(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電池端子部から電力を印加し、印加した電力によって前記筐体内で発生するガスのガス量を、前記筐体内のガス圧から測定することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の発生ガス測定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リチウムイオン二次電池において、印加電圧や電流と発生ガス量との関係、発生ガスの成分等を経時的に測定することは重要であり、スムーズな充放電を可能とする高性能な二次電池開発のためには有用である。また、過充電時のガス発生量を調べることは、電池の安全性を向上する観点からも重要である。このため、リチウムイオン二次電池を非破壊ままガス量を測定する技術や、ガス成分を分析する技術が切望されている。
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1、2の測定装置は、二次電池を形成したラミネートセルや樹脂セルを針で穿刺して、セル内に発生したガスを回収するものである。したがって、電池セルが破壊されるために、様々な条件の下で繰り返し測定することや、二次電池を充放電しながらガスの発生量等を経時的に測定することはできない。また、測定設備を設計して組み立てる必要があり、簡易に発生ガス量を測定することが困難である。特許文献3の測定装置も同様に、測定設備と、設備内で電池への孔開け作業を要し、簡易に測定することができない。特許文献4の測定装置は、置換ガスを電池内部に流通させ、発生ガスを排出するものであり、そのための設備の組立が必要となる。また、定量的なガス発生量の分析が難しい構造となっている。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたもので、煩雑な準備作業や測定設備の組立を必要とせず、電池内部で発生するガスを、電池を破壊することなく簡単に測定できる二次電池、及び二次電池の発生ガス測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は下記構成からなる。
(1) 正極板と負極板とをセパレータを介して積層した電池構成部材と、該電池構成部材を収容する
扁平な直方体形状を有する筐体と、前記電池構成部材に接続され前記筐体の外側に露出する
正極端子と負極端子からなる電池端子部と、を備える二次電池であって、
前記筐体の内外を連通する連通流路を形成する接続部を有し、
前記接続部は、
前記筐体の上部における長手方向の略中央に設けられ、規格化された継手部を有
し、
前記正極端子と前記負極端子は、前記接続部の前記長手方向の両脇側に配置されたことを特徴とする二次電池。
(2) 前記継手部は、管用ねじであることを特徴とする(1)に記載の二次電池。
(3) 前記電池構成部材は、リチウムイオン二次電池を構成することを特徴とする(1)又は(2)に記載の二次電池。
(4) 正極板と負極板とをセパレータを介して積層した電池構成部材と、該電池構成部材を収容する
扁平な直方体形状を有する筐体と、前記電池構成部材に接続され前記筐体の外側に露出する
正極端子と負極端子からなる電池端子部と、を備える二次電池の前記筐体内のガスを測定する発生ガス測定方法であって、
前記筐体の内外を連通する連通流路
を形成する接続部が、前記筐体の上部における長手方向の略中央で、規格化された継手部を有して設けられ、
前記接続部に、前記継手部に対応する規格の被接続側継手部を有する外部流路を接続し、
前記連通流路と前記外部流路を通じて、前記筐体内のガスを測定する発生ガス測定方法。
(5) 前記外部流路に接続された圧力計によって前記筐体内のガス圧を測定することを特徴とする(4)に記載の発生ガス測定方法。
(6) 前記外部流路に開閉バルブが接続され、前記開閉バルブを通じて前記筐体内のガスを分取することを特徴とする(4)又は(5)に記載の発生ガス測定方法。
(7) 前記電池端子部から電力を印加し、印加した電力によって前記筐体内で発生するガスのガス量を、前記筐体内のガス圧から測定することを特徴とする(4)乃至(6)のいずれか一つに記載の発生ガス測定方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の二次電池、及び二次電池の発生ガス測定方法によれば、煩雑な準備作業や設備の組立を必要とせず、電池内部で発生するガスを、電池を破壊することなく簡単に測定できる。これにより、充放電時、又は過充電等の誤使用時に発生するガスのガス量や成分を検出でき、二次電池の設計に資することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<二次電池の構成>
以下、本発明の二次電池を、リチウムイオン二次電池として構成した一例を説明する。
図1は本発明の実施形態を説明するための二次電池の斜視図、
図2は
図1に示す二次電池の概略的な断面図である。
【0011】
図1、
図2に示すように、本構成の二次電池100は、電池構成部材である電極体11と、電極体11を収容する筐体13と、電池端子部15と、筐体13の内外を連通する連通流路17を有する接続アダプタ19と、を備える。この二次電池100は、電池評価用の電池セルとして構成され、接続アダプタ19を通じて、二次電池100のセル内部のガスが測定可能になっている。
【0012】
筐体13は、金属や樹脂等で形成された扁平な直方体形状を有する。電池端子部15は、電極体11に接続され、筐体13の外側上面に露出して、外部との電気接続が可能に配置されている。
【0013】
図3(A),(B),(C)は、一例として示す電極体11の層構成と組立手順を段階的に示している。電極体11は、
図3(A)に示すように、正極板27、セパレータ29、及び負極板31を交互に積層した積層体として構成される。セパレータ29は、正極板27と負極板31との間に配置され、正極板27と負極板31とを電気的に隔離させている。
【0014】
本構成の電極体11は、
図3(B)に示すように、正極板27と負極板31との間にセパレータ29を介装させた積層状態で巻回され、
図3(C)に示すように扁平にすることで形成される。電極体11の表面には、正極板27に接続された正極集電箔33と、負極板31に接続された負極集電箔35が露出している。
【0015】
なお、上記電極体11は、正極板27、セパレータ29、負極板31を巻回して形成しているが、これに限らず、平坦状の正極板27、セパレータ29、負極板31を複数積層させて電極体11を作製してもよい。
【0016】
図2に示す電池端子部15は、蓋体47を貫通して接続アダプタ19の両脇側に設けられた正極端子37と負極端子39からなる。電池端子部15は、蓋体47との間に絶縁体が介装され、容器本体45及び蓋体47とは電気的に絶縁されている。
【0017】
正極端子37に接続された正極リード41は、電極体11の正極集電箔33と接合され、負極端子39に接続された負極リード43は、電極体11の負極集電箔35と接合されている。正極リード41と正極集電箔33との接合、及び負極リード43と負極集電箔35との接合は、例えば超音波溶接により行うことができる。
【0018】
筐体13は、容器本体45と蓋体47とを備える扁平な直方体の容器であり、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、又は樹脂等の腐食されない材質から形成される。筐体13の容器本体45には、筐体13内からのガス漏れが生じないように蓋体47が気密状態で接合されている。また、筐体13は、筐体13内で発生したガスによる内圧上昇によって、筐体13の膨張変形を防止できる充分な厚みを有している。例えば、金属筐体の場合では、0.05mmの厚みを有する。
【0019】
容器本体45と蓋体47との接合は、高い気密性を維持するために、金属筐体の場合は溶接接合することが望ましい。また、樹脂筐体の場合は、フランジ構造にしてガスケットを介してネジ締結する接合形態等、適宜な接合形態にすることができる。
【0020】
筐体13の内部には、図示しない電解液が充填され、電極体11が電解液に浸漬されている。
【0021】
図4に電極体11を構成する電池構成部材の模式的な構成図を示す。電極体11の正極板27には、正極活物質層51と、導電助材53と、バインダ55とを含む合材層が形成される。
【0022】
正極活物質層51の材料としては、例えば、コバルト酸リチウム(比重5.1)、マンガン酸リチウム、ニッケル・コバルト・マンガン酸リチウム等が挙げられる。
【0023】
導電助材53の材料としては、例えば、アセチレンブラック(比重2.1)、ケッチェンブラック、VGCF等が挙げられる。
【0024】
バインダ55の材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(比重1.79)、SBR等が挙げられる。
【0025】
また、電極体11の負極板31には、負極活物質層57と、正極と同様の導電助材53とバインダ55とを含む合材層が形成される。
【0026】
負極活物質層57の材料としては、例えば、グラファイト、ハードカーボン、チタン酸リチウム等が挙げられる。負極板13側の導電助材とバインダについては、正極の場合と同様である。
【0027】
上記の合材層には、必要に応じて、溶媒などのその他の成分が更に含まれていてもよい。溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)等が挙げられる。
【0028】
正極板27、負極板31の材料としては、銅箔、アルミ箔、チタン箔、SUS箔等が挙げられる。
【0029】
セパレータ29としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンからなるポリオレフィン系微多孔膜や不織布等が挙げられる。
【0030】
電解液としては、例えば、電解質塩を有機溶媒に溶解させたものを用いることができる。電解質塩としては、例えば、LiPF
6,LiBF
4,LiClO
4等のリチウム塩が挙げられる。また、有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネートや、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネート、並びに、これらの混合溶媒等が挙げられる。また、電解液の代わりに、固体電解質やイオン性液体等のその他の電解質を用いることもできる。
【0031】
なお、上記の二次電池100に使用される、正極板27、セパレータ29、負極板31、及びそれらを含み構成される電極体11、並びに、正極端子37、負極端子39、及び電解液は、評価対象となる電池に応じて適宜選択可能であり、それらの構成は特に限定されるものではない。
【0032】
次に、上記構成の二次電池100の筐体13及び接続アダプタ19について、更に詳細に説明する。
筐体13は、二次電池の製品形状を想定した扁平な直方体形状である。この電池形状によれば、二次電池100を実際の機器内に組み込む際のスペース効率が高められる。筐体13内でのガス発生により、筐体13の内圧が上昇した場合、
図1に示す面積の大きい筐体正面61と筐体背面63が筐体外側に膨らみ、内容積が大きくなろうとする。そこで、二次電池100を機器内に組み込む際には、
図5に示すように、筐体正面61と筐体背面63を、樹脂製又は金属製の補強板67,67で挟持することで固定する。図示例ではバンド69により固定した例を示すが、これに限らず、例えばボルト、ナットを使用して固定するものであってよい。
【0033】
図2に示す長方形状の蓋体47には、長手方向の略中央に接続アダプタ19の管状体21を気密に挿通させる開口孔65が形成されている。開口孔65は、ガス測定時に電極体11の影響を受けにくくする観点、
図5に示す補強板67,67による筐体13の拘束に影響を与えないようにする観点、正極端子37と負極端子39に近すぎず、電池短絡の危険性を少なくする観点、ガスの流通を妨げにくくする観点から、筐体13の上部に配置することが望ましい。
【0034】
また、開口孔65は、接続アダプタ19に正極端子37や負極端子39が接触すると電流リークが生じる可能性があること、正極端子37,負極端子39にクリップ等でリード線を取り付けるときに、接続アダプタ19が障害になる可能性があること、等の理由から、正極端子37及び負極端子39から離間して配置することが望ましい。したがって、接続アダプタ19は、正極端子37と負極端子39との間の中間位置に配置するとよい。
【0035】
開口孔65の直径は、蓋体47の面積にもよるが、φ1mm〜φ4mm程度とするのがよい。これにより、接続アダプタ19との接合長が少なくて済み、接続アダプタ19の蓋体47への接合が容易となる。蓋体47と接続アダプタ19との接合方法としては、溶接以外にも、ねじ構造による螺合接続であってもよい。
【0036】
なお、筐体13は、角型に限定されず、円筒型とすることもできる。一般的な円筒形電池の場合、筐体上部の蓋体自体が正極となっている。そのため、蓋体47に接続アダプタ19を設けた際には、筐体13を正極端子、接続アダプタ19を負極端子として充放電することが可能になる。
【0037】
図6に一具体例としての接続アダプタの断面図を示す。接続アダプタ19は、上述した蓋体47の開口孔65に挿入される管状体21と、継手部23を有する接続部25と、を備える。管状体21は、溶接や、ねじによる接合構造により蓋体47の開口孔65に気密に接合される。これにより、管状体21内の連通流路17は、筐体13内と接続部25とを連通して形成される。
【0038】
接続アダプタ19は、溶接により蓋体47と接合する場合には、蓋体47と同じ材料を用いて形成する。また、ねじ構造で蓋体47と接合する場合には、蓋体47と異なる材料を用いて形成することが、接合強度を高める上で好ましい。
【0039】
継手部23には、外部管路を接続するための規格化された管用雌ねじが形成されている。管用ネジの規格としては、例えば、管用平行ねじ:JISB0202(ISO 228/1),NPS、管用テーパねじ:JISB0203(ISO 7/1),NPT等の各種規格が挙げられる。また、JIS管継手以外にも、各種ルアーコネクター、Swagelok社製等のフェルール式、あるいはへルールクランプ等のクイックカップリングを含むフランジ式の継手も使用可能である。
【0040】
継手部23を、規格化された雌ねじの継手にすることで、その雌ねじの規格に対応する規格の雄ねじが形成された各種接続機器を、接続部25に簡単かつ気密に取り付けできる。接続機器としては、例えば、市販の開閉バルブ、圧力計、流量計、温度計等が挙げられる。
【0041】
上記構成によれば、継手部23の規格と同じ規格の被接続側継手部を有する外部流路を、接続部25に簡単に取り付け、取り外しできる。また、外部流路が接続部25に気密、液密に接続され、筐体13内の気液が漏れることがない。
【0042】
例えば、接続部25に、ねじ付き栓を取り付ける場合は、連通流路17を封止して、筐体13を簡単に密閉することができる。
【0043】
接続部25に開閉バルブを接続した場合は、開閉バルブの開閉操作によって、筐体13内を密閉することと、開閉バルブを介して筐体13の内外を連通することを、簡単に切り替えできる。
【0044】
なお、接続アダプタ19を設ける代わりに、蓋体47の開口孔65に雌ねじを形成しておき、外部流路の被接続継手部の雄ねじを螺合させることでもよい。また、圧力計等の測定機器のプローブ先端に雄ねじを形成して、開口孔65の雌ねじに直接接続することもできる。
【0045】
次に、上記構成の二次電池100に対する組立手順の一例を説明する。
本構成の二次電池100の組立は、概略的には下記手順で行うことができる。
(St.1)電極体11の作製
(St.2)蓋体47の正極端子37と負極端子39への電極体11の接合
(St.3)電極体11の容器本体45への挿入
(St.4)蓋体47と容器本体45との接合
(St.5)電解液の注入
【0046】
つまり、(St.1)で作製した電極体11の正極集電箔33を正極リード41に接合し、負極集電箔35を負極リード43に接合する(St.2)。そして、蓋体47と一体にされた電極体11を容器本体45内に挿入することで、電池の仮組立体が完成する(St.3)。次に、蓋体47と容器本体45とを溶接して筐体13を気密状態に接合し(St.4)、電解液を蓋体47の開口孔65から注入する(St.5)。
【0047】
正極端子37及び負極端子39と蓋体47との接合や、接続アダプタ19と蓋体47との接合は、二次電池100の組立後に行ってもよく、組立前に予め双方を接合させておいてもよい。
【0048】
また、電解液は、開口孔65から注入する以外にも、注液口を別途に設けておくことでもよい。その場合、注液口は、注液の終了後にシールビスで封止する。これにより、ガス漏れや液漏れを防止できる。
【0049】
<発生ガスの測定>
次に、上記構成の二次電池100を用いた発生ガス測定方法について、詳細に説明する。
(1)第1の発生ガス測定手順
図7は、二次電池のガス発生量を測定する測定システムの概略構成図である。本測定システムは、ガス圧力を測定する圧力計71と、一端部が圧力計71に接続され、他端部が接続アダプタ19の接続部25に接続される被接続側継手部を有する外部流路としてのチューブ75と、温度センサ77とを備える。
【0050】
チューブ75の継手部には管用雄ねじが形成されている。この管用雄ねじは、接続アダプタ19の接続部25に形成された管用雌ねじに螺合されている。これにより、二次電池100の筐体13内部と圧力計71とが連通した状態となる。
【0051】
圧力計71は、圧力測定時に筐体13内の温度を著しく変化させず、ガスの組成に影響を及ぼすことなく圧力変化を検出できる圧力測定器であることが好ましい。例えば、ストレインゲージ式、シリコンピエゾ抵抗式、薄膜抵抗式等の方式によってダイヤフラムの弾性変形量を電気信号に変換するダイヤフラム型圧力計が使用可能である。
【0052】
温度センサ77は、熱電対やサーミスタ等からなり、筐体13の外側に取り付けてある。また、温度センサ77を正極端子37又は負極端子39の、筐体13内に挿入される部位に取り付けることで、より正確な温度測定が可能となる。
【0053】
圧力計71と温度センサ77は、図示しない制御装置に接続される。制御装置には、圧力計71から圧力測定データ、温度センサ77から温度測定データが入力される。制御装置は、入力された圧力測定データと温度測定データ、及び予め記憶された二次電池100の各種諸元情報に基づいて、発生ガスの測定結果を出力する。
【0054】
上記構成のガス発生量の測定システムは、次の手順でガス発生量を測定する。
(1)二次電池100の筐体13の内容積(初期ガス量)V
0を、予め制御装置に記憶された諸元情報から求める。また、圧力計71により測定前の筐体13内の初期圧力P
0を測定し、温度センサ77により初期温度T
0を測定する。
【0055】
測定前の二次電池100の筐体13の内容積(初期ガス量)V
0は、
Va:筐体13内の容積
Vb:電池端子部15の電池内容積
Vc:正極板27の容積(正極活物質重量×1/比重+導電助剤重量×1/比重+バインダ重量×1/比重)
Vd:正極集電箔33の容積(膜厚×縦方向長さ×横方向長さ)
Ve:負極板31の容積(負極活物質重量×1/比重+導電助剤重量×1/比重+バインダ重量×1/比重)
Vf:負極集電箔35の容積(膜厚×縦方向長さ×横方向長さ)
Vg:セパレータ29の容積(膜厚×縦方向長さ×横方向長さ×(1−空孔率))
Vh:電解液の体積(液重量×1/比重)
Vi:接続アダプタ19等の導管内部容積
としたとき、(式1)から求められる。
【0056】
V
0=Va−(Vb+Vc+Vd+Ve+Vf+Vg+Vh)+Vi ・・・(式1)
【0057】
次いで、正極端子37及び負極端子39に図示しない充放電装置を接続する。この状態で、例えば、二次電池の充放電試験や誤用安全性試験を行う際、各端子37,39には所定の電圧が印加される。なお、電圧の印加以外にも、所定の電流の印加であってもよく、電圧及び電流を調整して印加することであってもよい。すなわち、各端子37,39から所定の電力が印加される。
【0058】
上記試験の実施により、筐体13内では、正極板27と電解液とが反応し、水素や二酸化炭素等のガスが発生して筐体13の内圧が上昇する。
【0059】
そして、制御装置は、試験後における筐体13内の試験後圧力P
1を圧力計71により測定し、試験後温度T
1を温度センサ77により測定する。そして、制御装置は、(式2)に示すボイルシャルルの法則より試験後ガス量V
1を算出し、更に、試験により発生したガス発生量Vを、(式3)により求める。
【0060】
P
0・V
0/T
0=P
1・V
1/T
1 ・・・(式2)
【0062】
以上が、基本的なガス発生量の測定手順である。上記手順の他、例えば、通電時の圧力変化をデータロガー等により計測し、圧力の経時変化を観察することで、ガス発生量の計時変化を求めることもできる。
【0063】
二次電池100の温度を、電極体11の筐体13内の部位に温度センサ77を配置して測定する場合には、温度センサ77の配置部位を任意に選定できる。これにより、筐体13内の任意の部位の温度がより正確に測定可能となる。その際、温度センサ77が熱電対である場合には、電極体11との接触により短絡が生じることを避けるため、熱電対を樹脂やセラミック等の絶縁材で覆う等の絶縁処理を施しておく。
【0064】
電極体11は、巻回構造や積層構造の状態によっては、中央部の放熱が不十分になりやすい。そのため、電極体11の外部よりも中央部が、充電・放電による発熱により温度上昇する傾向がある。従来はシミュレーション等により筐体外部の温度から筐体内部の温度を予想する手法があったが、予測誤差が大きくなり、発生ガスの測定が不正確になる不利があった。
【0065】
その点、筐体13内の任意の部位に温度センサ77を配置する手法、又は本手法を併用することで、より正確な温度情報が得られ、発生ガスの測定精度が向上する。
【0066】
(2)第2の発生ガス測定手順
図8は、二次電池のガス発生量を測定し、発生ガスを分析する測定システムの概略構成図である。本測定システムは、ガス圧力を測定する圧力計71と、開閉バルブ79と、一端部が接続アダプタ19の接続部25に接続され、二股に分岐された他端部が、それぞれ圧力計71と開閉バルブ79とに接続された外部流路としてのチューブ81と、温度センサ77と、を備える。
【0067】
本測定システムにおいては、圧力計71と温度センサ77により筐体13内のガス発生量を測定することに関しては上記の第1のガス発生量測定手順と同様に行える。つまり、圧力計71により測定される圧力、及び温度センサ77により測定される測定温度から、第1のガス発生量測定手順に従ってガス発生量を求める。
【0068】
そして、開閉バルブ79は、筐体13内に発生したガスを採取可能にする。すなわち、ガス発生量の測定後、開閉バルブ79を開き、開閉バルブ79に接続される図示しないシリンジ等に発生ガスを分取する。発生ガスがシリンジに分取されることで、ガス分析装置等を用いて発生ガスの成分を簡単に分析することができる。
【0069】
ガス分析装置としては、ガスクロマトグラフ、質量分析装置、又はガスクロマトグラフと質量分析装置を組み合わせた装置等が使用可能である。また、目的に応じて、複数のガスクロマトグラフ、質量分析装置を接続することもできる。
【0070】
本測定システムにおいては、発生ガスの分取を、従来のように二次電池のセルに孔を穿設することなく行える。また、発生ガスは、発生ガスの正圧力を利用して分取されるため、電極体11が損傷するリスクや水分の影響を受けることを防止できる。また、置換ガスを用いる必要がなく、筐体13内のガス雰囲気が変わることで電極体11が乾燥する等、電極体11に影響が及ぶことを抑制できる。
【0071】
なお、発生ガスを分取する場合、温度センサ77をシリンジに設けておき、シリンジに分取したガスの温度を、そのシリンジに設けた温度センサにより測定する構成としてもよい。
【0072】
(3)第3の発生ガス測定手順
図9は、充放電を行いながら経時的にガス発生量を測定し、発生ガスを分析する測定システムの概略構成図である。本測定システムは、
図8に示す測定システムに加えて、正極端子37と負極端子39に各端子が接続されたバッテリテスタ83を備えている。
【0073】
バッテリテスタ83は、二次電池100の充放電試験、過充電試験等をプログラマブルに行う装置である。バッテリテスタ83により、予め定めた手順に従って二次電池100の充放電、又は過充電等の各種状況下における発生ガスの測定が容易に可能となる。
【0074】
また、本構成によれば、筐体13の内圧と温度を測定しながら、充放電中に発生するガスや、過充電試験等の誤用安全性試験時に発生するガスの経時的な変化をリアルタイムで測定できる。これにより、高電圧でガスが発生しやすいといわれるリチウムイオン二次電池において、電池電圧と、ガス発生量を表すセル内圧との依存性等を精度よく評価することができる。
【0075】
さらに、上記構成によれば、接続アダプタ19を介して、圧力計や開閉バルブ等の各種機器を、簡単かつ気密性を維持したまま着脱自在に筐体13に接続できる。そのため、二次電池を解体することや、置換ガスを用いる必要がなくなり、測定が煩雑になることがない。また、二次電池にダメージを与えることなく、充放電や過充電を行いながら各種データを採取することが可能となる。
【0076】
これにより、充放電時、又は過充電等の誤使用時に発生するガスのガス量や成分を、同一の二次電池から検出でき、高性能な二次電池開発に資することができる。
【0077】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
例えば、二次電池として、リチウムイオン電池を例示したが、これに限らず、ナトリウムイオン二次電池、全固体電池、金属空気電池などの各種電池にも本発明の適用が可能である。