特許第6190767号(P6190767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190767
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】キャップ構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/00 20060101AFI20170821BHJP
   B65D 41/06 20060101ALI20170821BHJP
   B60K 15/05 20060101ALI20170821BHJP
   B62J 35/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B65D51/00 200
   B65D41/06
   B60K15/05 A
   B62J35/00 D
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-130918(P2014-130918)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-8079(P2016-8079A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2016年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英明
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄介
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−061750(JP,U)
【文献】 特開2005−178431(JP,A)
【文献】 特開平05−330469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B60K 11/00−15/10
E05B 1/00−85/28
B62J 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクに形成された開口と、前記開口に着脱自在に取り付けられるキャップとを有するキャップ構造であって、
前記開口は、開口縁部のタンク内側部分に形成された係止部と、当該開口を拡張するように前記開口縁部の一部から外方に向けて延びる拡張部とを有し、
前記キャップは、前記開口に挿入される本体部と、前記本体部の外端に設けられ、前記開口縁部のタンク外側部分に当接するフランジ部と、前記本体部の側面から突出し、前記本体部が前記開口に挿入されるときに前記拡張部を通過し、前記本体部が回転されることによって前記開口縁部のタンク内側部分と対向し、前記係止部に係止されるロック部材と、前記本体部の側面に突設され、前記本体部を前記開口に挿入するときに前記ロック部材と前記開口縁部のタンク外側部分との接触を阻止する保護壁とを有し、
前記保護壁は、前記ロック部材よりも前記本体部の内端側を、前記本体部の軸線を中心とした周方向に、前記ロック部材を横切って延在する部分を有することを特徴とするキャップ構造。
【請求項2】
タンクに形成された開口と、前記開口に着脱自在に取り付けられるキャップとを有するキャップ構造であって、
前記開口は、開口縁部のタンク内側部分に形成された係止部と、当該開口を拡張するように前記開口縁部の一部から外方に向けて延びる拡張部とを有し、
前記キャップは、前記開口に挿入される本体部と、前記本体部の外端に設けられ、前記開口縁部のタンク外側部分に当接するフランジ部と、前記本体部の側面から突出し、前記本体部が前記開口に挿入されるときに前記拡張部を通過し、前記本体部が回転されることによって前記開口縁部のタンク内側部分と対向し、前記係止部に係止されるロック部材と、前記本体部の側面に突設され、前記本体部を前記開口に挿入するときに前記ロック部材と前記開口縁部のタンク外側部分との接触を阻止する保護壁とを有し、
前記保護壁は、前記本体部の軸線を中心とした周方向において、前記ロック部材の両側に設けられた部分と、前記ロック部材が前記係止部に係止されるときに、前記開口縁部のタンク内側部分に当接する抜け止め部を有することを特徴とするキャップ構造。
【請求項3】
前記保護壁は、前記ロック部材よりも前記本体部の内端側に位置する部分を有することを特徴とする請求項2に記載のキャップ構造。
【請求項4】
前記保護壁は、前記ロック部材よりも前記本体部の内端側に位置する部分から前記ロック部材よりも前記本体部の外端側に延在することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のキャップ構造。
【請求項5】
前記保護壁は、前記本体部の軸線を中心とした周方向において、前記ロック部材の両側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ構造。
【請求項6】
前記保護壁は、前記ロック部材が前記係止部に係止されるときに、前記開口縁部のタンク内側部分に当接する抜け止め部を有することを特徴とする請求項5に記載のキャップ構造。
【請求項7】
前記開口縁部のタンク内側部分には凸部が突設され、
前記保護壁は、前記ロック部材が前記係止部に係止されるときに、前記凸部に前記本体部の軸線を中心とした周方向から当接する回り止め部を有することを特徴とする請求項2又は請求項6に記載のキャップ構造。
【請求項8】
前記凸部の突出端面に前記係止部が凹設され、
前記本体部の軸線を中心とした周方向において、前記ロック部材の一側に前記抜け止め部が配置され、他側に前記回り止め部が配置され、
前記ロック部材は前記本体部の外端側に付勢され、前記係止部に嵌合することができ、
前記抜け止め部は、前記ロック部材が前記係止部に嵌合するときに、前記凸部の突出端面に当接することを特徴とする請求項7に記載のキャップ構造。
【請求項9】
前記保護壁は、前記本体部が前記開口に挿入されるときに、前記拡張部を通過可能な大きさに形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つの項に記載のキャップ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクに形成された開口と、開口に着脱自在に取り付けられるキャップとを有するキャップ構造に関し、例えば車両の燃料タンクに適用される。
【背景技術】
【0002】
車両の燃料タンクの給油口を閉塞するキャップ構造として、バヨネット式のキャップ構造が知られている。例えば特許文献1に係るキャップ構造では、給油口はその孔縁に径方向外方に拡張された切欠部を周方向に等間隔に有している。キャップは、給油口に挿入される本体部と、本体部から径方向外方に突出した係止片を有している。係止片は、キャップの本体部が給油口に挿入されるときに切欠部を通過し、本体部が給油口の軸線回りに回転されることによって給油口の孔縁の裏側に回り込む。これにより、係止片が給油口の孔縁に係止され、キャップの抜き出し方向への移動が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−61750
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなキャップ構造は、キャップを給油口に装着する際、キャップの本体部から突出する係止片を切欠部と正対させる必要がある。仮に、係止片及び切欠部の位置がずれた状態でキャップを給油口に挿入しようとすると、係止片が給油口の孔縁と衝突し、変形や折損等の破損が生じる虞がある。そのため、キャップを給油口に装着する際には注意を要し、装着作業が煩わしいという問題がある。
【0005】
以上の背景に鑑み、本発明は、タンクに形成された開口と、開口に着脱自在に取り付けられるキャップとを有するキャップ構造において、キャップの破損を抑制すると共に、装着作業を容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、タンク(2)に形成された開口(6)と、前記開口に着脱自在に取り付けられるキャップ(8)とを有するキャップ構造(1)であって、前記開口は、開口縁部(90)のタンク内側部分に形成された係止部(100)と、当該開口を拡張するように前記開口縁部の一部から外方に向けて延びる拡張部(92)とを有し、前記キャップは、前記開口に挿入される本体部(14)と、前記本体部の外端に設けられ、前記開口縁部のタンク外側部分に当接するフランジ部(28)と、前記本体部の側面から突出し、前記本体部が前記開口に挿入されるときに前記拡張部を通過し、前記本体部が回転されることによって前記開口縁部のタンク内側部分と対向し、前記係止部に係止されるロック部材(22)と、前記本体部の側面に突設され、前記本体部を前記開口に挿入するときに前記ロック部材と前記開口縁部のタンク外側部分との接触を阻止する保護壁(80)とを有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、キャップの本体部の側面に突設された保護壁によってロック部材が保護され、ロック部材と開口縁部のタンク外側部分との接触が避けられ、ロック部材の破損が防止される。そのため、使用者は、ロック部材の破損を心配することなく、キャップを給油口に挿入することができ、装着作業が容易になる。
【0008】
また、上記の発明において、前記保護壁は、前記ロック部材よりも前記本体部の内端側に位置する部分を有するとよい。また、前記保護壁は、前記ロック部材よりも前記本体部の内端側を、前記本体部の軸線を中心とした周方向に、前記ロック部材を横切って延在する部分(83)を有するとよい。また、前記保護壁は、前記本体部の軸線を中心とした周方向において、前記ロック部材の両側に設けられているとよい。
【0009】
これらの構成によれば、保護壁によってロック部材と開口縁部のタンク外側部分との接触が一層確実に避けられる。
【0010】
また、上記の発明において、前記保護壁は、前記ロック部材よりも前記本体部の内端側に位置する部分から前記ロック部材よりも前記本体部の外端側に延在しているとよい。
【0011】
この構成によれば、保護壁はロック部材の側方を本体部の挿入方向にロック部材よりも内端側から外端側にかけて延在するため、保護壁によってロック部材と開口縁部のタンク外側部分との接触が一層確実に避けられる。
【0012】
また、上記の発明において、前記保護壁は、前記ロック部材が前記係止部に係止されるときに、前記開口縁部のタンク内側部分に当接する抜け止め部(81A)を有するとよい。
【0013】
この構成によれば、保護壁の抜け止め部が開口縁部のタンク内側部分に当接し、キャップの抜け出し方向への荷重に抗するため、ロック部材に加わる荷重が軽減され、ロック部材の破損が防止される。
【0014】
また、上記の発明において、前記開口縁部のタンク内側部分には凸部(94)が突設され、前記保護壁は、前記ロック部材が前記係止部に係止されるときに、前記凸部に前記本体部の軸線を中心とした周方向から当接する回り止め部(82A)を有するとよい。
【0015】
この構成によれば、回り止め部と凸部とが当接することによって、キャップの本体部の回転量が規制される。これにより、係止部に対するロック部材の位置が定まり、ロック部材が係止部に確実に係止される。
【0016】
また、上記の発明において、前記凸部の突出端面に前記係止部が凹設され、前記本体部の軸線を中心とした周方向において、前記ロック部材の一側に前記抜け止め部が配置され、他側に前記回り止め部が配置され、前記ロック部材は本体部の外端側に付勢され、前記係止部に嵌合することができ、前記抜け止め部は、前記ロック部材が前記係止部に嵌合するときに、前記凸部の突出端面(96)に当接するとよい。
【0017】
この構成によれば、係止部に対するロック部材の位置が定まり、ロック部材が係止部に確実に係止される。また、ロック部材が係止部に嵌合することによって、本体部の回転が規制される。
【0018】
また、上記の発明において、前記保護壁は、前記本体部が前記開口に挿入されるときに、前記拡張部を通過可能な大きさに形成されているとよい。
【0019】
この構成によれば、保護壁が拡張部を通過することによって、保護壁に保護されたロック部材が開口縁部と接触することなく拡張部を通過することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、タンクに形成された開口と、開口に着脱自在に取り付けられるキャップとを有するキャップ構造において、キャップの破損を抑制すると共に、装着作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係るキャップ構造が適用された燃料タンクの斜視図
図2】実施形態に係るキャップを基端側から見た斜視図
図3】実施形態に係るキャップを先端側から見た斜視図
図4】実施形態に係るキャップの分解斜視図
図5】実施形態に係る燃料タンクの給油口形成部材を外側から見た斜視図
図6】実施形態に係るキャップが給油口に装着された構造を示す縦断面図
図7】実施形態に係るキャップが給油口に装着された構造を示す縦断面図
図8】実施形態に係るキャップを給油口に装着するときの各段階の形態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1に示すように、キャップ構造1は、燃料タンク2の給油口6に設けられる。燃料タンク2は、二輪車の座席前方に配置される。二輪車は、例えば競技用又はオフロード用である。給油口6は、燃料タンク2の上壁4に形成された貫通孔である。給油口6には、燃料タンク用のキャップ8が着脱可能に取り付けられる。キャップ8は、燃料タンク2に挿入された状態で回転されると、燃料タンク2に固定され、給油口6を閉塞する。
【0024】
図2及び図3における図面の上方をキャップ8の基端側とし、図面の下方をキャップ8の先端側とし、先端側又は基端側に向かう方向を軸線A方向として説明する。図2図5に示すように、キャップ8は、基端部材10、シール部材12、先端部材14、リッド16、操作部材18、付勢部材20、ロック部材22を有する。基端部材10、先端部材14、リッド16、操作部材18、ロック部材22は、樹脂の成形品であってよい。
【0025】
基端部材10は、キャップ8の基端側を構成する。基端部材10は、キャップ8を燃料タンク2に対して取り付け又は取り外すときに使用者が把持できる把持部としての機能を有する。基端部材10は、軸線A方向に貫通する挿通孔24が中央に形成された円板部26と、挿通孔24の周方向の一部を取り囲むように円板部26から基端側に向けて立設された縦壁30と、挿通孔24の基端側を跨ぐように縦壁30の突出端から延出した延出部32とを有する。円板部26の外周部は、燃料タンク2の上壁4の給油口6の周囲に当接する(対向する)フランジ28をなす。
【0026】
縦壁30は、使用者がキャップ8を把持した際に回転させやすいように、周方向に対して凹凸が設けられている。円板部26の基端側の表面、縦壁30及び延出部32によって画定された空洞は、一方の半径方向が開放されているため、使用者が指を差し入れることができる。円板部26及び縦壁30には、軸線Aと平行に延び、それぞれを貫通する接続孔38が形成されている。接続孔38の内径は、縦壁30を延在する部分が基体本体部を延在する部分に対して段違いに拡径されている。
【0027】
円板部26の先端側の面からは、内側に雌ねじが形成された3つのボス42が先端側に向けて突出している。3つのボス42は、挿通孔24と同心の1つの円周上に設けられ、互いに120°ずれた位置に配置されている。
【0028】
シール部材12は、天然ゴムや合成ゴム等のフレキシブルな素材によって形成される。シール部材12は、円板形に形成され、円板部26及びフランジ28の先端側の面に取り付けられる。シール部材12は、その中央部に厚み方向に貫通し、挿通孔24と対向する嵌入孔44を有する。また、シール部材12は、基端部材10の3つのボス42がそれぞれ通過するための貫通孔46と、後述する接続管54が貫通する貫通孔47を有する。
【0029】
先端部材14は、キャップ8の先端側を構成する。先端部材14は、一端が底壁50によって閉塞され、他端が開口した円筒形の内周壁51と、内周壁51の外周側に同心状に配置された円筒形の外周壁52と、内周壁51の他端と対応する外周壁52の端部とを繋ぐ端壁53とを有する。外周壁52の内径は、内周壁51の外径よりも大きく、外周壁52の内周面と内周壁51の外周面との間には隙間が形成されている。端壁53の外面は、内周壁51及び外周壁52の軸線と直交する平面に形成されている。外周壁52の端壁53と相反する側の端部は、内周壁51及び外周壁52の軸線において内周壁51の底壁50側の端部よりも外方に延出している。
【0030】
先端部材14は、基端部材10の先端側において、基端部材10と同軸に、かつ端壁53が基端部材10側に位置するように配置される。端壁53には、基端部材10の3つのボス42がそれぞれ通過するための貫通孔(不図示)を有する。基端部材10の3つのボス42は、シール部材12の貫通孔46及び端壁53の貫通孔を通過して端壁53の先端側に延びる。端壁53の外面は、シール部材12の先端側の面に当接し、基端部材10との間にシール部材12を挟持する。外周壁52の外径は、フランジ28の外径よりも小さく、先端部材14はキャップ8の本体部(軸部)を構成する。底壁50の基端側面の中央には、軸線A方向に沿って支持軸55が突設されている。
【0031】
先端部材14は、端壁53から基端側に突出する接続管54を有する。接続管54は、両端が開口し、端壁53を貫通している。接続管54は、シール部材12の貫通孔47を通過し、基端部材10の接続孔38の内部に突入する。接続管54の端部は、接続孔38の縦壁30内に位置する部分に配置される。接続管54の外径は、接続孔38の縦壁30内に位置する部分の内径よりも小さく形成されている。
【0032】
内周壁51、外周壁52、及び端壁53には、端壁53から先端側に凹設された3つのスリット56が形成されている。各スリット56は、先端部材14の径方向において、内周壁51及び外周壁52を貫通するように延びている。各スリット56は縁壁によって囲まれ、内周壁51、外周壁52、及び端壁53はそれぞれの両面側がスリット56を介して連通しないようになっている。3つのスリット56は互いに周方向に120°ずれた位置に配置される。
【0033】
リッド16は、略円板状を呈し、先端部材14の底壁50の先端側の面に取り付けられる。リッド16の外径は、先端部材14の外周壁52の内径と略一致し、先端部材14の外周壁52の先端側に嵌合する。リッド16には、基端側に向けて延出し、内周壁51と外周壁52との間に配置される3つのボス60が設けられている。各ボス60の内側には貫通孔が形成されている。3つのボス60は、基端部材10のボス42と対向するように、互いに周方向に120°ずれた位置に配置されている。リッド16のボス60及び基端部材10のボス42にボルト61が挿入され、基端部材10のボス42内の雌ねじにボルト61が螺着することによって、基端部材10、先端部材14、及びリッド16は一体に締結される。
【0034】
リッド16の外周縁の一部には、軸線A方向に沿って切欠溝58が形成されている。切欠溝58は、燃料タンク2内部とリッド16及び先端部材14によって囲まれた先端室63とを連通する。燃料タンク2内部の燃料蒸気は、切欠溝58、先端室63を通過して、接続管54に流れる。先端室63は、セパレータとして機能し、液体燃料が接続管54に流れることを防止する。接続管54には図示しないホースが接続される。ホースは、例えばキャニスタに接続されている。
【0035】
操作部材18は、円筒形の筒壁62と、基端側に設けられ、筒壁62の基端側を閉じる押込部64とを有する。操作部材18は、基端部材10の挿通孔24に、押込部64が基端側に突出するように、摺動可能に受容される。押込部64は、中央部が基端側に突出した円錐形状を呈し、操作部材18を先端側に押し込む際に使用者によって押し込まれる部分である。支持軸55は、筒壁62の内部に突入し、操作部材18の変位方向をガイドする。
【0036】
筒壁62の外周面には、周方向に延在して円環状を呈する4つの突条66a〜66dが設けられている(基端側から順に第1突条66a、第2突条66b、第3突条66c及び第4突条66dとする)。最も基端側に配置された第1突条66aは、操作部材18の軸線方向の略中央に設けられ、その外径は、基端部材10の挿通孔24の内径よりも大きい。第1突条66aと第2突条66bとの間で画定される第1環状溝68は、シール部材12の内周縁が嵌合する。また、第3突条66cと第4突条66dとによって第2環状溝70が画定される。第4突条66dは、操作部材18の先端を形成している。
【0037】
付勢部材20は、圧縮コイルばねであり、一端が先端部材14の底壁50の基端側に当接し、他端が操作部材18の押込部64の裏面に当接し、先端部材14に対して操作部材18を基端側に向けて付勢する。また、付勢部材20は、支持軸55の外周に配置され、倒れが抑制されている。使用者が操作部材18を押し込んでいない初期状態においては、付勢部材20の付勢力に抗して、基端部材10の挿通孔24の周縁が操作部材18の第1突条66aを係止し、操作部材18の基端側への移動が規制される。この初期状態において、操作部材18の押込部64と、基端部材10の延出部32とは離間している。
【0038】
ロック部材22は、バヨネット式でキャップ8を燃料タンク2に取り付けるための部材である。ロック部材22は、約240°にわたって円弧状に延在する基部72と、基部72から半径方向外側に向けて延出する3つのロック片74とを有する。3つのロック片74は、互いに120°ずれた位置に配置される。ロック部材22は、基部72が操作部材18の第2環状溝70に嵌合し、各ロック片74が各スリット56を通過して外周壁52の外方に突出する。
【0039】
図○に示すように、外周壁52の外周面であって、各スリット56の周囲には保護壁80がそれぞれ突設されている。軸線A方向に沿って基端側から見た状態を基準として、軸線Aを中心とした右回りの回転方向を時計回り方向、左回りの回転方向を反時計回り方向と規定する。保護壁80は、周方向における時計回り方向側に配置された第1部分81と、周方向における反時計回り方向側に配置された第2部分82と、スリット56の底部の先端側を周方向に延びる第3部分83とを有する。保護壁80の第1部分81及び第2部分82は、それぞれ軸線A方向と平行に延在している。
【0040】
第1部分81は、周方向に所定の幅を有し、その先端側の端部が外周壁52の先端縁に到達し、基端側の端部が外周壁52の基端縁から先端端側に離れた位置に配置されている。第1部分81の基端側の端部は抜け止め部81Aを構成する。抜け止め部81Aは、軸線Aと直交し、かつ基端側を向く端面81Bを有する。抜け止め部81Aの端面81Bは、周方向に延在し、所定の長さを有する。抜け止め部81Aの端面81Bの周方向における時計回り方向側の端部には、時計回り方向側に進むほど先端側に進むように傾斜した傾斜面81Cが形成されている。抜け止め部81Aの端面81Bは、初期状態におけるロック片74の遊端の先端側部分よりも先端側に配置されている。
【0041】
第2部分82は、周方向に所定の幅を有し、その先端側の端部が外周壁52の先端縁に到達し、基端側の端部が外周壁52の基端縁に到達している。すなわち、第2部分82は第1部分81よりも基端側に延出した部分を有する。第2部分82における第1部分81よりも基端側に延出した部分は、回り止め部82Aを構成する。
【0042】
第3部分83は、スリット56の底部の先端側を周方向に延在し、第1部分81及び第2部分82に連続している。本実施形態では、第3部分83は、軸線A方向に比較的広い幅を有し、その先端側の端部は外周壁52の先端縁に到達している。
【0043】
以上のように構成される保護壁80は、第1〜第3部分81〜83によってスリット56の先端側及び周方向における両側方を囲むように配置されている。第1〜第3部分81〜83の径方向外方への突出量(高さ)は、ロック片74の外周壁52の外周面から径方向外方への突出量と略同一に設定されている。第1〜第3部分81〜83の先端側部分は、先端側に進むほど径方向外方への突出量が小さくなる傾斜面80Aとなっている。第1〜第3部分81〜83の適所には、肉抜き部80Bが形成されている。
【0044】
図5に示すように、給油口6は、燃料タンク2の上壁4に設けられた給油口形成部材88によって形成されている。給油口形成部材88の中央部には、貫通孔である給油口6が形成されている。給油口6を形成する開口縁部90には、径方向外方に向けて給油口6を拡張する複数の拡張部92が形成されている。各拡張部92は、軸線を中心とした周方向に延在している。本実施形態では、拡張部92は、3つのロック片74に対応するように3つ形成され、周方向に互いに等間隔に設けられている。
【0045】
開口縁部90の内径は、外周壁52の通過を許容し、かつ保護壁80の通過を阻止する大きさに形成されている。拡張部92の内径及び周方向における幅は、保護壁80の通過を許容する大きさに形成されている。以上の構成により、先端部材14は、軸線方向において各保護壁80が各拡張部92に対向(整合)したときに給油口6への挿入が可能になる。
【0046】
開口縁部90のうち、各拡張部92の間に位置する部分のそれぞれには、燃料タンク2の内方に向けて突出した係止壁94が形成されている。各係止壁94は、開口縁部90に沿って周方向に延在している。係止壁94の突出端は、周方向において時計回り方向側に設けられた平坦部96と、周方向において反時計回り方向側に設けられた傾斜部98とを有する。傾斜部98は、反時計回り方向に進むにつれて、係止壁94の燃料タンク内側への突出長さが短くなるように傾斜している。平坦部96は、軸線と直交する平面に形成され、周方向に延在している。
【0047】
平坦部96には、係止壁94の基端側に向けて凹設された係止溝100が形成されている。係止溝100は、係止壁94の軸線を中心とした径方向に貫通し、その横断面が四角形に形成されている。
【0048】
次に、本発明に係るキャップ8の給油口6への取り付け手順について説明する。キャップ8を給油口6に挿入するときには、キャップ8の軸線Aと給油口6の軸線とを一致させ、かつ各保護壁80(ロック片74)と各拡張部92とを軸線A方向において整合させるように配置する。この状態からキャップ8を給油口6側に移動させると、先端部材14の外周壁52が開口縁部90によって画定された部分を通過し、各保護壁80(ロック片74)が各拡張部92を通過する。キャップ8の給油口6に対する挿入深さは、フランジ28がシール部材12を介して開口縁部90の外面(タンク外側部分)に突き当たることによって定まる。図8A図8Cは、給油口6及びキャップ8の先端部材14の周方向を平面に展開した図である。図8Aに示すように、先端部材14が給油口6に挿入された状態では、保護壁80及びロック片74は、拡張部92内、すなわち隣り合う2つの係止壁94の間に配置される。
【0049】
なお、各保護壁80と各拡張部92とが軸線A方向において整合していない場合には、保護壁80の先端側の端部(第1〜第3部分81〜83の先端側部分)が開口縁部90の外面(タンク外側部分)に突き当たり、先端部材14は給油口6内に進入することはできない。このとき、ロック片74の先端側及び周方向における両側は保護壁80によって囲まれているため、ロック片74が開口縁部90の外面と接触することはない。
【0050】
キャップ8の先端部材14が給油口6に挿入された状態から、給油口6に対してキャップ8を軸線Aを中心とした時計回り方向に回転させると、給油口6の係止壁94が保護壁80の第1部分81の基端側を通過して第2部分82側に移動する。このとき、図8Bに示すように、係止壁94は、傾斜部98においてロック片74と摺接し、付勢部材20の付勢力に抗してロック片74を先端側に変位させながら、第2部分82側に移動する。
【0051】
キャップ8の給油口6に対する回転は、図8Cに示すように、係止壁94の周方向における反時計回り側の側縁が第2部分82の回り止め部82Aに当接するまで行われる。係止壁94と回り止め部82Aとが当接するとき、ロック片74は係止溝100と軸線A方向において対向し、付勢部材20の付勢力を受けて係止溝100に嵌合する。ロック片74が係止溝100に嵌合することによって給油口6に対する回転が規制されると共に、キャップ8の給油口6に対する抜け出し方向への移動が規制される。また、係止壁94と回り止め部82Aとが当接するとき、第1部分81の抜け止め部81Aは係止壁94の平坦部96と当接し、キャップ8の給油口6に対する抜け出し方向への移動を規制する。このとき、シール部材12は、フランジ28と給油口6の開口縁部90の外面との間をシールする。
【0052】
キャップ8を給油口6から取り外すときには、使用者は指等によって操作部材18の押込部64を付勢部材20の付勢力に抗して先端側に押し込む。これにより、ロック片74は先端側に移動して係止溝100から離脱するため、使用者はキャップ8を給油口6に対して反時計回り方向に回転させることができる。キャップ8が給油口6に対して回転し、保護壁80と拡張部92とが軸線A方向において対向すると、使用者はキャップ8を給油口6から抜き出すことができる。
【0053】
本発明によるキャップ構造1では、キャップ8の先端部材14の外周壁52の外側面に突設された保護壁80によってロック片74の先端側及び周方向における両側が囲まれているため、キャップ8を給油口6に挿入するときにロック片74と開口縁部90のタンク外面側との接触が避けられ、ロック部材の破損が防止される。そのため、使用者は、ロック部材の破損を心配することなく、キャップを給油口に挿入することができ、装着作業が容易になる。
【0054】
また、ロック片74が係止溝100に嵌合した状態では、保護壁80の回り止め部82Aが係止壁94の反時計回り方向側の縁部に当接し、キャップ8の時計回り方向への回転が規制されるため、キャップ8の回し過ぎによるロック片74の破損が防止される。また、ロック片74が係止溝100に嵌合した状態では、保護壁80の抜け止め部81Aが係止壁94の平坦部96に当接し、キャップ8の抜け出し方向への移動を規制するため、キャップ8の抜き出し方向への荷重がロック片74に過剰に加わることが抑制され、ロック片74の破損が防止される。
【0055】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、ロック片74の数や形状は例示であり、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0056】
1...キャップ構造、2...燃料タンク、6...給油口、8...キャップ、10...基端部材、14...先端部材、16...リッド、18...操作部材、20...付勢部材、22...ロック部材、28...フランジ、52...外周壁、56...スリット、74...ロック片、80...保護壁、81...第1部分、81A...抜け止め部、81B...端面、81C...傾斜面、82...第2部分、82A...回り止め部、83...第3部分、88...給油口形成部材、90...開口縁部、92...拡張部、94...係止壁、96...平坦部、98...傾斜部、100...係止溝、A...軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8