコードリール接続状態では、連動中継器16に対してコードリール34が接続され、コードリール34に対して座板スイッチ31が接続される。具体的には、連動中継器16の2つの第1端子16aとコードリール34の2つの第1端子34aとがそれぞれ信号線51を介して接続されると共に、コードリール34の2つの第2端子34bと座板スイッチ31の2つの第1端子31aとがそれぞれ信号線54を介して接続される。そして、座板スイッチ31によって障害物が検知されているために当該座板スイッチ31が閉じている場合、連動中継器16における2つの第1端子16aの所定の一方を介して送電された電流は、信号線51、コードリール34の2つの第1端子34aの所定の一方、コードリール34の2つの第2端子34b所定の一方、信号線54、及び座板スイッチ31の2つの第1端子31aの所定の一方を順次介して、座板スイッチ31に流れ、さらに座板スイッチ31の2つの第1端子31aの所定の他方、信号線54、コードリール34の2つの第2端子34bの所定の他方、コードリール34の2つの第1端子34aの所定の他方、信号線51、及び連動中継器16の2つの第1端子16aの所定の他方を順次介して、連動中継器16に入力される。また、座板スイッチ31によって障害物が検知されていないために当該座板スイッチ31が開いている場合、連動中継器16における2つの第1端子16aの所定の一方を介して送電された電流は、信号線51、コードリール34の2つの第1端子34aの所定の一方、コードリール34の2つの第2端子34b所定の一方、信号線54、終端抵抗54a、信号線54、コードリール34の2つの第2端子34bの所定の他方、コードリール34の2つの第1端子34aの所定の他方、信号線51、及び連動中継器16の2つの第1端子16aの所定の他方を順次介して、連動中継器16に入力される。
【0080】
このようなコードリール接続状態において、連動中継器16は、コードリール34を介して得られた電流の電流値に基づいて、自己に接続されている信号線51、コードリール34、信号線54、及び座板スイッチ31の合成の抵抗値を特定し、この特定結果に応じて、これら信号線51、コードリール34、信号線54、及び座板スイッチ31の状態を判定する。また、信号線51又は信号線54が断線した場合には、コードリール34を介して電流が流れなくなり、あるいは、コードリール34を介して流れる電流の電流値が変化し、信号線51、コードリール34、信号線54、及び座板スイッチ31の合成の抵抗値が変化することから、連動中継器16は、この抵抗値に基づいて、断線を判定する。
【0081】
すなわち、コードリール接続状態において、「連動中継器16の接続先」とは、「信号線51、コードリール34、信号線54、及び座板スイッチ31」を意味し、「接続先の抵抗値」とは、「信号線51の抵抗と、コードリールの抵抗34と、信号線54の抵抗と、終端抵抗54aの抵抗と、座板スイッチ31の抵抗との合成抵抗値」を意味する。ただし、信号線51の抵抗や信号線54の抵抗の抵抗値は比較的小さいため、実際には無視することができる。また、「接続先の状態」として、コードリール接続状態では、障害物未検知状態と障害物検知状態とに加えて、信号線51や信号線54が断線した状態(以下、断線状態)を想定している。なお、これら障害物未検知状態、障害物検知状態、断線状態において、コードリール34から連動中継器16に対して出力される信号を、それぞれ、座板スイッチオフ信号、座板スイッチオン信号、断線信号と称する。
【0082】
特に、実施の形態1においては、連動中継器16は、第1端子16aに受信機33とコードリール34のいずれが接続されているのかを判定することなく(受信機接続状態とコードリール接続状態を区別することなく)、自己の接続先の抵抗値に基づいて、接続先の状態を判定する。このため、本実施の形態においては、受信機接続状態における連動中継器16の接続先の状態と、コードリール接続状態における連動中継器16の接続先の状態とが、相互に同じ状態である場合には、受信機接続状態における連動中継器16の接続先の抵抗値と、コードリール接続状態における連動中継器16の接続先の抵抗値とが、連動中継器16の接続先状態テーブル16jに設定された設定範囲の中で、相互に同一の設定範囲に含まれる抵抗値となるように、これら各接続先の抵抗の抵抗値を設定している。
【0083】
例えば、受信機接続状態における障害物未検知状態の抵抗値を47kΩとし、コードリール接続状態における障害物未検知状態の抵抗値を51kΩとし、これらいずれの抵抗値も接続先状態テーブル16jにおける設定範囲15kΩ〜60kΩに含まれる抵抗値としている。同様に、受信機接続状態における障害物検知状態の抵抗値を100Ωとし、コードリール接続状態における障害物検知状態の抵抗値を0Ωとし、これらいずれの抵抗値も接続先状態テーブル16jにおける設定範囲10kΩ以下に含まれる抵抗値としている。ここで、これら障害物未検知状態と障害物検知状態とは、受信機接続状態とコードリール接続状態とのいずれの状態でも発生し得る状態であるため、これら受信機接続状態とコードリール接続状態との区別を行わなくても特に問題は生じないため、連動中継器16は、単にそれぞれ障害物未検知状態や障害物検知状態と判定する。
【0084】
また、例えば、受信機接続状態における電池消耗状態の抵抗値を1.1MΩとし、コードリール接続状態における断線状態の抵抗値を無限大とし、これらいずれの抵抗値も接続先状態テーブル16jにおける設定範囲500kΩ以上に含まれる抵抗値としている。このうち、電池消耗状態は受信機接続状態でのみ発生し得る状態であり、断線状態はコードリール接続状態でのみ発生し得る状態であるが、連動中継器16は、受信機接続状態とコードリール接続状態との区別は行わないため、電池消耗状態又は断線状態のいずれかが生じているという統合的な状態(以下、電池消耗又は断線状態)として判定する。
【0085】
また、例えば、受信機接続状態における通信障害状態の抵抗値は100kΩとし、この抵抗値を接続先状態テーブル16jにおける設定範囲99kΩ〜101kΩに含まれる抵抗値としている。この通信障害状態も受信機接続状態でのみ発生し得る状態であるが、連動中継器16は、通信障害状態という独立した状態であると判定する。
【0086】
(処理)
次に、上記のように構成されたシャッター障害物検知システム30において実行される処理について説明する。この処理は、受信機接続状態の処理(以下、受信機接続状態処理)と、コードリール接続状態の処理(以下、コードリール接続状態処理)とに大別される。
【0087】
(処理−受信機接続状態処理)
まず、受信機接続状態処理について説明する。この処理は、登録処理、定期通報処理、自重降下処理、電動降下処理、及びテスト処理に大別される。以下、これら各処理に共通の処理について説明した後、各処理について順次説明する。なお、以下では、「ステップ」を「S」と略記する。
【0088】
最初に、各処理に共通の処理である「キャリアセンス」について説明する。
送信機32は、429MHzにより第1送信部32eを介して信号を送信する際、キャリアセンスを行うことにより、送信に使用できる空きチャンネルを特定して、電波の衝突を防止する。
具体的には、429MHzの40チャンネルを候補チャンネルとし、この候補チャンネルの中から、1つのチャンネルを選択する。そして、第1送信部32eを一旦受信手段として設定し、当該選択したチャンネルの受信信号強度を測定し、当該測定した信号強度が所定閾値以上であるか否かを判定することで、当該選択したチャンネルが空きチャンネルであるか否かを判定する。そして、空きチャンネルでない場合には、候補チャンネルから他の1つのチャンネルを選択し、同様に空きチャンネルの判定を行う。以降同様に、候補チャンネルの各チャンネルに対して判定を順次行い、最初に空きチャンネルであると判定されたチャンネルを、送信に使用できる空きチャンネルとして特定して、キャリアセンスを終了する。
なお、候補チャンネルは、40チャンネルの中から限定してもよく、例えば、送信機32と受信機33の組み合わせ毎(例えば、記憶部32hに予め記憶された自己の送信機IDと、登録処理で記憶部32hに記憶された通信相手の受信機IDとの組み合わせ毎)に予め設定されたチャンネルを候補チャンネルに設定したり、所定数(例えば、3〜6つ程度)のチャンネルを候補チャンネルに設定してもよい。
このキャリアセンスの直後には、特定した空きチャンネルを介して送信機32から受信機33に接続要求信号を送信し、この接続要求信号を受信した受信機33から送信機32に接続応答信号を送信することで、これら送信機32と受信機33の通信が確立される。
【0089】
次に、各処理に共通の処理である「チャンネルスキャン」について説明する。
受信機33は、429MHzにより第2受信部33fを介して信号を受信するため、チャンネルスキャンを行うことにより、送信機32が429MHzでの信号の送信に使用したチャンネルを特定し、当該チャンネルにおいて送信機32から送信された信号を受信することを試みる。
具体的には、送信機32のキャリアセンスと同様に設定された候補チャンネルの中から、1つのチャンネルを選択する。そして、当該選択したチャンネルによって所定時間以内に第2受信部33fを介して信号を受信できるか否かを監視し、信号を受信できた場合には、当該信号に含まれている送信機IDが、後述する登録処理で自己の記憶部33iに記憶された送信機IDに合致するか否かを判定する。そして、所定時間以内に信号を受信できなかった場合や、受信できた場合であっても送信機IDが合致しない場合には、候補チャンネルから他の1つのチャンネルを選択し、同様に信号受信の有無と送信機IDの合致の判定を行う。以降同様に、候補チャンネルの各チャンネルに対して順次判定を行い、合致する送信機IDが含まれると判定されたチャンネルを、送信機32が信号送信に使用したチャンネルとして特定し、チャンネルスキャンを終了する。なお、登録処理を行う前のチャンネルスキャンでは、送信機IDの合致判定は省略する。
以下の説明では、特記する場合を除き、受信機33は、このチャンネルスキャンを常時繰り返しているものとする。
【0090】
次に、各処理に共通の処理である「間欠受信」について説明する。
送信機32は、所定の間欠受信タイミング(例えば、数秒毎)が到来したか否かを監視し、到来した場合には、所定時間(例えば、数ms)だけ第1受信部32fに電力を供給することで、当該所定時間だけ第1受信部32fを介して315MHzで受信を行う。このように間欠受信を行うのは、信号受信に要する電池電力の消費量を低減するためである。
また、詳細は後述するが、数秒毎の間欠受信中に所定の条件が成立したら、間欠受信の間隔を短くして受信処理を行う。つまり、送信機32に設けた振動センサ32aからの出力がオンした場合は、シャッターカーテン12が降下中であり、受信機33から送信器32へ信号を送信している可能性が高く、送信器32は間欠受信の間隔を通常よりも短くする。
なお、通常時には受信を完全に停止し、振動センサ32aからの出力がオンになった時点で間欠受信を開始するようにしてもよいが、シャッターカーテン12が円滑に降下した場合にその振動を振動センサ32aで検知できない可能性や、振動センサ32aの機能に障害が発生する可能性もあるため、振動センサ32aからの出力に関わらず間欠受信を行うことで、障害物検知の信頼性を一層向上させている。
以下の説明では、特記する場合を除き、送信機32は、この間欠受信を常時繰り返しているものとする。
【0091】
(処理−受信機接続状態処理−登録処理)
次に、登録処理について説明する。
図7は、登録処理のフローチャートである。この登録処理は、受信機33に対して、通信相手となる送信機32の送信機IDを登録する処理であり、これら送信機32と受信機33の電源が投入されることによって起動される。
【0092】
まず、受信機33の制御部33kは、受信機33の登録スイッチ33eがユーザによって所定方法で操作されたか否か(例えば、所定時間連続して押圧されたか否か)を監視しており(SA1)、操作された場合には(SA1、Yes)、送信機32から送信される送信機IDの受信待ち状態となる(SA2)。
【0093】
一方、送信機32の制御部32jは、送信機32の登録スイッチ32dがユーザによって所定方法で操作されたか否か(例えば、所定時間連続して押圧されたか否か)を監視しており(SA3)、操作された場合には(SA3、Yes)、第1送信部32eを介して429MHzにおけるキャリアセンスを行うことにより、送信に使用できる空きチャンネルを特定する(SA4、SA5)。そして、制御部32jは、空きチャンネルを特定できた場合(SA5、Yes)、この空きチャンネルによって、記憶部32hに予め記憶されている送信機IDを含む信号を、第1送信部32eを介して429MHzで送信する(SA6)。
【0094】
一方、受信機33の制御部33kは、SA2における送信機IDの受信待ち状態において、チャンネルスキャンを行うことにより、送信機32が429MHzでの信号の送信に使用したチャンネルを特定し、当該チャンネルにおいて送信機32から送信された信号を受信することを試みる(SA2)。そして、制御部33kは、送信機IDを含む信号が受信できた場合(SA2、Yes)、当該信号に含まれる送信機IDを、通信相手となる送信機32の送信機IDとして記憶部33iに記憶する(SA7)。これにて登録処理が終了する。
【0095】
なお、ここでは、送信機32と受信機33は1対1で通信を行うものとし、既に受信機33の記憶部33iに通信相手の送信機IDが記憶されている状態で登録処理が行われた場合には、新しく受信された送信機IDによって、記憶部33iの送信機IDが上書きされるものとする。ただし、1対多で通信を行う場合には、記憶部33iに複数の送信機IDを登録するようにしてもよい。また、登録処理は、登録スイッチ32dがユーザによって押圧された後の所定時間(例えば1分間)のみ有効であり、この時間内に通信相手の送信機IDが受信できなかった場合には、登録処理を終了するようにしてもよい。また、上記送信機IDの登録と同様の処理によって、受信機IDを送信機32に登録してもよい。すなわち、受信機IDを受信機33から送信機32に送信し、送信機32の記憶部32hに受信機IDを記憶させてもよい。この場合、その後に、送信機32が受信機33から315MHzで送信された信号を間欠受信した場合には、送信機32は、当該信号に含まれる受信機IDが自己の記憶部33iに記憶された受信機IDに合致するか否かを判定し、合致する場合にのみ、当該信号を有効な信号として受け付けるようにしてもよい。
【0096】
(処理−受信機接続状態処理−定期通報処理)
次に、定期通報処理について説明する。
図8は、定期通報処理のフローチャートである。この処理は、送信機32の機能の正常性や座板スイッチ31の出力状態に関する情報を、受信機33に定期的に送信する処理であり、登録処理後に自動的に繰り返し起動される。
【0097】
まず、受信機33の制御部33kは、所定の定期通報タイミング(例えば、数日毎)が到来したか否かを監視し(SB1)、到来した場合には(SB1、Yes)、定期通報要求信号を生成して第2送信部33gを介して315MHzで送信する(SB2)。この定期通報要求信号は、定期通報を要求する旨のデータを含む信号であり、所定のフォーマットで生成される。
【0098】
一方、送信機32の制御部32jは、受信機33からの定期通報要求信号を間欠受信により受信した場合(SB3、Yes)、キャリアセンスを行って空きチャンネルを特定し(SB4、SB5)、定期通報信号を生成して第1送信部32eを介して空きチャンネルにより429MHzで送信する(SB6)。この定期通報信号(障害物検知状態信号)は、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオフ出力と座板スイッチオン出力のいずれであるのかを示すデータ、テストスイッチからの出力テストスイッチオフ出力とテストスイッチオン出力のいずれであるのかを示すデータ、電池消耗の有無を示すデータ、及び記憶部32hに設定された送信機IDを含む信号であり、所定のフォーマットで生成される。
【0099】
この際の電池消耗の有無の判定は、例えば、以下のように行われる。すなわち、制御部32jは、公知の方法で取得した電池の電圧を所定閾値と比較し、電圧が所定閾値以上であれば電池消耗がないと判定し、電圧が所定閾値未満であれば電池消耗があると判定する。あるいは、制御部32jは、送信機32に対して電池が接続されてからの経過時間(より具体的には、電池の電力が送信機32の各部に供給されてからの経過時間)を継続的に計測し、この経過時間を所定時間(例えば、数年間)と比較し、経過時間が所定時間未満であれば電池消耗がないと判定し、経過時間が所定時間以上であれば電池消耗があると判定する。また、電池消耗があると判定された場合、制御部32jは、表示部32cを点灯又は点滅させることで、電池消耗の旨を外部に報知する。
【0100】
次いで、受信機33の制御部33kは、SB2の後、所定時間以内に、送信機32のキャリアセンスに伴う通信確立を行うことができたか否かを監視し(SB7)、通信確立を行うことができなかった場合には(SB7、No)、通信障害信号を連動中継器16に出力して(SB8)、定期通報処理を終了する。
【0101】
この際、通信障害の処理としては、例えば、制御部33kが、通信確立を行うことができなかった場合に、接続先の状態=通信障害状態であると特定する。次いで、制御部33kは、内部抵抗テーブル33lに格納されている内部抵抗を特定する情報を参照することにより、通信障害状態に対応する内部抵抗(すなわち、
図6に示す第3の内部抵抗(抵抗値=99kΩ〜101kΩ))を特定し、自己の内部抵抗を上記特定した第3の内部抵抗に変えることにより、通信障害信号を2つの第1端子33aを介して出力する(後述するSC11の通信障害信号の出力についても同様とする)。
【0102】
この場合において、連動中継器16の制御部16iは、2つの第1端子16aから取得された信号線51の電流値に基づいて、連動中継器16の接続先の抵抗値(すなわち、信号線51の抵抗と受信機33の抵抗との合成抵抗値)を特定し、接続先状態テーブル16jに格納されている接続先の状態を特定する情報を参照することにより、当該特定した抵抗値に基づいて、接続先の状態=通信障害状態を特定する(より具体的には、上記特定した抵抗値=100kΩであった場合に、接続先の状態=通信障害状態を特定する)。そして、制御部16iは、表示部16fを点灯又は点滅させたり、手動閉鎖装置15に設けた表示灯を点灯又は点滅させたり、所定の外部機器に対して通信障害信号を出力部16eを介して出力したりすることにより、これらの状態の発生を外部に報知する。
【0103】
一方、所定時間以内に通信確立を行うことができた場合(SB7、Yes)、制御部33kは、確立した通信によって、第2受信部33fを介して429MHzで定期通報信号を受信し(SB9、Yes)、当該定期通報信号の内容に応じた処理を行う(SB10)。例えば、制御部33kは、定期通報信号に基づいて、接続先の状態を特定し、内部抵抗テーブル33lに格納されている内部抵抗を特定する情報を参照することにより、当該特定した接続先の状態に対応する内部抵抗を特定し、自己の内部抵抗を当該特定した内部抵抗に変えることにより、座板スイッチオフ信号又は座板スイッチオン信号、電池消耗信号を、連動中継器16に対して2つの第1端子33aを介して出力する。
【0104】
この際、制御部33kは、座板スイッチオフ信号と座板スイッチオン信号に変化があった場合(座板スイッチオフ信号が座板スイッチオン信号に切り替わった場合、あるいは、座板スイッチオン信号が座板スイッチオフ信号に切り替わった場合)には、他の信号に優先して、座板スイッチオフ信号又は座板スイッチオン信号を出力する。一方、所定時間(例えば、数100秒)の間に座板スイッチオフ信号と座板スイッチオン信号に変化がなかった場合には、座板スイッチオフ信号又は座板スイッチオン信号以外の信号を出力する。ここで、出力すべき信号が複数存在する場合には、所定の優先順位に基づいて、最も優先順位の高い信号(例えば、電池消耗信号)のみを出力したり、優先順位の高い順に各信号を所定間隔で順次切り替えて出力する。
【0105】
この場合において、連動中継器16の制御部16iは、2つの第1端子16aから取得された信号線51の電流値に基づいて、連動中継器16の接続先の抵抗値を特定し、接続先状態テーブル16jに格納されている接続先の状態を特定する情報を参照することにより、当該特定した抵抗値に基づいて、接続先の状態を特定する。そして、制御部16iは、表示部16fを点灯又は点滅させたり、手動閉鎖装置15に設けた表示灯を点灯又は点滅させたり、所定の外部機器に対して通信障害信号を出力部16eを介して出力したりすることにより、これらの状態の発生を外部に報知する。これにて定期通報処理が終了する。
【0106】
(処理−受信機接続状態処理−自重降下処理)
次に、自重降下処理(障害物検知処理、危害防止処理)について説明する。
図9、10は、自重降下処理のフローチャートである。この処理は、火災報知システム20の火災感知器21により火災が感知された場合にシャッターカーテン12を自重降下させるための処理であり、定期通報処理に対する割り込み処理として起動される。
【0107】
火災報知システム20の火災感知器21により火災が感知された場合、この火災感知器21が防災盤22に火災感知信号を出力し、防災盤22が連動中継器16に移報信号を出力し、連動中継器16が自動閉鎖装置14に起動信号を出力し、自動閉鎖装置14が開閉機13のブレーキを解除して、シャッターカーテン12の自重降下を開始させる。あるいは、手動閉鎖装置15の非常閉鎖ボタンがユーザによって押圧された場合にも、同様に、連動中継器16が自動閉鎖装置14に起動信号を出力し、自動閉鎖装置14が開閉機13のブレーキを解除して、シャッターカーテン12の自重降下を開始させる。また、このように自重降下を開始させた場合、連動中継器16は、起動オン信号を2つの第2端子16bを介して受信機33に継続的に出力する。
【0108】
その後、
図9に示すように、この起動オン信号が受信機33の2つの第2端子33bを介して受け付けられた場合(SC1、Yes)、受信機33の制御部33kは、この起動オン信号を第2送信部33gを介して315MHzで送信する(SC2)。
【0109】
一方、シャッターカーテン12が降下を開始すると、この降下に伴って発生するシャッターカーテン12の振動を検知した振動センサ32aが、振動検知信号を出力する。この振動検知信号が出力された場合(SC3、Yes)、送信機32の制御部32jは、当該出力された時から所定時間(例えば、1s)が経過しても振動検知信号が出力されているか否かを監視し(SC4)、出力されていない場合には(SC4、No)、地震や風等に起因するシャッターカーテン12の一時的な振動が検知されたものとして、SC3に戻る。一方、出力されている場合には(SC4、Yes)、降下に起因するシャッターカーテン12の継続的な振動が検知されたものとして、通常時に所定間隔で行う間欠受信の時期が到来したか否かに関わらず、315MHzにおける割り込み受信を第1受信部32fを介して行う(SC5)。例えば、通常時に行っている間欠受信の受信間隔を短くすることで、割り込み受信を行う。このような処理を行うのは、振動センサ32aの振動検知が連動中継器16からの起動信号出力に基づくシャッターカーテン12の降下制御であれば、受信機33から起動オン信号が送信されているはずなので、受信機33から送信された起動オン信号を迅速に受信することを試みるためである。
【0110】
そして、起動オン信号が所定時間以内に受信できなかった場合(SC6、No)、制御部32jは、振動センサ32aにて検知された振動はシャッターカーテン12の降下に起因するものではないとし、SC3に戻る。一方、起動オン信号が所定時間以内に受信できた場合(SC6、Yes)、制御部32jは、シャッターカーテン12の閉鎖動作が起動されたものと特定し、送信機32から送信機側の状態情報を受信機側へ送信するため、429MHzにおいてキャリアセンスを行うことで、送信に使用する空きチャンネルを特定する(SC7、SC8)。
【0111】
次いで、制御部32jは、送信機情報信号を生成し、この送信機情報信号を、429MHzにおける空きチャンネルにて第1送信部32eを介して所定時間連続送信する(SC9)。この送信機情報信号は、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオフ出力と座板スイッチオン出力のいずれであるのかを示すデータ、テストスイッチからの出力テストスイッチオフ出力とテストスイッチオン出力のいずれであるのかを示すデータ、電池消耗の有無を示すデータ、及び記憶部32hに設定された送信機IDを含む信号であり、所定のフォーマットで生成される。なお、送信機情報信号には、自重降下処理又は電動降下処理に最低限必要な情報として、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオフ出力と座板スイッチオン出力のいずれであるのかを示すデータと送信機IDのみを含めるようにしてもよい。なお、この送信機情報信号の送信開始当初は座板スイッチ31からの出力はオフであるため、座板スイッチオフを示すデータを含む送信機情報信号を送信し、以降は、座板スイッチ31からの出力に変化があった場合に、当該変化後の状態を示すデータを含む送信機情報信号を送信する。
【0112】
その後、制御部32jは、この連続送信を行う所定時間の経過を管理するため、SC9と同時又はその直後に、制御部32jの内部タイマによる送信時間の計時を開始することで、
図10に示すように、計時された時間が所定の連続送信停止判定時間(例えば5分)以上になったか否かを監視し(SC14)、連続送信停止判定時間以上になった場合には(SC14、Yes)、送信機情報信号の連続送信を停止し(SC15)、受信機33と確立していた通信を遮断して、間欠受信に復帰して、自重降下処理を終了する。このような処理を行うのは、全閉時に座板スイッチ31が何らかの理由により座板スイッチオン出力できなかった場合に、送信機32から継続して送信することによって電池電源を無駄に消耗することを回避するためである。
【0113】
このように管理される連続送信の連続送信停止判定時間の間、制御部32jは、座板スイッチ31からのその時点毎の出力に対応するデータを含んだ送信機情報信号を逐次生成して送信する。そして、この連続送信の連続送信停止判定時間の間に、シャッターカーテン12が障害物に当たった場合、もしくはシャッターカーテン12が全閉になった場合に、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオン出力になった場合には(SC13、Yes)、シャッターカーテン12の自重降下を停止させるため、自重降下停止処理を起動する(SC16)。この自重降下停止処理の詳細については後述する。また、制御部32jは、このように座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオン出力になった場合には、表示部32cを点灯又は点滅させることで、座板スイッチ31の出力がオンである旨を外部に報知する。
【0114】
一方、受信機33の制御部33kは、
図9に示すように、SC2における起動オン信号の送信と同時又はその直後に、通信確立時間を計測するために制御部32jの内部タイマによる計時をスタートし、計測された時間が所定時間以上になる前に送信機32との通信が確立できるか否かを監視する(SC10)。そして、所定時間以上になっても通信が確立できなかった場合には(SC10、No)、通信障害信号を連動中継器16に出力する(SC11)。この通信障害の処理としては、上記SB8の通信障害の処理と同様に、制御部33kが、受信機33の表示部33dに通信障害時の状態を示す旨を表示させたり、連動中継器16や防災盤22など所定の外部機器に対して通信障害信号を出力すること等により、通信障害の発生を外部に報知する。一方、所定時間以上になる前に、送信機32のSC7におけるキャリアセンスに伴って通信が確立できた場合には、429MHzにおける送信機32からの送信機情報信号を第2受信部33fを介して継続して受信する(SC12)。
【0115】
また、制御部33kは、SC12における送信機情報信号の受信と同時又はその直後に、受信時間を計測するために制御部32jの内部タイマによる計時をスタートすることにより、
図10に示すように、計測された時間が所定時間以上になったか否かを監視し(SC18)、所定時間以上になった場合には(SC18、Yes)、送信機情報信号の受信を停止し(SC19)、送信機32と確立していた通信を遮断して、自重降下処理を終了する。
【0116】
このように管理される受信の所定時間の間、制御部33kは、送信機情報信号に含まれる座板スイッチ31のその時点毎の出力に対応するデータを監視し、この受信の所定時間の間に、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオン出力であることを示すデータを受信した場合には(SC17、Yes)、シャッターカーテン12の自重降下を停止させるため、自重降下停止処理を起動する(SC16)。この自重降下停止処理の詳細については後述する。
【0117】
また、
図9のSC9から
図10のSC15までの連続送信を行っている間において、何らかの理由により、この連続送信を停止する必要が生じた場合、連動中継器16からの出力を受けた受信機33の制御部33kは、連続送信の停止を指示するための連続送信停止指示信号を第2送信部33gを介して315MHzで送信し、SC19に移行して受信を停止する。一方、送信機32の制御部32jは、連続送信停止指示信号を第1受信部32fを介して315MHzで受信した場合、SC14の所定時間が経過する前であっても、SC15に移行して連続送信を停止する。すなわち、実施の形態1においては、SC14の所定時間が経過したこと、又は、連続送信停止指示信号が受信されたことを、第1送信部32eによる送信機情報信号の連続送信を停止する停止条件としており、これらいずれか一方の条件が満たされる迄は、座板スイッチ31の出力状態の変化に関わらず送信機情報信号の連続送信を継続し、座板スイッチ31の出力状態に応じて送信機情報信号の内容のみを書き換える。
【0118】
(処理−受信機接続状態処理−自重降下処理−自重降下停止処理)
次に、SC16の自重降下停止処理の詳細について説明する。
図11は、自重降下停止処理のフローチャートである。この処理は、シャッターカーテン12の自重降下を停止させるための処理である。
【0119】
まず、障害物を検知したり、シャッターカーテン12が全閉したりしたことで、送信機32から座板スイッチオン出力であることを示すデータを受信した受信機33の制御部33kは、座板スイッチオン信号を2つの第1端子33aを介して連動中継器16に出力する(SD1)。
【0120】
この座板スイッチオン信号の出力については、上述のように、座板スイッチオン信号を他の信号に優先して出力する。具体的には、制御部33kは、内部抵抗テーブル33lに格納されている内部抵抗を特定する情報を参照することにより、座板スイッチオン信号に対応する接続先の状態に対応する内部抵抗を特定し(具体的には、座板スイッチオン信号に対応する接続先の状態=障害物検知状態であるので、
図6に示す第1の内部抵抗(抵抗値=95Ω〜105Ω))を特定する)、自己の内部抵抗を当該特定した第1の内部抵抗に変えることにより、座板スイッチオン信号を、連動中継器16に対して2つの第1端子33aを介して出力する。
【0121】
この場合において、連動中継器16の制御部16iは、2つの第1端子16aから取得された信号線51の電流値に基づいて、連動中継器16の接続先の抵抗値を特定し、接続先状態テーブル16jに格納されている接続先の状態を特定する情報を参照することにより、当該特定した抵抗値に基づいて、接続先の状態=障害物検知状態を特定する(より具体的には、上記特定した抵抗値=100Ωであった場合に、接続先の状態=障害物検知状態を特定する)。そして、制御部16iは、下限リミットスイッチの検出状態と、公知の方法で特定したシャッター装置10における停電の有無とに基づいて、シャッターカーテン12の自重降下を制御する。
【0122】
具体的には、シャッターカーテン12の下端が下限位置より上方側に位置していることが下限リミットスイッチにより検出されている場合であって、シャッター装置10が停電していない場合には、自動閉鎖装置14に制御信号を出力し、自動閉鎖装置14が開閉機13のブレーキを作動させてシャッターカーテン12の自重降下を一旦停止させ、開閉機13を駆動して所定時間だけ上昇させたのち停止する動作(タッチアップ動作)を行う(後述するコードリール接続状態処理の自重降下停止処理についても同様とする)。この場合、連動中継器16は、起動オン信号を受信機33に継続的に出力する。ただし、この状態において手動閉鎖装置15の復旧ボタンが押された場合、連動中継器16は、起動オフ信号を受信機33に出力する。
【0123】
あるいは、シャッターカーテン12の下端が下限位置より上方側に位置していることが下限リミットスイッチにより検出されている場合であって、シャッター装置10が停電している場合には、自動閉鎖装置14に制御信号を出力し、自動閉鎖装置14が開閉機13のブレーキを作動させてシャッターカーテン12の自重降下を一旦停止させる動作(タッチストップ動作)を行う(後述するコードリール接続状態処理の自重降下停止処理についても同様とする)。この場合にも、連動中継器16は、起動オン信号を受信機33に継続的に出力する。
【0124】
一方、シャッターカーテン12の下端が下限位置より下方側に位置していることが下限リミットスイッチにより検出されている場合には、シャッター装置10が停電しているか否かに関わらず、シャッターカーテン12の下端が下限位置を通過した後の所定時間経過後に、自動閉鎖装置14に制御信号を出力し、自動閉鎖装置14が開閉機13のブレーキを作動させてシャッターカーテン12の自重降下を停止させる動作(完全停止動作)を行う。この際の所定時間は、座板スイッチ31が床面に接して座板スイッチオンとなる位置よりも、さらに下方でシャッターカーテン12を停止させるように設定される(後述するコードリール接続状態処理の自重降下停止処理についても同様とする)。このような所定時間経過後の停止を行うのは、床面が斜めになっている場合であっても、座板17と床面の間に隙間が出来ないようにするためである。このように完全停止動作を行った場合には、連動中継器16は、受信機33に起動オフ信号を出力する。
【0125】
受信機33の制御部33kは、連動中継器16からの起動オフ信号の出力を監視する(SD2)。そして、連動中継器16からの起動オフ信号を受けた場合には(SD2、Yes)、起動オフ信号を315MHzで第2送信部33gを介して送信した後(SD3)、送信機情報信号の受信を停止し(SD4)、送信機32と確立していた通信を遮断して自重降下停止処理を終了して、
図9、10の自重降下処理を終了する。
【0126】
一方、送信機32の制御部32jは、
図10のSC13において座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオン出力になった後の経過時間を内部タイマにより監視すると共に(SD5)、受信機33からの起動オフ信号の受信の有無を監視する(SD7)。そして、経過時間が所定時間以上継続する前に(SD5、No)、受信機33からの起動オフ信号を受信した場合には(SD7、Yes)、完全停止動作が行われたものと考えられるので、直ちに送信機情報信号の連続送信を停止して電池消耗を抑え(SD8)、受信機33と確立していた通信を遮断して、自重降下停止処理を終了して、
図9、10の自重降下処理を終了する。
【0127】
また、制御部32jは、このようにSD5における経過時間の監視とSD7における起動オフ信号の受信の監視を行っている間に、座板スイッチ31からの出力を継続して監視する(SD6)。そして、シャッターカーテン12に挟まった人が避難したり、シャッターカーテン12に当たっていた障害物が取り除かれたりすることで、座板スイッチ31によって障害物が検知されなくなり、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオフ出力になった場合には(SD6、Yes)、シャッターカーテン12の自重降下を再開させるために自重降下再開処理を起動する(SD9)。
【0128】
また、受信機33からの起動オフ信号を受信する前や(SD7、No)、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオフ出力になる前に(SD6、No)、経過時間が所定時間以上継続した場合(SD5、Yes)、制御部32jは、送信機情報信号の連続送信を停止して電池消耗を抑えた上で(SD10)、座板スイッチ31からの出力の監視と(SD11)、受信機33からの起動オフ信号の受信の有無を再び監視する(SD12)。そして、受信機33からの起動オフ信号を受信した場合には(SD12、Yes)、自重降下停止処理を終了して、
図9、10の自重降下処理を終了する。一方、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオフ出力になった場合には(SD11、Yes)、シャッターカーテン12の自重降下を再開させるために自重降下再開処理を起動する(SD9)。
【0129】
(処理−受信機接続状態処理−自重降下処理−自重降下停止処理−自重降下再開処理)
次に、自重降下再開処理について説明する。
図12、13は、自重降下再開処理のフローチャートである。この処理は、自重降下停止処理によって停止されたシャッターカーテン12の自重降下を再開させるための処理である。
【0130】
まず、送信機32の制御部32jは、送信機情報信号を生成し、この送信機情報信号を、429MHzにおける空きチャンネルにて第1送信部32eを介して連続送信する(SE1)。この送信機情報信号は、
図9のSC9と同様に生成される。なお、
図11のSD6からSD9に移行したことにより自重降下再開処理が起動された場合には、送信機情報信号の連続送信が停止されておらず、送信機32における受信機33との接続も遮断されていないため、キャリアセンスや空きチャンネルの特定を行うことなく、SE1における連続送信を行うことができる。一方、
図11のSD11からSD9に移行したことにより自重降下再開処理が起動された場合には、SD10において送信機情報信号の連続送信が停止されており、送信機32における受信機33との接続も遮断されているため、キャリアセンスや空きチャンネルの特定を
図9のSC7、SC8と同様に行った上で、SE1における連続送信を行う。
【0131】
一方、受信機33の制御部33kは、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオフ出力であることを示すデータを含む送信機情報信号を429MHzにおいて第2受信部33fを介して受信し(SE2)、出力部33bの内部の抵抗値を切り替えることで、障害物が除去された旨の座板スイッチオフ信号を2つの第1端子33aを介して連動中継器16に出力する(SE3)。
【0132】
具体的には、制御部33kは、内部抵抗テーブル33lに格納されている内部抵抗を特定する情報を参照しながら、座板スイッチオフ信号に対応する接続先の状態に対応する内部抵抗を特定し(具体的には、座板スイッチオフ信号に対応する接続先の状態=障害物未検知状態であるので、
図6に示す第2の内部抵抗(抵抗値=44.7kΩ〜49.4kΩ))を特定する)、自己の内部抵抗を当該特定した第2の内部抵抗に変えることにより、座板スイッチオフ信号を、連動中継器16に対して2つの第1端子33aを介して出力する。
【0133】
この場合において、連動中継器16の制御部16iは、2つの第1端子16aから取得された信号線51の電流値に基づいて、連動中継器16の接続先の抵抗値を特定し、接続先状態テーブル16jに格納されている接続先の状態を特定する情報を参照しながら、当該特定した抵抗値に基づいて、接続先の状態=障害物未検知状態を特定する(より具体的には、上記特定した抵抗値=45kΩであった場合に、接続先の状態=障害物未検知状態を特定する)。そして、制御部16iは、挟まった人がシャッターカーテン12から確実に避難できる所定時間が経過したのちに、自動閉鎖装置14に制御信号を出力し、自動閉鎖装置14が開閉機13のブレーキを解除してシャッターカーテン12の自重降下を再開させる。また同時に、制御部16iは、受信機33に起動オン信号を出力することで、シャッターカーテン12の自重降下を再開させた旨を報知する。
【0134】
この起動オン信号を2つの第2端子33bを介して受け付けた場合(SE4、Yes)、受信機33の制御部33kは、
図13に示すように、起動オン信号を第2送信部33gを介して315MHzで送信し(SE5)、この起動オン信号が送信機32によって受信される(SE6)。なお、
図13ではSE5とSE6を便宜上図示の位置に示しているが、実際には、上述のように、連動中継器16は自動降下時においては完全停止になるまで起動オン信号を受信機33に継続的に出力し、受信機33は一旦起動オン信号を送信機32に送信した後は、連動中継器16から起動オフ信号を受信するまでは、信号を送信しない。従って、SE5とSE6は、
図13における他の位置に記載してもよく、あるいは図示を省略してもよい。
【0135】
一方、送信機32の制御部32jは、
図12のSE1で送信機情報信号の連続送信を開始した後、この連続送信を行う所定時間の経過を管理するため、SE1と同時又はその直後に、制御部32jの内部タイマによる送信時間の計時を開始することによって、
図13に示すように、計時された時間が所定時間以上になったか否かを監視する(SE8)。そして、所定時間以上になった場合には(SE8、Yes)、連続送信を停止し(SE9)、受信機33と確立していた通信を遮断し、間欠受信に復帰して、自重降下再開処理を終了し、
図11の自重降下停止処理を終了して、
図9、10の自重降下処理を終了する。
【0136】
このように管理される連続送信の所定時間の間、制御部32jは、座板スイッチ31からのその時点毎の出力に対応するデータを含んだ送信機情報信号を生成して送信する。そして、この連続送信の所定時間の間に、座板スイッチ31からの出力が再び座板スイッチオン出力になった場合には(SE7、Yes)、シャッターカーテン12の自重降下を停止させるため、
図11の自重降下停止処理を再び起動する(SE10)。以降、これまで説明したのと同様に、自重降下停止処理と自重降下再開処理が、座板スイッチ31の出力に応じて繰り返される。
【0137】
一方、受信機33の制御部33kは、
図12のSE2で送信機情報信号を受信した後、429MHzの受信時間を計測するために制御部32jの内部タイマによる計時をスタートすることにより、
図13に示すように、計測された時間が所定時間以上になったか否かを監視する(SE12)。そして、所定時間以上になった場合には(SE12、Yes)、受信を停止し(SE13)、送信機32と確立していた通信を遮断し、間欠受信に復帰して、自重降下再開処理を終了し、
図11の自重降下停止処理を終了して、
図9、10の自重降下処理を終了する。
【0138】
このように管理される受信の所定時間の間、制御部33kは、送信機情報信号に含まれる座板スイッチ31のその時点毎の出力に対応するデータを監視する。そして、この受信の所定時間の間に、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオン出力であることを示すデータを再び受信した場合には(SE11、Yes)、シャッターカーテン12の自重降下を停止させるため、
図12の自重降下停止処理を再び起動する(SE10)。以降、これまで説明したのと同様に、自重降下停止処理と自重降下再開処理が、座板スイッチ31の出力に応じて繰り返される。
【0139】
(処理−受信機接続状態処理−電動降下処理)
次に、電動降下処理(障害物検知処理、危害防止処理)について説明する。この処理は、定期通報処理が行われている間に、ユーザの手動操作によってシャッターカーテン12を電動降下させるための処理であり、定期通報処理に対する割り込み処理として起動される。なお、以下の説明においても、自重降下処理に関する
図9〜13のフローチャートを参照する。
【0140】
ユーザが手動閉鎖装置15を介して閉鎖操作を行った場合、手動閉鎖装置15から連動中継器16に操作信号が出力され、連動中継器16が開閉機13に起動信号を出力し、開閉機13が、ブレーキを解除した状態で巻き取り軸を巻き出し方向に駆動することにより、シャッターカーテン12を電動下降させる。そして、
図9のSC1、SC2と同様に、この起動オン信号を受信した受信機33が送信機32に対して起動オン信号を送信し、
図9のSC6〜9と同様に、この起動オン信号を受信した送信機32が、受信機33への送信機情報信号の連続送信を開始する。
【0141】
その後、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオン出力になり、
図10のSC13と同様に、座板スイッチオン出力を含む送信機情報信号が送信機32から受信機33に送信され、
図11のSD1と同様に、座板スイッチオン出力が受信機33から連動中継器16に出力された場合、連動中継器16は、下限検知リミットスイッチの検出状態に基づいて、シャッターカーテン12を制御する。
【0142】
具体的には、シャッターカーテン12の下端が下限位置より上方側に位置していることが下限検知リミットスイッチにより検出されている場合には、シャッターカーテン12の下端が障害物に接触した可能性があるため、シャッターカーテン12の降下を一旦停止し、その後受信機33からの座板スイッチオン信号を受けた連動中継器16が開閉機13に起動信号を出力し、開閉機13が、ブレーキを解除した状態で巻き取り軸を所定量だけ巻き取り方向に駆動して停止する動作(タッチアップ動作)を行うことにより、シャッターカーテン12を所定量だけ上昇させて、障害物への危害を一層確実に防止する。
【0143】
一方、シャッターカーテン12の下端が下限位置より下方側に位置していることが下限検知リミットスイッチにより検出されている場合には、シャッターカーテン12の下端が床面に接触したものと考えられるため、シャッターカーテン12の降下を停止する動作(タッチストップ動作)を行う。
【0144】
これらいずれの場合においても、電動降下時には、シャッターカーテン12を自動的に再下降させることは行わず、必要に応じて、ユーザが手動閉鎖装置15を再び操作することでシャッターカーテン12を下降させる。
【0145】
また、これらいずれの場合においても、連動中継器16は受信機33に起動オフ信号を出力し、この起動オフ信号を受けた受信機33の制御部33jは、
図11のSD3と同様に、起動オフ信号を315MHzで第2送信部33fを介して送信し、送信機32の制御部32jは、起動オフ信号を受信した場合には、
図11のSD8と同様に、直ちに連続送信を停止して電池消耗を抑え、受信機33と確立していた通信を遮断する。ただし、電動降下の場合においても、上述したような座板スイッチオフ出力を受けてから所定時間後にシャッターカーテン12を再び下降制御させてもよい。
【0146】
なお、シャッターカーテン12を一旦停止した後に障害物が除去されて座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオフ出力になった場合には、降下再開処理を行わなわないようにしてもよいし、上述したような座板スイッチオフ出力を受けてから所定時間後にシャッターカーテン12を再び下降制御させてもよい。
【0147】
(処理−受信機接続状態処理−テスト処理)
次に、テスト処理について説明する。この処理は、送信機32と受信機33の機能の正常性に関するテストを行うための処理であり、ユーザの操作により任意のタイミングで起動される。まず、送信機32の制御部32jは、送信機32の登録スイッチ32dがユーザによって所定方法で操作されたか否か(例えば、登録処理における登録スイッチ32dの押圧時間とは異なる所定時間だけ連続して押圧されたか否か)を監視しており、操作された場合には、
図9のSC9と同様に、座板スイッチオン出力を示すデータを含んだ送信機情報信号を生成し、この送信機情報信号を、429MHzにおける空きチャンネルにて第1送信部32eを介して所定時間だけ連続送信する。このことにより、
図11の自重降下停止処理が行われることとなり、施工時や定期点検時にこの自重降下停止処理が正常に実行されるか否かを監視することで、送信機32と受信機33の機能の正常性に関するテストを行うことができる。
【0148】
(処理−コードリール接続状態処理)
次に、コードリール接続状態処理について説明する。この処理は、常時監視処理、自重降下処理、及び電動降下処理に大別される。ただし、これら各処理のうち、特記しない手順については、受信機接続状態処理の手順と同様であるものとして説明を省略する。
【0149】
(処理−コードリール接続状態処理−常時監視処理)
最初に、常時監視処理について説明する。連動中継器16の制御部16iは、2つの第1端子16aから取得された信号線51の電流値を常時監視しており、この電流値に基づいて、連動中継器16の接続先の抵抗値(すなわち、信号線51の抵抗と、コードリール34の抵抗と、信号線54の抵抗と、終端抵抗54aの抵抗と、座板スイッチ31の抵抗との合成抵抗値)を特定し、接続先状態テーブル16jに格納されている接続先の状態を特定する情報を参照しながら、当該特定した抵抗値に基づいて、接続先の状態を常時特定する。ここで、例えば、信号線51又は信号線54が断線して、連動中継器16の接続先の抵抗値が変わることにより(具体的には、連動中継器16の接続先の抵抗値=無限大に変わる等)、コードリール34から断線信号が連動中継器16に対して出力されたことで、接続先の状態=電池消耗又は断線状態と特定された場合には、制御部16iは、表示部16fを点灯又は点滅させたり、手動閉鎖装置15に設けた表示灯を点灯又は点滅させたり、所定の外部機器に対して通信障害信号を出力部16eを介して出力したりすることにより、これらの状態の発生を外部に報知する。
【0150】
(処理−コードリール接続状態処理−自重降下処理)
次に、自重降下処理について説明する。連動中継器16の制御部16iは、シャッターカーテン12の自重降下を開始した後、2つの第1端子16aから取得された信号線51の電流値に基づいて、連動中継器16の接続先の抵抗値を特定し、接続先状態テーブル16jに格納されている接続先の状態を特定する情報を参照しながら、当該特定した抵抗値に基づいて、接続先の状態を特定する。ここで、例えば、座板スイッチ31によって障害物が検知されて、連動中継器16の接続先の抵抗値が変わることにより(具体的には、連動中継器16の接続先の抵抗値=100Ωに変わる等)、コードリール34から座板スイッチオン信号が連動中継器16に対して出力されたことで、接続先の状態=障害物検知状態と特定された場合には、制御部16iは、自重降下停止処理を起動する。
【0151】
(処理−コードリール接続状態処理−自重降下処理−自重降下停止処理)
次に、自重降下処理の自重降下停止処理の詳細について説明する。まず、コードリール34から座板スイッチオン信号を受けた連動中継器16の制御部16iは、受信機接続状態処理の自重降下停止処理と同様に、下限リミットスイッチの検出状態と、公知の方法で特定したシャッター装置10における停電の有無とに基づいて、シャッターカーテン12の自重降下を制御する。
【0152】
すなわち、連動中継器16の制御部16iは、座板スイッチ31からの出力を監視すると共に、下限リミットスイッチの検出状態を特定し、座板スイッチ31からの出力=座板スイッチオン出力であり、かつ、下限リミットスイッチ=オンである場合には、完全停止動作等が行われたものと考えられるので、自重降下停止処理を終了して、自重降下処理を終了する。一方、制御部16iは、座板スイッチ31からの出力=座板スイッチオン出力ではなく、あるいは、下限リミットスイッチ=オンではない場合には、完全停止動作等が行われていないと考えられるので、自重降下再開処理を起動する。
【0153】
この際、座板スイッチ31からの出力を特定するため、制御部16iは、2つの第1端子16aから取得された信号線51の電流値に基づいて、連動中継器16の接続先の抵抗値を特定し、接続先状態テーブル16jに格納されている接続先の状態を特定する情報を参照しながら、当該特定した抵抗値に基づいて、接続先の状態を特定する。
【0154】
(処理−コードリール接続状態処理−自重降下処理−自重降下停止処理−自重降下再開処理)
次に、自重降下再開処理について説明する。まず、コードリール34から座板スイッチオフ信号を受けた連動中継器16の制御部16iは、受信機接続状態処理の自重降下再開処理と同様に、挟まった人がシャッターカーテン12から確実に避難できる所定時間が経過したのちに、自動閉鎖装置14に制御信号を出力し、自動閉鎖装置14が開閉機13のブレーキを解除してシャッターカーテン12の自重降下を再開させる。
【0155】
次に、連動中継器16の制御部16iは、シャッターカーテン12の自重降下を再開した後、2つの第1端子16aから取得された信号線51の電流値に基づいて、連動中継器16の接続先の抵抗値を特定し、接続先状態テーブル16jに格納されている接続先の状態を特定する情報を参照しながら、当該特定した抵抗値に基づいて、接続先の状態を特定する。ここで、例えば、座板スイッチ31によって障害物が検知されて、連動中継器16の接続先の抵抗値が変わることにより(具体的には、連動中継器16の接続先の抵抗値=100Ωに変わる等)、コードリール34から座板スイッチオン信号が連動中継器16に対して出力されたことで、接続先の状態=障害物検知状態と特定された場合には、制御部16iは、シャッターカーテン12の自重降下を停止させるため、自重降下停止処理を再び起動する。以降、これまで説明したのと同様に、自重降下停止処理と自重降下再開処理が、座板スイッチ31の出力に応じて繰り返される。
【0156】
(処理−コードリール接続状態処理−電動降下処理)
次に、電動降下処理(障害物検知処理、危害防止処理)について説明する。連動中継器16の制御部16iは、開閉機13に起動信号を出力してシャッターカーテン12を電動下降させた後、2つの第1端子16aから取得された信号線51の電流値に基づいて、連動中継器16の接続先の抵抗値を特定し、接続先状態テーブル16jに格納されている接続先の状態を特定する情報を参照しながら、当該特定した抵抗値に基づいて、接続先の状態を特定する。ここで、例えば、座板スイッチ31によって障害物が検知されて、連動中継器16の接続先の抵抗値が変わることにより(具体的には、連動中継器16の接続先の抵抗値=100Ωに変わる等)、コードリール34から座板スイッチオン信号が連動中継器16に対して出力されたことで、接続先の状態=障害物検知状態と特定された場合には、制御部16iは、下限検知リミットスイッチの検出状態に基づいて、シャッターカーテン12を制御する。この制御は、受信機接続状態処理における電動降下処理と同様に行うことができる。
【0157】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係るシャッター障害物検知システムについて説明する。この実施の形態2は、制御手段が、有線中継手段又は第2通信手段のいずれが接続されているのかを判定し、当該判定結果と接続先の抵抗値とに基づいて、接続先の状態を特定する形態である。ただし、この実施の形態2の構成及び処理は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成及び処理と略同一であり、実施の形態1と同じ構成及び処理については、必要に応じて、この実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0158】
(構成)
最初に、実施の形態2に係るシャッター障害物検知システム30の構成を説明する。実施の形態2に係るシャッター障害物検知システム30は、実施の形態1に係るシャッター障害物検知システム30と同様に構成されている。ただし、連動中継器16における記憶部16gの接続先状態テーブル16jの構成、及び接続先の抵抗値の切り替えについては、下記に示す工夫が施されている。
【0159】
(構成−接続先状態テーブル)
図14は、実施の形態2に係る接続先状態テーブル16jの構成例を示す図である。
図14に示すように、接続先状態テーブル16jは、項目「接続先」、項目「抵抗値の設定範囲」、項目「接続先の状態」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「接続先」に対応する情報は、接続先を特定する情報であり、例えば、「受信機接続状態」等が該当する。なお、項目「抵抗値の設定範囲」、及び項目「接続先の状態」に対応する情報は、
図3の接続先状態テーブル16jの同一項目名に対応して格納される情報と同じであるので、説明を省略する。
【0160】
(構成−接続先の抵抗値の切り替え)
接続先の抵抗値の切り替えについては、実施の形態2においては、連動中継器16は、自己の接続先を判定し(受信機接続状態とコードリール接続状態を区別する)、当該判定結果と第1端子16aの接続先の抵抗値とに基づいて、接続先の状態を判定する。ここで、連動中継器16は、受信機接続状態とコードリール接続状態との区別を行うため、電池消耗状態と断線状態とをそれぞれ別々に判定する。
【0161】
また、実施の形態2においては、複数の接続先の状態の各々における受信機接続状態の接続先の抵抗値及びコードリール接続状態の接続先の抵抗値は、複数の接続先の状態の各々と対応付けられた抵抗値の設定範囲であって、受信機33及びコードリール34に対してそれぞれ別々に設定された抵抗値の設定範囲(具体的には、接続先状態テーブル16jに格納されている接続先毎の接続先の抵抗値の設定範囲を特定する情報に含まれる設定範囲)に含まれる抵抗値に設定されている。
【0162】
(処理)
次に、上記のように構成されたシャッター障害物検知システム30において実行される処理について説明する。ただし、この処理は、基本的には実施の形態1と同様に行うことができるため、その詳細な説明は省略する。しかしながら、実施の形態1とは異なり、連動中継器16の制御部16iは、自己の接続先の状態を特定する際に(例えば、シャッターカーテン12を自重降下又は電動降下させた後において座板スイッチ31からの出力を監視している際に)、2つの第3端子16cから取得された電力線53の電流値に基づいて、自己の接続先を判定する。すなわち、電力線53を介して流れる電流値が所定値以上である場合には、自己の接続先=信号線51及び受信機33であると判定し(接続状態=受信機接続状態であると判定し)、電力線53を介して流れる電流値が所定値未満である場合には、自己の接続先=信号線51、コードリール34、信号線54、及び座板スイッチ31であると判定する(接続状態=コードリール接続状態であると判定する)。
【0163】
そして、受信機接続状態であると判定した場合、連動中継器16の制御部16iは、
図14の接続先状態テーブル16jにおける接続先=受信機接続状態に対応する「抵抗値の設定範囲」及び「接続先の状態」を参照して、接続先の状態を判定する。例えば、2つの第1端子16aから取得された信号線51の電流値=600kΩである場合には、接続先の状態=電池消耗状態であると判定する。
【0164】
一方、コードリール接続状態であると判定した場合には、連動中継器16の制御部16iは、
図14の接続先状態テーブル16jにおける接続先=コードリール接続状態に対応する「抵抗値の設定範囲」及び「接続先の状態」を参照して、接続先の状態を判定する。例えば、2つの第1端子16aから取得された信号線51の電流値=600kΩである場合には、接続先の状態=断線状態であると判定する。
【0165】
特に、
図14の接続先状態テーブル16jに、受信機接続状態においてのみ生じ得る通信障害状態又は電池消耗状態に対応する抵抗値の設定範囲と、コードリール接続状態においてのみ生じ得る断線状態に対応する抵抗値の設定範囲とが、相互に重複する範囲として設定されている場合(例えば、
図14において、電池消耗状態に対応する抵抗値の設定範囲と、断線状態に対応する抵抗値の設定範囲は、いずれも500kΩ以上の範囲を重複して含んでいる)であっても、受信機接続状態とコードリール接続状態との区別を行うことで、これら通信障害状態又は電池消耗状態と断線状態とを相互に区別して判定することができる。このため、例えば、通信障害状態又は電池消耗状態の場合に報知を行うための表示灯と、断線状態の場合に報知を行うための表示灯とを、連動中継器16に別々に設けて点灯させてもよい。
【0166】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する
【0167】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、従来のシステムよりも、通信の互換性をもたせることが困難な場合が生じたとしても、本願発明の手段が従来のシステムの手段と異なっている場合には、本願の課題が解決されている。
【0168】
(シャッターカーテンの降下制御について)
シャッターカーテン12の降下制御については、上記と異なる制御を採用してもよい。例えば、上記実施の形態1、2においては、電動降下時に座板スイッチオンとなったことで電動降下を停止させた場合には、座板スイッチオフとなっても電動降下を自動的に再開することはしていないが、電動降下を自動的に再開させてもよい。例えば、電動降下時に座板スイッチオンとなったことで電動降下を停止させ、タッチアップ動作を行った場合に、連動中継器16から起動オン信号を継続して出力することで、電動降下を自動的に再開させることができる。
【0169】
(障害物検知結果の利用について)
上記実施の形態1、2では、シャッター障害物検知システム30による検知結果に基づいて、シャッターの降下制御を行っているが、この検知結果は他の目的で利用してもよい。例えば、シャッター装置がセキュリティゾーンへの人の侵入を防止するためのものであり、軽量シャッター装置であるために障害物に対して危害を与える可能性が低い場合には、シャッター障害物検知システム30により障害物が検知されてもシャッターカーテン12の降下停止は行わず、セキュリティシステムへの移報出力のみを行ってもよい。
【0170】
(周波数帯域の選択について)
上記実施の形態1、2における受信機接続状態では、第1周波数帯域と第2周波数帯域については、上記例示した周波数帯域以外の周波数帯域を選択してもよい。例えば、送信機32から受信機33へ障害物検知状態信号を送信する際、連続送信を行うことが必要でない場合には、連続送信を行うことができない周波数帯域(一定時間送信を行った後、一定時間の休止が義務付けられている周波数帯域)を第1周波数帯域として選択してもよい。また、シャッター装置10が単独でのみ設置される場合のように、複数のシャッター装置10の各々に設けられたシャッター障害物検知システム30の信号が相互に混信するような可能性がない場合には、受信機33から送信機32への信号送信時のキャリアセンスを省略するものとし、第1周波数帯域としてキャリアセンスが義務付けられていない周波数帯域を選択してもよい。また、上記実施の形態では、第1周波数帯域と第2周波数帯域を相互に異なる周波数としているが、これらを相互に同一の周波数としてもよい。
【0171】
(受信部及び送信部と、周波数帯域の数について)
また、上記実施の形態1、2における受信機接続状態では、送信機32に第1受信部32fと第1送信部32eを設け、受信機33に第2受信部33fと第2送信部33gを設けて、これら各受信部と各送信部を介して第1周波数帯域と第2周波数帯域を用いた通信を行うことで、2系統×2周波数帯域での通信を行っているが、2系統を超える数の通信系統を設けたり、2周波数帯域を超える数の周波数帯域を使用してもよい。例えば、受信機33から送信機32に信号を送信する系統として、障害物検知状態信号を送信する系統と、電池消耗を送信する系統を別々に専用系統として設けてもよく、これらを相互に異なる周波数帯域で送信してもよい。また、一方向通信のみを行う場合には、送信機32の第1受信部32fと、受信機33の第2送信部33gとを、省略してもよい。
【0172】
(閉鎖動作の特定について)
また、上記実施の形態1、2における受信機接続状態では、第1受信部32fの受信間隔を変更する条件を、振動センサ32aから振動検知信号が出力されたこととし、第1送信部32eの連続送信を開始する条件を、制御部32jによって起動オン信号の受信が特定されたこととしているが、これら条件を相互に変更したり、一方を省略等したりしてもよい。例えば、振動センサ32aから振動検知信号が出力された場合に、第1送信部32eが連続送信を開始するようにしてもよい。すなわち、振動センサ32aからの振動検知信号の出力状態や、起動オン信号の受信状態とを、AND条件やOR条件として任意に組み合わせて、第1受信部32fの受信間隔を変更したり、第1送信部32eの連続送信を開始させてもよい。
【0173】
(送信機32の受信状態の変更について)
また、上記実施の形態1、2における受信機接続状態では、振動センサ32aにて振動が検知された場合には、送信機32の第1受信部32fの受信状態を、間欠受信から割り込み受信に変更しているが、この他の方法を採用してもよい。例えば、定期通報が必要ない場合には、通常時には第1受信部32fを完全に休止させることで送信機32における電池の消費電力量を低減し、振動センサ32aにて振動が検知された場合に、第1受信部32fを起動させてもよい。あるいは、通常時には第1受信部32fを間欠受信させ、振動センサ32aにて振動が検知された場合に、第1受信部32fの間欠受信間隔を短くしてもよい。このように「間欠受信間隔を短くする」という概念には、上記実施の形態のように、第1受信部32fの受信状態を間欠受信から割り込み受信に変更することを含む。
また、上記実施の形態1、2では、振動センサ32aからの出力が所定時間継続している場合にのみ、第1受信部32fの受信状態を変更しているが、地震や風等による振動を誤検知する可能性を考慮する必要がない場合等には、振動センサ32aからの出力があった場合には直ちに受信状態を変更してもよい。
【0174】
(内部抵抗テーブルについて)
上記実施の形態1では、連動中継器16の接続先テーブルに格納された抵抗値の設定範囲を特定する情報のうち、接続先の状態=電池消耗又は断線状態に対応する抵抗値の設定範囲を特定する情報と、接続先の状態=通信障害状態に対応する抵抗値の設定範囲を特定する情報とが、相互に異なる設定範囲に設定されていると説明したが、これに限られず、例えば、これら接続先の状態に対応する抵抗値の設定範囲を特定する情報が、相互に同一の設定範囲に設定されてもよい。これにより、抵抗値の設定範囲の設定数を抑えることが可能となる。
【0175】
(付記)
上述した課題を解決し、目的を達成するために、付記1に記載のシャッター障害物検知システムは、開口部を開閉するシャッターカーテンに対する障害物を検知するシャッター障害物検知システムであって、前記シャッターカーテンの閉鎖動作の障害になる障害物が前記開口部に存在することを検知する障害物センサと、前記障害物センサによる障害物の検知状態に基づいて前記シャッターカーテンの開閉制御を行う制御手段と、を備え、前記障害物センサの検知状態を示す信号を前記制御手段に出力する手段として、前記障害物センサ及び前記制御手段に対して有線接続された有線中継手段と、前記障害物センサの検知状態を示す信号を送信する第1通信手段に無線接続されると共に前記制御手段に対して有線接続された第2通信手段とのうち、いずれか一方を前記制御手段に選択的に接続可能とし、前記有線中継手段と前記第2通信手段の各々は、前記制御手段に対する接続先であって自己を含む接続先の抵抗値を変えることにより、前記障害物センサの検知状態を示す信号を前記制御手段に出力し、前記制御手段は、前記有線中継手段又は前記第2通信手段のいずれが自己の接続先に含まれているかに関わらず、前記接続先の抵抗値に基づいて、前記障害物センサの検知状態を特定する。
【0176】
また、付記2に記載のシャッター障害物検知システムは、付記1に記載のシャッター障害物検知システムにおいて、前記制御手段には、前記障害物センサが取り得る複数の検知状態の各々と、抵抗値の設定範囲であって前記有線中継手段及び前記第2通信手段に対して共通に設定された設定範囲とが、相互に対応付けて設定されており、前記有線中継手段と前記第2通信手段の各々は、前記接続先の抵抗値を、前記障害物センサが取り得る複数の検知状態の各々に応じて、当該検知状態に対応する前記設定範囲に含まれる抵抗値に変えることにより、前記障害物センサの検知状態を示す信号を前記制御手段に出力し、前記制御手段は、前記接続先の抵抗値を特定し、前記障害物センサの検知状態を、当該特定した抵抗値を含む前記設定範囲に対応する障害物センサの検知状態として特定する。
【0177】
付記3に記載のシャッター障害物検知システムは、付記2に記載のシャッター障害物検知システムにおいて、前記制御手段に設定された抵抗値の設定範囲のうち、前記有線中継手段と前記障害物センサ又は前記制御手段とを接続する信号線が断線した際の抵抗値の設定範囲と、前記第2通信手段における前記第1通信手段との通信障害に関する所定状態が発生した際の抵抗値の設定範囲とを、相互に同じ設定範囲としている。
【0178】
(付記の効果)
付記1に記載のシャッター障害物検知システムによれば、制御手段は、有線中継手段又は第2通信手段のいずれが自己の接続先に含まれているかに関わらず、接続先の抵抗値に基づいて障害物センサの検知状態を特定するので、障害物検知システムが有線式であるか無線式であるかに関わらず、共通の制御手段を用いることが可能になるため、有線式の障害物検知システムと無線式の障害物検知システムとの互換性を高めることが可能になる。従って、従来のように有線式と無線式とで異なる制御手段を準備する必要がなくなり、障害物検知システムの製造コストを低減することが可能になる。また、シャッター装置を実際に設置してから、シャッター装置の周囲の電波環境に応じて有線中継手段又は第2通信手段のいずれかを選択して共通の制御手段に接続することができるので、障害物検知システムの取り付けの手間を低減することが可能になる。
【0179】
付記2に記載のシャッター障害物検知システムによれば、制御手段には、障害物センサが取り得る複数の検知状態の各々と、有線中継手段及び第2通信手段に対して共通に設定された抵抗値の設定範囲とが、相互に対応付けて設定されているので、制御手段は、有線中継手段又は第2通信手段のいずれが自己の接続先に含まれているかに関わらず、接続先の抵抗値に対応する検知状態を特定することにより、障害物センサの検知状態を特定することが可能になる。従って、このように有線中継手段を含む接続先の抵抗値と、第2通信手段を含む接続先の抵抗値とを、共通の抵抗値の設定範囲に合致する抵抗値に予め設定しておき、シャッター装置の周囲の電波環境に応じて有線中継手段又は第2通信手段のいずれかを選択して共通の制御手段に接続するだけで、障害物検知システムを構築することが可能になる。
【0180】
付記3に記載のシャッター障害物検知システムによれば、有線中継手段と障害物センサ又は制御手段とを接続する信号線が断線した際の抵抗値の設定範囲と、第2通信手段における第1通信手段との通信障害に関する所定状態が発生した際の抵抗値の設定範囲とを、相互に同じ設定範囲としたので、有線式の障害物検知システムに特有の障害である信号線の断線と、無線式の障害物検知システムに特有の障害である通信障害とを、相互に同じ設定範囲により制御手段において特定することが可能になる。