(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190831
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】墓石
(51)【国際特許分類】
E04H 13/00 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
E04H13/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-26196(P2015-26196)
(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公開番号】特開2016-148211(P2016-148211A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】314017598
【氏名又は名称】▲高▼木 泰宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098224
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 勘次
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 泰宏
【審査官】
新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3037737(JP,U)
【文献】
特開2002−276202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口した収容空間を有する四つ石と、
該四つ石の上面に載置され、正面に開口し、前記収容空間の開口部と繋がる収容路を有する中台と、
該中台の正面に背面が当接し、前記収容路の開口部を塞ぐ蓋台と
を具備し、前記四つ石と前記中台と前記蓋台とに囲まれて納骨室が構成される墓石であって、
前記蓋台が、
下面に横方向に延びて側面に抜ける下面溝部、
縦方向に延びて前記下面溝部と繋がる縦孔部、
該縦孔部と繋がると共に、背面に開口して前記収容路と繋がる横孔部
によって構成される前方通気路を有する
ことを特徴とする墓石。
【請求項2】
前記中台の収容路の天井面が前方で高く、後方で低くなるように傾斜しており、前記天井面の下端が前記納骨室内の後方の壁面よりも前方に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の墓石。
【請求項3】
前記中台は、前記収容路の天井面の下端から後方の下面に、幅方向に延びる帯状の流止め部
を具備することを特徴とする請求項2に記載の墓石。
【請求項4】
前記四つ石の背面と前記納骨室とを繋ぐ後方通気路
を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の墓石。
【請求項5】
前記縦孔部の開口部、または前記後方通気路の開口部に取付けられる通気性の蓋部材
を具備することを特徴とする請求項4に記載の墓石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、墓石に関するものである。
【背景技術】
【0002】
墓石には、遺骨を納める納骨室が地下に設けられる地下式と、地上に設けられる地上式がある。地下式の墓石は、地中の水分により納骨室内の湿度が高くなりやすく、カビや苔が生えて納骨室や遺骨が汚れやすい。これに対して、地上式の墓石は、地中の水分の影響を受けにくい。
【0003】
ところが、地上式の墓石においても納骨室は密閉性が高いため、湿度が高くなりやすい。このため、夜間等に納骨室内に結露が発生してカビや苔が生える場合がある。更に、結露で生じた水滴は、墓石の隙間をつたって外表面を湿らせる。そのため、墓石の外表面にもカビや苔が生えたり、砂や埃等が付着したりして汚れる場合があった。
【0004】
そこで、地上式の墓石で納骨室内を換気する技術が提案されている。特許文献1の墓石は、納骨室を囲む左右の側壁等に外部と納骨室とを繋ぐ通気路を設けるものである。これにより、納骨室内を換気して湿度を低く保ち、結露を生じ難くすることを意図している。
【0005】
しかしながら、上記の墓石では通気路の開口部が左右の側壁にあり視認されやすい。このため、美観が損なわれ、好ましいものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4411286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、納骨室内を換気することができると共に、その換気用の通気路の開口部が視認されにくい墓石の提供を、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明にかかる墓石は、
「上面に開口した収容空間を有する四つ石と、
該四つ石の上面に載置され、正面に開口し、前記収容空間の開口部と繋がる収容路を有する中台と、
該中台の正面に背面が当接し、前記収容路の開口部を塞ぐ蓋台と
を具備し、前記四つ石と前記中台と前記蓋台とに囲まれて納骨室が構成される墓石であって、
前記蓋台が、
下面に横方向に延びて側面に抜ける下面溝部、
縦方向に延びて前記下面溝部と繋がる縦孔部、
該縦孔部と繋がると共に、背面に開口して前記収容路と繋がる横孔部
によって構成される前方通気路を有する」ものである。
【0009】
本構成の墓石は、四つ石の収容空間が中台と蓋台とに囲まれて納骨室が形成されている。そして、納骨する際は、蓋台を取外し、中台正面の収容路の開口部から納骨室に遺骨を納骨するものである。本構成の墓石では、蓋台の下面溝部と、蓋台が載置された面とにより、通気用の孔部が形成される。この蓋台下面の孔部は、蓋台の側面下方に開口する前方通気口を有するため、視認しにくく墓石の美観を損ねることが無い。蓋台下面の孔部と、縦孔部と、横孔部とにより構成される前方通気路は、納骨室と繋がる収容路と連通している。従って、本構成の墓石では、外部と納骨室とを繋ぐ換気経路が形成されており、納骨室内を換気することができる。このため、納骨室内の湿度が低く保たれ結露しにくい。
【0010】
請求項2の発明にかかる墓石は、上記構成において、
「前記中台の収容路の天井面が前方で高く、後方で低くなるように傾斜しており、前記天井面の下端が前記納骨室内の後方の壁面よりも前方に位置する」ものである。
【0011】
本構成の墓石では、収容路の天井面が前方から後方へ低くなるように傾斜している。これにより、納骨室の上方に位置する前方通気口から流入した空気が前方通気路を通り、収容路の天井面の傾斜に沿って下方に流れて納骨室内に流入する。また、納骨室内の空気は、同様に収容路の天井面の傾斜に沿って上方に流れ、前方通気路を通って前方通気口から外部に排出される。つまり、空気が収容路の傾斜に沿って直線的に流れるため滞留しにくく、効率的に換気をすることができる。また、収容路の天井面の下端は、納骨室内の後方の壁面よりも前方にある。これにより、結露により生じた水滴が収容路の天井面に沿って流れても下端の部分で下に落ちやすい。このため、水滴が天井面の下端より後方に伝って四つ石と中台の隙間を通り、墓石の外表面を湿らすことを防ぐことができる。従って、墓石の外表面を清潔に保つことができる。
【0012】
請求項3の発明にかかる墓石は、上記構成に加えて、
「前記中台は、前記収容路の前記天井面の下端から後方の下面に、幅方向に延びる帯状の流止め部を具備する」ものである。
【0013】
「流止め部」は、シリコーンゴムを塗布して形成することができる。また、流止め部は、中台と一体で石材により形成されてもよい。或いは、別体の流止め部を接着剤等により接着してもよい。
【0014】
本構成の墓石では、収容路の天井面の下端、または、天井面の下端よりも後方の中台の下面に流止め部が設けられている。これにより、結露で生じた水滴が収容路の天井面に沿って流れても、流止め部で堰き止められて下に落ちる。従って、水滴が流止め部よりも後方に伝って四つ石と中台の隙間を通り、墓石の外表面を湿らすことをより防止することができる。
【0015】
請求項4の発明にかかる墓石は、上記構成に加えて、
「前記四つ石の背面と前記納骨室とを繋ぐ後方通気路を具備する」ものである。
【0016】
本構成の墓石は、中台正面の収容路の開口部を塞ぐ蓋台の前方通気路と、四つ石の背面に開口した後方通気路を備えている。つまり、正面の前方通気路から背面の後方通気路へ、或いは、後方通気路から前方通気路へ空気が流通することができる。これにより、納骨室内で空気が滞留しにくく、納骨室内を容易に換気することができる。また、後方通気路は四つ石の背面に開口しているため、墓石の正面及び側面からは後方通気路の開口部が視認されにくい。
【0017】
請求項5の発明にかかる墓石は、上記構成加えて、
「前記縦孔部の開口部、または前記後方通気路の開口部に取付けられる通気性の蓋部材を具備する」ものである。
【0018】
「蓋部材」は、網目状の部材や、複数の貫通孔を有する部材を用いることができ、或いは、これらを重ねて用いてもよい。
【0019】
本構成の墓石は、縦孔部の開口部または後方通気路の開口部に蓋部材を取付けることにより、通気性を保ちつつ、納骨室にゴミや虫、小動物等が入って汚れることを防ぐことができる。加えて、蓋台下面に位置する縦孔部の開口部に取付けられた蓋部材は視認されないため、美観を損ねることがない。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明の効果として、納骨室内を換気することができると共に、換気用の通気路の開口部が視認されにくい墓石を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態である墓石の斜視図である。
【
図2】
図1の墓石の四つ石と土台部分の斜視図である。
【
図3】
図1の墓石の(a)は正面図、(b)は蓋台を取外した際の正面図である。
【
図4】
図1の墓石の蓋台の(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態である墓石について
図1乃至
図6を用いて説明する。
【0023】
本実施形態の墓石1は、地上式の墓石1であり、土台80の上面に、上面に開口した収容空間15を有する四つ石10が載置されている。四つ石10の上面には直方体状の中台20が載置されている。中台20には、正面に開口し、収容空間15の開口部と繋がる収容路21が形成されている。また、中台20の上面には直方体状の上台30が載置されている。更に、上台30の上面には、縦に長い直方体状の竿石40が載置されている。
【0024】
中台20の正面には、蓋台としての香炉50が背面を中台20の正面に当接させて四つ石10の上面に載置されており、収容路21の開口部(以下、収容口21aと称する)を塞いでいる。なお、香炉50は、上面に円筒状の線香立て(図示しない)を載置して使用されるものである。また、中台20上面には水鉢60が背面を上台30の正面に当接させて載置されている。水鉢60の上面には溝が形成されており、水を溜めることができる。四つ石10の上面で香炉50の左右両側には花立71,72が載置されている。花立71,72は、縦に長い直方体形状であり、上面に花を活けるための孔部が穿設されている。また、花立71,72は香炉50よりも高い。これにより、香炉50の側面が視認されにくい。
【0025】
本実施形態の墓石1では、中台20と香炉50とで囲まれた四つ石10の収容空間15が納骨室100となる。本実施形態の墓石1は、香炉50を取外し、遺骨を収容口21aから収容路21を通して納骨室100に納骨するものである。なお、墓石1に用いる石材の種類としては、花崗岩、安山岩、閃緑岩が一般に用いられる。
【0026】
より詳細に説明すると、四つ石10は
図2に示すように、直方体状である前石11、後石12、二つの入子13,14の四つの石材から構成されている。前石11と後石12は大きさが同一であり、入子13と入子14は大きさが同一である。前石11と後石12は、土台80の上面に間隔を開けて平行に載置されている。入子13と入子14は、前石11と後石12とに正面と背面を当接した状態で土台80の上面に間隔を開けて平行に載置されており、四つ石10は矩形枠状となっている。なお、本実施形態の墓石1では、四つ石10は矩形枠状に載置された四個の石材から構成されているが、上面に開口した収容空間を有する一個の石材により四つ石が構成されてもよい。
【0027】
収容路21は、中台20の正面から下面にかけて斜めに切欠いて形成されている。この収容路21の収容口21aは、
図3(b)に示すように矩形状になっている。また、収容路21の天井面21bは、
図6に示すように前方で高く、後方で低くなるように傾斜している。中台20は、天井面21bの下端が後石12の正面よりも前方に位置するように四つ石10の上面に載置されている。つまり、収容路21の天井面21bの下端は納骨室100内の後方の壁面よりも前方に位置している。
【0028】
香炉50には、
図4に示すように、両側面に亘って下面を切削して下面溝部51が形成されている。また、下面溝部51の天井面51aから縦方向に円筒状の縦孔部52が穿設されており、背面から前方へ円筒状の横孔部53が穿設されている。上記構成の香炉50が前石11の上面に載置されることにより、下面溝部51と前石11の上面とで通気用の孔部が形成されている。この孔部は、香炉50の両側面の下方に開口している。以下では、この開口部を前方通気口54aと称する。また、縦孔部52は、下端52aが下面溝部51の天井面51aに開口して下面溝部51と連通していると共に、上端52bが横溝部53に開口して横孔部53と連通している。横孔部53は香炉50の背面に開口しており、横孔部53の開口部53aは収容口21aと連通している。つまり、香炉50下面の孔部と縦孔部52と横孔部53とにより構成される前方通気路54は、納骨室100と繋がる収容路21と連通している。従って、納骨室100と外部とを繋ぐ換気経路が形成されている。また、前方通気口54aは香炉50の側面に、横長の長方形状で開口している。このため、前方通気口54aが墓石1の正面から視認されにくい。更に、墓石1の側面からは前方通気口54aが開口した部分が香炉50を支持する脚部のように見え、換気用の通気路の開口部であることを認識させにくいものとなっている。
【0029】
四つ石10には、
図5及び
図6に示すように、後石12を前後方向に貫通して円筒状の後方通気路90が形成されている。つまり、後方通気路90を介して納骨室100と外部は連通している。以下では、四つ石10背面の後方通気路90の開口部を後方通気口90aと称する。
【0030】
従って、本実施形態の墓石1では、香炉50の前方通気口54aから流入した空気が前方通気路54を通り、収容路21の天井面21bの傾斜に沿って下方に流れて納骨室100に流入し、後方通気口90を通って後方通気口90aから流出する。或いは、後方通気口90aから流入した空気が後方通気路90を通って納骨室100に流入し、収容路21の天井面21bの傾斜に沿って上方に流れて前方通気路54を通り、前方通気口54aから流出する。このとき、収容路21の天井面21bが前方で高く、後方で低くなるように傾斜して形成されていることにより、四つ石10の上面に載置された香炉50の前方通気口54aと、四つ石10の後石12に設けられ、前方通気口54aの下方に位置する後方通気口90aを流通する空気の流れが直線的になり、滞留しにくくなる。従って、効率的に納骨室100内を換気することができる。なお、従来の墓石では、中台の下面を正面から背面に向かって水平に切削して収容路が形成されていた。このため、空気の流れが滞留しやすく、納骨室100内の空気が換気されにくいものであった。
【0031】
また、本実施形態の墓石1では、収容路21の天井面21bの下端に、収容路21の幅方向に延びる流止め部93が突設されている。流止め部93はシリコーンゴムで形成されている。流止め部93が設けられていることにより、結露によって生じた水滴が天井面21bに沿って下方に流れた際に、水滴は流止め部93で堰き止められて下方に落ちる。このため、流止め部93より後方に水滴が伝って四つ石10と中台20との隙間を通り、墓石1の外表面を湿らすことを防止できる。従って、墓石1の外表面が汚れにくい。なお、流止め部93は中台20と一体に形成されてもよい。或いは、金属製、石製、樹脂製の板材を接着剤により収容路21の下端に接着してもよい。
【0032】
更に、香炉50の縦孔部52の下端52aと、後方通気口90aには、蓋部材91,92がそれぞれ取付けられている。ここで、縦孔部52の下端52aと、後方通気口90aは、同一形状で形成されており、蓋部材91,92も同一構成になっている。具体的には、蓋部材91,92は、それぞれの孔に挿入される円筒状の挿入部と、挿入部の一端から径方向に延びる円形のフランジ部と、挿入部の一端を通気可能に塞ぐ多孔部とから構成されており、挿入部、フランジ部はステンレス製であり、多孔部は、ステンレス製の網である。これにより、縦孔部52及び後方通気路90からゴミや虫、小動物等が入ることを防ぐことができる。しかも、縦孔部52の下端52aと、後方通気口90aを同一の構成とすることにより、同一構成の蓋部材91,92を使用することができるため製造が容易になる。更に、蓋部材91は香炉50下面に位置する縦孔部52の下端52aに取付けられているため視認されず、美観を損ねることがない。
【0033】
上記のように、本実施形態の墓石1では、香炉50の前方通気路54と、中台20の収容路21と、四つ石10の後方通気路90により、換気経路が形成されている。前方通気口54aは香炉50の側面下方に開口しているため、墓石1の正面から前方通気口54aが視認されにくい。更に、本実施形態の墓石1では、香炉50の左右に花立71,72が配設されているため、墓石1の側面からも前方通気口54aがより視認されにくい。また、後方通気口90aは墓石1の背面側に設けられているため正面からは死角となる。従って、前方通気路54及び後方通気路90の開口部である前方通気口54a及び後方通気口90aが視認されにくく、墓石1の美観が損なわれない。
【0034】
また、本実施形態の墓石1では、前方通気路54と後方通気路90が設けられていることにより、前方通気口54aから流入した空気が後方通気口90aから流出する、或いは後方通気口90aから流入した空気が前方通気口54aから流出する。つまり、空気の流入する開口部と流出する開口部が異なることにより納骨室100内で空気が滞留しにくく、納骨室100内が換気されやすい。これにより、納骨室100内の湿度を低く保ちやすく、納骨室100や遺骨を清潔に保つことができる。
【0035】
更に、本実施形態の墓石1では、中台20の収容路21の天井面21bが前方で高く、後方で低くなるように傾斜して設けられている。これにより、墓石1の正面側及び背面側で高さが異なる位置にそれぞれ開口している前方通気路54と後方通気路90を流通する空気が収容路21の天井面21bの傾斜に沿って直線的に流れる。従って、納骨室100内で空気が滞留しにくく、効率的に換気することができる。
【0036】
また、本実施形態の収容路21は、中台20の正面から下面へ斜めに切削することにより形成することができる。従って、従来の墓石のように中台の下面を正面から背面に向かって水平に切削して収容路を形成する場合よりも加工しやすい。
【0037】
加えて、収容路21の天井面21bの下端は、納骨室100内で後方の壁面よりも前方の位置にある。これにより、結露で生じた水滴が収容路21の天井面21bに沿って流れても下端の部分で下方に落ちやすく、それより後方に伝いにくい。更に、本実施形態の墓石1では天井面21bの下端に流止め部93が設けられているため、流止め部93で水滴が堰き止められて下方に落ち、後方に水が伝いにくい。従って、結露で生じた水滴が四つ石10と中台20の隙間を伝って墓石1の外表面を湿らせることを防止することができる。これにより、墓石1の外表面を清潔な状態に保ちやすい。
【0038】
また、本実施形態の墓石1では、香炉50の縦孔部52の下端52aと後方通気口90aに、通気性の蓋部材91,92が取付けられている。これにより、通気を妨げることなく、納骨室100内にゴミや虫、小動物等が入ることを防ぐことができ、納骨室100内を清潔に保つことができる。
【0039】
加えて、本実施形態の墓石1では、香炉50の下面溝部51が縦孔部52と連通しており、上方に向かう換気経路になっている。従って、香炉50下面の孔部に雨水が流入しても縦孔部52には入らず、納骨室100内に雨水が入ることを防止することができる。
【0040】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0041】
例えば、上記の実施形態では、蓋台は香炉して用いられる場合を例示したが、水鉢、或いは、花立として使用できるものでもよい。また、上台と竿石の間に、蓮華台やスリン台と称される装飾用の石材を載置してもよい。加えて、和型の墓石を例示したが、洋型やデザイン型と称される様々な装飾が施された墓石であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 墓石
10 四つ石
15 収容空間
20 中台
21 収容路
21b 天井面
50 香炉(蓋台)
51 下面溝部
52 縦孔部
53 横孔部
54 前方通気路
90 後方通気路
91,92 蓋部材
93 流止め部
100 納骨室